説明

フッ素化界面活性剤の水性組成物、及びその使用方法

以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表される界面活性剤を含む水性組成物であって、式中、Rは、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;Qは、F及びCFからなる群から選択され;Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;Xi+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;mは1、2、又は3であり;nは0又は1であり;pは、1〜6の整数である。いくつかの態様では、水性組成物が、非フッ素化ポリマーを含み、フルオロポリマーを実質的に含まない。他の態様では、水性組成物は、11を超えるpHを有する。他の態様では、水性組成物は、少なくとも8のpHを有し、フッ素化オレフィンを実質的に含まない。表面のコーティング方法、及び組成物と接触する表面を有する物品が提供される。界面活性剤を含む水性組成物を使用する表面の洗浄方法、及び11を超えるpHを有する液体の表面張力を減少させる方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フッ素化界面活性剤は、長年にわたって、様々な用途(例えば、コーティング、剥離剤組成物、及び乳化重合)において幅広く使用されている。配合物(例えば、コーティング配合物又は剥離剤配合物)にフッ素化界面活性剤を加えることで、例えば、濡れ挙動、平滑特性、及び保存安定性(例えば、相分離に対して)が改善されることによって、配合物の特性が向上され得る。影響を受ける特定の特性は、例えば、それぞれの界面活性剤における特定の組成物及び特定の配合物によって決まる。
【背景技術】
【0002】
コーティングの用途において、平滑剤として有用である界面活性剤は、配合物の表面エネルギーを低下させ、乾燥中に、その表面エネルギーをほぼ一定に維持する。しかしながら、広くは、溶媒又は配合物の表面張力(即ち、界面活性剤の強度)を低下させる界面活性剤の能力は、界面活性剤がコーティング配合物において平滑剤として良好に機能するかどうかを決定するのにほとんど役に立たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来より、幅広く使用される多くのフッ素化界面活性剤としては、長鎖ペルフルオロアルキル基(例えば、ペルフルオロオクチル基)が挙げられる。しかしながら、近年、業界は、ペルフルオロオクチルフッ素化界面活性剤を使用しない傾向にあり、その結果、様々な用途に使用することができる新しいタイプの界面活性剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本発明は、非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む水性組成物を提供し、該界面活性剤は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表され、
式中、
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qは、F及びCFからなる群から選択され;
Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tは、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mは、1、2、又は3であって;
nは、0又は1であって;
pは、1〜6の整数であって;
前記水性組成物が、フルオロポリマーを実質的に含まない。他の態様では、本発明は、表面のコーティング方法を提供し、該方法は、表面に本発明による水性組成物を適用することを含む。
【0005】
他の態様では、本発明は、表面を有する物品を提供し、該表面の少なくとも一部分は、非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む組成物と接触し、該界面活性剤は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFHーO−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表され、
式中、
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qは、F及びCFからなる群から選択され;
Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tは、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mは、1、2、又は3であって;
nは、0又は1であって;
pは、1〜6の整数であって、
前記組成物が、フルオロポリマーを実質的に含まない。
【0006】
他の態様では、本発明は、11を超える(いくつかの実施形態では、12を超え、更には13を超える)pHを有する水性組成物を提供し、該水性組成物は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表される界面活性剤を含み、
式中、
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qは、F及びCFからなる群から選択され;
Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tは、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0の際、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mは、1、2、又は3であって;
nは、0又は1であって;
pは、1〜6の整数である。
【0007】
いくつかの実施形態では、水性組成物は、フルオロポリマーを含まない。
【0008】
他の態様では、本発明は、表面の洗浄方法を提供し、該方法は、表面を以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表される界面活性剤を含む水性組成物と接触させることを含み、
式中、
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qは、F及びCFからなる群から選択され;
Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tは、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mは、1、2、又は3であって;
nは、0又は1であって;
pは、1〜6の整数である。
【0009】
いくつかの実施形態では、表面の洗浄が、表面の少なくとも一部分からコーティングを除去することを含み、表面を接触させることが、コーティングを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、水性組成物は、少なくとも8(いくつかの実施形態では、少なくとも9、10、11、12又は13)のpHを有する。いくつかの実施形態では、水性組成物が、8〜10の範囲内(いくつかの実施形態では、10〜13)のpHを有する。
【0010】
他の態様では、本発明は、11を超えるpHを有する液体の表面張力を減少させる方法を提供し、該方法は、前記液体を界面活性剤と混合して、液体の表面張力を減少させることを含み、該界面活性剤は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表され、
式中、
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qは、F及びCFからなる群から選択され;
Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mは、1、2、又は3であって;
nは、0又は1であって;
pは、1〜6の整数である。
【0011】
他の態様では、本発明は、少なくとも8のpHを有する水性組成物を提供し、該水性組成物は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択される式で表され、
式中、
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qは、F及びCFからなる群から選択され;
Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mは、1、2、又は3であって;
nは、0又は1であって;
pは、1〜6の整数であって、
前記水性組成物は、フルオロポリマー及びフッ素化オレフィンを実質的に含まない。
【0012】
前述の態様のうち、いくつかの実施形態では、tが1であり、Rが、
1〜6個の炭素原子を有する完全にフッ素化された脂肪族基;及び
式:
−[OR−[OR−、で表される完全にフッ素化された基からなる群から選択され、
式中、
は、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であって、xとyとの合計が、少なくとも1である。
【0013】
前述の態様のうち、他の実施形態では、tは0であり、Rは、式:
−[OR−[OR−O−CF−、で表される完全にフッ素化された基であって、
式中、
は、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である。
【0014】
本発明の様々な態様におけるいくつかの実施形態で使用される界面活性剤は、例えば、水酸化ナトリウム及びモノエタノールアミンを含有するアルカリ性の配合物中で表面張力を低下させるような、苛酷な環境において有用であることが示されている。また、本発明の様々な態様に使用される界面活性剤は、典型的には、例えば、床仕上げ材配合物におけるコーティング添加剤として有用なものとする平滑特性を有している。いくつかの実施形態では、本発明の様々な態様で使用される界面活性剤は、部分的にフッ素化されており、より多くの連続的にペルフルオロ化された炭素原子を有する完全にフッ素化された界面活性剤と同程度に水の表面張力を意外にも低下させる。
【0015】
前述の態様のうちのいくつかでは、本発明による及び/又は本発明を実施するのに有用な水性組成物は、フルオロポリマーを実質的に含まない。本出願において、「フルオロポリマーを実質的に含まない」とは、組成物が、水性組成物の総重量の1重量%未満(いくつかの実施形態では、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1重量%未満)のフルオロポリマーを有することを意味する。用語「フルオロポリマー」には、ポリテトラフルオロエチレン、並びに、以下のモノマー単位:テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、又はフッ化ビニリデン、のうちの少なくとも1つを含むホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。
【0016】
前述の態様のうちのいくつかでは、本発明による及び/又は本発明を実施するのに有用な水性組成物は、フッ素化オレフィンを実質的に含まない。本出願において、「フッ素化オレフィンを実質的に含まない」とは、組成物が、水性組成物の総重量の1重量%未満(いくつかの実施形態では、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1重量%未満)のフッ素化オレフィンを有することを意味する。用語「フッ素化オレフィン」は、部分的及び完全にフッ素化されたオレフィンを含み、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、又はフッ化ビニリデン、のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
本発明による水性組成物は、水を含み、任意で少なくとも1つの有機溶媒を更に含んでよい。本明細書で使用されるとき、用語「溶媒」は、25℃で混合される際に、少なくとも部分的に水性組成物を溶媒に溶解することができる均質な液体材料を指す。
【0018】
本出願では、特に指定のない限り、全ての数値範囲は、終点を含むものとする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+ I;
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+ II;
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+ III;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+ IVからなる群から選択される式で表される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、式I、II、及びIVからなる群から選択される式で表される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、1モル当たり最大600グラム(いくつかの実施形態では、1モル当たり最大500、400、又は更には最大300グラム)の分子量を有するアニオン部分を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明に有用な界面活性剤は、ペルフルオロヘプチル基(例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)を有する界面活性剤よりも、ラットへの投与後の腎クリアランスが改善されている。
【0023】
は、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表す。Rは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖及び分岐状の脂肪族基を含む。いくつかの実施形態では、Rは、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する、完全にフッ素化された脂肪族基を表す。いくつかの実施形態では、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断される完全にフッ素化された脂肪族基であって、酸素原子間の脂肪族基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有し、末端の脂肪族基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Rは、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子及び最大2個の水素原子を有する部分的にフッ素化された脂肪族基である。いくつかの実施形態では、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断される、最大2個の水素原子を有する部分的にフッ素化された脂肪族基であり、酸素原子間の脂肪族基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有し、末端の脂肪族基は、最大6個(いくつかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Rは、直鎖である。
【0024】
式I、II及びIIIのうちのいくつかの実施形態では、Rは、式:
−[OR−[OR−、で表される。
【0025】
は、1〜6個(いくつかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基である。R及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンである。x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であって、xとyとの合計は、少なくとも1である。
【0026】
式I、II及びIIIのうちのいくつかの実施形態では、Rは、式
−[OR−[OR−O−CF−、で表される。
【0027】
は、1〜6個(いくつかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基である。R及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンである。a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である。
【0028】
式I、II及びIIIのうちのいくつかの実施形態では、Rは、式
−(OCF−、で表され、式中、pは、1〜6(いくつかの実施形態では、1〜4)の整数であって、Rは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子及び1又は2個の水素原子を有する部分的にフッ素化された脂肪族基、及び1、2、3又は4個の炭素原子を有する完全にフッ素化された脂肪族基からなる群から選択される。
【0029】
式I、II及びIIIのうちのいくつかの実施形態では、Rは、式:
−O−(CF−、で表され、式中、qは、1〜6(いくつかの実施形態では、1〜4)の整数であって、Rは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子及び1又は2個の水素原子を有する部分的にフッ素化された脂肪族基、及び1、2、3又は4個の炭素原子を有する完全にフッ素化された脂肪族基からなる群から選択される。
【0030】
式II及びIIIにおけるいくつかの実施形態では、Qは、Fである。他の実施形態では、Qは、CFである。
【0031】
式II及びIIIでは、Rは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択される。アルキレンは、1〜10個(いくつかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有する直鎖、分枝状、及び環状のアルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、Rは、メチレンである。いくつかの実施形態では、Rは、エチレンである。アリーレンは、1又は2個の芳香環を有し、任意で少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O又はS)を環内に有し、任意で少なくとも1つのアルキル基又はハロゲン原子で置換される基を含む。いくつかの実施形態では、Rは、フェニレンである。
【0032】
i+は、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表す。いくつかの実施形態では、Xi+は、H(即ち、カルボン酸)である。いくつかの実施形態では、Xi+は、NH又は有機アンモニウム塩である。いくつかの実施形態では、Xi+は、アルカリ金属のカチオン(例えば、Li、Na、又はK)である。いくつかの実施形態では、Xi+は、アルカル土類金属のカチオン(例えば、Ca2+又はMg2+)である。
【0033】
式I、II及びIIIでは、tは0又は1である。いくつかの実施形態では、tは0である。tが0であるいくつかの実施形態では、Rは、少なくとも1つの酸素原子で中断される。
【0034】
式I、II及びIIIでは、mは1、2又は3である。いくつかの実施形態では、mは1である。
【0035】
式Iでは、nは0又は1である。いくつかの実施形態では、nは1である。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、式IVで表される。式IVでは、pは1〜6の整数である。いくつかの実施形態では、pは1、2、5又は6である。いくつかの実施形態では、pは3である。いくつかの実施形態では、pは1又は2である。いくつかの実施形態では、pは5又は6である。いくつかの実施形態では、式IVの界面活性剤は、以下:
[CFCFH−O−(CF−COOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、式Iで表される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、以下:
[C−O−CHF−COOi+
[CF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+;及び
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。他の実施形態では、界面活性剤は、以下:
[CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+;及び
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。他の実施形態では、界面活性剤は、以下:
[CF−O−CF−CHF−COOi+
[C−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+;及び
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。これらの実施形態の他では、界面活性剤は、以下:
[CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[C−O−CF−CHF−CF−COOi+
[C−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+;及び
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。他の実施形態では、界面活性剤は、以下:
[CF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF)−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+;及び
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、式IIで表される。いくつかの実施形態では、QはFであり、mは1であり、Rはアルキレンである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、以下:
[CF−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[C−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[C−O−CHF−CF−O−CH−CH−COOi+
[C−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOi+;及び
[C−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOi+からなる群から選択され、
式中、Xi+は、上記した通りである。これらの実施形態の他では、界面活性剤は、式:[C−O−CF−CHF−CF−OCHCOOi+、で表され、式中、Xi+は、上記した通りである。これらの実施形態の他では、界面活性剤は、以下:
[CF−CHF−CF−O−CHCOOi+;及び
[C−CF−CHF−CF−OCH−COOi+
からなる群から選択され、式中、Xi+は、上記した通りである。
【0039】
本発明を実施するのに有用な界面活性剤は、既知の出発材料から容易に調製することが可能である。例えば、界面活性剤は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+ I;
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+ II;及び
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+ III
からなる群から選択される式で表され、式Vのフッ素化オレフィンから調製することが可能であり、
−(O)−CF=CF V、
式中、R及びtは、上記した通りである。多くの式Iの化合物(例えば、ペルフルオロ化ビニルエーテル及びペルフルオロ化アリルエーテル)が既知であり、その多くは商業的供給源(例えば、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム・カンパニー(3M Company)、及びデラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から入手することが可能である。他は、既知の方法(例えば、米国特許第5,350,497号(ハング(Hung)ら)及び同6,255,536号(ウォーム(Worm)ら)によって調製することができる。
【0040】
例えば、式Vのフッ素化オレフィンと塩基(例えば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、及びアルカリ土類金属水酸化物)とを反応させることによって、式Iに従う(式中、nは0である)フッ素化カルボン酸及びそれらの塩を調製することが可能である。あるいは、例えば、式Vのフッ素化オレフィンは、アルカリ媒体中で脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール及びt−ブタノール)と反応することが可能であり、生じたエーテルは酸性条件下で分解して、式I(式中、nは0である)のフッ素化カルボン酸をもたらすことが可能である。式I(式中、nは1である)に従うフッ素化カルボン酸は、例えば、式Vのフッ素化オレフィンとメタノールとのフリーラジカル反応と、それに続く、従来の方法を用いて生じる反応生成物の酸化によって調製することが可能である。これらの反応の条件は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載される通りであり、その開示における式Iの化合物の調製に関しては、本明細書に参照として組み込まれる。
【0041】
式II及びIIIのフッ素化カルボン酸及びスルホン酸、及びそれらの塩は、例えば、式Vのフッ素化オレフィンと式VIのヒドロキシル化合物とを反応させることで調製することが可能であり、以下の反応によって式VIIの化合物を形成する:
【0042】
【化1】

【0043】
式中、R及びtは、上記した通りであり、mは1、2、又は3であり、Rはアルキレン又はアリーレンであり、Zはカルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、カルボキサミド、スルホン酸、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、及びスルホンアミドからなる群から選択される基を表す。式VIの化合物は、例えば、商業的供給源から入手可能であるか、既知の方法によって調製が可能である。反応は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(ヒンツァー(Hintzer)ら)に記載される条件下で実施されることが可能であり、式II及びIIIの化合物の調製に関しての開示は、本明細書中に参照として組み込まれる。
【0044】
典型的には、Zは、カルボン酸エステル(例えば、アルキル基において1〜4個の炭素原子を有するアルキルエステル)を表す。エステルの加水分解は、例えば、酸性又は塩基性条件下で行なわれてよく、一般に中間化合物のアルコール酸性又はアルコール塩基性溶液中で行なわれる。あるいは、中間化合物は、他の水混和性有機溶媒(例えば、ケトン、エーテル)の酸性溶液又は塩基性溶液中で加水分解されてよい。典型的には、アルコール溶液(例えば、アルカリ金属水酸化物を含有するメタノール又はエタノール)が使用される。典型的には、加水分解は、室温で行なわれるが、例えば、溶液の沸点以下の高温を使用することも可能である。
【0045】
式IVに従うフッ素化カルボン酸及びそれらの塩は、例えば、以下の反応によって、二官能性ペルフルオロ化酸フッ化物を脱カルボニル化することで調製することが可能である:
【0046】
【化2】

【0047】
この反応は、典型的には、既知の方法(例えば、米国特許第3,555,100号(ガース(Garth)ら)が参照され、この開示は、二官能性酸フッ化物の脱カルボニルに関して、本明細書に参照として組み込まれる)によって、水及び塩基(例えば、金属水酸化物又は金属炭酸塩)の存在下で高温において行なわれる。
【0048】
式VIIIの化合物は、例えば、式IXのペルフルオロ化された二塩基酸フッ化物とヘキサフルオロプロピレンオキシドとを以下の反応によって結合することで得られる:
【0049】
【化3】

【0050】
式IXの化合物は、例えば、式:CHOCO(CHp−1COOCHの二官能性エステル、又は以下の式のラクトンの電気化学的フッ素化又は直接フッ素化によって得られる:
【0051】
【化4】

【0052】
電気化学的フッ素化を行うための一般的な手順は、例えば、米国特許出願第2,713,593号(ブライス(Brice)ら)及び国際公開第98/50603号に記載される。直接フッ素化を行うための一般的な手順は、例えば、米国特許第5,488,142号(フォール(Fall)ら)に記載される。
【0053】
本発明を実施するのに有用なフッ素化界面活性剤は、濃縮に配合(例えば、水又は溶媒のうちの少なくとも1つにおいて)されてよく、フッ素化界面活性剤は、液体のフッ素化界面活性剤濃縮物の総重量の少なくとも10、20、30、更には少なくとも40重量%の量で存在する。濃縮物を調製する技術は、当該技術分野において周知である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明による水性組成物は、非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む。これらの組成物は、例えば、コーティング(例えば、床仕上げ材、ワニス、自動車用コーティング、船舶用コーティング、シーラー、プラスチックレンズのハードコート、金属缶又は金属コイル用コーティング、及びインク)として有用であり得る。水性配合物において(例えば、コーティング用)使用されるとき、式I、II、III又はIVの界面活性剤は、例えば、溶液又は分散液の重量の約0.001〜約1重量パーセント(重量%)、約0.001〜約0.5重量%、又は約0.01〜0.3重量%の最終濃度で水溶液又は分散液に配合されることが可能である。式I、II、III又はIVの界面活性剤は、典型的には、基材表面におけるコーティング(水性コーティング)の湿潤性及び/又は平滑性を向上し、コーティング配合物中の構成成分(例えば、増粘剤又は顔料)の分散性をより良好にすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明による水性組成物(例えば、コーティング用)は、典型的には膜形成ポリマーである少なくとも1つの非フッ素化ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、本発明による物品は、表面を有し、その表面の少なくとも一部分は非フッ素化ポリマーと接触する。好適な非フッ素化ポリマーの例としては、アクリルポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート−co−メチルエチルアクリレート)又はポリ(メチルアクリレート−co−アクリル酸);ポリウレタン(例えば、脂肪族、脂環式又は芳香族ジイソシアネートとポリエステルグリコール又はポリエーテルグリコールとの反応生成物);ポリオレフィン(例えば、ポリスチレン);スチレンとアクリレート(単数又は複数)との共重合体(例えば、ポリ(スチレン−co−ブチルアクリレート);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート又はポリカプロラクトン);ポリアミド(例えば、ポリへキサメチレンアジパミド);ビニルポリマー(例えば、ポリ(ビニルアセテート/メチルアクリレート)、ポリ(ビニリデンクロライド/ビニルアセテート));ポリジエン(例えば、ポリ(ブタジエン/スチレン));セルロースエーテル及びセルロースエステルを含むセルロース系誘導体(例えば、エチルセルロース、又はセルロースアセテート/セルロースブチラート)、ウレタン−アクリレート共重合体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。このようなポリマーの水性エマルション又はラテックスを調製する方法及び材料は周知であり、商業的供給源から入手可能である。いくつかの実施形態では、非フッ素化ポリマーは、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、又はスチレン−アクリレート共重合体のうちの少なくとも1つである。
【0056】
いくつかの実施形態では、非フッ素化ポリマー及び式I、II、III又はIVの界面活性剤を含む本発明による水性組成物は、多価アルコールのエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、2−ブトキシエタノール(即ち、ブチルセロソルブ(butyl cellusolve))、又はジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(DPM))のエステル;アルキレングリコール及びポリアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール);及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(例えば、テネシー州キングスポート(Kingsport)のイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から、商品名「テキサノール(TEXANOL)」として入手可能なエステルアルコール)を含む、1つ以上の共溶媒(例えば、凝集溶媒)を含有する。配合物に付加することができる他の水相溶性有機溶媒としては、1〜4個の炭素原子を有するアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はイソブタノール);アミド及びラクタム(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はN−メチルピロリドン);ケトン及びケトアルコール(例えば、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール);エーテル(例えば、テトラヒドロフラン又はジオキサン);1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
用途に応じて、本発明による水性組成物は、少なくとも1つの添加剤(例えば、殺生物剤、充填剤、追加の平滑剤、乳化剤、消泡剤、防食剤、分散剤、及びさび止め剤)を含んでもよい。水性組成物は、任意で少なくとも1つの顔料を含んでもよい。
【0058】
本発明による水性組成物が表面に適用される(例えば、コーティング用途において)とき、典型的には、水及び溶媒は蒸発し、ポリマー粒子は凝結して連続薄膜を形成する。本発明の水性組成物は、表面に適用され、乾燥され、任意で加熱されることが可能であり、それにより表面に固体コーティングがもたらされる。本発明によるフッ素化界面活性剤を付加することで、基材を湿潤させるコーティング能力が改善され、及び/又は、膜の形成中に均等に水を蒸発(即ち、平滑化)させることで、いくつかの配合物の膜形成特性を改善することができる。本発明のフッ素化界面活性剤によって、最終的な固体コーティングに腐食耐性特性が付与され、基材が金属基材(例えば、電子的構成要素)である場合、更なる利益がもたらされ得る。
【0059】
非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む本発明による水性組成物としては、床磨き剤及び床仕上げ材、様々な基材(例えば、木床)用ワニス、写真フィルムの製造において適用される水性ゲル、自動車用又は船舶用コーティング(例えば、プライマー、ベースコート、又はトップコート)、多孔質基材(例えば、木、コンクリート、又は天然石)用シーラー、プラスチックレンズにおけるハードコート、金属基材用コーティング(例えば、缶、コイル、電子的構成要素、又は標識)、インク(例えば、ペン又はグラビア、スクリーン、又は感熱印刷用)、及び電子デバイスの製造において使用されるコーティング(例えば、フォトレジストインク)が挙げられる。水性組成物は、透明であるか、着色されてよい。
【0060】
非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む本発明による水性組成物は、例えば、アミン安定化床仕上げ材配合物のようなアルカリ水性コーティング配合物として有用であり得る。
【0061】
非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む水性組成物を使用する本発明による表面のコーティング方法は、当業者に既知の様々な適用方法(例えば、ブラッシング、モッピング、バーコーティング、スプレー、ディップコーティング、グラビアコーティング及びロールコーティング)を使用して行なわれることが可能である。
【0062】
本発明による表面のコーティング方法、又は本発明による表面の洗浄方法のうち、いくつかの実施形態では、表面は、ビニル組成物タイル、ビニルシート床、リノリウム、ゴムシーティング、ゴムタイル、コルク、合成スポーツ用床及びビニルアスベストタイル、及び、テラゾ、コンクリート、木床、竹、合板、工業用木製品(例えば、木/エポキシ混合物、ノースカロライナ州ローリー(Raleigh)のペルゴ社(Pergo)から商品名「ペルゴ(PERGO)」及びカリフォルニア州ガーデナ(Gardena)からディアン社(DIAN)の商品名「パークエット・バイ・ディアン(PARQUET BY DIAN)」で入手可能であるような永続的にコーティングされた基材)のような非弾力性床基材、石、大理石、石板、セラミックタイル、グラウト、及び乾式振動床のうちの少なくとも1つを含む床表面である。
【0063】
本発明による表面の洗浄方法は、表面を式I、II、III又はIVの界面活性剤を含む水性組成物と接触させることを含む。界面活性剤は、表面の湿潤性を改善し、汚染を取り除くことができる。本明細書による表面の洗浄方法としては、水性組成物は、典型的には、水性組成物の総重量の約0.001〜約1重量%、又は約0.001〜約0.5重量%の界面活性剤(即ち、式I、II、III又はIV)を含むように配合される。硬表面の洗浄において、式I、II、III又はIVの界面活性剤を含む水性組成物は、窓ガラス、鏡、又はセラミックタイルなどの硬表面にスプレー(例えば、スプレー缶から)されるか、ないしは別の方法で適用され、表面は、紙又は布地ワイプで綺麗に拭き取られる。汚染された部分は、水性組成物に浸されるか、浸漬されてもよい。電子材料の製造に使用される洗浄方法において、典型的には、水性組成物は槽中に配置され、電子部品は、その槽に浸漬されるか、若しくはコンベヤーベルト上の槽を通過する。いくつかの実施形態では、洗浄される表面には、床表面又はデック表面が含まれる。
【0064】
本発明による水性組成物及び/又は本発明を実施するのに有用な水性組成物(例えば、コーティング又は洗浄溶液配合物)において前述された実施形態のいずれか、及び本発明による物品において前述された実施形態のいずれかにおいて、式I、II、III又はIVの界面活性剤は、所望のように表面張力を減少させるか、又は湿潤性を改善するために、個別又は非フッ素化界面活性剤(例えば、炭化水素又はシリコーン界面活性剤)と組み合わせて使用されることが可能である。有用な補助界面活性剤は、例えば、D.R.カーサ(D.R.Karsa)編、「インダストリアル・アプリケーションズ・オブ・サーファクタンツ(Industrial Applications Of Surfactants)」、(ロンドン)、ロイヤルソサエティ・オブ・ケミストリー(Royal Society of Chemistry)、及び、M.ロゼン(M. Rosen)著、「サーファクタンス・アンド・インターフェーシャルフェノミナ(Surfactants and Interfacial Phenomena)」、(ニューヨーク)、ワイリー・インターサイエンス(Wiley-Interscience)で見出すことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明による表面の洗浄方法は、表面からコーティングを除去することを含む。いくつかの実施形態では、表面には、床表面又はデック表面が含まれる。これらの実施形態では、表面の接触には、コーティングと、式I、II、III又はIVの界面活性剤を含む水性組成物を含む水性組成物とを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、床仕上げ材(例えば、亜鉛を含み得るアミン安定化アクリル)である。理論に束縛されることを望むものではないが、亜鉛は、アクリルに存在するカルボキシル基において架橋剤として機能し、耐久性のあるハードコーティングを形成すると考えられる。本発明による方法を使用して除去され得る床仕上げ材の例としては、例えば、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のエコラブ社(Ecolab Inc.)から商品名「ゲムスターレーザー(GEMSTAR LASER)」及び「タジマハル(TAJ MAHAL)」;ウィスコンシン州スターテバント(Sturtevant)のブッチャース(Butchers)から商品名「ハイヌーン(HIGH NOON)」;ミズーリ州メリーランドヘイツ(Maryland Heights)のバッカイインターナショナル社(Buckeye International, Inc.)から商品名「サイテーション(CITATION)」;ウィスコンシン州ラシーン(Racine)のSCジョンソン(SC Johnson)から商品名「コンプリート(COMPLETE)」、「シグネチャー(SIGNATURE)」、「テクニーク(TECHNIQUE)」及び「ベクトラ(VECTRA)」;イリノイ州アディソン(Addison)のミニットマン・インターナショナル社(Minuteman, International, Inc.)から商品名「スプレンダー(SPLENDOR)」、「ディケイド90(DECADE 90)」、「プライムシャイン(PRIME SHINE)」、「ウルトラ(ULTRA)」及び「プレミア(PREMIER)」;及びオハイオ州トリード(Toledo)のスパルタン・ケミカル社(Spartan Chemical Co.)の商品名「アッパーリミッツ(UPPER LIMITS)」などで入手可能なアクリル仕上げ材、及び、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム(3M)から商品名「コーナーストーン(CORNERSTONE)」及び「トップライン(TOPLINE)」などで入手可能な床仕上げ材、及びミニットマン・インターナショナル社(Minuteman, International, Inc.)の商品名「フォートレス(FORTRESS)」などで入手可能なウレタンアクリレート仕上げ材が挙げられる。
【0066】
典型的には、本発明の水性組成物は、例えば、少なくとも8(いくつかの実施形態では、少なくとも9、10、11、12又は13)のpHを有する表面からコーティングを除去する(即ち、剥離剤組成物として)のに有用である、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溶媒、及び式I、II、III又はIVの界面活性剤を含む。本発明による水性組成物のいくつかの実施形態では、水性組成物は、11を超えるpHを有する。例えば、金属の架橋結合を破壊し、剥離剤組成物が床仕上げ材を溶解するために付加され得る腐食剤及び/又はモノエタノールアミンが存在することによって、剥離剤配合物中は高アルカリ性となる。モノエタノールアミンの典型的な濃度は、組成物の総重量の1〜5重量%で含まれる。
【0067】
少なくとも1つの溶媒は、本発明による水性組成物のいくつかの実施形態では、組成物の総重量の5〜15重量%の典型的な濃度で存在し得る。代表的な溶媒としては、2−ブトキシエタノール(例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)の完全子会社であるユニオンカーバイド(Union Carbide Corporation)から商品名「ブチルセルソルブ(BUTYL CELLOSOLVE)」で入手可能)、アセトアミドフェノール、アセトアニリド、アセトフェノン、2−アセチル−1−メチルピロ―ル、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ベンジルオキシエタノール、例えば、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)から商品名「ダウアノールEPH(DOWANOL EPH)」で市販されているエチレングリコールフェニルエーテル、例えば、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)から商品名「ダウアノールPPH(DOWANOL PPH)」で市販されているプロピレングリコールフェニルエーテル、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、酢酸アミル、アミルアルコール、ブタノール、3−ブトキシエチル−2−プロパノール、酢酸ブチル、プロピオン酸n−ブチル、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジエトキシエタノール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジイソブチルカルビノール、ジイソブチルケトン、ジメチルヘプタノール、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコール−t−ブチルエーテル、エタノール、酢酸エチル、2−エチルへキサノール、プロピオン酸エチル、エチレングリコールブチルエーテル、酢酸エチレングリコールメチルエーテル、へキサノール、イソブタノール、酢酸イソブチル、イソブチルヘプチルケトン、イソホロン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルアミルアルコール、メチル−n−アミルケトン、2−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−ペンタノール、プロピオン酸−n−ペンチル、1−プロパノール、酢酸−n−プロピル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、及び、例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)から商品名「ブトキシエチルプロパソール(BUTOXYETHYL PROPASOL)」、「酢酸ブチルカルビトール(BUTYL CARBITOL ACETATE)」、「ブチルカルビトール(BUTYL CARBITOL)」、「酢酸ブチルセルソルブ(BUTYL CELLOSOLVE ACETATE)」、「ブチルディプロパソール(BUTYL DIPROPASOL)」、「ブチルプロパソール(BUTYL PROPASOL)、「カルビトールPM−600(CARBITOL PM-600)」、「カルビトール・ロー・グラビティ(CARBITOL LOW GRAVITY)」、「酢酸セロソルブ(CELLOSOLVE ACETATE)」、「エステルEEP(ESTER EEP)」、「フィルマーIBT(FILMER IBT)」、「ヘキシルカルビトール(HEXYL CARBITOL)」、「ヘキシルセロソルブ(HEXYL CELLOSOLVE)」、「メチルカルビトール(METHYL CARBITOL)」、「酢酸メチルセロソルブ(METHYL CELLOSOLVE ACETATE)」、「メチルセロソルブ(METHYL CELLOSOLVE)」、「メチルディプロパソール(METHYL DIPROPASOL)」、「酢酸メチルプロパソール(METHYL PROPASOL ACETATE)」、「メチルプロパソール(METHYL PROPASOL)」、「プロピルカルビトール(PROPYL CARBITOL)」、「プロピルセロソルブ(PROPYL CELLOSOLVE)」、「プロピルディプロパソール(PROPYL DIPROPASOL)」、及び「プロピルプロパソール(PROPYL PROPASOL)」などで市販されている溶媒が挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明による水性組成物(例えば、剥離剤組成物)の他の成分は、水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、又はアルキル塩のうちの少なくとも1つを、例えば、それぞれ組成物の総重量の1〜5%で含む。いくつかの実施形態では、本発明の水性組成物及び/又は本発明を実施するのに有用な水性組成物(例えば、剥離剤組成物)は、典型的には、組成物の総重量の0.1〜1重量%の濃度で非フッ素化界面活性剤を含む。有用な非フッ素化界面活性剤としては、カリウムアルキルアルコキシアルカノレート(例えば、ニュージャージー州パターソン(Patterson)のモナ・インダストリーズ(Mona Industries)から商品名「モナNF10(MONA NF10)」で入手可能)及び界面活性剤(例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から商品名「タージロール・ミンフォーム1x(TERGITOL MINFOAM 1X)で入手可能)が挙げられる。一般に、界面活性剤は、床から剥離剤を吸引する必要があるため、低気泡性であることが望ましい。
【0069】
本発明による水性組成物及び/又は本発明を実施するのに有用な水性組成物(例えば、剥離剤組成物)は、消泡剤、結合剤(例えば、キシレンスルホン酸ナトリウム及びオクタンスルホン酸ナトリウム)、増粘剤、香料、及び着色剤などの様々な補助剤を含有してもよい。コネチカット州ノーウォーク(Norwalk)のR.T.ヴァンダービルト社(R.T. Vanderbilt Co.)から商品名「ビーガムT(VEEGUM T)」で販売されているケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの増粘剤は、組成物の総重量の0.3〜約0.6重量%で使用され得る好適な増粘剤である。他の代表的な市販の水性増粘剤としては、キサンタンガム(例えば、テキサス州ヒューストン(Houston)のCP・ケルコ(CP Kelco)から商品名「ケルザン(KELZAN)」及びR.T.ヴァンダービルト社(R.T. Vanderbilt Co.)から商品名「バンザン(VANZAN)」で入手可能);ジウタンガム(例えば、CP・ケルコ(CP Kelco)から商品名「ゲオビスXT(GEOVIS XT)」で入手可能);ゲルランガム(例えば、CP・ケルコ(CP Kelco)から商品名「ケルコゲル(KELCOGEL)」で入手可能);カラーギナンガム(例えば、CP・ケルコ(CP Kelco)から商品名「ゲヌビスコX−906−02(GENUVISCO X-906-02)」で入手可能)及び親水コロイド(例えば、ノベオン(Noveon, Inc.)から商品名「ノベガムC865(NOVEGUM C865)」で入手可能)が挙げられる。
【0070】
表面からコーティングを除去する方法は、当該技術分野において既知の方法を使用して行うことができる。例えば、本発明による水性組成物(例えば、剥離剤組成物)は、モップで適用され、仕上げ材はフロアマシンで除去され、掃除機で集められる。あるいは、仕上げ材はモップオン型又はモップオフ型であってよい。例えば、ウレタン系仕上げ材のようないくつかの床仕上げ材は、アクリル床仕上げ材に必要とされるよりも長い時間、剥離剤組成物と接触する必要がある可能性がある。
【0071】
本発明の利点及び実施形態について以下の非限定的な実施例によって更に説明するが、これらの実施例において記載した特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0072】
調製1:CFO(CFOCHFCFCOOK
攪拌棒、濃縮器、及び温度計を備えた100mLの3つ口フラスコに、CFO(CFOCHFCFCOOCH(19.6グラム、50.0nミリモル)、15グラムのエタノール、2.8グラム(50ミリモル)の水酸化カリウム、及び2グラムの水を加えた。反応混合物を加熱マントル上で加熱し、40℃で6時間攪拌した。透明で無色のCFO(CFOCHFCFCOOKを得た。
【0073】
この溶液を1000ppmの濃度まで水で希釈した。
【0074】
米国特許出願公開第2007/0142541号(ヒンツァー(Hintzer)ら)の化合物2の合成に記載の方法(この合成についての開示は、本明細書に参照として組み込まれる)に従って、開始化合物CFO(CFOCHFCFCOOCHを調製した。
【0075】
調製2:COCHFCFCOOK
CFO(CFOCHFCFCOOCHの代わりに、16.3グラムのCOCHFCFCOOCHを使用する以外、調製1の手順に従い、COCHFCFCOOKの溶液を調製した。この溶液を1000ppmの濃度まで水で希釈した。
【0076】
米国特許出願公開第2007/0142541号(ヒンツァー(Hintzer)ら)の化合物4の合成に記載の方法(この合成についての開示は、本明細書に参照として組み込まれる)に従って、開始化合物COCHFCFCOOCHを調製した。
【0077】
調製3:CFO(CFOCHFCFCOONa
水酸化カリウムの代わりに、2グラムの水酸化ナトリウム(50ミリモル)を使用する以外は、調製1の手順に従った。
【0078】
調製4:COCHFCFCOONa
CFO(CFOCHFCFCOOCHの代わりに、16.3グラムのCOCHFCFCOOCHを使用し、水酸化カリウムの代わりに、2グラムの水酸化ナトリウム(50ミリモル)を使用する以外、調製1の手順に従った。
【0079】
調製5:CFO(CFOCHFCFCOONH
水酸化カリウムの代わりに、7グラム(50ミリモル)の25重量%の水酸化アンモニウム水溶液を使用する以外は、調製1に従った。
【0080】
調製6:COCHFCFCOONH
CFO(CFOCHFCFCOOCHの代わりに、16.3グラムのCOCHFCFCOOCHを使用し、水酸化カリウムの代わりに、7グラム(50ミリモル)の25重量%の水酸化アンモニウム水溶液を使用する以外は、調製1に従った。
【0081】
クリュスK−12張力計(Kruss K-12 tensiometer)(ドイツ、ハンブルグ(Hamburg)のクリュス社(Kruss GmbH)から入手)を使用して、20℃においてデュヌイ・リング法(Du Nouy ring method)を用いて、調製1〜6の溶液における静的表面張力を測定した。結果を下記の表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
比較のために、1000ppmのペルフルオロへキサン酸カリウムの水溶液における表面張力を測定し、58.5mN/mであることを見出した。
【0084】
(実施例1及び2):
水中で、10重量%の2−ブトキシエタノール、3重量%のメタケイ酸塩、及び1重量%の水酸化ナトリウムの混合物を調製した。この組成物に調製1の界面活性剤を100ppmとなるように加えて実施例1とし、調製1の界面活性剤を500ppmとなるように加えて実施例2とした。上述される方法に従って、実施例1及び2における表面張力を測定した。結果を下記の表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
(実施例3及び4):
水中で、10重量%の2−ブトキシエタノール、3重量%のメタケイ酸塩、及び1重量%の水酸化ナトリウムの混合物を調製した。この組成物に調製2の界面活性剤を100ppmとなるように加えて実施例3とし、調製2の界面活性剤を500ppmとなるように加えて実施例4とした。上述される方法に従って、実施例3及び4における表面張力を測定した。結果を下記の表3に示す。
【0087】
【表3】

【0088】
(実施例5)
イタリアのサッタープロフェッショナル(Sutter Professional)から、水性アクリル系床磨き剤を入手した。この床磨き剤は、フッ素化界面活性剤を含まないように特別に配合してあるものである。200ppmとなるように、調製1の界面活性剤を床磨き剤に加えた。次に、上述される方法に従って、床磨き剤の表面張力を測定し、30.2mN/mであることを見出した。200ppmの調製1の界面活性剤を含有する約5mLの床磨き剤を12インチ×12インチ(30.48cm×30.48cm)のポリビニルクロライド(PVC)シートの中央に適用し、次に、PVCシートの全表面領域を均一に覆うようにガーゼ片で延ばした。次に、床磨き剤コーティングを備えるPVCシートを室温で24時間乾燥させた。PVCシートを目視検査し、表面に窪みのない滑らかなコーティングを有することを見出した。
【0089】
比較のために、フッ素化界面活性剤を加えていない床磨き配合物を使用して、実施例5の手順を行った。上述の方法を用いて床磨き剤配合物の表面張力を測定し、31.6mN/mであることを見出した。床磨き剤をPVCシートに適用した後、24時間乾燥し、PVCシートを目視検査した。PVシートの表面上のコーティングには、窪みがあった。
【0090】
本発明の種々の修正及び変更を本発明の範囲及び趣旨を逸脱せずに当業者によって行ってもよい。本発明は本明細書に記載された例示的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む水性組成物であって、前記界面活性剤が、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+
からなる群から選択される式で表され、
式中、
が、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qが、F及びCFからなる群から選択され;
Rが、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+が、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mが、1、2、又は3であって;
nが、0又は1であって;
pが、1〜6の整数であって;
前記水性組成物が、フルオロポリマーを実質的に含まない、水性組成物。
【請求項2】
前記非フッ素化ポリマーが、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、スチレン−アクリレート共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ビニルポリマー、ポリジエン、又はセルロース系ポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
前記非フッ素化ポリマーが、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、又はスチレン−アクリレート共重合体のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の水性組成物。
【請求項4】
凝集溶媒を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項5】
11を超えるpHを有する水性組成物であって、前記水性組成物が、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+
からなる群から選択される式で表される界面活性剤を含み、
式中、
が、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qが、F及びCFからなる群から選択され;
Rが、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+が、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mが、1、2又は3であって;
nが、0又は1であって;
pが、1〜6の整数である、水性組成物。
【請求項6】
少なくとも8のpHを有する水性組成物であって、前記水性組成物が、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+
からなる群から選択される式で表される界面活性剤を含み、
式中、
が、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qが、F及びCFからなる群から選択され;
Rが、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+が、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mが、1、2又は3であって;
nが、0又は1であって;
pが、1〜6の整数であって、
前記水性組成物が、フルオロポリマー及びフッ素化オレフィンを実質的に含まない、水性組成物。
【請求項7】
tが1であり、Rが、
1〜6個の炭素原子を有する完全にフッ素化された脂肪族基;及び
式:
−[OR−[OR
で表される完全にフッ素化された基からなる群から選択され、
式中、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であって、xとyとの合計が、少なくとも1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項8】
tが0であり、Rが、式:
−[OR−[OR−O−CF
で表される完全にフッ素化された基であって、
式中、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、式:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
で表される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が、式:
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
で表され、
式中、QがFであって、mが1であって、Rがアルキレンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が、式:
[CFCFH−O−(CF−COOi+
で表される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤が、以下:
[C−O−CHF−COOi+
[CF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CHF−COOi+
[C−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[C−O−CF−CHF−CF−COOi+
[C−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+;及び
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤が、以下:
[CF−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[C−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[C−O−CHF−CF−O−CH−CH−COOi+
[C−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOi+
[C−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOi+
[C−O−CF−CHF−CF−OCHCOOi+
[CF−CHF−CF−O−CHCOOi+;及び
[C−CF−CHF−CF−OCH−COOi+
からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項14】
請求項1〜4のいずれか一項、又は請求項1〜4のいずれか一項に従属する請求項7〜13のいずれか一項に記載の水性組成物を表面に適用することを含む、表面のコーティング方法。
【請求項15】
表面を有する物品であって、前記表面の少なくとも一部分が、非フッ素化ポリマー及び界面活性剤を含む組成物と接触し、前記界面活性剤が、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+
からなる群から選択される式で表され、
式中、
が、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qが、F及びCFからなる群から選択され;
Rが、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+が、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mが、1、2、又は3であって;
nが、0又は1であって;
pが、1〜6の整数であって;
前記組成物が、フルオロポリマーを実質的に含まない、物品。
【請求項16】
前記非フッ素化ポリマーが、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、スチレン−アクリレート共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ビニルポリマー、ポリジエン、又はセルロース系ポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記非フッ素化ポリマーが、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、又はスチレン−アクリレート共重合体のうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
tが1であり、Rが、
1〜6個の炭素原子を有する完全にフッ素化された脂肪族基;及び
式:
−[OR−[OR
で表される完全にフッ素化された基からなる群から選択され、
式中、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であって、xとyとの合計が、少なくとも1である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
tが0であり、Rが、式:
−[OR−[OR−O−CF
で表される完全にフッ素化された基であって、
式中、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
前記界面活性剤が、式:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
で表される、請求項15〜19のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記界面活性剤が、式:
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
で表され、
式中、QがFであって、mが1であって、Rがアルキレンである、請求項15〜19のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記界面活性剤が、式:
[CFCFH−O−(CF−COOi+
で表される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
表面の洗浄方法であって、前記方法が、前記表面を以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+
からなる群から選択される式で表される界面活性剤を含む水性組成物と接触させることを含み、
式中、
が、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qが、F及びCFからなる群から選択され;
Rが、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+が、1、2、又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mが、1、2、又は3であって;
nが、0又は1であって;
pが、1〜6の整数である、方法。
【請求項24】
前記表面の洗浄が、前記表面の少なくとも一部分からコーティングを除去することを含み、前記表面を接触させることが、前記コーティングを接触させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コーティングが、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、又はスチレン−アクリレート共重合体のうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水性組成物が、少なくとも8のpHを有する、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
11を超えるpHを有する液体の表面張力を減少させる方法であって、前記方法は、前記液体を界面活性剤と混合して、液体の表面張力を減少させることを含み、前記界面活性剤は、以下:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−SOi+;及び
[CFCFH−O−(CF−COOi+
からなる群から選択される式で表され、
式中、
が、少なくとも1つの酸素原子で任意に中断される、部分的又は完全にフッ素化された脂肪族基を表し;
Qが、F及びCFからなる群から選択され;
Rが、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され;
i+が、1、2又は3である原子価iを有するカチオンを表し;
tが、0又は1であって、前記界面活性剤が、式
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表され、tが0である場合、Rが、少なくとも1つの酸素原子で中断され;
mが、1、2、又は3であって;
nが、0又は1であって;
pが、1〜6の整数である、方法。
【請求項28】
前記液体が、フルオロポリマーを実質的に含まない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
tが1であり、Rが、
1〜6個の炭素原子を有する完全にフッ素化された脂肪族基;及び
式:
−[OR−[OR
で表される完全にフッ素化された基からなる群から選択され、
式中、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数であって、xとyとの合計が、少なくとも1である、請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
tが0であり、Rが、式:
−[OR−[OR−O−CF
で表される完全にフッ素化された基であって、
式中、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化された脂肪族基であって;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化されたアルキレンであって;
a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の値を有する整数である、請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記界面活性剤が、式:
[R−(O)−CHF−(CF−COOi+で表される、請求項23〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記界面活性剤が、式:
{[R−(O)−CQH−CF−O]−R−COOi+
で表され、
式中、QがFであって、mが1であって、Rがアルキレンである、請求項23〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記界面活性剤が、式:
[CFCFH−O−(CF−COOi+
で表される、請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記界面活性剤が、式:
[C−O−CHF−COOi+
[CF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOi+
[CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CHF−COOi+
[C−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOi+
[CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[C−O−CF−CHF−CF−COOi+
[C−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+;及び
[CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOi+
からなる群から選択される、請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記界面活性剤が、式:
[CF−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[C−O−CHF−CF−O−CH−COOi+
[C−O−CHF−CF−O−CH−CH−COOi+
[C−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOi+
[C−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOi+
[C−O−CF−CHF−CF−OCHCOOi+
[CF−CHF−CF−O−CHCOOi+;及び
[C−CF−CHF−CF−OCH−COOi+
からなる群から選択される、請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−528159(P2010−528159A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509509(P2010−509509)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/064307
【国際公開番号】WO2008/147796
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】