説明

フッ素化スルホンアミド化合物、およびそれらから製造された、電気化学電池に使用するためのポリマー電解質膜

一般構造(式I)を有するフッ素化スルホンアミド小分子であって、式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3であり;Aは、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;R、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基であるフッ素化スルホンアミド小分子。ポリマー電極膜、膜電極アセンブリ、および燃料電池などの電気化学電池を製造する際に有用なポリマーおよび小分子も、説明する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、および電解質としての、電気化学電池におけるその使用に関し、より詳細には、燃料電池用ポリマー電解質膜におけるこの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池およびリチウムイオンバッテリなどの電気化学電池が知られている。動作条件によって、各タイプの電池は、特定の1組の要件を、それらに使用される電解質に置く。燃料電池の場合、これは、典型的には、電池に電力供給するために使用される、水素またはメタノールなどの燃料のタイプ、および電極を分離するために使用される膜の組成によって決められる。燃料としての水素によって電力供給されるポリマー電解質膜燃料電池は、現在用いられるより高い動作温度で動作させて、より低い純度の供給流、向上した電極反応速度、および燃料電池スタックからのより良好な熱伝達によりその冷却を向上させることを利用することができる。廃熱も有用に用いることができる。しかし、現在の燃料電池を100℃を超えて動作させるべきである場合、それらを加圧して、デュポン(DuPont)ナフィオン(Nafion)(登録商標)ペルフルオロスルホン酸膜などの典型的なポリマー電解質膜の適切な水和を維持して、有用なレベルのプロトン伝導性を支持しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃料電池およびリチウムイオンバッテリなどの電気化学電池の最新世代の性能を向上させる新規な電解質を発見する必要が続いている。高温燃料電池の場合、これは、より低いレベルの水和で適切なプロトン伝導性を維持する新たなポリマー電解質膜材料を開発することによって対処することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、下記一般構造を有するフッ素化スルホンアミド小分子であって、
【0005】
【化1】

【0006】
式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3であり;
は、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基であるフッ素化スルホンアミド小分子を提供する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、フッ素化スルホンアミド基で置換された芳香族複素環
式基を含んでなる重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマーであって、重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマーが、下記一般構造を有し、
【0008】
【化2】

【0009】
式中、sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;
は、複素環式環の炭素原子がトリフルオロビニル基またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマーを提供する。
【0010】
これらのモノマーは、以下で示される一般構造(III)を有するポリマーの製造に有用である。
【0011】
第3の態様において、本発明は、下記一般構造を有するフッ素化スルホンアミドビニルポリマーであって、
【0012】
【化3】

【0013】
式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基であるフッ素化スルホンアミドビニルポリマーを提供する。
【0014】
第4の態様において、本発明は、一般構造(I)を有する小分子、一般構造(III)を有するポリマー、および下記一般構造を有する小分子
N−SO−(CF−SO−NH (IV)
式中、uは1から8に等しい
から選択される、フッ素化スルホンアミド基、−CF−SO−NHを含有する化合物を含んでなる、典型的には少なくとも100℃の温度で動作することができるポリマー電解質膜に備える。化合物とは、小分子またはポリマーを意味する。
【0015】
第4の態様において、本発明は、さらに、多孔性支持体などの支持材料を含んでなるポリマー電解質膜を提供する。
【0016】
第5の態様において、本発明は、ポリマー電解質膜を含んでなる膜電極アセンブリであって、ポリマー電解質膜が、
(a)下記一般構造を有する小分子
【0017】
【化4】

【0018】
式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3であり;
は、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である
(b)下記一般構造を有するポリマー
【0019】
【化5】

【0020】
式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である
(c)下記一般構造を有する小分子
N−SO−(CF−SO−NH (IV)
式中、uは1から8に等しい
よりなる群から選択される、フッ素化スルホンアミド基、−CF−SO−NHを有する化合物を含んでなる膜電極アセンブリを提供する。
【0021】
第5の態様において、膜電極アセンブリは、膜の第1および第2の表面上に存在する、電極触媒コーティング組成物から製造された少なくとも1つの電極をさらに含んでなる。それは、また、少なくとも1つのガス拡散バッキングをさらに含んでなる。あるいは、膜電極アセンブリは、膜の第1および第2の表面上に存在するガス拡散電極をさらに含んでなり、ガス拡散電極は、ガス拡散バッキングと、電極触媒コーティング組成物から製造された電極とを含んでなる。
【0022】
第6の態様において、本発明は、ポリマー電解質膜を含んでなる、燃料電池などの電気化学電池であって、ポリマー電解質膜が、一般構造(I)を有する小分子、一般構造(III)を有するポリマー、および一般構造(IV)を有する小分子から選択される、フッ素化スルホンアミド基、−CF−SO−NHを有する化合物を含んでなる電気化学電池を提供する。
【0023】
第6の態様において、燃料電池は、固体ポリマー電解質膜の第1および第2の表面上に存在するアノードまたはカソードをさらに含んでなる。ガス拡散バッキングも、アノードおよびカソード上にポリマー電解質膜から離れた側に存在してもよい。
【0024】
あるいは、第6の態様において、燃料電池は、ガス拡散電極を含んでなり、ガス拡散電極は、上にアノードまたはカソードが存在するガス拡散バッキングを含んでなり、アノードまたはカソードは、ポリマー電解質膜に隣接している。
【0025】
第6の態様において、燃料電池は、電極触媒コーティングをさらに含んでなり、一般構造(III)のポリマーは、ポリマー電解質膜またはガス拡散電極上にアノードおよびカソードとして存在する電極触媒コーティングのためのバインダーを構成する。
【0026】
第6の態様において、燃料電池は、燃料をアノードに送出するための手段と、酸素をカソードに送出するための手段と、アノードおよびカソードを外部電気負荷に接続するための手段と、アノードと接触する液体または気体状態の燃料と、カソードと接触する酸素とをさらに含んでなる。いくつかの適切な燃料としては、水素;メタノールおよびエタノールなどのアルコール;ジエチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。酸素は、純粋なガスとして、他の不活性ガスとの混合物中で、または空気の成分として、カソードに送出することができる。
【0027】
第7の態様において、本発明は、一般構造(III)のポリマーを含んでなる、電極触媒コーティングのためのバインダーであって、電極触媒コーティングが、燃料電池のポリマー電解質膜またはガス拡散電極上にアノードおよびカソードとして存在する電極触媒コーティングのためのバインダーを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のイオンまたはプロトン伝導性小分子およびポリマーは、燃料電池、バッテリ、クロルアルカリ(chloralkali)電池、電解セル、イオン交換膜、センサ、電気化学キャパシタ、および修正電極に有用である。本発明のモノマーは、これらの有用なポリマーを製造するために使用される。これらのポリマーは、ポリマー電解質膜の製造における電解質、および燃料電池などの電気化学電池の構成要素であってもよい触媒コーティング膜、ガス拡散電極、または膜電極アセンブリの製造に使用してもよい電極触媒コーティング組成物として使用してもよい。
【0029】
フッ素化スルホンアミド小分子
フッ素化スルホンアミド小分子は、下記一般構造を有し、
【0030】
【化6】

【0031】
式中、m、n、およびpは、m+n+pが、1から4、典型的には1から2に等しいという条件で、0から3、典型的には1から2であり;Aは、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、テトラゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、またはチアジアゾール、典型的には、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、またはトリアジン、より典型的にはベンゾイミダゾールなどの芳香族複素環式基であり;R、R、およびRは、典型的には1から20の炭素原子を含有する、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基であり、より典型的には、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である。
【0032】
本発明のフッ素化スルホンアミドは、フッ素化スルホニルフルオリドまたはフッ素化スルホニル無水物とアンモニアとの反応によって合成してもよい。さまざまなフッ素化ビス−およびモノ−スルホニルフルオリドおよび無水物が、文献において知られているか、フッ素化スルホン酸から製造することができる(フッ素化学:包括的な処理(Fluorine Chemistry: A comprehensive treatment)、エム・ハウ−グラント(M. Howe−Grant)編集、ジョン・ワイリー(John Wiley)、ニューヨーク州(New York)、1995、P318)。芳香族複素環式基を含有するものなどのより複雑なフッ素化スルホンアミドも、アシルフルオリド基、アシルクロリド基、またはニトリル基を含有するフッ素化スルホニルフルオリドなどの適切な前駆体から、オルト−フェニレンジアミン、オルト−アミノフェノール、3,3’−ジアミノベンジジン、またはヒドラジンなどの有機試薬との反応、および複素環式環の環化、その後のフルオロスルホニル基とアンモニアとの縮合によって製造してもよい。反応の順序は、有機試薬の反応性によって、必要であれば逆にしてもよい。
【0033】
モノマー
フッ素化スルホンアミドで置換された芳香族複素環式基を含んでなる重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマーは、下記一般構造を有し、
【0034】
【化7】

【0035】
式中、sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが、1から2、典型的には1に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複
素環式環の炭素原子がトリフルオロビニル基またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、またはチアジアゾール、典型的には、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、またはトリアジン、より典型的にはベンゾイミダゾールなどの芳香族複素環式基であり;RおよびRは、典型的には1から20の炭素原子を含有する、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基であり、より典型的には、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である。
【0036】
これらのモノマーは、以下で示される一般構造(III)を有するポリマーの製造に有用である。
【0037】
フッ素化スルホンアミドポリマー
フッ素化スルホンアミドビニルポリマーは、下記一般構造を有し、
【0038】
【化8】

【0039】
式中、ポリマーは、場合によりフェニルなどの芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1、典型的には0.1から1、より典型的には0.6から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、またはチアジアゾール、典型的には、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、またはトリアジン、より典型的にはベンゾイミダゾールなどの芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である。
【0040】
フッ素化ポリマースルホンアミドを製造するための2つの基本的な方法がある。
(a)フッ素化ポリマースルホニルフルオリドを、アンモニアとの反応によってスルホンアミドに直接変える。これは、ポリマー電解質膜上、またはそれらの製造に使用されるポリマー樹脂上で行うことができる。ポリマー電解質膜およびポリマー樹脂を、気体、液体、または適切な溶媒中の溶液としてのアンモニアに曝すことができる。そのような溶媒は、ポリマー電解質膜およびポリマー樹脂を、溶解せずに膨潤させてもよいし、結果として生じるフッ素化ポリマースルホンアミド溶液がポリマー電解質膜の製造に使用されるべきである場合、ポリマー樹脂を溶解してもよい。
【0041】
(b)フッ素化スルホンアミド基を含有する重合性モノマーの重合。フッ素化スルホンアミド基を含有するビニルモノマーを、溶液、エマルション、またはバルク相中で、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムなどのラジカル開始剤を使用して重合してもよい。たとえば、一般構造(II)のモノマーを、単独で、またはトリフルオロスチレンなどの適切なコモノマー、または適切な誘導体と重合して、一般構造(III)のポリマーを製造してもよい。
【0042】
ポリマー電解質膜
一般構造(I)の小分子および一般構造(III)のポリマーを電解質として使用して、ナフィオン(登録商標)ペルフルオロスルホン酸膜などの典型的なポリマー電解質膜より高い温度における動作が可能なポリマー電解質膜を製造することができる。これらの化合物に加えて、ポリマー電解質膜を、下記一般構造の小分子を使用して製造することもでき、
N−SO−(CF−SO−NH (IV)
式中、uは、1から8、典型的には2から6に等しい。典型的には、一般構造(I)、(III)、および(IV)の化合物の当量は、300未満、より典型的には200未満である。
【0043】
一般構造(I)の小分子、一般構造(III)のポリマー、または一般構造(IV)の小分子が、有用なポリマー電解質膜を製造するのに十分な機械的強度を有さない場合、これらの化合物からポリマー電解質膜を製造するために支持材料が必要である。支持材料は、以下で説明されるような多孔性支持体、またはそれらの製造に使用されるポリマーもしくは無機材料であってもよい。膜を製造するための下記のプロセスを開示する。
【0044】
・共流延:一般構造(I)または(III)の小分子またはポリマーを、最初に、支持ポリマーとともに適切な溶媒に溶解し、次に、共流延して薄いフィルムにする。溶媒の除去後、膜が得られる。
【0045】
・熱プレス:支持ポリマーまたは材料が溶媒に可溶性でない場合、熱プレスを加えて膜を製造してもよい。一般構造(I)または(III)の小分子またはポリマーと支持ポリマーまたは材料との混合物を、最初に、粉砕またはミリングし、次に、熱プレスして薄いフィルムにする。
【0046】
・ディップコーティング:一般構造(I)または(III)の小分子またはポリマーを適切な溶媒に溶解する。以下で説明されるような多孔性支持体を、コーティングが不浸透性膜を生じさせるのに十分になるまで、繰返して溶液中に浸し乾燥させる。無機紙およびフィルムも、ディップコーティングプロセスにおいて膜を支持するために使用してもよい。
【0047】
典型的には、これらのポリマー電解質膜は、少なくとも5mS/cmのプロトン伝導性を維持しながら、少なくとも100℃の温度、および75%未満、より典型的には50%未満の相対湿度で動作することができ、より典型的には、少なくとも150℃の温度および25%未満の相対湿度で少なくとも10mS/cmのプロトン伝導性を維持しながら動作することができる。
【0048】
多孔性支持体
ポリマー電解質膜の多孔性支持体は、広範囲の成分から製造してもよい。本発明の多孔性支持体は、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン−コ−テトラフルオロエチレン、およびポリビニリデンジフルオリドなどのフッ素化
ポリマー、シリカ、アルミナ、および炭化ケイ素などのセラミック、またはホウケイ酸ガラスなどのガラスから製造してもよい。熱劣化および化学的劣化に対する耐性のため、多孔性ポリマー支持体は、典型的には、高度にフッ素化されたポリマー、最も典型的には過フッ素化ポリマーから製造される。
【0049】
たとえば、多孔性支持体のポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはテトラフルオロエチレンと他の過フッ素化オレフィンもしくはペルフルオロビニルエーテルとのコポリマーの微孔性フィルムであることができる。支持体層としての使用に適した微孔性PTFEフィルムおよびシーティングが知られている。たとえば、米国特許第3,664,915号明細書は、少なくとも40%の空隙を有する一軸延伸フィルムを開示している。米国特許第3,953,566号明細書、米国特許第3,962,153号明細書、および米国特許第4,187,390号明細書は、少なくとも70%の空隙を有する多孔性PTFEフィルムを開示している。
【0050】
あるいは、多孔性支持体は、上で説明された支持体材料の繊維から、繊維を、平織り、斜子織り、からみ織りなどのさまざまな織りを用いて織られた布または紙に形成することによって製造してもよい。多孔性支持体紙または布に本発明の化合物をコーティングして、複合膜を形成することによって、本発明の実施に適した膜を製造することができる。効果的であるために、コーティングは、両外面上にあり、支持体の内部細孔を通って分配されなければならない。これは、支持体上にポリマーの薄い均一なコーティングを形成することができる含浸条件下で、ポリマーまたは支持体に有害でない溶媒を使用して本発明の実施に適したポリマーの溶液または分散液を多孔性支持体に含浸させることによって行ってもよい。溶液/分散液を備えた支持体を乾燥させて、膜を形成する。望ましい場合は、含浸後大きい細孔が膜内に残る場合に発生することがある、膜を通るバルク流を防止するために、ポリマー電解質の薄いフィルムを、含浸された多孔性支持体の片側または両側に積層することができる。
【0051】
化合物が固体ポリマー電解質膜内に連続相として存在することが好ましい。
【0052】
固体ポリマー電解質膜の他の形態としては、2000 燃料電池セミナー(Fuel Cell Seminar)(2000年10/30から11/2、オレゴン州ポートランド(Portland,Oregon))アブストラクト(Abstracts)、23ページに開示されたような、PTFEフィブリルがポリマー電解質中に分散されたPTFEフィブリル分散タイプおよびPTFEヤーン埋込みタイプが挙げられる。
【0053】
多孔性支持体内に吸収して固体ポリマー電解質膜を形成する化合物は、燃料電池に使用されているとき、ポリマーが多孔性支持体内にとどまり、浸出することができないことを確実にするために、ポリマーの架橋、グラフト化、または鎖延長をもたらすために使用することができる、側鎖または末端基としての反応性官能基を含有してもよい。適切な反応性官能基としては、ビニル、トリフルオロビニルエーテル、トリフルオロビニルフェニルエーテル、トリフルオロビニルベンゼン(α,β,β−トリフルオロスチレン)、ペンタフルオロフェニルエーテル、過フッ素化ニトリル、過フッ素化ブロミド、過フッ素化ヨージド、およびアルコキシシランが挙げられる。
【0054】
電気化学電池
図1に示されているように、燃料電池などの電気化学電池は、強化されていない膜電極アセンブリ(MEA)を形成するように少なくとも1つのガス拡散バッキング(GDB)(13)と組合された触媒コーティング膜(CCM)(10)を含んでなる。触媒コーティング膜(10)は、上で説明されたポリマー電解質膜(11)と、電極触媒コーティング組成物から形成された触媒層または電極(12)とを含んでなる。燃料電池には、水素;たとえばメタノールおよびエタノールなどの液体または気体アルコール;またはたとえばジエチルエーテルなどのエーテルなどの燃料用の入口(14)、アノード出口(15)、カソードガス入口(16)、カソードガス出口(17)、タイロッド(図示せず)でともに結合されたアルミニウムエンドブロック(18)、シーリング用ガスケット(19)、電気絶縁層(20)、ガス分配用フローフィールドを備えた黒鉛集電体ブロック(21)、および金めっき集電体(22)がさらに設けられる。
【0055】
あるいは、上に電極触媒コーティング組成物の層を有するガス拡散バッキングを含んでなるガス拡散電極(GDE)を、固体ポリマー電解質膜と接触させて、MEAを形成してもよい。
【0056】
CCM(10)またはGDE上に電極として触媒層を塗布するために使用される電極触媒コーティング組成物は、バインダーのための適切な溶媒中に分散されたバインダーおよび触媒の組合せを含んでなり、導電性、接着、および耐久性を向上させるために他の材料を含んでもよい。触媒は、典型的には炭素上に、担持されていなくても担持されていてもよく、アノードまたはカソードとしてのそれらの使用によって、組成が異なってもよい。バインダーは、典型的には、ポリマー電解質膜(11)を形成するために使用されるのと同じポリマーからなるが、燃料電池の動作を向上させるために、必要に応じて、他の適切なポリマー電解質を添加剤として部分的に含有してもよいし、他の適切なポリマー電解質から単独で構成されてもよい。本発明の化合物は、単独で使用してもよいし、バインダーまたはポリマー電解質膜(11)中で、ナフィオン(登録商標)ペルフルオロスルホン酸およびスルホン化ポリエーテルスルホンなどの他の適切なポリマー電解質またはそれらの膜とともに使用してもよい。
【0057】
燃料電池は、気体相または液体相であってもよく、かつ水素、アルコール、またはエーテルを含んでなってもよい燃料源を使用する。燃料は、燃料電池が高電力出力を提供するように、上で説明された固体ポリマー電解質膜の適切なイオン伝導性を維持するのに必要な程度に加湿される。動作温度によって、燃料電池は、必要な加湿の程度を維持するために高圧で動作させてもよい。典型的には、加湿気体水素供給またはメタノール/水溶液がアノード室に供給され、空気または酸素がカソード室に供給される。
【0058】
触媒コーティング膜(CCM)
上述されたものと同様の電極触媒コーティング組成物を固体ポリマー電解質膜上に塗布する、CCM製造のさまざまな技術が知られている。いくつかの既知の方法としては、スプレー、塗装、パッチコーティング、およびスクリーン印刷、デカール印刷、パッド印刷、またはフレキソ印刷が挙げられる。
【0059】
本発明の一実施形態において、200℃未満、好ましくは140〜160℃の温度で、ガス拡散バッキング(GDB)をCCMとともに熱強化することによって、図1に示されたMEA(30)を製造してもよい。CCMは、当該技術において知られている任意のタイプから製造してもよい。この実施形態において、MEAが、上に薄い触媒−バインダー層が配置された固体ポリマー電解質(SPE)膜を含んでなる。触媒は、担持されていても(典型的には炭素上に)担持されていなくてもよい。1つの製造方法において、電極触媒コーティング組成物をカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルム(デュポン・カンパニー(DuPont Company)から入手可能)などの平坦な剥離基材上に広げることによって、触媒フィルムをデカールとして製造する。コーティングが乾燥した後、圧力および熱を加えることによってデカールをSPE膜の表面に転写し、その後、剥離基材を除去して、制御された厚さおよび触媒分布を有する触媒層を備えた触媒コーティング膜(CCM)を形成する。あるいは、印刷などによって触媒層を膜に直接塗布し、次に、触媒フィルムを200℃以下の温度で乾燥させる。
【0060】
次に、こうして形成されたCCMをGDBと組合せて、MEA(30)を形成する。MEAは、CCMおよびGDBを層状に重ね、その後、200℃以下、好ましくは140〜160℃の範囲内の温度に加熱し、圧力を加えることによって、1工程で構造全体を強化することによって形成する。MEAの両側を同じようにかつ同時に形成することができる。また、触媒層およびGDBの組成物は、膜の両側で異なることができる。
【0061】
本発明を下記実施例で例示する。
【実施例】
【0062】
液体導電性測定
液体の導電性は、高温で800μLの小さい体積で腐食性サンプルを取扱うことができるセルを使用して測定する。直径0.38mmの白金ワイヤを、5回、直径5.14mmのマコール(Macor)(登録商標)機械加工可能ガラスセラミックロッド(ニューヨーク州コーニングのコーニング・インコーポレイテッド(Corning Inc., Corning, NY))の一端の周りに巻き、ワイヤリードの残りを熱収縮PTFEチューブで絶縁することによって、2つのコイル電極を25mm離して形成する。サンプルを外径9mm×内径6.8mm×長さ178mmのガラスチューブ内に装填し、電極がサンプル中に完全に浸漬されるようにロッドを挿入する。チューブを強制対流サーモスタット付オーブン内に配置し、加熱する。ACインピーダンスの実部Rを、ポテンショスタット/周波数応答分析器(ペンシルバニア州ウォーミンスターのガムリー・インスツルメンツ(Gamry Instruments, Warminster, PA)の、EISソフトウェアを備えたPC4/750(商標))を使用して1kHzの周波数で測定する。位相角は、典型的には2度未満であり、これは、測定が、電極界面からの容量寄与によって影響されないことを示す。セル定数Kは、公称0.1S/cm(0.1027S/cm実際)についてNIST追跡可能塩化カリウム導電性校正標準を用いて10kHzの周波数でインピーダンスの実部Rを測定し、下記のように計算することによって定め、
K=R×0.1027S/cm×(1+ΔT×0.02℃−1
式中、ΔTは、校正標準の温度Tと25℃との間の差(ΔT=T−25)である。セル定数は、典型的には12cm−1に近い。次に、サンプルの導電性κを、下記のように計算する。
κ=K/R
【0063】
面通過(Through−Plane)導電性測定
膜の面通過導電性は、電流が膜の平面に垂直に流れる技術によって測定する。下部電極を直径12.7mmのステンレス鋼ロッドから形成し、上部電極を直径6.35mmのステンレス鋼ロッドから形成する。ロッドを長さに切断し、それらの端部を研磨し、金でめっきする。下部電極/GDE/膜/GDE/上部電極からなるスタックを形成する。GDE(ガス拡散電極)は、微孔性層、白金触媒、および触媒層の上の0.6〜0.8mg/cmのナフィオン(Nafion)(登録商標)塗布を備えたカーボンクロスを含んでなる触媒ELAT(登録商標)(ニュージャージー州サマセットのドゥ・ノーラ・ノース・アメリカ・インコーポレイテッドのE−TEK・ディビジョン(E−TEK Division, De Nora North America, Inc., Somerset, NJ))である。下部GDEを直径9.5mmのディスクとして打抜き、膜および上部GDEを、上部電極に一致するように直径6.35mmのディスクとして打抜く。スタックを組立て、マコール(登録商標)機械加工可能ガラスセラミック(ニューヨーク州コーニングのコーニング・インコーポレイテッド)のブロック内に所定位置に保持し、それは、下部電極を受入れるようにブロックの底部にドリル加工された直径12.7mmの穴と、上部電極を受入れるようにブロックの頂部にドリル加工された同軸の直径6.4mmの穴とを有する。クランプおよび校正スプリングによって、270Nの力をスタックに加える。これは、上部電極の下の活性領域において8.6MPaの圧力を生じさせ、これは、GDEと膜との間の低インピーダンスイオン接触を確実にする。取付具を強制対流サーモスタット付オーブン内に配置し、加熱する。膜を含む取付具のACインピーダンスの実部Rを、ポテンショスタット/周波数応答分析器(ペンシルバニア州ウォーミンスターのガムリー・インスツルメンツの、EISソフトウェアを備えたPC4/750(商標))を使用して100kHzの周波数で測定する。取付具ショートRも、膜サンプルを使用せずに組立てられた取付具およびスタックについて100kHzでACインピーダンスの実部を測定することによって定める。次に、膜の導電性κを、下記のように計算し、
κ=t/((R−R)×0.317cm
式中、tは、cm単位の膜の厚さである。
【0064】
面内導電性測定
膜の面内導電性は、制御された相対湿度および温度の条件下で、電流が膜の平面に平行に流れる技術によって測定する。ワイ・ソーン(Y.Sone)らによる「4電極ACインピーダンス方法によって測定されるようなナフィオン(登録商標)117のプロトン伝導性(Proton Conductivity of Nafion(登録商標) 117 As Measured by a Four−Electrode AC Impedance Method)」と題する論文、ジャーナル・オブ・ジ・エレクトロケミカル・ソサエティ(J. Electrochem. Soc.)、143、1254(1996)に記載されたものと同様の4電極技術を用い、この論文を引用によりここに援用する。図2を参照すると、下部取付具(40)を、4の直径0.25mmの白金ワイヤ電極を支持し保持する、溝を含む4の平行なリッジ(41)を有するように、アニールガラス繊維強化PEEKから機械加工する。2つの外側電極の間の距離は25mmであり、2つの内側電極の間の距離は10mmである。膜のストリップを、10から15mmの幅、および外側電極を被覆しかつ外側電極をわずかに越えて延在するのに十分な長さに切断し、白金電極の上に配置する。底部取付具のリッジに位置が対応するリッジを有する上部取付具(図示せず)を上に配置し、2つの取付具を、膜を押して白金電極と接触させるようにともに締付ける。膜を含む取付具を小さい圧力容器(圧力フィルタハウジング)内に配置し、これを強制対流サーモスタット付オーブン内に配置し、加熱する。容器内の温度を熱電対によって測定する。水を、校正されたウォーターズ(Waters)515 HPLCポンプ(マサチューセッツ州ミルフォードのウォーターズコーポレーション(Waters Corporation, Milford, MA))から供給し、校正されたマスフローコントローラ(200sccm最大)から供給された乾燥空気と組合せて、オーブン内の直径1.6mmのステンレス鋼チューブのコイル内で水を蒸発させる。結果として生じる加湿空気を圧力容器の入口に供給する。容器内の総圧力(100から345kPa)を、出口上の圧力制御減少弁(pressure−control letdown valve)によって調整し、キャパシタンスマノメータ(マサチューセッツ州ボックスバラのセトラ・システムズ・インコーポレイテッド(Setra Systems, Inc., Boxborough, MA)のモデル280E)を使用して測定する。温度の関数としての液体水の蒸気圧力、2つの流量からのガス組成、容器温度、および総圧力の表を使用して、理想的なガス挙動を想定して、相対湿度を計算する。図2を参照すると、取付具の下部部分および上部部分のスロット(42)が、加湿空気の、膜へのアクセスを可能にし、水蒸気との急速な平衡をもたらす。電流を外側の2つの電極の間に与え、結果として生じる電圧を内側の2つの電極の間で測定する。内側の2つの電極の間のACインピーダンス(抵抗)の実部Rを、ポテンショスタット/周波数応答分析器(ペンシルバニア州ウォーミンスターのガムリー・インスツルメンツの、EISソフトウェアを備えたPC4/750(商標))を使用して1kHzの周波数で測定する。次に、膜の導電性κを、下記のように計算し、
κ=1.00cm/(R×t×w)
式中、tは膜の厚さであり、wはその幅である(両方ともcm単位)。
【0065】
実施例1
下記の手順を用いて、オクタフルオロ−1,4−ブタンジスルホンアミド、HNSO(CFSONHを製造した。
1対1の水およびアセトニトリル300mL中のI(CFI(77ミリモル)35g、Na33.5g(192ミリモル)、およびNaHCO16g(192ミリモル)の混合物を、N下で室温で4時間撹拌した。揮発性物質の除去後、残留物を水100mLに溶解し、−10℃に冷却した(塩氷浴)。過剰のClを0℃未満で溶液にゆっくり加え、次に、濾過して固体を生じさせ、これをCHClに再溶解した。CHCl溶液を水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。CHClの除去後、ClSO(CFSOCl22g(71.6%)が得られた。19F NMR:−104.7(2F)、−119.2(2F)。
【0066】
アセトニトリル300mL中のClSO(CFSOCl72.4g(0.181モル)および30g(0.516モル)の混合物を70℃で26時間撹拌し、濾過した。濾液を水中に注ぎ、下層を分離し、水で洗浄し、Pから蒸留して、FSO(CFSOF36.1g、bp90〜91℃/200mmHgを生じさせた。19F NMR:+46.2(2F)、−108.5(4F)、−120.5(4F)。
【0067】
FSO(CFSOF(27.3ミリモル)10gをアセトニトリル50mLに溶解した溶液を、室温でドライアイスコンデンサを通して過剰のNHガスと縮合させ、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌した。19F NMRは、反応が完全であることを示した。揮発性物質の除去後、残留物をエーテル80mLで希釈し、5%HCl、水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。エーテルの除去後、軟質白色固体9.5gが得られた。固体を真空下で昇華させた。19F NMR:−112.1(s,4F)、−124.4(s,4F)。
【0068】
実施例2
ガラスチューブにオクタフルオロ−1,4−ブタンジスルホンアミドを投入し、液体導電性について分析した。測定値は、表1に示されている。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例3
下記の手順を用いて膜を製造した。
ナフィオン(登録商標)(デュポンによって製造されたEW1100)0.4gおよびオクタフルオロ−1,4−ブタンジスルホンアミド0.16gを、室温でDMAc1.0gに溶解した。溶液をガラスプレート上に注ぎ、室温で40分間放置した。ガラスプレートを真空オーブンに移動させ、100℃で時間、170℃で1.2時間加熱した。フィルムを剥離し、120℃および異なった相対湿度で面内導電性について測定した。測定値は、表2に示されている。
【0071】
【表2】

【0072】
実施例4
ジフルオロ−フルオロスルホニル−アセチルフルオリド19.0g(0.105モル)を250mLのトルエンに溶解した溶液をグローブボックス内で製造した。28%アンモニア水50mL(0.73モル)の溶液を脱イオン水で250mLに希釈し、ブレンダ内に入れた。トルエン溶液を高速で動作しているブレンダ内に注いだ。アンモニウムフルオリドを水酸化ナトリウム8.5g(0.21モル)で中和した。水相をトルエンから分離し、蒸発させ、真空下で乾燥させた。残留物を2回合計500mLの酢酸エチルで洗浄した。抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、6.75gを生じさせた。固体を酢酸エチル50mLに再溶解し、濾過し、蒸発させて、下記構造で示されるようなジアミドアダクト、2,2−ジフルオロ−2−スルファモイル−アセトアミド5.61g(28%の粗収率)を生じさせた。19F NMR(DMSO−d6):−110.2(s)。MS(CI):m/z 174.999111(M+H,1.2の誤差)、計算値174.998895(C2H4N2O3F2S+H)。
【0073】
【化9】

【0074】
ジアミドアダクト5.6g(0.032モル)を収容する100mLのRBFに、オルト−フェニレンジアミン3.48g(0.032モル)およびn−ブタノール40mLを投入した。一晩窒素下で混合物を加熱して還流にした。コンデンサ内で形成した白色昇華物を捨てた。溶媒を蒸発させ、固体を真空下で乾燥させた。固体を、脱色炭を使用して水から再結晶させた。下記構造で示されるような2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロメタンスルホンアミドの白色結晶は、重量が3.05gであった(38%の収率)。融点248℃。H NMR(DMSO−d):7.35(m,2H)、7.70(m,2H)、8.4(bs,2H)、13.4(bs,1H)。13C NMR(DMSO−d):113.1(C−H)、120.5(C−H)、123.7(2 C−H)、135.0(C=C)、142.5(C=C)、141.3(t,JCF=28Hz,C−CF)、116.1(t,JCF=280Hz,C−CF)。19F NMR(DMSO−d):−103.78(s)。MS(EI):m/z 247.0226(M,0.3ppmの誤差)、計算値247.0227(CS)。
【0075】
【化10】

【0076】
実施例5
撹拌バー、セプタム(septum)、およびドライアイスコンデンサを備えたデュワー(Dewar)ジャケット付添加漏斗が装備された2首の200mL丸底フラスコを窒素でパージし、エーテル100mLを投入した。気体アンモニアを、14.6mL(0.582モル)が収集されるまで添加漏斗内に凝縮し、次に、ドライアイスで冷却されたエーテルに加えた。撹拌バー、ドライアイスコンデンサ、およびセプタムが装備された2首の500mL丸底フラスコを窒素でパージし、エーテル100mLを投入した。ジフルオロ−フルオロスルホニル−アセチルフルオリド(0.146モル)26.4gをエーテル100mLに溶解した溶液を、カニューレによってフラスコに移送し、氷浴を用いて0℃に冷却した。アンモニア溶液をカニューレによってゆっくり加え、1時間撹拌した。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。吸湿性固体を窒素下で濾過分離し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させ、グローブボックス内に窒素下で保管した。乾燥固体は、下記構造で示されるようなアンモニウムシクロイミデート(ammonium cycloimidate)とアンモニウムフルオリドとの混合物の91%の質量バランスについて、重量が33.3gであった。19F NMR(DMSO−d):−104.36(s)。
【0077】
【化11】

【0078】
グローブボックス内で、撹拌バーが装備された200mLの丸底フラスコに、混合塩(約0.05モルアンモニウムシクロイミデート)12.41gを投入した。フラスコに還流コンデンサおよびセプタムを装備し、次に、フードに移送し、窒素バブラに取付けた。オルト−フェニレンジアミン16.22g(0.15モル)およびn−ブタノール75mLをフラスコに加えた。雰囲気をパージしてアンモニアをフラスコから流しながら、スラリーをゆっくり加熱して還流にして、次に、一晩還流で放置した。溶媒を蒸発させ、残留物を、脱色炭を使用してアセトニトリルから再結晶させ、次に、水から再結晶させた。乾燥固体は、2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロメタンスルホンアミドの19%の収率について重量が2.33gであった。
【0079】
実施例6
2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロメタンスルホンアミドのペレットを、ハンドプレスを使用して製造し、赤外分光法サンプルを製造した。ペレットは、面通過導電性について測定されるような厚さ320マイクロメートルであった。取付具は、0.240オームの短絡インピーダンスを有した。サンプルを200℃に加熱し、次に25℃ずつ75℃に冷却して、表3に示された測定値を得た。
【0080】
【表3】

【0081】
実施例7
ジフルオロ−フルオロスルホニル−アセチルフルオリドを、シュレンク(Schlenk)チューブ内への真空移送によって蒸留し、重量測定して73.95g(0.41モル)を生じさせ、エーテル50mLに溶解した。グローブボックス内で、撹拌バー、ガス入口、およびセプタムが装備された1Lの2首丸底フラスコに、2%架橋されたポリ(4−ビニルピリジン)43.0g(0.41モル)、およびエーテル150mLを投入した。溶液をカニューレによってシュレンクチューブから丸底フラスコに移送し、0℃に冷却した。ヒドラジン6.56g(0.20モル)をエーテル300mLに溶解した溶液を、グローブボックス内で製造し、カニューレによって丸底フラスコにゆっくり加えた。混合物を1時間撹拌し、次に、室温に温めた。固体を濾過分離し、エーテルで洗浄した。濾液を濃縮し、100mLの丸底フラスコに移送し、蒸発させ、固体を真空下で乾燥させて、86%の粗収率について、下記構造で示されるようなN,N’−ビス(2,2−ジフルオロ−2−フルオロスルホニル−アセチル)ヒドラジン60.4gを生じさせた。
【0082】
【化12】

【0083】
撹拌バーおよび67.6%発煙硫酸15mL(0.25モル)をフラスコに加え、これにミクロ蒸留装置を装備した。92.5〜114℃および37トルで120〜150℃のポット温度で混合物から透明な液体を真空蒸留した。発煙液体を脱イオン水で洗浄して、残留発煙硫酸を除去し、重い液体を100mLの丸底フラスコ内に排出した。十分な五酸化リンを加えて、液体を乾燥させ、これを92.5℃および37トルで再蒸留して、62%の純収率について、下記構造で示されるような2,5−ビス(ジフルオロ−フルオロスルホニル−メチル)−[1,3,4]オキサジアゾール42.1gを生じさせた。19
NMR(CDCN):−99.93(d,J=5.3Hz,CF)、39.08(t,J=5.3Hz,SOF)。
【0084】
【化13】

【0085】
撹拌バー、セプタム、およびドライアイスコンデンサが装備された250mLの2首丸
底フラスコを窒素でパージし、次に、−78℃に冷却した。アンモニアをフラスコ内に凝縮して、約20mLを収集した。グローブボックス内で、125mLのフラスコに、2−5−ビス(ジフルオロ−フルオロスルホニル−メチル)−[1,3,4]オキサジアゾール3.342g(0.010モル)、アセトニトリル100mLを投入し、セプタムでシールした。溶液を窒素下でカニューレによって−33℃のアンモニアに加えた。溶液を一晩窒素下で撹拌した。混合物を、エーテル中の2M塩化水素55mL、および塩化カルシウム1.5g(0.014モル)で処理した。沈殿した固体を濾過分離し、アセトニトリルで洗浄した。溶媒を蒸発させ、残留物を真空下で乾燥させて、94%の粗収率について3.07gを生じさせた。混合物を、酢酸エチルおよびヘキサンを使用するシリカゲル上のクロマトグラフィにかけた。一般的なフラクションを蒸発させて、24%の収率について、下記構造で示されるようなビス(ジフルオロ−スルファモイル−メチル)−[1,3,4]オキサジアゾール0.80gを生じさせた。融点:171〜172℃。19F NMR(CDCN):−106.64(s,CF)。MS(CI):m/z 328.963722(M+H,0.1ppmの誤差)、計算値328.963751(C+H)。
【0086】
【化14】

【0087】
実施例8
ガラスチューブに、ビス(ジフルオロ−スルファモイル−メチル)−[1,3,4]オキサジアゾール1.098gを投入し、液体導電性について分析した。最初に、チューブを180℃に加熱して、サンプルを溶融した。次に、チューブを220℃に加熱し、10℃ずつ140℃に冷却して、表4に示された測定値を得た。サンプルは、第1のサイクルで0.041gを失った。
【0088】
第2のサイクルの場合、0.117gの水を冷却されたチューブに加えて、10重量%の水を含有するサンプルを生じさせた。チューブを170℃に加熱して、サンプルを再溶融し、次に、220℃に加熱し、10℃ずつ170℃に冷却して、表4に示された測定値を得た。サンプルは、第2のサイクルで0.119gを失い、これは、第2のサイクルの前に加えられた水の量に密接に対応した。
【0089】
【表4】

【0090】
実施例9
2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロメタンスルホンアミドのサンプルを、アセトニトリルから新たに再結晶させた。未乾燥の結晶を使用して、
ハンドプレスを使用してペレットを製造し、赤外分光法サンプルを製造した。取付具は、0.311オームの短絡インピーダンスを有した。第1のペレットは、1滴の脱イオン水で処理し、面通過導電性について測定されるような厚さ470マイクロメートルであった。第2のペレットは、面通過導電性について乾燥状態で測定されるような厚さ580マイクロメートルであった。サンプルを25℃ずつ加熱して、表5に示された測定値を得た。
【0091】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】1つの電池アセンブリの概略図である。
【図2】面内導電性測定のための4電極セルの下部取付具の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般構造:
【化1】

(式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3であり;
は、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項2】
m、n、およびpは、m+n+pが1から2に等しいという条件で、1から2である請求項1に記載のフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項3】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、テトラゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、およびチアジアゾールよりなる群から選択される請求項1に記載のフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項4】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびトリアジンよりなる群から選択される請求項3に記載のフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項5】
芳香族複素環式基がベンゾイミダゾールである請求項1に記載のフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項6】
場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基が、1から20の炭素原子を含有する請求項1に記載のフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項7】
、R、およびRは、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である請求項6に記載のフッ素化スルホンアミド小分子。
【請求項8】
フッ素化スルホンアミド基で置換された芳香族複素環式基を含んでなり、かつ下記一般構造:
【化2】

(式中、sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;
は、複素環式環の炭素原子がトリフルオロビニル基またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有する重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマー。
【請求項9】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、およびチアジアゾールよりなる群から選択される請求項8に記載の重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマー。
【請求項10】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびトリアジンよりなる群から選択される請求項9に記載の重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマー。
【請求項11】
芳香族複素環式基がベンゾイミダゾールである請求項10に記載の重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマー。
【請求項12】
場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基が、1から20の炭素原子を含有する請求項8に記載の重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマー。
【請求項13】
およびRは、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である請求項12に記載の重合性過フッ素化または部分フッ素化トリフルオロビニルモノマー。
【請求項14】
下記一般構造:
【化3】

(式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結
合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項15】
芳香族側鎖基がフェニルである請求項14に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項16】
ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロスチレン、およびポリクロロトリフルオロエチレンよりなる群から選択される請求項14に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項17】
qは0.1から1である請求項14に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項18】
qは0.6から1である請求項17に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項19】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、およびチアジアゾールよりなる群から選択される請求項14に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項20】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびトリアジンよりなる群から選択される請求項19に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項21】
芳香族複素環式基がベンゾイミダゾールである請求項20に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項22】
場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基が、1から20の炭素原子を含有する請求項14に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項23】
およびRは、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である請求項20に記載のフッ素化スルホンアミドビニルポリマー。
【請求項24】
(a)下記一般構造:
【化4】

(式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3であり;
は、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという
条件で、芳香族複素環式基であり;
、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有する小分子;
(b)下記一般構造:
【化5】

(式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するポリマー;
(c)下記一般構造:
N−SO−(CF−SO−NH (IV)
(式中、uは1から8に等しい)
を有する小分子
よりなる群から選択される、フッ素化スルホンアミド基、−CF−SO−NHを有する化合物を含んでなるポリマー電解質膜。
【請求項25】
化合物が小分子である請求項24に記載のポリマー電解質膜。
【請求項26】
化合物がポリマーである請求項24に記載のポリマー電解質膜。
【請求項27】
構造(I)中、m、n、およびpは、m+n+pが1から2に等しいという条件で、1から2である請求項25に記載のポリマー電解質膜。
【請求項28】
構造(I)中の芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、テトラゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、およびチアジアゾールよりなる群から選択される請求項25に記載のポリマー電解質膜。
【請求項29】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびトリアジンよりなる群から選択される請求項28に記載のポリマー電解質膜。
【請求項30】
芳香族複素環式基がベンゾイミダゾールである請求項29に記載のポリマー電解質膜。
【請求項31】
構造(I)中、構造(I)中の、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基が、1から20の炭素
原子を含有する請求項25に記載のポリマー電解質膜。
【請求項32】
、R、およびRは、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である請求項31に記載のポリマー電解質膜。
【請求項33】
構造(III)中の芳香族側鎖基がフェニルである請求項26に記載のポリマー電解質膜。
【請求項34】
構造(III)中のポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロスチレン、およびポリクロロトリフルオロエチレンよりなる群から選択される請求項26に記載のポリマー電解質膜。
【請求項35】
構造(III)中のqは0.1から1である請求項26に記載のポリマー電解質膜。
【請求項36】
qは0.6から1である請求項35に記載のポリマー電解質膜。
【請求項37】
構造(III)中の芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビスイミダゾール、ベンゾビスオキサゾール、ベンゾビスチアゾール、ビベンゾイミダゾール、ビベンゾオキサゾール、ビベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアジン、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、およびチアジアゾールよりなる群から選択される請求項26に記載のポリマー電解質膜。
【請求項38】
芳香族複素環式基が、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびトリアジンよりなる群から選択される請求項37に記載のポリマー電解質膜。
【請求項39】
芳香族複素環式基がベンゾイミダゾールである請求項38に記載のポリマー電解質膜。
【請求項40】
構造(III)中の、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基が、1から20の炭素原子を含有する請求項26に記載のポリマー電解質膜。
【請求項41】
およびRは、1から6の炭素原子を含有する直鎖状ペルフルオロアルキレン基である請求項40に記載のポリマー電解質膜。
【請求項42】
構造(IV)中、uは2から6に等しい請求項26に記載のポリマー電解質膜。
【請求項43】
支持材料をさらに含んでなる請求項24に記載のポリマー電解質膜。
【請求項44】
ポリマー電解質膜を含んでなる膜電極アセンブリであって、ポリマー電解質膜が、第1の表面と、第2の表面とを有し、かつ、
(a)下記一般構造:
【化6】

(式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3で
あり;
は、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有する小分子;
(b)下記一般構造:
【化7】

(式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するポリマー;
(c)下記一般構造:
N−SO−(CF−SO−NH (IV)
(式中、uは1から8に等しい)
を有する小分子
よりなる群から選択される、フッ素化スルホンアミド基、−CF−SO−NHを有する化合物を含んでなる膜電極アセンブリ。
【請求項45】
膜の第1または第2の表面上に存在する、電極触媒コーティング組成物から製造された少なくとも1つの電極をさらに含んでなる請求項44に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項46】
電極触媒組成物が、下記一般構造:
【化8】

(式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するポリマーを含んでなる請求項45に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項47】
電極触媒組成物が触媒をさらに含んでなる請求項46に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項48】
ポリマー電解質膜上に存在する少なくとも1つの電極に隣接した少なくとも1つのガス拡散バッキングをさらに含んでなる請求項45に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項49】
膜の第1または第2の表面上に存在する少なくとも1つのガス拡散電極をさらに含んでなり、ガス拡散電極が、電極触媒コーティング組成物から製造された電極を備えたガス拡散バッキングを含んでなる請求項44に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項50】
第1の表面と、第2の表面とを有するポリマー電解質膜を含んでなる電気化学電池であって、ポリマー電解質膜が、
(a)下記一般構造:
【化9】

(式中、m、n、およびpは、m+n+pが1から4に等しいという条件で、0から3であり;
は、複素環式環の炭素原子がフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;
、R、およびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有する小分子;
(b)下記一般構造:
【化10】

(式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するポリマー;
(c)下記一般構造:
N−SO−(CF−SO−NH (IV)
(式中、uは1から8に等しい)
を有する小分子
よりなる群から選択される、フッ素化スルホンアミド基、−CF−SO−NHを有する化合物を含んでなる電気化学電池。
【請求項51】
電気化学電池が燃料電池である請求項50に記載の電気化学電池。
【請求項52】
ポリマー電解質膜の第1および第2の表面上に存在するアノードおよびカソードをさらに含んでなる請求項51に記載の燃料電池。
【請求項53】
アノードおよびカソードの各々に隣接したガス拡散バッキングをさらに含んでなる請求項52に記載の燃料電池。
【請求項54】
ポリマー電解質膜の第1および第2の表面上に存在するアノードを備えたガス拡散バッキングおよびカソードを備えたガス拡散バッキングを含んでなるガス拡散電極をさらに含んでなり、アノードおよびカソードがポリマー電解質膜に隣接している請求項51に記載の燃料電池。
【請求項55】
燃料をアノードに送出するための手段と、酸素をカソードに送出するための手段と、アノードおよびカソードを外部電気負荷に接続するための手段と、アノードと接触する液体または気体状態の燃料と、カソードと接触する酸素とをさらに含んでなる請求項51に記載の燃料電池。
【請求項56】
燃料が水素である請求項55に記載の燃料電池。
【請求項57】
燃料がアルコールである請求項55に記載の燃料電池。
【請求項58】
燃料がメタノールである請求項57に記載の燃料電池。
【請求項59】
下記一般構造:
【化11】

(式中、ポリマーは、場合により芳香族側鎖基を含有するポリペルフルオロカーボンまたはポリ部分フッ素化カーボンビニルポリマー主鎖であり;qは、フッ素化スルホンアミド側鎖基のモル分率であり、0.01から1から選択され;sおよびtは、複素環式環に結合されたフッ素化スルホンアミド基の数であり、s+tが1から2に等しいという条件で、0から2に等しく;Aは、複素環式環の炭素原子がポリマー主鎖またはフッ素化スルホンアミド基で完全に置換されるという条件で、芳香族複素環式基であり;RおよびRは、場合により酸素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を含有する直鎖状または分枝状ペルフルオロアルキレン基である)
を有するポリマーを含んでなる電極触媒組成物。
【請求項60】
触媒をさらに含んでなる請求項59に記載の電極触媒組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−528843(P2007−528843A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517726(P2006−517726)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020703
【国際公開番号】WO2005/001979
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】