説明

フッ素化ポリウレタン組成物

本発明は、テキスタイル基材に永続的な汚れ防止性およびソイルリリース特性を付与するために有用な組成物であって、(A)フルオロポリオキシアルケン鎖[鎖(Rof)]を含む少なくとも1個のフッ素化ブロックと、任意に1個以上の芳香族基または脂環式基を含んでいてもよい2〜14個の炭素原子を有する炭化水素鎖[鎖(RHC)]を含む少なくとも1個の官能性ブロックとを含む少なくとも1種のフッ素化イオン化性ポリウレタンポリマー[ポリマー(PUR)]であって、前記鎖(RHC)が少なくとも1個のイオン化性基を含み、前記両ブロックが式(I)(式中、Eは、任意に芳香族環を含んでいてもよい直鎖または分岐の二価炭化水素基である)のウレタン部分によって連結されており、前記ポリマー(PUR)がパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含まない、ポリウレタンポリマー[ポリマー(PUR)]と、(B)式(II)の1個以上のエステル部分および/または式(III)のウレタン部分および/または式(IV)のウレア部分によって連結された少なくとも1個のパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1種のフッ化炭化水素ポリマー[ポリマー(F)]と、(C)少なくとも1種の架橋剤とを含む組成物に関する。本発明の更なる目的は、テキスタイル基材を処理するための前記組成物の使用および前記処理から得られたテキスタイル基材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された耐久性のある(永続的な)撥水性および撥油性ならびにソイル(soil)リリース特性をテキスタイル基材に付与するための組成物、およびこうしたテキスタイル基材を処理する方法、ならびにこの処理方法によって製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
撥水性および撥油性を有する基材は多くのテキスタイル用途において望ましく、かねてから製造されてきた。撥水性および撥油性は、一般に水および油がテキスタイルの繊維に浸透するのを妨げるテキスタイルの能力を意味する。例には、雨着、室内装飾用品用途、カーペットおよびアパレルなどが挙げられる。これらの物品は、一般に、テキスタイルの表面に適切なフッ化炭化水素ポリマーを被着させ、その後、基材を乾燥させ、硬化させて、ポリマーのフルオロケミカルセグメントを適切に整列させることにより製造される。フルオロケミカルは、汚れ、油および水が基材の繊維に接着する傾向を低減させるのも助ける。これらのフルオロケミカルは、典型的には、フッ素化された成分および非フッ素化高分子主鎖を含む。高分子主鎖の重要な機能は、繊維の表面上に耐久性のある処理を付与することができることである。
【0003】
同様に、許容できるソイルリリース特性を有する基材が知られている。本明細書において用いられるソイルリリース性とは、汚された基材が、ケア処置の結果として元の汚されてない外観に近づく度合として定義される。一般に、ソイルリリース特性は、水および洗剤との相互作用が有利に働くようにテキスタイル基材の極性および親水性を高めて得られる。例には、コットンなどの天然繊維、ナイロンおよびアクリルなどの親水性合成繊維、および親水性ソイルリリース性ポリマーの適用によりソイルリリース性を改善するように変性された合成ポリマーが挙げられる。好適なソイルリリース性ポリマーには、カルボン酸含有コポリマー、スルホン酸含有コポリマー、エトキシル化ポリエステル、特定のポリアクリルアミドポリマーおよび特定のセルロース誘導体が挙げられる。
【0004】
耐久性のある撥水性および撥油性の特性、ならびに改善された耐久性のあるソイルリリース特性を有するテキスタイル基材を製造するために広範な取り組みがなされてきた。
【0005】
一般に、処理は、これらの特性のいずれか1つをテキスタイルに付与するために利用可能であるが、相当な期間にわたって単一基材に両方の特性を提供することが難しいことが分かっている。
【0006】
コットンおよびウールなどの天然繊維は、殆ど撥水性/撥油性を示さないが、それらは汚されると、容易に清浄化され、従って高レベルのソイルリリース性を示す。多くの合成物、特にポリエステルは低レベルのソイルリリース性しか示さない。従って、繊維の天然/合成ブレンドを有するテキスタイルを製造する傾向は、状況を悪化させる傾向がある。なぜならこうしたブレンドは簡単に汚れ、吸収された汚れは洗い出すのが難しいからである。
【0007】
フッ素化(メタ)アクリルポリマーは、耐汚れ性を高めるため、および疎油性かつ疎水性の不活性フッ化炭化水素様外面をテキスタイル基材に与えるために過去に提案されてきた。こうしたフッ素化(メタ)アクリルポリマーの例は、特に米国特許公報(特許文献1)(3M COMPANY)1957年8月20日、米国特許公報(特許文献2)(3M COMPANY)1961年8月8日、米国特許公報(特許文献3)(3M COMPANY)1967年12月5日、米国特許公報(特許文献4)(3M COMPANY)1985年6月25日、米国特許公報(特許文献5)(3M COMPANY)1985年7月16日、米国特許公報(特許文献6)(3M COMPANY)1958年6月17日および米国特許公報(特許文献7)(MONTECATINI EDISON)1974年6月4日に記載されている。
【0008】
しかし、先行技術のこれらのフッ化炭化水素ポリマーおよび他のフッ化炭化水素ポリマーは、水性洗浄媒体が基材を適切に湿らすことができず、従って汚れを除去できないので、ソイルリリース特性を悪化させる傾向がある。逆に、親水性ソイルリリース性ポリマーの添加は、ソイルリリース特性を強化する傾向があるが、水および油系の液体に侵されない能力およびはじくテキスタイルの能力を制限する。
【0009】
こうしたコポリマーの例には、3M製のSCOTCHGUARD(登録商標)FC−248および三菱化学によって販売されているREPEARL(登録商標)F−84が挙げられる。これらの製品は、多くの基材に特定の度合の撥水性/撥油性および特定のソイルリリース性を与えるが、撥水性/撥油性およびソイルリリース能力は、伝統的なフルオロケミカルポリマー処理および親水性のソイルリリース性ポリマーまたは界面活性剤による処理でそれぞれ得られる撥水性/撥油性およびソイルリリース能力より低い。更に、こうしたコポリマーは、多くの用途に関して耐久性が欠如している傾向がある。耐久性は、合理的な数のケアサイクルを通して許容できるレベルの所望の機能を保持するものとして本明細書において定義される。
【0010】
これらの特性の両方を同時に付与するために基材を処理する1つの方法は、フッ化炭化水素(フルオロカーボン)撥油性/撥水性セグメントおよび親水性ソイルリリース性セグメントを含有するコポリマーを用いることであった。
【0011】
上述したように、フッ化炭化水素は、殆どのフッ化炭化水素の疎油特性のゆえに油性汚れに対する限定的な保護を与えることによって、この問題を解決しようとする試みでテキスタイルに適用されてきた。
【0012】
米国特許公報(特許文献8)(AUSIMONT SPA(IT))2002年12月31日は、以下のフッ素化ポリマー類:A)フッ素を含有する(メタ)アクリル(コ)ポリマーとB)(パー)フルオロポリエーテルに基づくフッ素化ポリウレタンのカチオンイオノマーの混合物を含む、テキスタイルの撥油および撥水処理のための水性分散液を開示している。これらの組成物は、比較的劣った撥油性および撥水性ならびにソイルリリース能力を有する。更に、それらの耐久性は満足のいくものではない。
【0013】
米国特許公報(特許文献9)(SOLVAY SOLEXIS SPA(IT))2003年7月16日は、テキスタイルの表面撥油および撥水処理のために、末端封止NCO基を有するパーフルオロポリオキシアルキレン鎖を含むカチオン性フッ素化ポリウレタンポリマーを開示している。性能が比較的劣る一方で、耐久性は満足のいくものではない。
【0014】
従って、耐久性(永続性)かつ傑出した汚れ防止能力(すなわち、撥水性および撥油性)および耐久性かつ傑出したソイルリリース特性を同時にテキスタイル基材に付与できる組成物が当技術分野においてなお必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第2,803,615号明細書
【特許文献2】米国特許第2,995,542号明細書
【特許文献3】米国特許第3,356,628号明細書
【特許文献4】米国特許第4,525,423号明細書
【特許文献5】米国特許第4,529,658号明細書
【特許文献6】米国特許第2,839,513号明細書
【特許文献7】米国特許第3,814,741号明細書
【特許文献8】米国特許第6,500,894号明細書
【特許文献9】欧州特許第1327644A号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明の目的は、
テキスタイル基材に永続的な汚れ(ステイン)防止性およびソイルリリース特性を付与するために有用な組成物であって、
(A)フルオロポリオキシアルケン鎖[鎖(Rof)]を含む少なくとも1個のフッ素化ブロックと、任意に1個以上の芳香族基または脂環式基を含んでいてもよい2〜14個の炭素原子を有する炭化水素鎖[鎖(RHC)]を含む少なくとも1個の官能性ブロックとを含む少なくとも1種のフッ素化イオン化性(ionizable)ポリウレタンポリマー[ポリマー(PUR)]であって、
前記鎖(RHC)が少なくとも1個のイオン化性基を含み、前記両ブロックが式(I):
【化1】

(式中、Eは、任意に芳香族環を含んでいてもよい直鎖または分岐の二価炭化水素基である)
のウレタン部分によって連結されており、前記ポリマー(PUR)がパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含まない、ポリウレタンポリマー[ポリマー(PUR)]と、
(B)式(II)の1個以上のエステル部分および/または式(III)のウレタン部分および/または式(IV)のウレア部分によって連結された少なくとも1個のパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1種のフッ化炭化水素ポリマー[ポリマー(F)]
【化2】

と、
(C)少なくとも1種の架橋剤と
を含む組成物である。
【0017】
出願人は、上で詳述した成分(A)、(B)および(C)を組み合わせることにより、上記成分で処理されたテキスタイルの汚れ防止性(撥水性および撥油性)とソイルリリース特性の両方の実質的な強化を可能にする意外な相乗効果を利用することが可能であることを驚くべきことに見出した。
【0018】
更に、上述した矛盾する特徴は、環境に及ぼす悪影響が最近いっそうの注目を集めてきたパーフルオロアルキル鎖含有成分(本発明組成物の成分(B))の関与を実質的に限定して得られる。
【0019】
出願人は、成分(A)[ポリマー(PUR)]がソイルリリース特性を有利に提供する一方で、成分(B)[ポリマー(F)]が汚れ防止性を有利に提供し、成分(C)[架橋剤]が成分(A)と(B)の両方と共に相乗的に協力して、(A)と(B)の組み合わせによって付与された特性の実質的な強化および耐久性を得ると考えているが、これにより本発明の範囲は限定されない。
【0020】
本発明の更なる目的は、上述した組成物を製造する方法およびテキスタイル基材の処理のための上で詳述した組成物の使用ならびに前記処理から得られたテキスタイル基材である。
【0021】
「フルオロポリオキシアルケン鎖[鎖(Rof)]を含む少なくとも1個のフッ素化ブロック」および「炭化水素鎖[鎖(RHC)]を含む少なくとも1個の官能性ブロック」は、ポリマー(PUR)が1個または1個より多いフッ素化ブロックおよび1個または1個より多い官能性ブロックを含んでもよいことを意味すると理解される。一般に、ポリマー(PUR)は、数個のフッ素化ブロックおよび数個の官能性ブロックを含む。任意に、更に、ポリマー(PUR)は、周知のポリウレタン変性剤から、例えば、鎖延長剤からおよび類似物から誘導された追加の反復単位を含み得る。それにもかかわらず、ポリマー(PUR)がパーフルオロアルキル鎖を含まない、特に8個以上の炭素原子を有するパーフルオロアルキル鎖を含まないことが理解される。従って、ポリマー(PUR)は、必須の特徴として1個以上のパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含むポリマー(F)とは区別できる。
【0022】
ポリマー(PUR)の鎖(Rof)は反復単位R°を有利に含み(好ましくは、本質的にそれのみからなる)、前記反復単位R°は、フルオロポリオキシアルケン鎖に沿ってランダムに分配され、
(i)−CFXO−(式中、XはFまたはCFである)
(ii)−CFCFXO−(式中、XはFまたはCFである)
(iii)−CFCFCFO−
からなる群の中から選択される。
【0023】
好ましくは、鎖(Rof)は反復単位R°’を含む(好ましくは、本質的にそれのみからなる)フルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記反復単位は、フルオロポリオキシアルケン鎖に沿ってランダムに分配され、
(i)−CFO−
(ii)−CFCFO−
からなる群の中から選択される。
【0024】
タイプ(ii)の反復単位R°’とタイプ(i)の反復単位との間のモル比は、有利には0.1〜10、好ましくは0.5〜5の範囲である。
【0025】
有利には、鎖Rofは、式−CFCH(OCHCHs’−(式中、s’は各出現ごとで同じかまたは異なり、0〜5の整数の中から選択される)の、ウレタン部分に結合された末端橋架け基を含む。
【0026】
疑義を避けるために、鎖Rofとウレタン部分との間の上述した末端橋架け基は、以下のスキームの中で描かれるように結合される。
【化3】

【0027】
ポリマー(PUR)の鎖(RHC)は、一般に2〜14個の炭素原子を有し、任意に、1個以上の芳香族基または脂環式基を含んでもよい。
【0028】
ポリマー(PUR)の鎖(RHC)は、少なくとも1個のイオン化性基(ionizable group)、すなわち、適切なpH条件でカチオン基またはアニオン基を与える基を含む。好適なイオン化性基のなかでも、式−SOHのスルホン酸基、式−COOHのカルボン酸基、ならびに、式−N(R)−(式中、Rは、Hおよび1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基の中から選択される)の鎖(RHC)主鎖に含まれるアミン基か、または−N(RN1)(RN2)(式中、RN1およびRN2は互いに同じかまたは異なり、独立してHおよび1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基から選択される)として側基に含まれるアミン基について特に言及することが可能である。
【0029】
好ましい鎖(R’HC)は、
(j)式
【化4】

(式中、Tは、脂肪族または芳香族の直鎖または分岐、環式または非環式の2〜12個の炭素原子を含む炭化水素三価基であり;式−T(COOH)−の鎖(R’HC)は、好ましくは、
【化5】

の中から選択される)
のカルボキシル含有鎖(RHC);
(jj)式
【化6】

(式中、RN1およびRN2は上で定義された意味を有し、Qは、脂肪族または芳香族の直鎖または分岐、環式または非環式の2〜12個の炭素原子を含む炭化水素三価基であり;式−Q[N(RN1)(RN2)]−の鎖(R’’HC)は、好ましくは以下の式
【化7】

(式中、RN1およびRN2は上で定義された意味を有し、好ましくは、RN1およびRN2は独立して、直鎖または分岐のC〜Cアルキル基の中から選択され;m、m’、m’’は、mおよびm’’の少なくとも一方が零より大きいことを条件として0〜4の整数であり;Rは、Hまたは直鎖または分岐のC〜Cアルキル基である)
に従う)
のアミン含有鎖(R’’HC
(好ましいアミン含有鎖(R’’HC)は、式CH(CH−N(C)−CH−および/または−CH(CH−N(CH)−CH−のアミン含有鎖(R’’HC)である);
(jjj)式
【化8】

(式中、RN1は上で定義された意味を有し、好ましくは、RN1はC〜Cアルキル基の中から選択され;KおよびK’は、1〜6個の炭素原子を有する二価炭化水素基である)
のアミン含有鎖(R’’’HC
の中から選択される。
【0030】
ウレタン部分の二価炭化水素基Eは、特に、
【化9】

(式中、
- nは1〜12の整数であり、好ましくは6に等しく、
- Jは、単結合、メチレン基(−CH−)、酸素原子(−O−)、−C(CH−基、−C(CF−基、−SO−基、−C(O)−基の中から選択された二価橋架け基であり、好ましくは、Jはメチレン基であり、
- R、R、R、Rの各々は各出現ごとに同じかまたは異なり、独立して、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、F)、C〜C炭化水素基(例えば、メチル、エチル)、特に−OR、−NRH’H’’、−C(O)−RH’’’(式中、R、RH’、RH’’、RH’’’は互いに同じかまたは異なり、独立して、各出現ごとに水素原子またはC〜C炭化水素基である)などの置換基であり、
- n、n、nは独立して0〜4の間から選択された整数であり、
- nは0〜10の整数である)
およびそれらの混合基
の中から選択される。
【0031】
本発明の組成物のポリマー(PUR)は、特に、式(V)のZ−O−Rof−Y
(式中、
- Rofは上で定義されたのと同じ意味を有し;
- ZおよびYは互いに同じかまたは異なり、各出現ごとに独立して、式−CFCHO(CHCHO)s’H(式中、s’は各出現ごとに同じかまたは異なり、0〜5の整数の中から選択される)に従う官能性ヒドロキシル基である)に従う少なくとも1種のヒドロキシル末端パーフルオロポリオキシアルキレンと、
少なくとも1個のイオン化性基を含む式HO−RHC−OH(式中、RHCは上で定義されたのと同じ意味を有する)の少なくとも1種の官能化ジオールとを、
式OCN−E−NCO(式中、Eは上で定義されたのと同じ意味を有する)の少なくとも1種のジイソシアネートおよび
任意で、式HO−Rdiol−OHのジオールおよび/または式HN−Rdiamine−NHのジアミン(式中、RdiolおよびRdiamineは、任意に追加の官能基を含有してもよいC〜C14炭化水素基である)の中から選択された60〜450g/モルの分子量を有する1種以上の連鎖延長剤
と反応させることにより製造することが可能である。
【0032】
ヒドロキシル末端パーフルオロポリオキシアルキレンは、GB第1104482号明細書(MONTEDISON SPA)1968年2月28日、米国特許第3,715,378号明細書(MONTEDISON SPA)1973年2月6日、米国特許第3,242,218号明細書(DUPONT)1966年3月22日、欧州特許第239123A(AUSIMONT S.P.A)1987年9月30日、米国特許第5,149,842号明細書(AUSIMONT SRL(IT))1992年9月22日、米国特許第5,258,110号明細書(AUSIMONT SRL(IT))1993年2月11日において教示されたように−COF末端基を有する対応する(パー)フルオロポリオキシ−アルキレンから出発して調製することが可能である。
【0033】
好ましくは、式OCN−E−NCOのジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12−MDI)、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)またはその異性体、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)またはその異性体、キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、p−フェニレン−ジイソシアネートから選択される。
【0034】
好ましくは、鎖延長剤は2〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジオールまたはジアミン、例えば、エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、より好ましくは1,4−ブタンジオールなどの、もしくは例えばイソホロンジアミンなどの(脂)環式ジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、N−メチル−プロピレン−1,3−ジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、である。最も好ましい鎖延長剤は1,4−ブタンジオールである。
【0035】
本発明の実施形態によると、鎖延長剤は、式
【化10】

(式中、
- RおよびRW’は互いに同じかまたは異なり、各出現ごとに独立して、水素および/またはC〜C炭化水素基から選択され、好ましくは、Rは水素であり、RW’はC〜C炭化水素基の中から選択され、
- WおよびW’は互いに同じかまたは異なり、1〜12個の炭素原子を有する二価炭化水素基を表す)
のシロキサン基含有ジアミンである。
【0036】
本発明の目的に好適なシロキサン基を含むジアミンは、特に欧州特許第1559733A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)2005年8月3日において開示されたジアミンである。シロキサン含有ジアミンの非限定的な例は、特に、式HN−(CH−NH−(CH−Si(OCHのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、式HN−(CH−NH−(CH−Si(OCHのN−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリメトキシシラン、式HN−(CH−NH−(CH−Si(OCHのN−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0037】
本発明の組成物は、有利には、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%の上述した成分(A)を含む。
【0038】
本発明の組成物は、有利には、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして、多くとも80重量%、好ましくは多くとも75重量%、より好ましくは多くとも70重量%の上述した成分(A)を含む。
【0039】
本発明の組成物は、少なくとも1種のフッ化炭化水素ポリマー[ポリマーF]を含む、すなわち、1種または1種より多いポリマー(F)を含有する。
【0040】
ポリマー(F)は、少なくとも1個のパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含む。前記鎖(R)は、ポリマー(F)主鎖の一部であることが可能であり、あるいは側鎖としてポリマー(F)中に存在することが可能である。
【0041】
パーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]という用語は、特にエーテル連結のないアルキル鎖を表すことを意図しており、ここで、アルキル鎖に含まれる炭素原子の原子価は、フッ素原子で飽和されている。一般に、パーフルオロアルキル鎖は、4〜20個の炭素原子を含む。それにもかかわらず、鎖(R)が6〜12個の炭素原子を含む時に最良の性能が得られる。約8〜約10の炭素原子の平均数を有する鎖(R)を含むポリマー(F)は、より特に好ましい。
【0042】
好ましくは、ポリマー(F)は、上で詳述したとおりの式(II)の1個以上のエステル部分および/または式(III)のウレタン部分によって連結された少なくとも1個のパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含む。
【0043】
本発明の第1の実施形態によると、ポリマー(F)は、上で詳述した式(II)の1個以上のエステル部分によって連結された前記鎖(R)を含む。
【0044】
本発明の第1の実施形態によるポリマー(F)は、好ましくは、C〜C30パーフルオロアルキル鎖を含む(メタ)アクリルモノマーから誘導された反復単位を含むフッ素化(メタ)アクリルポリマーの中から選択される。
【0045】
典型的には、本発明の第1の実施形態によるポリマー(F)は、下記式の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]から誘導された反復単位を含む。
【化11】

(式中、
- Qは0〜12個の炭素原子の二価基であり;Qは、骨格に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含有することが可能である。好適なQ基には、−O−、−SO−N(RHf)−、−CH−O−、−C−O−、−C−O−、−C−O−、−CHCH−O−、−C−S−C−O−、−COC−O−、−CHOC−O−、−SON(RHf)−C−O−、−CON(RHf)C−O−、−CCON(RHf)C−O−、−C−N(RHf)C−O−、−COOCHC(CHCH−O−、−SO−N(RHf)−CHCH(CH)−O−、および−CSON(RHf)C−O−(式中、RHfは、HまたはC1〜4アルキル基である)が挙げられる。好ましくは、Qは−C−O−または−SO−N(RHf)C−O−である。
- R’Hf、R’’ Hf、R’’’ Hfは互いに同じかまたは異なり、独立してHまたはC1〜4アルキル基であり、好ましくは、R’’ Hf、R’’’ HfはHであり、R’HfはHまたはメチルである。
- Rは上で定義したものと同じ意味を有し、好ましくは、Rは、4〜20個の炭素原子を含む直鎖または分岐、環式または非環式のパーフルオロ脂肪族基であり、より好ましくは、Rは、CF(CFnf−(式中、nは3〜15、好ましくは5〜11の整数である)の中から選択される。
【0046】
モノマー(MA)の非限定的な例は、特に、C17−C−O−COCH=CH、C1225−C−O−COCH=CH、4−C−C10−C−O−COCH=CH、C13−C−O−COCH=CH、C17SON(CH)CHCHOCOCH=CH、C13−C−S−C17OCOCH=CH、4−C−C10−CHOCOCH=CH、C15−CHOCOCH=CH、C15−CO−N(CH)−COCOCH=CH、(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH、C17−C−SO−N(C)COCOCH=CH、C15−C−CONH−C−OCOCH=CH、C17SON(C)−C−OCOCH=CH、C17−SO−N(C)−COCH=CH、C1225−SO−N(C)−COCH=CH、4−C−C10−SO−N(C)−COCH=CHである。
【0047】
ポリマー(F)は、一般に、上で詳述したモノマー(MA)とは異なる追加のモノマーから誘導された反復単位を含む。ポリマー(F)中でモノマー(MA)と重合可能なモノマーの非限定的な例は、特に、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ビニルクロロアセテート、アクリロニトリル、シアン化ビニリデン、スチレン、アルキル化スチレン、ハロゲン化スチレン;アクリル酸、メタクリル酸およびクロロアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステルおよびエポキシアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸およびクロロアクリル酸のN−アルキルアミドおよびN−ヒドロキシアルキルアミド;メタクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、クロロプレン、フルオロプレン、およびイソプレンである。
【0048】
それにもかかわらず、ポリマー(F)が、一般に、モノマー(MA)から誘導された反復単位少なくとも50重量%を含むことは言うまでもない。
【0049】
本発明の組成物の成分(B)として有用なフッ素化(メタ)アクリルポリマーは、特に、米国特許第2,803,615号明細書(3M COMPANY)1957年8月20日、米国特許第2,995,542号明細書(3M COMPANY)1961年8月8日、米国特許第3,356,628号明細書(3M COMPANY)1967年12月5日、米国特許第4,525,423号明細書(3M COMPANY)1985年6月25日、米国特許第4,529,658号明細書(3M COMPANY)1985年7月16日に記載されたフッ素化(メタ)アクリルポリマーである。それらの開示を、参照により本明細書において援用する。
【0050】
好適なフッ素化(メタ)アクリルモノマーは、特に、SCOTCHGUARD(登録商標)という商品名で3M conpanyから、UNIDYNE(登録商標)という商品名でダイキンから、またはREPEARL(登録商標)8025という商品名で三菱から市販されている。
【0051】
本発明の第2の実施形態によれば、ポリマー(F)は、上で詳述した式(III)の1個以上のウレタン部分によって連結された前記鎖Rを含む。
【0052】
本発明のこの第2の実施形態によるポリマー(F)は、好ましくは、鎖Rを含むフルオロケミカルウレタン化合物、すなわち、少なくとも1種の多官能性イソシアネート化合物、少なくとも1種の親水性ポリオキシアルキレン(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー)並びに、1個のイソシアネート反応性官能基(例えば、−OH、−NH、−SH、−COOH、−NRH、ここでRはC〜Cアルキル基である)および上で詳述したパーフルオロアルキル鎖Rを有する少なくとも1種のフッ化炭化水素一官能性化合物の反応から誘導された化合物の中から選択される。
【0053】
1個のイソシアネート反応性官能基を有するとともにパーフルオロアルキル鎖Rを含むフッ化炭化水素一官能性化合物の代表的な例は、特に、CF(CFSON(CH)CHCHOH、CF(CFSON(CH)CH(CH)CHOH、CF(CFSON(CH)CHCH(CH)NH、CF(CFSON(CHCH)CHCHSH、CF(CFSON(CH)CHCHSCHCHOH、C13SON(CH)(CHOH、CF(CFSON(H)(CHOH、CSON(CH)CHCHOH、CF(CFSON(CH)(CHNH、CSON(CH)(CH11OH、CF(CFSON(CHCH)CHCHOH、CF(CFSON(CHCH)(CHOH、CF(CFSON(C)CHOCHCHCHOH、CF(CFSON(CHCHCH)CHCHOH、CF(CFSON(CHCHCH)CHCHNHCH、CF(CFSON(C)CHCHNH、CF(CFSON(C)(CHSH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、n−C13CF(CF)CON(H)CHCHOH、n−C13CF(CF)COCH(CH)OHである。
【0054】
本発明の第2の実施形態による組成物中の成分(B)として使用できる鎖Rを含む有用なフルオロケミカルウレタン化合物は、特に、米国特許出願第2007014927号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)2007年1月18日において記載されたフルオロケミカルウレタン化合物である。その開示を、参照により本明細書において援用する。
【0055】
本発明の組成物は、有利には、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも8重量%の上述した成分(B)を含む。
【0056】
本発明の組成物は、有利には、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして多くとも30重量%、好ましくは多くとも25重量%の上述した成分(B)を含む。
【0057】
本発明において使用できる架橋剤は、それがポリマー(PUR)の末端および/または側鎖の反応性基との反応性基を少なくとも2個(すなわち、2個以上)有する限り特に制限されない。ポリマー(PUR)がイソシアネート基またはヒドロキシル基(または任意選択で、鎖延長剤としてジアミンを用いる場合には、アミン基)のいずれかを末端とすることが可能であるので、架橋剤は、イソシアネート基、ヒドロキシル基、またはアミン基と反応できる少なくとも2個(すなわち、2個以上)の基を含むべきである。ポリマー(PUR)の異なる反応性基と反応できる異なる架橋剤の混合物を用いることも可能である。
【0058】
本発明において使用できる架橋剤は、特に、イソシアネート、ブロックイソシアネート(blocked isocyanates)、ポリアルコキシシラン、メラミンホルムアルデヒドおよび誘導体、エポキシド、並びに無水物類(anhydrides)およびそれらの誘導体である。
【0059】
架橋剤は、ブロックイソシアネートが基材により柔らかい感触を与えるので、好ましくはブロックイソシアネートの中から選択される。ブロックイソシアネートの例は、米国特許第5,401,553号明細書(武田薬品工業株式会社(日本))1995年3月28日に記載されている。その開示を、参照により本明細書において援用する。
【0060】
本発明において用いられるブロックポリイソシアネートは、典型的にはポリイソシアネートとブロック化剤との付加体であり、ブロック化剤は、ポリイソシアネートの遊離イソシアネート基に付加して前記付加体を形成してイソシアネート基を不活性にするが、例えば、前記付加体を加熱して昇温させた時、および/または好適な反応媒体(例えば、触媒)と接触させた時、イソシアネート基から容易に解離して遊離イソシアネート基を再生させる。
【0061】
ブロックポリイソシアネートには、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたはメチル2,6−ジイソシアナトカプロエートなどの脂肪族ポリイソシアネート;3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネートまたは1,3−または1,4−ジイソシアナトシクロヘキサンなどの脂環式ジイソシアネート;m−またはフェニレンジイソシアネート、これらの混合物、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートまたはこれらの混合物などの芳香族ジイソシアネート;および1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチルベンゼン)または1,3−または1,4−ビス(アルファ−イソシアナトプロピル)ベンゼンなどの芳香族−脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0062】
ポリイソシアネートは、トリフェニルメタン−4,4,−4−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)−ベンゼンまたは2−イソシアナトエチル2,6−ジイソシアナトカプロエートなどのトリイソシアネートであってもよい。
【0063】
ポリメリックポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートの二量体または三量体、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、過剰のポリイソシアネートと活性水素含有化合物の反応によって得ることができる種々のイソシアネート末端プレポリマー、ポリイソシアネートのビウレット誘導体またはアロファネート誘導体などの他のポリイソシアネートもブロックポリイソシアネートを形成するために使用できる。これらの化合物は単独で、あるいは混合物として用いることができる。
【0064】
使用できる活性水素含有化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、蔗糖ヒマシ油、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、水、アンモニアまたはウレアなどの低分子量化合物、およびポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールまたはエポキシポリオールなどの様々な高分子量化合物によって例示される。
【0065】
使用できるブロック化剤には、例えば、フェノール、クレゾール、p−ノニルフェノールまたはヒドロキシ安息香酸エステルなどのフェノール型ブロック化剤、イプシロンカプロラクタムまたはガンマブチロラクタムなどのラクタム型ブロック化剤、ジエチルマロネート、メチルアセトアセテートまたはアセチルアセトンなどの活性メチレン型ブロック化剤、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール−モノエチルエーテル、ベンジルアルコール、グリコール酸;、メチルグリコレート、エチルグリコレートまたはブチルグリコレートまたはブチルグリコレートなどのグリコレート、乳酸;、メチルラクテート、エチルラクテートまたはブチルラクテートなどの乳酸エステル、ジアセトンアルコールまたはエチレンクロロヒドリンなどのアルコール型ブロック化剤:ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾールまたはチオフェノールなどのメルカプタン型ブロック化剤、アセトアニリド、アセトアミド、アクリルアミドまたはベンズアミドなどの酸アミド型ブロック化剤、スクシンイミドまたはフタルイミドなどのイミド型ブロック化剤、ジフェニルアミン、カルバゾール、アニリン、ジブチルアミンなどのアミン型ブロック化剤、イミダゾールまたは2−エチリムイミダゾールなどのイミダゾール型ブロック化剤、ウレア、チオウレア、エチレンチオウレアなどのウレア型ブロック化剤、2−オキサゾリドン、フェニルN−フェニルカルバメートなどのカルバメート型ブロック化剤、ホルマルドオキシム、アセタルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサノンオキシムまたはベンゾフェノンオキシムなどのオキシム型ブロック化剤、および亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウムなどの亜硫酸型ブロック化剤が挙げられる。
【0066】
ケトオキシムでブロックしたポリイソシアネートは特に好ましい。
【0067】
有用な1種の架橋成分は、三菱化学から入手できるPEPEARL(登録商標)MFである。HIDROPHOBOL(登録商標)XANは、DuPontから入手できる使用してもよい別の化合物である。
【0068】
本発明の組成物は、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして有利には少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の上述した成分(C)を含む。
【0069】
本発明の組成物は、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして有利には多くとも45重量%、好ましくは多くとも35重量%、より好ましくは多くとも30重量%、なおより好ましくは多くとも25重量%の上述した成分(C)を含む。
【0070】
本発明による組成物は、有利には水性組成物である。本発明の水性組成物において、成分(A)、(B)および(C)は、完全にまたは部分的に水に懸濁される、および/または少なくとも部分的に可溶化される。
【0071】
傑出した耐久性と相俟って汚れ防止性とソイルリリース性の両方の観点から特に良好な結果を与えることが見出された組成物は、
-(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして55〜70重量%の量の成分(A)[ポリマー(PUR)]と、
-(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして8〜25重量%の量の成分(B)[ポリマー(F)]と、
-(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして20〜25重量%の量の成分(C)[架橋剤]と
を含む組成物である。
【0072】
本発明の組成物は、上で詳述した成分(A)、(B)および(C)に加えて、特に、柔軟化剤(ソフトナー)、触媒、およびしわ防止剤などの他の成分を含むことが可能である。当業者は、テキスタイル基材の性質に応じて標準的な従来の原料の中から選択するであろう。
【0073】
本発明の別の目的は、上で詳述した組成物の製造方法である。
【0074】
本発明の方法は、有利には、上で定義した成分(A)、(B)および(C)の水溶液および/または水分散液を混合することを含む。
【0075】
本発明のなお別の目的は、テキスタイル基材の処理のための上で詳述した組成物の使用である。
【0076】
本発明の組成物によって有利に処理できる例示のテキスタイル基材は、天然繊維、例えば、コットン、ウール、モヘア、リネン、ジュート、シルク、ラミー、サイザル麻、ケナフなどに基づくテキスタイル基材、および合成繊維、例えば、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエステル、アジロン、ニトリル、ポリアミドおよびオレフィンなどに基づくテキスタイル基材である。
【0077】
本発明の組成物は、単独で、または柔軟化剤およびしわ防止剤などの他の処理剤と組み合わせて、テキスタイル基材の処理において用いることが可能である。
【0078】
テキスタイル基材を本発明の組成物により処理する場合、テキスタイル基材の「手触り」外観、柔軟性、強度または多孔度に悪影響を及ぼさずに顕著な汚れ防止性およびソイルリリース性を有するテキスタイル基材を有利に得ることが可能である。
【0079】
この処理において、テキスタイル基材のサイジング処理は、薄い被膜をテキスタイル基材上に与えるように一般には行われる。
【0080】
本発明は前記処理によって得られた、上で定義したテキスタイル基材にも関する。
【0081】
本発明を以下の実施例に関連してより詳しく今から説明する。その目的は単に例示であり、本発明の範囲を限定することではない。
【0082】
〔原材料〕
組成物の調製のために用いられる市販製品を以下に記載する。
【0083】
[ソイルリリース性フッ素化剤(ポリマー(F))]
UNIDYNE(登録商標)TG992(ダイキンアメリカInc.から入手できる):フルオロアクリレートコポリマーの30重量%固形物含有率のエマルジョン
【0084】
[汚れ防止(撥水および撥油)用フッ素化剤(ポリマー(F))]
REPEARL(登録商標)F−8025(三菱International Corporation Specialty Chemicals,Inc.から入手できる):両性フルオロアクリレートコポリマーの30重量%固形物含有率のエマルジョン
【0085】
[架橋剤]
REPEARL(登録商標)MF(三菱International Corporation Specialty Chemicals,Inc.から入手できる):ブロックイソシアネート化合物、29重量%の固形物含有率を有するホルムアルデヒドフリーの架橋剤
【0086】
[耐久性のプレス/しわなし樹脂]
PERMAFRESH(登録商標)MFX(Omnova Solution Inc.から入手できる):アルキル化ジメチロールジヒドロキシエチレンウレアのエマルジョン
【0087】
FREEREZ(登録商標)PFK(Noveon Inc.から入手できる):超低ホルムアルデヒド含有率のグリオキサール系反応剤の52重量%固形物含有率のエマルジョン
【0088】
[触媒]
Catalyst 531(登録商標)(Omnova Solution Inc.から入手できる):塩化マグネシウムおよび添加剤の19重量%固形物含有率の溶液
【0089】
Catalyst KR(登録商標)(Omnova Solution Inc.から入手できる):塩化マグネシウムの30重量%固形物含有率の溶液
【0090】
[柔軟化剤]
MYKON HLC(登録商標)(Omnova Solution Inc.から入手できる):ポリエチレンの42重量%固形物含有率のエマルジョン
【0091】
DOUSOFT(登録商標)1062(Boehme Filatexから入手できる):超高密度ポリエチレンの25重量%固形物含有率のエマルジョン
【0092】
〔試験方法〕
ソイルリリース性試験(AATCC130−2000)
この試験方法は、模擬家庭洗濯中に、強制的な油性汚れを離す布地の能力を測定するように設計されている。
【0093】
以下で示した通り、鉱油およびトウモロコシ油の2つの汚れを被着させた。これらの汚れ(各汚れの5滴)を上方の短い距離から滴下装置により布地の同じ範囲に被着させ、グラシン紙で覆い、ステンレススチール製シリンダー(直径6.4cm、重量2.268Kg)により1分にわたって布地に押しつけた。その後、汚れた布地を、規定方法で汚した後20±5分以内に洗濯し、汚れの等級シリーズを示すソイルリリース性複製品との比較によって5〜1の等級で残留汚れを採点し、「1」は汚れ除去の最悪の程度を示し、「5」は汚れ除去の最善の程度を示す。
【0094】
〔撥油性試験(AATCC118−2002)〕
基材の撥油性をAmerican Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC)標準試験法No.118−2002によって測定した。この試験は、様々な表面張力を有する油による浸透に対する処理基材(処理した基材)の抵抗に基づいている。前記油の各々の滴を処理布地上に滴下する。30秒後に湿りがない場合、次の最高標準番号油(次の最低表面張力)を試験する。最低番号油が布地に浸み通る場合、その次のより低い番号をその評点とする。NUJOL(登録商標)鉱油(試験油の最少浸透性)のみに抵抗する処理基材に1の評点を与えたのに対して、ヘプタン(試験液体の最高浸透性)に抵抗する処理基材に8の評点を与えた。
【0095】
【表1】

【0096】
〔撥水性試験(スプレー評点AATCC22−2001)〕
処理基材(処理した基材)のスプレー評点は、処理基材に侵入する水に対しての処理基材の動的撥水性を示す値である。この撥水性を処理基材の「スプレー評点」によって表現した。15cmの高さから基材上に250mlの水をスプレーすることによりスプレー評点を得た。0〜100の尺度(スケール)を用いて濡れパターンを目視で採点した。この場合、0は完全な濡れを意味し、100は全く濡れの無いことを意味する。
【実施例】
【0097】
〔ポリマー(PUR)の合成〕
[実施例1](ポリマー(PUR−1)の合成)
米国特許第6,500,984号明細書(AUSIMONT SPA)2002年12月31日の教示に従い、カチオン性ポリウレタンを、以下のものを反応させることによって合成した。
- ヒドロキシル当量750(333ミリ当量)を有する250gの(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ジオール(FLUOROLINK(登録商標)D10H);
- 73.26gのイソホロンジイソシアネート(666ミリ当量);
- 9.8gの3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DMAPD)(167ミリ当量);および
- 7.5gのブタンジオール(167ミリ当量)。
【0098】
カチオン基を有するポリマー(PUR−1)の25重量%の(乾燥残留物として決定した)固形物含有率を有する水性分散液を得た(上述した米国特許の実施例2参照されたい)。
【0099】
[実施例2](ポリマー(PUR−2)の合成)
欧州特許第1369442A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)2003年12月10日の教示に従い、アニオン性ポリウレタンを以下のものを反応させることによって合成した。
- ヒドロキシル当量761(666ミリ当量)を有する507gの(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ジオール(Fluorolink(登録商標)D10H);
- 148gのイソホロンジイソシアネート(1333ミリ当量);および
- 27gのトリエチルアミン(267ミル当量)で塩にされた46gのジメチルプロピオン酸(DMPA)(671ミリ当量)。
【0100】
アニオン基を有するポリマー(PUR−2)の25重量%の(乾燥残留物として決定した)固形物含有率を有する水性分散液を得た。
【0101】
[実施例3](ポリマー(PUR−3)の合成)
欧州特許第1559733A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA(IT))2005年8月3日の教示に従い、カチオン性ポリウレタンを以下のものを反応させることによって合成した。
- ヒドロキシル当量750(239ミリ当量)を有する179gの(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ジオール(Fluorolink(登録商標)D10H);
- 53gのイソホロンジイソシアネート(477ミリ当量);
- 7gの3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール(DEAPD)(95ミリ当量);
- 6.7gのN−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)(60ミリ当量);および
- 3.2gのプロパンジオール(84ミリ当量)。
【0102】
カチオン基を有するポリマー(PUR−3)の25重量%の(乾燥残留物として決定した)固形物含有率を有する水性分散液を得た。
【0103】
〔テキスタイル処理組成物の調製〕
[例4](コットン処理のための組成物)
実施例1の水性ポリマー(PUR−1)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
80gのFREEREZ(登録商標)PFK
20gのCatalyst 531
20gのDOUSOFT(登録商標)1062
【0104】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0105】
[例5](コットン処理のための組成物)
実施例3の60gの水性ポリマー(PUR−3)分散液を以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
80gのFREEREZ(登録商標)PFK
20gのCatalyst 531
20gのDOUSOFT(登録商標)1062
【0106】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0107】
[例6](ポリエステル処理のための配合物)
実施例1の水性ポリマー(PUR−1)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
【0108】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0109】
[例7](ポリエステル処理のための配合物)
実施例2の水性分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
【0110】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0111】
[例8](ポリエステル処理のための配合物)
実施例3の水性ポリマー(PUR−3)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
【0112】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0113】
[例9](コットン/ポリエステル処理のための配合物)
実施例1の水性分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
50gのPERMAFRESH(登録商標)MFX
12.5gのCatalyst KR
2.5gのMYKON(登録商標)HLC
【0114】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0115】
[例C−10](架橋剤なしでのコットン処理のための配合物)
実施例1の水性ポリマー(PUR−1)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
80gのFREEREZ(登録商標)PFK
20gのCatalyst531
20gのDUOSOFT(登録商標)1062
【0116】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0117】
[例C−11](架橋剤なしでのコットン処理のための配合物)
実施例3の水性ポリマー(PUR−3)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
80gのFREEREZ(登録商標)PFK
20gのCatalyst 531
20gのDUOSOFT(登録商標)1062
【0118】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0119】
[例C−12](架橋剤なしでのコットン/ポリエステル処理のための配合物)
実施例1の水性ポリマー(PUR−1)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
50gのPERMAFRESH(登録商標)MFX
12.5gのCatalyst KR
2.5gのMYKON(登録商標)HLC
【0120】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0121】
[例C−13](架橋剤なしでのコットン/ポリエステル処理のための配合物)
実施例3の水性ポリマー(PUR−3)分散液60gを以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
50gのPERMAFRESH(登録商標)MFX
12.5gのCatalyst KR
2.5gのMYKON(登録商標)HLC
【0122】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0123】
[例C−14](ポリマー(PUR)なしでのコットンのための配合物)
60gの水性分散液UNIDYNE(登録商標)TG992を以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
80gのFREEREZ(登録商標)PFK
20gのCatalyst 531
20gのDOUSOFT(登録商標)1062
【0124】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0125】
[例C−15](ポリマー(PUR)なしでのポリエステルのための配合物)
60gの水性分散液UNIDYNE(登録商標)TG992を以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
【0126】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0127】
[例C−16](ポリマー(PUR)なしでのコットン/ポリエステルのための配合物)
60gの水性分散液UNIDYNE(登録商標)TG992を以下のものと混合した。
20gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
50gのPERMAFRESH(登録商標)MFX
12.5gのCatalyst KR
2.5gのMYKON(登録商標)HLC
【0128】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0129】
[例17](コットン/ポリエステルのための配合物)
実施例1の60gの水性ポリマー(PUR−1)分散液を以下のものと混合した。
8gのREPEARL(登録商標)8025
20gのREPEARL(登録商標)MF
50gのPERMAFRESH(登録商標)MFX
12.5gのCatalyst KR
2.5gのMYKON(登録商標)HLC
【0130】
その後、この混合物を全体積1リットルまで水で希釈した。
【0131】
〔テキスタイル基材の処理〕
[布地]
以下のテキスタイル基材を用いた。
1.100%ポリエステル、綾織物
2.100%コットン綾織物、試験布地スタイル423(漂白され、シルケット加工された物)、8オンス/平方ヤード
3.65/35ポリエステル/コットン、試験布地スタイル7436、8オンス/平方ヤード
【0132】
[装置]
1.2ロール・ラボ・パダー(13インチ面、ゴムロール)L&W Machine Works
2.11×11インチのピンフレーム
3.Dispatch強制空気循環炉
4.洗濯機−Wonder Washer ミニ洗濯機、水/洗剤8リットル中に布地500gms
5.乾燥機:Whirlpool家庭用乾燥機
【0133】
[テキスタイル基材の処理方法]
12×12インチの布きれを200mlの仕上浴中に浸し、パダーを通り抜けさせ、ピンフレーム上に置いた。パダーを調節して65〜70%湿りピックアップを生じさせた。パッド布地を乾燥させ、Dispatch強制空気循環炉内で170℃にて5分にわたり硬化させた。
【0134】
例4〜17の組成物で処理されたテキスタイル基材のソイルリリース特性および撥油および撥水特性の結果を以下の表にまとめている。値は、処理直後(「0w」)、5洗濯サイクル後(「5w」)、10洗濯サイクル後(「10w」)および/または30洗濯サイクル後(「30w」)にテキスタイル基材上で測定した。
【0135】
100%コットン
【0136】
【表2】

【0137】
100%ポリエステル
【0138】
【表3】

【0139】
65/35ポリエステル/コットン
【0140】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスタイル基材に永続的な汚れ防止性およびソイルリリース特性を付与するために有用な組成物であって、
(A)フルオロポリオキシアルケン鎖[鎖(Rof)]を含む少なくとも1個のフッ素化ブロックと、任意に1個以上の芳香族基または脂環式基を含んでいてもよい2〜14個の炭素原子を有する炭化水素鎖[鎖(RHC)]を含む少なくとも1個の官能性ブロックとを含む少なくとも1種のフッ素化イオン化性ポリウレタンポリマー[ポリマー(PUR)]であって、
前記鎖(RHC)が少なくとも1個のイオン化性基を含み、前記両ブロックが式(I)
【化1】

(式中、Eは、任意に芳香族環を含んでいてもよい直鎖または分岐の二価炭化水素基である)
のウレタン部分によって連結されており、前記ポリマー(PUR)がパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含まない、ポリウレタンポリマー[ポリマー(PUR)]と、
(B)下記式(II)の1個以上のエステル部分および/または下記式(III)のウレタン部分および/または下記式(IV)のウレア部分によって連結された少なくとも1個のパーフルオロアルキル鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1種のフッ化炭化水素ポリマー[ポリマー(F)]
【化2】

と、
(C)少なくとも1種の架橋剤と
を含む組成物。
【請求項2】
前記ポリマー(PUR)の鎖(Rof)が、前記フルオロポリオキシアルケン鎖に沿ってランダムに分配された反復単位R°を含み(好ましくは、本質的にそれのみからなり)、前記反復単位R°が
(i)−CFXO−(式中、XはFまたはCFである)
(ii)−CFCFXO−(式中、XはFまたはCFである)
(iii)−CFCFCFO−
からなる群の中から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマー(PUR)の鎖(R’HC)が、
(j)式:
【化3】

(式中、Tは、脂肪族または芳香族の直鎖または分岐、環式または非環式の2〜12個の炭素原子を含む炭化水素三価基である)
のカルボキシル含有鎖(RHC);
(jj)式:
【化4】

(式中、RN1およびRN2は互いに同じかまたは異なり、独立してHおよび1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基から選択され、Qは、脂肪族または芳香族の直鎖または分岐、環式または非環式の2〜12個の炭素原子を含む炭化水素三価基である)
のアミン含有鎖(R’’HC);
(jjj)式:
【化5】

(式中、RN1は上で定義された意味を有し、KおよびK’は、1〜6個の炭素原子を有する二価炭化水素基である)
のアミン含有鎖(R’’’HC)、
の中から選択される請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー(PUR)のウレタン部分の二価炭化水素基Eが、
【化6】

(式中、
- nは1〜12の整数であり、好ましくは6に等しく、
- Jは、単結合、メチレン基(−CH−)、酸素原子(−O−)、−C(CH−基、−C(CF−基、−SO−基、−C(O)−基の中から選択された二価橋架け基であり、好ましくは、Jはメチレン基であり、
- R、R、R、Rの各々は各出現ごとに同じかまたは異なり、独立して、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、F)、C〜C炭化水素基(例えば、メチル、エチル)、特に−OR、−NRH’H’’、−C(O)−RH’’’(式中、R、RH’、RH’’、RH’’’は互いに同じかまたは異なり、独立して各出現ごとに水素原子またはC〜C炭化水素基である)などの置換基であり、
- n、n、nは独立して0〜4の間から選択される整数であり、
- nは0〜10の整数である)、
およびそれらの混合
の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーFが
式:
【化7】

(式中、
- Qは0〜12個の炭素原子の二価基であり、Qは、骨格に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含有することが可能であり、
- R’Hf、R’’ Hf、R’’’ Hfは互いに同じかまたは異なり、独立してHまたはC1〜4アルキル基であり、
- Rは、4〜20個の炭素原子を含む直鎖または分岐、環式または非環式のパーフルオロ脂肪族基である)
の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]から誘導された反復単位を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマー(F)が、鎖Rを含むフルオロケミカルウレタン化合物、すなわち、少なくとも1種の多官能イソシアネート化合物、少なくとも1種の親水性ポリオキシアルキレン(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー)、および1個のイソシアネート反応性官能基(例えば、−OH、−NH、−SH、−COOH、−NRH、ここでRはC〜Cアルキル基である)およびパーフルオロアルキル鎖Rを有する少なくとも1種のフッ化炭化水素一官能性化合物の反応から誘導される化合物、の中から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
テキスタイル基材の処理のための請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
前記テキスタイル基材が、天然繊維、例えば、コットン、ウール、モヘア、リネン、ジュート、シルク、ラミー、サイザル麻、ケナフなどに基づくテキスタイル基材、および合成繊維、例えば、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエステル、アジロン、ニトリル、ポリアミドおよびオレフィンなどに基づくテキスタイル基材である請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項8または9に記載の処理から得られたテキスタイル基材。

【公表番号】特表2010−526926(P2010−526926A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507901(P2010−507901)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055838
【国際公開番号】WO2008/138927
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・ソレクシス・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】