説明

フッ素共重合体を被覆したキッチン、洗面、浴室用部材

【課題】下地処理無しに1回の塗装・焼付けで耐汚染性、撥水・撥油性、非粘着性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れるとともに各種基材に対して優れた密着性を有するフッ素共重合体を表面に被覆したキッチン、洗面化粧台、浴槽用部材を提供する。
【解決手段】必須の重合単位として、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンと反応性シリコーンオイルと水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸を含むフッ素共重合体を表面に被覆したシンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などのキッチン用部材、または前記フッ素共重合体を表面に被覆したカウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの洗面化粧台用部材、または前記フッ素共重合体を表面に被覆した壁材、天井材、排水口部材などの浴室用部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂の特徴である耐汚染性、撥水・撥油性、非粘着性、耐薬品性、耐溶剤性などの優れた特徴を有すると共に、各種基材に対して優れた密着性を有するフッ素共重合体を表面に被覆したキッチン、洗面、浴室用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンのシンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材や洗面化粧台のカウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの部材や浴室の壁材、天井材、排水口部材などの各種部材には、汚染物が付着しづらい材料や簡単に汚れがふき取れる材料などが各種提案されている。また、耐傷付き性などに優れた材料も各種提案されている。例えば、ステンレス鋼製キッチンシンクは、ステンレス鋼本来の靭性,弾性等の特性を活用し、不用意に茶碗等の食器を落としても割れ発生に至らない長所を呈する。しかし、表面硬度が低く、疵付きやすくまた汚れ易いことが欠点である。ステンレス鋼製キッチンシンクは、ステンレス鋼特有の美麗な外観も長所の一つであるが、疵や汚れは外観を著しく損ねる。
そのため、耐疵付き性,耐汚染性を改善するため、塗装を施すケースが最近では増えてきている。塗装材料には無機系、有機系いろいろな塗料が使用されているが、有機系のフッ素樹脂を使用する場合には密着性に問題があり、フッ素塗装を施す前にプライマー塗装を施す必要があった(特許文献1)。あるいは、基材表層に繋ぎ粒子を設ける事により密着性を確保する方法も提案されている(特許文献2)。
【0003】
また、カウンタートップには最近では人造大理石が広く使用されているが、食品汚染物が表面にこびり付いてしまったりして取りづらい場合があり、ふき取りやすさを向上させるために、塗装される場合がある。この場合の塗料もシリカなどの無機系、フッ素樹脂などの有機系各種樹脂が提案されているが、フッ素系塗料を塗装する場合の問題点として、上述のシンク同様に密着性に問題があり、長期使用すると塗膜が剥離しやすいという問題があった。
【特許文献1】特表平7−506514号公報
【特許文献2】特開2002−309386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1,2の発明により、一般的に密着性の悪いフッ素樹脂でも優れた密着性を確保できる。しかし、いずれも下地処理が必要であり、煩雑な作業が必要であることには変わりなかった。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、密着性を改善するために水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸を含むフッ素共重合体を基材表面に設けることにより、下地処理無しに1回の塗装・焼付けで耐汚染性、撥水・撥油性、非粘着性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れるとともに各種基材に対して優れた密着性を有するフッ素共重合体を表面に被覆したシンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などのキッチン用部材あるいはカウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの洗面化粧台用部材あるいは壁材、天井材、排水口部材などの浴室用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、必須の重合単位として、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンと反応性シリコーンオイルと水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸を含むフッ素共重合体をキッチンや洗面化粧台や浴室の各部材の基材表面に設けることにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、前記課題は以下の本発明により解決される。
【0006】
必須の重合単位として、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンと下記一般式(1)の反応性シリコーンオイルと水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸を含むフッ素共重合体を表面に被覆したシンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などのキッチン用部材、または前記フッ素共重合体を表面に被覆したカウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの洗面化粧台用部材、または前記フッ素共重合体を表面に被覆した壁材、天井材、排水口部材などの浴室用部材。
1−[Si (CH)−O]n−Si (CH)−R2 (1)
[式(1)において、R1は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(CH2)m−OOC(CH)C=CH2あるいは−CH=CH2を表す。
2は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(CH2)m−OOC(CH)C=CH2あるいは−CH=CH2を表す。nは1〜420、mは1〜6を表す。]
【発明の効果】
【0007】
本発明により、耐汚染性、撥水・撥油性、非粘着性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れるとともに各種基材に対して優れた密着性を有するフッ素共重合体を表面に被覆したシンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などのキッチン用部材とカウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの洗面化粧台用部材と壁材、天井材、排水口部材などの浴室用部材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.キッチン用部材または洗面化粧台用部材または浴室用部材
本発明のキッチン用部材は、シンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などの基材、当該基材の上に設けられたフッ素共重合体の皮膜を含む。また、本発明の洗面化粧台用部材は、カウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの基材、当該基材上に設けられたフッ素共重合体の皮膜を含む。また、本発明の浴室用部材は、壁材、天井材、排水口部材などの基材、当該基材の上に設けられたフッ素共重合体の皮膜を含む。以下各部材について説明する。
【0009】
(1)基材
本発明のキッチン用部材は、シンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などの基材を含む。まず、シンク、カウンタートップはシンクまたはカウンタートップ形状に加工されたステンレス鋼板とFRP樹脂を含む。ステンレス鋼板は研磨仕上げされたものやエンボス加工されたものでもよい。FRP樹脂用樹脂としては、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。これらの樹脂にその他スチレン、過酸化物系硬化剤、ポリイソシアネート化合物、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、柄材、顔料、紫外線吸収剤、内部離型剤などを適宜添加したものが、FRP樹脂として挙げられる。扉材は樹脂シート、塗料などで表面化粧され、扉材形状に加工されたパーティクルボード、MDF、合板、天然木、または金属板などが挙げられる。排水口部材は、所定形状に加工されたPP樹脂、ABS樹脂が挙げられる。
本発明の洗面化粧台用部材は、カウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの基材を含む。カウンタートップは、所定形状に加工されたアクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などが挙げられる。ボウルは上記樹脂あるいは陶器が挙げられる。ミラーキャビネットは耐衝撃性に優れたポリスチレン樹脂や金属板などが挙げられる。
本発明の浴室部材は、壁材、天井材、排水口部材などの基材を含む。壁材、天井材は、所定形状に加工された樹脂シート、塗料などで表面化粧されたステンレス鋼板または亜鉛めっき鋼板などの鋼板、あるいはポリスチレン樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などの樹脂が挙げられる。排水口部材は、所定形状に加工されたPP樹脂、ABS樹脂が挙げられる。
【0010】
(2)フッ素共重合体皮膜
必須の重合単位として、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンと反応性シリコーンオイルと水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸を含むフッ素共重合体からなる皮膜を言う。
【0011】
1)フッ素系モノマー
フッ素系モノマーとしては、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンを必須成分とする。この他、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレンなども適宜加えても良い。
【0012】
2)反応性シリコーンオイル
反応性シリコーンオイルは下記一般式(1)を用いる。
1−[ Si(CH−O]n−Si
(CH−R2 (1)
[式(1)において、R1は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(CH2)m−OOC(CH)C=CH2あるいは−CH=CH2を表す。
2は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(CH2)m−OOC(CH)C=CH2あるいは−CH=CH2を表す。nは1〜420、mは1〜6を表す。]
一般式(1)で示される反応性シリコーンオイルは、片末端がメタクリル変性されたポリジメチルシロキサン、片末端がアクリル変性されたポリジメチルシロキサン、両末端がメタクリル変性されたポリジメチルシロキサンなどが好ましい。これらの反応性シリコーンオイルは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
【0013】
3)水酸基含有ビニルエーテル
水酸基含有ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどが挙げられるが、特に2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルが好ましい。
【0014】
4)不飽和カルボン酸
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸などが挙げられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0015】
5)配合量
本発明における各成分の配合量は、フッ素系モノマー30〜80モル%と一般式(1)で示される反応性シリコーンオイル0.005〜25モル%と水酸基含有ビニルエーテル10〜40モル%と不飽和カルボン酸0.5〜20モル%であることが好ましい。
【0016】
本発明におけるフッ素共重合体皮膜は、前述のように様々な基材に対して優れた密着性を有する。すなわち、密着性を上げるために一般的に行われている各種手法を必要としない。すなわち、プライマー塗料をあらかじめ塗布したり、表面を機械的に荒らしたり、コロナ放電処理や紫外線照射処理やプラズマ処理などで表面を活性化する必要がない。表面が清浄でありさえすれば、本発明のフッ素共重合体皮膜は、基材に強固に密着する。特に、キッチンや洗面化粧台や浴室では日常温水が使われるが、長時間温水に接しても密着性が低下することは無い。この理由は以下のように考える。
【0017】
本発明においては、重合成分として水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸が含まれているが、水酸基含有ビニルエーテルでは水酸基が、不飽和カルボン酸ではカルボキシル基がそれぞれ極性基として含まれている。一方基材側の各種鋼板、各種樹脂の表面にも水酸基などの極性基が存在すると考えられ、この両者の極性基同士で化学的に結合しうるため、皮膜と基材との間で強固な密着性を発現するものと考えられる。
【0018】
本発明におけるフッ素共重合体を硬化させるには、硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤を用いれば良い。イソシアネート系硬化剤としては例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネートなどの芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジジイソシアネートなどの脂肪族あるいは脂環族ジイソシネート、およびこれらのブロック化イソシアネートが好ましい。
【0019】
本発明におけるフッ素共重合体は透明であるが、例えば着色するために着色顔料を添加しても良い。また、メタリックやパール感を発現するためにアルミ粉やパール顔料などを添加しても良い。さらに落ち着いた質感とするために、つや消し剤なども添加できる。シンク用では潤滑剤として世の中で広く使用されているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの潤滑性粉末を添加しても良い。さらに排水口部材用では抗菌剤や防カビ剤も添加しても良い。
【実施例1】
【0020】
(フッ素共重合体Aの作製)
ステンレス製攪拌機付きオートクレーブ(耐圧100kg/cm2)に、脱気したのち、フッ化ビニリデン96g、テトラフルオロエチレン81g、ヒドロキシブチルビニルエーテル69.6g、アクリル酸2.2g、下記構造式
CH2=C(CH)−COO−C6− Si(CH−[O−Si(CH44−OSi(CH
で示されるメタクリル変性シリコーンオイル10.5g、酢酸ブチル200ml、n−ブタノール200mlおよびt−ブチルパーオキシピバレート1.3gを入れ、攪拌しながら内温を60℃に昇温した。その後、攪拌しながら反応を続け、20時間後攪拌を停止し、反応を終了した。
【0021】
さらに、得られた重合液を濃縮し、50%酢酸ブチル/n-ブタノール混合溶液とした。さらにこの溶液に該ポリマーの水酸基/NCOの基が1/1になるようにコロネートHX[日本ポリウレタン工業(株)製]を加えて、フッ素共重合体Aを作製した。
【0022】
(ステンレス製鏡面キッチンシンクへの被覆)
塗装原板には板厚が0.7mmのSUS304ステンレス鋼板BA材を用い、シンク形状に絞り加工した。その後、バフ研磨を行って表面を鏡面に仕上げた。当該基材にはアルカリ脱脂処理、水洗処理、乾燥処理を施した後、前記フッ素共重合体Aをスプレー塗装した。その後塗布膜を到達板温度180℃で20分間乾燥させて、膜厚が10μmの透明皮膜が形成された鏡面キッチンシンクを得た。
【0023】
このようにして得たステンレス鋼製キッチンシンクの底部から試験片を切り出し、耐温水密着試験、外観試験、防汚試験(油性マジック繰り返し除去性)を行った。結果を表1に示す。
1)耐温水密着試験
80℃の温水に試験片を168時間連続して浸漬した後、乾燥し、テープ剥離を行い、塗膜密着性により評価した。評価基準は以下のとおりとした。
◎:剥離なし
〇:テープを貼った面積に対する剥離部の面積の割合が10%以下
△:前記割合が10%を超えて50%以下
×:前記割合が50%を超える
【0024】
2)外観評価
塗装後の仕上がりが平滑かどうか、ゆず肌がないかどうかなど、外観に異常がないかどうか、目視により評価した。
〇:良好、×:不良
【0025】
3)防汚試験
防汚性は油性マジック(黒・赤・マジックインキ商品名)の繰り返し除去性により評価した。塗膜表面を油性マジックにより塗りつぶし、室温で1時間放置後乾拭きにより除去する。これを20回繰り返した後の、塗膜表面の除去性を評価する。
【0026】
◎:全く跡が付かない
〇:ごくわずか跡が付く
△:かなり跡が付く
×:完全に跡が残る
【実施例2】
【0027】
(人造大理石製キッチンカウンタートップへの被覆)
人造大理石用FRP樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂を用いて、その他スチレン、過酸化物系硬化剤、ポリイソシアネート化合物、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、柄材、顔料、紫外線吸収剤、内部離型剤などを添加したものをカウンタートップ形状に成形加工した。その後、当該基材の表面をアルコールで清浄後、前記フッ素共重合体Aをスプレー塗装した、その後塗布膜を到達板温度120℃で20分間乾燥させた後、室温で1日放置して硬化を終了させて、膜厚が7μmの透明皮膜が形成されたキッチンカウンタートップを得た。実施例1と同様に耐温水密着試験、外観試験、防汚試験を行った。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0028】
(浴室の壁材用化粧鋼板への被覆)
浴室の壁材用化粧鋼板として、塗装原板に板厚が0.45mmの亜鉛めっき鋼板を用いた。塗装前処理として、まず表面調整を行った後、塗布型クロメート処理を行った。
次いで、プライマー塗料を塗装・焼付け後、ベース塗料を塗装・焼付けした。さらに、柄印刷層をスクリーン印刷により施してから乾燥を行った。そして、トップ層として、前記フッ素共重合体Aをスクリーン印刷により塗装した、その後塗布膜を到達板温度180℃で20分間乾燥させて、膜厚が10μmの透明皮膜が最表層に形成された浴室の壁材用化粧鋼板を得た。実施例1と同様に耐温水密着試験、外観試験、防汚試験を行った。結果を表1に示す。
【実施例4】
【0029】
(浴室の排水口部材への被覆)
浴室の排水口部材として、ABS樹脂製の封水筒を用いた。まずアルコールで全面を清浄後、前記フッ素共重合体Aをスプレー塗装した、その後塗布膜を到達板温度80℃で20分間乾燥させた後、室温で1日放置して硬化を終了させて、膜厚が5μmの透明皮膜が形成された封水筒を得た。実施例1と同様に耐温水密着試験、外観試験、防汚試験を行った。結果を表1に示す。
【比較例1】
【0030】
(フッ素共重合体Bの作製)
ステンレス製攪拌機付きオートクレーブ(耐圧100kg/cm)に、脱気したのち、フッ化ビニリデン96g、テトラフルオロエチレン81g、アクリル酸2.2g、下記構造式
CH2=C(CH)−COO−C6−Si(CH−[O−Si(CH44−OSi(CH
で示されるメタクリル変性シリコーンオイル10.5g、酢酸ブチル200ml、n−ブタノール200mlおよびt−ブチルパーオキシピバレート1.3gを入れ、攪拌しながら内温を60℃に昇温した。その後、攪拌しながら反応を続け、20時間後攪拌を停止し、反応を終了した。
【0031】
さらに、得られた重合液を濃縮し、50%酢酸ブチル/n−ブタノール混合溶液とした。さらにこの溶液に該ポリマーの水酸基/NCOの基が1/1になるようにコロネートHX[日本ポリウレタン工業(株)製]を加えて、フッ素共重合体Bを作製した。また、共重合体Bの硬化塗膜の塗膜特性を実施例1と同様に調べた。結果を表1に示す。
【比較例2】
【0032】
(フッ素共重合体Cの作製)
ステンレス製攪拌機付きオートクレーブ(耐圧100kg/cm)に、脱気したのち、フッ化ビニリデン96g、テトラフルオロエチレン81g、ヒドロキシブチルビニルエーテル69.6g、下記構造式
CH2=C(CH)−COO−C6−Si(CH−[O−Si(CH44−OSi(CH
で示されるメタクリル変性シリコーンオイル10.5g、酢酸ブチル200ml、n−ブタノール200mlおよびt−ブチルパーオキシピバレート1.3gを入れ、攪拌しながら内温を60℃に昇温した。その後、攪拌しながら反応を続け、20時間後攪拌を停止し、反応を終了した。

【0033】
さらに、得られた重合液を濃縮し、50%酢酸ブチル/n−ブタノール混合溶液とした。さらにこの溶液に該ポリマーの水酸基/NCOの基が1/1になるようにコロネートHX[日本ポリウレタン工業(株)製]を加えて、フッ素共重合体Cを作製した。また、共重合体Cの硬化塗膜の塗膜特性を実施例1と同様に調べた。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の結果から、本発明のフッ素共重合体を被覆したキッチン用部材や洗面化粧台用部材および浴室用部材は、耐温水密着性、外観性、防汚性に優れることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のキッチン、洗面化粧台、浴室用各部材は、生産性、耐温水密着性、外観性、防汚性にも優れるため、個人住宅あるいは集合住宅のシステムキッチンや洗面化粧台やシステムバスに好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必須の重合単位として、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンと下記一般式(1)の反応性シリコーンオイルと水酸基含有ビニルエーテルと不飽和カルボン酸を含むフッ素共重合体を表面に被覆したシンク、カウンタートップ、扉材、排水口部材などのキッチン用部材、または前記フッ素共重合体を表面に被覆したカウンタートップ、ボウル、ミラーキャビネットなどの洗面化粧台用部材、または前記フッ素共重合体を表面に被覆した壁材、天井材、排水口部材などの浴室用部材。
1−[ Si(CH−O]n−Si(CH−R2 (1)
[式(1)において、R1は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(CH2)m−OOC(CH)C=CH2あるいは−CH=CH2を表す。
2は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−(CH2)m−OOC(CH)C=CH2あるいは−CH=CH2を表す。nは1〜420、mは1〜6を表す。]






































【公開番号】特開2009−197145(P2009−197145A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40875(P2008−40875)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】