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フッ素ガス測定方法及び装置
説明

フッ素ガス測定方法及び装置

【課題】フッ素ガス濃度計の安定性を向上させるとともに、フッ素ガス濃度の変化にも迅速かつ正確に対応することができ、標準フッ素ガスやフッ化キセノンを測定現場に持ち込むことなく、測定部の前処理を簡単かつ確実に行うことができるフッ素ガス測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】発光式フッ素ガス濃度計を用いて試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定するフッ素ガス測定方法において、前記フッ素ガス濃度計11に不活性ガスを連続的に導入するとともに、該不活性ガス中に前記試料ガスを断続的に導入して試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素ガス測定方法及び装置に関し、詳しくは、プラズマCVD装置や除害装置からの排ガス等に含まれるフッ素ガス濃度を測定するためのフッ素ガス測定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ガス中に含まれるフッ素ガスの濃度をリアルタイムに測定することが可能なフッ素ガス濃度計として、特定の物質、例えば有機物とフッ素ガスとの選択的発光反応を利用したフッ素ガス濃度計が市販されている。このフッ素ガス濃度計は、前記発光反応がガス中に含まれるフッ素ガスの濃度に依存することから、発生した光の強度を光電子増倍管等で増幅してフッ素ガス濃度を検知するものであり、フッ素ガスそのものを高感度に測定できる分析器として有望視されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、上述のようなフッ素ガス濃度計を用いてフッ素ガスの濃度を測定する際に、フッ素ガス濃度計の安定性を向上させるとともに、フッ素ガス濃度の変化にも迅速に対応させるため、試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する直前に、標準フッ素ガスやフッ化キセノンを用いて測定部の前処理(試料ガスと接する部分のフッ化及び校正)を実施することも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【非特許文献1】三洋貿易株式会社、科学機器事業部、メーカー別製品案内、米 URS Corporation、フッ素ガス濃度計。[平成19年12月6日検索]、インターネット<URL:http://www.sanyo-si.com/product/u_urs_001.html>
【特許文献1】特開2007−107904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記フッ素ガス濃度計を使用して、フッ素ガスを全く含まない窒素ガス(A)から、フッ素ガスを200ppm含む窒素ガス(B)に切り換えて発光強度を連続的に測定した結果、図7に示すような結果が得られた。すなわち、フッ素ガスを全く含まない窒素ガス(A)からフッ素ガスを含む窒素ガス(B)へ切り換えた直後は、発光強度が瞬時に跳ね上がり、その後、緩やかに減少している。ガスの切り換え直後は、フッ素ガス濃度計への流量変動もあり、その流量が安定するまでに数秒は要するが、以後は流量も安定し、かつ、ガス中のフッ素ガス濃度も一定となっているはずである。正確かつリアルタイムなフッ素ガス濃度を測定するためには、発光強度は、瞬時に一定となることが望ましいが、実際の発光強度は、ガスの切り換えから6時間経過しても一定とはならず、減少傾向のままとなっていた。
【0005】
また、同じフッ素ガス濃度計の検量線データを約1ヶ月にわたって取得したところ、図8に示す結果となった。図8のデータは、最大濃度として200ppmのフッ素ガスを含む窒素ガスを用いたものであるが、同じ濃度における発光強度は日々減少し、約1ヶ月では、約1/2.5にまで低下してしまった。このことから、このフッ素ガス濃度計を使用する場合、正確なフッ素ガス濃度を得るためには、頻繁に校正を行う必要があるといえる。さらに、図8の検量線を見ると、低濃度域では非直線となっていることから、検量線の作成においては、複数濃度のフッ素ガスを含むガスをフッ素ガス濃度計に導入して多点校正を実施する必要があるといえる。
【0006】
一定濃度のフッ素ガスを金属配管に流した際、ガス中でのフッ素濃度の変動を抑える方法としては、高濃度のフッ素ガスを、濃度を変化させることなく、その配管に一定の流量、圧力及び温度にて一定時間流すことによる金属配管内面のフッ素不働態化処理が知られている。フッ素ガスと接する部分の材質が単純な系においては、この方法は有効といえるが、フッ素ガスと接する部分にフッ素ガスと選択的発光反応を起こす有機物や発光した光を光電子増倍管へ導くためのサファイヤガラス等の窓材を含むものでは、高濃度のフッ素ガスを長時間流すことは、前記有機物の急激な劣化による発光強度の低下や窓材の劣化による分析感度の低下(発生した光の透過量の低下)を招くことになり、前記フッ化処理は、前述のようなフッ素ガス濃度計の有効な処理方法とはいえない。
【0007】
また、特許文献1に記載されているように、試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する直前に、標準フッ素ガスを用いて測定部の前処理を行うものでは、標準フッ素ガスを測定現場に持ち込むことが必須となるが、標準フッ素ガスが毒性高圧ガスであることから、輸送手段や使用する設備が整備されている環境では有効であるものの、環境が整備されていない場合、輸送やガスラインの整備に手間やコストがかかるという問題がある。さらに、標準フッ素ガスの代わりに少量のフッ化キセノンを用いて測定部の前処理を行うことも提案されているが、フッ化キセノン(二フッ化キセノン)も有害物質であることから、標準フッ素ガスほどではないものの、やはり、輸送や使用環境の整備に手間やコストをかける必要がある。加えて、測定部の前処理に少なくとも3時間程度の時間が必要であり、この前処理を、試料ガスを測定する直前に毎回実施しなければならない点も踏まえると、前処理に非常に多くの時間を費やす必要があるといった問題も生じていた。
【0008】
そこで本発明は、前述のような光学式のフッ素ガス濃度計における安定性を向上させるとともに、フッ素ガス濃度の変化にも迅速かつ正確に対応することができ、標準フッ素ガスやフッ化キセノンを測定現場に持ち込むことなく、測定部の前処理を簡単かつ確実に行うことができるフッ素ガス測定方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のフッ素ガス測定方法は、発光式フッ素ガス濃度計を用いて試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定するフッ素ガス測定方法において、前記フッ素ガス濃度計に不活性ガスを連続的に導入するとともに、該不活性ガス中に前記試料ガスを断続的に導入して試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定することを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明のフッ素ガス測定方法は、前記フッ素ガス濃度計の校正を該フッ素ガス濃度計に校正用のガスを断続的に導入して行うこと、前記試料ガス中のフッ素ガス濃度の測定を前記フッ素ガス濃度計に校正用のガス又は前記試料ガスを断続的に導入した後に行うことを特徴とし、前記校正用のガスがフッ素ガス又はフッ化キセノンガスを含むガスであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のフッ素ガス測定装置は、発光式フッ素ガス濃度計を用いて試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定するフッ素ガス測定装置において、前記発光式フッ素ガス濃度計に不活性ガスを連続的に導入する不活性ガス導入経路に、前記試料ガスを前記不活性ガス中に断続的に注入するための試料ガス断続注入手段を設けたことを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明のフッ素ガス測定装置は、前記試料ガス断続注入手段が、前記不活性ガス導入経路に設けた六方切換弁とガス計量管との組み合わせであって、前記六方切換弁に、前記フッ素ガス濃度計に接続する濃度計入口経路と、試料ガス源に接続する試料ガス導入経路と、不活性ガス供給部に接続する不活性ガス導入経路と、前記ガス計量管の入口部に接続するガス計量管入口経路と、ガス計量管の出口部に接続するガス計量管出口経路と、流量調整手段に接続する試料ガス排出経路とがそれぞれ接続され、弁切換位置として、前記不活性ガス供給部からの不活性ガスが前記不活性ガス導入経路から導入されて前記濃度計入口経路に導出されるとともに、前記試料ガス源からの試料ガスが前記試料ガス導入経路から導入されて前記ガス計量管入口経路、前記ガス計量管、前記ガス計量管出口経路を経て前記試料ガス排出経路に導出される計量位置と、前記不活性ガスが前記不活性ガス導入経路から導入されて前記ガス計量管入口経路、前記ガス計量管、前記ガス計量管出口経路を経て前記濃度計入口経路に導出されるとともに、前記試料ガスが前記試料ガス導入経路から導入されて前記試料ガス排出経路に導出される測定位置とに切換可能に形成された六方切換弁、あるいは、前記不活性ガス導入経路に設けたガス注入口と該ガス注入口から前記試料ガスを注入するためのガスタイトシリンジとの組合せ、のいずれかであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フッ素濃度に応じた量の試料ガスを不活性ガスに同伴させて断続的にフッ素ガス濃度計に導入することで、フッ素ガス濃度計における測定部内の発光部と試料ガスとの接触時間が極めて短時間となり、かつ、発光反応部位も非常に薄い極表面だけに抑えることができるため、発光強度の低下を極めて効率よく抑制できる。さらに、発光反応により生成した副産物の除去も容易であるため、少量の不活性ガスを測定部に短時間導入するだけで、迅速に発光面を初期状態(フッ素ガスを含むガスを流す前の状態)に復元することができる。このため、試料ガスを測定部に連続的に導入する場合に見られるような、発光強度の緩やか、かつ、長時間の低下が起こることがなくなり、試料ガス中のフッ素ガス濃度を正確に再現性よく測定することが可能となる。また、発光強度の緩やか、かつ、長時間の低下が起こることないことから、長時間のフッ化処理を行う必要もなく、フッ素標準ガスや二フッ化キセノンを用いた校正時に、校正データを取得するため、フッ素標準ガスやフッ化キセノンをフッ素ガス濃度計へ試料ガスと同じ経路から同じような条件で導入する程度のことで、校正データの取得と同時にフッ素ガスと接する部分のフッ化処理も行える。
【0014】
この場合、フッ素ガス濃度計に対して、事前にフッ素標準ガスやフッ化キセノンを用いた校正をする必要はあるものの、これらは試料ガス測定の直前に実施する必要はなく、事前に行えばよいので、試料ガスの測定現場にフッ素標準ガスやフッ化キセノンを持ち込む必要もない。このため、これらの輸送手段や設備の整備に手間とコストをかける必要もなく、極めて低コストにて試料ガス中のフッ素ガス濃度を正確に測定することが可能となる。さらに、測定現場に有害物質であるフッ素標準ガスやフッ化キセノンを持ち込むことがないため、フッ素ガスの現地分析作業を極めて安全に行うことができる。
【0015】
加えて、本発明のフッ素ガス測定装置には、標準フッ素ガスやフッ化キセノンを供給するための手段や、これらと試料ガスとを切り換える手段等を組み込む必要がないため、測定装置を極めてコンパクトにまとめることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の一形態例を示すフッ素ガス測定装置の系統図である。このフッ素ガス測定装置は、試料ガス中のフッ素ガス濃度を発光反応によって測定する発光式のフッ素ガス濃度計11と、測定現場のプラズマCVD装置や除害装置からの排ガス等の試料ガス源12と、不活性ガスを供給する不活性ガス供給部13と、フッ素ガス濃度計11に導入するガスを切り換えるための六方切換弁14と、一定量の試料ガスを計量するためのガス計量管15と、試料ガスの流量を調整するための流量調整手段16と、これらを接続する各経路とを備えている。
【0017】
六方切換弁14及びガス計量管15は、フッ素ガス濃度計11に連続的に導入される不活性ガス中に一定量の試料ガスを断続的に注入する試料ガス断続注入手段として機能するものであって、六方切換弁14の6個のポートには、前記フッ素ガス濃度計11に接続する濃度計入口経路21と、前記試料ガス源12に接続する試料ガス導入経路22と、前記不活性ガス供給部13に接続する不活性ガス導入経路23と、前記ガス計量管15の入口部に接続するガス計量管入口経路24と、ガス計量管15の出口部に接続するガス計量管出口経路25と、前記流量調整手段16に接続する試料ガス排出経路26とがそれぞれ接続されており、各ポートの位置は、試料ガスをガス計量管15で計量する計量位置(内部流路が図1の実線の位置)と、試料ガス中のフッ素ガス濃度をフッ素ガス濃度計11で測定する測定位置(内部流路が図1の破線の位置)とに切換可能に形成されている。
【0018】
前記ガス計量管15は、前後の経路24,25を含めて一定量の試料ガスを計量することができればよく、試料ガス中のフッ素ガス濃度に応じて適当な内容積を有する管体を用いることができる。例えば、試料ガス中のフッ素ガス濃度が低濃度の場合には数十ml程度、高濃度の場合には数十〜数百μl程度の内容積を有する管体を選定すればよい。
【0019】
前記不活性ガス供給部13は、フッ素ガスを含まず、かつ、フッ素ガス濃度計11でのフッ素ガスの測定に悪影響を及ぼす成分を含まない不活性ガス、例えば高純度の窒素ガスやアルゴンガス等を供給できればよく、これらの不活性ガスをボンベに充填したものを利用したり、別の設備で使用している不活性ガスを引き込んで利用したりすることができる。この不活性ガス供給部13における不活性ガスの供給圧力は0.3MPaG以上であることが望ましい。
【0020】
また、前記不活性ガス導入経路23には、導入する不活性ガスの圧力を調整する圧力調整手段17と流量を調整する流量調整手段18とが設けられており、試料ガスの状態等に応じて最適な圧力及び流量で不活性ガスを導入できるように形成されている。圧力調整手段17には、一次側及び二次側の圧力に応じた一般的な圧力調整器を使用することができ、流量調整手段18にも、圧力、流量調整範囲、流量調整精度に応じて、一般的に使用されているマスフローコントローラを使用することができる。
【0021】
測定対象となる試料ガスは、流量が前記流量調整手段16で調整されるが、試料ガス源12における試料ガスの圧力が大気圧付近の場合は、試料ガス排出経路26にダイヤフラムポンプ等を配置し、試料ガスを吸引してガス計量管15に導入するように形成することもできる。
【0022】
次に、このフッ素ガス測定装置を用いて試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する手順の一例を説明する。まず、試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する前にフッ素ガス測定装置におけるフッ素ガス濃度計11の校正とフッ素ガスと接する部分のフッ化処理とを行う。但し、この作業は事前に行っておけばよく、試料ガスを測定する直前に実施する必要はない。
【0023】
フッ素ガス濃度計11の校正は、多点校正を行う必要があるため、複数のフッ素濃度を有するフッ素含有ガスをフッ素ガス濃度計11に導入して行う。このフッ素含有ガスは、異なるフッ素濃度のフッ素標準ガスを複数準備することによって行うこともできるが、一つのフッ素標準ガスをフッ素を含まない不活性ガスで希釈することにより、異なるフッ素濃度のフッ素含有ガスを複数発生させて用いるようにすることもできる。
【0024】
フッ素ガス濃度計11の校正及びフッ素ガス測定装置のフッ素ガスと接する部分のフッ化処理は、前記フッ素含有ガスを試料ガス導入経路22から導入して行う。最初に、六方切換弁14の流路を、図1に実線で示す計量位置に切り換えておき、試料ガス導入経路22から導入されるフッ素含有ガスを、六方切換弁14の流路A1,ガス計量管入口経路24,ガス計量管15,ガス計量管出口経路25,六方切換弁14の流路A2,試料ガス排出経路26,流量調整手段16の順で流し、流量調整手段16で流量を調整して排出するとともに、不活性ガス源13から供給される不活性ガス、例えば高純度窒素ガスを、圧力調整手段17で圧力を、流量調整手段18で流量をそれぞれ調整した状態で、不活性ガス導入経路23,六方切換弁14の流路A3,濃度計入口経路21,フッ素ガス濃度計11の順で流す。
【0025】
フッ素含有ガス及び不活性ガスの圧力及び流量は、フッ素ガス測定装置の構成、特にフッ素ガス濃度計11の構成に応じて任意に設定することができるが、通常は、フッ素含有ガスの流量を1L/min程度に調整し、不活性ガスは、圧力を0.1〜0.3MPa(ゲージ圧、以下同じ。)、流量を毎分200〜500ml/minの範囲に調整すればよい。
【0026】
この状態で所定時間、例えば1分乃至数分間程度保持し、ガス計量管15内がフッ素含有ガスで満たされた状態になった後、六方切換弁14を図1に破線で示す測定位置に切り換える。これにより、試料ガス導入経路22から導入されるフッ素含有ガスは、六方切換弁14の流路B1から試料ガス排出経路26,流量調整手段16の順で流れ、不活性ガスは、不活性ガス導入経路23,六方切換弁14の流路B2,ガス計量管入口経路24,ガス計量管15,ガス計量管出口経路25,六方切換弁14の流路B3,濃度計入口経路21,フッ素ガス濃度計11の順で流れる。
【0027】
ガス計量管15で計り取られた所定量のフッ素含有ガスは、ガス計量管入口経路24から流入する不活性ガスによりガス計量管出口経路25に押し出され、不活性ガスに同伴されて六方切換弁14の流路B3から濃度計入口経路21を経てフッ素ガス濃度計11に導入され、フッ素ガス濃度計11でフッ素含有ガス中のフッ素ガス濃度が測定されてフッ素ガス濃度に応じた発光強度のデータが得られる。
【0028】
その後、六方切換弁14を計量位置に切り換えてガス計量管15によるフッ素含有ガスの計量を再開する。六方切換弁14を測定位置から計量位置に切り換える時間は、濃度計入口経路21の長さによって異なるが、通常は数秒から数十秒程度である。そして、安定した発光強度のデータが得られるまで、六方切換弁14を計量位置と測定位置とに切り換え、フッ素ガス濃度計11でフッ素含有ガス中のフッ素ガス濃度を測定する作業を断続的に複数回、例えば3回以上繰り返す。同様の作業をフッ素ガス濃度が異なる3種以上のフッ素含有ガスについて複数回ずつそれぞれ行い、検量線を作成するのに必要なデータを取得し、検量線を作成する。
【0029】
このようにして検量線を作成する作業を行うことにより、フッ素ガス濃度計11や各経路におけるガス接触部分は、校正作業で導入される各種濃度のフッ素含有ガスと十分に接触することから、接触部分がフッ素によりフッ化されてフッ素不働態化処理も完了した状態となる。すなわち、フッ素ガス濃度計11の校正作業を環境が整備された場所であらかじめ行っておくことにより、測定現場でフッ素標準ガスやフッ化キセノンガスを用いて長時間にわたるフッ素不働態化処理を実施する必要がなく、標準フッ素ガスやフッ化キセノンガスを測定現場に持ち込むことが不要となり、輸送や使用環境を考慮せずに様々な場所でのフッ素ガス濃度の測定を容易かつ短時間で行うことができる。
【0030】
測定現場における試料ガス中のフッ素ガス濃度の測定は、まず、試料ガス導入経路22を試料ガス源12となるプラズマCVD装置や除害装置から排出される排ガス等の経路に接続し、排ガス等を試料ガス導入経路22に導入可能な状態とする。また、不活性ガス導入経路23を不活性ガス供給部13となるガス容器や測定現場の適当な配管に接続して不活性ガスを不活性ガス導入経路23に導入可能な状態とする。なお、不活性ガスの種類は、前記校正作業に用いた不活性ガスと同一のものであってもよく、前記条件を満たしていれば異なるガスであってもよい。
【0031】
六方切換弁14を前記計量位置に切り換えて、不活性ガス源13から供給される不活性ガスを、圧力調整手段17,流量調整手段18を介して不活性ガス導入経路23,六方切換弁14の流路A3,濃度計入口経路21,フッ素ガス濃度計11の順で流すようにするとともに、圧力調整手段17及び流量調整手段18により、不活性ガスの圧力及び流量を、前記校正作業で設定した圧力及び流量と同じ圧力及び流量になるように調整する。また、試料ガス源12からの試料ガスを、六方切換弁14の流路A1,ガス計量管入口経路24,ガス計量管15,ガス計量管出口経路25,六方切換弁14の流路A2,試料ガス排出経路26,流量調整手段16の順で流し、流量調整手段16で試料ガスの流量を1L/min程度に調整して排出する。
【0032】
この六方切換弁14が計量位置の状態を1分間乃至数分間保持した後、六方切換弁14を前記測定位置に切り換え、ガス計量管15にて計量した試料ガスを不活性ガスに同伴させてフッ素ガス濃度計11に導入し、フッ素ガス濃度計11で試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する。フッ素ガス濃度計11の測定部に試料ガスが到達する時間が経過した後、六方切換弁14を計量位置に切り換えて試料ガスの計量を再開する。六方切換弁14を測定位置から計量位置に切り換える時間は、前記校正作業と同様に数秒から数十秒程度でよい。試料ガスの計量を所定時間行った後、再び六方切換弁14を計量位置から測定位置に切り換えてフッ素ガス濃度計11で試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する。
【0033】
以下、六方切換弁14を計量位置と測定位置とに所定間隔で切り換えることにより、ガス計量管15で計量した試料ガスを断続的にフッ素ガス濃度計11に導入し、試料ガス中のフッ素ガス濃度をフッ素ガス濃度計11で測定する作業を複数回、好ましくは3回以上繰り返す。断続的に繰り返すフッ素ガス濃度測定の時間間隔は、ガス計量管15で計り取る試料ガスの量や試料ガス中のフッ素ガス濃度によって異なるが、少なくとも1分間はあけることが望ましい。
【0034】
また、試料ガスの測定と同様の操作を複数回、例えば3回以上繰り返し、試料ガスと接する分部の前処理を試料ガスを用いて実施した後に、試料ガス中のフッ素ガス濃度を実際に測定する操作を開始することにより、試料ガス中のフッ素ガス濃度をより正確に測定することができる。
【0035】
図2は、本発明のフッ素ガス測定装置の他の形態例を示す系統図である。本形態例では、圧力調整手段17及び流量調整手段18を備えた不活性ガス導入経路31における圧力調整手段17及び流量調整手段18の下流側に設けたガス注入口32と、該ガス注入口32から前記試料ガスを注入するためのガスタイトシリンジ33との組合せにより試料ガス断続注入手段を構成している。
【0036】
ガスタイトシリンジ33に所定量が計り取られた試料ガスや校正用のフッ素含有ガスは、不活性ガス供給部13から供給され、圧力調整手段17及び流量調整手段18で圧力及び流量を調整されて不活性ガス導入経路31を流れる不活性ガス中に、ガスタイトシリンジ33からガス注入口32を通して注入され、下流側に接続したフッ素ガス濃度計11に導入される。したがって、適当な時間間隔毎にガスタイトシリンジ33からガス注入口32を通して試料ガスやフッ素含有ガスを注入する作業を繰り返すことにより、試料ガスやフッ素含有ガスを断続的にフッ素ガス濃度計11に導入することができる。なお、ガス注入口32及びガスタイトシリンジ33には周知のものを使用可能である。
【0037】
このように、試料ガス断続注入手段は、前記不活性ガス導入経路23に設けた六方切換弁14とガス計量管15との組み合わせや、不活性ガス導入経路31に設けたガス注入口32とガスタイトシリンジ33との組合せなど、各種構成を採用することが可能である。
【実施例1】
【0038】
図1に示した構成のフッ素ガス測定装置を用いて実験を行った。不活性ガスには高純度窒素ガスを使用し、圧力は0.2MPaに、流量は200ml/minにそれぞれ調整した。また、試料ガス及び校正用のフッ素標準ガスの流量は1L/minに調整した。ガス計量管の内容量は10mlとした。
【0039】
まず、フッ素ガス濃度計の校正作業を行い、4種類のフッ素ガス濃度が異なるフッ素含有ガスを用いて検量線を作成した。そして、同じ校正作業を後日に同様にして行い、検量線の再現性を確認した。その結果を図3に示す。
【0040】
図3に示す計量線の経時変化を、前記図8に示したデータと同じ濃度の100ppmで比較してみると、図8に示す従来の場合は5〜10日で約6割に低下しているのに対し、図3に示す本実施例の場合は、5〜7日で1割程度しか低下していない。このことから、検量線の再現性が大幅に向上していることがわかるとともに、試料ガス中のフッ素ガス濃度の測定精度がこの精度範囲で問題がない場合は、あらかじめフッ素標準ガスを断続的にフッ素ガス濃度計に導入する校正作業を設備が整った実験室等で行って検量線を作成しておくことにより、実際の測定現場で試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定する直前に校正作業を行わなくてよいことがわかる。
【0041】
また、前記同様にして検量線を作成してから3日後に、フッ素ガス濃度が47.6ppm,90.9ppm,9.9ppm,24.4ppmの濃度既知の5種類のフッ素含有ガスを使用し、前述のように六方切換弁を切り換えて断続的に各フッ素含有ガスをフッ素ガス濃度計に導入することにより、各フッ素含有ガスのフッ素ガス濃度を測定した。その結果を図4に示す。
【0042】
図4に示す結果から、測定開始直後の数回のデータにおいては、フッ素ガス濃度が低めに表示されたものの、その後はフッ素ガス濃度の変化に応じて再現性よく、かつ、高い応答性でフッ素ガス濃度が表示されていることがわかる。さらに、測定現場で実際の濃度データを取得する前に、試料ガスを断続的にフッ素濃度計に導入する予備作業を行うことにより、精度や応答性を向上できることがわかる。
【0043】
さらに、前記同様にして検量線を作成した翌日に、フッ素ガス測定装置を実験室から現場の燃焼式除害装置の近くに移し、燃焼式除害装置から排出される排ガス中のフッ素ガス濃度を5分間隔で測定した。その結果を図5に示す。この結果から測定開始直後の3点のデータは低めに表示されたが、それ以降のフッ素ガス濃度は、約1.5ppmで安定した状態となり、長時間にわたって安定した状態でフッ素ガス濃度を測定可能であることがわかる。
【実施例2】
【0044】
ガス計量管を内容量が0.05mlのものに交換した以外、他の条件は変更せずに実施例1と同様にして検量線を作成した。その2日後に、フッ素ガス測定装置をプラズマCVD装置の近くに移してプラズマCVD装置から排出される排ガス中のフッ素ガス濃度を測定した。Cガス及び酸素ガスを使用したプラズマクリーニング時における排ガス中のフッ素ガス濃度を1分間隔で測定した結果を図6に示す。この結果から、フッ素ガス濃度が変動しても十分に追従した測定が可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一形態例を示すフッ素ガス測定装置の系統図である。
【図2】本発明のフッ素ガス測定装置の他の形態例を示す系統図である。
【図3】実施例1における検量線の経時変化を示す図である。
【図4】濃度既知の4種類のフッ素含有ガス中のフッ素ガス濃度を測定した結果を示す図である。
【図5】燃焼式除害装置から排出される排ガス中のフッ素ガス濃度を5分間隔で測定した結果を示す図である。
【図6】プラズマCVD装置から排出される排ガス中のフッ素ガス濃度を1分間隔で測定した結果を示す図である。
【図7】フッ素ガス濃度計を従来法で使用したときの測定結果を示す図である。
【図8】フッ素ガス濃度計を従来法で使用したときの検量線の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
11…フッ素ガス濃度計、12…試料ガス源、13…不活性ガス供給部、14…六方切換弁、15…ガス計量管、16…流量調整手段、17…圧力調整手段、18…流量調整手段、21…濃度計入口経路、22…試料ガス導入経路、23…不活性ガス導入経路、24…ガス計量管入口経路、25…ガス計量管出口経路、26…試料ガス排出経路、31…不活性ガス導入経路、32…ガス注入口、33…ガスタイトシリンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光式フッ素ガス濃度計を用いて試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定するフッ素ガス測定方法において、前記フッ素ガス濃度計に不活性ガスを連続的に導入するとともに、該不活性ガス中に前記試料ガスを断続的に導入して試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定することを特徴とするフッ素ガス測定方法。
【請求項2】
前記フッ素ガス濃度計の校正は、該フッ素ガス濃度計に校正用のガスを断続的に導入して行うことを特徴とする請求項1記載のフッ素ガス測定方法。
【請求項3】
前記試料ガス中のフッ素ガス濃度の測定は、前記フッ素ガス濃度計に校正用のガス又は前記試料ガスを断続的に導入した後に行うことを特徴とする請求項1又は2記載のフッ素ガス測定方法。
【請求項4】
前記校正用のガスは、フッ素ガス又はフッ化キセノンガスを含むガスであることを特徴とする請求項2又は3記載のフッ素ガス測定方法。
【請求項5】
発光式フッ素ガス濃度計を用いて試料ガス中のフッ素ガス濃度を測定するフッ素ガス測定装置において、前記発光式フッ素ガス濃度計に不活性ガスを連続的に導入する不活性ガス導入経路に、前記試料ガスを前記不活性ガス中に断続的に注入するための試料ガス断続注入手段を設けたことを特徴とするフッ素ガス測定装置。
【請求項6】
前記試料ガス断続注入手段は、前記不活性ガス導入経路に設けた六方切換弁とガス計量管との組み合わせであって、前記六方切換弁に、前記フッ素ガス濃度計に接続する濃度計入口経路と、試料ガス源に接続する試料ガス導入経路と、不活性ガス供給部に接続する不活性ガス導入経路と、前記ガス計量管の入口部に接続するガス計量管入口経路と、ガス計量管の出口部に接続するガス計量管出口経路と、流量調整手段に接続する試料ガス排出経路とがそれぞれ接続され、弁切換位置として、前記不活性ガス供給部からの不活性ガスが前記不活性ガス導入経路から導入されて前記濃度計入口経路に導出されるとともに、前記試料ガス源からの試料ガスが前記試料ガス導入経路から導入されて前記ガス計量管入口経路、前記ガス計量管、前記ガス計量管出口経路を経て前記試料ガス排出経路に導出される計量位置と、前記不活性ガスが前記不活性ガス導入経路から導入されて前記ガス計量管入口経路、前記ガス計量管、前記ガス計量管出口経路を経て前記濃度計入口経路に導出されるとともに、前記試料ガスが前記試料ガス導入経路から導入されて前記試料ガス排出経路に導出される測定位置とに切換可能に形成された六方切換弁、あるいは、前記不活性ガス導入経路に設けたガス注入口と該ガス注入口から前記試料ガスを注入するためのガスタイトシリンジとの組合せ、のいずれかであることを特徴とする請求項4記載のフッ素ガス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−139276(P2009−139276A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317117(P2007−317117)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】