説明

フッ素化ハイブリッド組成物の調製方法

反応性希釈剤、および任意選択的に非反応性オリゴマー添加物、架橋剤、または無機粒子とともに、フッ素およびケイ素含有ポリマーを含むコーティング組成物であって、硬化すると、接着性、機械的特性、耐引っ掻き性、低表面エネルギー、撥性、および透明性の良好なバランスをコーティングに提供する組成物の調製方法が記載される。本コーティングは、特に光学用途において、トップコートとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用途向けに調合されたフルオロポリマーコーティング、およびそれらを調製する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
フルオロポリマーは多くの用途におけるコーティングの成分として使用されてきた。しかし、それらは、機械的強度、耐引っ掻き性、および接着性などの特性の点で制限され得る。塗布後に向上した性能特性、特に光学用途において、トップコートとして有用であるときに接着性、機械的特性、耐引っ掻き性、低い表面エネルギー、撥性、および透明性の良好なバランスを特に提供するコーティング調合物が継続して必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
a)好適な溶媒中のコーティング組成物を提供する工程であって、前記コーティング組成物が、
(i)約600〜約100,000の重量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素含有ポリマーを含む約0〜約95重量%の成分(I);
(ii)約600〜約100,000の重量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素およびケイ素含有ポリマーを含む約0〜約95重量%の成分(II);
(iii)約600未満の重量平均分子量を有し、そして少なくとも1つの官能基を有する反応性希釈剤を含む約5〜約99.9重量%の成分(III);
(iv)約10,000未満の数平均分子量を有するフッ素含有の非官能性オリゴマーまたはポリマーを含む約0〜約20重量%の成分(IV);ならびに
(v)無機粒子を含む約0〜約80重量%の成分(V)
を含み、
ここで、コーティング組成物の約0.1〜約95重量%が成分(I)および成分(II)の1つまたは両方であり、コーティング組成物の約5〜約99.9重量%が成分(III)であり、コーティング組成物の残りが成分(I)〜(V)の1つまたは両方であり、ここで、重量百分率はすべて成分(I)〜(V)の総重量を基準としており、そしてただし両方が存在するとき成分(I)は成分(IV)と同一ではない工程と;
b)コーティング組成物を基材に塗布する工程と;
c)任意選択的に、溶媒をコーティング組成物から少なくとも部分的に除去する工程と;
d)コーティング組成物を硬化させる工程と
を含む、基材上のコーティングの製造方法が本明細書において記載される。
【発明を実施するための形態】
【0004】
組成物
反応性希釈剤、および任意選択的に非反応性オリゴマーフルオロ添加物、架橋剤、または無機粒子とともに、フルオロポリマーまたはフルオロおよびケイ素ポリマーを含む組成物であって、特に光学用途において、トップコートとして有用な接着性、機械的特性、耐引っ掻き性、低い表面エネルギー、撥性、および透明性の良好なバランスを、硬化すると、コーティングに提供する組成物、この組成物を含むコーティング付きの物品、およびコーティングの方法が本明細書において開示される。
【0005】
a)約600〜約100,000の重量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素含有ポリマーを含む約0〜約95重量%の成分(I);
b)約600〜約100,000の重量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素およびケイ素含有ポリマーを含む約0〜約95重量%の成分(II);
c)約600未満の重量平均分子量を有し、そして少なくとも1つの官能基を有する反応性希釈剤を含む約5〜約99.9重量%の成分(III);
d)約10,000未満の数平均分子量を有するフッ素含有の非官能性オリゴマーまたはポリマーを含む約0〜約20重量%の成分(IV);ならびに
e)無機粒子を含む約0〜約80重量%の成分(V)
を含む組成物であって、
組成物の約0.1〜約95重量%が成分(I)および成分(II)の1つまたは両方であり、組成物の約5〜約99.9重量%が成分(III)であり、組成物の残りが成分(IV)および(V)の1つまたは両方であり、ここで、重量百分率はすべて成分(I)〜(V)の総重量を基準としており、そしてただし両方が存在するとき成分(I)は成分(IV)と同一ではない組成物が本明細書において記載される。
【0006】
重量百分率は、未硬化組成物中の成分(I)〜(V)の総重量を基準としている。各個々の組成が当該成分について定義される通りであるという条件で、各成分は、2つ以上の個々の組成を含んでもよい。当該成分の重量百分率はそれ故、当該成分中の個々の組成の合計であろう。
【0007】
「官能基」とは、重合性の多官能反応性基およびまた重合性ではない一官能反応性基を意味する。「重合性基」とは、マクロマー連結をもたらす2つ以上の付加共有結合を形成する能力を有する反応性多官能基を意味する。重合性基としては具体的には、フリーラジカル重合によって重合することができる基、およびカチオン重合、アニオン重合、配位重合、開環重合、付加重合またヘテロリティック重合によって重合することができる基が挙げられる。好適な官能基としては、ヒドロカルビル基などのエチレン系またはアセチレン系不飽和基、イソシアネート、エポキシド、オキシラン、環状アセタールなどのしかしそれらに限定されない環状エーテル、スルフヒドリル、スクシンイミド、マレインイミド、アミン、イミン、アミド、イミド、酸無水物、シアノ基、カルボン酸、ヒドロキシル基、スルホン酸、シランおよびホスフェート基が挙げられるが、それらに限定されない。エチレン系不飽和基としては、ビニルエーテル、N−ビニルアミドなどのビニル基、アリル基、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、および不飽和トリカルボン酸、ならびに相当する不飽和酸エステルが挙げられる。不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸またはシトラコン酸が挙げられる。不飽和トリカルボンとしては、アコニット酸が挙げられる。重合性基はまた、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、および類似ビニルおよびアリル化合物などの、このような物質の誘導体であってもよい。官能性シラン基としては、不飽和ビニル、アリル、アクリレート、メタクリレートシラン基、アルコキシ、アシルオキシ、フェノキシ、ハロゲン、アミン、アミド、ウレア、イミダゾール、カルバメート、ケトキシミンおよびオキサゾリジノンシラン基が挙げられるが、それらに限定されない。反応性基形成化合物は、マクロマーへの簡単な組み込みを可能にするために、安定な活性化形態で好ましくは入手可能であろう。このような物質の例は、(メタ)アクリロイルクロリド、アクリル酸無水物、およびアリルグリシジルエーテルである。重合性基は、マクロマーの1つ以上の末端に好ましくは置かれる。別の実施形態においては、重合性基はマクロマー内部に置くことができる。
【0008】
上記の組成物はコーティングとして使用することができる。ある実施形態においてはコーティングは低い表面エネルギー、それ故高い撥性、汚れ抵抗性、反射防止特性、耐引っ掻き性、および/または良好な透明性を有することができ、それによってコーティングが光学用途などの多くの用途向けに有用であることを可能にする。本明細書において記載されるコーティングは、0.5nm〜100ミクロン、1nm〜15ミクロン、または1nm〜1ミクロンの厚さを有することができる。
【0009】
基材上のコーティングもまた本明細書において記載される。基材は、陰極線管ディスプレイ(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、および液晶ディスプレイ(LCD)などのしかしそれらに限定されない、光学ディスプレイ基材、ディスプレイ表面またはパネル、光学レンズ、ウィンドウ、光学偏光子、光学フィルター、光沢印刷物および写真、透明ポリマーフィルムなどであることができる。基材は、透明かアンチグレアかのどちらかであってもよく、アセチル化セルロース(たとえば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ガラス、ビニル、ナイロンなどが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい基材は、TAC、PETおよびPMMAである。基材は、アクリレートハードコートなどのしかしそれに限定されない、基材と本コーティングとの間に塗布されたハードコートなどの1つ以上の追加のコーティングを任意選択的に有する。
【0010】
成分(I)
成分(I)は、約600〜約100,000の重量平均分子量を有する、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素含有ポリマーを含む。フルオロポリマーとしても知られる、「フッ素含有ポリマー」とは、ハロゲンおよび水素原子の総数の少なくとも10%がフッ素原子であるポリマーを意味する。本出願の目的のためには、フッ素含有ポリマーは、フルオロオレフィン(たとえば、フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロピレン)、(メタ)アクリル酸の部分もしくは完全フッ素化アルキルエステル誘導体、ならびに部分もしくは完全フッ素化ビニルエーテルを含むフッ素含有ビニルモノマーから得られる。この観点から、フッ素含有ビニルモノマーは、生じた、任意選択的に架橋性の、ポリマーにおいて、約10重量%〜約70重量%、または約30重量%から約50重量%までのフッ素含有率%を与えるために一般に使用される。
【0011】
一実施形態においては、成分(I)はフルオロエラストマーである。フルオロエラストマーは、2つ以上のタイプのモノマーから生じる繰り返し単位を含み、架橋に3次元網状構造を形成させる硬化部位を任意選択的に有する。第1モノマータイプは、結晶化する傾向を有する直鎖フルオロエラストマー鎖セグメントを生じさせる。嵩高い基を有する第2モノマータイプは、このような結晶化傾向を打破し、そして実質的に非晶質のエラストマーを生成するための間隔でフルオロエラストマー鎖中へ組み込まれる。直鎖セグメントのために有用なモノマーは、嵩高い置換基なしのものであり、フッ化ビニリデン(VDF)、CH=CF;テトラフルオロエチレン(TFE)、CF=CF;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、CF=CFCl;およびエチレン(E)、CH=CHが挙げられるが、それらに限定されない。結晶性を乱すために有用な嵩高い基を有するモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF=CFCF;1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、CHF=CFCF;2−ヒドロペンタフルオロプロピレン、CF=CHCF;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(たとえば、パーフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、CF=CFOCF);およびプロピレン(P)、CH=CHCHが挙げられる。フルオロエラストマーは、フルオロエラストマーハンドブック:信頼のおけるユーザーのガイドおよびデータブック(Fluoroelastomers Handbook:The Definitive User’s Guide and Databook),William Andrew Publishing,ISBN 0−8155−1517−0(2006)にA.Mooreによって大まかに記載されている。
【0012】
米国特許第4,694,045号明細書において、Mooreによって開示されているものなどの、エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)および臭素含有硬化部位モノマーを含むフルオロエラストマーが本発明の組成物において有用である。DuPont Performance Elastomers,DE,USAから入手可能な、Viton(登録商標)GFシリーズ・フルオロエラストマー、たとえばViton(登録商標)GF−200Sもまた本発明において有用である。
【0013】
別の実施形態においては成分(I)は、Sartomer Company,Inc.,Exton,PA,USAから入手可能な、E10−DAパーフルオロポリエーテルジアクリレートオリゴマーなどの、エーテル結合を含有する、任意選択的に、アクリレートなどの反応性官能基を有する、過フッ素化ポリマーである。
【0014】
別の実施形態においては成分(I)は少なくとも1つの反応性官能基を含有する。
【0015】
一実施形態においては成分(I)は、本組成物中の成分(I)〜(V)の総重量を基準として約0%〜約95%の重量%で存在する。別の実施形態においては成分(I)は、約0.1%、または約0.5%から約1%、または約2%までの重量%で存在する。
【0016】
別の実施形態においては成分(I)は、約10,000〜約70,000の重量平均分子量を有する。
【0017】
成分(II)
成分(II)は、上に定義されたように、約600〜約100,000の重量平均分子量を有する、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素およびケイ素含有ポリマーを含む。「フッ素およびケイ素含有ポリマー」とは、さらに1つ以上のケイ素官能基またはケイ素非反応性基を含有する、上に定義されたようなフッ素含有ポリマー、または低分子量フッ素含有置換基/セグメントを有するポリマー主鎖中にケイ素を含有するポリマーを意味する。
【0018】
一実施形態においては、成分(II)は式(II)
【化1】

(式中、Aは反応性官能基であり、R〜Rはそれぞれ独立して、エーテル結合を任意選択的に含有する、C〜Cアルキル基であり、ここで、少なくとも1つのRは少なくとも部分的にフッ素化されており、x、yおよびzは、ポリマー中の繰り返し単位の数を示す整数であり、ここで、x、y、およびzの少なくとも1つは0より大きい)
で表される。典型的にはAはヒドロキシル、シラン、アミン、不飽和モノカルボン酸、またはエチレン系不飽和基である。より典型的にはAはヒドロキシルまたは−CH=CHである。
【0019】
一実施形態においては成分(II)は、本組成物中の成分(I)〜(V)の総重量を基準として約0〜約95%の重量%で存在する。別の実施形態においては、成分(II)は、約0.1%、または約4%、または約10%、または約25%から約30%、または約65%、または約75%までの重量%で存在する。
【0020】
一実施形態においては成分(II)は、約600〜約3,000の重量平均分子量を有する。
【0021】
成分(III)
成分(III)は、約600未満の重量平均分子量を有し、そして少なくとも1つの官能基を有する反応性希釈剤を含む。
【0022】
「反応性希釈剤」とは、上に定義されたように、少なくとも1つの重合性の多官能反応性基しかし重合性ではない一官能反応性基を有するオリゴマーを意味する。好適な反応剤希釈剤としては、フッ素含有、ケイ素含有、フッ素およびケイ素含有オリゴマーが挙げられるが、それらに限定されない。反応性希釈媒体または反応性溶媒とも呼ばれる、反応性希釈剤は典型的には、約200〜約600g/モル未満の分子量の液体化合物であり、そしてDIN 55945:1996−09(Deutsches Institut fuer Normung,Paints and Varnishes)によるより長い呼称の代わりの簡略化表現を表し、DIN 55945は、コーティング組成物において最初は溶媒として働き、そしてフィルム形成の過程で、バインダーから独立して自己架橋による化学反応を受けるかまたは反応性基によってバインダー中へ共有結合で組み込まれてバインダーの一部になる希釈剤を記載している。それらは典型的には、少なくとも1つの二重結合、特に少なくとも2つの二重結合を含有するオレフィン系不飽和モノマーである。例としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンメチルエーテルジアクリレート、ヘキサンジオールエトキシル化ジアクリレート、ヘキサンジオールプロポキシル化ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、および加水分解反応性のアルコキシ−、カルボキシ−、アミノ−、アミノキシ− ハロゲノ−置換シランなどのシラン官能反応性希釈剤が挙げられるが、それらに限定されない。反応性希釈剤は、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,N.Y.,1998,page 491,「反応性希釈剤(Reactive diluents)」に大まかに記載されている。
【0023】
一実施形態においては成分(III)は、本組成物中の成分(I)〜(V)の総重量を基準として約5%〜約99.9%の重量%で存在する。別の実施形態においては、成分(III)は、約15%、または約30%から約80%、または約95%までの重量%で存在する。
【0024】
一実施形態においては成分(III)は、約200〜約600未満の重量平均分子量で存在する。
【0025】
一実施形態においては、成分(III)は、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレートおよび2,2,3,3−トリフルオロ−1,4−ブタンジオールジアクリレートなどの、約600未満の重量平均分子量を有し、そして1つ以上のアクリレート基を含むがそれに限定されない、少なくとも1つの官能基を有するフッ素含有反応性希釈剤を含む、成分(IIIa)を含む。
【0026】
別の実施形態においては、成分(III)は、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、およびメチルトリス(ジメチルアミノ)シランなどの、約600未満の重量平均分子量を有し、そしてアルキルまたはアルキルオキシ基で置換されたシランを含むがそれに限定されない、少なくとも1つの官能基を有するケイ素含有反応性希釈剤を含む、成分(IIIb)を含む。
【0027】
別の実施形態においては、成分(III)は、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランおよび1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランなどの、約600未満の重量平均分子量を有し、そしてフッ素化アルキルまたはアルキルオキシ基で置換されたシランを含むがそれに限定されない、少なくとも1つの官能基を有するフッ素およびケイ素含有反応性希釈剤を含む、成分(IIIc)を含む。
【0028】
成分(IV)
成分(IV)は、約10,000未満の数平均分子量を有するフッ素含有の非官能性オリゴマーまたはポリマーを含む。「フッ素含有の非官能性オリゴマーまたはポリマー」とは、約10,000未満の重量平均分子量に限定される、そして官能基をまったく持たないフッ素含有オリゴマーまたはポリマーを意味する。フッ素含有オリゴマーは、フルオロオレフィン(たとえば、フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロピレン)、(メタ)アクリル酸の部分もしくは完全フッ素化アルキルエステル誘導体、および部分もしくは完全フッ素化ビニルエーテルを含むフッ素含有ビニルモノマーから得られる。フッ素含有ビニルモノマーは、生じた、任意選択的に架橋性のポリマー中に、約10重量%、または約30重量%、または約50重量%から約50重量%、または約70重量%、または約90重量%までのフッ素含有率を与えるために一般に使用される。好適なオリゴマーまたはポリマーの一実施形態は、パーフルオロポリアルキルエーテルとも呼ばれる、パーフルオロポリエーテルである。別の実施形態は、化学構造:F−(CF(CF)−CF−O)−CFCF(式中、nは約10〜約60である)のオリゴマーである。好適な一例は、Krytox(登録商標)フッ素化オイル(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手可能な)のクラスである。
【0029】
一実施形態においては、成分(IV)の数平均分子量は約3,000〜約8,000である。
【0030】
一実施形態においては成分(IV)は、本組成物中の成分(I)〜(V)の総重量を基準として約0〜約20%の重量%で存在する。別の実施形態においては成分(IV)は約0.1%または約5%から約13%、または約20%までの重量%で存在する。
【0031】
成分(V)
成分(V)は無機粒子を含む。
【0032】
一実施形態においては成分(V)は、本組成物中の成分(I)〜(V)の総重量を基準として約0〜約80%の重量%で存在する。別の実施形態においては、成分(V)は、約0.1%、または約5%、または約10%、または約20%から約30%、または約40%、または約80%までの重量%で存在する。
【0033】
無機粒子は典型的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、混合酸化チタン/スズ/ジルコニウム、ならびにチタン、アルミニウム、アンチモン、ジルコニウム、イリジウム、スス、ニオブ、タンタル、および亜鉛から選択される1つ以上のカチオンの二成分、三成分、四成分および高次複合酸化物などのしかしそれらに限定されない、無機酸化物である。2タイプ以上の粒子は組み合わせて使用されてもよい。その他の場合においては、一酸化物が一粒子において別の酸化物を封入している、粒子複合体(たとえば、単一もしくは多重コア/シェル構造体)を使用することができる。粒子はまた、表面官能化することができる。
【0034】
粒子は、球形および長方形を含む、あらゆる形状であることができ、典型的にはサイズが比較的一様であり、実質的に非凝集のままである。それらは、中空、多孔質、または中実であることができる。粒子の直径は約100ミクロン未満、好ましくは70ミクロン未満である。
【0035】
一実施形態においては、粒子は、帯電防止特性を有するコーティングを生成するために、導電性または半導性である。この実施形態において使用することができる典型的な金属含有粒子としては、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、Sb、Sb、In、SnO、酸化アンチモン亜鉛、酸化亜鉛、酸化アルミニウム−亜鉛、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウムおよび酸化鉄が挙げられる。
【0036】
コーティング方法
本発明の別の態様は、上記の組成物を含むコーティングである。
【0037】
a)好適な溶媒中のコーティング組成物を提供する工程であって、前記コーティング組成物が、
(i)約600〜約100,000の重量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素含有ポリマーを含む約0〜約95重量%の成分(I);
(ii)約600〜約100,000の重量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素およびケイ素含有ポリマーを含む約0〜約95重量%の成分(II);
(iii)約600未満の重量平均分子量を有し、そして少なくとも1つの官能基を有する反応性希釈剤を含む約5〜約99.9重量%の成分(III);
(iv)約10,000未満の数平均分子量を有するフッ素含有の非官能性オリゴマーまたはポリマーを含む約0〜約20重量%の成分(IV);ならびに
(v)無機粒子を含む約0〜約80重量%の成分(V)
を含み、
ここで、コーティング組成物の約0.1〜約95重量%が成分(I)および成分(II)の1つまたは両方であり、コーティング組成物の約5〜約99.9重量%が成分(III)であり、コーティング組成物の残りが成分(IV)および(V)の1つまたは両方であり、ここで、重量百分率はすべて成分I〜Vの総重量を基準としており、そしてただし両方が存在するとき成分(I)は成分(IV)と同一ではない工程と;
b)コーティング組成物を基材に塗布する工程と;
c)任意選択的に、溶媒をコーティング組成物から少なくとも部分的に除去する工程と;
d)コーティング組成物を硬化させる工程と
を含む、基材上のコーティングの製造方法が本明細書において記載される。
【0038】
コーティングは、当該技術分野において公知のあらゆる方法によって工程(b)で製造することができる。好適な一方法は、単一コーティング工程で組成物を基材上にコートして液体混合物コーティングを基材上に形成することを含む。組成物は、コートする前に好適な溶媒と任意選択的に組み合わせることができる。組成物を単一コーティング工程で基材上へ塗布するために有用なコーティング技法は、米国特許出願公開第2005/187333号明細書に記載されているようなマイクログラビアコーティングなどの、液体の薄い、一様な層を基材上に形成することができるものである。
【0039】
好適な溶媒としては、組成物の硬化特性に悪影響を及ぼさないかまたは基材を攻撃しないものが挙げられ、単一溶媒または好適な溶媒の混合物であることができる。さらに、溶媒は、未硬化組成物への溶媒の添加が組成物中に存在するあらゆる粒子の凝集をもたらさないように選択される。さらに、溶媒は、それが適切な乾燥速度を有するように選択されるべきである。それはまた、得られるコーティング中にピンホールまたはクレーターなどの欠陥を引き起こし得る、余りにも速く乾燥するべきではない。有用な溶媒としては、極性非プロトン性有機溶媒が挙げられるがそれらに限定されず、代表的な例としては、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどの脂肪族および脂環式ケトン;酢酸プロピルなどのエステル;ジ−n−ブチルエーテルなどのエーテル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい溶媒としては、酢酸プロピルおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。別の実施形態においては、溶媒は、高レベルのフッ素を含有するポリマーのために特に有用である、フッ素を含有することができる。
【0040】
本方法は、基材上の液体混合物コーティングから溶媒を少なくとも部分的に除去して基材上にコーティングを形成する工程(c)を含むことができる。溶媒は、公知の方法、例えば、熱、真空、および/または基材上のコートされた液体分散系のすぐ近くへの不活性ガスの流れによって除去することができる。熱が溶媒を除去するために使用される場合、それは、特に湿気硬化性のシラン基については、任意選択的に高湿度の条件下に、周囲より高い、そして約100℃未満、または約70℃未満の温度で、約3時間以下の、または2〜3時間コートされた基材を加熱することによって典型的には行われる。不活性ガスの流れが使用される場合、それは、コートされた基材の一面に約10分以下、または約1〜約3分の時間窒素ガスを流すことによって典型的には行われる。
【0041】
コーティングプロセスはまた、基材上の液体混合物コーティングを硬化させる工程(d)を含むことができる。「硬化」とは、コーティングの架橋性および/または反応性成分が実質的に架橋しておよび/または反応して「硬化した」コーティングを形成することを意味する。用語「実質的に」とは、さらなる硬化が時間とともに起こってもよいが、硬化の少なくとも半分が起こったことを意味する。
【0042】
未硬化コーティングはフリーラジカル機構によって好ましくは硬化させられる。フリーラジカルは、任意選択的に未硬化組成物中に含まれる、有機過酸化物の熱分解によって、または紫外(UV)放射線、ガンマ放射線、もしくは電子ビームなどの放射線によってなどの公知の方法によって発生させられてもよい。放射線が使用される場合、コートされた基材は、任意選択的に高められた温度で、約1〜約10分間、放射線に典型的には露光されるであろう。未硬化コーティングはまた、ハイドロシランを含むハイドロシリル化または、容易に縮合して安定なシロキサン結合を形成する、反応性シラノールへの加水分解を受けるシラン含有基の加水分解縮合などのシリコーン化学によって硬化させることができよう。ハイドロシリル化は、フリーラジカル開始剤を使用してか、特に、白金またはロジウムなどのVIII族金属からの、遷移金属を含む、様々なその他の触媒を使用してかのどちらかで成し遂げることができる。触媒は、加水分解性シランの加水分解および縮合を触媒するために典型的には添加される。典型的な触媒としては、中および強酸または塩基、アミン、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、二酸化ジブチルスズなどのスズ含有化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート(たとえば、DuPont Tyzor(登録商標)有機チタネート)、アルミニウムチタネート、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレートなどのチタネートが挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
物品
本発明の別の態様は、本組成物の反応生成物でコートされた基材、または、上記のような、乾燥したおよび硬化したコーティング、ならびに前記基材を含む物品である。
【0044】
本明細書において記載されるコーティングのために好適な基材は、ディスプレイ表面、ディスプレイパネル、光学レンズ、ウィンドウ、光学偏光子、光学フィルター;陰極線管ディスプレイ(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、および液晶ディスプレイ(LCD)などのしかしそれらに限定されない光学ディスプレイ基材;光沢印刷物および写真、透明ポリマーフィルムなどの物品で使用される。基材は、透明、汚れ防止またはアンチグレアであってもよく、アセチル化セルロース(たとえば、トリアセチルセルロース(TAC))、ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ガラス、ビニル、またはナイロンなどが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい基材は、TAC、PET、PMMA、およびガラスである。基材は、基材と本コーティングとの間か、本コーティングのトップ上かのどちらかに塗布された、本明細書において記載されるコーティングと同じものまたはそれとは異なるものであってもよい、その他のコーティングを任意選択的に有することができる。一実施形態においては物品は、アクリレートハードコートなどのしかしそれに限定されない、基材と本コーティングとの間に塗布された、そしてこのハードコートまたは本コーティングのトップ上に塗布された帯電防止層を任意選択的に含むハードコートを有する。
【0045】
本コーティングは、界面活性剤、帯電防止剤(有機または無機の)、均展剤、光増感剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、懸濁化剤などのその他の添加剤を任意選択的に含有することができる。
【実施例】
【0046】
本発明は、以下の実施例においてさらに明確にされる。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のみの目的で示されることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に合わせるために本発明の様々な変更および修正を行うことができる。
【0047】
省略形の意味は次の通りである:「cm」はセンチメートルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「sec」は秒を意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「g」はグラムを意味し、「min」は分を意味し、「deg」は度を意味し、「h」は時間を意味し、「MW」は分子量を意味し、「wt%」は重量パーセント(百分率)を意味する。
【0048】
正反射率(RVISおよびRMIN)の測定
本発明の反射防止コーティングでコートされた基材フィルムの3.7cm×7.5cm片を、背面反射を防ぐために、捕捉気泡を排除するやり方で、黒色PVC絶縁用テープ(日東電工、PVCプラスチックテープ#21)のストリップをフィルムの非コート面に接着することによって測定の準備する。このフィルムを次に、分光計の光路に垂直に保持する。垂直入射の約2度内にある反射光を捕捉し、赤外拡張範囲分光計(Filmetrics、モデルF50)に導く。分光計を、その背面が粗くされ、そして黒くされたBK7ガラスの低反射率標準を使って400nm〜1700nm間で較正する。正反射性反射は、約2度の受光角での垂直入射で測定する。反射スペクトルを約1nmの間隔で400nm〜1700nmの範囲で記録する。低ノイズ・スペクトルは、機器がフルレンジにある
かまたは約6%反射で飽和するように長い検出器積分時間を用いることによって得られる。さらなるノイズ減少は、スペクトルの3つ以上の別個の測定値を平均することによって達成される。記録されたスペクトルから報告される反射率は、x、y、および正反射性反射率(RVIS)として報告されるYの色計算の結果である。色座標計算は、タイプC光源を使って10°標準観測者について行う。
【0049】
曇り度
曇り度は、BYK−Gardner USA,Columbia,MDから入手可能な「BYK Gardner Haze−Guard Plus」を用いて、ASTM D 1003、「透明プラスチックの曇り度および視感透過率についての標準試験方法(Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics)」の方法に従って測定する。
【0050】
表面擦過傷
本発明の反射防止コーティングでコートされた基材フィルムの3.7cm×7.5cm片を、コートされた面を上にして、フィルムの端を接着テープでプレートに固定することによって平坦ガラスプレートの表面上に取り付ける。Liberon銘柄#0000スチールウールを1cm×1cmより僅かに大きいパッチへカットする。1cm×1cmにカットしたソフト(柔軟)発泡体パッドをスチールウールパッドの一面に置き、スリップフィットDelrin(登録商標)スリーブ中に保持された200gの真ちゅう重りを発泡体パッドのトップ上に置く。このスリーブを、ステッピングモーター駆動移動ステージモデルMB2509P5J−S3 CO18762によって移動させる。VELMEX VXMステッピングモーター制御器がこのステッピングモーターを駆動する。スチールウールおよび重りアセンブリをフィルム表面上に置き、5cm/秒の速度で3cmの距離にわたって10サイクル(20パス)の間、フィルム表面の一面に前後に擦りつける。
【0051】
表面擦過傷の定量化
本方法は、擦過フィルムを画像形成する工程と、この画像のソフトウェア操作によって擦過フィルム上の引っ掻き傷のついたパーセント面積を定量化する工程とを含む。
【0052】
すべての可能性をカバーする単一画像解析手順はまったく存在しない。当業者は、行われる画像解析が非常に特異的であることを理解するであろう。一般的ガイダンスは、不特定パラメーターが、過度の実験なしに識別する当業者の能力内にあるという理解のもとで本明細書においては行われる。
【0053】
この解析は、サンプルの「軸上」照明および「軸外」照明の両方が存在し、そして画像が垂直入射から約7度での反射光において撮られることを仮定する。引っ掻き傷は画像において垂直配向にあることがまた仮定される。適切な画像コントラストは、専門家または当業者によって過度の実験なしに確定することができる。画像コントラストは、照度、カメラ白および暗基準設定、基材の屈折率、低屈折率組成物の屈折率および厚さによって制御される。画像のコントラストを上げるためにまた、黒絶縁用テープの一片が基材の背面に接着される。これは、背面反射を妨げる効果を有する。
【0054】
フィルム上の引っ掻き傷のついたエリアを解析するために使用される画像は、コンピューターにおけるフレームグラバーカードに連結されたビデオカメラから得られる。この画像は、グレースケール640×480ピクセル画像である。カメラでの光学は、画像形成領域の幅が7.3mmであるように擦過エリアを拡大する(それは、擦過される1cm幅領域のほとんどである)。
【0055】
Reindeer Graphic’s Image Processing Toolkit plug−ins for PhotoShopを備えたAdobe PhotoShop V7を用いて以下に記載されるように画像を処理する。
【0056】
第一に、画像をグレースケール画像に変換する(それが既にそうでない場合)。引っ掻き傷の方向における25ピクセルのモーションブラーが、引っ掻き傷を強調し、そしてノイズおよびフィルムへの外部からの損傷の重要性を減じるために行われる。このブラーは、画像をきれいにするために3つのことを行う。第一に、擦過傷方向以外の方向でのフィルムへの損傷は、バックグランドで平均化することによって排除される。第二に、個々の白ドットは、バックグランドで平均化することによって取り除かれる。第三に、引っ掻き傷におけるあらゆる小さいギャップも、インライン引っ掻き傷間で平均化することによって埋められる。
【0057】
画像におけるピクセル強度の自動コントラスト調整の準備において、左上角に近い4つのピクセルが選択される。これらのピクセルは、200(255の中から)の強度で満たされる。このステップは、万一画像中に明るい引っ掻き傷がまったく存在しない場合に、非擦過材料の暗いバックグランド以外である、あるマークが画像中に存在することを確実にする。これは、自動コントラスト調整を制限する効果を有する。用いられる自動コントラスト調整は、「ヒストグラム限界」:最大−最小」と呼ばれ、それは、ヒストグラムが8−ビットのグレースケール画像において利用可能な0〜255レベルを満たすように画像のコントラストを変える。
【0058】
カスタムフィルターは次に、派生物を水平方向に撮り、そして次に元の画像を派生画像に加減する画像に適用される。これは、垂直引っ掻き傷の端を強調する効果を有する。
【0059】
2レベル閾値が128グレーレベルで適用される。128以上のレベルでのピクセルは、白(255)にセットされ、128の輝度より下のピクセルは黒(0)にセットされる。画像は次に、黒ピクセルを白にし、白ピクセルを黒にして反転される。これは、黒エリアの全球測定の応用である、最終ステップにおいて用いられる全球測定特性を受け入れることである。この結果は、画像中の黒ピクセルのパーセントの観点から与えられる。これは、方法1によって引っ掻き傷をつけられる全体面積のパーセント(すなわち、引っ掻き傷のついた%)である。全体手順は、1画像当たり2、3秒を要する。多くの擦過サンプルを、従来法において必要とされた人間オペレーターとは無関係なこの方法によって迅速におよび再現性よく評価することができる。
【0060】
表面張力
サンプルの表面張力は、液滴法を用いて表面上で特定液体の接触角を測定することによって分析した。
【0061】
実施例1
(1)成分(II):0.2gのCH=CHSi(CHO[Si(CH)(CHCHCF)O](CHSiCH=CH(Gelest,Inc.,Morrisville,PA,USAから入手可能な、ポリヒドロメチルシロキサン架橋剤とともに、ビニルテレケリック−末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、1,000より大きい分子量(MW)およびPt触媒、F065)、(2)成分(III):0.05gのF(CFCHCHSi(OCHCH、(3)成分(IV):0.03gのフッ素化オイルKrytox(登録商標)GPL105、300〜900の分子量(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手可能な)、(4)0.02gのトルエン中10重量%のPt/ViSiO錯体(Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能なSIP 6830.3)、(5)0.1gのトリフルオロ酢酸、(6)1gの酢酸プロピルおよび(7)5gのトルエンを含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、プレートを30分間未硬化組成物中に浸漬することによってガラスプレート(Motorola製)上にコートし、引き続きトルエン中に短く浸漬して過剰の組成物を除去し、コートされたガラスを、蓋なし容器中の水からの高湿度のオーブン中65℃で3時間加熱し、最終的に真空オーブン中120℃で1.5時間ベーキングした。得られたきれいな透明で無色のコーティングは、水(106度)、ジヨードメタン(93度)およびヘキサデカン(69度)の高い接触角によって示されるように低い表面張力(<18ダイン/cm)、ならびに紙でのホイッピングに対する目に見える耐引っ掻き性を有した。
【0062】
実施例2
(1)成分(II):0.2gのCH=CHSi(CHO[Si(CH)(CHCHCF)O](CHSiCH=CH(Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能な、ポリヒドロメチルシロキサン架橋剤とともに、ビニルテレケリック−末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、1,000より大きい分子量(MW)、およびPt触媒、F065)、(2)成分(III):0.1gのF(CFCHCHSi(OCHCH、(3)成分(IV):0.02gのフッ素化オイルKrytox(登録商標)GPL105 300〜900の分子量(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手可能な)、(4)0.03gのトルエン中10重量%のPt/ViSiO錯体(Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能なSIP 6830)、(5)0.1gのトリフルオロ酢酸、(6)1gの酢酸プロピルおよび(7)6gのトルエンを含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、プレートを30分間未硬化組成物中に浸漬することによってガラスプレート(Motorola)上にコートし、引き続き酢酸プロピルでリンスして過剰の組成物を除去し、コートされたガラスを、蓋なし容器中の水からの高湿度のオーブン中65℃で2.5時間加熱し、最終的に真空オーブン中120℃で2時間ベーキングした。得られたきれいな透明で無色のコーティングは、水(104度)、ジヨードメタン(87度)およびヘキサデカン(63度)の高い接触角によって示されるように低い表面張力(<18ダイン/cm)ならびに紙でのホイッピングに対する目に見える耐引っ掻き性を有した。
【0063】
実施例3
(1)成分(II):0.06gのHO(Si(CH)(CHCHCF)O)H(シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、800〜1200の分子量、FMS−9922、Gelest)、(2)成分(III):0.015gのCH=CHC(O)OCH(CFCHO(O)CCH=CH(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、MW=370)、(3)成分(III):0.3gの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、および(4)0.3gの酢酸プロピル、(5)0.03gのIrgacure(登録商標)651を含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、1ミルのドクターブレード・フィルム塗布機を用いてFuji TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にコートし、引き続き窒素で2分間パージし、次にUVランプによって85℃で5分間硬化させた。得られたコーティングは、RVIS=1.44(コートしていないFuji
TACに対して)、RMIN=0.72、曇り度=0.53、および引っ掻き傷のついた%=100を有した。
【0064】
実施例4
(1)成分(II):0.04gのHO(Si(CH)(CHCHCF)O)H(シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、MW=800〜12
00、FMS−9922、Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能な)、(2)成分(II):0.02gのHO(Si(CH)(CHCHCF)O)H(シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、MW=550〜800、FMS−9921、Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能な)、(3)成分(III):0.05gのCH=CHC(O)OCH(CFCHO(O)CCH=CH(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、MW=370)、(4)成分(III):0.3gの1,4−ブタンジオールジアクリレート、および(5)0.3gの酢酸プロピル、(6)0.03gのIrgacure(登録商標)651を含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、1ミルのドクターブレード・フィルム塗布機を用いてFuji TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にコートし、引き続き窒素で2分間パージし、次にUVランプによって85℃で5分間硬化させた。得られたコーティングは、RVIS=1.32(コートしていないFuji TACについての4.3に対して)、RMIN=0.83、曇り度=0.84、および引っ掻き傷のついた%=80を有した。
【0065】
実施例5
(1)成分(II):0.06gのHO(Si(CH)(CHCHCF)O)H(シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、MW=550〜800、FMS−9921、Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能な)、(2)成分(III):0.05gのF(CFCHCHSi(OCHCH、(3)成分(III):0.3gの1,3−ブタンジオールジアクリレート、および(4)0.3gの酢酸プロピル、(5)0.03gのIrgacure(登録商標)651を含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、1ミルのドクターブレード・フィルム塗布機を用いてFuji TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にコートし、引き続き窒素で2分間パージし、次にUVランプによって85℃で5分間硬化させた。得られたコーティングは、RVIS=1.24(コートしていないFuji TACについての4.3に対して)、RMIN=0.98、曇り度=0.74、および引っ掻き傷のついた%=100を有した。
【0066】
実施例6
(1)成分(II):0.037gのHO(Si(CH)(CHCHCF)O)H(シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、MW=800〜1200、FMS−9922、Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能な)、(2)成分(I):0.015gのE10−DA、パーフルオロポリエーテルジアクリレート、Mn=1200〜1500(Sartomer Company,Inc.,Exton,PAから入手可能な、製品コードCN4000)、(3)成分(III):0.8gの1,4−ブタンジオールジアクリレート、および(4)0.8gの酢酸プロピル、(5)0.08gのIrgacure(登録商標)651を含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、1ミルのドクターブレード・フィルム塗布機を用いてFuji TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にコートし、引き続き窒素で2分間パージし、次にUVランプによって85℃で5分間硬化させた。得られたコーティングは、RVIS=1.89(コートしていないFuji TACについての4.3に対して)、RMIN=1.72、曇り度=0.56、および引っ掻き傷のついた%=21を有した。
【0067】
実施例7
(1)成分(II):0.05gのHO(Si(CH)(CHCHCF)O)H(シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、MW=550〜800、FMS−9921、Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手可能な)、(2)成分(I):0.015gのE10−DA、パーフルオロポリエーテルジアクリレート、Mn=1200〜1500(Sartomer Company,Inc.,Exton,PAから入手可能な、製品コードCN4000)、(3)成分(III):0.8gの1,3−ブタンジオールジアクリレート、および(4)0.8gの酢酸プロピル、(5)0.08gのIrgacure(登録商標)651を含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、1ミルのドクターブレード・フィルム塗布機を用いてFuji TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にコートし、引き続き窒素で2分間パージし、次にUVランプによって85℃で5分間硬化させた。得られたコーティングは、RVIS=1.73(コートしていないFuji TACについての4.3に対して)、RMIN=1.72、曇り度=0.24、および引っ掻き傷のついた%=98を有した。
【0068】
実施例8
(1)成分(I):0.11gのViton(登録商標)GF−200Sフルオロエラストマー(MW=30,000〜70,000、E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手可能な)、(2)成分(III):2.0gの1,4−ブタンジオールジアクリレート、および(3)0.19gの酢酸プロピル、(4)2.0gのVertrel(登録商標)XFスペシャルティ流体(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手可能なフッ素化溶媒)、(5)0.0011gのIrgacure(登録商標)651を含有する未硬化組成物を形成した。未硬化組成物を、0.5ミルのドクターブレード・フィルム塗布機を用いてFuji TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にコートし、引き続き窒素で2分間パージし、次にUVランプによって85℃で5分間硬化させた。得られたコーティングは、47度のヘキサデカン前進接触角および26度の後退接触角を示し、RVIS=3.36(コートしていないFuji TACについての4.3に対して)、曇り度=0.62%を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)適した溶媒中のコーティング組成物を備える工程であって、該コーティング組成物が、
(i)約600〜約100,000の質量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素含有ポリマーを含んでなる約0〜約95質量%の成分(I);
(ii)約600〜約100,000の質量平均分子量を有し、任意選択的に反応性官能基を有するフッ素およびケイ素含有ポリマーを含んでなる約0〜約95質量%の成分(II);
(iii)約600未満の質量平均分子量を有し、そして少なくとも1つの官能基を有する反応性希釈剤を含んでなる約5〜約99.9質量%の成分(III);
(vi)約10,000未満の数平均分子量を有するフッ素含有の非官能性オリゴマーまたはポリマーを含んでなる約0〜約20質量%の成分(IV);ならびに
(vii)無機粒子を含む約0〜約80質量%の成分(V);
を含んでなり、
ここで、コーティング組成物の約0.1〜約95質量%が成分(I)および成分(II)の1つまたは両方であり、コーティング組成物の約5〜約99.9質量%が成分(III)であり、コーティング組成物の残りが成分(I)〜(V)の1つまたは両方であり、ここで質量百分率はすべて成分(I)〜(V)の総質量に基づいており、ただし成分(I)および成分(IV)の両方が存在するとき成分(I)は成分(IV)と同一ではない、該工程と;
b)コーティング組成物を基材に塗布する工程と;
c)任意選択的に、溶媒をコーティング組成物から少なくとも部分的に除去する工程と;
d)コーティング組成物を硬化させる工程と;
を含んでなる、基材上コーティングの製造方法。
【請求項2】
成分(I)が約0.1%〜約2%の質量%で存在し、約10,000〜約70,000の質量平均分子量を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(I)が式(II)
【化1】

(式中、Aは反応性官能基であり、R〜Rはそれぞれ独立して、エーテル結合を任意選択的に含有する、C〜Cアルキル基であり、ここで、少なくとも1つのRは少なくとも部分的にフッ素化されており、x、yおよびzは、ポリマー中の繰り返し単位の数を示す整数であり、ここで、x、y、およびzの少なくとも1つは0より大きい)
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
成分(II)が約4%〜約75%の質量%で存在し、約600〜約3,000の質量平均分子量を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成分(III)が、約600未満の質量平均分子量の、少なくとも1つの官能基を有するフッ素含有、ケイ素含有、またはフッ素およびケイ素含有反応性希釈剤である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
成分(III)が約200〜約600の質量平均分子量を有し、そして約15%〜約80%の質量%で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
成分(IV)が約5%〜約13%の質量%で存在し、そして約3,000〜約8,000の質量平均分子量を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
成分(IV)がパーフルオロポリアルキルエーテルオリゴマーまたはポリマーである請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
成分(V)が約10%〜約40%の質量%で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
成分(V)が導電性または半導性無機粒子を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基材がアセチル化セルロース、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ガラス、ビニル、またはナイロンである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
基材が1つまたはそれ以上の追加のコーティングを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
適した溶媒が極性非プロトン性有機溶媒を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程c)が加熱によってかまたは不活性ガスの流れによって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程d)がラジカル加水分解、シラン加水分解または縮合硬化によって行われる請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2013−500151(P2013−500151A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521799(P2012−521799)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/042996
【国際公開番号】WO2011/011653
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】