説明

フッ化スルホニルの製造法

【課題】収率が良く、操作が簡便なフッ化スルホニルの製造法の提供。
【解決手段】下記式で表されるチオスルホナートを、水−有機溶媒混合溶媒中で求電子的フッ素化剤と反応させることにより、フッ化スルホニルを極めて高い収率でかつ簡便な操作で合成する。


(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基)

【発明の詳細な説明】
【発明の内容】
次の一般式

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基)で表される、求電子的フッ素化剤とチオスルホナートの反応を利用したフッ化スルホニルの製造法に関する。
【発明の詳細な説明】

【背景技術】
フッ化スルホニルはプロテアーゼ阻害剤や、求電子的スルホン酸誘導体合成試薬として重要である。フッ化スルホニルの製造法としては、塩化スルホニルに対してフッ化物イオンを求核置換させる方法(Bioorg.Med.Chem.Lett.2003,13,3301)や、スルホン酸ナトリウム塩に対してdiethylaminosulfur trifluorideを反応させる方法(Tetrahedron Lett.2009,50,3391)が近年報告されているが、いずれも厳密な無水反応が必要なため、操作が煩雑であり、収率もあまり良くなかった。
【発明が解決しようとする課題】
収率が良く、操作が簡便なフッ化スルホニルの製造法を開発する。
【課題を解決するための手段】
次の一般式

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基)で表される、求電子的フッ素化剤とチオスルホナートの反応を利用したフッ化スルホニルの製造法に関する。
次に本発明方法について説明する。
一般式

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基)で表される、求電子的フッ素化剤によるジスルフィド酸化反応を利用したフッ化スルホニルの製造法は水−有機溶媒混合溶媒中で行う。有機溶媒としては、メタノールやエタノールのようなアルコール系溶媒、アセトニトリルやプロピオンニトリルなどのニトリル系溶媒、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサンやペンタンのような脂肪族炭化水素系溶媒を用いることができる。好適としてはアセトニトリル−水混合溶媒が用いられる。水−有機溶媒の割合は体積比1:1〜1:20で行うが、好適には体積比1:10で行う。使用する求電子的フッ素化剤の使用量は、通常ジスルフィドに対して4.1〜4.6当量用いる。好適としては4.5当量用いる。
求電子的フッ素化剤としては、SelectfluorTM、AccuFluorTM NFPy、AccuFluorTM NFSi、AccuFluorTM NFTh、N−フルオロピリジニウム塩類、N−フルオロスルホンイミド類などを用いることができるが、好適としてはSelectfluorTMが用いられる。
反応は0℃から100℃で円滑に進行する。
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。

S−p−Tolyl toluene−4−thiosulfonate(246.3mg,1.0mmol)をCHCN(10.0ml)に溶かし、水(1.0ml)を加えた。その後、Selectfluor(2306.2mg,6.5mmol)を加え、1時間加熱還流させた。水(10ml)を加え、酢酸エチル(20ml×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で溶媒を溜去させ、p−tolylsulfonylfluoride(162.6mg,97%)を無色結晶として得た。

H NMR(CDCl)δ:2.49(3H,s),7.42(2H,d,J=8.2Hz),7.89(2H,d,J=8.2Hz).
13C NMR(CDCl)δ:21.75,128.37,129.95(d,J=24.0Hz),130.23,147.11.
19F NMR(CDCl)δ:−200.113(1F,s).
MS(m/z):174(M

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式

(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基)で表される、求電子的フッ素化剤とチオスルホナートの反応を利用したフッ化スルホニルの製造法。

【公開番号】特開2012−17313(P2012−17313A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168611(P2010−168611)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(510205238)有限会社アクサリス (1)
【Fターム(参考)】