説明

フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとのコポリマーを製造するための、乳化剤非含有水性乳化重合

フッ化オレフィンと、エチレン、プロピレンおよびその混合物から選択される炭化水素オレフィンと、のコポリマーを製造する方法であって、任意にフルオロポリマー粒子の存在下および/またはフッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとの共重合を改善するのに適した形態のフッ素化液体の存在下にて、前記フッ化オレフィンと前記炭化水素オレフィンとを実質的に乳化剤非含有の水性乳化重合することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとのコポリマーを製造するための、フッ化オレフィンおよび炭化水素オレフィンの乳化剤非含有水性乳化重合に関する。特に、本発明は、テトラフルオロエチレンもしくはクロロトリフルオロエチレンなどのフッ化オレフィンと、エチレンまたはプロピレンとのコポリマーである、フルオロポリマーを製造する方法に関する。かかるフルオロポリマーは、例えばフルオロエラストマーの製造において用途が見出される。
【背景技術】
【0002】
フルオロポリマー、つまりフッ化主鎖を有するポリマーは長い間知られており、耐熱性、耐薬品性、耐候性、紫外線安定性等のいくつかの望ましい特性のために、様々な用途で使用されている。種々のフルオロポリマーが例えば、(非特許文献1)に記載されている。
【0003】
特定の種類のフルオロポリマーは、フッ化オレフィンと、エチレンおよび/またはプロピレンとのコポリマーを含む。フッ化オレフィンと、エチレンまたはプロピレンとのフルオロポリマーは、例えば(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)に記載されている。これらの出版物の教示に従って、水性乳化重合を含む様々な重合法によって、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)などのフッ化オレフィンと、エチレン(E)またはプロピレン(P)とのコポリマーを製造することができる。一般に水性乳化重合は、(特許文献1)および(特許文献4)に開示されているように、フッ素化界面活性剤の存在下で行われる。
【0004】
水性乳化重合は一般に、フッ素化界面活性剤の存在下で行われるが、最近では、フッ素化界面活性剤の使用を避ける水性乳化重合プロセスも開発されている。かかる重合プロセスは、環境面から望まれる、得られる生成物がフッ素化界面活性剤を含有しないという利点を提供する。いわゆる乳化剤非含有水性乳化重合は、例えば(特許文献6)、(特許文献7)および(特許文献8)に開示されている。
【0005】
しかしながら、フッ化オレフィンとエチレンおよび/またはプロピレンとの水性乳化共重合は、フッ素化界面活性剤を重合に添加しない場合には、うまく、または全く進行しないことが見出されている。従って、フッ化オレフィンと、エチレン、プロピレンまたはその混合物から選択される炭化水素オレフィンとのコポリマーを乳化剤非含有水性乳化重合において容易に製造することができる、改善された方法を見出すことが望まれるだろう。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,277,586号明細書
【特許文献2】GB 1,291,936号明細書
【特許文献3】米国特許第3,825,510号明細書
【特許文献4】米国特許第4,463,144号明細書
【特許文献5】米国特許第4,148,982号明細書
【特許文献6】米国特許第5,453,477号明細書
【特許文献7】国際公開第96/24622号パンフレット
【特許文献8】国際公開第97/17381号パンフレット
【特許文献9】国際公開第00/35971号パンフレット
【特許文献10】米国特許第2,567,011号明細書
【特許文献11】米国特許第2,732,398号明細書
【特許文献12】米国特許第2,809,990号明細書
【特許文献13】米国特許第4,745,165号明細書
【特許文献14】米国特許第4,831,085号明細書
【特許文献15】米国特許第4,214,060号明細書
【特許文献16】EP 407 937号明細書
【特許文献17】EP 101 930号明細書
【特許文献18】米国特許第4,243,770号明細書
【特許文献19】国際公開第00/32655号パンフレット
【特許文献20】米国特許第4,000,356号明細書
【特許文献21】米国特許第6,380,337号明細書
【特許文献22】EPA 0 661 304 A1号明細書
【特許文献23】EPA 0 784 064 A1号明細書
【特許文献24】EPA 0 769 521 A1号明細書
【特許文献25】米国特許第5,677,389号明細書
【特許文献26】米国特許第5,565,512号明細書
【特許文献27】米国特許第5,668,221号明細書
【特許文献28】国際公開第00/09603号パンフレット
【特許文献29】米国特許第4,233,421号明細書
【特許文献30】米国特許第4,912,171号明細書
【特許文献31】米国特許第5,086,123号明細書
【特許文献32】米国特許第5,262,490号明細書
【特許文献33】米国特許第5,929,169号明細書
【特許文献34】米国特許第5,591,804号明細書
【特許文献35】米国特許第3,876,654号明細書
【非特許文献1】ジョン・シェアーズ(John Scheirs)編、「Modern Fluoropolymers」、ワイリー・サイエンス(Wiley Science)、1997
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、フッ化オレフィンと、エチレン、プロピレンおよびその混合物から選択される炭化水素オレフィンとのコポリマーを製造する方法であって、前記フッ化オレフィンと前記炭化水素オレフィンとの実質的に乳化剤非含有の水性乳化重合を含む方法を提供する。その方法はさらに、フルオロポリマー粒子および/またはフッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとの共重合を改善するのに適した形態のフッ素化液体の存在下にて、前記フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとを共重合することを含む。特に、フルオロポリマー粒子の存在下にて、簡便かつ対費用効果の高い手法において良好な収率でポリマーを製造することができることが見出された。さらに、フルオロポリマー粒子の他に、またはその代替としてフッ素化液体を、例えば熱ガスまたはエアロゾルとして重合に添加した場合には、フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとの共重合も改善する、適切な形態のフッ素化液体が得られることも見出された。
【0008】
「実質的に乳化剤非含有の水性乳化重合」という用語は、重合系、つまりフッ化モノマーの水性乳化重合の場合に通常用いられる水相に、フッ素化界面活性剤が添加されない、または実質的には添加されないことを意味する。「フッ素化界面活性剤を実質的には添加しない」とは、添加されるその量が500ppmを超えず(重合系中の水の量に対して)、好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppmであるべきであることを意味する。しかしながら、「実質的に乳化剤非含有の水性乳化重合」という用語は、重合中にそのままで形成する可能性があり、かつ水性乳化重合においてフルオロポリマー粒子をそれらが安定化するという点から、界面活性剤として機能し得るフッ化種を除外するものではない。また、重合はフッ素化界面活性剤なしで行われるが、製造されるポリマー粒子は通常、動的光散乱技術によって決定される平均直径約20〜700nm、好ましくは40nm〜500nmを有するのに対して、懸濁重合では通常、数ミリメートルまでの大きさの粒子が製造されるという点から懸濁重合と区別される。さらに、得られる分散体は、後者の場合と同様に懸濁液とそれらもまた区別する、フッ素化界面活性剤を使用して製造される水性エマルジョンと同様なレベルの安定性を有し、粒子は通常、懸濁液から沈殿する。
【0009】
「フッ化(フッ素化)」という用語は、その用語に関連する有機化合物中の少なくともいくつかの水素原子がフッ素で置換されていることを意味する。しかしながら、その用語は、化合物がフッ素原子の他に、塩素、臭素および/またはヨウ素原子も有するように、塩素、臭素またはヨウ素などの他のハロゲンでいくつかの水素原子が置換される可能性を除外することを意味するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の方法の一実施形態に従って、フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとのコポリマーをフルオロポリマー粒子の存在下で製造する。フルオロポリマー粒子は、重合場(polymerization loci)として働くと考えられ、所望のコポリマー組成物を製造するための供給比でフッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとの共重合を開始する際に、通常存在すべきである。
【0011】
通常、フルオロポリマー粒子は、200nm以下、好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下のサイズを有するだろう。フルオロポリマー粒子は、重合プロセスの初めにそのままで製造するか、または別々に製造して、重合の最初に重合反応容器に加えることができる。フルオロポリマー粒子を製造する簡便な方法は、相当な量の炭化水素オレフィンを供給することなく、重合を開始し、フッ化オレフィンの一部を供給することである。「相当な量の炭化水素オレフィンを供給することなく」という表現は、炭化水素オレフィンが供給されないこと、またはその量が、フルオロポリマー粒子が形成されるような十分に低い量であることを意味する。通常、フルオロポリマー粒子をそのままで製造するために供給される炭化水素オレフィンの量は、炭化水素オレフィンとフッ化オレフィンとの供給比が、所望のコポリマーを製造するのに必要な、炭化水素オレフィンとフッ化オレフィンとの供給比の1/2以下、好ましくは1/3以下、最も好ましくは1/5未満であるような量であるだろう。フルオロポリマー粒子が形成されると、所望の量の炭化水素オレフィンを有する所望のフルオロポリマーを製造するのに必要なレベルに、炭化水素オレフィンとフッ化オレフィンとの供給比を増大することができる。炭化水素オレフィンを共に供給することなく、フッ化オレフィンを(製造されるフルオロポリマーの全重量に対して)20重量%まで、好ましくは10重量%まで重合プロセスの最初に重合することによって、フルオロポリマー粒子をそのままで形成することが好ましい。そのままで製造されたフルオロポリマー粒子は、以下に記述するような、フッ化オレフィン以外の更なるフッ化モノマーの共重合も含み得る。
【0012】
フッ化オレフィンを含むフッ化モノマーおよび以下に記述されるフッ化モノマーを水性乳化重合することによって、フルオロポリマー粒子を別々に製造することもできる。かかる水性乳化重合は、フッ素化界面活性剤を添加して、または添加することなく行うことができる。フッ素化界面活性剤を使用して、フルオロポリマー粒子を製造する場合には、このように形成されたフルオロポリマー粒子が重合プロセスに添加され、本発明に関連するフッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとのコポリマーが製造される場合、水相に添加されるフッ素化界面活性剤の量が500ppmを超えない、好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下であるような十分に低い量で使用されるだろう。代替方法としては、重合反応容器にフルオロポリマー粒子を添加する前に、例えば(特許文献9)に記載のように、フルオロポリマー粒子分散体に含有されるフッ素化界面活性剤を除去するか、またはアニオン交換樹脂で低減することができる。フルオロポリマー粒子をフッ素化界面活性剤の存在下で製造した場合には、所望のフルオロポリマーにおいてと同じ、またはほぼ同じ量で炭化水素オレフィンを含有するフルオロポリマー粒子を製造することが可能であるだろう。
【0013】
フルオロポリマー粒子を別々に製造するのに適したフッ素化界面活性剤としては、気体フッ化モノマーの水性乳化重合で一般に使用されるフッ素化界面活性剤が挙げられる。フッ素化界面活性剤の例としては、塩、特にアルキル鎖に炭素原子4〜15個を有するカルボン酸およびスルホン酸を含有する直鎖状もしくは分枝鎖パーフルオロアルキルのアンモニウム塩が挙げられる。具体的な例としては、バイエル社(Bayer AG)から市販されているパーフルオロオクタン酸アンモニウム塩((特許文献10)に記載のAPFO)C817SO3Li、C49SO3LiおよびC49SO3K((特許文献11)に記載されている)が挙げられる。カルボン酸塩を含有するパーフルオロアルキルの更なる例は、C817SO2N(C25)CH2COOK((特許文献12)に記載されている)である。
【0014】
最終的なコポリマーの意図される用途に応じて、フルオロポリマー粒子は非晶質または結晶質である。例えば、エラストマーの製造にコポリマーを使用することを意図する場合、コポリマーは好ましくは非晶質であり、次いで使用されるフルオロポリマー粒子も好ましくは非晶質であるだろう。それにもかかわらず、非晶質ポリマーがたとえ望まれたとしても、特に使用されるその量が低いならば、結晶質または半晶質フルオロポリマー粒子の使用は除外されない。
【0015】
重合反応容器に添加されるフルオロポリマー粒子の量は一般に、重合の最初に、重合系(つまり、水および添加される他のいずれかの化合物、例えば開始剤、モノマーおよび緩衝剤などの補助化合物)の全重量に対して0.5重量%〜10重量%であるだろう。フルオロポリマー粒子の都合のよい量は、重合の最初に、重合系の全重量に対して2.5重量%〜5重量%を超えないだろう。
【0016】
代替方法として、フルオロポリマー粒子を使用する代わりに、またはフルオロポリマー粒子を使用することに加えて、フッ素化液体を使用することができる。「液体」という用語は、その化合物が、重合プロセスで用いられる温度および圧力条件で液体であるはずであることを意味する。通常、フッ素化液体は、気圧で少なくとも50℃、好ましくは少なくとも80℃の沸点を有する。フッ素化液体は、特に高フッ素化炭化水素ならびに液体フッ化モノマーを含む。本発明に関連する「高フッ素化」という用語は、ほとんど水素原子、好ましくはすべての水素原子がフッ素原子で置換されている化合物、ならびにその化合物における水素原子の大部分がフッ素原子で置換されており、残りの水素原子のほとんど、またはすべてが臭素、塩素またはヨウ素で置換されている化合物を示すために使用される。通常、本発明に関連する高フッ素化化合物は、フッ素以外のハロゲンによって置換される、わずか数個、例えば1個または2個の水素原子を有し、および/または残りのわずか1個または2個の水素原子を有する。すべての水素原子がフッ素または他のハロゲンによって置換されるわけではない、つまり化合物が過フッ化されない場合、水素原子は一般に、実質的にそれに連鎖移動が起こらないような、つまり化合物が重合において不活性物質として働く、つまり化合物がラジカル重合に関与しないような、化合物上の位置にあるはずである。その化合物におけるすべての水素がフッ素および/または他のハロゲン原子によって置換されている化合物は、本明細書において「過フッ化」と呼ばれる。
【0017】
フッ素化液体として使用することができる、液体およびフッ化炭化水素化合物は通常、炭素原子3〜25個、好ましくは炭素原子5〜20個を含み、酸素、硫黄または窒素から選択されるヘテロ原子を2個まで含有し得る。高フッ素化炭化水素化合物は、過フッ化炭化水素化合物であることが好ましい。適切な過フッ化炭化水素としては、過フッ化飽和直鎖状、分枝鎖および/または環状脂肪族化合物、例えば過フッ化直鎖状、分枝鎖または環状アルカン;過フッ化芳香族化合物、例えば過フッ化ベンゼン、または過フッ化テトラデカヒドロフェナンテン(perfluorinated tetradecahydro phenanthene);が挙げられる。それは、過フッ化トリアルキルアミンなどの過フッ化アルキルアミンであることもできる。それはさらに、デカリンなどの過フッ化環状脂肪族;好ましくは、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフランなどの、環に酸素または硫黄を含有する複素環式脂肪族化合物であることができる。
【0018】
過フッ化炭化水素の具体的な例としては、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロジメチルデカヒドロナフタレン、パーフルオロフルオレン(perfluorofluoorene)、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)、パーフルオロテトラコサン、パーフルオロケロシン、オクタフルオロナフタレン、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)のオリゴマー、パーフルオロ(トリアルキルアミン)、例えばパーフルオロ(トリプロピルアミン)、パーフルオロ(トリブチルアミン)、またはパーフルオロ(トリペンチルアミン)、およびオクタフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン、および市販のフッ化溶媒、例えばフロリナート(Fluorinert)FC−75、FC−72、FC−84、FC−77、FC−40、FC−43、FC−70、FC 5312またはFZ 348(すべて3M社(3M Company)製である)が挙げられる。さらに、過フッ化炭化水素の混合物を使用して、マイクロ−エマルジョンを調製することができることは当業者には明らかであるだろう。適切な不活性液体および高フッ素化炭化水素化合物は、
37−O−CF(CF3)−CF2−O−CHF−CF3である。
【0019】
フッ素化液体は、単独で、または上記の液体フッ化化合物と組み合わせて、液体フッ化モノマーも含み得る。液体フッ化モノマーの例としては、重合条件下で液体であり、かつ(過)フッ化ビニルエーテル、(過)フッ化アリルエーテルおよび(過)フッ化アルキルビニルモノマーから選択される、モノマーが挙げられる。特定の実施形態に従って、液体フッ化モノマーは、フルオロポリマーの架橋を生じさせるために使用することができる、いわゆる硬化部位を含み得る。かかる硬化部位は、塩素、臭素またはヨウ素などのハロゲンを含むか、あるいはその代わりとして、ニトリル基を含み得る。
【0020】
フッ素化液体は、フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとの共重合を改善するのに適した形態であるべきである。適切な形態は、フッ化化合物をその気体状態で重合反応容器に、いわゆる熱ガスとして導入することによって得ることができる。代替方法として、フッ素化液体の適切な形態は、エアロゾルを形成する適切なノズルを介してフッ素化液体を供給することにより、重合反応容器にエアロゾルとしてフッ素化液体を導入することによって得ることができる。特定の実施形態において、そのノズルは蒸気加熱される。フッ素化液体は通常、製造されるフルオロポリマーの重量に対して、0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1.5重量%の量で使用される。
【0021】
本発明の方法で製造することができるコポリマーは、フッ化オレフィンから誘導される反復単位と、エチレンおよび/またはプロピレンから誘導される反復単位とを含む。使用することができるフッ化オレフィンの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびフッ化ビニリデン(VDF)が挙げられる。好ましくは、コポリマーは、エチレンおよび/またはプロピレンから誘導される単位10〜70モル%、さらに好ましくは15〜50モル%、最も好ましくは20〜45モル%を有するだろう。VDFを使用した場合、それは一般に、50モル%以下、好ましくは40モル%以下の量で使用される。フッ化オレフィンおよび炭化水素オレフィンの他に、コポリマーは、他のフッ化モノマーおよび非フッ化モノマーから誘導される単位も含み得る。使用することができるその他のフッ化モノマーの例としては、フッ化アリルエーテルおよびフッ化ビニルエーテル、特に過フッ化ビニルエーテル(PVE)が挙げられる。
【0022】
過フッ化ビニルエーテルモノマーの例としては、次式:
CF2=CF−O−Rf
(式中、Rfは、1つまたは複数の酸素原子を含有し得る過フッ化脂肪族基を表す)に相当するモノマーが挙げられる。好ましくは、パーフルオロビニルエーテルは、一般式:
CF2=CFO(RfO)n(R’fO)mR“f
(式中、RfおよびR’fは、炭素原子2〜6個の異なる直鎖状または分枝鎖パーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは独立して、0〜10であり、R“fは、炭素原子1〜6個のパーフルオロアルキル基である)に相当する。上記の式に従ったパーフルオロビニルエーテルの例としては、パーフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、パーフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、パーフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロ−n−プロピルビニルエーテル(PPVE−1)および
CF3−(CF22−O−CF(CF3)−CF2−O−CF(CF3)−CF2−O−CF=CF2
が挙げられる。
【0023】
コポリマー中に硬化部位を組み込むことが望まれる場合には、重合は、過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲンまたはニトリル基などの硬化部位を含有するフッ化モノマーの共重合を含み得る。過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲンを鎖に沿って導入するために、フルオロポリマーの基本モノマーの共重合は、適切な硬化部位フッ化モノマーで行われる(例えば、(特許文献13)、(特許文献14)、および(特許文献15)を参照のこと)。かかるコモノマーは例えば、
(a)次式:
Z−Rf−O−CX=CX2
(式中、Xはそれぞれ、同一または異なり、HまたはFを表し、ZはBrまたはIであり、Rfは、任意に塩素および/またはエーテル酸素原子を含有する(パー)フルオロアルキレンC1〜C12である)を有するブロモ−またはヨード−(パー)フルオロアルキル−(パー)フルオロビニルエーテル;例えば、BrCF2−O−CF=CF2、BrCF2CF2−O−CF=CF2、BrCF2CF2CF2−O−CF=CF2、CF3CFBrCF2−O−CF=CF2等;および
(b)次式:
Z’−(Rf’)r−CX=CX2
(式中、Xはそれぞれ独立して、HまたはFを表し、Z’はBrまたはIであり、Rf’は、任意に塩素原子を含有するパーフルオロアルキレンC1〜C12であり、rは0または1である)を有するフルオロオレフィンなど、ブロモ−またはヨード含有フルオロオレフィン;例えば、ブロモトリフルオロエチレン、4−ブロモ−パーフルオロブテン−1等;または1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1などのブロモフルオロオレフィン;
から選択することができる。
【0024】
その代わりとして、またはさらに、フルオロポリマー中の硬化部位成分は、ニトリル含有モノマーから誘導することができる。使用することができるニトリル含有フッ化モノマーの例は、以下の式:
CF2=CF−CF2−O−Rf−CN
CF2=CFO(CF2LCN
CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]g(CF2vOCF(CF3)CN
CF2=CF[OCF2CF(CF3)]kO(CF2uCN
(式中、Lは2〜12の整数を表し;gは0〜4の整数を表し;kは1または2を表し;vは0〜6の整数を表し;uは1〜6の整数を表し、Rfは、パーフルオロアルキレンまたは二価パーフルオロエーテル基である)のうちの1つに相当する。ニトリル含有液体フッ化モノマーの具体的な例としては、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、CF2=CFO(CF25CN、およびCF2=CFO(CF23OCF(CF3)CNが挙げられる。
【0025】
例えば(特許文献16)、(特許文献17)、および(特許文献18)に記載のように、臭素/ヨウ素末端基を導入することができる。
【0026】
本発明の乳化剤非含有水性乳化共重合で容易に製造することができるフルオロポリマーの具体的な例としては、TFEとPとのコポリマー、TFEとEとのコポリマー、TFEとHFPとPとのコポリマー、TFEとHFPとEとのコポリマー、CTFEとTFEとPとのコポリマー、TFEとVDFとPとのコポリマー、TFEとPVEとPとのコポリマー、TFEとEとPとPVEとのコポリマーが挙げられる。本発明の方法で製造されるフルオロポリマーは一般に、非晶質ポリマーであるか、または結晶性を有し、かつ200℃以下、好ましくは100℃以下の融点を示すポリマーである。
【0027】
フルオロポリマー粒子またはフッ素化液体を使用して、(実質的に)乳化剤なしで重合が行われるという事実は別にして、そうでなければ重合は、通常の手法において行われる。本発明の水性乳化重合プロセスで使用される開始剤系としては、例えば酸化剤と還元剤との組み合わせなど、酸化還元反応により遊離基を生成する開始剤系が挙げられる。適切な酸化剤としては、例えば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)および過硫酸ナトリウム、好ましくはAPSまたはKPSなどの過硫酸塩が挙げられる。適切な還元剤としては、亜硫酸塩、例えば亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸塩、例えば重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸塩およびチオ硫酸塩、好ましくはNa225、銅、鉄、および銀などの金属イオンが挙げられる。使用することができる他の酸化還元ベースの開始系としては、過マンガン酸カリウム、Mn3+−塩(三酢酸マンガン、シュウ酸マンガン等)に由来する系などの、マンガン系が挙げられる。好ましい金属塩はKMnO4である。
【0028】
またさらに、過硫酸塩などの熱で分解する開始剤で重合を開始することができる。従って、過硫酸塩は、還元剤が存在しなくても、それだけで使用することもできる。さらに、ヒドロペルオキシドなどの過酸化物、過酸エステル等を開始剤として使用することができ;好ましい系は、例えばロンガリット(HO−CH2−SO2Na)と共に/なしで、t−ブチルヒドロペルオキシドを含む。
【0029】
重合はさらに、連鎖移動剤の使用を含み得る。適切な連鎖移動剤としては、ジアルキルエーテル、ヒドロフルオロエーテル、アルカン、特に炭素原子1〜5個を有するアルカン、およびヒドロフルオロカーボン化合物からなる群から選択される連鎖移動剤が挙げられる。ジアルキルエーテルの例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテルが挙げられる。アルカンの例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタンおよびn−ペンタンが挙げられる。適切なヒドロフルオロエーテルとしては、(特許文献19)に開示されているエーテルが挙げられる。これらのヒドロフルオロエーテルは、式R1−O−R2(式中、R1は、少なくとも1つの水素原子が酸素の隣の炭素原子に結合しているという条件で、炭素原子1〜6個の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基であり、R2は、式Cabc(式中、b+cは2a+1であるという条件で、aは2〜6であり、bは0〜2a−1であり、cは2〜2a+1である)の直鎖もしくは分枝鎖フルオロカーボン基またはヒドロフルオロカーボン基である)に相当する。ヒドロフルオロエーテルの例としては、どちらも3M社(3M Company)から市販されている、特にメトキシノナフルオロブタンおよびエトキシノナフルオロブタンが挙げられる。適切なヒドロフルオロエーテルは、式Rf−O−CH3(式中、Rfは、C1〜C10の直鎖状もしくは分枝鎖部分フッ化または過フッ化残部である)によって表すこともできる。適切なヒドロフルオロカーボンとしては、圧力および温度の周囲条件下で液体または気体のいずれかである、水素および炭素からなる化合物が挙げられる。
【0030】
Br/I含有末端基を導入するためのBr/I含有連鎖移動剤を使用することもできる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、(特許文献20)または(特許文献21)参照)。
【0031】
使用される連鎖移動剤の量は一般に、所望の分子量が得られるように選択され、通常0.1〜100ppth(千分率)である。この千分率は、重合反応に供給されるモノマーの全重量に対するものである。分子量分布に影響を及ぼすように、つまり広い分子量分布が得られるように、または二峰性分布が得られるように、連鎖移動剤濃度、例えばジアルキルエーテルを重合全体にわたって変化させることも可能である。
【0032】
重合が開始した後に、フッ化オレフィン、炭化水素オレフィンおよび任意の更なるモノマーをバッチ式で、または連続式または半連続式で装入してもよい。半連続式とは、重合過程中に容器にモノマーの複数のバッチを装入することを意味する。モノマーが反応容器に添加される独立的速度は、時間の経過につれての特定のモノマーの消費速度に依存するだろう。好ましくは、モノマーの添加速度は、モノマーの消費速度、つまりポリマーへのモノマーの転化速度に等しいだろう。
【0033】
反応容器に水が装入されるが、その量は重要ではない。一般に、モノマーの最初の装入後、開始剤系を水相に添加して、重合を開始する。フルオロポリマー粒子がそのままで製造される場合、モノマーの最初の装入は一般に、フッ化オレフィンおよび/または任意のフッ化コモノマーからなるか、または上述のような所望の組成を有するフルオロポリマーを製造するのに必要な供給比に比べて、炭化水素オレフィンとフッ化オレフィンとの比が低減される。予め製造されたフルオロポリマー粒子を使用する場合、これらは一般に、重合開始前に重合反応容器に導入されるだろう。フルオロポリマー粒子を製造した後、または重合系にそれを添加した後、炭化水素オレフィンとフッ化オレフィンとの供給比を所望の比に設定し、所望のフルオロポリマーを製造することができる。使用する場合、適切な形態のフッ素化液体は一般に、重合反応を開始する直前または重合反応を開始すると同時に重合に供給されるだろう。通常、重合速度の実質的な増加が認められるまで、フッ素化液体を重合系に供給する。しかしながら、フッ素化液体の供給は、重合の初期段階後でさえ続けられる。添加される開始剤系の量(例えば、酸化剤と還元剤または過硫酸塩とをそれ自体で合わせた量)は通常、調製されるポリマー分散体の総量に対して、0.01〜0.2重量%、好ましくは0.02〜0.12重量%である。重合反応中、更なる量の開始剤を添加してもよい。重合中のこのような更なる添加は、連続供給として、または独立した別々の装入で行うことができる。例えば、鉄、銅および銀の水溶性塩などの促進剤を添加することが好ましい。
【0034】
重合反応の開始中、密閉された反応容器およびその内容物は一般に、反応温度に予め加熱される。好ましい重合温度は、10〜100℃、好ましくは30℃〜80℃であり、圧力は通常、2〜30バール、特に5〜20バールである。分子量分布に影響を及ぼすように、つまり広い分子量分布が得られるように、または二峰性分布が得られるように、反応温度を変化させることができる。
【0035】
重合を開始する初期温度は、速い初期速度を確保するために、重合の残りの間よりも高く、例えば10℃〜50℃高く設定することができ;重合が高い温度で行われるこの初期期間の時間は、重合反応の開始から5分〜60分であり得る。
【0036】
重合の最後に得ることができるポリマー固体の量は通常、10%〜45%であり、得られるフルオロポリマーの数平均直径として動的光散乱により測定される平均粒径は通常、20nm〜700nm、好ましくは40nm〜600nm、最も好ましくは80nm〜500nmである。
【0037】
特にフルオロポリマーがほとんど融点を示さないような、フルオロポリマーが非晶質または実質的に非晶質である場合に、本発明の方法で製造されるフルオロポリマーを使用して、フルオロエラストマーを製造することができる。フルオロエラストマーは一般に、フルオロポリマー鎖間の架橋を生じさせる硬化組成物をフルオロポリマーに添加することによって製造される。硬化組成物の性質に応じて、フルオロポリマーが上述の硬化部位を含むことが必要である場合がある。例えば、過酸化物硬化組成物を使用した場合、フルオロポリマーは、過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲンを含む必要があるだろう。ニトリル基が関与する硬化反応は通常、フルオロポリマーにおいて硬化部位成分として後者の存在を必要とするだろう。一般に、フルオロポリマーにおける硬化部位成分は、少量で使用され、通常硬化部位を0.1〜5モル%、好ましくは0.2〜3モル%、最も好ましくは0.5〜2モル%有するフルオロエラストマーが得られるような量で使用されるだろう。硬化部位成分は、特定の硬化部位を有する適切なコモノマーを介して導入されるか、または代替方法としては、硬化部位を導入するために適切に官能基化された連鎖移動剤を使用して、硬化部位成分をフルオロポリマー中に導入することができる。
【0038】
硬化性フルオロエラストマー組成物は一般に、硬化性フルオロポリマーと、硬化性フルオロエラストマーに含有される硬化部位の種類に応じて、過酸化物などの1種または複数種の硬化剤および/または1種または複数種の触媒を含む硬化組成物と、含む。適切な過酸化物硬化剤は、硬化温度で遊離基を発生する硬化剤である。50℃を超える温度で分解するジアルキル過酸化物またはビス(ジアルキル過酸化物)が特に好ましい。多くの場合には、ペルオキシ酸素(peroxy oxygen)に結合する第三級炭素原子を有する過酸化ジ−t−ブチルを使用することが好ましい。この種類の最も有用な過酸化物の中では、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが挙げられる。他の過酸化物は、ジクミルペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸t−ブチル、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン)、および炭酸ジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルパーオキシ)−ブチル]などの化合物から選択することができる。一般に、パーフルオロエラストマー100部当たり過酸化物約1〜3部が使用される。
【0039】
硬化剤系の一成分として、組成物と通常ブレンドされる他の材料は、過酸化物と協力して有用な硬化を提供することができる、多価不飽和化合物で構成される助剤(coagent)である。これらの助剤は、フルオロエラストマー100部当たり0.1〜10部に等しい量、好ましくはフルオロエラストマー100部当たり2〜5部の量で添加することができる。有用な助剤の例としては、トリアリルシアヌレート;トリアリルイソシアヌレート;トリ(メチルアリル)イソシアヌレート;トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン;亜リン酸トリアリル;N,N−ジアリルアクリルアミド;ヘキサアリルホスホルアミド;N,N,N’,N’−テトラアルキルテトラフタルアミド;N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド;トリビニルイソシアヌレート;2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン;およびトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。トリアリルイソシアヌレートが特に有用である。他の有用な助剤としては、(特許文献22)、(特許文献23)および(特許文献24)に開示されているビス−オレフィンが挙げられる。
【0040】
フルオロポリマーがニトリル含有硬化部位成分を含む場合、1種または複数種のアンモニア発生化合物を含む触媒を使用して、硬化を生じさせることができる。「アンモニア発生化合物」は、周囲条件で固体または液体であるが、硬化条件下でアンモニアを発生する化合物を含む。かかる化合物としては、例えば、(特許文献25)に開示されているアミノフェノール、アンモニア塩((特許文献26))、アミドキシン((特許文献27))、イミデート、ヘキサメチレンテトラアミン(ウロトロピン)、ジシアンジアミド、および次式:
w+(NH3vw-
(式中、Aw+は、Cu2+、Co2+、Co3+、Cu+、およびNi2+などの金属化チオンであり;wは、金属カチオンの原子価(valence)に等しく;Yw-は、対イオン、通常ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン等であり;vは、1〜約7の整数である)の金属含有化合物が挙げられる。更なるアンモニア発生化合物は(特許文献28)に開示されている。
【0041】
フルオロポリマー、特にVDF含有フルオロエラストマーはさらに、ポリヒドロキシ硬化系を用いて硬化することができる。かかる例では、フルオロポリマーは硬化部位成分を含む必要はないだろう。ポリヒドロキシ硬化系は一般に、1種または複数種のポリヒドロキシ化合物および1種または複数種の有機オニウム促進剤を含む。本発明で有用な有機オニウム化合物は通常、つまり有機または無機部位に結合する、少なくとも1つのヘテロ原子、N、P、S、Oなどの非炭素原子を含有する。ある有用な種類の第4級有機オニウム化合物は広範に、比較的正のイオンおよび比較的負のイオンを含み、リン、ヒ素、アンチモンまたは窒素は一般に、正イオンの中心原子を含み、かつ負イオンは有機または無機アニオン(例えば、ハロゲン化物、硫酸、酢酸、リン酸、ホスホン酸、水酸化物、アルコキシド、フェノキシド、ビスフェノキシドイオン等)である。
【0042】
本発明において有用な有機オニウム化合物の多くは、当技術分野で記述されており、公知である。例えば、その説明のすべてが参照により本明細書に組み込まれる、(特許文献29)(ワーム(Worm))、(特許文献30)(グロウタート(Grootaert)ら)、(特許文献31)(Guenthnerら)、および(特許文献32)(コルブ(Kolb)ら)、(特許文献33)を参照のこと。他の種類の有用な有機オニウム化合物としては、1つまたは複数のフッ化アルキル側基を有する化合物が挙げられる。一般に、最も有用なフッ化オニウム化合物は、(特許文献34)に開示されている。
【0043】
ポリヒドロキシ化合物は、その遊離形もしくは非塩の形で、または選択される有機オニウム促進剤のアニオン性部分として使用することができる。架橋剤は、(特許文献35)(パティソン(Pattison))、および(特許文献29)(ワーム(Worm))に開示されているポリヒドロキシ化合物など、フルオロエラストマーに架橋剤または共硬化剤として機能する、当技術分野で公知のポリヒドロキシのいずれかであり得る。最も有用なポリヒドロキシ化合物の一つとしては、ビスフェノールAFとしてより一般に知られている、4,4’−ヘキサフルオロイプロピルイデニルビスフェノールなどの芳香族ポリフェノールが挙げられる。化合物4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールSとしても知られる)および4,4’−イソプロピルイデニルビスフェノール(ビスフェノールAとしても知られる)もまた、実際に広く使用されている。
【0044】
硬化前に、ポリヒドロキシ硬化系を含むフルオロエラストマー組成物中に、酸受容体が混合される。酸受容体は無機であるか、または無機と有機とのブレンドであり得る。無機受容体の例としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性亜リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。有機受容体としては、エポキシ、ステアリン酸ナトリウム、およびシュウ酸マグネシウムが挙げられる。好ましい酸受容体は、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムである。酸受容体は、単独で、または組み合わせて使用することができ、好ましくは、フルオロエラストマー100重量部当たり約2〜25部の範囲の量で使用される。
【0045】
硬化性フルオロエラストマー組成物は、カーボンブラック、安定剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤などの更なる添加剤を含むことが可能であり、フルオロエラストマーの配合に通常使用される加工助剤は、それらが意図する使用条件に対して適切な安定性を有するという条件で、組成物中に組み込むことができる。
【0046】
カーボンブラック充填剤は通常、組成物のモジュラス、引張り強さ、伸び率、硬度、摩耗抵抗、伝導率、および加工性のバランスをとる手段としてもエラストマーで用いられる。適切な例としては、MTブラック(ミディアムサーマルブラック)指定番号N−991、N−990、N−908、およびN−907、ならびに大きな粒径のファーネスブラックが挙げられる。使用する場合、大きな粒径のブラック1〜70phrで一般に十分である。
【0047】
フルオロポリマー充填剤もまた、硬化性組成物中に存在してもよい。一般に、フルオロエラストマー100部当たりフルオロポリマー充填剤1〜50部が使用される。フルオロポリマー充填剤は細かく分割することができ、フルオロエラストマー組成物の製造および硬化で用いられる最高温度で固体として容易に分散することができる。固体とは、部分的に結晶質である場合に、充填剤物質が、フルオロエラストマーの加工温度を超える結晶質融解温度を有するであろうことを意味する。
【0048】
硬化性組成物は、フルオロポリマー、硬化剤および/または触媒、選択された添加剤、あるとすれば他の補助剤を、従来のゴム加工装置で混合することによって製造することができる。所望の量の配合成分および他の従来の補助剤または成分を未加硫のフルオロカーボンゴムストックに添加し、密閉式混合機(例えば、バンバリーミキサー)、ロールミルなどの一般的なゴム混合装置、または他のいずれかの簡便な混合装置のいずれかを用いて、それと密接に混合または配合することができる。最善の結果を得るために、混合プロセス中の混合温度は通常、約120℃を超える温度に上がらないほうがよい。混合中、有効な硬化のために、ゴム全体にわたって成分および補助剤を均一に分散させることが好ましい。次いで、例えば押出し成形(例えば、ホースまたはホースライニングの形状に)または成形(例えば、O−リングシールの形状に)することによって、その混合物を加工および造形する。次いで、造形品を加熱して、ゴム組成物を硬化し、硬化エラストマー物品を形成することができる。
【0049】
配合された混合物の加工(つまり、プレス加硫)は通常、約95℃〜約230℃、好ましくは約150℃〜約205℃で1分〜15時間、通常5分〜30分間の間行われる。約700kPa〜約20,600kPaの圧力が通常、金型中の配合混合物にかけられる。その金型は最初に、剥離剤でコーティングされ、プレベークされる。次いで、成形加硫物は通常、一般に約150℃〜約300℃、通常約232℃の温度で、約2時間〜50時間以上の間、物品の断面厚に応じて後硬化(例えばオーブン硬化)される。厚いセクションの場合には、後硬化中の温度は通常、その範囲の下限から目的の最高温度に徐々に上げられる。用いられる最高温度は好ましくは、約300℃であり、この値で約4時間以上維持する。
【0050】
硬化性フルオロエラストマー組成物は、ガスケット、管材料、および封止材などの物品の製造において有用である。圧力下で種々の添加剤と硬化性組成物との配合物を成形し、成形品を硬化し、次いで後硬化サイクルにそれをかけることによって、かかる物品が製造される。無機酸受容体なしで配合した硬化性組成物は、半導体デバイスを製造するための封止材およびガスケットなどの用途に、および高温の自動車用途に用いられる封止材において特によく適している。
【0051】
本発明はさらに、本発明を制限することを意図することなく、以下の実施例を参照してさらに説明されるだろう。すべての部およびパーセンテージは別段の指定がない限り重量による。
【実施例】
【0052】
試験法:
DIN 53735、ISO 12086またはASTM D 1238に従って、支持重量5.0kg、二者択一的に温度265℃または297℃で、メルトフローインデックス(MFI)を測定した。本明細書に記載のMFIは、直径2.1mmおよび長さ8.0mmの標準化押出ダイで得られた。
【0053】
ムーニー粘度はASTM D 1646に従って決定した。別段の指定がない限り、ムーニー粘度は、硬化剤を組み込んだフルオロエラストマーゴムのみを含有する組成物または最終的なコンパウンドから、1分間の予熱および121℃での10分間のテストを用いて決定された(121℃でML 1+10)。
【0054】
フッ素樹脂の融解ピークは、ASTM 4591に従って、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)DSC7.0を用いて、窒素フロー下にて加熱速度10℃/分で決定された。示される融点は、最大融解ピークに関係する。
【0055】
希釈ポリマー溶液の溶液粘度は、DIN 53726に従って、35℃でメチルエチルケトン(MEK)中の0.2%ポリマー溶液で決定した。ISO/DIS 3105およびASTM D 2515を満たす、Cannon−Fenske−Routine粘度計(Fa.ショット(Schott)、マインツ/ドイツ(Mainz/Germany))を測定に使用した。
【0056】
ラテックス粒径の測定は、Malvern Zetazizer 1000 HASを用いて動的光散乱によって、ISO/DIS 13321に従って行った。測定前に、重合から得られたポリマーラテックスを0.001mol/L KCl溶液で希釈した。測定温度はすべての場合に20℃であった。
【0057】
実施例1(比較例):
インペラ撹拌機システムを備えた総容積47.5Lの重合反応容器に、脱イオン水29.0L、K2HPO4107g、30%ペルフルオロオクタン酸アンモニウム水溶液(3M社(3M Company)から市販のFX−1006)487gを装入した。71℃および攪拌機速度240rpmにて、酸素非含有反応容器をプロピレン15gで0.9バール絶対圧に加圧し、ビニリデンジフルオライド(VDF)666gで11.9バール絶対圧に加圧し、テトラフルオロエチレン(TFE)421gで16.0バール絶対反応圧に加圧した。水に溶解したAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)129gを供給することによって、重合を開始した。反応が開始したら、0.228のプロピレン(kg)/TFE(kg)供給比および0.526のVDF(kg)/TFE(kg)供給比で、TFE、プロピレンおよびVDFを気相に供給することによって、16.0バール絶対圧の反応圧力を維持した。反応温度71℃もまた維持した。430分後にTFE4463gの供給を完了して、モノマーバルブを閉じた。得られたポリマーラテックスは凝塊がなく、固体含有率20.3%を有し、ラテックス粒径は動的光散乱により63nmであった。
【0058】
単離されたポリマーは、識別可能な融解転移は示さず、ガラス転移温度−8.6℃(中点値)を示す。このポリマーは溶液粘度72ml/gを有した。
【0059】
実施例2:(比較)
ペルフルオロオクタン酸アンモニウム溶液を装入しないことだけを除いては、実施例1の重合を繰り返した。プロピレン、VDFおよびTFE(実施例1と同じ量)で反応容器を加圧した後、水に溶解したAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)129gを供給することによって、重合を開始した。識別可能な重合開始をモニターすることはできず、16.0バール絶対圧の圧力を維持するのに、モノマーの供給は必要なかった。75分後、まだ識別可能な重合は起こらず、3サイクルにおいて反応容器をガス抜きし、N2でフラッシュ(flush)した。得られた反応混合物は完全に透明であり、非常に高い発泡潜在能力を示し、固体含有率0.2%を有した。乾燥した固体は、茶色のワックスように見え、形成された低分子量オリゴマーを示す不快な臭いがあった。
【0060】
実施例3:
実施例1で使用された重合反応容器に脱イオン水29.0Lを装入し、71℃まで加熱し、攪拌システムを240rpmに設定した。反応容器をビニリデンジフルオライド(VDF)665gで11.3バール絶対圧に加圧し、テトラフルオロエチレン(TFE)451gで16.0バール絶対反応圧力に加圧し、今回はプロピレンを予め装入しなかった。水に溶解したAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)40gを供給することによって、重合を開始した。反応が開始すると、0.526のVDF(kg)/TFE(kg)供給比で、TFEおよびVDFを気相に供給することによって、16.0バール絶対圧の反応圧力を維持した。反応温度71℃もまた維持した。8分後にTFE80gの供給を完了して、水に溶解したAPS89gをさらに反応容器に装入し、0.228のプロピレン(kg)/TFE(kg)供給比で、プロピレンも供給した。442分後にTFE4463gの供給を完了して、モノマーバルブを閉じた。その結果得られたポリマー分散体もまた凝塊がなく、固体含有率20.4%を有し、ラテックス粒径は動的光散乱により214nmであった。
【0061】
単離されたポリマーは、識別可能な融解転移は示さず、ガラス転移温度−8.2℃(中点値)を示す。このポリマーは溶液粘度68ml/gを有した。
【0062】
実施例4:
実施例1で使用した反応容器と同じ重合反応容器に脱イオン水29.0Lを装入し、50℃まで加熱し、攪拌システムを240rpmに設定した。二亜硫酸ナトリウム(Na225)1.7g、硫酸銅(CuSO4)55mg、および25%アンモニア水溶液1gをさらに添加した。次いで、反応容器をPPVE−2(蒸気加熱エアロゾルノズルによりホットスプレーとして供給される)60gで0.6バール絶対圧に加圧し、PPVE−1 647gで2.1バール絶対圧に加圧し、ビニリデンジフルオライド(VDF)460gで10.3バール絶対圧に加圧し、テトラフルオロエチレン(TFE)498gで15.5バール絶対反応圧力に加圧した。水に溶解したAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)40gを供給することによって、重合を開始した。反応が開始すると、10分以内に反応温度を50℃から60℃に上げる。さらに1.386のPPVE−1(kg)/TFE(kg)供給比および1.809のVDF(kg)/TFE(kg)供給比で、TFE、PPVE−1およびVDFを気相中に供給することによって、15.5バール絶対圧の反応圧力を維持する。重合中に、供給速度30g/時で加熱エアロゾルとしてさらにPPVE−2が供給される。35分後にTFE675gの供給が完了した後、モノマーバルブを閉じ、モノマー気相を反応させて、10分以内に容器圧力7.6に下げる。3サイクルにおいて反応容器をガス抜きし、N2でフラッシュする。
【0063】
その結果得られた分散体は固体含有率9%、動的光散乱による平均粒径118nmを有した。形成されたポリマー識別可能な融解転移は示さず、ガラス転移温度−20.6℃を示す。このポリマー分散体は、以下の重合に用いる種材料(seed material)として使用した。
【0064】
この種分散体(seed dispersion)3.2kgを再び、同じ重合反応容器に入れ、それにさらに脱イオン水26.0Lを装入し、71℃まで加熱した。次いで、反応容器をプロピレン15gで0.9バール絶対圧に加圧し、ビニリデンジフルオライド(VDF)668gで11.9バール絶対圧に加圧し、テトラフルオロエチレン(TFE)426gで16.0バール絶対反応圧力に加圧した。水に溶解したAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)129gによって重合を開始し、反応が開始すると、0.228のプロピレン(kg)/TFE(kg)供給比および0.526のVDF(kg)/TFE(kg)供給比で気相中にTFE、プロピレンおよびVDFを供給することによって、16.0バール絶対圧の反応圧力を維持した。反応温度71℃もまた維持した。421分後にTFE4463gの供給が完了して、モノマーバルブを閉じた。最後に、3サイクルにおいて反応容器をガス抜きし、N2でフラッシュした。得られたポリマー分散体は、凝塊がなく、固体含有率21.9%を有し、ラテックス粒径は動的光散乱により335nmであった。このポリマーは、融解転移は示さず、ガラス転移温度−8.9℃(中点値)を示す。このポリマーは、溶液粘度74ml/gを有した。
【0065】
実施例5:
実施例1で使用された重合反応容器に、脱イオン水29.0Lを装入し、60℃まで加熱した。攪拌システムを240rpmに設定した。反応容器をプロピレン5gで0.4バール絶対圧に加圧し、ビニリデンジフルオライド(VDF)671gで11.9バール絶対圧に加圧し、テトラフルオロエチレン(TFE)429gで16.0バール絶対反応圧力に加圧した。さらに、Fluoroinert(商標)FC−70(3M社(3M Company)から市販の)65gを蒸気加熱エアロゾルノズルにより反応容器中に導入されるホットスプレーとして反応容器に添加した。水に溶解したAPS(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)40gを供給することによって、重合を開始した。反応が開始すると、0.076のプロピレン(kg)/TFE(kg)供給比および0.526のVDF(kg)/TFE(kg)供給比で気相中にTFE、プロピレンおよびVDFを供給することによって、16.0バール絶対圧の反応圧力を維持した。9分後に、プロピレン(kg)/TFE(kg)の供給比を0.228に増加し、反応温度60℃を10分以内に71℃に上げた。その後、反応温度71℃を維持した。重合中に、供給速度12g/時で加熱エアロゾルとしてPPVE−2がさらに供給される。2時間および4時間の重合時間の後、さらにAPS40gを添加した。365分後にTFE4463gの供給が完了して、モノマーバルブを閉じた。得られたポリマー分散体も凝塊がなく、固体含有率20.1%を有し、ラテックス粒径は動的光散乱により287nmであった。このポリマーは、ガラス転移温度−8.5℃(中点値)および溶液粘度81ml/gを示す。
【0066】
本発明の多くの実施形態が記述されている。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正を加えることが可能であることは理解されよう。本明細書に記載のすべての出版物および特許は、あたかも個々の出版物または特許が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化オレフィンと、エチレン、プロピレンおよびその混合物から選択される炭化水素オレフィンと、のコポリマーを製造する方法であって、その方法が、前記フッ化オレフィンと前記炭化水素オレフィンとの実質的に乳化剤非含有の水性乳化重合を含み、前記方法が、フルオロポリマー粒子の存在下にて、および/または前記フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとの共重合を改善するのに適した形態のフッ素化液体の存在下にて、前記フッ化オレフィンと炭化水素オレフィンとを共重合することを含む、方法。
【請求項2】
前記フルオロポリマー粒子が、前記炭化水素オレフィンを実質的に共重合することなく、前記フッ化オレフィンの一部を重合することによってそのままで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
そのままで形成された前記フルオロポリマー粒子が、製造されたフルオロポリマーの全重量に対して20重量%以下の量である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素化液体が、不活性フッ素化液体または液体フッ化モノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フルオロポリマー粒子が、150nm以下の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
フッ素化液体がノズルを通過し、それによってエアロゾルが形成されることによって、適切な形態の前記フッ素化液体が得られるか、または前記適切な形態が、重合反応容器中にフッ素化液体を気体として導入し、その中でそれを凝縮させることによって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フルオロポリマー粒子が、重合の初期段階で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フッ化オレフィンが、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コポリマーが、前記フッ化オレフィンと、前記炭化水素オレフィンと、1種または複数種のフッ化もしくは非フッ化コモノマーとのコポリマーであり、かつ前記方法が、前記フッ化オレフィンと、前記炭化水素オレフィンと、前記1種または複数種のフッ化もしくは非フッ化コモノマーとの共重合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ化コモノマーがフッ化ビニルエーテルを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コポリマーが200℃未満の融点を有するか、または前記コポリマーが実質的に非晶質である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記重合が、熱により開始されるか、または酸化還元により開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記重合が、過硫酸塩、過酸化物または過マンガン酸塩を含む開始剤組成物で開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コポリマーが、前記コポリマーにおける反復単位の総量に対して10〜70モル%の量で前記炭化水素オレフィンに由来する反復単位を含有する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2006−504844(P2006−504844A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550055(P2004−550055)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033233
【国際公開番号】WO2004/041878
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】