説明

フッ素ゴム成形品の製造方法及びフッ素ゴム成形品

【課題】フッ素ゴムの表面のフッ素樹脂比率が増大した低摩擦性で、非粘着性でかつ表面撥水撥油性のフッ素ゴム成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、(I)テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体からなるフッ素ゴム(A)、フッ素樹脂(B)および架橋剤(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上、かつ、架橋反応が進行しない条件下で混練することにより架橋性フッ素ゴム組成物を得る混練工程、(II)架橋性フッ素ゴム組成物を成形し、架橋して架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してフッ素ゴム成型品を得る熱処理工程を含むフッ素ゴム成形品の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素ゴム成形品の製造方法及びフッ素ゴム成形品に関する。該フッ素ゴム成形品は各種のシール材や摺動部品、非粘着部品、撥水撥油性表面を有する部品として好適である。
【背景技術】
【0002】
フッ素ゴムは、優れた耐薬品性、耐溶剤性及び耐熱性を示すことから、自動車工業、半導体工業、化学工業等の各種分野において広く使用されており、たとえば、自動車産業においては、エンジンならびに周辺装置、AT装置、燃料系統ならびに周辺装置などに使用されるホース、シール材等として使用されている。
【0003】
しかし、フッ素ゴム、たとえばプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体ゴムなどは低温で脆化することがあるので、その改善のために融点が240〜300℃のエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂〔ETFE〕を配合し、溶融混練した後、放射線架橋またはパーオキサイド架橋する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、特許文献2には、フッ素ゴム(ビニリデンフルオライド〔VdF〕系ゴム)とフッ素樹脂〔ETFE〕と含フッ素熱可塑性エラストマーとを配合したフッ素ゴム組成物をプレス架橋(160℃10分間)し、ついでオーブン架橋(180℃4時間)して熱時強度が改善された架橋ゴムを製造する方法が記載されている。
【0005】
これらの特許文献では架橋ゴムの表面性状、特に摩擦特性については触れていない。これは、ゴムは本来そのエラストマー性により摩擦係数が高いからである。
【0006】
そこで、シール材などの分野では、ゴムの特性を活かしながら摩擦係数を低下させる方法として、たとえばフッ素樹脂(またはフッ素樹脂繊維層)をゴムの表面に積層する方法(特許文献3、4)、ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成する方法(特許文献5)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭50−32244号公報
【特許文献2】特開平6−25500号公報
【特許文献3】特開平7−227935号公報
【特許文献4】特開2000−313089号公報
【特許文献5】特開2006−292160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ゴム表面に積層又は塗装によりフッ樹脂層を形成した場合、フッ素ゴムとフッ素樹脂の界面での接着性を高めることが重要な課題となり、その解決に悩まされているのが現状である。
【0009】
本発明は、フッ素ゴム表面のフッ素樹脂比率が増大した低摩擦性のフッ素ゴム成形品を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、従来の積層法や塗装法とは異なって、フッ素ゴムとフッ素樹脂を特定の条件下で混練して得られた架橋性フッ素ゴム組成物を、架橋させ、さらに特定の条件下に熱処理すると、意外なことに成形品表面のフッ素樹脂比率が著しく増大し、摩擦係数の課題を解決しえたフッ素ゴム成形品が得られることを見出し、完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
(I)テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体からなるフッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練することにより架橋性フッ素ゴム組成物を得る混練工程、
(II)架橋性フッ素ゴム組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、
(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してフッ素ゴム成型品を得る熱処理工程
を含むフッ素ゴム成形品の製造方法に関する。
【0012】
混練工程(I)は、フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)をフッ素樹脂(B)の融点以上で混練して予備混合物を得たのち、予備混合物に架橋剤(C)を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程であることが好ましい。
【0013】
フッ素樹脂(B)は、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、及び、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
架橋性フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)の質量割合(A)/(B)が60/40〜97/3であることが好ましい。
【0015】
本発明は、上記製造方法により得られるフッ素ゴム成形品でもある。
【0016】
フッ素ゴム成形品は、シール材、摺動部材、又は、非粘着性部材であることが好ましい。
【0017】
フッ素ゴム成形品は、表面に撥水撥油性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フッ素ゴムの表面のフッ素樹脂比率が増大した低摩擦性で、非粘着性でかつ表面撥水撥油性のフッ素ゴム成形品を提供することができる。本発明のフッ素ゴム成形品は、シール材、摺動部材、非粘着性部材または表面に撥水撥油性を有する成形品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1において、230℃で24時間熱処理することによって得られた架橋フッ素ゴムシートの表面を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1において、230℃で48時間熱処理することによって得られた架橋フッ素ゴムシートの表面を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例1において、230℃で24時間熱処理することによって得られた架橋フッ素ゴムシートの表面を撮影した電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例1において、230℃で48時間熱処理することによって得られた架橋フッ素ゴムシートの表面を撮影した電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のフッ素ゴム架橋成形品の製造方法は、
(I)テトラフルオロエチレン〔TFE〕/プロピレン〔P〕共重合体からなるフッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練することにより架橋性フッ素ゴム組成物を得る混練工程、
(II)架橋性フッ素ゴム組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、
(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してフッ素ゴム成型品を得る熱処理工程
を含む。
【0021】
以下、各工程について説明する。
【0022】
(I)混練工程
混練工程(I)では、TFE/P共重合体からなるフッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練することにより、架橋性フッ素ゴム組成物を調製する。
【0023】
混練工程(I)は、少なくともフッ素ゴム(A)とフッ素樹脂(B)とをフッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練することに特徴があり、これによってフッ素ゴム成形品の機械的強度を向上させ、摩擦係数を低下させることができる。混練温度の上限は、フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)のいずれか低い方の熱分解温度であることが好ましい。
【0024】
混練工程(I)は、更に架橋剤(C)をフッ素ゴム(A)の架橋反応が進行しない条件で混練することが好ましい。架橋反応を進行させないで混練することによって、フッ素ゴム成形品の機械的強度を更に向上させ、摩擦係数を更に低下させることができる。架橋剤(C)の混練は、架橋反応が進行しないのであれば、フッ素ゴム(A)、フッ素樹脂(B)及び架橋剤(C)をフッ素樹脂(B)の融点以上で同時に混練してもよいし、フッ素ゴム(A)とフッ素樹脂(B)とをフッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練して予備混合物を得たのち、予備混合物と架橋剤(C)とを架橋反応を進行させない条件で混練してもよい。
【0025】
架橋反応が進行しない条件で混練するためには、架橋に最低限必要とされる成分を添加せずに混練するか、または、架橋反応に必要な温度未満で混練すればよい。架橋反応が進行しない条件は主に架橋剤の種類によって決まる。例えば、架橋剤(C)としてポリオール架橋剤を使用する場合、ポリオール架橋剤、架橋促進剤及び受酸剤をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度で同時に混練すると、通常架橋反応が進行するので、後述の2段階混練工程において、ポリオール架橋剤、架橋促進剤及び受酸剤のうち少なくとも1つを、予備混合物を得る工程で添加せずに、予備混合物を得た後の架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る工程で添加することが好ましい。また、架橋剤(C)としてパーオキサイド架橋剤を使用する場合、フッ素樹脂(B)の融点以上の温度で混練する際にパーオキサイド架橋剤が存在すると、通常架橋反応が進行するので、後述の2段階混練工程において、予備混合物を得た後、架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る工程でパーオキサイド架橋剤を添加することが好ましい。
【0026】
混練工程(I)は、
フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)をフッ素樹脂(B)の融点以上で混練して予備混合物(プレコンパウンド)を得た後、予備混合物に架橋剤(C)及び任意の他の添加剤を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る2段階混練工程、
フッ素ゴム(A)、フッ素樹脂(B)及び架橋剤(C)を、フッ素樹脂(B)の融点以上、かつ、架橋反応が進行しない条件下で混練して予備混合物(プレコンパウンド)を得た後、予備混合物に任意の他の添加剤を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る2段階混練工程、又は、
フッ素ゴム(A)、フッ素樹脂(B)、架橋剤(C)及び任意の他の添加剤を、フッ素樹脂(B)の融点以上、かつ、架橋反応が進行しない条件下で混練して架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を得る1段階混練工程、
であることがより好ましく、2段階混練工程であることが更に好ましく、特に、
フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)をフッ素樹脂(B)の融点以上で混練して予備混合物を得た後、予備混合物に架橋剤(C)及び任意の他の添加剤を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性フッ素ゴム組成物を得る2段階混練工程、であることが好ましい。
【0027】
2段階混練工程における予備混合物(プレコンパウンド)を調製するための混練では、架橋反応が進行しない条件下で混練することが重要であり、フッ素樹脂(B)の融点以上の温度で架橋反応が進行しない成分(たとえば特定の架橋剤のみ、架橋剤と架橋促進剤の組合せのみ、など)を添加することは妨げられない。
【0028】
2段階混練工程における予備混合物(プレコンパウンド)を得るための混練は、例えば、フッ素樹脂(B)の融点以上、たとえば200℃以上、通常250〜300℃でフッ素ゴム(A)と混練することにより行うことができる。
【0029】
上記混練には、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用できるが、高剪断力を加えることができる点で、加圧ニーダー又は二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。
【0030】
2段階混練工程における架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を得るための混練は、架橋剤(C)の分解温度未満、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
【0031】
ここで、本発明における混練工程(I)と類似の処理としてフッ素樹脂中でフッ素ゴムをフッ素樹脂の溶融条件下で架橋する処理(動的架橋)がある。両者を対比すると、動的架橋が熱可塑性樹脂のマトリックス中にゴムをブレンドし、混練しながらゴムを架橋させる処理であるのに対し、本発明における混練工程(I)が、フッ素ゴムの架橋を引き起こさない条件(架橋に必要な成分の不存在、またはその温度で架橋反応が起こらない配合など)で混練するものであり、本質的に異なる。
【0032】
本発明における混練工程で得られる架橋性フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(A)が連続相を形成しかつフッ素樹脂(B)が分散相を形成している構造、またはフッ素ゴム(A)とフッ素樹脂(B)が共に連続相を形成している構造をとっているものと推定される。この点でもマトリックス中に架橋ゴムがミクロに分散した組成物が得られる動的架橋とは異なる。
【0033】
上記架橋性フッ素ゴム組成物がこのような構造を有すると、架橋工程(II)での架橋反応をスムーズに行うことができ、得られる架橋物の架橋状態も均一になり、また熱処理工程(III)におけるフッ素樹脂(B)の表面移行現象が均一に行われる結果、フッ素樹脂(B)が均一に析出した表面を持つフッ素ゴム成形品が得られるものと考えられる。(図1及び2の電子顕微鏡写真参照。)
【0034】
以下、架橋性フッ素ゴム組成物の成分について説明する。
【0035】
(A)テトラフルオロエチレン〔TFE〕/プロピレン〔P〕共重合体からなるフッ素ゴム
TFE/P共重合体は、耐薬品性が高く特に自動車用各種オイルに対する耐久性が高い。
【0036】
TFE/P共重合体は、テトラフルオロエチレン単位、プロピレン単位、並びに、テトラフルオロエチレン単位及びプロピレン単位と共重合可能な任意成分としての他の単量体に由来する繰り返し単位と、を含むことが好ましく、テトラフルオロエチレン単位及びプロピレン単位が合計で90〜100モル%であり、他の単量体に由来する繰り返し単位が10〜0モル%であることがより好ましい。
【0037】
他の単量体としては、テトラフルオロエチレン単位及びプロピレン単位と共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、ビニリデンフルオライド(VdF)であることが好ましい。
【0038】
TFE/P共重合体は、フッ素含有率が50質量%以上であることが好ましく、フッ素含有率が55質量%以上であることがより好ましい。フッ素含有率の上限は特に限定されない。フッ素含有率が、50質量%未満であると耐薬品性、耐燃料油性、燃料低透過性が劣る傾向がある。
【0039】
以上説明したフッ素ゴムは、常法により製造することができる。
【0040】
(B)フッ素樹脂
上記フッ素樹脂としては、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有する含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。上記含フッ素エチレン性単量体としては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などの1種または2種以上のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン〔VdF〕、フッ化ビニル、式(2):
CH=CX(CF (2)
(式中、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)
で表されるフルオロオレフィンなどをあげることができる。
【0041】
上記フッ素樹脂は、上記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、上記フルオロオレフィン及びパーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、またはアルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
【0042】
これらの中でも、摩擦係数低減効果が良好な点から、つぎの含フッ素重合体が好ましい。
(1)エチレン/TFE共重合体〔ETFE〕
(2)TFEと式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の1種または2種以上からなる共重合体、たとえばTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体〔PFA〕またはTFE/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体〔FEP〕
(3)TFEとVdFと式(1):
CF=CF−R (1)
(式中、Rは、−CFまたは−ORを表す。Rは、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の1種または2種以上からなる共重合体、たとえばTFE/VdF/HFP共重合体
(4)ポリフッ化ビニリデン〔PVdF〕
(5)CTFE/TFE共重合体
のいずれかであることが好ましいが、これに限らない。
【0043】
上記フッ素樹脂は、摩擦係数低減効果が良好な点から、ETFE、FEP、PFA、TFE/VdF/HFP共重合体、PVdF、及び、CTFE/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ETFE、FEP、PFA及びCTFE/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、ETFE、FEP及びCTFE/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが特に好ましく、フッ素ゴム(A)との相溶性に特に優れる点からETFEであることが最も好ましい。
【0044】
ETFE
ETFEは、力学物性や燃料バリア性が向上する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、38:62〜85:15がより好ましく、37:63〜80:20が特に好ましい。
【0045】
ETFEは、TFE、エチレン、並びに、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、下記式
CH=CX、CF=CFR、CF=CFOR、CH=C(R
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、Rはエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す。)
で表される単量体が挙げられ、なかでも、CH=CXで表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、Rが炭素数1〜8のフルオロアルキル基であるCH=CXで表される含フッ素ビニルモノマーがより好ましい。
【0046】
上記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)があげられる。
【0047】
また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、イタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。
【0048】
TFE及びエチレンと共重合可能な単量体は、含フッ素エチレン性重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
【0049】
FEP
FEPは、とりわけ耐熱性が優れたものとなり、優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
【0050】
FEPは、TFE、HFP、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としては、CF=CF−OR(式中、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。
【0051】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0052】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0053】
FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性及び耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
【0054】
PFA
PFAは、とりわけ耐熱性が優れたものとなり、優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とPAVE単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とPAVE単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
【0055】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、PMVEであることが更に好ましい。
【0056】
PFAは、TFE、PAVE、並びに、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としては、HFP、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
【0057】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0058】
PFAは、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性及び耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
【0059】
CTFE/TFE共重合体
CTFE/TFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位の含有モル比がCTFE:TFE=2:98〜98:2であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成型時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。
【0060】
CTFE/TFE共重合体は、CTFE、TFE、並びに、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、エチレン、VdF、HFP、CF=CF−OR(式中、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。
【0061】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0062】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0063】
上記CTFE/TFE共重合体は、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、CTFE単位及びTFE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性及び耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
【0064】
また、フッ素樹脂(B)として用いる含フッ素重合体の融点は、120〜340℃であることが好ましく、150〜330℃であることがより好ましく、170〜320℃であることがさらに好ましい。含フッ素重合体の融点が、120℃未満であると、架橋成形時にブリードアウトする傾向があり、340℃を超えると、フッ素ゴム(A)との混合が困難になる傾向がある。
【0065】
フッ素樹脂(B)とフッ素ゴム(A)との相溶性向上のため、少なくとも1種の多官能化合物を添加してもよい。多官能化合物とは、1つの分子中に同一または異なる構造の2つ以上の官能基を有する化合物である。
【0066】
多官能化合物が有する官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アミド基、オレフィン基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基等、一般に反応性を有することが知られている官能基であれば任意に用いることができる。これらの官能基を有する化合物は、フッ素ゴム(A)との親和性が高いだけではなく、フッ素樹脂(B)が持つ反応性を有することが知られている官能基とも反応しさらに相溶性が向上することが期待される。
【0067】
架橋性フッ素ゴム組成物におけるフッ素ゴム(A)とフッ素樹脂(B)の質量割合(A)/(B)は、60/40〜97/3が好ましい。フッ素樹脂(B)が(A)/(B)=97/3よりも小さくなりすぎると摩擦係数低減の効果が充分に得られないおそれがあり、一方、フッ素樹脂(B)が(A)/(B)=60/40よりも大きくなりすぎると、本来のゴム弾性が著しく損なわれ、柔軟性が失われるおそれがある。柔軟性と低摩擦性の両方が良好な点から、(A)/(B)は、65/35〜95/5であることがより好ましく、70/30〜90/10であることがさらに好ましい。
【0068】
(C)架橋剤
架橋剤(C)としては、特に限定されないが、パーオキサイド架橋剤、ポリオール架橋剤、ポリアミン架橋剤等が挙げられ、パーオキサイド架橋剤又はポリオール架橋剤であることが好ましい。
【0069】
パーオキサイド架橋剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物を使用することができ、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド等が挙げられる。
【0070】
ポリオール架橋剤により架橋することもでき、フッ素ゴム(A)がテトラフルオロエチレン/プロピレン/VdF共重合体の場合に特に好ましい。
【0071】
ポリオール架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られている化合物を用いることができ、たとえば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
【0072】
前記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどがあげられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、前記金属塩は用いないことが好ましい。
【0073】
これらの中でも、架橋フッ素ゴムの圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFがさらに好ましい。
【0074】
ポリオール架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.5〜6質量部がより好ましく、1〜3質量部がさらに好ましい。架橋剤が、0.2質量部未満であると、架橋密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
【0075】
架橋性フッ素ゴム組成物は、架橋を補助するために、架橋促進剤、架橋助剤、共架橋剤、受酸剤等の添加剤を含むものであってもよい。
【0076】
架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤及び共架橋剤は、フッ素ゴムを架橋するために用いられるものである。ここで、架橋とは、架橋剤によりフッ素ゴムの同一または異なるポリマー鎖同士を架橋するものであり、このように架橋することにより、前記フッ素ゴムは、引張り強さが向上し、良好な弾性を有するものとなる。
【0077】
パーオキサイド架橋剤を使用する場合には、p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム、ラウリルメタアクリレート、エチレングリコールアクリルレート、トリエチレングリコールジメタアクリルレート、テトラエチレングリコールジメタクリルレート、ポリエチレングリコールジメタクリルレート、トリメチロールプロペントリメタアクリルレート、メチロールメタアクリルレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニールマレイミド、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニールベンゼン、ビニールトルエン、1,2−ポリブタジエン等の架橋助剤を使用することが好ましい。
【0078】
ポリオール架橋剤を使用する場合には、架橋促進剤を配合することが好ましい。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより架橋反応を促進することができる。
【0079】
上記架橋促進剤としては、特に限定されないが、オニウム塩を用いることができる。なかでも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましく、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド(DBU―B)及び/またはベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(BTPPC)を単独または併用、さらに他のオニウム塩と併用して用いることが適度な架橋速度、成型品の常態物性及び圧縮永久歪みが良好である点からさらに好ましい。
【0080】
架橋性フッ素ゴム組成物は、更に、充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種添加剤を含んでもよく、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を1種またはそれ以上配合してもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用すればよい。
【0081】
なお、上記架橋性フッ素ゴム組成物は、含フッ素熱可塑性エラストマーは含まない。
【0082】
(II)成形架橋工程
この工程は、混練工程で得られた架橋性フッ素ゴム組成物を成形し架橋して架橋成形品を製造する工程である。成形及び架橋の順序は限定されず、成形した後架橋してもよいし、架橋した後成形してもよいし、成形と架橋とを同時に行ってもよい。
【0083】
たとえばホース、長尺板ものなどの場合は押出成形した後架橋する方法が適切であり、異形の成形品の場合は、ブロック状の架橋物を得た後切削などの成形処理を施す方法も採れる。また、ピストンリングやオイルシールなどの比較的単純な成形品の場合、金型などで成形と架橋を同時に並行して行うことも通常行われている方法である。
【0084】
成形方法としては、たとえば押出成形法、金型などによる加圧成形法、インジェクション成形法などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
架橋方法も、スチーム架橋、加圧成形法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法が採用できる。なお、常温常圧での放射線架橋法もよく知られた架橋方法であるが、本発明においては、フッ素樹脂の表面層への移行がスムーズに起こる点から、架橋剤(C)の熱分解温度以上での加熱による架橋反応が特に優れている。
【0086】
架橋性フッ素ゴム組成物の成形及び架橋の方法及び条件は、採用する成形及び架橋において公知の方法及び条件の範囲内でよい。
【0087】
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜300℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよい。
【0088】
また、ゴムの架橋において、最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施すことがあるが、つぎの熱処理工程(III)で説明するように、従来の2次架橋工程と本発明における成形架橋工程(II)及び熱処理工程(III)とは異なる処理工程である。
【0089】
(III)熱処理工程
この熱処理工程では、成形架橋工程で得られた架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してフッ素ゴム成型品を得る。
【0090】
本発明における熱処理工程(III)は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率を高めるために行う処理工程であり、この目的に即して、フッ素樹脂(B)の融点以上かつフッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)の熱分解温度未満の温度が加熱温度として採用される。
【0091】
加熱温度が融点よりも低い場合は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率が十分に高くならない。フッ素ゴム及びフッ素樹脂の熱分解を回避するために、フッ素ゴム(A)またはフッ素樹脂(B)のいずれか低い方の熱分解温度未満の温度でなければならない。好ましい加熱温度は、短時間で低摩擦化が容易な点から、フッ素樹脂の融点より5℃以上高い温度である。
【0092】
上記の上限温度は通常のフッ素ゴムの場合であり、超耐熱性を有するゴムの場合は、上限温度は超耐熱性を有するゴムの分解温度であるので、上記上限温度はこの限りではない。
【0093】
加熱温度は加熱時間と密接に関係しており、加熱温度が比較的下限に近い温度では比較的長時間加熱を行い、比較的上限に近い加熱温度では比較的短い加熱時間を採用することが好ましい。このように加熱時間は加熱温度との関係で適宜設定すればよいが、加熱処理をあまり長時間行うとフッ素ゴムが熱劣化することがあるので、加熱処理時間は、耐熱性に優れたフッ素ゴムを使用する場合を除いて実用上48時間までである。通常、1分間〜48時間が好ましく、生産性が良好な点から1分間〜24時間がより好ましい。
【0094】
かかる熱処理工程(III)で起こる架橋成形品表面のフッ素樹脂比率が高くなるという現象は本発明者らにより初めて見出されたものである。
【0095】
ところで、従来行われている2次架橋は1次架橋終了時に残存している架橋剤を完全に分解しフッ素ゴムの架橋を完結し、架橋成形品の機械的特性や圧縮永久ひずみ特性を向上させるために行なう処理である。
【0096】
したがって、フッ素樹脂(B)の共存を想定していない従来の2次架橋条件は、その架橋条件が偶発的に本発明における熱処理工程の加熱条件と重なるとしても、2次架橋ではフッ素樹脂の存在を架橋条件設定の要因として考慮せずにフッ素ゴムの架橋の完結(架橋剤の完全分解)という目的の範囲内での加熱条件が採用されているにすぎず、フッ素樹脂(B)を配合した場合にゴム架橋物(ゴム未架橋物ではない)中でフッ素樹脂(B)を加熱軟化または溶融する条件を導き出せるものではない。
【0097】
なお、本発明における成形架橋工程(II)において、フッ素ゴム(A)の架橋を完結させるため(架橋剤(C)を完全に分解するため)の2次架橋を行ってもよい。
【0098】
また、熱処理工程(III)において、残存する架橋剤(C)の分解が起こりフッ素ゴム(A)の架橋が完結する場合もあるが、熱処理工程(III)におけるかかるフッ素ゴム(A)の架橋はあくまで副次的な効果にすぎない。
【0099】
かくして本発明の製造方法により得られるフッ素ゴム架橋成形品は、表面領域でフッ素樹脂比率が増大した状態になっているものと推定される。
【0100】
この表面領域でフッ素樹脂比率が増大した状態は、たとえば熱処理後の架橋成形品をESCAやIRで化学的に分析することで検証できる。
【0101】
そして、表面領域のフッ素樹脂比率が高いことにより、フッ素樹脂の特性、たとえば低摩擦性や非粘着性、撥水撥油性が、熱処理をしないものより、格段に向上する。しかも、表面領域以外では逆にフッ素ゴムの特性が発揮でき、全体として、低摩擦性や非粘着性、撥水撥油性、エラストマー性、のいずれにもバランスよく優れたフッ素ゴム架橋成形品が得られる。さらに、フッ素樹脂とフッ素ゴムの明確な界面状態が存在しないので、表面のフッ素樹脂に富む領域が脱落することもなく、耐久性に優れている。
【0102】
本発明の成形品は、その低摩擦性、非粘着性、撥水撥油性(高接触角)を利用して、シール材、摺動部材、非粘着性部材などとして有用である。
【0103】
具体的には、つぎの成形品が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
シール材:
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野では、O(角)−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、その他の各種シール材等があげられ、これらはCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置に用いることができる。具体的には、ゲートバルブのO−リング、シール材として、クォーツウィンドウのO−リング、その他の各種シール材として、チャンバーのO−リング、その他の各種シール材として、ゲートのO−リング、その他の各種シール材として、ベルジャーのO−リング、その他の各種シール材として、カップリングのO−リング、その他の各種シール材として、ポンプのO−リング、ダイアフラム、その他の各種シール材として、半導体用ガス制御装置のO−リング、その他の各種シール材として、レジスト現像液、剥離液用のO−リング、その他の各種シール材として用いることができる。
【0105】
自動車分野では、エンジンならびに周辺装置に用いるガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、各種シール材や、AT装置の各種シール材に用いることができる。燃料系統ならびに周辺装置に用いるシール材としては、O(角)−リング、パッキン、ダイアフラムなどがあげられる。具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、酸素センサー用シール、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプO−リング、ダイアフラム、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、キャブレターのセンサー用ダイアフラム等として用いることができる。
【0106】
航空機分野、ロケット分野及び船舶分野では、ダイアフラム、O(角)−リング、バルブ、パッキン、各種シール材等があげられ、これらは燃料系統に用いることができる。具体的には、航空機分野では、ジェットエンジンバルブステムシール、ガスケット及びO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール等に用いられ、船舶分野では、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライ弁の軸シール等に用いられる。
【0107】
化学プラント分野では、バルブ、パッキン、ダイアフラム、O(角)−リング、各種シール材等があげられ、これらは医薬、農薬、塗料、樹脂等化学品製造工程に用いることができる。具体的には、化学薬品用ポンプ、流動計、配管のシール、熱交換器のシール、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキング、農薬散布機、農薬移送ポンプのシール、ガス配管のシール、メッキ液用シール、高温真空乾燥機のパッキン、製紙用ベルトのコロシール、燃料電池のシール、風洞のジョイントシール、ガスクロマトグラフィー、pHメーターのチューブ結合部のパッキン、分析機器、理化学機器のシール、ダイアフラム、弁部品等として用いることができる。
【0108】
現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野及び塗装設備等の塗装分野では、乾式複写機のシール、弁部品等として用いることができる。
【0109】
食品プラント機器分野では、バルブ、パッキン、ダイアフラム、O(角)−リング、各種シール材等があげられ、食品製造工程に用いることができる。具体的には、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール等として用いることができる。
【0110】
原子力プラント機器分野では、パッキン、O−リング、ダイアフラム、バルブ、各種シール材等があげられる。
【0111】
一般工業分野では、パッキング、O−リング、ダイアフラム、バルブ、各種シール材等があげられる。具体的には、油圧、潤滑機械のシール、ベアリングシール、ドライクリーニング機器の窓、その他のシール、六フッ化ウランの濃縮装置のシール、サイクロトロンのシール(真空)バルブ、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガス、塩素ガス分析用ポンプのダイアフラム(公害測定器)等に用いられる。
【0112】
電気分野では、具体的には、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール等として用いられる。
【0113】
燃料電池分野では、具体的には、電極、セパレーター間のシール材や水素・酸素・生成水配管のシール等として用いられる。
【0114】
電子部品分野では、具体的には、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブのガスケット等に用いられる。
【0115】
現場施工型の成形に用いることが可能なものとしては特に限定されず、例えばエンジンのオイルパンのガスケット、磁気記録装置用のガスケット、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤等があげられる。
【0116】
また、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)用のガスケット、半導体製造装置やウェハー等のデバイス保管庫等のシールリング材等のクリーン設備用シール材に特に好適に用いられる。
【0117】
さらに、燃料電池セル電極間やその周辺配管等に用いられるパッキン等の燃料電池用のシール材等にも特に好適に用いられる。
【0118】
摺動部材:
自動車関連分野では、ピストンリング、シャフトシール、バルブステムシール、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、オイルシールなどがあげられる。
一般に、他材と接触して摺動を行う部位に用いられるフッ素ゴム製品があげられる。
【0119】
非粘着性部材:
コンピュータ分野での、ハードディスククラッシュストッパーなどがあげられる。
【0120】
撥水撥油性を利用する分野:
自動車のワイパーブレード、屋外テントの引き布などがあげられる。
【実施例】
【0121】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0122】
本明細書における各種の特性については、つぎの方法で測定した。
【0123】
(1)架橋(加硫)特性
キュラストメーターII型(JSR(株)製)にて最低トルク(ML)、最高トルク(MH)、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を測定した。
【0124】
(2)100%モジュラス(M100)
JIS K6251に準じて測定した。
【0125】
(3)引張破断強度(Tb)
JIS K6251に準じて測定した。
【0126】
(4)引張破断伸び(Eb)
JIS K6251に準じて測定した。
【0127】
(5)硬度(ショアA)
JIS K6253に準じ、デュロメータ タイプAにて測定した(ピーク値)。
【0128】
(6)摩擦係数
レスカ社製フリクションプレーヤーFPR2000で、加重20g、回転モード、回転数60rpm、回転半径10mmで測定を行い、5分間以上安定した摩擦係数が得られたことが確認できた後にその数値を読み取り、摩擦係数とした。
【0129】
また、表及び明細書中の各商品名は、それぞれ次に示すものである。
【0130】
フッ素ゴムA:パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム(TFE/P)
ムーニー粘度ML1+10(100℃)は約95。フッ素含有量は57%。
【0131】
フッ素樹脂B:TFE/エチレン/2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン=63.4/34.2/2.4モル%の共重合体(ETFE。融点:225℃)
【0132】
充填剤:カーボンブラック(Cancarb社製のMTカーボン:N990)
【0133】
架橋剤:TAIC(トリアリルイソシアヌレート)(日本化成社製)
【0134】
有機過酸化物:α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(商品名 パーカドックス14、化薬アクゾ社製)
【0135】
加工助剤:ステアリン酸ナトリウム
【0136】
実施例1
(I)混練工程
(プレコンパウンドの調製)
内容積3リットルの加圧型ニーダーにフッ素ゴムAを100質量部、フッ素樹脂Bを43質量部を投入し、フッ素樹脂Bの融点(225℃)よりも5℃高い230℃の温度で30分間溶融混練し、プレコンパウンドを調製した。ローターの回転数は50rpmとした。
【0137】
(フルコンパウンドの調製)
得られたプレコンパウンドを8インチロール2本を備えたオープンロールに巻き付け、充填剤を5質量部、架橋剤を5質量部、有機過酸化物を1質量部、加工助剤を1質量部添加し、20分間混練りした。さらに得られた混合物を24時間冷却し、再度8インチロール2本を備えたオープンロールを用いて、30〜80℃で20分間混練りして架橋性フッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を調製した。
【0138】
このフルコンパウンドの架橋(加硫)特性を調べた。結果を表1に示す。
【0139】
(II)成形架橋工程
(成形工程)
得られたフルコンパウンドを8インチオープンロールにより最終的に3mmの厚さの未架橋フッ素ゴムシートに成形した。
【0140】
(架橋工程)
この未架橋フッ素ゴムシートを金型で170℃にて20分間プレス架橋し、厚さが2mmの架橋フッ素ゴムシートを得た。
【0141】
得られた架橋フッ素ゴムシートについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(ショアA、ピーク値)及び摩擦係数を調べた。結果を表2に示す。
【0142】
(III)熱処理工程
架橋フッ素ゴムシート(含まれるフッ素樹脂Bの融点:225℃)を200℃に維持された加熱炉中に4時間、230℃に維持された加熱炉中に24時間、48時間入れ、それぞれ熱処理をした。
【0143】
熱処理した架橋フッ素ゴムシート(200℃4時間熱処理、230℃24時間熱処理及び230℃48時間熱処理)のそれぞれについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(ショアA、ピーク値)及び摩擦係数を調べた。結果を表2に示す。また、架橋フッ素ゴムシートの表面を電子顕微鏡(日立社製、S−4000)にて観察した。電子顕微鏡写真を図1及び2に示す。
【0144】
比較例1
プレコンパウンドの調製工程における混練温度を210℃(フッ素樹脂Bの融点:225℃)としたほかは実施例1と同様に混練工程及び成形架橋工程を施して架橋フッ素ゴムシートを製造した。
【0145】
得られた架橋フッ素ゴムシートを実施例1と同様に200℃で4時間、230℃で24時間、230℃で48時間、それぞれ加熱処理をした。
【0146】
熱処理していない架橋フッ素ゴムシート及び熱処理を施した架橋フッ素ゴムシート(200℃4時間熱処理、230℃24時間熱処理及び230℃48時間熱処理)のそれぞれについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(ショアA、ピーク値)及び摩擦係数を調べた。
【0147】
フルコンパウンドの架橋(加硫)特性を表1に、架橋フッ素ゴムシートの特性を表2に示す。また、電子顕微鏡写真を図3及び4に示す。
【0148】
比較例2
架橋性フッ素ゴム組成物としてフッ素ゴムAにフッ素樹脂を混練せず、実施例1と同様に成形架橋工程を施して架橋フッ素ゴムシートを製造した。ただし、この場合、フッ素ゴムとフッ素樹脂の溶融混合は必要ないので、溶融混練り工程は省いた。
【0149】
得られた架橋フッ素ゴムシートを実施例1と同様に加熱炉に入れ、200℃で4時間、230℃で24時間、230℃で48時間、それぞれ熱処理をした。
【0150】
熱処理していない架橋フッ素ゴムシート及び熱処理を施した架橋フッ素ゴムシート(200℃4時間熱処理、230℃24時間熱処理及び230℃48時間熱処理)のそれぞれについて、100%モジュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(ショアA、ピーク値)及び摩擦係数を調べた。
【0151】
フルコンパウンドの架橋(加硫)特性を表1に、架橋フッ素ゴムシートの特性を表2に示す。
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】

【0154】
表1及び表2の結果から、特定の条件下で調製されたフッ素ゴム組成物(フルコンパウンド)を、フッ素樹脂の融点以上の温度で熱処理することによって、優れた機械的強度を有し、摩擦係数が小さいフッ素ゴム成形品が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の製造方法により得られるフッ素ゴム成形品は、シール材、摺動部材、非粘着性部材として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体からなるフッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)を、フッ素樹脂(B)の融点以上で混練することにより架橋性フッ素ゴム組成物を得る混練工程、
(II)架橋性フッ素ゴム組成物を成形し、架橋して、架橋成形品を得る成形架橋工程、及び、
(III)架橋成形品をフッ素樹脂(B)の融点以上の温度に加熱してフッ素ゴム成型品を得る熱処理工程
を含むフッ素ゴム成形品の製造方法。
【請求項2】
混練工程(I)は、フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)をフッ素樹脂(B)の融点以上で混練して予備混合物を得たのち、予備混合物に架橋剤(C)を添加し、架橋温度未満で混練して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
フッ素樹脂(B)は、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、及び、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
架橋性フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(A)及びフッ素樹脂(B)の質量割合(A)/(B)が60/40〜97/3である請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の製造方法により得られるフッ素ゴム成形品。
【請求項6】
シール材である請求項5記載のフッ素ゴム成形品。
【請求項7】
摺動部材である請求項5記載のフッ素ゴム成形品。
【請求項8】
非粘着性部材である請求項5記載のフッ素ゴム成形品。
【請求項9】
表面に撥水撥油性を有する請求項5記載のフッ素ゴム成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−12212(P2011−12212A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159070(P2009−159070)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】