説明

フッ素化エーテル組成物及びフッ素化エーテル組成物の使用方法

式:


で表わされる少なくとも1つの第1の2価単位を含む組成物であり、各Rfは、独立して、Rf−(O)−CHF−(CF−、[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−、Rf−O−(CF−、F(C2k)−(O−C2k−O−CF−、及びCF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−からなる群から選択される。各Qは、独立して、結合:−C(O)−N(R)−及び−C(O)−O−からなる群から選択される。各Xは、独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンはそれぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されており、かつ任意に−N(R)−C(O)−又は−O−C(O)−を末端とする。R及びRは、それぞれ独立して水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される。Rfは、炭素原子1〜10個を有し、かつ任意に少なくとも1つの酸素原子によって中断されている部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表す。Rfは、CFCFH−及びF(C2j)−からなる群から選択される。液体の表面張力を減少させる方法、発泡体の作製方法、及び組成物を用いた表面の処理方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フルオロケミカル類は長年にわたって種々の用途に使用されてきた。例えば、フッ素化界面活性剤は種々の配合物(例えば、コーティング及び発泡体)に添加されてきた。配合物(例えば、コーティング配合物)にフッ素化界面活性剤を加えることで、例えば、濡れ挙動、平滑特性、及び保存安定性(例えば、相分離又は泡半減期に対して)を改善し、配合物の特性を向上させることができる。他の用途では、フルオロケミカル類は、様々な材料(例えば、セラミックス、布、及び多孔質の石)に疎水性及び嫌油性などの特性を提供するのに使用されてきた。
【0002】
従来より、幅広く使用される多くのフッ素化界面活性剤としては、長鎖ペルフルオロアルキル基(例えば、ペルフルオロオクチル基)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年、業界は、ペルフルオロオクチルフッ素化界面活性剤を使用しない傾向にあり、その結果、様々な用途に使用することができる新しいタイプの界面活性剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は、式:
【0005】
【化1】

【0006】
で表わされる少なくとも1つの第1の2価単位を含む組成物を提供し、式中、
Rfは、それぞれ独立して:
Rf−(O)−CHF−(CF−;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
Rf−O−(CF−;
F(C2k)−(O−C2k−O−CF−;及び
CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−;からなる群から選択され、
Qは、それぞれ独立して結合:
−C(O)−N(R)−及び−C(O)−O−からなる群から選択され、
各Xは、独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されており、かつ任意に−N(R)−C(O)−又は−O−C(O)−を末端とし、
R及びRは、それぞれ独立して、水素及び炭素原子1〜4個を有するアルキルからなる群から選択され、
Rfは、炭素原子1〜10個を有し、かつ任意に少なくとも1つの酸素原子によって中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表し、
Rfは、CFCFH−及びF(C2j)−からなる群から選択され、
Lは、F及びCFからなる群から選択され、
Wはアルキレン及びアリーレンからなる群から選択され、
は、−CF−、−CFCF−、及び−CF(CF)−からなる群から選択され、
tは0又は1であり、Rfが式:
Rf−(O)−CHF−(CF−で表わされ、かつtが0の場合、Rfは少なくとも1つの酸素原子によって中断されており、
mは、1、2、又は3であり、
nは0又は1であり、
jは1〜4の整数であり、
kはそれぞれ独立して1又は2であり、
pはそれぞれ独立し1〜6の整数であり、及び
zが0〜3の整数である。
【0007】
別の態様において、本発明は表面処理方法を提供し、方法は表面を本発明の組成物に接触させることを含む。いくつかの実施形態において、表面は、セラミックス(即ち、ガラス、結晶性セラミックス、ガラスセラミックス、及びこれらの組み合わせ)、自然石(例えば、砂岩、石灰岩、大理石、及び花崗岩)、又はセメント質の表面(例えば、グラウト、コンクリート、及び人工石)の少なくとも1つを含む。
【0008】
別の態様において、本発明は表面を有する物品を提供し、表面の少なくとも一部分は本発明の組成物と接触する。いくつかの実施形態において、表面は、セラミックス、自然石、又はセメント質の表面の少なくとも1つを含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、液体の表面張力を減少させる方法を提供し、方法は、液体をある量の本発明の組成物と組み合せることを含み、液体の量は液体の表面張力を減少させるのに十分な量である。いくつかの実施形態において、液体の表面張力は、少なくとも10%(いくつかの実施形態では、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、又は更には70%)減ぜられる。
【0010】
別の態様において、本発明は発泡体を作製する方法を提供し、方法は、液体、ガス、及び本発明の組成物を含む構成成分を組み合せて発泡体を提供することを含む。これら実施形態のいくつかにおいて、液体は水である。これら実施形態のいくつかにおいて、液体は炭化水素液である。
【0011】
別の態様において、本発明は表面を有する物品を提供し、表面の少なくとも一部分はフッ素化シロキサンと接触し、フッ素化シロキサンは式:
【0012】
【化2】

【0013】
で表わされる少なくとも1つの2価単位と、
式:
【0014】
【化3】

【0015】
で表わされる少なくとも1つの2価単位とを含むフッ素化シランの少なくとも1つの縮合生成物を含み、式中、
Rfは、それぞれ独立して:
Rf−(O)−CHF−(CF−;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
Rf−O−(CF−;
F(C2k)−(O−C2k−O−CF−;及び
CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−;からなる群から選択され、
Rfは、炭素原子1〜10個を有し、かつ任意に少なくとも1つの酸素原子によって中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表し、
Rfは、CFCFH−及びF(C2j)−からなる群から選択され、
Lは、F及びCFからなる群から選択され、
Wはアルキレン及びアリーレンからなる群から選択され、
は、−CF−、−CFCF−、及び−CF(CF3)−からなる群から選択され、
tは0又は1であり、Rfが式:Rf−(O)−CHF−(CF−で表わされ、かつtが0の場合、Rfは少なくとも1つの酸素原子によって中断されており、
mは1、2、又は3であり、
nは0又は1であり、
各jは、独立して1〜4の整数であり、
各kは、独立して1又は2であり、
各pは、独立して1〜6の整数であり、
zは0〜3の整数であり、
は独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンがそれぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されており、
各R10は、独立して、炭素原子1〜6個を有するアルキル及びアリールからなる群から選択され、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−からなる群から選択され、
R、R、及びR11は、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され、
Vは、任意に少なくとも1つのエーテル結合又はアミン結合によって中断されているアルキレンであり、
Gは、それぞれ独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、及びハロゲンからなる群から選択され、及び
hは0、1、又は2である。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の及び/又は本発明の様々な態様において使用される、部分的にフッ素化された及び/又は少数(例えば、最大4個)のペルフルオロ化された連続炭素原子を有する組成物は、驚くべきことに、多数のペルフルオロ化された連続炭素原子を有する完全にフッ素化された界面活性剤に匹敵する程度まで水の表面張力を低下させる。いくつかの実施形態において、本発明の及び/又は本発明の様々な態様において使用される組成物は、驚くべきことに、多数のペルフルオロ化された連続炭素原子を有する完全にフッ素化された界面活性剤に匹敵する程度まで、水及び/又はデカンに対する接触角を増大する。
【0017】
本出願において、
用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と同じ意味で使用される。
【0018】
別に定めない限り「アルキル基」及びプリフィックスである「アルキ−」は、直鎖状基及び分岐鎖状基の両方を含み、かつ最大30個の炭素(いくつかの実施形態では、最大20個、15個、12個、10個、8個、7個、6個、又は5個の炭素)を有する環状基を含む。環状基は、単環式又は多環式であることができ、いくつかの実施形態では、3〜10個の環炭素原子を有する。
【0019】
「アルキレン」は、上に定義した「アルキル」の2価の形態である。
【0020】
「アリールアルキレン」は、アリール基が結合した「アルキレン」部分を指す。
【0021】
本明細書で使用されるとき用語「アリール」は、例えば、1、2、又は3つの環を有し、かつ任意に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、S、又はN)を環内に有する炭素環式芳香族環又は環系を含む。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、並びにフリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、及びチアゾリルが挙げられる。
【0022】
本出願では、特に指定のない限り、全ての数値範囲は、終点を含むものとする。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の組成物は、式Iで表わされる少なくとも1つ(例えば、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、又は更には少なくとも50)の第1の2価単位を含む。
【0024】
【化4】

【0025】
各Rfは、独立して:
Rf−(O)−CHF−(CF− II;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W− III;
Rf−O−(CF− IV;
F(C2k)−(O−C2k−O−CF− V;及び
CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L− VI;からなる群から選択される。
【0026】
式Iのいくつかの実施形態において、Rfは、Rf−(O)−CHF−(CF−、[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−、及びCFCFH−O−(CF−からなる群から選択される。式Iのいくつかの実施形態において、Rfは、F(C2j)−O−(CF−、F(C2k)−(O−C2k−O−CF−、及びCF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−からなる群から選択される。
【0027】
式Iのいくつかの実施形態において、Rfは、1モル当たり最大600グラム(いくつかの実施形態では、1モル当たり最大500グラム、400グラム、又は更には最大300グラム)の分子量を有する。
【0028】
Rfは、炭素原子1〜10個を有し、かつ任意に少なくとも1つの酸素原子によって中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表す。Rfは直鎖及び分枝アルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Rfは直鎖である。いくつかの実施形態において、Rfは、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する、完全にフッ素化されたアルキル基を表す。いくつかの実施形態において、Rfは、少なくとも1つの酸素原子によって中断されている完全にフッ素化されたアルキル基であって、酸素原子間のアルキル基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有し、末端のアルキル基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、Rfは、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子、及び最大2個の水素原子を有する部分的にフッ素化されたアルキル基である。いくつかの実施形態において、Rfは、少なくとも1つの酸素原子によって中断されている最大2個の水素原子を有する部分的にフッ素化されたアルキル基であり、酸素原子間のアルキル基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有し、末端のアルキル基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する。
【0029】
式II及びIIIのいくつかの実施形態において、Rfは次式で表わされる:
−[OR−[OR
は、1〜6個(いくつかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンである。x及びyは、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であり、xとyの合計は少なくとも1である。これら実施形態のいくつかにおいて、tは1である。
【0030】
式II及びIIIのいくつかの実施形態において、Rfは次式で表わされる:
−[OR−[OR−O−CF
は、1〜6個(いくつかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンである。a及びbは、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である。これら実施形態のいくつかにおいて、tは0である。
【0031】
式II及びIIIのいくつかの実施形態において、Rfは、式:
−(OCF−で表わされ、pは1〜6(いくつかの実施形態では、1〜4)の整数であり、Rは、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子及び1又は2個の水素原子を有する部分的にフッ素化されたアルキル基、及び1、2、3、又は4個の炭素原子を有する完全にフッ素化されたアルキル基からなる群から選択される。
【0032】
式II及びIIIのいくつかの実施形態において、Rfは、式:
−O−(CF−で表わされ、pは1〜6(いくつかの実施形態では、1〜4)の整数であり、Rは、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子及び1又は2個の水素原子を有する部分的にフッ素化されたアルキル基、並びに1、2、3、又は4個の炭素原子を有する完全にフッ素化されたアルキル基からなる群から選択される。
【0033】
Rfは、CFCFH−及びF(C2j)−からなる群から選択される。式IVのいくつかの実施形態において、RfはCFCFH−である。別の実施形態において、RfはF(C2j)−であり、jは1〜4の整数である(即ち、CF−、C−、C−、及びC−)。いくつかの実施形態において、jは1である。いくつかの実施形態において、RfはF(C2j)−であり、p+jは3〜7の値を有する。
【0034】
式IIIにおいて、LはF及びCFからなる群から選択される。式IIIのいくつかの実施形態において、LはFである。他の実施形態において、LはCFである。
【0035】
式IIIにおいて、Wは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択される。アルキレンは、1〜10個(いくつかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有する直鎖、分枝状、及び環状のアルキレン基を含む。いくつかの実施形態において、Wはメチレンである。いくつかの実施形態において、Wはエチレンである。アリーレンは、1又は2個の芳香環を有し、任意に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O又はS)を環内に有し、任意に少なくとも1つのアルキル基又はハロゲン原子で置換される基を含む。いくつかの実施形態において、Wはフェニレンである。
【0036】
式II及びIIIにおいて、tは0又は1である。いくつかの実施形態において、tは1である。いくつかの実施形態において、tは0である。tが0である実施形態において、Rfは典型的には少なくとも1つの酸素原子によって中断されている。
【0037】
式IIIにおいて、mは1、2、又は3である。いくつかの実施形態において、mは1である。
【0038】
式IIにおいて、nは0又は1である。いくつかの実施形態において、nは0である。いくつかの実施形態において、nは1である。
【0039】
式IV及びVにおいて、pは1〜6の整数(即ち、1、2、3、4、5、又は6)である。いくつかの実施形態において、pは1、2、5、又は6である。いくつかの実施形態において、pは3である。いくつかの実施形態において、pは1又は2である。いくつかの実施形態において、pは5又は6である。
【0040】
式Vにおいて、kは、それぞれ独立して1又は2である。いくつかの実施形態において、kは1である。
【0041】
式VIにおいて、Lは、−CF−、−CFCF−、及び−CF(CF)−からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Lは、−CF−及び−CFCF−からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Lは−CF−である。
【0042】
式VIにおいて、zは0〜3の整数(即ち、0、1、2、又は3)である。いくつかの実施形態において、zは0である。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、式IV(即ち、Rf−O−(CF−)で表わされるRf基を有する。いくつかの実施形態において、RfはCFCFH−である。Rfが式IVで表わされるいくつかの実施形態において、Rfは、CFCFH−O−(CF−及びCFCFH−O−(CF−からなる群から選択される。Rfが式IVで表わされる他の実施形態において、Rfは、CFCF−O−(CF−及びCFCF−O−(CF−からなる群から選択される。Rfが式IVで表わされる他の実施形態において、Rfは:
CF−O−CF−CF−;
−O−CF−CF−;
−O−CF−CF−;及び
−O−CF−CF−;からなる群から選択される。
【0044】
Rfが式IVで表わされる他の実施形態において、Rfは、C−O−CF−である。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、式IIで表わされるRfを有する。これら実施形態のいくつかにおいて、Rfは:
−O−CHF−;
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;からなる群から選択される。
【0046】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは:
CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;からなる群から選択される。
【0047】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは:
CF−O−CF−CHF−;
−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;からなる群から選択される。
【0048】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは:
CF−O−CF−CHF−CF−;
−O−CF−CHF−CF−;
−O−CF−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;からなる群から選択される。
【0049】
これらの実施形態の他におけるものでは、Rfは:
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−;及び
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;からなる群から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、式IIIで表わされるRf基を有する。これら実施形態のいくつかにおいて、LはF、mは1、及びWはアルキレンである。これら実施形態のいくつかにおいてRfは:
CF−O−CHF−CF−O−CH−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH
−O−CHF−CF−O−CH−;
−O−CHF−CF−O−CH−CH−;
−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−;及び
−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−;からなる群から選択される。
【0051】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは式:
−O−CF−CHF−CF−OCH−で表わされる。これらの実施形態の他のものでは、Rfは:
CF−CHF−CF−O−CH−;及び
−CF−CHF−CF−OCH−;からなる群から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、式V(即ち、F(C2k)−(O−C2k−O−CF−)で表わされるRf基を有する。これら実施形態のいくつかにおいて、pは1、2、又は3である。これら実施形態のいくつかにおいて、kは1である。これら実施形態のいくつかにおいて、Rfは:
CF−(O−CF−O−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−;
CF−O−CF−O−CF−;
CF−O−CF−CF−O−CF−;
−O−CF−CF−O−CF−;
−(O−CF−CF−O−CF−;及び
CF−(O−CF−CF−O−CF−;からなる群から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は式VI(即ち、CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−)で表わされるRf基を有する。これら実施形態のいくつかにおいて、zは0であり、Lは、−CF−及び−CFCF−からなる群から選択される。これら実施形態のいくつかにおいて、RfはCF−O−CF−CF−CF−O−CF−であり、これらの実施形態の他のものでは、Rfは、CF−O−CF−CF−CF−O−CFCF−である。
【0054】
式Iにおいて、Qは、それぞれ独立して、結合、−C(O)−N(R)−、及び−C(O)−O−、からなる群から選択され、式中、Rは水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はsec−ブチル)である。いくつかの実施形態において、Qは、それぞれ独立して、−C(O)−N(R)−及び−C(O)−O−からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Qは、−C(O)−N(R)−である。いくつかの実施形態において、Rは水素又はメチルである。いくつかの実施形態において、Rは水素である。
【0055】
式Iにおいて、各Xは、独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、式中、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に、少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)によって中断されており、かつ任意に、−N(R)−C(O)−又は−O−C(O)−を末端とする。いくつかの実施形態において、Xは、−O−C(O)−を末端とするアルキレンである。いくつかの実施形態において、Xは、−CH−CH−O−C(O)−である。いくつかの実施形態において、Xは、−CH−O−C(O)−である。
【0056】
式Iにおいて、Rは水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はsec−ブチル)である。いくつかの実施形態において、Rは水素又はメチルである。
【0057】
式Iのいくつかの実施形態において、第1の2価単位はそれぞれ式Iaで表わされる:
【0058】
【化5】

【0059】
式中、Rf、R、及びRは上記の定義の通りであり、Xは、それぞれ独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に、少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)によって中断されている。いくつかの実施形態において、Xは、それぞれ独立してアルキレンである。いくつかの実施形態において、Xは、−CH−CH−である。いくつかの実施形態において、Xは、−CH−である。
【0060】
式Iの2価単位は、例えば、部分フッ素化又は全フッ素化カルボン酸、その塩、カルボン酸エステル、又はカルボン酸ハロゲン化物を原料として調製することができる。部分フッ素化又は全フッ素化カルボン酸及びその塩、カルボン酸エステル、並びにカルボン酸ハロゲン化物は、既知の方法で調製することができる。例えば、式:Rf−(O)−CHF−(CF−COY又は[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−COY(式中Yは−OH、−O−アルキル(例えば、1〜4個の炭素原子を有する))若しくは−Fで表わされる出発原料は、式VIIのフッ素化オレフィンから調製することができ、
Rf−(O)−CF=CF VII
式中、Rf及びtは上記の定義の通りである。多くの式VIIの化合物(例えば、ペルフルオロ化ビニルエーテル及びペルフルオロ化アリルエーテル)が既知であり、その多くは商業的供給源(例えば、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム・カンパニー(3M Company)、及びデラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company))から入手することが可能である。他は、既知の方法(例えば、米国特許第5,350,497号(ハング(Hung)ら)及び同第6,255,536号(ウォーム(Worm)ら)によって調製することができる。
【0061】
式:Rf−(O)−CHF−(CF−COYの化合物(式中、nは0)は、例えば、式VIIのフッ素化オレフィンを塩基(例えば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、及びアルカリ土類金属水酸化物)と反応させることにより調製することができる。あるいは、例えば、式VIIのフッ素化オレフィンは、アルカリ媒体中で脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、及びt−ブタノール)と反応させることができ、得られたエーテルを酸性条件下で分解して、式:Rf−(O)−CHF−(CF−COY(式中、nは0)のフッ素化カルボン酸を提供することができる。式:Rf−(O)−CHF−(CF−COY(式中、nは1)の化合物は、例えば、式VIIのフッ素化オレフィンをメタノールとフリーラジカル反応させ、次いで得られた反応生成物を従来の方法を用いて酸化することにより調製することができる。これらの反応の条件は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載される通りであり、この公報の、式:Rf−(O)−CHF−(CF−COYの化合物の調製に関する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
式VIIのフッ素化ビニルエーテル(式中、tは1)は、フッ化物源(例えば、五フッ化アンチモン)の存在下で、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,987,254号(シュヴェルトフェーガー(Schwertfeger)ら)の1列、45行目〜2列、42行目に記載の方法に従って、式Rf−O−CFC(O)Fのカルボン酸フッ化物に(例えば、酸素で)酸化することができる。この方法に従って調製することができる化合物の例には、CF−(CF−O−CF−C(O)−CH及びCF−O−(CF−O−CF−C(O)−CHが挙げられ、この化合物は米国特許第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載されており、当該明細書におけるこれら化合物の調製に関する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
式:[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−COYの化合物は、例えば、反応:
【0064】
【化6】

【0065】
に従って、式VIIのフッ素化オレフィンと、式VIIIのヒドロキシル化合物を反応させることで調製することができ、式中、Rf及びtは上記の定義の通りであり、mは1、2、又は3であり、Wはアルキレン又はアリーレンであり、Yは上記の定義の通りである。典型的には、Yは、−O−アルキル(例えば、アルキル基に1〜4個の炭素原子を有する)を表す。式VIIIの化合物は、例えば、商業的供給源から入手可能であり、又は既知の方法で調製することができる。反応は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載されている条件下で実施されることが可能であり、式:[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−COYの化合物の調製に関する当該公報の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
式:Rf−O−(CF−COYのフッ素化カルボン酸及びそれらの誘導体は、例えば、次の反応に従った、ペルフルオロ化された2官能性酸フッ化物の脱カルボニルによって調製することができる。
【0067】
FCOCF(CF)−O−(CFC(O)F→CF−CHF−O−(CFCOY
IX
この反応物は、典型的には、既知の方法(例えば、米国特許第3,555,100号(ガース(Garth)ら)が参照され、当該明細書の2官能性酸フッ化物の脱カルボニルに関する開示は、本明細書に参照として組み込まれる)によって、水及び塩基(例えば、金属水酸化物又は金属炭酸塩)の存在下で高温において行われる。式IXの化合物の脱カルボニルはまた、フッ化物源(例えば、五フッ化アンチモン)の存在下で行われ、式:CF−CF−O−(CFCOYの化合物を提供することができる。
【0068】
式IXの化合物は、例えば、式Xのペルフルオロ化された二酸フッ化物とヘキサフルオロプロピレンオキシドを、反応:
【0069】
【化7】

【0070】
に従って結合させることにより得ることができる。式Xの化合物は、例えば、式:CHOCO(CHp−1COOCHの2官能性エステル、又は式:
【0071】
【化8】

【0072】
のラクトンの電気化学的フッ素化又は直接フッ素化によって得ることができる。電気化学的フッ素化を行うための一般的な手順は、例えば、米国特許出願第2,713,593号(ブライス(Brice)ら)及び国際公開第98/50603号(1998年11月12日公開)に記載されている。直接フッ素化を行うための基本手順は、例えば、米国特許第5,488,142号(フォール(Fall)ら)に記載されている。
【0073】
本発明の組成物を調製するのに有用ないくつかのカルボン酸及びカルボン酸フッ化物は市販されている。例えば、式:CF−[O−CF1−3C(O)OHのカルボン酸は、例えば、ロシアのセントピーターズバーグ(St. Petersburg, Russia)のアンレス社(Anles Ltd.)から入手可能であり、式:C−O−(CF−C(O)F、C−O−(CF−C(O)F、及びCFCF−O−CFCF−O−CFC(O)Fの酸フッ化物は、例えば、テキサス州ラウンドロック(Round Rock, TX)のエクスフロアー(Exfluor)から入手可能である。
【0074】
式Iの2価単位は、例えば、部分フッ素化又は全フッ素化カルボン酸又はその塩、その酸フッ化物、又はカルボン酸エステル(例えば、Rf−C(O)−OCH)の反応によって調製することができる。調製には、例えば、式:Rf−Q−X−C(R)=CHを有する重合性二重結合を有する化合物を調製するための様々な従来の方法を用いることができ、得られた生成物は、次に、例えば、フリーラジカルになるような条件下で反応させることができる。例えば、式:Rf−(CO)NHCHCHO(CO)C(R)=CHの化防物は、初めにRf−C(O)−OCHを、例えば、エタノールアミンと反応させてアルコール末端Rf−(CO)NHCHCHOHを調製し、次にこれをメタクリル酸、メタクリル酸無水物、アクリル酸又は塩化アクリロイルと反応させて、式:Rf−(CO)NHCHCHO(CO)C(R)=CHの化合物を調製することができ、式中、Rは、それぞれメチル又は水素である。この反応順序に他のアミノアルコール類(例えば、式:NRHXOHのアミノアルコール)を使用して、式:Rf−Q−X−C(R)=CHの化合物を得ることができ、式中、Qは−C(O)−N(R)−であり、Xは、−O−C(O)−を末端とする、かつ任意に少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)によって中断されているアルキレン又はアリールアルキレンであり、R及びRは上記の定義の通りである。別の例において、Rf−C(O)−OCHをアリルアミン又はN−アリルアミンと反応させて、それぞれ、式:Rf−(CO)NHCH−CH=CH又はRf−(CO)NH−C−CHCH=CHの化合物を調製することができる。同様に、Rf−C(O)−OCHを、例えば、アリルアルコールと反応させて、式:Rf−(CO)OCH2CH=CH2の化合物を得ることができる。更なる例において、式:Rf−C(O)−OCHのエステル、又は式:Rf−C(O)−OHのカルボン酸を、従来の方法(例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物還元)を用いて、式:Rf−CHOHのアルコールに還元することができる。式:Rf−CHOHのアルコールは、次にメタクリロイルクロライドと反応させ、例えば、式:Rf−CHO(CO)C(R)=CHの化合物を得ることができる。式:Rf−CHOHのアルコールを臭化アリルと反応させて、例えば、式:Rf−CHOCHCH=CHの化合物を得ることもできる。好適な反応及び反応物質の例は、例えば、欧州特許第870778(A1)号(1998年10月14日公開)及び米国特許第3,553,179号(バートレット(Bartlett)ら)に更に開示されており、これら明細書の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1つの(例えば、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、又は更には少なくとも50の)式XIで表わされる2価単位を含み:
【0076】
【化9】

【0077】
式中、Rは、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はsec−ブチル)からなる群から選択され、Rは、それぞれ独立して、炭素原子1〜30個(いくつかの実施形態では、1〜25、1〜20、1〜10、4〜25、8〜25、又は更には12〜25個)を有するアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは水素及びメチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Rはヘキサデシル及びオクタデシルからなる群から選択される。これら実施形態のいくつかにおいて、組成物は、式:
Rf−C(O)−N(R)−X−O−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物と、式:
−O−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物の共重合によって調製することができ、
式中、Xは、それぞれ独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)によって中断されている。
【0078】
式:R−O−C(O)−C(R)=CHの化合物、(例えば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルメタクリレート)は、例えば、いくつかの化学物質製造業者(例えば、ミズーリ州セントルイス(St. Louis, MO)のシグマ・アルドリッチ・カンパニー(Sigma-Aldrich Company)、ペンシルベニア州ウェストチェスター(West Chester, PA)のVWRインターナショナル(VWR International)、ペンシルバニア州フィースタービル(Festerville, PA)のモノマー−ポリマー・アンド・ダジャック・ラボ(Monomer-Polymer & Dajac Labs)、マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill, MA)のアボカド・オーガニクス(Avocado Organics)、及びスイス、バーゼル(Basel, Switzerland)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))から入手可能であり、又は従来の方法により合成してもよい。式:R−O−C(O)−C(R)=CHのいくつかの化合物は、単一化合物の単一異性体(例えば、直鎖異性体)として入手可能である。式:R−O−C(O)−C(R)=CHのその他の化合物は、例えば、異性体(例えば、直鎖異性体及び分岐異性体)の混合物、化合物(例えば、ヘキサデシルアクリレート及びアクリル酸オクタデシル)の混合物、及びこれらの組み合せとして入手可能である。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ポリアルキレンオキシセグメントを更に含む。これら実施形態のいくつかにおいて、組成物は、少なくとも1つの(例えば、少なくとも1、2、5、10、15、20、又は更には少なくとも25の)次式で表わされるエーテル含有2価単位を含み、
【0080】
【化10】

【0081】
式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)であり、
EOは−CHCHO−を表し、
各POは、独立して、−CH(CH)CHO− 又は
−CHCH(CH)O−を表し、
各rは、独立して、1〜128(いくつかの実施形態では、7〜約128、又は更には14〜約128)の整数であって、
各qは、独立して、0〜55(いくつかの実施形態では、約21〜約54又は約9〜約25)の整数である。
【0082】
いくつかの実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。いくつかの実施形態において、組成物は、式:
Rf−C(O)−N(R)−X−O−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物、及び
式:
HO−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C(R)=CH
HO−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C(R)=CH;又は
O−(EO)−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物の共重合によって調製することができ、
式中、Xは、独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)によって中断されている。いくつかの実施形態において、エーテル含有2価単位は、式:
【0083】
【化11】

【0084】
で表わされ、式中、rは5〜15(いくつかの実施形態では、9〜13又は更には11)の整数であり、qは15〜25(いくつかの実施形態では、19〜23又は更には21)の整数である。
【0085】
式:HO−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C(R)=CH
HO−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C(R)=CH;又はRO−(EO)−C(O)−C(R)=CH;の化合物は、既知の方法、例えば、塩化アクリロイルを、1モル当たりの分子量が約200〜10,000グラムのポリエチレングリコール(例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland, MI)のダウ・ケミカル(Dow Chemical)の全額出資の子会社であるユニオンカーバイド(Union Carbide)から商品名「カーボワックス(CARBOWAX)」で入手可能なもの)、又は1モル当たりの分子量が約500〜15000グラムのエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー(例えば、ドイツ、ルートウィヒスハーフェン(Ludwigshafen, Germany)のBASFコーポレーション(BASF Corporation))から商品名「プルロニック(PLURONIC)」で入手可能なもの)と組み合せることにより調製することができる。エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのジオール官能性コポリマーを使用する場合、2官能性アクリレート(例えば、式:
CH=C(R)−C(O)−O−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C(R)=CH;又は
CH=C(R)−C(O)−O−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C(R)=CH;で表わされ、式中、r、q、R、EO、及びPOは上記の定義の通りである)を調製することができ、式:Rf−Q−X−C(R)=CH;又は
Rf−C(O)−N(R)−X−O−C(O)−C(R)=CH;を有する化合物との共重合反応で使用することができる。
【0086】
本発明の組成物がポリアルキレンオキシセグメントを含む場合のいくつかの実施形態において、ポリアルキレンオキシセグメントは、式:
【0087】
【化12】

【0088】
で表わされる単位で存在してもよく、式中、r、q、R、EO、及びPOは、上記のいずれかの実施形態に定義された通りである。
【0089】
本発明の組成物がポリアルキレンオキシセグメントを含む場合のいくつかの実施形態において、ポリアルキレンオキシセグメントは硫黄末端セグメント(例えば、−S(O)0−2−C2s−C(O)−O−(EO)−C(O)−C2s−S(O)0−2−;
−S(O)0−2−C2s−C(O)−O−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C2s−S(O)0−2−;又は
−S(O)0−2−C2s−C(O)−O−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C2s−S(O)0−2−;式中r、q、EO、及びPOは上記の定義の通りであり、sは1〜5の整数であり、又はいくつかの実施形態では、2〜3である)であってもよい。硫黄末端セグメントは、ラジカル重合条件下でフッ素化アクリレート(例えば、Rf−Q−X−C(R)=CH、又はRf−C(O)−N(R)−X−O−C(O)−C(R)=CH)と反応してブロックコポリマーを提供することができる2官能性メルカプタンの共重合によって、組成物に組み込むことができる。2官能性メルカプタンの例には、HS−C2s−C(O)−O−(EO)−C(O)−C2s−SH;
HS−C2s−C(O)−O−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C2s−SH;又は
HS−C2s−C(O)−O−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C2s−SH;が挙げられ、式中、r、q、EO、及びPOは上記の定義の通りであり、sは1〜5の整数であり、又はいくつかの実施形態では2〜3である。次に、得られたポリマー又はオリゴマーは、先行技術を用いて任意に酸化され得る。2官能性メルカプタンは、例えば、ジオール官能性ポリエチレングリコール又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーを、例えば、メルカプト酢酸又はメルカプトプロピオン酸と反応させて調製することができる。他の実施形態において、ポリアルキレンオキシ含有ジアクリレートは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,278,352号(エリクソン(Erickson))の方法に従って、HS又は他のスルフヒドリル含有化合物で処理して、メルカプタン末端ポリアルキレンオキシ化合物を得ることができる。
【0090】
本発明の組成物がポリアルキレンオキシセグメントを含むいくつかの実施形態において、組成物は、式:
Rf−Q−X−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物、及び式:
HS−C2s−C(O)−O−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C2s−SH;
HS−C2s−C(O)−O−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C2s−SH;
CH=C(R)−C(O)−O−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C(R)=CH;又は
CH=C(R)−C(O)−O−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物の共重合によって調製することができ、
式中、s、r、q、R、EO、及びPOは、上記の実施形態のいずれかにおいて定義された通りである。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、式:
【0092】
【化13】

【0093】
で表わされる少なくとも1つの(例えば、少なくとも1、2、5、10、15、20、又は更には少なくとも25の)アニオン性の2価単位を更に含み、
式中、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−(いくつかの実施形態では、−O−)からなる群から選択され、
R’及びRは、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)からなる群から選択され、
Vは、任意に、少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)又はアミン結合(即ち、−N(R)−)によって中断されているアルキレンであり、
各Yは、独立して、水素及び対カチオンからなる群から選択され、及び
zは、−P(O)(OY)、−O−P(O)(OY)、−SOY、及びCOY、からなる群から選択される。
【0094】
いくつかの実施形態において、R’及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。いくつかの実施形態において、Vは、炭素原子2〜4個(いくつかの実施形態では、2個)を有するアルキレンである。いくつかの実施形態において、Yは水素である。いくつかの実施形態において、Yは対カチオンである。Yの対カチオンの例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、及びリチウム)、アンモニウム、アルキルアンモニウム(例えば、テトラアルキルアンモニウム)、及び正に帯電した窒素原子を有する5〜7員複素環基(例えば、ピロリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、トリアゾリウムイオン、イソオキサゾリウムイオン、オキサゾリウムイオン、チアゾリウムイオン、イソチアゾリウムイオン、オキサジアゾリウムイオン、オキサトリアゾリウムイオン、ジキサゾリウムイオン、オキサチアゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピペラジニウムイオン、トリアジニウムイオン、オキサジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、オキサチアジニウムイオン、オキサジアジニウムイオン、及びモルフォリニウムイオン)が挙げられる。
【0095】
式XV、XVI、及びXVIIの2価単位は、式:Rf−Q−X−C(R)=CHの化合物と、式:YOOC−C(R’)=CH;(YO)(O)P−C(R’)=CH;及びZ−V−QC(O)−C(R’)=CH;の化合物それぞれとの共重合によって、本発明の組成物に組み込むことができる。これらの式の有用な化合物には、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、β−カルボキシエチルメタクリエート、ビニルホスホン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、及び2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)が挙げられる。
【0096】
本発明の表面処理方法のいくつかの実施形態において、当該方法は、表面を、式XV、XVI、又はXVIIの2価単位を含む組成物に接触させることを含む。これら実施形態のいくつかにおいて、Zは、−P(O)(OY)、又は−O−P(O)(OY)である。これら実施形態のいくつかにおいて、表面は金属を含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、次式で表わされる少なくとも1つの(例えば、少なくとも1、2、5、10、15、20、又は更には少なくとも25の)2価単位を更に含み、
【0098】
【化14】

【0099】
式中、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−からなる群から選択され(いくつかの実施形態では、−O−)、
R’及びRは、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)からなる群から選択され、
Vは、任意に、少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)又はアミン結合(即ち、−N(R)−)によって中断されているアルキレンであり(いくつかの実施形態では、アルキレンは炭素原子を2〜4個、又は更には2個有する)、
は、−[N(R、−N(OY)(R、−N(R−(CH−SO、及び−N(R−(CH−COからなる群から選択され、式中、
各Rは、独立して、水素及び炭素原子1〜6個を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル)からなる群から選択され、
各Rは、独立して、水素及び炭素原子1〜6個を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル)からなる群から選択され、アルキルは任意に、少なくとも1つのハロゲン、アルコキシ、ニトロ、又はニトリル基によって置換され、又は2つのR基は、結合して、任意に少なくとも1つのO、N、又はSを含みかつ任意に炭素原子1〜6個を有するアルキルによって置換される5〜7員環を形成することができ;
gは、それぞれ独立して、1〜6の整数(即ち、1、2、3、4、5、又は6)であり、
は対アニオン(例えば、アセテート、クロライド、ヨウ化物、及びメチルサルフェート)であり、
は、水素及び遊離アニオンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R’及びRは、それぞれ独立して水素又はメチルである。
【0100】
式XVIIIの2価単位は、式:Rf−Q−X−C(R)=CHの化合物、と式Z−V−QC(O)−C(R’)=CHの化合物との共重合により本発明の組成物に組み込むことができる。式:Z−V−QC(O)−C(R’)=CHの有用な化合物には、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えば、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、及びN−t−ブチルアミノエチルメタクリレートを挙げることができ、これらは、例えば、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)から市販されており、先行技術を用いて、例えば、好適な溶媒中で任意にフリーラジカル抑制剤の存在下で、ハロゲン化アルキル(例えば、ブロモブタン、ブロモヘプタン、ブロモデカン、ブロモドデカン、又はブロムヘキサデカン)と反応して四級化して、Zが−[N(Rである化合物を得ることができる。式:Z−V−QC(O)−C(R’)=CHを有する他の有用な化合物には、スイス、バーゼル(Basel, Switzerland)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から、それぞれ商品名「チバアゲフレックス(CIBA AGEFLEX)FA1Q80MC」及び「チバアゲフレックスFM1Q75MC」として入手可能な、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド4級が挙げられる。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、式:
【0102】
【化15】

【0103】
で表わされる少なくとも1つの(例えば、少なくとも1、2、5、10、15、20、又は更には少なくとも25の)2価単位を更に含み、式中、
各R10は、独立して、炭素原子1〜6個を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル)及びアリール(例えば、フェニル)からなる群から選択され、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−(いくつかの実施形態では、−O−)からなる群から選択され、
及びR11は、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、又はt−ブチル)からなる群から選択され、
Vは、任意に、少なくとも1つのエーテル結合(即ち、−O−)又はアミン結合(即ち、−N(R)−)によって中断されているアルキレンであり(いくつかの実施形態では、アルキレンは炭素原子を2〜4個、又は単に2個有する);
各Gは、独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、及びハロゲンからなる群から選択され、
hは0、1、又は2である(いくつかの実施形態では、0)。
【0104】
いくつかの実施形態において、R及びR11は、それぞれ独立して水素又はメチルである。
【0105】
式XIXの2価単位は、式:Rf−Q−X−C(R)=CHの化合物と、式:[G3−h(R10−Si−V−QC(O)−C(R11)=CH(例えば、コネティカット州グリーンウィッチ(Greenwich, CT)のOSiスペシャルティーズ(OSi Specialties)から商品名「シルクエスト(SILQUEST)A−174シラン(SILANE)」で入手可能な、例えば、CH=C(CH)C(O)OCHCHCHSi(OCH)の化合物との共重合によって本発明の組成物に組み込むことができる。
【0106】
式:
Rf−Q−X−C(R)=CHの少なくとも1つの化合物と、例えば、式:
−O−C(O)−C(R)=CH、HO−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C(R)=CH
HO−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C(R)=CH、RO−(EO)−C(O)−C(R)=CH
YOOC−C(R’)=CH、(YO)(O)P−C(R’)=CH、Z−V−QC(O)−C(R’)=CH、又は
−V−QC(O)−C(R’)=CHの少なくとも1つの第2の化合物との重合反応は、添加フリーラジカル開始剤の存在下で行うことができる。当該技術分野において広く知られかつ使用されているようなフリーラジカル反応開始剤を使用して、構成成分の重合を開始させてよい。例示のフリーラジカル開始剤は、米国特許第6,664,354号(サウ(Savu)ら)に記載されており、当該明細書におけるフリーラジカル開始剤に関する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、形成されるポリマー又はオリゴマーはランダムグラフトコポリマーである。いくつかの実施形態において、形成されるポリマー又はオリゴマーはブロックコポリマーである。
【0107】
いくつかの実施形態において、重合反応は溶媒中で行われる。構成成分は、任意の好適な濃度(例えば、反応混合物の総重量を基準として、約5重量%〜約80重量%)にて反応媒質中に存在してよい。好適な溶媒の例示的な例には、脂肪族及び脂環式炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン)、芳香族溶剤類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、及びジイソプロピルエーテル)、エステル類(例えば、エチルアセテート及びブチルアセテート)、アルコール類(例えば、エタノール及びイソプロピルアルコール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、メチルクロロホルム、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、トリクロロエチレン、トリフルオロトルエン、及び、例えば、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム・カンパニー(3M Company)から商品名「HFE−7100」及び「HFE−7200」で入手可能なヒドロフルオロエーテル)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0108】
重合は、有機フリーラジカル反応を実施するのに好適な任意の温度で行うことができる。特定の用途のための温度及び溶媒は、特定の反応開始剤及び所望の分子量の使用のために必要とされる、剤の溶解度、温度などの考慮に基づいて、当業者が選択することができる。全ての開始剤及び全ての溶媒に好適な特定の温度を列挙するのは実践的ではないが、一般に好適な温度は約30℃〜約200℃(いくつかの実施形態では、約40℃〜約100℃、又は更には約50℃〜約80℃)の範囲である。
【0109】
ラジカル重合は連鎖移動剤類の存在下で行うことができる。本発明の組成物の調製に使用することのできる典型的な連鎖移動剤類には、ヒドロキシル置換メルカプタン(例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、及び3−メルカプト−1、2−プロパンジオール(即ち、チオグリセロール))、ポリ(エチレングリコール)置換メルカプタン、カルボキシ置換メルカプタン(例えば、メルカプトプロピオン酸又はメルカプト酢酸)、アミノ置換メルカプタン(例えば、2−メルカプトエチルアミン)、2官能性メルカプタン(例えば、ジ(2−メルカプトエチル)硫化物)、シラン置換メルカプタン(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、例えば、ニュージャージー州サマセット(Somerset, NJ)のフルス・アメリカ(Huls America)から商品名「ダイナシラン(DYNASYLAN)」で入手可能)、及び脂肪族メルカプタン(例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、及びオクタデシルメルカプタン)が挙げられる。
【0110】
例えば、開始剤の濃度及び活性、それぞれの反応性モノマーの濃度、温度、連鎖移動剤の濃度、及び溶媒を、当該技術分野において既知の技術を用いて調整することにより、ポリアクリレートポリマー又はコポリマーの分子量を制御することができる。
【0111】
本発明の組成物はまた、追加的なモノマーを重合反応に加えることにより調製してもよい。例えば、式:HO−V−O−C(O)−C(R’)=CH(式中、R’及びVは上記の定義の通り)の化合物を使用してもよい。これらモノマーの例にはヒドロキシエチルメタクリレートが含まれる。他の例には、塩化ビニリデン、塩化ビニル、例えば、オハイオ州アクロン(Akron, OH)のアメリカのシンエツシリコーン社(Shin-Etsu Silicones of America, Inc.)から商品名「X22−2426」で入手可能なシリコーンアクリレート、例えば、ペンシルベニア州エクストン(Exton, PA)のサートマー・カンパニー(Sartomer Company)から商品名「CN966J75」で入手可能なウレタンアクリレート、及びフッ素化アクリレート(例えば、日本、大阪のダイキン化成品販売(Daikin Chemical Sales)からの3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルアクリレート、ニュージャージー州ヒルズバラ(Hillsborough, NJ)のインドフィン・ケミカル社(Indofine Chemical Co.)からの3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル2−メチルアクリレート、及び米国特許第2,803,615号(アルブレクト(Albrecht)ら)及び同第6,664,354号(サウ(Savu)ら)に記載のアクリレート(これら明細書におけるフリーラジカル重合可能なモノマー及びそれらの調製方法に関する開示は、参照により本明細書に組み込まれる))が挙げられる。
【0112】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の重量平均分子量は、1モル当たり1000グラム〜1モル当たり100,000グラムである。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は、1モル当たり少なくとも2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、又は更には10000グラム、最大で1モル当たり30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、又は更には最大で90,000グラムである。本発明の組成物は、通常、分子量分布及び組成分布を有する。重量平均分子量は、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(即ち、サイズ排除クロマトグラフィー)によって、当業者に既知の技術を使用して測定できる。
【0113】
本発明の組成物は(例えば、水又は溶媒の少なくとも一方の)濃縮物の中に処方することができ、その場合組成物は、濃縮物の総重量を基準として、少なくとも10、20、30、又は更には少なくとも40重量パーセントの量で存在する。濃縮物の調製技術は、当該技術分野において周知である。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明は、水又は水混和性溶媒の少なくとも一方と本発明の組成物とを含む配合物を提供する。これらの実施形態のいくつかにおいて、組成物は、式XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、又はXIXの少なくとも1つの2価単位を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物及び/又は本発明の方法を実施するのに有用な組成物は、水及び非フッ素化ポリマーを含む配合物中に存在してもよい。これらの水性配合物は、例えば、コーティング(例えば、床仕上げ材、ワニス、自動車用コーティング、船舶用コーティング、シーラー、プラスチックレンズのハードコート、金属缶又は金属コイル用コーティング、及びインク)として有用であり得る。水系配合物内にて使用する場合(例えば、コーティング用)、本発明の組成物は、水溶液又は分散体に、例えば、該溶液又は分散体の重量を基準にして、約0.001重量%〜約1重量%、約0.001重量%〜約0.5重量%、又は約0.01重量%〜約0.3重量%の最終濃度で処方することができる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、基材表面上のコーティング(例えば、水性コーティング)の湿潤化及び/又は平滑化を増強することができ、コーティング配合物中の構成成分(例えば、増粘剤又は顔料)のより良好な分散能を提供することができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物(例えば、コーティング用)を含む水性配合物は、少なくとも1種の非フッ素化ポリマー、典型的にはフィルム形成ポリマーを含有する。好適なポリマーの例としては、アクリルポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチルアクリレート)又はポリ(メチルアクリレート−コ−アクリル酸))、ポリウレタン(例えば、脂肪族、脂環式又は芳香族ジイソシアネートと、ポリエステルグリコール又はポリエーテルグリコールとの反応生成物)、ポリオレフィン(例えば、ポリスチレン)、スチレンとアクリレートとのコポリマー(例えば、ポリ(スチレン−コ−ブチルアクリレート)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート、又はポリカプロラクトン)、ポリアミド(例えば、ポリヘキサメチレンアジパミド)、ビニルポリマー(例えば、ポリ(ビニルアセテート/メチルアクリレート)、ポリ(ビニリデンクロライド/ビニルアセテート)、ポリジエン(例えば、ポリ(ブタジエン/スチレン))、セルロースエーテル及びセルロースエステルを含むセルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、又はセルロースアセテート/ブチレート)、ウレタン−アクリレートコポリマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。このようなポリマーの水性エマルション又はラテックスを調製するための方法及び材料は周知であり、多くは商業的供給元から幅広く入手可能である。いくつかの実施形態では、非フッ素化ポリマーは、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、又はスチレン−アクリレートコポリマーのうちの少なくとも1つである。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物含む水性配合物は、多価アルコールのエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、2−ブトキシエタノール(即ち、ブチルセロソルブ)、又はジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(DPM))のエステル、アルキレングリコール及びポリアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、並びに2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(例えば、テネシー州キングスポート(Kingsport)のイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から商品名「テキサノール(TEXANOL)」として入手可能なエステルアルコール)を含む、1つ以上の混和性溶媒(例えば、合体性溶媒)を含む。配合物に加えられてよいその他の水混和性有機溶媒としては、炭素原子1〜4個を有するアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はイソブタノール)、アミド及びラクタム(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はN−メチルピロリドン)、ケトン及びケトアルコール(例えば、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン又はジオキサン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
用途に応じて、本発明の組成物を含む水性配合物は、少なくとも1種の添加剤(例えば、殺生物剤、充填剤、追加の平滑剤、乳化剤、消泡剤、防食剤、分散剤、及びさび止め剤)を含んでもよい。水性配合物はまた、任意に、少なくとも1種の顔料を含有してもよい。
【0119】
非フッ素化ポリマー及び本発明の組成物を含む水性配合物を表面に(例えば、コーティング用途で)塗布すると、水及び溶媒は典型的には蒸発し、ポリマー粒子は凝結して連続膜を形成する。水性配合物を表面に塗布し、乾燥し、かつ任意に加熱することができ、固体コーティングを有する表面を放置する。本発明の組成物を付加することで、基材を湿潤させるコーティング能力が改善され、及び/又は、膜の形成中に均等に水を蒸発(即ち、平滑化)させることで、いくつかの配合物の膜形成特性を改善することができる。本発明の組成物はまた、最終的な固体コーティングへ耐食特性を付与してもよく、これは、基材が金属基材(例えば、電子的構成要素)である場合に、追加的な利点を提供する。
【0120】
本発明の組成物を添加することにより改良され得る水性配合物としては、床磨き剤及び仕上げ剤、種々の基材(例えば、木製床)のためのワニス、写真用フィルムの製造において適用される水性ゲル、自動車用又は船舶用コーティング(例えば、プライマー、ベースコート、又はトップコート)、多孔質基材(例えば、木材、コンクリート、又は天然石)のためのシーラー、プラスチックレンズのためのハードコート、金属基材(例えば、缶、コイル、電子的構成要素、又は標識)のためのコーティング、インク(例えば、ペン又はグラビア、スクリーン印刷、若しくは熱印刷のためのもの)、並びに電子デバイスの製造において使用されるコーティング(例えば、フォトレジストインク)が挙げられる。水性配合物は透明であっても色素性であってもよい。
【0121】
いくつかの実施形態において、本発明のいくつかの実施形態の組成物を含む水性配合物、及び非フッ素化ポリマーは、アルカリ性の水系コーティング配合物、例えば、アミンで安定化された床材配合物として有用であり得る。これら実施形態のいくつかにおいて、組成物は少なくとも1つのアニオン性の2価単位を含む。
【0122】
本発明による表面処理方法は、当業者に既知の様々な塗布方法(例えば、ブラッシング、モップ、バーコーティング、スプレー、ディップコーティング、グラビアコーティング、及びロールコーティング)を用いて行うことができる。
【0123】
本発明による表面処理方法のいくつかの実施形態において、表面は、ビニルコンポジションタイル、ビニルシートフローリング、リノリウム、ラバーシーティング、ラバータイル、コルク、合成スポーツフローリング及びビニルアスベストタイル、並びにテラゾー、コンクリート、ウッドフローリング、竹、ウッドラミネート、人工木製品(例えば、木材/エポキキシブレンド、ノースカロライナ州ローリー(Raleigh, NC)のペルゴ(Pergo)から商品名「ペルゴ(PERGO)」で、及びカリフォルニア州ガーディナ(Gardena, CA)のダイアン(DIAN)から商品名「パーケット・バイ・ダイアン(PARQUET BY DIAN)」で入手可能な物のような永久コーティングされた基材)、石、大理石、スレート、セラミックスタイル、グラウト、及びドライシェークフローリングなどの非弾力性の床基材の少なくとも1つを含む床表面である。
【0124】
本発明の組成物はまた、洗浄溶液中の添加剤としても有用であり得、表面及び/又は除去すべき汚染物質に向上した濡れ性を提供することができる。いくつかの実施形態において、本発明の表面処理方法は、表面を洗浄することを包含する。洗浄溶液は典型的には、配合物の総重量を基準として、本発明の組成物を約0.001重量%〜約1重量%、又は約0.001重量%〜約0.5重量%含むように処方される。硬表面を洗浄するために、本発明の組成物を含む水性配合物を、窓ガラス、鏡、又はセラミックスタイルなどの硬表面にスプレーして(例えば、スプレーボトルから)、若しくは別の方法で塗布し、表面を紙又は布地ワイプできれいに拭く。汚染された部分は、水性組成物に浸されるか、浸漬されてもよい。電子材料の製造に使用される洗浄方法において、典型的には、洗浄溶液は槽中に配置され、電子部品は、その槽に浸漬されるか、又はコンベヤーベルト上の槽を通過する。
【0125】
水又は水混和性溶媒の少なくとも一方、及び本発明の組成物を含む配合物のいくつかの実施形態において、配合物は少なくとも1種のガスを更に含む(即ち、配合物は発泡体である)。
【0126】
本発明は、炭化水素溶媒と本発明の組成物とを含む配合物を提供する。これらの配合物において、本発明の組成物は典型的には、式XIの少なくとも1つの2価単位を有する。好適な炭化水素溶媒としては、原油、精製炭化水素類(例えば、ガソリン、ケロセン、及びディーゼル)、パラフィン系及びイソパラフィン系炭化水素類(例えば、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、高級アルカン類、並びにフランス、パリのトータル・フィナ社(TotalFina)から商品名「イサーン(ISANE)IP 130」及び「イサーン(ISANE)IP 175」で入手され、及びテキサス州ヒューストン(Houston, TX)のエクソン・モービル・ケミカル社(Exxon Mobil Chemicals)から商品名「イソパール(ISOPAR)」で入手される、イソパラフィン系溶媒類、鉱油、リグロイン、ナフテン類、芳香族化合物類(例えば、キシレン及びトルエン)、天然ガス縮合物類、並びにこれらの組み合わせ(混和性又は不混和性のいずれか)が挙げられる。いくつかの実施形態において、炭化水素溶媒と本発明の組成物とを含む配合物は、少なくとも1種のガスを更に含む(即ち、配合物は発泡体である)。
【0127】
典型的には、本発明の及び/又は本発明によって調製される配合物(例えば、発泡体)は、配合物の総重量を基準として、少なくとも0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、又は5重量%、最大5、6、7、8、9、又は10重量パーセントの、本発明の少なくとも1つの組成物を含む。例えば、発泡体中の本発明の組成物の量は、配合物の総重量を基準として、0.01重量%〜10重量%、0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、1重量%〜10の範囲、又は更には1重量%〜5重量%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、発明の組成物は、配合物の総重量を基準として、0.3重量%〜0.5重量パーセントの範囲で存在する。より少量及びより多量の組成物を配合物(例えば、発泡体)中に使用することもでき、これらの量は一部の用途にとって望ましい場合がある。
【0128】
液体と本発明の組成物とを含む配合物中の気泡(例えば、窒素、二酸化炭素、及び空気)の形成は、様々なメカニズム(例えば、機械的及び化学的メカニズム)を用いて行うことができる。有用な機械的発泡メカニズムには、配合物をかき混ぜること(例えば、振盪、撹拌、及び泡立て)、ガスを配合物に注入すること(例えば、組成物の表面の真下にノズルを挿入して、ガスを配合物中に吹き込む)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な化学的発泡メカニズムとしては、化学反応によるガスのインサイチュでの発生、組成物の構成成分(例えば、熱分解によってガスを放出する構成成分)の分解、配合物の構成成分を蒸発させること(例えば、液体ガス、及び配合物の圧力を下げること又は配合物を加熱することによって組成物中のガスを揮発させること)、が挙げられる。本発明の発泡体及び/又は本発明の方法より調製される発泡体は、全発泡体体積の10%〜90%の範囲の容積比にて気泡を含む。
【0129】
本発明の組成物は、例えば、撥油及び/又は撥水処理を基材(繊維状基材、例えば、布地、不織布、カーペット、及びレザーを含む)にもたらす泡状の有用な添加剤であってもよい。組成物はまた、他の従来の塗布方法を用いて、撥油及び/又は撥水処理として適用することもできる。フッ素化ポリマー並びに撥油及び/又は撥水処理の配合物中に有用な溶媒及び添加剤による基材処理方法は、当技術分野において既知である(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0027063号(オーデネルト(Audenaert)ら)を参照のこと)。基材に撥液性を提供することができる本発明の組成物の有用な量は、典型的には、当該基材の重量を基準にして、0.01重量%〜10重量%(いくつかの実施形態では、0.05重量%〜3.0重量%、又は更には0.1重量%〜1.0重量%)の範囲である。
【0130】
本発明の表面処理方法はまた、米国特許第6,689,854号(ファン(Fan)ら)及び米国特許出願公開第2006/0045979号(ダムズ(Dams))に記載の通りに行うことができ、当該特許及び特許出願の表面処理方法及び表面処理用配合物に関する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
本発明による及び/又は本発明を実施する(例えば、コーティング又は洗浄溶液配合物及び発泡体)のに有用な組成物の上記実施形態のいずれかにおいて、本発明の組成物は、単独で又は非フッ素化界面活性剤(例えば、炭化水素又はシリコーン界面活性剤)と組み合わせて使用して、所望の表面張力の低減又は湿潤の改善を引き起こすことができる。有用な補助界面活性剤は、例えば、D.R.カーサ(D.R.Karsa)編、「インダストリアル・アプリケーションズ・オブ・サーファクタンツ(Industrial Applications Of Surfactants)」、(ロンドン)、ロイヤルソサエティ・オブ・ケミストリー(Royal Society of Chemistry)、及び、M.ロゼン(M. Rosen)著、「サーファクタンス・アンド・インターフェーシャルフェノミナ(Surfactants and Interfacial Phenomena)」、(ニューヨーク)、ワイリー・インターサイエンス(Wiley-Interscience)で見出すことができる。
【0132】
本発明の利点及び実施形態について以下の非限定的な実施例によって更に説明するが、これらの実施例において記載した特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0133】
以下の実施例において、別段の指示がない限り、試薬はミズーリ州セントルイス(St. Louis, MO)のシグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)から入手した。別段の指示がない限り、全ての全てのパーセンテージ及び比率は重量基準である。
【0134】
フッ素化アルコール及びアクリレートの調製
調製1:CFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)CH=CH
パートA
ペルフルオロ−3,5,7,9−テトラオキサデカン酸のメチルエステルを、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)の化合物1の調製に記載の方法に従って調製した。
【0135】
パートB
パートAのメチルエステルを、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,094,829号(オーデネルト(Audenaert)ら)のカラム16、37〜62行目に記載の方法に従って、エタノールアミンで処理した。
【0136】
パートC
かくはん棒、温度計、及び冷却器を備えた500mLの三つ口フラスコに、パートBの物質0.1モル、60グラムのメチルエチルケトン(MEK)、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム・カンパニー(3M Company)から商品名「HFE−7200」で入手した60グラムのハイドロフルオロエーテル、0.1モル(10.1グラム)のトリエチルアミン、0.01グラムのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、及び0.01グラムのフェノサジンを定置した。混合物を氷浴内で約5℃まで冷却した。次に、0.11モルのアクリロイルクロリド(10.1グラム)を、窒素雰囲気で約1時間にわたって滴加した。発熱反応が認められ、沈殿物が形成された。反応混合物を撹拌しながら、温度を約1時間にわたって25℃に上昇させた。50℃の窒素雰囲気で撹拌を1時間続けた。得られた反応混合物を、200mLの水で3度洗い、有機層を分離した。50℃の溶媒全てを真空下で蒸留した。透明で黄褐色の液体が得られ、これは、核磁気共鳴分光法を用いて、CFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)CH=CHであると同定された。
【0137】
調製2:CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)CH=CH
ペルフルオロ−3,7−ジオキサオクタノン酸(セントピーターズバーグ(St. Petersburg, Russia)のアンレス社(Anles Ltd.)から入手)のメチルエステルをエステル化によって調製し、続いて調製1のパートBに記載の通りにエタノールアミンで処理した。得られたアルコールを調製1のパートCの方法(上記)に従って処理して、CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)CH=CHを得た。
【0138】
調製3:CFOCFCFCFOCHFCFC(O)NHCHCHOC(O)CH=CH
3−H−ペルフルオロ−4,8−ジオキサノナン酸(CFO(CFOCHFCFCOOCH)のメチルエステルを、米国特許出願公開第2007/0142541号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載されている化合物2の合成の方法に従って調製した(この合成の開示は参照により本明細書に組み込まれる)。次に、メチルエステルを、調製1のパートBに記載の通りにエタノールアミンで処理した。得られたアルコールを調製1のパートCの方法(上記)に従って処理して表題化合物を得た。
【0139】
調製4:CFOCFCFCFOCHFCFC(O)NHCHCHOC(O)C(CH)=CH
調製3(上記)で調製した3−H−ペルフルオロ−4,8−ジオキサノナン酸(CFO(CFOCHFCFCOOCH)のメチルエステルを、調製1のパートBに記載の通りにエタノールアミンで処理した。得られたアルコールを、0.11モルのアクリロイルクロリドの代わりに0.11モルのメタクリロイルクロリドを使用したことを除いては、調製1のパートCの方法(上記)に従って処理した。
【0140】
調製5:CFCFCFOCHFCFC(O)NHCHCHOC(O)CH=CH
3−H−ペルフルオロ−4−オキサヘプタン酸(COCHFCFCOOCH)のメチルエステルを、米国特許出願公開第2007/0142541号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載されている化合物4の合成の方法に従って調製した(この合成の開示は参照により本明細書に組み込まれる)。次に、メチルエステルを調製1のパートBに記載の通りにエタノールアミンで処理した。得られたアルコールを調製1のパートCの方法(上記)に従って処理して表題化合物を得た。
【0141】
調製6:CFCFCFOCHFCFC(O)NHCHCHOC(O)C(CH)=CH
調製5(上記)で調製した3−H−ペルフルオロ−4−オキサヘプタン酸(COCHFCFCOOCH)のメチルエステルを、調製1のパートBに記載の通りにエタノールアミンで処理した。得られたアルコールを、0.11モルのアクリロイルクロリドの代わりに0.11モルのメタクリロイルクロリドを使用したことを除いては、調製1のパートCの方法(上記)に従って処理して表題化合物を得た。
【0142】
(実施例1)
温度計、かくはん棒、冷却器、及び加熱マントルを備えた100mLの三つ口フラスコに、調製2のアクリレートを3グラム、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーのモノアクリレート(ドイツ、ルートウィヒスハーフェン(Ludwigshafen, Germany)のBASFコーポレーション(BASF Corporation)より商品名「プルロニック(PLURONIC)L44」で入手)の50%トルエン溶液を14グラム、「HFE−7200」ハイドロフルオロエーテルを3グラム、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールを0.5グラム、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)を0.05グラム定置した。反応混合物を窒素及びアスピレータ真空を用いて3回脱気し、続いて6時間75℃に加熱した。更に0.02グラムのAIBNを充填し、反応を窒素雰囲気下で16時間、75℃で持続した。次に、溶媒を、約80〜90℃及びアスピレータ真空で除去した。透明な琥珀色の粘稠な液体が生じた。
【0143】
ブロックコポリマー「プルロニック(PLURONIC)L44」のモノアクリレートを、アクリル酸とブロックコポリマーのモル比を1:1にしたことを除いては、米国特許第3,787,351号(オルソン(Olson))の実施例1(当該実施例は参照により本明細書に組み込まれる)の方法に従って調製した。
【0144】
(実施例2〜9)
実施例2〜9を、表1(下記)に記載の材料を使用したことを除いては、実施例1と同一の手順を用いて調製した。
【0145】
【表1】

【0146】
EtOAcはエチルアセテートである。
【0147】
IPAはイソプロパノールである。
【0148】
ポリエチレンオキシドのアクリレートを、ミシガン州ミッドランド(Midland, MI)のダウ・ケミカル(Dow Chemical)から商品名「カーボワックス(CARBOWAX)750」で入手した、1モル当たりの分子量750グラムの1官能性メトキシポリエチレングリコールから調製した。
【0149】
AAはアクリル酸である。
【0150】
ODMAはオクタデシルメタクリレートである。
【0151】
ODAはアクリル酸オクタデシルである。
【0152】
TMSPMAはトリメトキシシリルプロピルメタクリレートである。
【0153】
DMAEMAはジメチルアミノエチルメタクリレートである。
【0154】
(実施例10〜12)
実施例10〜12を、表1(下記)に記載の材料を使用しかつ以下の修正を用いたことを除いては、実施例1と同一の手順を用いて調製した。溶媒を除去する代わりに、反応混合物を窒素雰囲気で30℃に冷却した。表1(上記)に記載の第3の試薬(即ち、それぞれ、酢酸、プロパンスルトン、又は過酸化水素)を加え、反応混合物を3時間70℃に加熱した。次に、透明な溶液を室温まで冷却した。
【0155】
表面張力測定値
実施例1〜12を、脱イオン水(他の溶媒が具体的に示されている場合を除く)で表2(下記)の濃度に希釈した。実施例1〜12を含有する溶液の表面張力を、クリュス(Kruss)K−12張力計(ドイツ、ハンブルグ(Hamburg, Germany)のクリュス社(Kruss GmbH)から入手)を使用して、デュノイリング法(Du Nouy ring method)を用いて20℃で測定した。結果を表2(下記)にまとめる。
【0156】
【表2】

【0157】
TEGMEはテトラエチレングリコールメチルエーテルである。
【0158】
比較の目的で、界面活性剤を、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム・カンパニー(3M Company)から「FC−4430」で入手し、表2に示される濃度まで希釈し、上記に記載の通りに表面張力を評価した。結果を表2(上記)に示す。
【0159】
(実施例13)
かくはん棒、加熱マントル、冷却器、及び温度計を備えた100mLの三つ口フラスコに、4.4グラムの調製2のアクリレート(0.01モル)、1.8グラム(0.0054モル)のODMA、62グラムのメチルエチルケトン(MEK)、0.03グラムのオクチルメルカプタン、及び0.01gのAIBNを定置した。反応混合物を窒素及びアスピレータ真空を用いて3回脱気し、続いて6時間75℃まで加熱した。更に0.01グラムのAIBNを充填し、反応を窒素雰囲気下で16時間、75℃で持続した。透明な、わずかに黄色の溶液が得られた。
【0160】
(実施例14)
実施例14を、調製2のアクリレートの代わりに調製1のアクリレートを使用したことを除いては、実施例13の手順に従って調製した。
【0161】
(実施例15)
実施例15を、次の変更を除いては、実施例13の手順に従って調製した。250mLのフラスコの中に、49.5グラムの調製1のアクリレート、及び40グラムのMEK中の0.5グラムのアクリル酸、並びに10グラムの「HFE−7200」ハイドロフルオロエーテルを用いて、かつ0.1グラムのオクチルメルカプタンを用いて溶液ポリマーを作製した。AIBNの第1回目及び第2回目の充填は、それぞれ0.15グラム及び0.05グラムであった。
【0162】
ガラス上の動的接触角
動的前進及び後退接触角を、クリュス(Kruss)DSA100(クリュス社(Kruss GmbH)から入手)を使用して、平面ガラス(フランス(France)のアクア・プロダクション(Aqua Production)から入手)上で測定した。比較例1以外の全試料を、表1に記載の対応する溶媒中で20固体パーセントまで希釈した。これらをKハンドコーターバー(K Hand Coater Bar)nr 3(英国のRKプリントコート社(RK Print Coat Ltd)から入手可能)を用いて室温で塗布し、湿潤膜厚24ミクロンを堆積したままとした。比較の目的で、フルオロケミカルポリマーガラスコーティングを、スリーエム・カンパニー(3M Company)から商品名「ECC−4000」で入手し、比較例1として使用した。比較例1を濃度0.1%でスプレーで塗布した。実施例7〜9のコーティングを室温で3分間、続いて80℃で1分間乾燥した。実施例13〜15のコーティングを室温で乾燥した。1時間後に、前進及び後退接触角を室温で測定した。結果を表3(下記)にまとめる。
【0163】
【表3】

【0164】
比較の目的で、オリゴマーのフルオロケミカルシランを、米国特許出願公開第2003/0224112号(ダムズ(Dams))のパラブラフ148及び149に記載の通りに調製して比較例2を得、これをガラスに塗布して接触角を評価した。結果を表3(上記)に示す。
【0165】
調製7:CFCFH−O−(CFCHOC(O)CH=CH
パートA
米国特許出願公開第2007/0276103号の実施例3に記載の方法に従って調製した、CFCFH−O−(CFCOOH(426グラム、1.0モル)を、メタノール(200グラム、6.3モル)及び濃縮硫酸(200グラム、2.0モル)を用いて65℃でエステル化した。反応混合物を水で洗い、172℃で蒸留して383グラムのCFCFH−O−(CFCOOCHを得、これを他の実施からの材料と組み合わせてパートBで使用した。
【0166】
パートB
機械的撹拌機及び窒素バブラーを備えた5Lの丸底フラスコに、1Lのグリム、水素化ホウ素ナトリウム(76グラム、2.0モル)を充填し、80℃に加熱した。パートAに記載の通りに調製したCFCFH−O−(CFCOOCH(713グラム、1.67モル)を、1時間にわたって撹拌スラリーに加えた。濃縮硫酸の混合物(198グラム)及び水(1.0L)を反応混合物に加えた。下方の相を分離し、溶媒を蒸留して除去した。更に蒸留して506グラムのCFCFH−O−(CFCHOH(沸点173℃)を得、この構造をフーリエ変換赤外分光法(FTIR)及びH及び19F核磁気共鳴(NMR)分光法によって確認した。
【0167】
パートC
機械的撹拌機及び窒素バブラーを備えた5Lの丸底フラスコに、パートBからの材料の一部(250グラム、0.63モル)、ジイソプロピルエチルアミン(90グラム、0.7モル)、及び200グラムの第三級−ブチルメチルエーテルを充填し、55℃で30分間加熱した。塩化アクリロイル(61グラム、0.67モル)を30分にわたって加えた。添加中、わずかな還流を維持し、沈殿物が形成された。水(15グラム)、硫酸マグネシウム(16グラム)、炭酸カリウム(16グラム)、及びシリカゲル(90グラム)を加え、得られた混合物を15分間撹拌し、真空ろ過し、50℃/13Pa(0.1mmHg)で濃縮して250グラム(0.55モル)のCFCFH−O−(CFCHOC(O)CH=CHを得、この構造をFTIR及びH及び19FNMR分光法によって確認した。
【0168】
(実施例16)
窒素雰囲気下で、(1重量%の)2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から商品名「VAZO 67」で入手)を、35重量%のCFCFH−O−(CFCHOC(O)CH=CHのエチルアセテート溶液に加えた。反応物を70〜75℃で24時間加熱した。
【0169】
(実施例17)
80/20重量比のCFCFH−O−(CFCHOC(O)CH=CH及びODAを重合したことを除いては、実施例16の方法に従った。
【0170】
(実施例18)
CFCFH−O−(CFCHOC(O)CH=CHと2−メルカプトエタノールの比を4:1にしたことを除いては、実施例16の方法に従った。反応は44重量%固形物で行われた。
【0171】
実施例16〜18の動的接触角測定
ナイロン66フィルム(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から入手)をストリップに切断し、当該ストリップをメチルアルコールで洗浄した。ナイロンフィルムの一方の端を保持するのに小さなバインダークリップを使用し、ストリップを処理溶液(約5%固体)に浸漬し、溶液からゆっくりと引き上げた。コーティングされたストリップを空気乾燥し、30分間放置し、続いて150℃で10分間加熱した。
【0172】
次に、コーティングされたフィルム上の前進接触角及び後退接触角を、カーン動的接触角分析器(型式DCA 322)(制御及びデータ処理用コンピュータを備えたウィルヘルミー(Wilhelmy)天秤装置(ウィスコンシン州マディソンのATIより市販))を使用して測定した。水及びヘキサデカンをプローブ液として使用した。3回測定の平均を下記の表4に報告する。
【0173】
【表4】

【0174】
調製8:CF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CH
パートA
0.2Lのグリム中の30グラム(0.79モル)のホウ化水素ナトリウムで、200グラム(0.6モル)のCF−CFH−O−(CF−C(O)O−CHを還元したことを除いては、パートBのCF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CHの調製方法に従った。反応の最後に、0.3Lの水に溶解した150グラムの硫酸を加え、沸点が130℃であるCF−CFH−O−(CF−CH−OHを得た。
【0175】
パートC
CF−CFH−O−(CF−CH−OHの代わりに、50グラム(0.17モル)のCF−CFH−O−(CF−CH−OHを使用したことを除いては、パートBのCF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CHの調製方法に従った。塩化アクリロイル(18.2グラム、0.2モル)との反応を、ジイソプロピルエチルアミン(26グラム、0.2モル)の存在下でグリム(75グラム)中で行い、反応混合物を45℃で30分間加熱した。この後、水(100グラム)及びスリーエム・カンパニー(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から商品名「フルオリナート(FLOURINERT)77」で入手したハイドロフルオロエーテル(50グラム)を加えた。下方の相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、13Pa(0.1mmHg)で42℃で蒸留し、18.5グラムのCF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CHを得た。
【0176】
(実施例19)
CF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CH(60グラム)、1モルあたりの数平均分子量700グラムであるポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA−700)(32グラム)、及びHSCHCHOCHCHOCHCHSH(8グラム)を、エチルアセテート中に約30重量%固形物で組み合わせた。窒素を溶液を通して1分間発泡させ、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から商品名「VAZO−67」で入手)を1重量%で加えた。反応混合物を約70℃で約24時間加熱した。次に、混合物の試料をエチルアセテートで5重量%固形物に希釈し、実施例16〜18の動的接触角測定の手順に従った。結果を表4に示す。エチルアセテートを減圧下で除去し、表面張力測定のために、残留物を2重量%で50/50のイソプロパノール/水に溶解した。
【0177】
(実施例20〜23)
CF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CHの代わりに、CF−CFH−O−(CF−CH−OC(O)CH=CHを使用し、下記の表5に示される試薬及びモル当量を使用したことを除いては、実施例19に記載の方法に従った。MePEGAは、数平均分子量が約454であるポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートである。PEGDS−1598は、下記の通りに調製したHSCHC(O)−O−(CHCHO)C(O)CHSHである。実施例23では、過酸化水素の約1.2当量を重合反応に含ませた。各実施例に関し、エチルアセテートを反応時間の終わりに減圧下で除去し、表面張力測定のために、残留物を2重量%で50/50のイソプロパノール/水に溶解した。
【0178】
次の方法を用いてHSCHC(O)−O−(CHCHO)C(O)CHSHを調製した。250mLの三つ口フラスコに、1モル当たりの数平均分子量が約14.50グラムであるポリエチレングリコールを14.50グラム(10ミリモル(mmol))、メルカプト酢酸を1.84グラム(20mmol)、トルエンを100グラム、及び2滴のCFSOH触媒を加えた。ディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap)を使用して形成された水を除去しながら、混合物を還流状態で窒素雰囲気で6時間加熱し、続いて室温まで冷却した。室温で、1グラムのCaOを加え、溶液を1時間70℃まで加熱し、ろ過してCFSOHを除去した。ろ過された溶液を回転蒸発してワックス固形物を得、これを真空下で一晩乾燥させて16.08グラムの生成物を得た。
【0179】
【表5】

【0180】
クリュス(Kruss)K12張力計(米国ノースカロライナ州シャーロット(USA, Charlotte, NC)のクリュス社(Kruss GmbH)より購入)を使用して、実施例19〜23の表面張力を測定した。各実施例に関し、2%イソプロパノール/水溶液を水に滴下し、得られた溶液の表面張力を室温で測定した。結果を下記の表6に示す。
【0181】
【表6】

【0182】
本発明の種々の修正及び変更を本発明の範囲及び趣旨を逸脱せずに当業者によって行ってもよい。本発明は本明細書に記載された例示的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

で表わされる少なくとも1つの第1の2価単位を含む組成物であって、
式中、
各Rfは、独立して、
Rf−(O)−CHF−(CF−;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
Rf−O−(CF−;
F(C2k)−(O−C2k−O−CF−;及び
CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−;
からなる群から選択され、
各Qは、独立して結合:−C(O)−N(R)−;及び−C(O)−O−;
からなる群から選択され、
各Xは、独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されており、かつ任意に−N(R)−C(O)−;又は−O−C(O)−;を末端とし、
R及びRは、それぞれ独立して、水素及び炭素原子1〜4個を有するアルキルからなる群から選択され、
Rfは、炭素原子1〜10個を有し、かつ任意に少なくとも1つの酸素原子によって中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表し、
Rfは、CFCFH−;及びF(C2j)−;からなる群から選択され、
Lは、F及びCFからなる群から選択され、
Wはアルキレン及びアリーレンからなる群から選択され、
は、−CF−;−CFCF−;及び−CF(CF)−;からなる群から選択され、
tは0又は1であり、Rfが式:
Rf−(O)−CHF−(CF−;で表わされかつtが0の場合、Rfは少なくとも1つの酸素原子によって中断されており、
mは、1、2、又は3であり、
nは、0又は1であり、
jは、1〜4の整数であり、
各kは、独立して1又は2であり、
各pは、独立して1〜6の整数であって、
zは0〜3の整数である、
組成物。
【請求項2】
Rfが、それぞれ独立して:
Rf−(O)−CHF−(CF−;及び
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
tが1であり、Rfが、
炭素原子1〜6個を有する完全にフッ素化されたアルキル基と、
式:
−[OR−[OR−;で表される完全にフッ素化された基からなる群から選択され、
式中、
が、炭素原子1〜6個を有するペルフルオロ化されたアルキル基であり、
及びRが、それぞれ独立して、炭素原子1〜4個を有するペルフルオロ化されたアルキレンであり、
x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であって、xとyとの合計が少なくとも1である、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
tが0であり、Rfが式:
−[OR−[OR−O−CF−;で表される完全にフッ素化された基であって、
式中、
が、炭素原子1〜6個を有するペルフルオロ化されたアルキル基であり、
及びRが、それぞれ独立して、炭素原子1〜4個を有するペルフルオロ化されたアルキレンであり、
a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項5】
Rfが:
−O−CHF−;
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CHF−;
−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−CHF−CF−;
−O−CF−CHF−CF−;
−O−CF−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項6】
Rfが:
CF−O−CHF−CF−O−CH−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH−;
−O−CHF−CF−O−CH−;
−O−CHF−CF−O−CH−CH−;
−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−;
−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−;
−O−CF−CHF−CF−OCH−;
CF−CHF−CF−O−CH−;及び
−CF−CHF−CF−OCH−;
からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項7】
Rfが、Rf−O−(CF−である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
Rfが、CFCFH−である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
Rfが、CFCFH−O−(CF−及びCFCFH−O−(CF−からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の物品。
【請求項10】
RfがF(C2j)−であり、p+jが3〜7の値を有する、請求項7に記載の物品。
【請求項11】
Rfが、F(C2k)−(O−C2k−O−CF−であって、式中、pが1、2、又は3である、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
kが1である、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
Rfが、
CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
zが0であり、Lが、−CF−及び−CFCF−からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
各第1の2価単位が、式:
【化2】

で表わされ、式中、各Xは独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンが、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
式:
【化3】

で表わされる少なくとも1つの2価単位を更に含み、式中、
各Rは独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され、
各Rは独立して、炭素原子1〜30個を有するアルキルである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、式:
Rf−C(O)−N(R)−X−O−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物と、
式:
−O−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物との共重合によって調製することができ、式中、Xは独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
ポリアルキレンオキシセグメントを更に含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、式:
【化4】

で表わされる少なくとも1つのエーテル含有2価単位を含み、
式中、
及びRがそれぞれ独立して、水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキルであり、
EOが−CHCHO−を表し;
各POは独立して、−CH(CH)CHO−、又は
−CHCH(CH)O−を表し;
各rは独立して2〜128の整数であって、
各qは独立して0〜55の整数である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が式:
Rf−C(O)−N(R)−X−O−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物と、
式:
HO−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C(R)=CH
HO−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C(R)=CH;又は
O−(EO)−C(O)−C(R)=CH
で表わされる少なくとも1つの化合物との共重合によって調製することができ、
式中、Xは独立してアルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンはそれぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されている、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリアルキレンオキシセグメントが式:
【化5】

−S(O)0−2−C2s−C(O)−O−(EO)−(PO)−(EO)−C(O)−C2s−S(O)0−2−;又は
−S(O)0−2−C2s−C(O)−O−(PO)−(EO)−(PO)−C(O)−C2s−S(O)0−2−;
で表わされる単位で存在し
式中、
各Rは、独立して、水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキルであり、
EOは、−CHCHO−を表し、
各POは独立して、−CH(CH)CHO−;又は
−CHCH(CH)O−;を表し、
各rは独立して2〜128の整数であり、
各qは独立して0〜55の整数であって、
各sは独立して1〜5の整数である、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
式:
【化6】

で表わされる少なくとも1つのアニオン性の2価単位であって、
式中、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−からなる群から選択され、
R’及びRは、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され;
Vは、任意に少なくとも1つのエーテル結合又はアミン結合によって中断されているアルキレンであり;
各Yは独立して、水素及び対カチオンからなる群から選択されており、
Zは、−P(O)(OY)、−O−P(O)(OY)、−SOY、及びCOYからなる群から選択される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
式:
【化7】

で表わされる少なくとも1つの2価単位を更に含み、
式中、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−からなる群から選択され、
R’及びRは、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され、
Vは、任意に少なくとも1つのエーテル結合又はアミン結合によって中断されているアルキレンであって、
は、−[N(R、−N(OY)(R、−N(R−(CH−SO、及び−N(R−(CH−COからなる群から選択され、式中、
各Rは、独立して、水素及び炭素原子1〜6個を有するアルキルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、水素及び炭素原子1〜6個を有するアルキルからなる群から選択され、アルキルは任意に、少なくとも1つのハロゲン、アルコキシ、ニトロ、又はニトリル基によって置換され、又は2つのR基が結合して、任意に少なくとも1つのO、N、又はSを含み、かつ任意に炭素原子1〜6個を有するアルキルによって置換される5〜7員環を形成することができ、
各gは、それぞれ独立して2〜6の整数であり、
は、対アニオンであって、
は、水素及び遊離アニオンからなる群から選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
式:
【化8】

で表わされる少なくとも1つの2価単位を更に含み、
式中、
各R10は、独立して、炭素原子1〜6個を有するアルキル及びアリールからなる群から選択され、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−からなる群から選択され、
及びR11は、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され、
Vは、任意に少なくとも1つのエーテル結合又はアミン結合によって中断されているアルキレンであり、
各Gは、独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、及びハロゲンからなる群から選択されており、
hは、0、1、又は2である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、1モル当たり1,000グラム〜1モル当たり100,000グラムの範囲の重量平均分子量を有するポリマーである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
表面を請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む、表面処理方法。
【請求項27】
前記表面が、セラミックス、自然石、又はセメント質の表面のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、水と非フッ素化ポリマーとを含む配合物中に存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記非フッ素化ポリマーが、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、スチレン−アクリレートコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ビニルポリマー、ポリジエン、又はセルロース系ポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記配合物が少なくとも1つの非フッ素化界面活性剤を更に含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
表面を有する物品であって、該表面の少なくとも一部分が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物と接触する、物品。
【請求項32】
水又は水混和性溶媒の少なくとも一方と、請求項18〜23のいずれか一項に記載の組成物とを含む配合物。
【請求項33】
前記組成物が、1モル当たり1,000グラム〜1モル当たり100,000グラムの範囲の重量平均分子量を有するポリマーである、請求項32に記載の配合物。
【請求項34】
水と、ガスと、請求項18〜23のいずれか一項に記載の組成物とを含む構成成分を組み合せて発泡体を提供することを含む、発泡体の作製方法。
【請求項35】
炭化水素溶媒と、請求項16〜17のいずれか一項に記載の組成物とを含む配合物。
【請求項36】
前記組成物が、1モル当たり1,000グラム〜1モル当たり100,000グラムの範囲の重量平均分子量を有するポリマーである、請求項35に記載の配合物。
【請求項37】
炭化水素液と、ガスと、請求項16〜17のいずれか一項に記載の組成物とを含む構成成分を組み合せて発泡体を提供することを含む、発泡体の作製方法。
【請求項38】
液体の表面張力を減少させる方法であって、該方法は該液体と請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物の一定量とを組み合せることを含み、前記組成物の量が該液体の該表面張力を減少させるのに十分な量である、方法。
【請求項39】
表面を有する物品であって、該表面の少なくとも一部分がフッ素化シロキサンと接触し、該フッ素化シロキサンが、式:
【化9】

で表わされる少なくとも1つの2価単位と、
式:
【化10】

で表わされる少なくとも1つの2価単位とを含む、フッ素化シランの少なくとも1つの縮合生成物を含み、
式中、
各Rfは、独立して:
Rf−(O)−CHF−(CF−;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
Rf−O−(CF−;
F(C2k)−(O−C2k−O−CF−;及び
CF−O−(CF−(OCF(CF)−CF−O−L−;
からなる群から選択され、
Rfは、炭素原子1〜10個を有し、かつ任意に少なくとも1つの酸素原子によって中断されている部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表し;
Rfは、CFCFH−及びF(C2j)−からなる群から選択され、
Lは、F及びCFからなる群から選択され、
Wはアルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
は、−CF−、−CFCF−、及び−CF(CF3)−
からなる群から選択され、
tは、0又は1であり、Rfが、式
Rf−(O)−CHF−(CF−で表わされ、かつtが0の場合、Rfは、少なくとも1つの酸素原子によって中断されており、
mは、1、2、又は3であり、
nは、0又は1であり、
各jは、独立して1〜4の整数であり;
各kは、独立して、1又は2であり;
各pは、独立して1〜6の整数であり;
zは、0〜3の整数であり、
は、独立して、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ任意に少なくとも1つのエーテル結合によって中断されており、
各R10は、独立して、炭素原子1〜6個を有するアルキル及びアリールからなる群から選択され、
は、−O−、−S−、及び−N(R)−からなる群から選択され、
R、R、及びR11は、それぞれ独立して、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され、
Vは、任意に少なくとも1つのエーテル結合又はアミン結合によって中断されているアルキレンであり、
各Gは、独立して、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、及びハロゲンからなる群から選択されており、
hは、0、1、又は2である、物品。

【公表番号】特表2010−529260(P2010−529260A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511352(P2010−511352)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066048
【国際公開番号】WO2008/154345
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】