説明

フッ化ビニリデン系共重合体、および該共重合体の用途

【課題】金属等の基材との接着性に優れるフッ化ビニリデン系共重合体を提供し、その共重合体を含有する電池電極用バインダー、非水電解質二次電池用合剤、該合剤を用いて得られる非水電解質二次電池用電極、該電極を有する非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】一般式a、b、およびcで表わされる構成単位を有する共重合体。一般式b、cにおいてRN,Sは窒素およびまたは硫黄含有する有機基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化ビニリデン系共重合体、および該共重合体の用途に関する。詳しくは、フッ化ビニリデン系共重合体、電極電池用バインダー、非水電解質二次電池用電極合剤、非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ化ビニリデン(以下、VDFとも記す。)の重合体であるポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFとも記す。)は、耐薬品性、耐候性、耐汚染性等に優れ、溶融成型して各種フィルムや成形品を製造するための材料として利用されている。また、PVDFは、塗料やバインダー樹脂としても利用されているが、PVDFは、金属等の基材との接着強度が小さいため、接着強度の改良が望まれていた。
【0003】
従来から、PVDFの接着性を改良するための様々な方法が提案されている。従来から提案されている方法の多くは、PVDFにカルボキシル基を導入することにより、接着性の改良を図るものである。
【0004】
カルボキシル基が導入されたPVDFとしては、VDFと無水マレイン酸とを共重合し、酸無水物を加水分解することにより得られるカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(例えば、特許文献1参照)、VDFとマレイン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステルとを共重合することにより得られるカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(例えば、特許文献2参照)が報告されている。
【0005】
しかしながら、これらの重合体であっても、金属等の基材との接着性は未だ充分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−604号公報
【特許文献2】特開平6−172452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題を鑑みてされたものであり、従来から知られているカルボキシル基が導入されたPVDFよりも、金属等の基材との接着性に優れる新規フッ化ビニリデン系共重合体を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、該フッ化ビニリデン系共重合体を含有する、電池電極用バインダーおよび非水電解質二次電池用合剤、該合剤を用いて得られる非水電解質二次電池用電極、並びに該電極を有する非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する有機基が導入されたPVDFは、金属等の基材との接着性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、下記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、下記一般式bで表わされる構成単位を0〜19.99mol%、および下記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜20mol%(ただし、一般式a、bおよびcで表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有する。
【0011】
【化1】

【0012】
(前記一般式bにおいて、RCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基であり、
前記一般式cにおいて、RN,Sは窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基であり、R4、R5、R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基である。)
前記一般式cにおいて、RN,Sがアミン、チオエーテル、チオカルボニル、および複素環から選択される少なくとも一種の基を含有する有機基であり、前記複素環が、窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する複素環であることが好ましい。
【0013】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、下記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、および下記一般式b’で表わされる構成単位を0.05〜20mol%(ただし、一般式aおよびb’で表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有するカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物との結合基形成反応により得られることが好ましい。
【0014】
【化2】

【0015】
(前記一般式b’において、RCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、
前記一般式b’において、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基である。)
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、インヘレント粘度が0.5〜5.0dl/gであることが好ましい。
【0016】
本発明の電池電極用バインダーは、前記フッ化ビニリデン系共重合体および非水溶媒を含有する。
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、前記フッ化ビニリデン系共重合体、電極活物質および非水溶媒を含有し、本発明の非水電解質二次電池用負極合剤は、前記記載のフッ化ビニリデン系共重合体、負極活物質および非水溶媒を含有する。
【0017】
本発明の非水電解質二次電池用電極は、前記記載の非水電解質二次電池用電極合剤を、集電体に塗布・乾燥することにより得られ、本発明の非水電解質二次電池用負極は、前記記載の非水電解質二次電池用負極合剤を、集電体に塗布・乾燥することにより得られる。
【0018】
本発明の非水電解質二次電池は、前記非水電解質二次電池用電極を有し、非水電解質二次電池用負極を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、従来から知られているカルボキシル基が導入されたPVDFよりも、金属等の基材との接着性に優れる。
このため、本発明の電池電極用バインダーおよび非水電解質二次電池用電極合剤は、非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池を生産性よく製造することが可能であり、かつ非水電解質二次電池用電極は合剤層と集電体との剥離強度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1で得られたフッ化ビニリデン系共重合体(1)の1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例2で得られたフッ化ビニリデン系共重合体(2)の1H NMRスペクトルである。
【図3】実施例3で得られたフッ化ビニリデン系共重合体(3)の1H NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明について具体的に説明する。
〔フッ化ビニリデン系共重合体〕
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、下記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、下記一般式bで表わされる構成単位を0〜19.99mol%、および下記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜20mol%(ただし、一般式a、bおよびcで表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有する。
【0022】
【化3】

【0023】
(前記一般式bにおいて、RCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体または炭素数1〜5のアルキル基であり、
前記一般式cにおいて、RN,Sは窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基であり、R4、R5、R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体または炭素数1〜5のアルキル基である。)
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、前記一般式aで表される構成単位、すなわちフッ化ビニリデン由来の構成単位と、前記一般式cで表わされる構成単位とを有し、前記一般式bで表わされる構成単位を通常有する重合体である。また、さらに他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。
【0024】
前記一般式bで表される構成単位が有するRCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、好ましくはカルボキシル基、カルボキシエチルエステル基、カルボキシプロピルエステル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基であり、より好ましくはカルボキシル基、カルボキシエチルエステル基、カルボキシプロピルエステル基である。また、前記RCOOHは分子量500以下の有機基であることが好ましい。
【0025】
前記一般式bで表される構成単位が有するR1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、カルボキシル基、メチルエステル基であり、より好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基である。
【0026】
前記一般式bで表される構成単位としては、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位であることが好ましい。前記カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸モノメチル、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、アクリロイロキシエチルコハク酸、メタクリロイロキシエチルコハク酸、アクリロイロキシエチルフタル酸、メタクリロイロキシエチルフタル酸、トリフルオロアクリル酸、トリフルオロメチルアクリル酸等が挙げられる。なお、カルボキシル基含有モノマーとしては、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
【0027】
前記一般式cで表される構成単位が有するRN,Sは窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基であり、好ましくはアミン、チオール、チオエーテル、チオカルボニル、および複素環から選択される少なくとも一種の基を含有する有機基であり、より好ましくはチオエーテル、ピリジン、チオフェン、イミダゾール、およびトリアゾールから選択される少なくとも一種の基を含有する有機基である。また、前記RN,Sは分子量500以下の有機基であることが好ましい。
【0028】
なお、前記RN,Sは窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基であるが、前記ヘテロ原子が、嵩高い置換基により立体的に保護される場合には、本発明の効果が得られない恐れがあるため好ましくない。具体的には、前記へテロ原子に結合する置換基の円錐角が180度以下であることが好ましく、160度以下であることがより好ましい。
【0029】
前記一般式cで表される構成単位が有するR4、R5、R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、カルボキシル基、メチルエステル基であり、より好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基である。なお、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体が、後述の方法1で製造される場合には、前記一般式cで表される構成単位が有するR4、R5、R6はそれぞれ、前記一般式bで表される構成単位が有するR1、R2、R3と同様である。
【0030】
前記一般式cで表される構成単位としては、窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基を含有するモノマー由来の構成単位であってもよいが、通常は、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位が有するカルボキシル基と、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物とが結合基形成反応することにより得られる構成単位であることが好ましい。なお、カルボキシル基と前記化合物との結合基形成反応は、一段階反応によって行われてもよく、多段階反応によって行われてもよい。なお、結合基としてはエステル(‐COO‐)、カルボニル、アルキル、アルケニル、アミド、エーテル等が挙げられ、エステル、カルボニル、アミドが好ましく、エステルがより好ましい。また、化学反応としては、エステル化反応、官能基置換反応、Wittig反応、アミド化反応等が挙げられ、エステル化反応、アミド化反応が好ましく、エステル化反応がより好ましい。
【0031】
前記カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基をとしては、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することによりエステルを形成する基が好ましく、水酸基、クロロ基、ブロモ基から選択される少なくとも一種の基がより好ましく、水酸基が特に好ましい。
【0032】
カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物の具体例としては、3‐ヒドロキシピリジン、2−(2−チエニル)エタノール、2−(メチルチオ)エタノール、4‐ヒドロキシピリジン、アロプリノール、4−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシキナゾリン、2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、ヒドロキシイミダゾール等が挙げられ、中でも3‐ヒドロキシピリジン、2−(2−チエニル)エタノール、2−(メチルチオ)エタノール、4‐ヒドロキシピリジン、ヒドロキシイミダゾールが好ましい。なお、これらの化合物は、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することによりエステルを形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物であり、水酸基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物に該当する。
【0033】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、前述のように前記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、前記一般式bで表わされる構成単位を0〜19.99mol%、および前記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜20mol%(ただし、一般式a、bおよびcで表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有し、好ましくは前記一般式aで表わされる構成単位を85〜99.9mol%、前記一般式bで表わされる構成単位を0〜14.99mol%、および前記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜15mol%有し、より好ましくは前記一般式aで表わされる構成単位を90〜99.5mol%、前記一般式bで表わされる構成単位を0〜9.99mol%、および前記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜10mol%有する。本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、各構成単位を前記範囲で有するとポリフッ化ビニリデンの優れた諸物性を損なうことなく、官能基による機能付与が可能であるため好ましい。なお、各構成単位の存在量は1H NMRによって求めることができる。
【0034】
また、前記他のモノマーとしては、例えばフッ化ビニリデンと共重合可能なフッ素系単量体あるいはエチレン、プロピレン等の炭化水素系単量体、また前記カルボキシル基含有モノマーと共重合可能なモノマーが挙げられる。前記カルボキシル基含有モノマーと共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルに代表される(メタ)アクリル酸アルキル化合物等が挙げられる。なお、前記他のモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0035】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体が、前記他のモノマーに由来する構成単位を有する場合には、該共重合体を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とすると、該他のモノマーに由来する構成単位を10モル%以下有することが好ましく、0.01〜10モル%有することがより好ましい。
【0036】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を製造する方法としては特に限定はないが、例えば、フッ化ビニリデンと、重合することにより一般式bで表わされる構成単位となるカルボキシル基含有モノマーと、必要に応じて前記他のモノマーとを共重合することによりカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を製造し、次いで該カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物との結合基形成反応を行うことにより、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を製造する方法(方法1)、フッ化ビニリデンと、重合することにより一般式cで表わされる構成単位となる窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有するモノマーと、任意に用いられる重合することにより一般式bで表わされる構成単位となるカルボキシル基含有モノマーと、必要に応じて前記他のモノマーとを共重合することにより、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を製造する方法(方法2)、フッ化ビニリデンと、エポキシ基含有モノマーと、必要に応じて他のモノマーとを共重合することによりエポキシ基含有フッ化ビニリデン系共重合体を製造し、次いで該エポキシ基含有フッ化ビニリデン系共重合体を、エポキシ基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物で変性することにより、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を製造する方法(方法3)が挙げられる。
【0037】
これらの方法の中でも、合成の簡便さの観点から方法1により本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を製造することが好ましい。
前記方法1をより詳細に説明する。前記方法1では、まずフッ化ビニリデンと、重合することにより一般式bで表わされる構成単位となるカルボキシル基含有モノマーと、必要に応じて前記他のモノマーとを共重合することによりカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を製造する。なお、前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)は、記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、および下記一般式b’で表わされる構成単位を0.05〜20mol%(ただし、一般式aおよびb’で表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有する。
【0038】
【化4】

【0039】
(前記一般式b’において、RCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、
前記一般式b’において、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基である。)
なお、前記一般式b’における、RCOOH、R1、R2、R3はそれぞれ、一般式bにおける、RCOOH、R1、R2、R3と同様である。
【0040】
前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)は、前述のように前記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、および前記一般式b’で表わされる構成単位を0.05〜20mol%(ただし、一般式a、およびb’で表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有し、好ましくは前記一般式aで表わされる構成単位を85〜99.9mol%、および前記一般式b’で表わされる構成単位を0.01〜15mol%有し、より好ましくは前記一般式aで表わされる構成単位を90〜99.5mol%、および前記一般式b’で表わされる構成単位を0.5〜10mol%有する。前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)は、各構成単位を前記範囲で有すると、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物との結合基形成反応が、本発明の効果を発現するのに好適量なされるため好ましい。
【0041】
また、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を、前記他のモノマーを用いて重合した場合には、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)が前記他のモノマーに由来する構成単位を有する。該共重合体を構成する全モノマー由来の構成単位を100モル%とすると、該他のモノマーに由来する構成単位を10モル%以下有することが好ましく、0.01〜10モル%有することがより好ましい。
【0042】
前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を共重合により製造する方法としては、特に限定はないが通常は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の方法で行われる。後処理の容易さ等の点から水系の懸濁重合、乳化重合が好ましく、水系の懸濁重合が特に好ましい。
【0043】
水を分散媒とした懸濁重合においては、メチルセルロース、メトキシ化メチルセルロース、プロポキシ化メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン等の懸濁剤を、共重合に使用する全モノマー(フッ化ビニリデンおよび、カルボキシル基含有モノマー、必要に応じて共重合される他のモノマー)100質量部に対して0.005〜1.0質量部、好ましくは0.01〜0.4質量部の範囲で添加して使用する。
【0044】
重合開始剤としては、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルペルオキシジカーボネート、ジノルマルヘプタフルオロプロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、イソブチリルペルオキサイド、ジ(クロロフルオロアシル)ペルオキサイド、ジ(ペルフルオロアシル)ペルオキサイド、t−ブチルペルオキシピバレート等が使用できる。その使用量は、共重合に使用する全モノマー(フッ化ビニリデンおよび、カルボキシル基含有モノマー、必要に応じて共重合される他のモノマー)を100質量部とすると、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。
【0045】
また、酢酸エチル、酢酸メチル、炭酸ジエチル、アセトン、エタノール、n−プロパノール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、プロピオン酸エチル、四塩化炭素等の連鎖移動剤を添加して、得られるカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)の重合度を調節することも可能である。その使用量は、通常は、共重合に使用する全モノマー(フッ化ビニリデンおよび、カルボキシル基含有モノマー、必要に応じて共重合される他のモノマー)を100質量部とすると、0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部である。
【0046】
また、共重合に使用する全モノマー(フッ化ビニリデンおよび、カルボキシル基含有モノマー、必要に応じて共重合される他のモノマー)の仕込量は、単量体の合計:水の質量比で通常は1:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:5である。重合温度Tは、重合開始剤の10時間半減期温度T10に応じて適宜選択され、通常はT10−25℃≦T≦T10+25℃の範囲で選択される。例えば、t‐ブチルペルオキシピバレートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネートのT10はそれぞれ、54.6℃および40.5℃である。したがって、t‐ブチルペルオキシピバレートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネートを重合開始剤として用いた重合では、その重合温度Tはそれぞれ29.6℃≦T≦79.6℃および15.5℃≦T≦65.5℃の範囲で適宜選択される。重合時間は特に制限されないが、生産性等を考慮すると100時間以下であることが好ましい。重合時の圧力は通常加圧下で行われ、好ましくは2.0〜8.0MPa‐Gである。
【0047】
上記の条件で水系の懸濁重合を行うことにより、容易にフッ化ビニリデンおよび、カルボキシル基含有モノマー、必要に応じて共重合される他のモノマーを共重合することができ、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を得ることができる。
【0048】
得られるカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)のインヘレント粘度は、好ましくは0.5〜5.0dl/gであり、より好ましくは0.8〜4.0dl/gである。なお、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)のインヘレント粘度は、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体のインヘレント粘度と同様の方法で測定することができる。
【0049】
前記方法1では、前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物との結合基形成反応を行うことにより、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を得る。結合基形成反応は一段階反応によって行われてもよく、多段階反応によって行われてもよい。また、結合基形成反応としては、エステル化反応、官能基置換反応、Wittig反応、アミド化反応等が挙げられ、エステル化反応、アミド化反応が好ましく、エステル化反応がより好ましい。
【0050】
エステル化反応により本発明のフッ化ビニリデン系共重合体を得る場合には、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物として、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することによりエステルを形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物を用い、水酸基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物を用いることが好ましい。
【0051】
エステル化反応は一段階反応によって行われてもよく、多段階反応によって行われてもよい。エステル化反応は例えば、前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を、N−メチルピロリドン等の有機溶媒中で塩化チオニルと反応させ、カルボキシル基の少なくとも一部を、酸塩化物基に変換した反応物を得て、次いで該反応物と、水酸基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物とを反応させることにより行われる。
【0052】
前記有機溶媒としては、前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)を溶解し、かつ所望のエステル化反応を阻害しない溶媒であればよく、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0053】
なお、前記方法1では、前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)が有するカルボキシル基の少なくとも一部と、カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物とが結合することにより、前記一般式cで表わされる構成単位となる。
【0054】
結合基形成反応に用いるカルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物の量としては、得られるフッ化ビニリデン系共重合体が、前述のように前記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、前記一般式bで表わされる構成単位を0〜19.99mol%、および前記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜20mol%(ただし、一般式a、bおよびcで表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有するように適宜調整される。
【0055】
前記方法1における結合基形成反応の、エステル化反応以外の具体例としては、例えば、アミド化反応が挙げられる。この場合、水酸基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物を、アミノ基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物に変えた以外は、エステル化反応と同様の方法で行うことができる。
【0056】
前記方法2について説明する。フッ化ビニリデンを80〜99.95mol%、前記重合することにより一般式bで表わされる構成単位となるカルボキシル基含有モノマーを0〜19.99mol%、および前記重合することにより一般式cで表わされる構成単位となる窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有するモノマーを0.01〜20mol%(ただし、一般式a、bおよびcで表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有する割合で、混合し、共重合することにより行われる。共重合については、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と同様の方法で行うことができる。
【0057】
前記方法3について説明する。まず、カルボキシル基含有モノマーをエポキシ基含有モノマーに変えた以外は、前記方法1のカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と同様の方法で、エポキシ基含有フッ化ビニリデン系共重合体を得る。その後、エポキシ基含有フッ化ビニリデン系共重合体とエポキシ基と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物とを反応させることにより行われる。エポキシ基と化学反応することにより結合基を形成する基とは、例えば、水酸基が挙げられる。
【0058】
本発明のフッ化ビニリデン系共重合体は、インヘレント粘度(樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度。以下、同様)が0.5〜5.0dl/gの範囲内の値であることが好ましく、1.0〜4.0dl/gの範囲内の値であることがより好ましい。上記範囲内の粘度であれば、非水電解質二次電池用電極合剤に好適に用いることができる。
【0059】
インヘレント粘度ηiの算出は、フッ化ビニリデン系共重合体80mgを20mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解して、30℃の恒温槽内でウベローテ粘度計を用いて次式により行うことができる。
【0060】
ηi=(1/C)・ln(η/η0
ここでηは重合体溶液の粘度、η0は溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド単独の粘度、Cは0.4g/dlである。
【0061】
〔電池電極用バインダー〕
本発明の電池電極用バインダーは、前記本発明のフッ化ビニリデン系共重合体および非水溶媒を含有する。
【0062】
本発明の電池電極用バインダーは、前述のようにフッ化ビニリデン系共重合体および非水溶媒を含んでおり、該バインダーに電極活物質を添加することにより、後述の非水電解質二次電池用電極合剤を得ることができる。なお、該バインダーに電極活物質を添加する場合には、電極活物質をそのままバインダーに添加してもよく、電極活物質を非水溶媒に添加し、攪拌混合したものをバインダーに添加してもよい。
【0063】
(非水溶媒)
本発明の電池電極用バインダーは、非水溶媒を含有する。非水溶媒としては前記フッ化ビニリデン系共重合体を溶解する作用を有するものが用いられ、好ましくは極性を有する溶剤が用いられる。非水溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスフォアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルホスフェイト、トリメチルホスフェイトなどが挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましい。また、非水溶媒は1種単独でも、2種以上を混合してもよい。
【0064】
本発明の電池電極用バインダーは、フッ化ビニリデン系共重合体を100質量部とすると、非水溶媒は400〜10000質量部であることが好ましく、600〜5000質量部であることがより好ましい。前記範囲内では適度な溶液粘度となり、ハンドリング性に優れるため好ましい。
【0065】
〔非水電解質二次電池用電極合剤〕
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、前記本発明のフッ化ビニリデン系共重合体、電極活物質および非水溶媒を含有する。また、本発明の非水電解質二次電池用負極合剤は、通常前記本発明のフッ化ビニリデン系共重合体、負極活物質および非水溶媒を含有する。本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、前記フッ化ビニリデン系共重合体を含むため、該合剤を集電体に塗布・乾燥することにより得られる非水電解質二次電池用電極は、集電体と、合剤層との接着性に優る。
【0066】
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、電極活物質の種類等を変更することにより、負極用の合剤、すなわち非水電解質二次電池用負極合剤として用いてもよく、正極用の合剤、すなわち非水電解質二次電池用正極合剤として用いてもよい。前記フッ化ビニリデン系重合体は、正極上においては、窒素または硫黄等のヘテロ原子を有する有機基が酸化劣化する場合があるため、本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、負極用の合剤として用いることがより好ましい。
【0067】
(電極活物質)
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤が含む、電極活物質としては、特に限定は無く、従来公知の負極用の電極活物質(以下、負極活物質とも記す)、正極用の活物質(以下、正極活物質とも記す)を用いることがでる。
【0068】
負極活物質としては例えば、炭素材料、金属・合金材料、金属酸化物などが挙げられるが、中でも炭素材料が好ましい。
前記炭素材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素などが用いられる。また、前記炭素材料は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0069】
このような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度を高くすることができる。
前記人造黒鉛としては、例えば、有機材料を炭素化しさらに高温で熱処理を行い、粉砕・分級することにより得られる。人造黒鉛としては、MAGシリーズ(日立化成工業製)、MCMB(大阪ガス製)等が用いられる。
【0070】
前記難黒鉛化炭素としては、例えば、石油ピッチ由来の材料を1000〜1500℃で焼成することにより得られる。難黒鉛化炭素としては、カーボトロンP(クレハ製)等が用いられる。
【0071】
前記負極活物質の比表面積は、0.3〜10m2/gであることが好ましく、0.6〜6m2/gであることがより好ましい。比表面積が10m2/gを超えると、電解液の分解量が増加し、初期の不可逆容量が増えるため好ましくない。
【0072】
正極活物質としては、少なくともリチウムを含むリチウム系正極活物質が好ましい。リチウム系正極活物質としては例えば、LiCoO2、LiNixCo1-x2(0≦x≦1)等の一般式LiMY2(Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、V等の遷移金属の少なくとも一種:YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合金属カルコゲン化合物、LiMn24などのスピネル構造をとる複合金属酸化物、LiFePO4などのオリビン型リチウム化合物等が挙げられる。なお、前記正極活物質としては市販品を用いてもよい。
【0073】
前記正極活物質の比表面積は、0.05〜50m2/gであることが好ましく、0.1〜30m2/gであることがより好ましい。
なお、電極活物質の比表面積は、窒素吸着法により求めることができる。
【0074】
(非水溶媒)
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、非水溶媒を含有する。非水溶媒としては前記電池電極用バインダーに含まれる非水溶媒として例示したものを用いることができる。また、非水溶媒は1種単独でも、2種以上を混合してもよい。
【0075】
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、前記フッ化ビニリデン系共重合体、電極活物質、および非水溶媒を含有する。
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、フッ化ビニリデン系共重合体と、電極活物質との合計100質量部あたり、フッ化ビニリデン系共重合体は0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、活物質は85〜99.5質量部であることが好ましく、90〜99質量部であることがより好ましい。また、フッ化ビニリデン系共重合体と、電極活物質との合計を100質量部とすると、非水溶媒は20〜300質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。
【0076】
上記範囲内で各成分を含有すると、本発明の非水電解質二次電池用電極合剤を用いて、非水電解質二次電池用電極を生産性よく製造することが可能であり、非水電解質二次電池用電極を製造した際に、合剤層と、集電体との剥離強度に優れる。
【0077】
また、本発明の非水電解質二次電池用電極合剤は、前記フッ化ビニリデン系共重合体、電極活物質、および非水溶媒以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、カーボンブラックなどの導電助剤やポリビニルピロリドンなどの顔料分散剤、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの接着補助剤等を含んでいてもよい。前記他の成分としては、前記フッ化ビニリデン系共重合体以外の他の重合体を含んでいてもよい。前記他の重合体としては、例えばポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ペルフルオロメチルビニルエーテル共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体が挙げられる。本発明の非水電解質二次電池用電極合剤に、他の重合体が含まれる場合には、通常前記フッ化ビニリデン系共重合体100質量部に対して25質量部以下の量で含まれる。
【0078】
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤の、E型粘度計を用いて、25℃、せん断速度2s-1で測定を行った際の粘度は、通常2000〜50000mPa・sであり、好ましくは5000〜30000mPa・sである。
【0079】
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤の製造方法としては、前記フッ化ビニリデン系共重合体、電極活物質、および非水溶媒を均一なスラリーとなるように混合すればよく、混合する際の順序は特に限定されないが、例えば前記フッ化ビニリデン系共重合体を、非水溶媒の一部に溶解し、バインダー溶液を得て、該バインダー溶液に電極活物質および残りの非水溶媒を添加し、攪拌混合し、非水電解質二次電池用電極合剤を得る方法が挙げられる。
【0080】
〔非水電解質二次電池用電極〕
本発明の非水電解質二次電池用電極は、前記非水電解質二次電池用電極合剤を、集電体に塗布・乾燥することにより得られる。本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体と、非水電解質二次電池用電極合剤から形成される層とを有する。なお、前記前記非水電解質二次電池用電極合剤として、非水電解質二次電池用負極合剤を用いた場合には、非水電解質二次電池用負極が得られ、前記前記非水電解質二次電池用電極合剤として、非水電解質二次電池用正極合剤を用いた場合には、非水電解質二次電池用正極が得られる。フッ化ビニリデン系重合体は、正極上においては、窒素または硫黄等のヘテロ原子を有する有機基が酸化劣化する場合があるため、本発明の非水電解質二次電池用電極は、非水電解質二次電池用負極として用いることがより好ましい。
【0081】
なお、本発明において、非水電解質二次電池用電極合剤を集電体に塗布・乾燥することにより形成される、非水電解質二次電池用電極合剤から形成される層を、合剤層と記す。
本発明に用いる集電体としては、非水電解質二次電池用負極を得るためには、例えば銅が挙げられ、その形状としては例えば金属箔や金属網等が挙げられる。非水電解質二次電池用負極を得るためには、集電体としては、銅箔を用いることが好ましい。
【0082】
本発明に用いる集電体としては、非水電解質二次電池用正極を得るためには、例えばアルミニウムが挙げられ、その形状としては例えば金属箔や金属網等が挙げられる。非水電解質二次電池用正極を得るためには、集電体としては、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0083】
集電体の厚さは、通常は5〜100μmであり、好ましくは5〜20μmである。
合剤層の厚さは、通常は20〜250μmであり、好ましくは20〜150μmである。また、合剤層の目付け量は、通常20〜700g/m2であり、好ましくは30〜500g/m2である。
【0084】
本発明の非水電解質二次電池用電極を製造する際には、前記非水電解質二次電池用電極合剤を前記集電体の少なくとも一面、好ましくは両面に塗布を行う。塗布する際の方法としては特に限定は無く、バーコーター、ダイコーター、コンマコーターで塗布する等の方法が挙げられる。
【0085】
また、塗布した後に行われる乾燥としては、通常50〜150℃の温度で1〜300分行われる。また、乾燥の際の圧力は特に限定はないが、通常は、大気圧下または減圧下で行われる。
【0086】
さらに、乾燥を行ったのちに、熱処理が行われてもよい。熱処理を行う場合には、通常100〜250℃の温度で1〜300分行われる。なお、熱処理の温度は前記乾燥と重複するが、これらの工程は、別個の工程であってもよく、連続的に行われる工程であってもよい。
【0087】
また、さらにプレス処理を行ってもよい。プレス処理を行う場合には、通常1〜200MP‐Gで行われる。プレス処理を行うと電極密度を向上できるため好ましい。
以上の方法で、本発明の非水電解質二次電池用電極を製造することができる。なお、非水電解質二次電池用電極の層構成としては、非水電解質二次電池用電極合剤を集電体の一面に塗布した場合には、合剤層/集電体の二層構成であり、非水電解質二次電池用電極合剤を集電体の両面に塗布した場合には、合剤層/集電体/合剤層の三層構成である。
【0088】
本発明の非水電解質二次電池用電極は、前記非水電解質二次電池用電極合剤を用いることにより、集電体と合剤層との剥離強度に優れるため、プレス、スリット、捲回などの工程で電極に亀裂や剥離が生じにくく、生産性の向上に繋がるために好ましい。
【0089】
本発明の非水電解質二次電池用電極は、前述のように集電体と合剤層との剥離強度に優れるが、具体的には、本発明のフッ化ビニリデン系共重合体に代えて従来から知られているカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体を用いて得られた電極と比べた際に、JIS K6854に準拠して180度剥離試験により測定を行った剥離強度が、通常は4.5倍以上、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは5.5倍以上である。また、通常は30倍以下である。
【0090】
〔非水電解質二次電池〕
本発明の非水電解質二次電池は、前記非水電解質二次電池用電極を有することを特徴とする。
【0091】
本発明の非水電解質二次電池としては、前記非水電解質二次電池用電極を有していること以外は特に限定は無い。非水電解質二次電池としては、前記非水電解質二次電池用電極、好ましくは非水電解質二次電池用負極を有し、非水電解質二次電池用電極以外の部材、例えば、セパレータ等は従来公知のものを用いることができる。
【実施例】
【0092】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔比較例1〕
(カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)の製造)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水を900g、メトローズ90SH−100を0.4g、カルボキシエチルアクリレート(以下、CEAとも記す。)を0.2g、50wt% t‐ブチルパーオキシピバレート‐フロン225cb溶液を2g、フッ化ビニリデン396gを仕込み、50℃まで2時間で昇温した。
【0093】
その後、50℃を維持し、30g/lのCEA水溶液を重合圧力が一定となる速度で徐々に添加した。CEAは、初期に添加した量を含め、全量5.92gを添加した。
重合は、CEA水溶液添加終了と同時に停止し、昇温開始から合計13.1時間行った。
【0094】
重合終了後、重合体スラリーを95℃で60分熱処理した後、脱水、水洗し、更に80℃で20時間乾燥して重合体粉末(カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1))を得た。重合率は25%で、得られたカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)のインヘレント粘度は2.65dl/gであった。
【0095】
1H NMRスペクトルからカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)の組成比を計算した結果、モル比でVDF/CEA=97.28/2.72であった。
なお、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)の1H NMRスペクトルは下記条件で求めた。
【0096】
装置:Bruker社製 AVANCE AC 400FT NMRスペクトルメーター
測定条件
周波数:400MHz
測定溶媒:DMSO−d6
測定温度:25℃
重合体のフッ化ビニリデンに由来する構成単位の量、およびカルボキシエチルアクリレートに由来する構成単位の量を、1H NMRスペクトルで、主としてカルボキシエチルアクリレートに由来する4.19ppmに観察されるシグナルと主としてフッ化ビニリデンに由来する2.24ppmおよび2.87ppmに観察されるシグナルの積分強度に基づき算出した。
【0097】
また、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)の融点(Tm)は、163℃であった。
なお、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)の融点(Tm)は、示差走査熱測定(DSC)により測定した。DSC用測定サンプルは、プレス成型機(株式会社神藤金属工業製 AYSR−5)を用いて、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)を210℃で30秒間予備加熱した後、プレス圧0.5MPaで1分間保持しプレスシートを作成、そのプレスシートから約10mgを切り出すことによって作成した。DSCの測定は、以下の条件で行い、昇温過程における吸熱ピーク温度からTmを求めた。
【0098】
装置; METTLER製 DSC30
サンプルホルダー; Aluminum standard 40μl
測定温度範囲; 30−220℃
昇温速度; 10℃/min
窒素流量; 50ml/min
(剥離強度の測定)
人造黒鉛(日立化成工業(株)製「MAG−D20」)94質量部、前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)6質量部、をN‐メチルピロリドン(以下、NMPとも記す)中に分散させ、固形分濃度41質量%の電極スラリーを調製した。
【0099】
前記電極スラリーを、厚さ10μmのCu箔上にバーコーターで塗布し、110℃で30分乾燥し、片面目付け量が150g/m2の片面塗工電極を作製した。
前記片面目付け量が150g/m2の片面塗工電極を長さ50mm、幅20mmに切り出し、室温、プレス圧0.8t/cm2で平面プレスし、試験片とした。
【0100】
試験片の塗工電極面にガムテープを貼り、Cu箔を「たわみ性被着材」とし、JIS K−6854に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製「STA−1150 UNIVERSAL TESTING MACHINE」)を使用し、ヘッド速度200mm/分で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
【0101】
〔実施例1〕
(フッ化ビニリデン系共重合体(1)の製造)
ジムロート冷却管、滴下ロート、および磁気攪拌子を備えた500ml三口フラスコに、10.1gの比較例1で作成したカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)および150mlのN‐メチルピロリドン(NMP)を入れ溶解した。
【0102】
得られた溶液に、5.30g(0.0445mol)の塩化チオニルを室温で滴下し、滴下終了後、80℃で1.5時間加熱攪拌した。
加熱攪拌終了後、室温まで放冷し、4.34g(0.0456mol)の3‐ヒドロキシピリジンを入れ、さらに90℃で1.5時間加熱攪拌した。
【0103】
加熱攪拌終了後、水/メタノール混合溶媒を貧溶媒とした再沈操作によりポリマーを回収した。
得られたフッ化ビニリデン系共重合体(1)のインヘレント粘度は2.07dl/gであった。
【0104】
また、比較例1と同様の条件で測定した1H NMRスペクトルから、比較例1で作成したカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)中のカルボキシル基のうち45モル%がエステル化されていることを確認した。なお、フッ化ビニリデン系共重合体(1)の1H NMRスペクトルを図1に示す。前記エステル化率の確認は、7.5ppm付近に観察されるピリジン環の二つの水素原子に由来するピークの積分強度0.75および、4.2ppm付近に観察される、‐C(O)O‐CH2‐構造のメチレンに由来するピークの積分強度1.66から算出した。
【0105】
また、比較例1と同様の方法でフッ化ビニリデン系共重合体(1)の融点(Tm)を測定したところ、Tmは、164℃であった。
(剥離強度の測定)
前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)を、前記フッ化ビニリデン系共重合体(1)に代えた以外は比較例1と同様に行い、剥離強度を測定した。
【0106】
〔実施例2〕
(フッ化ビニリデン系共重合体(2)の製造)
実施例1の3‐ヒドロキシピリジンを2−(2−チエニル)エタノールにした以外は実施例1と同様の方法で合成した。
【0107】
得られたフッ化ビニリデン系共重合体(2)のインヘレント粘度は2.11dl/gであった。
また、比較例1と同様の条件で測定した1H NMRスペクトルから、比較例1で作成したカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)中のカルボキシル基のうち74モル%がエステル化されていることを確認した。なお、フッ化ビニリデン系共重合体(2)の1H NMRスペクトルを図2に示す。前記エステル化率の確認は、6.5〜7.5ppm付近に観察されるチオフェン環の三つの水素原子に由来するピークの積分強度1.84および、4.2ppm付近に観察される、‐C(O)O‐CH2‐構造のメチレンに由来するピークの積分強度2.89から算出した。
【0108】
また、比較例1と同様の方法でフッ化ビニリデン系共重合体(2)の融点(Tm)を測定したところ、Tmは、164℃であった。
(剥離強度の測定)
前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)を、前記フッ化ビニリデン系共重合体(2)に代えた以外は比較例1と同様に行い、剥離強度を測定した。
【0109】
〔実施例3〕
(フッ化ビニリデン系共重合体(3)の製造)
実施例1の3‐ヒドロキシピリジンを2−(メチルチオ)エタノールにした以外は実施例1と同様の方法で合成した。
【0110】
得られたフッ化ビニリデン系共重合体(3)のインヘレント粘度は2.04dl/gであった。
また、比較例1と同様の条件で測定した1H NMRスペクトルから、比較例1で作成したカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)中のカルボキシル基のうち79モル%がエステル化されていることを確認した。なお、フッ化ビニリデン系共重合体(3)の1H NMRスペクトルを図3に示す。前記エステル化率の確認は、2.1ppm付近に観察される‐S‐CH3構造のメチル基に由来するピークの積分強度1.88および、4.2ppm付近に観察される、‐C(O)O‐CH2‐構造のメチレンに由来するピークの積分強度2.84から算出した。
【0111】
また、比較例1と同様の方法でフッ化ビニリデン系共重合体(3)の融点(Tm)を測定したところ、Tmは、164℃であった。
(剥離強度の測定)
前記カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)を、前記フッ化ビニリデン系共重合体(3)に代えた以外は比較例1と同様に行い、剥離強度を測定した。
【0112】
〔比較例2〕
(剥離強度の測定)
電極スラリーを調製する際に、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)中に含まれるカルボキシル基を100モル%としたとき、45モル%となる量の3−ヒドロキシピリジンをさらに用いた以外は、比較例1と同様に行い電極スラリーを調製した。
【0113】
該電極スラリーを用いた以外は比較例1と同様に行い、剥離強度を測定した。
〔比較例3〕
(剥離強度の測定)
電極スラリーを調製する際に、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)中に含まれるカルボキシル基を100モル%としたとき、74モル%となる量の2−(2−チエニル)エタノールをさらに用いた以外は、比較例1と同様に行い電極スラリーを調製した。
【0114】
該電極スラリーを用いた以外は比較例1と同様に行い、剥離強度を測定した。
〔比較例4〕
(剥離強度の測定)
電極スラリーを調製する際に、カルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X1)中に含まれるカルボキシル基を100モル%としたとき、79モル%となる量の2−(メチルチオ)エタノールをさらに用いた以外は、比較例1と同様に行い電極スラリーを調製した。
【0115】
該電極スラリーを用いた以外は比較例1と同様に行い、剥離強度を測定した。
各実施例および比較例で測定した剥離強度を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
上記表1より、本願発明の窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基を有するフッ化ビニリデン系共重合体を用いて製造された電極は、該有機基を有さないカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体を用いて製造された電極(比較例1)と比べて、剥離強度に優れる。
【0118】
また、系中に、窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基を有する化合物が存在する条件で電極スラリーを調製し、該電極スラリーを用いて製造された電極(比較例2〜4)であっても、剥離強度は比較例1と同程度であった。
【0119】
すなわち、窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基は、単に系中に存在するだけでは得られる電極の剥離強度を向上させることができず、フッ化ビニリデン系共重合体が該有機基を有することが必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、下記一般式bで表わされる構成単位を0〜19.99mol%、および下記一般式cで表わされる構成単位を0.01〜20mol%(ただし、一般式a、bおよびcで表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有するフッ化ビニリデン系共重合体。
【化1】

(前記一般式bにおいて、RCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基であり、
前記一般式cにおいて、RN,Sは窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する有機基であり、R4、R5、R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基である。)
【請求項2】
前記一般式cにおいて、RN,Sがアミン、チオエーテル、チオカルボニル、および複素環から選択される少なくとも一種の基を含有する有機基であり、
前記複素環が、窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する複素環である請求項1に記載のフッ化ビニリデン系共重合体。
【請求項3】
下記一般式aで表わされる構成単位を80〜99.95mol%、および下記一般式b’で表わされる構成単位を0.05〜20mol%(ただし、一般式aおよびb’で表わされる構成単位の合計を100mol%とする)有するカルボキシル基含有フッ化ビニリデン系共重合体(X)と、
カルボキシル基またはその誘導体と化学反応することにより結合基を形成する基を有し、かつ窒素および硫黄から選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する化合物との結合基形成反応により得られる請求項1または2に記載のフッ化ビニリデン系共重合体。
【化2】

(前記一般式b’において、RCOOHはカルボキシル基を含有する有機基であり、
前記一般式b’において、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基もしくはその誘導体、または炭素数1〜5のアルキル基である。)
【請求項4】
インヘレント粘度が0.5〜5.0dl/gである請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ化ビニリデン系共重合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ化ビニリデン系共重合体および非水溶媒を含有する電池電極用バインダー。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ化ビニリデン系共重合体、電極活物質および非水溶媒を含有する非水電解質二次電池用電極合剤。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ化ビニリデン系共重合体、負極活物質および非水溶媒を含有する非水電解質二次電池用負極合剤。
【請求項8】
請求項6に記載の非水電解質二次電池用電極合剤を、集電体に塗布・乾燥することにより得られる非水電解質二次電池用電極。
【請求項9】
請求項7に記載の非水電解質二次電池用負極合剤を、集電体に塗布・乾燥することにより得られる非水電解質二次電池用負極。
【請求項10】
請求項8に記載の非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池。
【請求項11】
請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極を有する非水電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−219125(P2012−219125A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83870(P2011−83870)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】