説明

フッ化物塗布装置

【課題】歯ブラシの先にフッ化物を適量出して、塗りたい部分にだけ直接歯を磨くようにして塗ることができるフッ化物塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】把持用柄部5とブラシ部3が設けられたヘッド部2とを備え、前記ブラシ部3は毛束の先端が尖がった形状に形成され、該ブラシ部3の先端に一回分の塗布量の液状若しくは粘性流体状のフッ化物を送り出す送り出し機構9を前記把持用柄部5に設け、歯面にピンポイントでフッ化物を直接塗布できるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯面に効率よくフッ化物を塗布するフッ化物塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ化物の歯面への塗布による虫歯予防の有効性は広く知られている。
歯のエナメル質は、99%がリン酸カルシウムの結晶からなり、ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)と非常によく似た構成をしている。しかし、エナメル質アパタイトは結晶性が低いため、結晶の不完全な部分からカルシウムが溶出したり、唾液中のカルシウムが取り込まれたりすることで虫歯の発生原因となっている。
【0003】
このハイドロキシアパタイトにフッ素が取り込まれると、フッ素がハイドロキシアパタイトの水酸基と置換して、ハイドロキシアパタイトよりも水や酸に溶けにくい安定した結晶のフルオロアパタイトが生成される作用を持つ。このため、フッ化物の多量採取は毒性を有するものの、適量塗布によって虫歯の予防につながるため、利用されてきた。
【0004】
このフッ化物の歯面への供給方法としては、歯科医院で行われるフッ化物の歯面塗布による方法、またはフッ化物洗口による方法、またはフッ化物配合歯磨剤による方法が挙げられるが、何れの方法による場合でも歯の表面に効率良くフッ化物を供給することが必要である。
【0005】
一方、フッ化物を歯の表面へ効率よく供給するために、歯磨組成物や口腔用ミクロゲルについての発明が知られており、例えば特許文献1(特開2010−173950号公報)においては、歯の表面に吸着しやすく垂れにくく、歯と歯の間あるいは歯と歯茎の間に容易に侵入でき、フッ化物イオンの分散溶出度が高く、フッ化物イオンを高効率に歯の表面のすみずみまで供給できるフッ素化合物及び寒天を含む口腔用ミクロゲルについて開示されている。
【0006】
また、この特許文献1には、口腔用ミクロゲルの具体的な供給方法として、スプレー式容器に充填して、スプレー噴射して直接歯表面に供給する方法や、歯磨きのブラシ部分上へ載せるためにスプレー噴霧する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−173950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フッ化物の歯面への供給は、前述のように虫歯予防に効果的であり、特許文献1には効率良く供給できる歯磨組成物や口腔用ミクロゲルについて開示され、さらに、歯面への供給手段としてはスプレー噴射のよる直接的な供給や、または歯磨き用の歯ブラシを用いての供給が示されている。
しかし、これらフッ化物の歯の表面への供給手段の例として示されているスプレー噴射や歯磨き用歯ブラシは、フッ化物の歯面への供給を主目的とした専用の特殊構造を有するものではなく、単にスプレーによって噴射して塗布するものであり、また一般の歯磨き用の歯ブラシを用いたものとして示されているにしか過ぎず、必ずしも効率的に歯面への供給を行う専用構造を開示するものではなかった。
【0009】
特に、萌出したての歯のエナメル質は脆弱のため少しでも出てきたらすぐにフッ化物を歯面に塗布すると効果的である。すなわち、萌出直後の歯の表面のエナメル質は、虫歯にかかりやすい半面、エナメル質にフッ化物が取り込まれやすいため、虫歯予防効果も大きいからである。
また、フッ化物の歯面への供給方法とし前述したような、歯科医院で行われるフッ化物の歯面塗布については、効果的であるが費用面及び手間がかかる問題があり、また、一般家庭で行われているフッ素洗口に関しては、濃度が薄くまた誤飲の心配もあることから、一般に広がっていない。また、フッ化物配合歯磨剤による方法については、ピンポイントの塗布は行いにくく特定の歯面に対する虫歯予防効果は期待し難いものであった。
【0010】
そこで、本発明はこれら問題に鑑みてなされたものであり、歯ブラシの先にフッ化物を適量出して、塗りたい部分にだけ直接歯を磨くようにして塗ることができるフッ化物塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため本発明は、把持用柄部とブラシが設けられたヘッド部とを備え、前記ブラシは毛束の先端が尖がった形状に形成され、該ブラシの先端に一回分の塗布量の液状若しくは粘性流体状のフッ化物を送り出す送り出し機構を前記把持用柄部に設け、歯面にピンポイントでフッ化物を塗布することを特徴とする。
【0012】
かかる発明によれば、フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、酸性フッ素リン酸)の溶液、もしくはフッ化物を含有させた粘性流動体を歯面に直接塗布できるようになる。しかも、毛束によって形成されるブラシの先端が尖がっているため、その尖った部分にフッ化物の溶液または粘性流体が集まるため、塗りたい部分にだけに直接歯を磨くようにして塗布することができ、ピンポイントへの塗布が容易に行える。
【0013】
また、把持用柄部にフッ化物を送り出す送り出し機構を設けるので、送り出し操作と塗布操作とを把持用柄部を握りながら同時に、またはブラシで歯面のごみ等を取り除くようにして磨きながらもしくは取り除いた後にすぐに塗布することができるため、簡単に且つ効率よく塗布できるようになる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、その送り出し機構として、板バネ機構による押圧力により押し出す機構、または、ローラ機構によるローラの回転もしくはスライドにより押し出すとよい。
このように板バネ構造やローラ構造によって、把持用柄部に装着できる軽量コンパクトな送り出し機構にできる。
【0015】
また、前記送り出し機構を構成するフッ化物の収納容器が弾力性のない材料によって形成され、押し出し後に収納容器内にフッ化物が戻らないようにするとよい。
このように構成することによって、送り出し機構の作動によって確実に1回分の塗布量を送り出すことができ、歯面に適切な塗布量を供給できる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記送り出し機構を構成するフッ化物の収納容器には1回分の塗布量が収納されて、1回使用するだけの使い捨てタイプであるとよい。
このように1回使用の使い捨てタイプの構造であるため、常に適切な塗布量が塗布されるとともに、ブラシ部を複数回使うことがないため衛生面で好ましい。
【0017】
また、本発明において好ましくは、前記ブラシは複数の小束を束ねた構造からなり、小束を円形リングで束ねて形成されるとよい。
このように、ブラシを複数の小束を円形リングで束ねるため、先端が尖がったブラシを簡単に製造できる。つまり、小束のブラシ毛の先端を傾斜させて形成し、それら小束をまとめることでブラシ全体として毛束の先端を錐形状に尖らせるようにできる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、フッ化物の噴出口が小束を束ねたブラシの中央部に位置し、高さは前記円形リングの高さより低い位置に配置されるとよい。
送り出し機構によって送り出されたフッ化物の噴出口を、小束を束ねたブラシの中央部に位置するので、ブラシの先端に一回分の塗布量の液状若しくは粘性流体状のフッ化物を確実に導くことができる。
また、噴出口が小束を束ねる円形リングの高さより低い位置に配設されるため、噴出口の部分が、誤って歯面に接触して歯面を傷つけることが防止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、把持用柄部とブラシが設けられたヘッド部とを備え、前記ブラシは毛束の先端が尖がった形状に形成され、該ブラシの先端に一回分の塗布量の液状若しくは粘性流体状のフッ化物を送り出す送り出し機構を前記把持用柄部に設け、歯面にピンポイントでフッ化物を塗布するようにしたので、歯ブラシの先にフッ化物が適量出て、塗りたい部分にだけに直接歯を磨くようにして塗布することができる。その結果、一般家庭においても容易にフッ化物の歯面への塗布が容易となり、特に、乳幼児における萌出直後への塗布による虫歯予防の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の全体斜視図である。
【図2】ブラシ部の構造を示し、(A)は組み立ての時の説明図であり、(B)は組み立てられた状態であり、(C)は(B)のA−A断面図である。
【図3】送り出し機構を示す全体斜視図である。
【図4】第2実施形態の全体斜視図である。
【図5】図4のローラ部分の説明図であり、(A)は図4のB方向視図、(B)は(A)のC−C断面図、(C)は(A)のD−D断面図である。
【図6】第3実施形態を示す図5(A)対応図である
【図7】フッ化物塗布装置の使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明のフッ化物塗布装置の全体斜視図を示す。フッ化物塗布装置1の全体構造は図1に示すように、ヘッド部2と、把持用柄部5と、ヘッド部2と把持用柄部5とを繋ぐ首部7によって本体部分を形成し、ヘッド部2には、ブラシ部3が設けられている。また、把持用柄部5には、フッ化物の溶液、もしくはフッ化物を含有させた粘性流動体をブラシ部3へ送り出す送り出し機構9が設けられ、さらにその送り出し機構9を作動させる操作部11を備えている。
【0023】
ヘッド部2と、首部7と、把持用柄部5とは一体的に樹脂材によって成形されており、これらヘッド部2、首部7、および把持用柄部5の内部には長手方向(軸方向)に沿って連通パイプ17が設けられている。ヘッド部2側は、ブラシ部3の下部に位置され、把持用柄部5側は、送り出し機構9に接続されて、フッ化物容器(収納容器)15と接続している。この連通パイプ17は、先端部側(ヘッド部2側)は噴出口19の指向性を保持するために、金属製で形成され、その他の部分は軟質ホースで形成されている。
【0024】
また、連通パイプ17の一端部が接続する送り出し機構9は、図3に示すように板ばね27を用いて構成され、板ばね27はお互い対向する開口端27aと、折り曲げ部27bと、板状部27cとを有しており、板状部27cの開口端側には操作部11の押しボタンが取り付けられている。
【0025】
そして両側の開口端27a、27aの間に、両側の板状部27c、27cによって挟み込まれるようにフッ化物を収納するフッ化物容器15が配置される。また、操作部11は把持用柄部5の外面から出っ張るように配置されるとともに、板ばね27は把持用柄部5の内部に内蔵されるように設けられている。
操作部11は、把持用柄部5を握った状態で指等で押圧操作し易い位置に配置されていればよく、必ずしも操作部11を把持用柄部5の外面から出っ張るように配置しなくても内部に、または、図1に示す状態での上面からではなく下面、側面、後面のいずれから突出するように配置してもよい。
【0026】
また、フッ化物容器(収納容器)15は、略直方体形状の扁平容器であり、該フッ化物容器15は弾力性のない材料によって形成されており、押し出し後にフッ化物容器15内にフッ化物が逆戻りしないようになっており、確実に液状若しくは粘性流体状のフッ化物を適量送り出すことができる。
【0027】
フッ化物の例としては、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、酸性フッ素リン酸等の溶液、もしくはフッ化物を含有させた粘性流動体状のものをフッ化物容器15内に収納さられている。収納量は1回分の塗布量として一般に1〜2グラム程度のフッ化物が歯面に塗布される量をめやすとして収納されている。また、フッ化物のフッ素濃度は、歯面塗布用としては略0.9%(9000ppm)のものが用いられる。
【0028】
連通パイプ17の他端部が接続するブラシ部3を、図2(A)、(B)、(c)に示す。(A)は組み立ての時の説明図であり、(B)は円形リング23によって小束植毛21を束ねて組み立てた状態を示す。
【0029】
本実施形態においては、図2(c)に示すように、4つの小束植毛21がヘッド部2の上面に植設されており、小束の植毛の付け根部分を円形リング23で束ねて締め付けている。束ねられた植毛全体は先端部Pが山形に尖がった円錐形状をしている。円形リング23が装着されることで、先端部Pが寄せ集められて尖がり形状としやすくなる。
【0030】
すなわち、小束植毛21の先端を傾斜して形成し、それら小束植毛21を円形リング23でまとめることで全体としてのブラシの毛束の先端を円錐形状に尖らせるようにできる。このため、先端が尖がった円形形状のブラシを簡単に製造することができる。
なお、3束を束ねてもよく、また、小束の植毛を束ねることなく1束のブラシの毛束であってもブラシの先端が尖がった状態に形成されていればよい。
【0031】
円形リング23は軟質の樹脂等の軟質座によって形成されており、また、連通パイプ17の他端部の噴出口19が、その4つの小束植毛21の略中央部に位置されて開口している。
従って、噴出口19から流出したフッ化物の液体または粘性流体は、植毛全体にフッ化物が浸透すると共に、植毛全体の先端部Pに向かって浸透して先端部Pに集まった状態となり、図7の使用状態に示すように、先端部Pから塗布すべき箇所にピンポイントで塗布ができるようになる。
【0032】
さらに、植毛全体が円錐形状のためその先端部Pが先き細となるように尖がった形状に形成されているので、その先端部Pで、歯の頂面の凹部に入り込んだごみ等を取り除きながら、歯面を磨くようにして植毛に浸透したフッ化物の液体を塗布できるため、塗布効果が向上する。
【0033】
また、噴出口19の位置は円形リングの高さより低い位置に配置されている。このため、塗布作業の際に、ブラシの毛によって直接歯を磨くようにして塗布しても、軟質の円形リング23の端面が接触するため、噴出口19の部分が、誤って歯面に接触して歯面を傷つけることを防止できる。
【0034】
以上記載のフッ化物塗布装置1の使用方法を、図7を参照して説明する。
まず、萌出した状態の乳幼児の歯面に対して、ブラシ部3の先端部Pで、歯面の頂面凹部のごみ等を取り除き、次に、または、取り除くと同時に、先端部Pを歯面近傍に位置させて、操作部11を押し込むことによって、板バネ27の両板状部27c、27cによって挟み込まれたフッ化物容器15が潰されるように押されて、フッ化物容器15内のフッ化物が、連通パイプ17を介して、ヘッド部2のブラシ部3の下部に設置された噴出口19から噴出する。
その際、フッ化物容器15は弾力性がないため、押し出し後にフッ化物容器15内のフッ化物が逆戻りせずにフッ化物容器15のフッ化物が確実に押し出されて、歯面に塗布できる。
従って、ブラシ部3の先にフッ化物が簡単な操作によって適量出て、塗りたい部分にだけに直接歯を磨くようにして塗布することができる。
【0035】
なお、フッ化物容器15内のフッ化物は1回分の量しか収納されていないため、1回の使い捨てタイプ構造である。このため、常に適切な塗布量が塗布されるとともに、ブラシ部3を複数回使うことがないため衛生的である。
【0036】
(第2実施形態)
次に、図4、5を参照して第2実施形態を説明する。図4は第2実施形態の全体斜視図である。
第2実施形態は、第1次施形態の板バネを用いた送り出し機構9の構造を、ローラ29を用いた送り出し機構25とすることが相違するのみで、他のブラシ部3の構成や、フッ化物容器15の非弾力性材料による形成等について第1実施形態と同様である。
【0037】
把持用柄部5には、長手方向に沿って凹形状のフッ化物容器搭載部36が形成され、そのフッ化物容器搭載部36内にフッ化物容器15がセットされ、フッ化物容器15の上面部を押圧しながら移動する円筒状のローラ29と、該ローラ29の両端に形成された回転支持軸のピン部31と、該ピン部31が嵌合するとともに、凹形状のフッ化物容器搭載部36の両側の側壁41、41にそれぞれ長手方向に形成された案内レール用のローラ溝33とを備えている。
【0038】
ローラ29の外周面は平面形状であるが、微小の凹凸を周方向に形成してもよい。ローラ29を回転操作またはスライド操作するときに指が滑らないようにしてローラ29を回転またはスライドしやすくするとよい。
【0039】
ローラ29は、フッ化物容器15の上面部を押圧しながら移動すればよいため、ローラ29は回転しながら移動しも、または回転せずにスライドするように移動してもよい。
また、1回の塗布量として、ローラ29を、凹形状のフッ化物容器搭載部36の長手方向の一端から他端まで回転または、スライドした時に押し出される量として設定されている。
【0040】
このように構成することによって、第1実施形態と同様にローラ29を回転またはスライドさせることによって、フッ化物容器15内のフッ化物が、連通パイプ17を通って、ヘッド部2のブラシ部3の下部に設置された噴出口19から噴出して、ブラシ部3の先端部Pに適量出て、塗りたい部分にだけに直接歯を磨くようにして塗布することができる。従って、ブラシ部3の先端部Pにフッ化物が簡単な操作によって適量塗布することができる。
また、この実施形態2の場合も、フッ化物容器15内のフッ化物は1回分の量しか収納されていないため1回の使い捨てタイプである。従って、前記第1実施形態の場合と同様に、常に適切な塗布量が塗布されるとともに、ブラシ部3を複数回使うことがないため衛生的である。
【0041】
(第3実施形態)
次に、図4および図6を参照して第3実施形態を説明する。
第1実施形態および第2実施形態は前述のように1回分の塗布しかできない使い捨てタイプであったが、第3実施形態は、複数回の塗布が可能なタイプである。
【0042】
図6に示すように、把持用柄部5の両側の側壁41、41に長手方向に形成されたレール用のローラ溝33の近傍に、塗布量の1回分としての適量位置を示すマークM1、M2…を形成することによって、複数回にわたって使用できるようにする。この場合には、フッ化物容器15についても複数回対応の専用容器45を装着する必要がある。
【0043】
従って、図6のように、L1までの移動によって押し出される量が1回の塗布による適量であり、L1の移動位置にマークM1を設けて、該M1の位置にピン部31の位置が一致したところで止める。
次の使用においては、L1からL2までの移動によって押し出される量が1回の塗布量による適量であり、L2の移動位置にマークM2を設けて、該M2の位置にピン部31の位置が一致したところで止めるようにして使用する。
マーク設置場所については、ピン部31の位置との一致を確認し易い位置であればよく、図6のように、把持用柄部5の上面に形成しても、図4のように側壁41に形成してもよい。
【0044】
本実施形態の場合には、フッ化物を塗布する毎にブラシ部3も含めた全体のフッ化物塗布装置1を新たに購入する必要がなく、使用状況に応じた容量が収納されているフッ化物容器15を装着すればよいため、経済的であるとともに、定期的に使用する場合や塗布しようとする箇所が多い場合に適している。
【0045】
さらに、フッ化物容器15については、使用後にはフッ化物塗布装置1に組み込まれた部品として破棄されてしまうが、フッ化物容器15を交換可能なカートリッジ構造として、フッ化物容器15だけを交換するようにしてもよいことは勿論である。
【0046】
この場合には、把持用柄部5は樹脂製のための、両側壁41、41を開くようにして拡げて、ローラ29のピン部31を案内レール用のローラ溝33から取り出して、凹形状のフッ化物容器搭載部36内に新たなフッ化物容器15をセットすることで再度使用できるようになる。このようにフッ化物容器15だけを交換可能にすることによって、低コストで塗布ができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、歯ブラシの先にフッ化物を適量出して、塗りたい部分にだけ直接歯を磨くようにして塗ることができるので、歯面へのフッ化物塗布装置への使用に適している。
【符号の説明】
【0048】
1 フッ化物塗布装置
2 ヘッド部
3 ブラシ部(ブラシ)
5 把持用柄部
7 首部
9 送り出し機構
11 操作部
15、45 フッ化物容器
17 連通パイプ
19 噴出口
21 小束植毛
23 円形リング
27 板ばね
29 ローラ部
31 ピン部
33 ローラ溝
35 フッ化物
36 フッ化物容器搭載部
41 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持用柄部とブラシが設けられたヘッド部とを備え、前記ブラシは毛束の先端が尖がった形状に形成され、該ブラシの先端に一回分の塗布量の液状若しくは粘性流体状のフッ化物を送り出す送り出し機構を前記把持用柄部に設け、歯面にピンポイントでフッ化物を塗布することを特徴とするフッ化物塗布装置。
【請求項2】
前記送り出し機構が、板バネ機構による押圧力により押し出すことを特徴とする請求項2記載のフッ化物塗布装置。
【請求項3】
前記送り出し機構が、ローラ機構によるローラの回転もしくはスライドにより押し出すことを特徴とする請求項2記載のフッ化物塗布装置。
【請求項4】
前記送り出し機構を構成するフッ化物の収納容器が弾力性のない材料によって形成され、押し出し後に収納容器内にフッ化物が戻らないように構成されたことを特徴とする請求項2又は3記載のフッ化物塗布装置。
【請求項5】
前記送り出し機構を構成するフッ化物の収納容器には1回分の塗布量が収納されて、1回使用するだけの使い捨てタイプであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のフッ化物塗布装置。
【請求項6】
前記ブラシは複数の小束を束ねた構造からなり、小束を円形リングで束ねて形成されること特徴とする請求項1記載のフッ化物塗布装置。
【請求項7】
フッ化物の噴出口が小束を束ねたブラシの中央部に位置し、高さは前記円形リングの高さより低い位置に配置されることを特徴とする請求項6記載のフッ化物塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−125534(P2012−125534A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3473(P2011−3473)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【特許番号】特許第4815018号(P4815018)
【特許公報発行日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(507403414)
【Fターム(参考)】