説明

フッ素含有廃棄物の処理方法およびフッ素含有廃棄物の処理装置

【課題】フッ素含有廃棄物を別に燃料を必要とすることなく処理でき、他の廃棄物から燃料ガスを回収し有効に利用できるフッ素含有廃棄物の処理方法及びフッ素含有廃棄物の処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄物を回分的に圧縮し圧縮ブロックを成形する圧縮装置20と、熱分解部52、ガス改質部53及び溶融部54を有するガス化溶融炉50と、圧縮ブロックPとフッ素含有液状廃棄物を熱分解部52に供給する供給装置40と、ガス改質部53でガス改質された改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製装置80と、ガス精製装置80で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理装置90とを備え、熱分解部52は、圧縮ブロックPとフッ素含有液状廃棄物とを熱分解・ガス化し、ガス改質部53は、発生したガスをガス改質し、溶融部54は、圧縮ブロックPとフッ素含有液状廃棄物の不燃物を溶融し排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有廃棄物を効率よく経済的に処理できるフッ素含有廃棄物の処理方法及びフッ素含有廃棄物の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系有機化合物は化学的に非常に安定な性質を持つため、界面活性剤、撥水剤、表面処理剤、コーティング剤等様々な用途で広く使用されている。
【0003】
<PFOS>
フッ素系有機化合物のうち、特に、パーフルオロカルボン酸類(PFCA類)やペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等のパーフルオロアルキルスルホン酸類は、撥水撥油剤や界面活性剤として、半導体、金属メッキの表面処理剤や消火剤など多くの産業で使用されている。しかし、化学的な安定性ゆえに自然環境中で分解されにくく、自然界や社会など環境中に広く存在し、生物への蓄積性も明らかになり、新たな環境汚染物質として注目されるようになった。
【0004】
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(環境中に残留する生物に蓄積しやすい等の有害な物質を廃絶するための国際条約)の対象物質として、PFOSを含む9物質が2009年に新たに追加採択され、製造・使用・輸出入を制限する勧告が採択された。この勧告を受け、国内でも、PFOSが「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)における第1種特定化学物質に指定され、PFOSの製造・輸入が原則禁止され、PFOS含有製品の製造も禁止された。
【0005】
このような規制が行われる前に製造されたPFOS含有製品は消火薬剤や半導体用レジスト液などとして存在しており、PFOS含有製品を廃棄する際の処理が問題となっている。この問題に対処すべく、PFOS含有物の廃棄は、「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(環境省2011年3月)に則って処理予定の廃棄物を用いて実証試験を行い、適正に分解処理できる事が確認できた事業所で行われることとなっている。
【0006】
上記「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」では、PFOS含有廃棄物の分解処理時に達成すべき分解率及び排出目標が下記のように定められている。
PFOS分解率:99.999%以上
分解処理に伴い生じる排水中のPFOS又はその塩の残存濃度:2μg/L以下
分解処理に伴い生じる残渣中のPFOS又はその塩の残存濃度:3mg/kg以下
分解処理に伴い生じる排ガス中のフッ化水素濃度:5mg/mN以下
分解処理に伴い生じる排水中のフッ化水素濃度:8mg/L以下(海域以外)
15mg/L以下(海域)
【0007】
<フロンガス>
また、他のフッ素系有機化合物である、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)等のフロンガスは、冷媒や発泡剤として用いられていたが、オゾン層破壊や温室効果ガスなど地球環境を汚染する物質であることが明らかになり、フロンガスの回収、分解処理が求められている。発泡ウレタン材などの断熱材には、発泡剤として用いられたフロンガスが含まれており、発泡ウレタン廃棄物の処理時にはフロンガスを確実に分解処理することが規制されている。
【0008】
非特許文献1には、PFOS含有廃棄物をロータリーキルン炉により焼却する分解処理法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】DOWAエコシステム株式会社、PFOS(ピーフォス)含有廃棄物の処理、[online]、[平成23年10月5日検索]、インターネット、<http://www.dowa-eco.co.jp/business/waste/pfos.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1による方式では、フッ素含有廃棄物を焼却し分解処理することができる。しかしながら、ロータリーキルン炉内を加熱するために燃料が必要であり、処理コストが嵩むという問題がある。また、該ロータリーキルン炉は焼却炉であるので、フッ素含有廃棄物を他の廃棄物とともに焼却する場合には、該他の廃棄物から燃料ガスを回収し有効に利用することができないという問題がある。
【0011】
このような事情に鑑みて、本発明は、フッ素含有廃棄物を別に燃料を必要とすることなく効率よく経済的に処理でき、また、フッ素含有廃棄物を他の廃棄物とともに処理する場合に該他の廃棄物から燃料ガスを回収し有効に利用することができるフッ素含有廃棄物の処理方法及びフッ素含有廃棄物の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
<第一発明>
本発明に係るフッ素含有廃棄物の処理方法は、フッ素含有液状廃棄物を、竪型ガス化溶融炉により無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収する。
【0013】
かかるフッ素含有廃棄物の処理方法において、本発明では、上記他の廃棄物を回分的に圧縮し圧縮ブロックを成形する圧縮工程と、圧縮ブロックとともにフッ素含有液状廃棄物を竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給して熱分解・ガス化し、発生したガスを上記竪型ガス化溶融炉のガス改質部でガス改質し、不燃物を上記竪型ガス化溶融炉の溶融部で溶融し排出するガス化溶融工程と、ガス改質した改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製工程と、ガス精製工程で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理工程とを備えることを特徴としている。
【0014】
<第二発明>
本発明に係るフッ素含有廃棄物の処理方法は、フッ素含有固形廃棄物を、竪型ガス化溶融炉により無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収する。
【0015】
かかるフッ素含有廃棄物の処理方法において、本発明では、フッ素含有固形廃棄物と上記他の廃棄物との混合物を回分的に圧縮し混合物圧縮ブロックを成形する圧縮工程と、混合物圧縮ブロックを竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給して熱分解・ガス化し、発生したガスを上記竪型ガス化溶融炉のガス改質部でガス改質し、不燃物を上記竪型ガス化溶融炉の溶融部で溶融し排出するガス化溶融工程と、ガス改質した改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製工程と、ガス精製工程で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理工程とを備えることを特徴としている。
【0016】
また、第一発明および第二発明に係るフッ素含有廃棄物の処理方法において、洗浄水処理工程は、カルシウム化合物を洗浄水に添加しフッ化カルシウムを析出分離してフッ素を除去することとしてもよい。
【0017】
また、第一発明および第二発明に係るフッ素含有廃棄物の処理方法において、洗浄水にSiOが含まれており、洗浄水処理工程は、カリウム化合物を洗浄水に添加しケイフッ化カリウムを析出分離してフッ素を除去することとしてもよい。
【0018】
<第三発明>
本発明に係るフッ素含有廃棄物の処理装置は、フッ素含有液状廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収する。
【0019】
かかるフッ素含有廃棄物の処理装置において、本発明では、上記他の廃棄物を回分的に圧縮し圧縮ブロックを成形する圧縮装置と、熱分解部、ガス改質部及び溶融部を有する竪型ガス化溶融炉と、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物を上記熱分解部に供給する供給装置と、上記ガス改質部でガス改質された改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製装置と、ガス精製装置で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理装置とを備え、上記竪型ガス化溶融炉の熱分解部は、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物とを熱分解・ガス化し、ガス改質部は、発生したガスをガス改質し、溶融部は、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物の不燃物を溶融し排出することを特徴としている。
【0020】
<第四発明>
本発明に係るフッ素含有廃棄物の処理装置は、フッ素含有固形廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収する。
【0021】
かかるフッ素含有廃棄物の処理装置において、本発明では、フッ素含有固形廃棄物と上記他の廃棄物との混合物を回分的に圧縮し混合物圧縮ブロックを成形する圧縮装置と、熱分解部、ガス改質部及び溶融部を有する竪型ガス化溶融炉と、混合物圧縮ブロックを上記竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給する供給装置と、上記ガス改質部でガス改質された改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製装置と、ガス精製装置で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理装置とを備え、上記竪型ガス化溶融炉の熱分解部は、混合物圧縮ブロックを熱分解・ガス化し、ガス改質部は発生したガスをガス改質し、溶融部は、混合物圧縮ブロックの不燃物を溶融し排出することを特徴としている。
【0022】
第一発明乃至第四発明において、ガス改質とは、少なくとも、熱分解・ガス化し発生したガス中に含まれる炭化水素ガスを水蒸気と反応させ燃料ガスとして有用な水素および一酸化炭素を生成すること、及び発生ガス中に含まれるタール分を熱分解することをいう。
【0023】
第一発明乃至第四発明では、他の廃棄物に含まれる可燃物が燃焼して生じる熱エネルギーがフッ素含有廃棄物を熱分解するのに利用されるので、フッ素含有廃棄物を熱分解するための燃料を別途用意する必要がない。また、上記他の廃棄物が熱分解そしてガス化されて発生したガスは、ガス改質された後、精製されて燃料ガスとして回収される。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、フッ素含有廃棄物を別に燃料を必要とすることなく効率よく経済的に処理できるとともに、他の廃棄物から燃料ガスを回収して有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態に係るフッ素含有液状廃棄物の処理装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るガス精製および洗浄水処理の工程を示すブロック図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係るガス精製および洗浄水処理の工程を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第一実施形態>
本実施形態では、処理対象であるフッ素含有廃棄物がフッ素含有液状廃棄物である場合の実施形態について説明する。フッ素含有液状廃棄物としては、例えば、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等のパーフルオロアルキルスルホン酸類やパーフルオロカルボン酸類(PFCA類)が挙げられる。本実施形態に係る処理装置の具体的な構成を説明する前に、まず、該処理装置によるフッ素含有液状廃棄物の処理の概略を説明する。
【0027】
処理装置は、フッ素含有液状廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するための装置である。該処理装置では、まず、上記他の廃棄物を圧縮装置で回分的(バッチ的)に圧縮して圧縮ブロックとした後、該圧縮ブロックとともにフッ素含有液状廃棄物を竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給する。上記他の廃棄物としては、固定炭素を含む廃棄物が好ましい。ここで、「固定炭素」とは、加熱しても揮発しない炭素のことをいう。該熱分解部では、酸素含有ガスが導入され、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物とが熱分解され一酸化炭素、水素等にガス化される。
【0028】
また、上記竪型ガス化溶融炉のガス改質部にて、酸素含有ガスが導入され、上記熱分解部で発生したガスをガス改質し、ガス精製装置で改質ガスを洗浄、精製し燃料ガスとして回収する。また、溶融部にて、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物の不燃物とを溶融し、溶融スラグ、溶融金属として排出する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るフッ素含有液状廃棄物の処理装置1の構成の概略を示すブロック図である。以下、図1にもとづいて処理装置1の構成について説明する。
【0030】
図1に示されているように、処理装置1には、後述の圧縮装置20内に上方から上記他の廃棄物を投入する廃棄物投入装置10が設けられている。該廃棄物投入装置10は、廃棄物を外部から受け入れて貯留するホッパ11と、該ホッパ11の底部をなし開閉自在な蓋部12とを有している。該廃棄物投入装置10は、蓋部12が開位置にあるときに、廃棄物を圧縮装置20内に投入する。
【0031】
上記廃棄物投入装置10の下方には、上記廃棄物を圧縮して圧縮ブロックを成形する圧縮装置20が設けられている。該圧縮装置20は、ホッパ11の下方位置で水平方向に延びる筒状部21と、該筒状部21内を前後方向(図1にて左右方向)で往復動するピストン22と、該ホッパ11よりも下流位置(図1にて右方側)で上下方向に往復動して筒状部21の下流側開口を開閉する板状の圧縮支持盤23とを有している。上記筒状部21は、その内壁断面が、後述する加熱炉30の内壁断面と同形かつ同一寸法で形成されている。
【0032】
上記圧縮装置20は、圧縮支持盤23が下降位置にて筒状部21の下流側開口を塞いだ状態で、ピストン22が圧縮支持盤23へ向けて前方(右方)へ移動することにより、該ピストン22と圧縮支持盤23とで、ホッパ11から投入された廃棄物を前後方向で挟んで圧縮し、該廃棄物の圧縮ブロックPを成形する。該圧縮ブロックPの成形は、回分的(バッチ的)に行われる。
【0033】
上記圧縮装置20の下流側には、該圧縮装置20の筒状部21に接続されトンネル式加熱炉30(以下、「加熱炉30」という)が水平方向に延びて設けられている。該加熱炉30は外部から加熱されており、上記圧縮装置20から供給された圧縮ブロックPが該加熱炉30内で乾燥されるようになっている。該加熱炉30の下流側端部は、竪型ガス化溶融炉50(以下、「ガス化溶融炉50」という)の装入口51と接続されており、圧縮ブロックPを該装入口51からガス化溶融炉50内へ供給可能となっている。また、該加熱炉30は、その上壁が下流側(図1にて右方)へ向けて上方へ傾斜しており、通路が広がっている。これによって、圧縮ブロックPの上方に空間が形成され、該圧縮ブロックPから蒸発した水分の放出が可能となっている。
【0034】
処理装置1は、ガス化溶融炉50内にフッ素含有液状廃棄物を供給するための供給装置40が設けられている。該供給装置40は、フッ素含有液状廃棄物を貯留するタンク41と、該タンク41からフッ素含有液状廃棄物を送液するポンプ42とを有している。本実施形態では、該フッ素含有液状廃棄物は該ポンプ42によってガス化溶融炉50の装入口51の手前の位置に送液されるようになっている。後述するように、送液されたフッ素含有液状廃棄物は圧縮ブロックPとともにガス化溶融炉50内に供給される。
【0035】
ガス化溶融炉50は、上下方向に延びる鉛直部分と、該鉛直部分の下部から水平方向に延びる水平部分とを有している。上記上下方向に延びる部分は、その略下半部が熱分解部52として形成されており、略上半部がガス改質部53として形成されている。また、上記水平部分は溶融部54として形成されている。
【0036】
上記熱分解部52では、圧縮ブロックPとフッ素含有液状廃棄物が堆積して廃棄物堆積層Qが形成され、該廃棄物堆積層Qを形成する、圧縮ブロックPの廃棄物とフッ素含有液状廃棄物が熱分解によりガス化されるともに不燃分が溶融されるようになっている。ガス化溶融炉50の側壁の下部には、上記廃棄物堆積層Q内に酸素含有ガスを供給する第一酸素含有ガス供給口55が設けられている。上記熱分解部52でフッ素含有液状廃棄物が熱分解されると、水素、COが発生するとともにフッ化水素が発生する。
【0037】
上記ガス改質部53では、後述するように、上記熱分解部52で廃棄物堆積層Qから発生したガスが改質されて改質ガスが生成される。ガス化溶融炉50の側壁の上部側には、ガス改質部53内に酸素含有ガスを供給する複数の第二酸素含有ガス供給口56が設けられている。
【0038】
上記溶融部54では、上記熱分解部52で生成された溶融物が加熱されて該溶融物に含まれる炭素等がガス化されて除去される。ガス化溶融炉50の水平部分の上壁には、上記溶融部54に燃料ガスを供給する燃料ガス供給口57が設けられている。また、該溶融部54には、上記溶融物を外部へ排出するための溶融物排出口58が下方へ延びて設けられている。
【0039】
ガス化溶融炉50の頂部には、該頂部に形成された改質ガス排出口59から延びガス改質部53で生成された改質ガスを炉外へ排出するためのガスダクト60が設けられている。ガスダクト60の下流側には、上記改質ガスを冷却洗浄するための冷却洗浄水循環装置70が設けられている。該冷却洗浄水循環装置70は、該ガスダクト60に連結され上記改質ガスを冷却洗浄水によって冷却するとともに該改質ガスから水溶性成分、ダスト、炭素微粒子等を除去する冷却洗浄装置71と、該冷却洗浄装置71で上記改質ガスの冷却洗浄に使用された冷却洗浄水を貯留して、該冷却洗浄水に含まれる固形物を沈殿分離する沈殿槽72と、該固形物が分離された冷却洗浄水を冷却する熱交換器73とを有している。冷却された冷却洗浄水は再び上記冷却洗浄装置71に戻される。
【0040】
また、冷却洗浄装置71の下流側には、該冷却洗浄装置71で冷却そして洗浄された改質ガスを精製して、燃料ガスとして利用可能な精製ガスを生成するガス精製装置80が設けられている。該ガス精製装置80は、上記冷却洗浄装置71で冷却そして洗浄された改質ガスから酸洗浄水により重金属類を溶解して除去する酸洗浄装置81と、アルカリ洗浄水により上記改質ガスから塩化水素とフッ化水素を除去するアルカリ洗浄装置82と、該改質ガスから硫化水素を除去する脱硫装置83と、該改質ガスから水分を除去する除湿装置84とを有している。
【0041】
上記ガス精製装置80の酸洗浄装置81およびアルカリ洗浄装置82は、洗浄水処理装置90と接続されている。該洗浄水処理装置90は、図2にもとづいて後述するように、改質ガスの洗浄に使用された酸洗浄水の一部およびアルカリ洗浄水の一部をそれぞれ上記酸洗浄装置81およびアルカリ洗浄装置82から受け入れ、上記酸洗浄装置81およびアルカリ洗浄装置82で溶解捕捉された成分を上記酸洗浄水およびアルカリ洗浄水から除去する。
【0042】
以下、処理装置1によるフッ素含有液状廃棄物の処理について説明する。
【0043】
まず、他の廃棄物を廃棄物投入装置10のホッパ11に貯留する。そして、該ホッパ11に設けられた蓋部12が開放されることにより所定量の該廃棄物が圧縮装置20へ投入される。該圧縮装置20は、圧縮支持盤23を下降位置にもたらした状態でピストン22を前方へ移動させることにより、上記廃棄物が圧縮されてち密な圧縮ブロックPを形成する。該圧縮ブロックPの成形は、回分的(バッチ的)に行われ、該圧縮ブロックPが順次成形されることにより、該圧縮ブロックPが前方へ押し出されて加熱炉30へ供給される。
【0044】
上記圧縮ブロックPの断面形状は、加熱炉30の入口の内壁断面と同形、同一寸法であり、圧縮ブロックPは加熱炉30の内壁と接触状態を保ったまま押し込まれるため、加熱炉30の入口で加熱炉内雰囲気をシールできる。圧縮ブロックPは、順次新しい圧縮ブロックが押し込まれる毎に、加熱炉30内を滑りながらガス化溶融炉50の装入口51へ向けて移動する。
【0045】
既述したように、加熱炉30は外部から加熱されており、内部は昇温され、圧縮ブロックPの移動、昇温過程において、圧縮ブロックP中の水分が蒸発され乾燥される。また、ポンプ42によってフッ素含有液状廃棄物がタンク41からガス化溶融炉50の装入口51の手前の位置に送液される。そして、乾燥された圧縮ブロックPおよびフッ素含有液状廃棄物は、ガス化溶融炉50の装入口51から該ガス化溶融炉50の熱分解部52内へ装入そして供給される。
【0046】
上記フッ素含有液状廃棄物の供給量の、圧縮ブロック供給量に対する比率の好ましい範囲を予め求めておき、該フッ素含有液状廃棄物をその供給量で上記熱分解部52に供給するようにすることが好ましい。これによって、圧縮ブロックPとして成形された廃棄物に含まれる固定炭素が酸素含有ガスにより燃焼して生じる熱エネルギー量を、フッ素含有液状廃棄物を熱分解するのに十分な量とすることができるからである。また、上述の比率が好ましい範囲より大きくなり、フッ素含有液状廃棄物の供給量が多くなると、フッ素含有液状廃棄物を熱分解するために必要な熱エネルギー量を得ることが困難になるので好ましくない。
【0047】
上記熱分解部52内へ供給された圧縮ブロックPおよびフッ素含有液状廃棄物は、廃棄物堆積層Qを形成する。該廃棄物堆積層Qでは、熱分解部52の下部に設けられた第一酸素含有ガス供給口55から該廃棄物堆積層Q中へ酸素含有ガスが供給される。この結果、廃棄物中の固定炭素などの可燃物が燃焼して、その熱エネルギーで圧縮ブロックPの廃棄物とフッ素含有液状廃棄物が熱分解される。この熱分解により、一酸化炭素、水素、炭化水素、二酸化炭素等へのガス化が行われる。また、廃棄物とフッ素含有液状廃棄物の熱分解により、含まれていた塩素分から塩化水素が、硫黄分から硫化水素が、フッ素分からフッ化水素が発生する。PFOS等難分解性フッ素有機物は1100℃以上で2秒以上加熱することにより分解されることが確認されている。
【0048】
本実施形態では、上述のように、圧縮ブロックPを形成する廃棄物に含まれる固定炭素などの可燃物が燃焼して生じる熱エネルギーがフッ素含有液状廃棄物を熱分解するのに利用されるので、フッ素含有液状廃棄物を熱分解するための燃料を別途用意する必要がなく、効率よく経済的に処理できる。
【0049】
また、廃棄物およびフッ素含有液状廃棄物の不燃分(金属、灰分など)が溶融して溶融物が生成される。熱分解部52の下部に接続された溶融部54では、燃料ガス供給口57から供給される燃料ガスが燃焼して生成する高温燃焼ガスで上記溶融物が加熱され、該溶融物に含まれる微量の炭素などがガス化して除去され、該溶融物は溶融物排出口58から溶融スラグ、溶融金属として排出される。
【0050】
ガス化溶融炉50のガス改質部53では、第二酸素含有ガス供給口56から酸素含有ガスが供給されており、廃棄物堆積層Qからの発生ガスの一部が燃焼されて温度雰囲気を1000℃以上にされた領域で該発生ガスが滞留され、以下のガス改質がなされる。
【0051】
熱分解部52の廃棄物堆積層Qにおいて、圧縮ブロックPとフッ素含有液状廃棄物とが熱分解して生成された上記発生ガスに含まれる炭化水素(メタン等)と一酸化炭素は、ガス改質部53にて、該発生ガスに含まれる水蒸気と下記(1)、(2)のように反応し、燃料ガスとして有用な一酸化炭素と水素を多く含むように改質される。
CH+HO→CO+3H (1)
CO+ HO→H+CO (2)
【0052】
熱分解部52に供給された圧縮ブロックPの廃棄物中の水分の重量比率が20重量%以上であると、発生ガスに十分な水蒸気が含まれるので、上記(1)、(2)の反応が十分に行われ、燃料ガスとして好ましい組成の改質ガスを得ることができるので好ましい。
【0053】
また、上記廃棄物中の水分の重量比率が20重量%未満であると、水蒸気量が少ないため上記(1)、(2)の反応が行われにくく、さらに下記(3)の反応などにより炭素微粒子が多量に発生し、冷却洗浄装置71でスカムが発生して、ガス精製装置80において装置の配管内に該スカムが付着して該配管を閉塞させて連続操業を困難にしたり、燃料ガスの性状に悪影響を及ぼしたりするなど問題が生じるので好ましくない。
2CO→C+CO (3)
【0054】
したがって、上記廃棄物中の水分の重量比率が20重量%未満である場合には、上述の問題を回避するために、水蒸気または水を供給する供給装置(図示せず)を設けて、ガス改質部53に水蒸気または水を供給するようにすることが好ましい。
【0055】
また、廃棄物堆積層Qからの発生ガスは、ガス改質部53にて、ガス温度を1100℃以上にした領域で滞留されて、該発生ガスに含まれるタール分のクラッキングが行われる。タール分のクラッキングとは、タール分の高分子量成分が低分子量の炭化水素や一酸化炭素に熱分解されることをいい、タール分を除去することにより改質ガスを燃料ガスとして利用する際にタールによるトラブルを回避することができる。また、クラッキングにより生成した炭化水素は、さらに水蒸気と反応して燃料ガスとして有用な一酸化炭素と水素に改質される。
【0056】
また、ガス改質部53において、廃棄物堆積層Qから発生したガスは、ガス温度を1100℃以上にした領域で滞留されて、この発生ガス中にフッ素含有液状廃棄物が含まれていても、該フッ素含有液状廃棄物は分解され、フッ化水素が生成される。該フッ化水素は、後述するガス精製装置80にて改質ガスから除去される。
【0057】
ガス改質部53で生成された改質ガスは、ガス化溶融炉50の炉頂部の改質ガス排出口59からガスダクト60に排出され冷却洗浄装置71で冷却洗浄水により冷却されるとともに、水溶性成分、ダスト、炭素微粒子等の固形物が該冷却洗浄水によって洗浄除去される。上記改質ガスの冷却洗浄に使用された冷却洗浄水は、沈殿槽72に導かれ上記固形物が沈殿分離される。該固形物が分離された冷却洗浄水は、熱交換器73により冷却され再び冷却洗浄装置71へ導入される。
【0058】
冷却洗浄装置71で冷却洗浄された改質ガスは、ガス精製装置80へ導かれ、酸洗浄装置81で酸洗浄水により該改質ガスから重金属類が溶解され除去される。改質ガス中には、フッ素含有廃棄物に含まれるフッ素分が分解して生成したフッ化水素が含まれているが、該フッ化水素は、アルカリ洗浄装置82でアルカリ洗浄水により吸収され除去される。また、該改質ガスには、廃棄物に含まれていた塩素分から廃棄物のガス化の際に生成した塩化水素が改質ガス中に含まれているが、この塩化水素もアルカリ洗浄装置82でアルカリ洗浄水により除去される。さらに脱硫装置83で改質ガス中の硫化水素が除去される。そして、除湿装置84で改質ガス中の水分が除去される。この結果、燃料ガスとして利用可能な精製ガスが回収される。
【0059】
上記酸洗浄装置81およびアルカリ洗浄装置82で改質ガスの洗浄に使用された酸洗浄水およびアルカリ洗浄水は、それぞれ洗浄水処理装置90へ導かれ、該洗浄水処理装置90にて、上記酸洗浄装置81およびアルカリ洗浄装置82で溶解捕捉された成分が上記酸洗浄水およびアルカリ洗浄水から除去される。上記ガス精製装置80でのガス精製の工程および上記洗浄水処理装置90での洗浄水処理の工程の詳細については、図2にもとづいて後述する。
【0060】
フッ素含有液状廃棄物とともにガス化溶融炉50に供給する他の廃棄物としては、廃棄物中の固定炭素の重量比が3重量%以上のものを用いることが好ましい。熱分解部52において廃棄物中の固定炭素が酸素含有ガスにより燃焼して生じる熱エネルギー量がフッ素含有液状廃棄物を熱分解するのに十分な量とすることができるからである。また、廃棄物中の固定炭素の重量比が5重量%以上のものを用いることにより、フッ素含有液状廃棄物を熱分解するとともに上記廃棄物を熱分解するのに十分な熱エネルギー量を得ることができるので、より好ましい。
【0061】
熱分解部52、ガス改質部53に供給する酸素含有ガスは、酸素以外の窒素などの成分が多いと、その窒素量がそのまま燃料ガスに含まれ燃料ガスとしての性状を低くすることになるので、供給する酸素含有ガスは酸素濃度が80体積%以上の高濃度とすることが好ましい。
【0062】
次に、ガス精製装置80での改質ガスの精製とガス精製に用いた洗浄水の洗浄水処理装置90での処理について説明する。
【0063】
図2は、本実施形態における改質ガスの精製とガス精製に用いた洗浄水の処理の工程を示すブロック図である。図2には、改質ガスを酸洗浄水及びアルカリ洗浄水によって洗浄して精製ガスを生成するガス精製工程と、該ガス精製工程で使用された酸洗浄水及びアルカリ洗浄水を処理する洗浄水処理工程とが示されている。
【0064】
[改質ガス]
ガス化溶融炉50のガス改質部53で生成される改質ガスには、水素、一酸化炭素、炭化水素の可燃ガス、硫化水素(HS)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)の重金属、廃棄物の灰成分に由来するカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等が含まれている。
【0065】
[ガス精製工程]
ガス精製工程は、上記改質ガスを酸洗浄水により洗浄する酸洗浄工程と、該酸洗浄工程からの改質ガスをアルカリ洗浄水により洗浄するアルカリ洗浄工程と、該アルカリ洗浄工程からの改質ガスに脱硫液による脱硫処理を施す脱硫工程と、水分を除去する除湿工程とを有している。
【0066】
<酸洗浄工程>
酸洗浄工程は、上記改質ガスに酸洗浄水を噴霧するなどして接触させ、該改質ガスを洗浄する酸洗浄を行い、改質ガス中の鉄及び亜鉛、鉛などの重金属類、そしてカルシウム、マグネシウムを酸洗浄水に溶解あるいは捕捉させて、該改質ガス中から除去し、洗浄後の酸洗浄水にこの除去成分を溶解含有せしめる。改質ガスの洗浄に先立ち該酸洗浄水は塩酸が添加されることにより、そのpHは7未満とされ、さらに好ましくは5未満とされる。このように、酸洗浄水のpHを7未満さらに好ましくは5未満とすることによって、改質ガス中の亜鉛などの重金属を効果的に酸洗浄水中に溶解することが可能となる。酸洗浄水のpHの下限は特に限定されるものではないが、酸洗浄工程のための酸洗浄装置(図示せず)の腐食抑制の面からpHを2以上とすることが好ましい。
【0067】
酸洗浄工程でのガス洗浄に使用された酸洗浄水は回収され、再度、該酸洗浄工程に供給されることにより該酸洗浄水が循環されて使用されている。上記ガス洗浄に使用された酸洗浄水には、改質ガスから除去した上記除去成分が蓄積される。該酸洗浄水は一部が抜き出されて洗浄水処理工程へ送られ、後述するように、除去処理が行われる。
【0068】
<アルカリ洗浄工程>
アルカリ洗浄工程は、上記酸洗浄工程で洗浄された改質ガスにアルカリ洗浄水を噴霧するなどして接触させ、該改質ガスを洗浄するアルカリ洗浄を行い、該改質ガス中の塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)をアルカリ洗浄水に溶解させて該改質ガスから除去し、洗浄後のアルカリ洗浄水にこの除去成分を塩素イオン、フッ素イオンの形態で溶解含有せしめる。
【0069】
アルカリ洗浄工程でのガス洗浄に使用されたアルカリ洗浄水は回収され、再度、該アルカリ洗浄工程に供給されることにより該アルカリ洗浄水が循環されて使用されている。上記アルカリ洗浄工程に供給されるアルカリ洗浄水は、改質ガスの洗浄に先立ち水酸化ナトリウム(NaOH)が添加されることによりpHが調整されている。また、上記アルカリ洗浄工程でのガス洗浄に使用されたアルカリ洗浄水には、改質ガスから除去した塩化水素が水酸化ナトリウムと反応して生成された塩化ナトリウム(Na、Cl)と、フッ化水素が水酸化ナトリウムと反応して生成されたフッ化ナトリウム(Na、F)が蓄積される。アルカリ洗浄水は一部が抜き出されて洗浄水処理工程へ送られ、後述するように、除去処理が行われる。
【0070】
<脱硫工程>
脱硫工程は、アルカリ洗浄工程で洗浄された改質ガスに鉄キレート剤(鉄キレート錯体)を含む脱硫液を接触させ、該改質ガスから硫化水素(HS)を除去する。脱硫液として鉄キレート剤を使用する脱硫方法は公知であるので、ここでは説明を省略する。本実施形態では、鉄キレート剤を用いて脱硫することとしたが、脱硫方法はこれに限られず、例えば、ナフトキノンスルホン酸ナトリウムを用いる脱硫、ピクリン酸を用いる脱硫などの方法を適用することができる。
【0071】
<除湿工程>
そして、上記脱硫工程で硫化水素が除去された改質ガスは、除湿工程にて水分を除去され、精製ガスとして送り出される。
【0072】
このように、上記改質ガスは、上記酸洗浄工程、アルカリ洗浄工程、脱硫工程そして除湿工程を経て精製される。精製された精製ガスは燃料用ガスなどとして利用される。
【0073】
[洗浄水処理工程]
次に、ガス精製工程にて使用された酸洗浄水およびアルカリ洗浄水から溶解捕捉した成分を除去するための洗浄水処理工程について説明する。ガス精製工程で改質ガスの洗浄に使用された酸洗浄水およびアルカリ洗浄水には、該改質ガスから除去した成分が蓄積されており、洗浄水処理工程では、上記酸洗浄水およびアルカリ洗浄水から、該改質ガスから除去した成分を除去する。
【0074】
洗浄水処理工程は、酸洗浄水の固液分離工程、混合工程、フッ素除去工程、鉄除去工程、亜鉛・鉛除去工程、カルシウム・マグネシウム除去工程、濃縮工程、晶析工程を有している。以下、各工程について説明する。
【0075】
<酸洗浄水の固液分離工程>
酸洗浄水の固液分離工程では、酸洗浄工程から抜き出した酸洗浄水を固液分離し、上澄み水を酸洗浄工程の酸洗浄水として循環使用し、残部の酸洗浄水を混合工程へ供給する。固液分離装置の形態は特に制限を受けるものではなく、比重沈降分離装置、遠心分離装置、ろ過装置、精密ろ過膜装置、限外ろ過膜装置などを用いた膜分離装置などを用いることができる。また、後述の工程で用いる固液分離装置についても同様である。また、図1に示すように酸洗浄装置81から抜き出した酸洗浄水を、冷却洗浄装置71から抜き出した冷却洗浄水から固形物を分離する沈殿槽72に供給し固液分離してもよい。
【0076】
<混合工程>
混合工程では、上記固液分離工程で固液分離処理された酸洗浄水と、アルカリ洗浄工程から一部抜き出したアルカリ洗浄水とを混合して混合洗浄水とする。既述したように、上記アルカリ洗浄水には塩化ナトリウム、フッ素イオンが蓄積されている。上記混合洗浄水は、副生塩である塩化ナトリウムを主成分とし、鉄、亜鉛、鉛などの重金属、カルシウム、マグネシウム、フッ素イオンなどを含んでいる。
【0077】
<フッ素除去工程>
フッ素除去工程では、該フッ素除去工程のための反応槽(図示せず)にて、混合洗浄水に塩化カルシウムが添加されて、フッ素イオンとの反応によりフッ化カルシウムが生成され析出される。そして、フッ素除去工程のための固液分離装置(図示せず)にて上記フッ化カルシウムが固形分として分離除去される。該固形分が分離された混合洗浄水は鉄除去工程へ供給される。
【0078】
既述した混合工程において、酸洗浄水に含まれるカルシウムイオンと、アルカリ洗浄水のフッ素イオンとが反応しフッ化カルシウムが生成されるが、酸洗浄水に含まれるカルシウムイオン量は混合洗浄水中のフッ素イオン量に対して十分な量ではないため、フッ素除去工程で塩化カルシウムを添加する。ここで、混合洗浄水中のフッ素イオン量に対して、化学量論量の1〜3倍のカルシウム量となるように塩化カルシウムを添加することが好ましい。また、その際には酸洗浄水に含まれるカルシウム量も含めたカルシウム量とする。1倍より少ないとフッ素イオンが未反応のまま残留し、3倍より多いと不要なカルシウムイオンが多くなり不適である。
【0079】
上記フッ素除去工程で供給するカルシウムとしては、消石灰より塩化カルシウムが好ましい。消石灰を添加すると混合洗浄水のpHが高くなりすぎるだけでなく、固形物を多量に発生させるため不適である。
【0080】
カルシウムとの反応により発生したフッ化カルシウムは微粒子であるため、沈殿除去に時間がかかる。フッ化カルシウムの沈殿除去の促進のために、フッ素除去工程においてカルシウムを過剰に添加し、後述するカルシウム・マグネシウム除去工程において、過剰に入れたカルシウムを炭酸カルシウムとして析出させ、フッ化カルシウム微粒子を共沈させることにより、除去が容易になる。このように共沈除去させるためには、カルシウムとフッ素の化学量論比は1.5以上であることが好ましい。
【0081】
<鉄除去工程>
洗浄前の改質ガスには鉄分が含まれており、また、該ガス化溶融炉でのガス化は還元雰囲気で行われるので、酸洗浄工程にて酸洗浄水に溶解される鉄分、換言すれば、鉄除去工程に供給される混合洗浄水に含まれる鉄分は、主として2価の第一鉄イオン(Fe2+)になっている。
【0082】
鉄除去工程のための反応槽(図示せず)には、第一鉄イオンを含む原塩水に過酸化水素(H)などの酸化剤が添加される。混合洗浄水に含まれる2価の第一鉄イオン(Fe2+)がこの酸化剤により酸化されて3価の第二鉄イオン(Fe3+)が生成される。酸化剤としては、過酸化水素だけでなく、次亜塩素酸、オゾンなどを用いることもできる。
【0083】
次に、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することにより、第二鉄イオン(Fe3+)を該水酸化ナトリウムと反応させ水酸化鉄(Fe(OH))を析出させる。該水酸化鉄が析出した混合洗浄水は、鉄除去工程のための固液分離装置(図示せず)に供給され、該水酸化鉄が固形分として分離除去される。該固形分が分離された混合洗浄水は亜鉛・鉛除去工程へ供給される。
【0084】
<亜鉛・鉛除去工程>
亜鉛・鉛除去工程では、該亜鉛・鉛除去工程のための反応槽(図示せず)にて、混合洗浄水に水酸化ナトリウムが添加されて該混合洗浄水のpHが7.5〜10に調整され、混合洗浄水中の亜鉛イオン、鉛イオンが水酸化物すなわち水酸化亜鉛(Zn(OH))および水酸化鉛(Pb(OH))として析出される。そして、亜鉛・鉛除去工程のための固液分離装置(図示せず)にてこれらの水酸化物が固形分として分離除去される。該固形分が分離された混合洗浄水はカルシウム・マグネシウム除去工程へ供給される。
【0085】
<カルシウム・マグネシウム除去工程>
カルシウム・マグネシウム除去工程では、該カルシウム・マグネシウム除去工程のための反応槽(図示せず)にて、混合洗浄水に二酸化炭素、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸イオンのいずれかの炭酸源を添加して、さらに水酸化ナトリウムを添加して混合洗浄水のpHをさらに高めることにより、混合洗浄水中に含まれているカルシウムが炭酸カルシウム(CaCO)として、また、マグネシウムが炭酸マグネシウム(MgCO)として析出される。そして、カルシウム・マグネシウム除去工程のための固液分離装置(図示せず)にて炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが固形分として分離除去される。該固形分が除去された混合洗浄水は濃縮工程に供給される。また、既述したように、このカルシウム・マグネシウム除去工程では、フッ素除去工程において十分に沈殿除去できず残存するフッ化カルシウムを炭酸カルシウムと共沈させることにより除去することができる。
【0086】
ガス化溶融炉にて生成された改質ガスには二酸化炭素ガスが含まれているので、カルシウム・マグネシウム除去工程で混合洗浄水に二酸化炭素を添加する場合には、二酸化炭素源として、上記改質ガスを混合洗浄水中に吹き込んで二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、副生塩を工業塩として回収する場合、工業塩の純度を下げないために、炭酸源として使用する炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、あるいは炭酸ナトリウムなどナトリウム塩が好ましい。
【0087】
<濃縮工程>
濃縮工程では、混合洗浄水から水分を低減させて濃縮することにより濃縮水を生成する。該濃縮水は晶析工程に供給される。濃縮方法としては、多重効用缶により混合洗浄水を加熱して水分を蒸発させる方法、逆浸透膜、電気透析などを用いることができる。
【0088】
<晶析工程>
晶析工程では、濃縮水を蒸発缶によって蒸発濃縮するか、冷却することにより、該濃縮水中に溶解している塩の濃度を飽和溶解度以上に高くして塩結晶を析出させ、塩化ナトリウムを晶析させて塩スラリーとして取り出す。該塩スラリーは脱水される。既述した鉄、亜鉛、鉛、カルシウム、マグネシウムの除去工程により不純物成分の大部分は除去されているが、晶析工程を行うことにより、残存する不純物を分離して、純度の高い塩化ナトリウムを副生塩として得ることができ、工業塩として有効利用できる。晶析工程の前に炭酸源を添加して、さらに水酸化ナトリウムを添加して混合洗浄水のpHをさらに高めることにより、カルシウムを炭酸カルシウムとして析出させ除去するカルシウム除去工程を再度施すことが好ましい。濃縮水にカルシウムが残存していると、晶析して得る塩結晶中にフッ化カルシウムが析出しやすくなり副生塩の純度が低くなるため好ましくないためである。また、晶析する前の濃縮水中のカルシウム濃度を10mg/L以下に低減しておくことが好ましい。
【0089】
本実施形態では、フッ素含有液状廃棄物を、他の廃棄物の圧縮ブロックとともにガス化溶融炉に供給することとしたが、これに代えて、処理対象としてのフッ素含有廃棄物がフッ素含有固形廃棄物である場合には、該フッ素含有固形廃棄物と他の廃棄物との混合物を圧縮して混合物圧縮ブロックを成形して、本実施形態と同様に、該混合物圧縮ブロックから燃料ガスを生成することができる。この場合、図1に示される処理装置において、フッ素含有液状廃棄物を供給するための供給装置は必須ではない。フッ素含有固形廃棄物としては、例えば、フロンガスが含まれている発泡ウレタン廃棄物などが挙げられる。
【0090】
<第二実施形態>
第一実施形態では、洗浄水処理工程が一つのフッ素除去工程を有していたが、本実施形態は、洗浄水処理工程が、上記フッ素除去工程に加え、さらに別のフッ素除去工程を有している点で第一実施形態と相違する。本実施形態は、フッ素除去工程が二つあることを除いて、第一実施形態と同じであるので、以下、図3にもとづいてフッ素除去工程を中心に説明する。
【0091】
図3は、本実施形態における改質ガスの精製とガス精製に用いた洗浄水の処理の工程を示すブロック図である。図3に見られるように、洗浄水処理工程は、混合工程の後段に第一フッ素除去工程と第二フッ素除去工程の二つのフッ素除去工程を有している。本実施形態によれば、後述するように、ガス精製工程の酸洗浄工程で改質ガスの洗浄に使用された酸洗浄水に、廃棄物から由来するシリカ(SiO)が含まれている場合に、洗浄水中のフッ素を有効に除去することができる。
【0092】
本実施形態では、酸洗浄工程で改質ガスの洗浄に使用された酸洗浄水には、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)に加えて、廃棄物の灰成分に由来するシリカ(SiO)およびカリウム(K)が含まれている。また、アルカリ洗浄工程で改質ガスの洗浄に使用されたアルカリ洗浄水には、第一実施形態と同様に、塩化ナトリウム(Na、Cl)およびフッ化ナトリウム(Na、F)が含まれている。
【0093】
<混合工程>
混合工程では、酸洗浄水に含まれるシリカ(SiO)とアルカリ洗浄水に含まれるフッ素とが混合され、フッケイ酸(SiF2-)が生成される。
【0094】
<第一フッ素除去工程>
第一フッ素除去工程では、該第一フッ素除去工程のための反応槽(図示せず)にて、混合洗浄水にカリウム化合物(例えば水酸化カリウム(KOH))が添加されて、フッケイ酸イオンとの反応によりケイフッ化カリウム(K(SiF))が生成され析出される。そして、第一フッ素除去工程のための固液分離装置(図示せず)にて上記ケイフッ化カリウムが固形分として分離除去される。
【0095】
上記第一フッ素除去工程でフッケイ酸(SiF2-)と反応させ固形物を析出させ沈殿させる化合物としてカリウム化合物を用いることが好ましい。この理由は、ナトリウム化合物(例えば水酸化ナトリウム(NaOH)))を添加しケイフッ化ナトリウム(Na(SiF))を析出させるよりも、K(SiF)の溶解度がNa(SiF)の溶解度の1/4程度と小さく析出しやすく、それだけカリウム化合物を用いる方が、フッ素を除去する効果が高いためである。
【0096】
第一フッ素除去工程でカリウム化合物を添加する際に、混合洗浄水中のフッケイ酸イオン量に対して、化学量論量の1〜3倍のカリウム量となるようにカリウム化合物を添加することが好ましい。その時、酸洗浄水には廃棄物から由来するカリウムが含まれているので、酸洗浄水に含まれるカリウム量も含めたカリウム量が化学量論量の1〜3倍となるようにする。1倍より少ないとフッ素が未反応のまま残留し、3倍より多いと不要なカリウムイオンが多くなり不適である。
【0097】
<第二フッ素除去工程>
上記第一フッ素除去工程の後段に設けられる第二フッ素除去工程は、第一実施形態のフッ素除去工程と同じであり、第二フッ素除去工程のための反応槽(図示せず)にて、第一フッ素除去工程にてケイフッ化カリウムの析出によりフッ素の大部分が除去された混合洗浄水に塩化カルシウムが添加されて、残存するフッ素イオンとの反応によりフッ化カルシウムが生成され析出される。そして、第二フッ素除去工程のための固液分離装置(図示せず)にて上記フッ化カルシウムが固形分として分離除去される。該固形分が分離された混合洗浄水は鉄除去工程へ供給される。鉄除去工程から後の工程は図2に示す第一実施形態の洗浄水処理工程と同じである。
【0098】
本実施形態では、第一フッ素除去工程にてフッ素の大部分を除去し、第二フッ素除去工程にて残存するフッ素を除去するようにするため、洗浄水中のフッ素をより確実に除去することができ、また、第二フッ素除去工程にて添加する塩化カルシウム量を大幅に低減できるので、固形分として排出されるフッ化カルシウム量を低減でき処理費用を低減できる。
【実施例】
【0099】
<実施例1>
本実施例では、フッ素含有液状廃棄物(PFOS含有液状廃棄物)を図1に示したガス化溶融炉でガス改質部温度を約1200℃の温度として処理した後、ガス化により発生したガスを急冷し酸洗浄とアルカリ洗浄を施した。その結果、PFOSの分解率は99.999%以上であり、達成すべき分解率以上に分解されていることを確認した。また、アルカリ洗浄後のガス中のフッ化水素濃度は0.05mg/m3N(O2:12%換算値)であり、環境省のPFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項の排出目標である5mg/m3N以下であることを確認した。
【0100】
本実施例では、洗浄水処理工程での混合工程にて、酸洗浄水とアルカリ洗浄水とを混合した。混合洗浄水中のカルシウム濃度は約120mg/L(約3mol-Ca/L)であり、フッ素濃度は約230mg/L(約12mol-F/L)であった。フッ素とカルシウムにより生成されるフッ化カルシウム(CaF2)としての化学量論比は約0.5(Ca/F2≒0.5)であった。フッ素除去工程にて、フッ化カルシウムを沈殿させ固液分離して得られた塩水のフッ素濃度は140mg/Lであった。
【0101】
<実施例2>
洗浄水処理までの処理は実施例1と同じである。本実施例においても、洗浄水処理工程での混合工程にて、酸洗浄水とアルカリ洗浄水とを混合した。混合洗浄水中のカルシウム濃度は約120mg/L(約3mol-Ca/L)であり、フッ素濃度は約230mg/L(約12mol-F/L)であった。フッ素とカルシウムにより生成するフッ化カルシウム(CaF2)としての化学量論比は約0.5(Ca/F2≒0.5)であった。
【0102】
フッ素除去工程では、この混合洗浄水に塩化カルシウム水溶液を添加し、CaF2としての化学量論比を約1(Ca/F2≒1)とした。フッ化カルシウムを沈殿させ固液分離して得られた塩水のフッ素濃度は約20mg/Lであった。そして、濃縮工程にて、この塩水を多重効用缶で濃縮し、さらに晶析工程にて、晶析することによって、副生塩を得た。副生塩の10mass%水溶液のフッ素濃度は約50mg/Lであった。
【0103】
<実施例3>
洗浄水処理までの処理は実施例1と同じである。本実施例においても、洗浄水処理工程での混合工程にて、酸洗浄水とアルカリ洗浄水とを混合した。混合洗浄水中のカルシウム濃度は約120mg/L(約3mol-Ca/L)であり、フッ素濃度は約230mg/L(約12mol-F/L)であった。フッ素とカルシウムにより生成するフッ化カルシウム(CaF2)としての化学量論比は約0.5(Ca/F2≒0.5)であった。
【0104】
フッ素除去工程では、この混合洗浄水に、塩化カルシウム水溶液を添加し、CaF2としての化学量論比を約1.6(Ca/F2≒1.6)とした。カルシウム・マグネシウム除去工程では、フッ化カルシウムを沈殿させ固液分離して得られた塩水に、排ガスを散気し、塩水に二酸化炭素を吸収させることによって、炭酸カルシウムを析出し、フッ化カルシウムを共沈させてさらに除去した。そして、濃縮工程にて、この塩水を多重効用缶で濃縮し、さらに晶析工程にて、晶析することによって、副生塩を得た。副生塩の10mass%水溶液のフッ素濃度は約5mg/Lであった。副生塩に含まれるフッ素濃度を小さく不純物を少なくでき、工業塩として有効利用できることを確認した。
【0105】
<実施例4>
洗浄水処理までの処理は実施例1と同じである。本実施例においても、洗浄水処理工程での混合工程にて、酸洗浄水とアルカリ洗浄水とを混合した。混合洗浄水中のカルシウム濃度は約120mg/L(約3mol-Ca/L)であり、フッ素濃度は約230mg/L(約12mol-F/L)であった。フッ素とカルシウムにより生成するフッ化カルシウム(CaF2)としての化学量論比は約0.5 (Ca/F2≒0.5)であった。
【0106】
フッ素除去工程では、この混合洗浄水に、塩化カルシウム水溶液を添加し、CaF2としての化学量論比を約1.6(Ca/F2≒1.6)とした。カルシウム・マグネシウム除去工程では、フッ化カルシウムを沈殿させ固液分離して得られた塩水に、排ガスを散気し、塩水に二酸化炭素を吸収させることによって、炭酸カルシウムを析出し、フッ化カルシウムを共沈させてさらに除去した。そして、濃縮工程にて、この塩水を多重効用缶で濃縮し、15mass%の濃縮塩水を製造した。濃縮塩水にさらに炭酸ナトリウムを添加し炭酸カルシウムを析出し、フッ化カルシウムを共沈させてさらに除去した。この炭酸カルシウムとフッ化カルシウムの除去処理を行った濃縮塩水のカルシウム濃度は約1mg/Lであった。さらに晶析工程にて、カルシウムを除去された濃縮塩水を晶析することによって、副生塩を得た。副生塩の10mass%水溶液のフッ素濃度は0.5mg/Lであった。副生塩に含まれるフッ素濃度を極めて小さく不純物を極めて少なくでき、工業塩として有効利用できることを確認した。
【0107】
実施例2〜4に示したように、フッ素除去工程で混合洗浄水にCaF2としての化学量論比(Ca/F2)を1倍以上となるように、塩化カルシウムを添加することにより、混合洗浄水中のフッ素イオンを十分に除去でき、副生塩に含まれるフッ素濃度を小さくして不純物を少なくでき、工業塩として有効利用可能な副生塩を得ることができることを確認した。
【符号の説明】
【0108】
1 処理装置
20 圧縮装置
40 供給装置
50 ガス化溶融炉(竪型ガス化溶融炉)
52 熱分解部
53 ガス改質部
54 溶融部
80 ガス精製装置
90 洗浄水処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素含有液状廃棄物を、竪型ガス化溶融炉により無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するフッ素含有廃棄物の処理方法において、
上記他の廃棄物を回分的に圧縮し圧縮ブロックを成形する圧縮工程と、
圧縮ブロックとともにフッ素含有液状廃棄物を竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給して熱分解・ガス化し、発生したガスを上記竪型ガス化溶融炉のガス改質部でガス改質し、不燃物を上記竪型ガス化溶融炉の溶融部で溶融し排出するガス化溶融工程と、
ガス改質した改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製工程と、
ガス精製工程で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理工程とを備えることを特徴とするフッ素含有廃棄物の処理方法。
【請求項2】
フッ素含有固形廃棄物を、竪型ガス化溶融炉により無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するフッ素含有廃棄物の処理方法において、
フッ素含有固形廃棄物と上記他の廃棄物との混合物を回分的に圧縮し混合物圧縮ブロックを成形する圧縮工程と、
混合物圧縮ブロックを竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給して熱分解・ガス化し、発生したガスを上記竪型ガス化溶融炉のガス改質部でガス改質し、不燃物を上記竪型ガス化溶融炉の溶融部で溶融し排出するガス化溶融工程と、
ガス改質した改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製工程と、
ガス精製工程で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理工程とを備えることを特徴とするフッ素含有廃棄物の処理方法。
【請求項3】
洗浄水処理工程は、カルシウム化合物を洗浄水に添加しフッ化カルシウムを析出分離してフッ素を除去することとする請求項1又は2に記載のフッ素含有廃棄物の処理方法。
【請求項4】
洗浄水にSiOが含まれており、洗浄水処理工程は、カリウム化合物を洗浄水に添加しケイフッ化カリウムを析出分離してフッ素を除去することとする請求項1又は2に記載のフッ素含有廃棄物の処理方法。
【請求項5】
フッ素含有液状廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するフッ素含有廃棄物の処理装置において、
上記他の廃棄物を回分的に圧縮し圧縮ブロックを成形する圧縮装置と、
熱分解部、ガス改質部及び溶融部を有する竪型ガス化溶融炉と、
圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物を上記熱分解部に供給する供給装置と、
上記ガス改質部でガス改質された改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製装置と、
ガス精製装置で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理装置とを備え、
上記竪型ガス化溶融炉の熱分解部は、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物とを熱分解・ガス化し、ガス改質部は、発生したガスをガス改質し、溶融部は、圧縮ブロックとフッ素含有液状廃棄物の不燃物を溶融し排出することを特徴とするフッ素含有廃棄物の処理装置。
【請求項6】
フッ素含有固形廃棄物を無害化するとともに他の廃棄物をガス化し燃料ガスとして回収するフッ素含有廃棄物の処理装置において、
フッ素含有固形廃棄物と上記他の廃棄物との混合物を回分的に圧縮し混合物圧縮ブロックを成形する圧縮装置と、
熱分解部、ガス改質部及び溶融部を有する竪型ガス化溶融炉と、
混合物圧縮ブロックを上記竪型ガス化溶融炉の熱分解部に供給する供給装置と、
上記ガス改質部でガス改質された改質ガスを洗浄水で洗浄して精製し燃料ガスとして回収するガス精製装置と、
ガス精製装置で改質ガスを洗浄した洗浄水からフッ素を除去する洗浄水処理装置とを備え、
上記竪型ガス化溶融炉の熱分解部は、混合物圧縮ブロックを熱分解・ガス化し、ガス改質部は発生したガスをガス改質し、溶融部は、混合物圧縮ブロックの不燃物を溶融し排出することを特徴とするフッ素含有廃棄物の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−88102(P2013−88102A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232055(P2011−232055)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】