説明

フッ化ビニルインターポリマー

【課題】小さく均一な粒子サイズを有し、且つ改善された耐候性、改善された化学的耐性、改善された離型特性と対になっている改善された変色耐性を有する、イオン性末端基を含むインターポリマーを製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の方法は、フッ化ビニルおよび少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーを、水中において、水溶性フリーラジカル開始剤を用い、所定の温度、圧力下で、乳化重合法により重合する工程を具備し、前記フッ化ビニルおよび前記の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーが10から90mol%のフッ化ビニルおよび90から10mol%の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーから誘導されるポリマーユニットを含有するインターポリマーを産出する量で使用され、前記重合が水平型オートクレーブ中で行われることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化ビニルユニットを含有するポリマー、これらの調製並びに保護コーティングおよび保護フィルムの作成における使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフッ化ビニル(PVF)は、多年にわたり製造されており、その優れた耐候性、化学的耐性、および機械的特性により、種々の基板上の保護フィルムまたは保護コーティングとして多くの使用が見出されている。これらの特性はPVFのフッ素原子に負うところが大きく、フッ素含量がより高いポリマーが作成できれば、これらの特性を高めることが達成されるであろう。ポリマーのフッ素含量を高める一つの方法は、ジポリマーを調製することである。この調製では、テトラフルオロエチレン(TFE)を幾らかのフッ化ビニル(VF)に置き換える。このようなジポリマーは、コフマン(Coffman)およびフォード(Ford)、US2,419,009(1947)(特許文献1)により最初に開示され、フッ化ビニル(VF)モノマーおよび水の存在下、122〜143気圧で操作される高圧容器中で過酸化ベンゾイル開始剤を用いて製造された。この方法は、非イオン性フェニル末端基をポリマーに生じさせる。
【0003】
シアネシ(Sianesi)およびカポリッチョ(Caporiccio)の、J. Polymer Sci., Part A-1, 6, (1968) 335(非特許文献1)および米国特許第3,513,116(1970)(特許文献2)は、幾分詳細にVF/TFE重合工程を研究した。これらの実施例すべてにおいて、シアネシおよびカポリッチョにより使用された開始剤は有機金属化合物であり、その分解が酸化剤により触媒され、重合を開始するアルキルラジカルを生じる。一般に、アルコールまたはアルコール/水混合物を、1気圧と同程度の低さの圧力でコポリマーを与えるこれらの方法の重合化媒体として使用した。この方法の開始アルキルラジカルは、ポリマー上に非イオン性末端基を生じさせる。
【0004】
スティルマー(Stilmar)の、米国特許第3,531,441(1970)(特許文献3)は、重合化媒体として異なった有機溶媒中で有機過酸化物開始剤を使用することにより、VF、TFEおよび広範囲の他のビニルモノマーよりなるトリ−およびテトラ−ポリマーの調製を報告した。過酸化物開始剤からの開始ラジカルは、コポリマー上に非イオン性末端基を形成した。このように、以前の公知の仕事はすべて、形成されるポリマー鎖上に非イオン性末端基を配置させるラジカル生成種を用いることによる、VF/TFEコポリマーの調製を報告している。これらの非イオン性末端基は、典型的には、アルキル若しくはアリールであり、従って性質としては疎水性である。
【0005】
この重合化方法および上記の従来技術の方法により製造される付随のコポリマーは、すべて、いくつかの重要な不利益を有する。コフマンおよびフォードの方法は高圧を必要とする。これは、高価で丈夫な高圧装置をコポリマーの製造者に要求する。加えて、開始剤が非イオン性であるため、製造されるコポリマーは水により湿潤されず、反応容器中でごつごつした不均一性混合物を形成する。このポリマーを反応容器から完全に除去することは困難であり、容器を開け、これを手で除去することによってのみ達成されうる。これは幾つかの危険を伴うゆっくりとした方法であり、小スケールの実験室装置を除くすべてにおいて非実用的である。
【0006】
シアネシおよびカポリッチョの方法は、可燃性アルコール溶媒の使用、および幾つかの健康に重篤であり、環境へのリスクが提示されている、テトラエチル鉛のような毒性の有機金属化合物の使用を要求する。これらの方法で報告されている重合化の割合も低く、非常に大スケールの装置の使用を強要されるであろう。これらの要求は、可燃性および毒性物質、並びに溶媒の回収および装置の精製(これらは、装置および操作の費用を上げ、全工程を複雑にすることになる。)に適したプラントの設計を必要とする。
【0007】
コックら(Cook et al.)の、米国特許3,428,618(1969)(特許文献4)は、フルオロオレフィンを重合するための方法において環状アゾアミジンフリーラジカル開始剤の使用を教示する。彼らは、フルオロオレフィンのジポリマーおよびターポリマーの調製をほのめかしているが、該特許の実験例は、非環状2,2’−アゾビス(イソブチロアミジン)ジハイドロクロライドに優先して、環状2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレン−イソブチロアミジン)ジハイドロクロライドを用いてVFホモポリマーの重合をすることに向けられている。他のホモポリマーまたはインターポリマー、特にVF/TFEインターポリマーに言及すること、またはこれらの実施例が欠けている。タムラら(Tamura et al.)の米国特許第3,966,660(1976)(特許文献5)は、フッ化ビニル−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを調製する方法を開示する。これらのポリマーは、安価な有機溶媒中、室温で良好な溶解性を示し、液体コーティング組成物、即ち塗料に有用である。第三のモノマー(これは、ビニルエステル、不飽和酸、または不飽和酸のエステルでありうる。)は任意であり、硬さを改善するため、またはコーディングによる基板への接着を改善するために添加される。しかし、これらの文献では、生成物が、小さく均一な粒子サイズを有し、且つ改善された耐候性、改善された化学的耐性、改善された離型特性と対になっている改善された変色耐性を有する、イオン性末端基を含む優れたインターポリマー生成物を製造する認識はない。
【0008】
【特許文献1】米国特許第2,419,009号明細書
【特許文献2】米国特許第3,513,116号明細書
【特許文献3】米国特許第3,531,441号明細書
【特許文献4】米国特許第3,428,618号明細書
【特許文献5】米国特許第3,966,660号明細書
【非特許文献1】Sianesi and Caporiccio, J. Polymer Sci., Part A-1, 6, (1968) 335
【非特許文献2】S. Wu, J. Poly. Sci., Part C, (34), 19, (1971)
【非特許文献3】Wu, Polymer Interface and Adhesion, Marcel Dekker, New York, N.Y., 1982
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
小さく均一な粒子サイズを有し、且つ改善された耐候性、改善された化学的耐性、改善された離型特性と対になっている改善された変色耐性を有する、イオン性末端基を含むインターポリマーを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、1〜99mol%のフッ化ビニルおよび99〜1mol%の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーから誘導されるポリマーユニットを含むインターポリマーであって、インターポリマーがイオン性末端基の存在によって特徴づけられるものを提供する。更に、本発明は、5から30重量%のインターポリマーおよび95から70重量%の水を含有するインターポリマーの水性分散物を提供する。更に、VFおよびフッ素化モノマーを、水中において、60から100℃の範囲内の温度および1から12MPa(145から1760psi)の範囲内の反応容器圧力で、水溶性フリーラジカル開始剤、好ましくはアゾアミジン開始剤またはパースルフェート開始剤を用いて重合することによりインターポリマーを調製する方法を提供する。極性有機溶媒中のインターポリマーの非水性分散物も本発明に従って提供される。本発明は更に、インターポリマーの非水性分散物から形成される保護自己支持フィルムおよび保護コーティングを提供し、この両者は金属、プラスチック、セラミック、ガラス、コンクリート、繊維および木材基板の表面に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明の組成物は、フッ化ビニルおよび少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーのインターポリマーであって、インターポリマーがイオン性末端基によって特徴づけられるものを含む。該インターポリマーは、1〜99mol%のフッ化ビニルおよび99〜1mol%の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーを有する。
【0012】
本発明の意図として、「高度にフッ素化された」とは、炭素に結合された原子の50%またはそれよりも多くが、OまたはSのような結合原子を除いて、フッ素であることを意味する。好ましくは、本発明で有用な高度にフッ素化されたモノマーには2〜10の炭素原子を有するフルオロオレフィンのようなものが含まれる。好ましいモノマーにはまた、フッ素化ジオキソールおよびフッ素化ビニルエーテル、例えばCY=CYORまたはCY=CYOR’ORを有するものであって、YがHまたはFであり、−Rおよび−R’が独立に、1〜8の炭素原子を含む完全にフッ素化された、または部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基であり、好ましくはパーフルオロ化されているものが含まれる。好ましい−R基は1〜4の炭素原子を含み、好ましくはパーフルオロ化されている。好ましい−R’基は、2〜4の炭素原子を含み、好ましくはパーフルオロ化されている。本発明に使用するための最も好ましいフルオロオレフィンは、2〜6の炭素原子を有し、これにはテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、およびパーフルオロブチルエチレンが含まれる。最も好ましいジオキソールには、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)およびパーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)が含まれる。
【0013】
好ましい組成は、10〜90mol%のフッ化ビニルユニットおよび90〜10%のテトラフルオロエチレンユニット、好ましくは70〜10mol%のテトラフルオロエチレンユニット、最も好ましくは40〜20mol%のテトラフルオロエチレンユニットより本質的になるインターポリマーであって、イオン性末端基の存在によっても特徴づけられるものである。本発明の意図として、「より本質的になる」とは、インターポリマーが他のポリマーユニットを含みうるが、インターポリマーの重要な特性は指定されたモノマーユニットにより決定されることを意味する。
【0014】
本発明に従った好ましインターポリマーは、100〜1000Pa・sの範囲の、以下に本明細書中で説明される方法により決定される溶融粘度を有する。好ましいインターポリマーは、実質的にランダムなインターポリマーである。ポリマーの実質的にランダムな特徴は、核磁気共鳴スペクトル法により示される。
【0015】
本発明の方法は、フッ化ビニルおよび他の高度にフッ素化されたモノマーの、ジポリマー、ターポリマーおよびより高次のインターポリマーを包含するインターポリマーを、水溶性フリーラジカル開始剤を用いる乳化重合により調製することに向けられる。この調製法で使用される反応は、水中において適度な圧力で良好な重合割合を提供し、よく分散された水性VF/フルオロオレフィンインターポリマーラテックス、好ましくはVF/TFEまたは追加のフルオロオレフィンモノマーで修飾されたVF/TFEを与える。
【0016】
本発明のインターポリマーは、水溶性フリーラジカル開始剤を用い、水中において60から100℃、および1から12MPa(145から1760psi)の反応容器圧力でVFおよびフッ素化されたモノマーを重合することによって調製される。
【0017】
該開始剤は水性媒体に溶解する際にイオンを形成し、これらは生成されるインターポリマーにイオン性末端基を導入する。これらの末端基は、重合工程を開始する開始剤フラグメントから誘導される。ポリマー生成物に存在するイオン性末端基の量は、一般に0.05重量%より多くない。小さな球状粒子が形成され、これは、イオン性末端基から生じる粒子表面の静電荷により水によく分散したままとなる。粒子の静電荷は、粒子をお互いに反発させ、これらを水中に懸濁させ続け、低粘度のインターポリマーラテックスを生じさせる。結果として、該ラテックスは流動性となり、この重合方法を容易に操作し、容易に制御するようになされた装置から汲み上げられるのに十分安定となる。本発明は、5から30重量%、好ましくは10〜15重量%のインターポリマーおよび95から70重量%、好ましくは90から85重量%の水を含有するインターポリマーの水性分散物を提供する。このような分散物は、所望であれば、当分野で公知の技術を用いてより濃化されうる。
【0018】
本発明で有用な開始剤は、水溶性フリーラジカル開始剤、好ましくはカチオン性末端基を生じさせるアゾアミジン化合物のような水溶性有機アゾ化合物、またはアニオン性末端基を生じさせる無機過酸の水溶性の塩である。最も好ましい有機アゾアミジン開始剤には、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドおよび2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)ジハイドロクロライドが包含される。最も好ましい無機過酸の水溶性の塩にはパースルフェートのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が包含される。
【0019】
例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドは、末端基としてアミジニウムイオンを有するコポリマーを生成させ、陽性またはカチオン性電荷を有するコポリマー粒子を与える。同様に、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)ジハイドロクロライドは、末端基としてN,N’−ジメチレンアミジニウムイオンを有するコポリマーを生成させ、陽性に荷電した粒子またはカチオン性粒子を与える。パースルフェート開始剤は、コポリマー上にスルフェート末端基を配置し、これは負に荷電した粒子またはアニオン性粒子を与える。
【0020】
乳化重合の分野の当業者に周知のように、必要に応じて、追加の成分を重合化媒体に添加し、基本の乳化工程を修飾することができる。例えば、ポリマーの末端基に適合した界面活性剤を有利に使用しうる。例えば、パーフルオロへキシルプロピルアミンハイドロクロライドは、ビスアミジンジハイドロクロライドによって開始されるポリマーに存在するカチオン性末端基に適合しうる。あるいは、アンモニウムパーフルオロオクタネートまたはパーフルオロへキシルエタンスルホン酸若しくはその塩は、パースルフェート塩によって開始されるアニオン性末端基を有するポリマーで使用されうる。当分野で公知のように、重亜硫酸塩、亜硫酸塩およびチオ硫酸塩のような還元剤をパースルフェートとともに使用して、開始温度を低くするか、またはポリマーのイオン性末端基の構造を修飾することができる。ホスフェート、カーボネート、アセテート等のような緩衝剤をパースルフェート開始剤とともに使用し、ラテックスのpHを制御することができる。好ましい開始剤は、界面活性剤と組み合わせて使用されるアゾビスアミジンジハイドロクロライドおよびアンモニウムパースルフェートである。なぜならば、これらは、最も白いコポリマーを生じるからである。
【0021】
本発明のコポリマー中にアミジンハイドロクロライド末端基が存在することは、これらの赤外スペクトルから証明される。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド中のアミジンハイドロクロライド末端基は、1680cm−1に吸収を示す。コポリマー中のこの末端基の存在は、これらの赤外スペクトルのバンドが1680cm−1に現れることで確認される。
【0022】
本発明のインターポリマーのイオン性末端基は、非水性分散物中でも役割を演じる。保護表面として有用であるためには、VF/TFEコポリマーは、フィルムおよびコーティングに加工される。これはしばしば、周囲温度では該コポリマーを溶解しないが、連続フィルムを形成するのに必要な温度を下げる潜溶剤で該コポリマーの分散物を作成することにより行われる。これは、コポリマーの分散物が、容易に、周囲温度で基板に薄く散布されることにより10μmから100μmの厚さの薄いフィルムの製造を大きく促進する。次にコーティングされた基板を加熱する。この時点で、潜溶剤は、溶媒により膨潤した連続的なゲルとなるように該コポリマー粒子に合体する。次いで該溶剤を蒸発させて、乾燥した欠陥のないフィルムが得られる。明らかに、分散流動学が生成されるコーティングまたはフィルムの量を決定するのに重要な役割を果たしている。粒子サイズ、形、および表面エネルギーが分散流動学を左右する重要な因子であることがコロイド科学において周知である。
【0023】
有用な潜溶剤は、一般に、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等のような、表面張力が35dyne/cm近辺であるか、またはこれ以上である極性有機液体である。PVFおよびVF/TFEインターポリマーフィルムの表面張力を測定し、該表面張力がPVFに対する38dyne/cmから40mol%のTFEを含むインターポリマーに対する約26dyne/cmまで減少することが見出された。インターポリマー粒子表面にイオン性末端基が存在することで粒子の表面エネルギーが増加し、その結果、これが合体した溶媒により湿らされ、これらの分散が促進される。また、この表面電荷から生じるこれらの分散物の若干の静電的安定化がありうる。加えて、本発明のインターポリマー粒子は、大きさがサブマイクロメータであり、好ましくは200nmから400nmの平均直径を有する。該粒子はまた、好ましくは、幅の狭い均一なサイズ分布を有する。好ましくは、少なくとも90%のインターポリマー粒子がプラスまたはマイナス10%の間の平均粒子直径の範囲内、より好ましくはプラスまたはマイナス5%の間の平均粒子直径の範囲内にある。インターポリマー粒子は、好ましくは形状が実質的に球形である。実質的に球形であるとは、長軸と短軸に沿った粒子の平均直径の比が1.0:1から1.3:1までであることを意味する。この形態学は、コーティングに便利な粘度を維持しながら、潜溶剤に高濃度のインターポリマー粒子を分散させることを許容するであろう。まとめとして、イオン性末端基を有するインターポリマー粒子は、インターポリマー分散物の調製を容易にする、バランスのよい特性を有する。これは、製品をコーティングすること、または高品質の薄層フィルムを注型するのに使用されうる、インターポリマー粒子の均一で低粘度の分散物の製造を可能にする。典型的には、20〜40wt%のポリマー粒子を含む潜溶剤中の分散物に対して、コーン・プレートレオメーターを用い、1秒あたり2の剪断速度で25℃において測定された粘度は、500から10,000センチポイズ(0.5から10Pa・s)の範囲、好ましくは、1500から3500センチポイズ(1.5から3.5Pa・s)の範囲であるであろう。
【0024】
従来技術のインターポリマーにイオン性末端基が存在しないことは、溶媒による湿潤が不十分となる、低表面エネルギーを有する粒子を生成させる。結果として、これらは、潜溶剤に分散された場合、塊状に集まる傾向があり、欠陥を有するコーティングまたはフィルムを生じる。コフマンおよびフォードの方法により調製された、非イオン性フェニル末端基を有するインターポリマーは、サブマイクロメーターのサイズから10μmよりも大きいサイズまで変化するインターポリマー粒子を生じる。該粒子は、不規則な形状を有し、しばしば溝やボイドを含んでいる。結果として、該粒子は、お互いに結合し、分散粘度に影響を与えうる。これらの分散物から注型されたフィルムは、あまり望ましくない外観、即ち変色し、クレーターとして知られる欠陥が多くある外観を有する。
【0025】
上記議論で明らかなように、本発明のフッ化ビニルインターポリマー組成物は、金属、プラスチック、セラミック、ガラス、コンクリート、繊維および木材のような広範囲の基板の高品質保護フィルムおよび高品質保護コーティングを作成するのに使用されうる。このようなフィルムを製造するための技術には、注型、浸積、スプレーおよび塗布の従来の方法が包含される。通常は、フィルムは、湿った分散物または溶液として沈積され、引き続き乾燥され、熱的に癒着される。本発明の分散物はまた、粉末コーティングを調製するのに適している。例えば、分散物のスプレードライは、基板に静電的にスプレーされ、融合して均一なコーティングを形成しうる粉末粒子を生じる。
【0026】
試験方法
ポリマー組成
ポリマーの組成はジメチルアセトアミドに溶解した各ポリマーを、130℃で、235.4MHzにおいてスペクトルを測定する19F−nmrによって決定した。CF基により生じる−80ppm付近のシグナルの積分を用いて、該ポリマー中に存在する場合には、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)またはパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)の量を測定した。存在する場合には、いずれかの他のモノマーによって与えられるCF含量に対して補正された、インターポリマー中のTFEユニットのCF基に対する−105から−135ppmの複雑な一連のシグナルの積分、および、存在する場合には、いずれかの他のモノマーよって与えられるCF含量に対して補正された、インターポリマー中のVFユニットのCHF基に対する−150から−220ppmの複雑な一連のシグナルの積分は、各サンプルに対して完全な組成データを提供した。
【0027】
TFEおよびCTFEのF−nmrシグナルが強く重なり合った複雑な多重線である場合の、TFEおよびCTFEを含むポリマーに対しては、nmr分析単独では、ポリマー中のこれらの成分の個々の量を決定することはできない。組成を完全に解析するには、CTFEに対するTFEのモル比を仮定し、これをポリマー中の、TFEとCTFEとを合わせたnmrシグナルと、VFのnmrシグナルとともに使用して、ポリマーの各モノマー成分のモルパーセント組成を計算した。次に、この組成物に対して計算された塩素の重量パーセントを、塩素の元素分析により決定された塩素の重量パーセントと比較した。計算された塩素含量と測定された塩素含量との間の差を、CTFEに対するTFEのモル比の評価をより正確にするために使用し、ポリマーのモノマー成分を再計算した。この相互に影響する工程は、計算された塩素含量および測定された塩素含量がポリマー中の各モノマーの正確な量を与える同じ値に収束するまで繰り返された。
【0028】
赤外スペクトルを使用し、イオン性末端基の存在を同定した。
【0029】
溶融粘度
溶融粘度は、分子量の相対的尺度として使用される。幾つかのポリマーの溶融粘度は極端に高く、キャピラリーレオメーターのダイから押し出されるときに極端なメルトフラクチャーを示す。これは一貫性のない結果を与える。信頼性のある測定値を得るために、ジメチルアセトアミド中の40重量%ポリマーの混合物を150℃で操作されるレオメーターで使用した。粘度を、23.4sec-1から3516sec-1の範囲の剪断速度で測定した。これらのデータの対数プロットは、線形最小二乗式に合致し、引き続きこれを100sec-1における粘度の計算に使用した。この値をMVとして報告した。
【0030】
融点
融点(T)を、示差走査熱量計(DSC)により空気中で測定した。サンプルのサーマルヒストリーはTの測定に影響しうるので、サンプルを10℃/分で250℃まで加熱し、次いで冷却し、10℃/分で再加熱した。サンプルの再加熱の間に観測された吸熱のピーク温度をTとして報告した。
【0031】

各サンプルの色を、ハンター・ラブ・ウルトラスキャン(Hunter Lab UltraScan)分光比色計(ハンター・アソシエイツ・ラボラトリー(Hunter Associates Laboratory), レストン(Reston)、VA)によって測定し、標準的な白色サンプルと比較してΔL、ΔaおよびΔb値を得た。
【0032】
加速耐候性試験
加速耐候性試験を標準SAEJ1960で特定される試験プロトコルに従って行った。この試験は、太陽光、熱および湿度の形態での湿り気、凝結または雨による極端な環境条件にさらされた物質の性能を測定する方法である。
【0033】
融解熱
ポリマーの融解熱をDSCにより記録された溶融吸熱下の領域を積分することにより決定し、J/gでのΔHとして報告した。
【0034】
ヘイズ測定
ヘイズ測定を、ハンター・アソシエイツ・ラボラトリー、レストン、VAにより製造されたハンター・ラブ・ウルトラスキャン分光比色計を用い、機器説明書に説明されているように操作してフィルム上で行った。ヘイズは、サンプルに対しては全光線透過に対する散乱光線透過の百分率として報告され、サンプルにより散乱される光の指標を与える。
【0035】
表面張力
フィルムの表面張力の測定を、水およびヨウ化メチレンをプローブ液として用いて、ウー(Wu)(S. Wu, J. Poly. Sci., Part C, (34), 19, (1971)(非特許文献2))の調和平均法により行った。
【0036】
分散粘度
分散粘度を、ストートン、MAのブルックフィールド・エンジニアリング・ラボラトリーズ(Brookfield Engineering Laboratories)により供給されたブルックフィールド(Brookfield)コーン・プレート粘度計、モデルDV−1を用い、製造者の説明書に従って操作して測定した。
【実施例】
【0037】
(実施例1〜12)
VF/TFE−カチオン性末端基
400mLのハスタロイ(Hastaloy)高圧管に、200mLの脱ミネラル水および表1で特定した量でV−50開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド(ワコー・ケミカルCo.、ダラス、TX)を加えた。この管を閉じ、半解けのアセトンドライアイス中で冷却し、次いで窒素を用いて3回排気およびフラッシュし、この管の内容物を脱酸素化した。モノマー、即ちフッ化ビニルおよびテトラフルオロエチレンを表1に特定した量でこの管に秤量し、充填したこの管をサーモスタットを備えたシェーカーに置いた。この管の内容物を70℃に加熱し、1時間震盪した。この間、管内の最初の圧力は、10.9〜6.8MPa(1600〜1000psi)の範囲であり、これは重合の進行とともに7.5〜4.1MPa(1100〜600psi)の範囲に低下した。この管を室温まで冷却し、過剰のモノマーを排出した。均一なポリマーラテックスが形成された。幾つかの場合には、ポリマーの一部は、サンプル容器の底に固まっていたが、これは激しく攪拌するか、または激しく震盪することによって容易に再分散された。使用されたV−50開始剤は、2−アミジノプロパンハイドロクロライドのカチオン性末端基をポリマーに提供した。このポリマーは、クエン酸三ナトリウムをこの溶液に加え、pHを約6.0にし、ラテックスを凝固することにより真空フィルター上でラテックスから分離されるか、または遠心することによりラテックスから分離され、次いでエアーオーブン中において90〜100℃で乾燥された。
【0038】
組成データ、溶融粘度(MV)およびピーク融解温度(T)を表1に報告した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
(実施例13〜15)
VF/TFEカチオン性末端基
VA−044開始剤(2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)ジハイドロクロライド(ワコー・ケミカルCo.、ダラス、TX)を表2に特定した量で使用した以外、本質的に、実施例1〜12の手順に従った。管の内容物を45℃に加熱し、8時間震盪した。管内の圧力は4.5〜3.9MPa(660〜570psi)の範囲であった。この開始剤は、N,N’−ジメチレンアミジノプロパンハイドロクロライドのカチオン性末端基をポリマーに提供する。
【0042】
【表3】

【0043】
(実施例16〜17)
VF/TFEアニオン性末端基
過硫酸アンモニウム(APS)をV−50の代りに用い、管を60℃に維持した以外、本質的に、実施例1〜12の手順に従った。200mLのステンレス鋼管に充填された物質の量、および作成されたポリマーに対して得られたデータを表3に報告した。APS開始剤は、アニオン性スルフェート末端基をポリマーに提供する。
【0044】
【表4】

【0045】
(実施例18〜36)
VF/TFEカチオン性末端基
攪拌し、ジャケットで覆った、3.8L(1U.S.gal)または38L(10U.S.Gal)の容量のステンレス鋼製水平型オートクレーブを重合容器として使用した。各ケースで、オートクレーブに温度および圧力を測定するための手段を備え付け、更に所望の圧力でオートクレーブにモノマー混合物を供給できるコンプレッサーを備え付けた。このオートクレーブにその容積の70〜80%のまで脱イオン化水を満たし、次いで窒素で2.1MPa(300psi)に加圧し、3回排出した。次に、水を70℃に加熱し、所望の比のモノマーを用いてオートクレーブの圧力を2.1MPaにした。次に、開始剤溶液、即ち3.8Lのオートクレーブに対しては水50mL中の1.5gのV−50、38Lのオートクレーブに対しては水400mL中の8.5gのV−50を注入した。次に、オートクレーブを半バッチ法で操作した。この方法では、所望のモノマー混合物(フッ化ビニルおよびテトラフルオロエチレン)を、一定の圧力を維持して重合が起こるように反応容器に添加した。こうするために、モノマー供給物を、コンプレッサーの高圧側から低圧側へループを通してリサイクルした。このリサイクルしたモノマーの気流の若干を、自動圧力調節弁によってオートクレーブに供給した。新鮮なモノマー供給物を、所望の比で、リサイクルループの低圧側で、残余のリサイクル気流に、反応容器に送られる物質を埋め合わせするように添加した。モノマーの供給を、最終のラテックス固体を与える予め決められた量がオートクレーブに供給されるまで継続した。各重合が完了するのに約2時間を要した。次に供給をストップし、オートクレーブの内容部を冷却し、排出した。ポリマーラテックスは、乳状の均一混合物として容易に受器に取り出された。この溶液に、pHが約6.0となるのに十分な量のクエン酸三ナトリウムを加え、次いで迅速に攪拌しながらポリマー:トルエン比が約2.0となるように、ラテックスにトルエンを加えることにより、吸引漏斗上にこれを単利し、90゜〜100℃でエアーオーブン中において乾燥した。各実験のデータおよびこれにより製造されたポリマーのデータを表4に示した。生成物の分析は、実施例1〜12で説明したように行った。
【0046】
実施例32で得たポリマーのサンプルを走査型電子顕微鏡で試験した。この粒子は、均一に球状をしており、実質的に形状が球形であり、直径は約0.3から0.4μm(300nmから400nm)まで変化した。
【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
(比較例 A〜D)
重合が開始された後に一定の圧力を維持するために管に水を注入しなかったこと以外、本質的に、コフマンおよびフォード、実施例5の方法に従った。これは、経験によって、観測される圧力の低下が、これらの実験に対してコフマンおよびフォードにより報告された変化よりも小さかったので必要なかった。すべての場合において、最初に、200mLの脱ミネラル水および0.4gの過酸化ベンゾイルを400mLのハスタロイ管に充填した。重合を80℃で8時間行った。他の物質を以下に示すように添加し、ポリマーを実施例1〜12で説明したように分析した。生成したポリマーは水で湿潤されず、非常に均一な混合物を形成し、該ポリマーは完全に透明な水層の上部に乾燥した凝集物として浮遊していた。激しく震盪してもポリマーの凝集物は分散されなかった。比較例Aによって製造されたインターポリマーのサンプルを走査型電子顕微鏡で試験した。形成された粒子は、幅において1μmよりも小さいサイズから10μmよりも大きなサイズまで変化した。該粒子は均一な形状では全くなく、溝およびボイドを形成してお互いに塊状に集まる傾向があった。結果を表5に示す。
【0050】
【表7】

【0051】
(実施例37〜42)
本発明のポリマーが当分野のものから分析的に容易に区別されうることを示すために、幾つかのサンプルの赤外スペクトルを得た。V−50開始剤の参照スペクトルも得、これはアミジンハイドロクロライド基に帰属しうる1680cm−1に強いバンドを示した。表6に示されるように、V−50開始剤を用いて作成されたポリマーは、1680cm−1に弱いバンドが存在することによりアミジンハイドロクロライド末端基の存在を示した。このバンドは、過酸化ベンゾイルを用いて作成されたポリマーの赤外スペクトルには存在しなかったが、過酸化ベンゾイルから誘導されたポリマーにはフェニル基末端基に由来する1603cm−1のバンドが存在した。このバンドは、V−50を用いて作成されたポリマーのスペクトルには存在しなかった。2975cm−1におけるCH伸縮バンドに対するこれらのバンドの強度の比を表6に報告した。
【0052】
このように、本発明のインターポリマー中のイオン性末端基は、分光学的手法により容易に同定することができる。先に議論したように、組成物中でのこの相違により、水性媒体中でのこれらのインターポリマーの分散性が説明される。
【0053】
【表8】

【0054】
(実施例43)
実施例35および比較例Aから得たインターポリマーを、1.6gの各ポリマーと4.8gの溶媒を混合することにより、N−メチルピロリドン中の25重量%分散物とした。各混合物をステンレス鋼ショットを用いて15分間ペイントシェーカーで震盪し、分散物を形成した。各分散物の一部を、ドクターナイフによりポリエステルフィルム上に側面ごとに散布し、約7.6cm×17cmの領域をコーティングした。該ポリエステルをフレーム中に留め、次いでこれを循環式エアーオーブンに置き207℃に加熱し、これを3分間維持した。次に、サンプルをオーブンから取り出し、室温に冷却した。
【0055】
実施例35のポリマーから得たフィルムをポリエステルから剥がした。これは、12μm(0.5mil)の厚さの透明で、なめらかであり、且つピンホールやクレーターのような欠陥を有しなかった。このフィルムはまた、柔軟且つ強靱であった。これは、くっきりと折り目がつき、破れることなくつかみ取ることができた。
【0056】
比較例Aから得たフィルムも、12μmの厚さであったが、これは一般にクレーターと呼ばれる欠陥で満たされていた。これらの欠陥は、注型用溶媒とポリマーの間で生じる湿潤が乏しい場合に生じうる。ポリエステルからこのフィルムを剥がす試みを行った場合、これは亀裂が入ったり、裂けたりする傾向を有していた。この実験の結果は、従来技術のインターポリマーに比べて、本発明のインターポリマーの利点を示す。
【0057】
(実施例44)
ホモポリマーPVFに比べてVF/TFEインターポリマーが有利であることが幾つかの方法で示されうる。例えば、該インターポリマーの熱安定性は、ポリマーのTFE含量が増加するにつれて高くなる傾向がある。これは、圧縮成形後に樹脂サンプルの変色を測定することによって証明されうる。この目的ために、約10gのポリマーを、直径5.08cm(2.0in)且つ深さ0.318cm(0.125in)の空洞を有するスチール製モールドに置いた。このモールドを閉じ、220℃に加熱した圧搾機中に置いた。このモールドを圧力が加わる前に2分間加熱させ、次いで、以下の表7に示される追加の時間、加圧下で220℃に保持した。次に圧搾機を約120℃に冷却し、モールドを圧搾機から除去し、これを開けてサンプルを回収した。成形工程の間にホモポリマーの破滅的な分解を避けるために、1phrのイルガノックス(登録商標)(Irganox(登録商標))1035抗酸化剤(チバ−ガイギー(Ciba-Geigy))をこのPVFサンプルに添加する必要があったが、インターポリマーには抗酸化剤を添加しなかった。
【0058】
各サンプルの色を、ハンター・ラブ・ウルトラスキャン分光比色計により測定し、標準白色サンプルと比較してΔL、ΔaおよびΔb値を得た。これらの測定結果を表7に報告した。サンプルの全色変化を示すΔE値はΔL、ΔaおよびΔbから、これらのパラメータの二乗の和の平方根を決定することにより計算される。負のΔL値は、サンプルが標準よりも暗いことを示し、一方、ΔaおよびΔb値は、サンプルが標準よりも赤いことおよび黄色いことを示す。より低いTFE含量の樹脂から作成された小片に対してΔEが増加することは、圧縮成形工程の間にこれらがより変色したことを示す。視覚的には、37.1%のTFEを含む樹脂から作成された、成形されたインターポリマー小片は、わずかに黄色であった。10.1%のTFEを含む樹脂から作成された小片は、多少の茶色の縞を伴ったより濃い黄色であり、このホモポリマー小片は、暗褐色であった。これらを作成するのにより長い成形時間を用い、分解を防止するための抗酸化剤を存在させなかったにもかかわらず、このインターポリマー小片に対するより淡い色は、PVFに比してこれらの物質の熱的安定性が優れていることを示す。
【0059】
【表9】

【0060】
(実施例45)
PVFに比してVF/TFEインターポリマーの利点を示す他の方法は、加速耐候性試験である。SAEインターナショナルが、太陽光、熱および湿度の形態の湿り気、凝結または雨による極端な環境条件にさらされた物質の性能を評価する加速試験法を開発した。この試験プロトコルは、標準SAEJ1960で特定される。透明なフィルム25μm(1mil)厚をこのプロトコルにかけ、サンプルを評価用に定期的に回収した。0.61cm(0.25in)幅の小板にカットされたこのフィルムの引っ張り特性をASTM法D882に従って測定した。比較を容易にするために、保持された引っ張り強さのパーセントまたは保持された最大伸長のパーセントを、さらしていないサンプルから得たその特性の値で、さらした後に得られた測定された特性を割り、100倍することにより計算した。これらのデータを表8に報告した。このデータは、インターポリマーから作成されたフィルムが、PVFから作成されたフィルムで維持されるよりも更に高いパーセンテージの、これらの元の引っ張り特性を維持することを示し、このことは、インターポリマーが優れた耐候性の特徴を有することを示す。
【0061】
【表10】

【0062】
(実施例46)
PVFホモポリマーに比したVF/TFEインターポリマーの利点を証明する他の方法は、樹脂の表面張力を測定することである。これは、低い表面張力を有する物質がより表面張力の高い物質によって湿潤されず、従って汚れに対して本質的に耐性であるので、重要な特性である。低い表面張力はまた、表面に汚れを結合する接着力が低いので若干の汚れが生じた場合でも洗浄を容易にする。結果として、より表面張力が低い物質のフィルムまたはコーティングで覆われた基板は、より長時間にわたって輝いて見え、且つ新しく見え、そして表面張力のより大きな物質で覆われた基板よりも保守の必要性が少ない。
【0063】
VF/TFEインターポリマーの表面張力は、調和平均法を用いる接触角の測定から決定される。(ウー、ポリマーインターフェースおよび接着、マーセル・デッカー、ニューヨーク、N.Y.、1982(Wu, Polymer Interface and Adhesion, Marcel Dekker, New York, N.Y., 1982)(非特許文献3))データを以下の表9に示した。表面張力はインターポリマー中のTFEの含量が増加するに従い低下することが観測された。表面張力が低下された結果として、靴墨で汚されたか、またはペンでしるしの付けられたフィルムは、乾燥布または2−プロパノールのような溶媒で湿らされたもので、同様に汚されたPVFフィルムよりも容易に、且つ完全に清浄化された。この結果は更に、インターポリマーの利点を証明する。
【0064】
【表11】

【0065】
(実施例47〜54)
VF/HFPカチオン性末端基
400mLのハスタロイ高圧管に、200mLの脱ミネラル水およびV−50開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド(ワコー・ケミカルCo.、ダラス、TX)を表10で特定した量で加えた。この管を閉じ、半解けしたアセトンドライアイス中で冷却し、次いで窒素で3回排出し、フラッシュして管の内容物を脱酸素化した。モノマー(フッ化ビニルおよびヘキサフルオロプロピレン)を表10で特定した量でこの管に秤量し、この充填した管をサーモスタット付きのシェーカーに置いた。この管の内容物を70℃に加熱し、1時間震盪した。この間に管の初めの圧力は3.7〜3.1MPa(540〜450psi)の範囲にあり、これは重合が進行するに従い1.3〜0.5MPa(190〜68psi)に低下した。この管を室温まで冷却し、過剰のモノマーを排出した。均一なポリマーラテックスが、2−アミノプロパンハイドロクロライドのカチオン性末端基を有して形成された。該ポリマーを、遠心によってラテックスから分離し、次いでエアーオーブン中において90〜100℃で乾燥した。
【0066】
ジメチルアセトアミド中に膨潤されたポリマーを130℃において、235.4MHzでスペクトルを測定する19F−nmrにより分析した。HFPからのCFシグナルに対して補正された、インターポリマーのHFPユニットからのCF基に対する−70から−75ppmのシグナルの積分、およびインターポリマーのVFユニットからのCHF基に対する−140から−220ppmの複雑な一対のシグナルの積分は、表10に報告した樹脂に対する組成データを与えた。
【0067】
融点を10℃/分の速度で加熱されたDSCにより、空気中で測定した。ピーク融解温度は、表10にTとして報告されている。約19モル%以上のHFPを含むインターポリマーは、アモルファスであることが見出され、DSCで吸熱を示さなかった。これらは表10で「amorph」と表示した。
【0068】
【表12】

【0069】
(実施例55〜60)
VF/ビニルエーテルカチオン性末端基
パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)またはパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)を、表11に示すようにHFPの変わりに用いた以外、実施例47〜54に対して説明した手順を使用した。
【0070】
インターポリマーのVFユニットからのCHF基に対する−140から−220ppmの一対のシグナルを、シグナルが重なり合っていなかったためにビニルエーテルからのCFシグナルに対して補正しなかった以外、このポリマーを先に説明したように19F−nmrにより分析した。
【0071】
融点を、10℃/分の速度で加熱されたDSCにより空気中で測定した。ピーク融解温度を、表11にTとして報告した。高濃度のビニルエーテルを含む幾つかのインターポリマーは、アモルファスであることが見出され、DSCで吸熱を示さなかった。これらは表11において、「amorph」と表示した。
【0072】
【表13】

【0073】
(実施例61〜72)
カチオン性末端基を有するターポリマー
3.8L(1U.S.gal)の容積の、攪拌し、ジャケットで覆ったステンレス鋼製水平型オートクレーブを重合容器として使用した。各場合において、オートクレーブに温度および圧力を測定するための手段、および所望の圧力で該オートクレーブにモノマー混合物を供給することができるコンプレッサを備え付けた。該オートクレーブに、脱イオン化水をその容積の70〜80%まで満たし、次いで2.1MPa(300psi)まで窒素で加圧し、3回排出した。次に水を70℃に加熱し、VF(フッ化ビニル)およびTFE(テトラフルオロエチレン)モノマーを所望の比で使用し、オートクレーブの圧力を2.1MPaとした。次いで、開始剤溶液、即ち50mLの水中の、1.5gのV−50開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、ワコー・ケミカルCo.、ダラス、TX)を該オートクレーブに注入した。このオートクレーブを半バッチ法で操作した。この方法では、所望のVFおよびTFE混合物を、一定の圧力を維持して重合が起こるように反応容器に加えた。これを行うために、モノマー供給物をコンプレッサーの高圧側から低圧側へループを通してリサイクルした。若干のこのリサイクルモノマー気流を、自動圧力調節弁によりオートクレーブに供給した。新鮮なモノマー供給物を、所望の比で、リサイクルループの低圧側で、残余のリサイクル気流に、反応容器に送られる物質を埋め合わせするように添加した。パーフルオロブチルエチレン(PFBE)のモノマーまたはパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)のモノマーを含むターポリマーを作成する場合、これらのモノマーをポンプにより液体として別にオートクレーブに供給した。予め決められた量を供給し、オートクレーブ中で所望の固体が得られるまで、すべてのモノマーの供給を継続した。ヘキサフルオロプロピレン(HFP)をターモノマーとして使用する場合、VFおよびTFEモノマー全体の約10%を供給した後、50gを一回で反応容器に注入した。VFおよびTFEモノマーの供給を、最終のラテックス固体を与える予め決められた量がオートクレーブに供給されるまで継続した。使用されたターモノマーに依存して各重合を完了すのに約2から4時間を要した。次に、供給を停止し、オートクレーブの内容物を冷却し、圧力を開放した。このポリマーラテックスは、乳状の均一混合物として受器に容易に取り出すことができた。ポリマーを、この溶液にクエン酸三ナトリウムをpHが約6.0になるのに十分な量で加えることにより吸引漏斗上に単離し、エアーオーブン中、90゜〜100℃で乾燥した。使用したV−50開始剤は、2−アミジノプロパンハイドロクロライドのカチオン性末端基をポリマーに与える。反応容器の条件を示す各実施例に対するデータ、およびこれらの条件で製造されたポリマーのデータを表12に示した。
【0074】
ポリマーの注型分散物を、8.0gのポリマーと15.0gのプロピレンカーボネートを約0.32cmの直径の25gのステンレス鋼ショットに備えたボトルに加えることにより調製した。このボトルは密栓され、ペイントシェーカーに置かれ、15分間練られ、ポリマーの塊のない均一な分散物を与えた。幾つかの場合、特に非常に低い表面エネルギーを持った樹脂に対しては、この分散物は混練した後に気泡を保持する傾向があった。これは、少量のメタノール、約5mLをこの分散物に加え、気泡の放出を促進することにより改善された。次に、この分散物の一部を平坦な真空プレート上に保持されたポリエステルフィルムのシート上にあけ、ドクターナイフにより引き下ろし、薄い均一なコーティングを得た。このコーティングされたフィルムを、フレームに留め、華氏204度に加熱された強制通風式エアーオーブンに3分間置いた。このフィルムをオーブンおよびフレームから取り出し、乾燥フルオロポリマーフィルムを該ポリエステルから剥がした。各フルオロポリマーフィルムは1ミル厚であった。このフィルムの一部をヘイズを測定するのに使用し、一部を表面張力の測定に使用した。
【0075】
表13の試験データは、ターモノマーの濃度が高くなるにつれてターポリマーの融点および融解熱の両方が低下することを示した。これらの結果は、このターモノマーがポリマーの結晶性の構造を崩壊すること、および該効果が一般にポリマーに取り込まれたターモノマーの量に比例することを証明する。このように、ターポリマーは、同等の[VF]/[TFE]のインターポリマーよりも低い結晶性を有する。結晶性が減少する結果として、ターポリマーに対して幾らかの実用的な利点が観測されている。
【0076】
例えば、表13中のデータはまた、ターモノマーの第1の増加分がポリマーに取り込まれた後に、フィルムのヘイズの急激な降下を示した。一般に、ヘイズのより低いポリマーフィルムはより高いターポリマー含量を有する傾向があり、従って、これはポリマーの結晶性の低下と相関する。
【0077】
このターポリマーは、十分なターモノマーが該ポリマーに取り込まれている場合には、ケトン、エステル、および幾つかのエーテルのような一般的な有機溶媒に室温で安定な溶液を形成することが見出された。表13のデータは、例えばTHFに溶解しうるターポリマーを報告した。これらの溶液は、ポリマーおよび溶媒をボトル中で約70℃まで温め、これらをしばしば震盪することにより調製された。溶解が完了し、溶液が室温まで冷却された場合、これらは、均一な流体のままであり、これをガラスプレート上にコーティングし、周囲温度で空気中において乾燥させた。透き通った光沢のある、該ガラスによく接着したコーティングが、表13で溶液として記載した樹脂に対して形成された。不溶性樹脂は、THF中で温めた場合でも細かく分離した粒子として残り、空気乾燥した際に白色粉末状のコーティングを形成したのみであり、これはガラスプレートから容易にふき取ることができた。
【0078】
表13のデータはまた、ターポリマーから作成されたフィルムおよびコーティングの表面張力に関してターモノマーが有する影響を表している。このポリマーのターモノマー含量が増加するにつれて表面張力が低下することが注目された。低い表面張力が、フィルムおよびコーティングに優れた剥離特性を付与を付与することは当分野で周知であり(例えば、イノウエら(Inoue et al.)J. Appl Polym. Sci., 40, 1917 (1990)を参照。)、剥離シート、剥離フィルム若しくは剥離ペーパー、離型噴霧剤およびダイ潤滑剤のようなこの貴重な物質を作成する。この低表面張力はまた、しみや汚れが、コーティングされた表面または壁板、繊維およびカーペットのような製品につくのを困難にさせる。これらのターポリマー樹脂はまた、より高い表面張力のポリマーとブレンドして使用される場合に、低い表面張力を付与するのに特に有用である。
【0079】
【表14】

*10%のTFEが供給された後に反応容器に50gのHFPをすべて注入した。
【0080】
【表15】

【0081】
【表16】

【0082】
【表17】

*溶液は、61、71および72(これは2.5%(w/v)である)以外、THF中5%(w/v)ポリマーである。
【0083】
(実施例73〜75)
アニオン性末端基を有するVF/TFE
7.6L(2U.S.gal)容積の、攪拌され、ジャケットで覆ったステンレス鋼製水平型オートクレーブを重合容器として使用した。各ケースで、オートクレーブに、温度および圧力を測定するための手段、および所望の圧力で該オートクレーブにモノマー混合物を供給することができるコンプレッサーを備え付けた。このオートクレーブに、その容積の55〜60%まで以下の表14に示したような界面活性剤を含む脱イオン化水を満たした。次に、これを窒素で2.1MPa(300psi)に加圧し、3回排出した。次に水を90℃に加熱し、モノマーを所望の比で使用し、オートクレーブの圧力を2.1MPaとした。開始剤溶液は、1Lの脱イオン化水に2gのAPSを溶解して調製された。この開始剤溶液を、5分間に渡って25mL/分の速度で反応容器に供給し、次いで供給速度を減じ、実験期間中1mL/分に維持した。このオートクレーブを半バッチ法で操作した。この方法では、所望のモノマー混合物を、一定の圧力を維持して重合が起こるように反応容器に供給した。こうするためには、モノマー供給物を、コンプレッサーの高圧側から低圧側にループを通してリサイクルした。このリサイクルモノマーの気流の若干を、自動圧力調節弁によりオートクレーブに供給した。新鮮なモノマー供給物を、所望の比で、リサイクルループの低圧側で、残余のリサイクル気流に、反応容器に送られる物質を埋め合わせするように添加した。モノマーの供給を、最終のラテックス固体を与える予め決められた量がオートクレーブに供給されるまで継続した。各重合を完了するのに約2時間を要した。次に供給を停止し、オートクレーブの内容物を冷却し、排出した。ポリマーラテックスは、乳状の均一混合物として受器に容易に取り出された。ポリマーを、10%NaOHを用いてラテックスのpHを約5.0に調節し、1リットルのラテックスあたり、水に溶解された4.0gのMgSO・7HOを加えることによって吸引漏斗上に単離した。濾過したケーキを水で洗浄し、エアーオーブン中、90゜〜100℃で乾燥した。各実験のデータおよびこれにより製造されたポリマーのデータを表14に示した。生成物の分析は実施例1〜12で説明したように行った。
【0084】
【表18】

【0085】
【表19】

【0086】
(実施例76〜91)
VF/TFE/CTFEターポリマー
7.6L(2U.S.gal)容積の、攪拌され、ジャケットで覆ったステンレス鋼製水平型オートクレーブを重合容器として使用した。各ケースで、このオートクレーブに、温度および圧力を測定するための手段、および所望の圧力で該オートクレーブにモノマー混合物を供給することができるコンプレッサーを備え付けた。このオートクレーブに、その容積の55〜60%まで以下の表15に示されるような界面活性剤を含む脱イオン加水を満たした。次に、これを窒素で2.1MPa(300psi)に加圧し、3回排出した。次に水を90℃に加熱し、モノマーを所望の比で使用し、オートクレーブの圧力を2.1MPaとした。開始剤溶液を、1Lの脱イオン化水に2gのAPSを溶解して調製した。この開始剤溶液を、5分間に渡って25mL/分の速度で反応容器に供給した。重合を、20psiの圧力低下が観測されるまで継続させた。次に、過剰のモノマーを排出し、反応容器の内容物を冷却した。ポリマーラテックスは、濁った均一混合物として受器に容易に取り出された。ポリマーを、1リットルのラテックスあたり、水に溶解された7.0gの(NHCOを加えることによって吸引漏斗上に単離した。濾過されたケーキを水で洗浄し、エアーオーブン中、90゜〜100℃で一定の重さになるまで乾燥した。各実験のデータおよびこれにより製造されたポリマーのデータを表15に示した。生成物の分析は試験法の欄で先に説明したように行った。表15の結果は、広範囲のポリマー組成物を示す。これらの幾つかは半結晶性物質であり、これは、表15でTmの表示がされた欄に報告されているように、約85℃から約193℃の範囲の融点を有する。この欄において、によってしるしのつけられた記載事項は、DSCにより決定されたガラス転移値であり、十分な結晶性内容物のないアモルファス物質である組成物を表す。樹脂の色も表15に記録した。約35wt%よりも高いVF含量を有する幾つかの組成物は、乾燥の間に変色する傾向があった。
【0087】
実施例76〜91で調製されたような高品質の水性分散物は、種々の基板にパウダーコーティングを施すスプレードライに適している。表15からの組成物は、熱安定性およびそのような適用に対する色に基づいて選択されうる。
【0088】
【表20】

【0089】
【表21】

注:
(1)2gのAPS/L、開始のために5分間は25mL/分、次いで1mL/分、4300mlの予め充填したDI水中15.0gのゾニル(登録商標)FS−62、300psi、90℃、攪拌器80rpm
(2)250℃/100/秒
*TmではなくTg
【0090】
(実施例92〜94)
VF/TFE/CTFEターポリマー
オートクレーブを半バッチ法で操作した以外、本質的に実施例73〜91に対する手順に従った。該半バッチ法においては、所望のモノマー混合物を、一定の圧力を維持して重合が起こるように反応容器に添加した。これは、より多くのポリマーをバッチ当たりに生成するより多い反応容器固体を得ることを可能にした。これを行うためには、モノマー供給物を、重合の間のモノマーの反応性の違いを考慮して、予め充填されたモノマーに関して調節した。このモノマー供給物を、コンプレッサーの高圧側から低圧側へループを通してリサイクルした。このリサイクルモノマーの気流の若干を、自動圧力調節弁によりオートクレーブに供給した。新鮮なモノマー供給物を、所望の比で、リサイクルループの低圧側で、残余のリサイクル気流に、反応容器に送られる物質を埋め合わせするように添加した。モノマーの供給を、最終のラテックス固体を与える予め決められた量がオートクレーブに供給されるまで継続した。各重合が完了するのに約2〜3時間を要した。目標量のモノマーを反応容器に供給したとき、供給を停止し、反応容器から過剰のモノマーを排出し、次いで反応容器を冷却した。1Lのラテックスあたり70mLのHFC4310(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン)を迅速に攪拌しながら加え、濾過を容易にするために凝塊を小片へ変換した以外、このポリマーを実施例73〜91で説明したように単離し、分析した。これらの実施例のデータを表16に示した。
【0091】
【表22】

【0092】
【表23】

(1)2gのAPS/L、開始のために5分間は25mL/分、次いで1mL/分、4300mlの予め充填したDI水中7.0gのFS−62、300psi、90℃、攪拌器80rpm
(2)MVは250℃@100/秒で決定した。
【0093】
本発明は、請求の範囲に記載した発明を含めた、以下に記載の発明を包含する。
(1) 1〜99mol%のフッ化ビニルおよび99〜1mol%の、少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーから誘導されるポリマーユニットを含有するインターポリマーであって、前記インターポリマーがイオン性末端基の存在によって特徴付けられ、前記ポリマーが約200nmから400nmの平均直径を有する粒子の形態にあることを特徴とするインターポリマー。
(2) 前記高度にフッ素化されたモノマーがフルオロオレフィンであることを特徴とする(1)に記載のインターポリマー。
(3) 該高度にフッ素化されたモノマーが、フッ素化されたビニルエーテルおよびフッ素化されたジオキソールよりなる群から選択されることを特徴とする(1)に記載のインターポリマー。
(4) 10〜90mol%のフッ化ビニルおよび90〜10mol%のテトラフルオロエチレンより本質的になることを特徴とする(2)に記載のインターポリマー。
(5) 60〜80mol%のフッ化ビニルおよび40〜20mol%のテトラフルオロエチレンより本質的になることを特徴とする(2)に記載のインターポリマー。
(6) 前記粒子が、該粒子の90%が平均粒子直径のプラスまたはマイナス10%の範囲内にあるサイズ分布を有することを特徴とする(1)に記載のインターポリマー。
(7) 前記粒子が、該粒子の90%が平均粒子直径のプラスまたはマイナス5%の範囲内にあるサイズ分布を有することを特徴とする(1)に記載のインターポリマー。
(8) 前記粒子が、長軸および短軸に沿った粒子の平均直径の比が1.0:1から1.3:1までであるような実質的に球形であることを特徴とする(1)に記載のインターポリマー。
(9) 前記インターポリマーが実質的にランダムなインターポリマーであることを特徴とする(1)に記載のインターポリマー。
(10) 水性媒体およびこれらに分散された(1)に記載のインターポリマーの粒子を含有することを特徴とする水性分散物。
(11) 70から95重量%の水およびこれに分散された5から30重量%の、1から99mol%のフッ化ビニルおよび99から1mol%の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーから誘導されるポリマーユニットを含有するインターポリマーを含有する水性分散物であって、前記インターポリマーがイオン性末端基の存在によって特徴付けられることを特徴とする水性分散物。
(12) 85〜90重量%の水および10〜15重量%のインターポリマーを含有することを特徴とする(11)に記載の水性分散物。
(13) 該分散物の粘度が500センチポイズ(0.5Pa・s)よりも小さいことを特徴とする(11)に記載の水性分散物。
(14) 極性有機溶媒およびこれに分散された、1〜99mol%のフッ化ビニルおよび99〜1mol%の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーから誘導されるポリマーユニットを含有するインターポリマーの粒子を含有する非水性分散物であって、前記インターポリマーがイオン性末端基の存在によって特徴づけられることを特徴とする非水性分散物。
(15) 前記極性溶媒が、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、またはジメチルスルホキシドよりなる群から選択されることを特徴とする(14)に記載の非水性分散物。
(16) 前記分散物の粘度が、500から10000センチポイズ(0.5から10Pa・s)の範囲にあることを特徴とする(14)に記載の非水性分散物。
(17) 前記分散物の粘度が、1500から3500センチポイズ(1.5から3.5Pa・s)の範囲にあることを特徴とする(14)に記載の非水性分散物。
(18) フッ化ビニルおよび少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーを、水中において、水溶性フリーラジカル開始剤を用い、60から100℃の範囲の温度および1から12MPa(145から1760psi)の範囲の圧力で重合する工程を具備することを特徴とするインターポリマーを製造するための方法。
(19) 前記水溶性フリーラジカル開始剤が、有機アゾ化合物および無機過酸の塩よりなる群から選択されることを特徴とする(18)に記載の方法。
(20) 前記水溶性フリーラジカル開始剤が、アゾアミジン開始剤であることを特徴とする(19)に記載の方法。
(21) 前記水溶性フリーラジカル開始剤が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドであることを特徴とする(20)に記載の方法。
(22) 前記水溶性フリーラジカル開始剤が、パースルフェート開始剤であることを特徴とする(19)に記載の方法。
(23) (1)に記載の前記インターポリマーから形成されることを特徴とする成形製品。
(24) (14)に記載の非水性分散物から注型されることを特徴とする自己支持フィルム。
(25) (14)に記載の非水性分散物から形成されたコーティングを有する少なくとも1つの表面を持つ基板を含むことを特徴とするコーティングされた製品。
(26) 該基板が、金属、ポリマー、木材、コンクリート、およびセラミックよりなる群から選択されることを特徴とする(25)に記載のコーティングされた製品。
(27) 基板および該基板の少なくとも1つの表面に接着された(24)に記載の前記フィルムを含有する具備することを特徴とする積層製品。
(28) 前記基板が、金属、ポリマー、木材、コンクリートおよびセラミックよりなる群から選択されることを特徴とする(27)に記載の積層製品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターポリマーを製造するための方法であって、フッ化ビニルおよび少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーを、水中において、水溶性フリーラジカル開始剤を用い、60から100℃の範囲の温度および1から12MPa(145から1760psi)の範囲の圧力で、乳化重合法により重合する工程を具備し、前記高度にフッ素化されたモノマーは、炭素に結合された原子の50%またはそれよりも多くが、結合原子を除いて、フッ素であるものであり、前記フッ化ビニルおよび前記の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーが10から90mol%のフッ化ビニルおよび90から10mol%の少なくとも1つの高度にフッ素化されたモノマーから誘導されるポリマーユニットを含むインターポリマーを産出する量で使用され、前記重合が水平型オートクレーブ中で行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
水性媒体およびこれに分散された請求項1に従って調製されたインターポリマーの粒子を含むことを特徴とする水性分散物。
【請求項3】
70から95重量%の水およびこれに分散された5から30重量%の、請求項1に従って調製されたインターポリマーを含むことを特徴とする水性分散物。
【請求項4】
極性有機溶媒およびこれに分散された、請求項1に従って調製されたインターポリマーの粒子を含むことを特徴とする非水性分散物。
【請求項5】
請求項3に記載の非水性分散物から注型されることを特徴とする自己支持フィルム。
【請求項6】
請求項3に記載の非水性分散物から形成されたコーティングを有する少なくとも1つの表面を持つ基板を含むことを特徴とするコーティングされた製品。
【請求項7】
基板および該基板の少なくとも1つの表面に接着された請求項4に記載の前記フィルムを含むことを特徴とする積層製品。

【公開番号】特開2008−156652(P2008−156652A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203(P2008−203)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【分割の表示】特願平10−544155の分割
【原出願日】平成10年4月14日(1998.4.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】