説明

フッ素樹脂シリコーン加硫ゴム

最初にフルオロカーボン樹脂を相溶化剤と混合し、その後、硬化性オルガノポリシロキサンをラジカル開始剤と共に加え、そしてその混合物中のオルガノポリシロキサンを加硫することによって製造されるフルオロカーボン樹脂およびシリコーンを含むフッ素樹脂。そのフッ素樹脂は、例えば押出し、真空成形、射出成形、ブロー成形または圧縮成形のような様々な技術によって加工して、樹脂部品を製造することができる。得られた加工部品は、機械的性質をほとんど、または全く劣化させることなしに再加工(リサイクル)することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフルオロカーボン樹脂とシリコーンとを含むフッ素樹脂に関する。そのフッ素樹脂は、最初にフルオロカーボン樹脂を相溶化剤と混合し、次に、ラジカル開始剤と共に硬化可能なオルガノポリシロキサンを加え、そして混合物の中のオルガノポリシロキサンを加硫させることによって製造される。本発明のフッ素樹脂は、プラスチック部品を製造するために押出し、真空成形、射出成形、ブロー成形または圧縮成形などの様々な技術によって加工することができる。得られた製造部品は、機械的性質のほとんどまたは全く劣化することなしに再加工する(リサイクルする)ことができる。
【背景技術】
【0002】
動的加硫の技術が、例えば米国特許第6,015,858号に教示されているようにフルオロカーボン樹脂をベースとする熱可可塑性組成物の製造に使用されている。しかしながら、この'858特許の組成物は、その組成物のシリコーン部分を硬化するために白金触媒を使用することに基づいている。ラジカル開始剤などの、それに代わる硬化系を使用することは教示も示唆もされていない。多くの用途において、フルオロカーボン樹脂とシリコーン部分の別の硬化により、シリコーンとをベースとする熱可可塑性組成物を製造することが望まれている。例えば、白金を含まない組成物が、ある用途において、さらには製造する経済性が重要であるその他の場合において望まれることがあり、ラジカル開始剤などのコストのより安い硬化剤を使用することが望まれることがある。費用は安いが、ラジカル開始剤は、加硫プロセスで使用すると、他の問題を引き起こすことがある。特に、それらの上高温での揮発性は、安全の問題を引き起こすことがある。
【特許文献1】米国特許第6,015,858号
【非特許文献1】"Vinylidene Fluoride-Based Thermoplastics (Overview and Commercial Aspects)",J.S.Humphrey,Jr. of Polymeric Material Encyclopedia,1996 Version 1.1, CRC Press, NY
【非特許文献2】"Tetrafluoroethylene Copolymers (Overview)" ,T. Takakura of Polymeric Material Encyclopedia,1996 Version 1.1, CRC Press, NY
【非特許文献3】"Fluorinated Plastics Amorphous" M.H. Hung, P.R. Resnick, B.E. Smart, W.H. Buck of Polymeric Material Encyclopedia,1996 Version 1.1, CRC Press, NY
【非特許文献4】"Fluoropolymers", K-L. Ring, A. Leder, and M Ishikawa-Yamaki, Chemical Economics Handbook-SRI International 2000, Plastics and Resins 580.0700A
【特許文献2】米国特許第5,554,689号
【特許文献3】米国特許第6,035,780号
【非特許文献5】"Encyclopedia of Chemical Technology", Kirk-Othmer, 第4版, Vol. 22, 82-142ページ, John Wiley & Sons, NY
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ラジカル開始剤によってシリコーンを硬化する加硫を使用してフルオロカーボン樹脂とシリコーンとを含むフッ素樹脂組成物を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのフッ素樹脂組成物の製造方法は、
(I)次の成分を混合するステップ
(A)23℃より高いガラス転移温度を有するフルオロカーボン樹脂
(B)相溶化剤
(C)任意の触媒、
(II)ステップ(I)の生成物を次の成分と混合するステップ
(D)硬化性オルガノポリシロキサンを含むシリコーンベース
(E)前記オルガノポリシロキサンを硬化するに十分な量のラジカル開始剤、および
(III)オルガノポリシロキサンを加硫するステップ
を含み、エラストマーベース組成物中のフルオロカーボン樹脂(A)とシリコーンベース(D)の重量比が、95:5〜30:70の範囲内である。
【0005】
さらに、本発明は、本発明の方法によって得られるフッ素樹脂組成物、およびその熱可可塑性組成物を含む加工物品に関するものである。
本発明の方法の最初のステップ(I)は、以下の成分を混合することである。
(A)23℃より高いガラス転移温度を有するフルオロカーボン樹脂
(B)相溶化剤
(C)任意の触媒
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本方法の最初のステップは、本明細書において"ステップ(I)の生成物"と称されている生成物を製造する。典型的には(必要とされないけれども)、ステップ(I)の生成物は、変性フルオロカーボン樹脂と考えることができる。ここで使用される"変性フルオロカーボン樹脂"という用語は、成分(A)、(B)、および場合により(C)の選択と、後述するこの混合ステップで使用される付随する条件によって、化学的に変性されるか、または物理的に変性されるかのいずれかとして考えられ得る変性フルオロカーボン樹脂を称する。化学的に変性されているフルオロカーボン樹脂を製造する本発明の実施形態は、成分(A)、(B)、および場合により(C)が、フルオロカーボン樹脂および相溶化剤の反応生成物を製造するように選択され、そして混合される。物理的に変性されているフルオロカーボン樹脂を製造する本発明の実施形態は、成分(A)、(B)、および場合により(C)が、フルオロカーボン樹脂および相溶化剤の物理的な混合生成物を製造するように選択され、そして混合される。いずれの場合においても、ステップ(I)の生成物が変性フルオロカーボン樹脂を生成する場合、フルオロカーボン樹脂(A)は、フルオロカーボン/シリコーン混合物を生成し、さらにそれがシリコーンベース組成物と混合され、そしてシリコーンが加硫される際に、連続するフルオロカーボン樹脂相および不連続の硬化されているシリコーン相(すなわち、内部相)を有するフッ素樹脂組成物を生成するようにそのような風に変性される。
【0007】
本発明の成分(A)は、フルオロカーボン(FC)樹脂である。そのFC樹脂は、室温(RT)または23℃より高い融点(Tm)および室温または23℃より高いガラス転移温度(Tg)を有する任意のフッ素樹脂であり得る。"ガラス転移温度"は、ポリマーがガラス状の状態からプラスチック状態へ変化する温度を意味する。ガラス転移温度は、例えば動的機械分析(DMA)および走査型示差熱量計(DSC)のような従来の方法で測定することができる。FC樹脂の代表的で限定されない例は、例えばPolymeric Material Encyclopedia,1996 Version 1.1, CRC Press, NY の中の"Vinylidene Fluoride-Based Thermoplastics(Overview and Commercial Aspects)"、J.S.Humphrey,Jr.,"Tetrafluoroethylene Copolymers(Overview)"、T. Takakura, "Fluorinated Plastics Amorphous"、M.H. Hung, P.R. Resnick, B.E. Smart, W.H. Buckならびに "Fluoropolymers", K-L. Ring, A. Leder, and M Ishikawa-Yamaki, Chemical Economics Handbook-SRI International 2000, Plastics and Resins 580.0700A (参照によってそれらの全てが本明細書中に組み込まれている)のようなこの種の材料の概要論説に見出すことができる。したがってそのFC樹脂は、リスト:テトラフルオロエチレン、ビニリデンジフロライド、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびビニルフロライドから選択される前記フッ素含有モノマーのホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであると考えられる。また、これらのモノマーは、以下のものに限定されないが、例えばパーフルオロプロピルビニルエーテルのようなビニル化合物; 例えばエチレン、またはヘキサフルオロプロピレンのようなオレフィン化合物; 例えばブロモトリフルオロエチレンおよび1-ブロモ-2,2-ジフルオロエチレンのようなハロゲン含有重合性オレフィンを含む共重合性モノマーと共重合することもできる。商業的に利用し得る例は、以下のものに限定されないが、ポリ(ビニリデンジフロライド)、(PVDF); ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン)、(E-TEF); ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド、(HFP-PVDF); テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド、(THV); およびポリ(エチレン-クロロトリフルオロエチレン)(E-CTFE)が挙げられる。
【0008】
FC樹脂(A)は、FC樹脂の混合物であってもよいと思われる。しかしながら、化学的に変性されている実施形態においては、FC樹脂の少なくとも2重量%、あるいは少なくとも5重量%、あるいは少なくとも10重量%は、相溶化剤Bと反応し得る少なくとも1種のモノマー、例えばオレフィン基または次の基: 炭素と結合されている水素または炭素と結合されている塩素または炭素と結合されている臭素または炭素と結合されているヨウ素の 1つを含むモノマーを含まなければならないポリマーまたはコポリマーである。
【0009】
本発明の方法によれば、FC樹脂(A)は、任意の触媒の存在下に相溶化剤(B)と混合され、変性FC樹脂を生成する。相溶化剤の構造は、重要ではない。相溶化剤の機能は、さらにシリコーンベース組成物と混合し、そしてシリコーンを加硫した際に連続のフルオロカーボン樹脂の相および不連続の硬化されているシリコーンの相(すなわち、内部相)を有するフッ素樹脂組成物が生成するフルオロカーボン/シリコーン混合物を生成するようにFC樹脂を変性することである。したがって、相溶化剤(B)は、シリコーンベース(D)とFC樹脂(A)との混合を促進して、連続的なフルオロカーボン樹脂相および不連続のシリコーンの相(すなわち、内部相)を有する混合物を生成するようにFC樹脂を変性することが期待される炭化水素、有機シロキサン、フルオロカーボン、またはそれらの組み合わせから選択することができる。しかしながら、相溶化剤、または生成した変性FC樹脂は、後で述べるようにオルガノポリシロキサン成分の硬化を妨げてはならない。
【0010】
物理的に変性されているフルオロカーボンの実施形態において、相溶化剤(B)は、シリコーンベースとFC樹脂との混合を増進する技術において知られている任意の相溶化剤から選択することができる。典型的には、そのような相溶化剤は、オルガノポリシロキサンとフルオロカーボンポリマーの反応生成物である。そのような相溶化剤の代表的で、限定されない例は、米国特許第5,554,689号および第6,035,780号(その両方とも、参照によって本明細書中に組み込まれている)に記載されている。
【0011】
化学的に変性されているフルオロカーボンの実施形態において、典型的に相溶化剤(B)は、(B')2個以上のオレフィン基を含む有機(すなわち、非シリコーン)化合物、(B'')少なくとも2個のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサンおよび(B''')その珪素原子に結合している少なくとも1個の加水分解性基または1個のヒドロキシル基も含むオレフィン官能性シランの群から選択することができる。
【0012】
有機相溶化剤(B')は、とりわけ、例えばジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、2,4,6-トリアリロキシ-1,3,5-トリアジン、トリアリルトリメセート、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、2,2'-ジアリルビスフェノールA、N,N'-ジアリルタータルジアミド、ジアリルウレア、ジアリルサクシネートおよびジビニルスルホンのような化合物を挙げることができる。
【0013】
相溶化剤(B'')は、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状、分岐状または環状オルガノポリシロキサンから選ぶことができる。そのようなオルガノポリシロキサンの例は、ジビニルテトラメチルジシロキサン、シクロトリメチルトリビニルトリシロキサン、シクロ-テトラメチルテトラビニルテトラシロキサン、ヒドロキシ末端ブロックポリメチルビニルシロキサン、ヒドロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン-コ-ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、テトラキス(ジメチルビニルシロキシ)シランおよびトリス(ジメチルビニルシロキシ)フェニルシランを含む。あるいは、相溶化剤(B'')は、粘度2〜55,000センチストークス(mm2/s)を有し、ビニル1〜35%を含有するビニル末端ポリメチルビニルシロキサン(Vi-[(MeViSiO)x-(Me2SiO)y]-Vi)である。あるいは、相溶化剤(B'')は、粘度約35m・Pa-sを有し、ビニル基25〜30%および珪素に付いたヒドロキシ基2〜4%を含むヒドロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン[HO(MeViSiO)xH]オリゴマーである。
【0014】
相溶化剤(B''')は、典型的にはビニル系不飽和を含む少なくとも1個のアルキレン基ならびに加水分解性基またはヒドロキシル基から選択される少なくとも1個の珪素に結合している部分を含むシランである。好適な加水分解性基は、アルコキシ、アリールオキシ、アシロキシまたはアミド基を含む。そのようなシランの例は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、メチルビニルジシラノール、オクテニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2-エトキシエトキシ)シラン、メチルビニルビス(N-メチルアセトアミド)シラン、メチルビニルジシラノールである。
【0015】
後に記載されるシリコーンベース成分(D)の硬化性オルガノポリシロキサンの部分もまた、相溶化剤として役目を果たすことが可能である。例えば、触媒(C)を使用して、最初にシリコーンベース(D)の硬化性オルガノポリシロキサンの一部をFC樹脂と反応させて変性FC樹脂を生成することができる。変性FC樹脂を、次いでさらに硬化性オルガノポリシロキサンを含む残余のシリコーンベース(D)と混合し、オルガノポリシロキサンは、後記するように動的に加硫される。
【0016】
FC樹脂100部につき使用される相溶化剤の量は、ルーチンの実験によって決めることができる。典型的には、FC樹脂各100部について相溶化剤0.05〜15重量部または0.1〜5部を使用される。
【0017】
任意成分(C)は、触媒である。典型的には、触媒は、化学的に修飾されているフルオロカーボンの実施形態において使用される。そういうものとして、それは、典型的には、高い温度でフリーラジカルを発生する技術において知られている任意の有機化合物から選択されるラジカル開始剤である。その開始剤は、特に限定されず、例えば2,2'-アゾビスイソブチロニトリルのような、知られている任意のアゾまたはジアゾ化合物であり得るが、好ましくは、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、パーオキシ酸、アシルアルキルスルホニルパーオキサイドおよびアルキルモノパーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物から選択される。しかしながら、重要な要件は、開始剤の半減期が、反応ステップ(I)の時間および温度の制限の中において、相溶化剤(B)とFC樹脂(A)との反応を促進させるために十分に短いことである。一方では、変性温度は、FC樹脂のタイプおよび選択された相溶化剤に依存するが、典型的には、成分(A)から(C)の均一な混合と実際的に調和する程度に低い。本発明の方法によって使用され得る好適なパーオキサイドの具体的な例は、とりわけ、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシO-トルエート、環状パーオキシケタール、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイドおよびt-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,2,4-トリメチルペンチル-2-ヒドロパーオキサイド、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3、t-ブチル-パーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエートおよびジイソプロピルベンゼンモノハイドロパーオキサイドである。FC樹脂100部につきパーオキサイド2重量部より少ない量が、典型的に使用される。あるいは0.05〜1部、および0.2〜0.7部もまた、使用することができる。
【0018】
前に述べた触媒の選択と関連する具体的な限定およびプロセス条件以外に、ステップ(I)の反応は、その反応に影響を与える技術でよく知られている様々な条件において起こり得る。
【0019】
本発明の方法の第2のステップ(II)は、ステップ(I)の生成物を
(D)硬化性オルガノポリシロキサンを含むシリコーンベース、
(E)前記オルガノポリシロキサンを硬化するに十分な量のラジカル開始剤
と混合するステップである。
【0020】
成分(D)は、硬化性オルガノポリシロキサン(D')および場合により、充填剤(D'')を含有するシリコーンベースである。硬化性オルガノポリシロキサンは、その分子中に存在する少なくとも2個の硬化可能な基を有する任意のオルガノポリシロキサンとして本明細書において定義される。オルガノポリシロキサンは、当該技術においてよく知られており、しばしば任意の数のMユニット(R3SiO0.5)、Dユニット(R2SiO)、Tユニット(RSiO1.5)またはQユニット(SiO2)(式中、Rは、独立して任意の1価の炭化水素基である)含有するものとして指定される。あるいは、オルガノポリシロキサンは、次の一般式; [RmSi(O)4-m/2]n(式中、Rは独立して任意の1価の炭化水素基であり、m=1〜3、nは少なくとも2である)を有するものとしてしばしば記載される。
【0021】
シリコーンベース(D)におけるオルガノポリシロキサンは、その分子中に少なくとも2個の硬化性基を有しなければならない。本明細書に使用される硬化性基は、それ自身またはもう1つの炭化水素基、またはその代わりにオルガノポリシロキサンを架橋するために架橋剤と反応することができる任意の炭化水素基と定義される。この架橋は、硬化されているオルガノポリシロキサンを生成する。シリコーンベースに使用することができる硬化性オルガノポリシロキサンの代表的なタイプは、硬化の際にシリコーンゴムを生成する技術において知られているオルガノポリシロキサンである。そのようなオルガノポリシロキサンの代表的で限定されない例は、"Encyclopedia of Chemical Technology", Kirk-Othmer,第4版, Vol. 22, 82 - 142ページ, John Wiley & Sons, NY(参照によって本明細書に組み込まれている)に開示されている。任意のオルガノポリシロキサンを、成分(D)として選択することができ、成分(E)との組み合わせが、加硫のステップ(III)の時間および温度の制限内で硬化する場合、成分(E)としてフリーラジカル開始剤が選択されるだろう。そのようなフリーラジカルで開始される架橋における成分(E)の選択によっては、例えばメチルのようないかなるアルキル基も、そのようなフリーラジカルで開始される条件下でそれらが架橋するので、硬化性基として考えることができる。
【0022】
成分(D)および(E)の組み合わせとしてここで定義するシリコーン相の使用量は、使用するFC樹脂(A)の量に依存して変化し得る。しかしながら、成分(A)から(E)までの全重量に基づいて30〜95重量%、あるいは35〜90重量%、またはあるいは40〜85重量%のレベルのFC樹脂(A)を使用するのが典型的である。
【0023】
また、シリコーンベース(D)に対するフルオロカーボン樹脂(A)の重量比を報告することも都合がよく、それは典型的には95:5〜30:70、あるいは90:10〜40:60、あるいは85:15〜40:60の範囲である。
【0024】
典型的には、(D')は、2〜20個の炭素原子を有する少なくとも2個のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンゴム、またはジオルガノポリシロキサンおよび場合により(D'')補強充填剤である。アルケニル基として、具体的にはビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびデセニル、好ましくはビニルまたはヘキセニルが例示される。アルケニル官能基の位置は、重要ではなく、それは分子鎖末端において、分子鎖上の非末端位置において、または両方の位置において結合され得る。典型的には、アルケニル基は、ビニルまたはヘキセニルであり、この基は、ジオルガノポリシロキサン中に0.0001〜3モル%、あるいは0.0005〜1モル%のレベルで存在する。残余の(すなわち、非アルケニルの)珪素に結合したジオルガノポリシロキサンの有機基は、独立して脂肪族の不飽和を含まない炭化水素またはハロゲン化炭化水素基から選択される。これらとして、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルのような1〜20個の炭素原子を有するアルキル基; 例えばシクロへキシルおよびシクロヘプチルのようなシクロアルキル基; 例えばフェニル、トリルおよびキシリルのような6〜12個の炭素原子を有するアリール基; 例えばベンジルおよびフェニルエチルのような7〜20個の炭素原子を有するアラルキル基; および3,3,3-トリフルオロプロピルおよびクロロメチルのような1〜20個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基が例示される。もちろん、これらの基は、ジオルガノポリシロキサンが室温より低いガラス転移温度(または融点)を有し、したがって硬化されたポリマーがエラストマーであるようなものが選択されることを理解されたい。典型的には、非アルケニルの珪素に結合した、ジオルガノポリシロキサン中の有機基は、ジオルガノポリシロキサンにおける有機基の少なくとも85モル%、またはその代わりに少なくとも90モル%を構成する。
【0025】
このように、ポリジオルガノポリシロキサン(D)は、そのような有機基を含むホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであり得る。その例は、とりわけジメチルシロキシ単位およびフェニルメチルシロキシ単位を含むコポリマー、ジメチルシロキシ単位および3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位を含むコポリマー、ジメチルシロキシ単位およびジフェニルシロキシ単位を含むコポリマーおよびジメチルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位およびフェニルメチルシロキシ単位を含むインターポリマーを含む。また、分子構造は、重要ではなく、直鎖状および部分的に分岐されている直鎖状構造が例として挙げられ、直鎖状系がもっとも典型的である。
【0026】
ジオルガノポリシロキサン(D)の具体的な例は、トリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー; トリメチルシロキシ末端ブロックメチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー; トリメチルシロキシ末端ブロック3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサンコポリマー; トリメチルシロキシ末端ブロック3,3,3-トリフルオロプロピルメチル-メチルビニルシロキサンコポリマー; ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルポリシロキサン; ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー; ジメチルビニルシロキシ末端メチルフェニルポリシロキサン; ジメチルビニルシロキシ末端ブロックメチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー; および少なくとも1個の末端基がジメチルヒドロキシシロキシである同様のコポリマーを含む。低い温度の応用のための典型的な系は、メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマーおよびジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、特にジメチルシロキサン単位のモル含有量が、約85〜95%であるものを含む。
【0027】
また、成分(D)は、2種またはそれ以上のオルガノポリシロキサンの組み合わせからなる。あるいは、ジオルガノポリシロキサン(D)は、直鎖状ポリジメチルシロキサンホモポリマーであり、好ましくはその分子の各末端においてビニル基で停止されているか、またはそれはその主鎖に少なくとも1個のビニル基も含むそのようなホモポリマーである。
【0028】
典型的には、ジオルガノポリシロキサンの分子量は、米国材料試験協会(ASTM)の試験方法D926によって測定して少なくとも約30のウィリアム可塑度(Williams plasticity number)を与えるに十分なものである。成分(D')の可塑性について絶対的な上限はないが、従来の混合装置における処理可能性を実際考えると一般的にこの値を制限する。典型的には、可塑度は、40〜200、または50〜150でなければならない。
【0029】
高い粘稠性の不飽和基を含むジオルガノポリシロキサンの製造方法は、よく知られており、それらはこの明細書中で細かに検討する必要はない。例えば、アルケニル官能性ポリマーの典型的な製造方法は、同様のアルケニル官能性のものの存在下での環状および/または直鎖状ジオルガノポリシロキサンの塩基触媒での平衡化を含む。
【0030】
任意成分(D'')は、ジオルガノポリシロキサン(D')を補強するために知られている任意の充填剤であり、好ましくは、例えば少なくとも約50m2/グラムの比表面積を有するヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカエアロゲルおよび二酸化チタンのような細かに分割された熱安定な鉱物から選択される。ヒュームドシリカは、450m2/グラムまであり得る、その高い表面積に基づく典型的な補強充填剤である。あるいは、50〜400m2/グラム、またはその代わりに90〜380m2/グラムの表面積を有するヒュームドシリカも使用できる。充填剤は、ジオルガノポリシロキサン(D')の100重量部につき約5〜150重量部、あるいは10〜100、またはその代わりに15〜70重量部のレベルで加えられる。
【0031】
充填剤は、シリコーンゴム技術で典型的に実行されているようにその表面を親油性にするために典型的に処理される。これは、シリカをシラノール基またはシラノール基の加水分解性前駆体を含む液状有機シリコーン化合物と反応させることによって達成される。充填剤を処理する薬剤として使用でき、シリコーンゴム技術においてアンチクリーピング(anti-creping)剤または可塑剤とも称されている化合物は、低分子量の液状ヒドロキシ-またはアルコキシ-末端のポリジ有機シロキサン、ヘキサ有機ジシロキサン、シクロジメチルシラザンおよびヘキサ有機ジシラザンのような成分を含む。成分(D)は、場合によりシリコーンゴム処方において通常使用されるその他の物質を含むことができ、次のものに限定されないが、抗酸化剤、架橋添加剤、処理剤、顔料またはその技術で知られているその他の添加剤を含み、それらはシリコーン硬化ステップ(III)にマイナスの影響を与えないものである。
【0032】
成分(E)は、オルガノポリシロキサンのフリーラジカル硬化を与えるために選択される。ラジカル開始剤(E)は、成分(B)を選択するために前に記載された任意のフリーラジカル開始剤から選択することができる。
【0033】
前記の主要成分(A)から(E)に加えて、1種または複数種の任意の添加剤(F)を、本発明のフッ素樹脂組成物に組み込むことができる。これらの任意の添加剤として、次の限定されない例:例えば石英、炭酸カルシウムおよび珪藻土のような増量充填剤; 例えば鉄酸化物およびチタン酸化物のような顔料; 例えばカーボンブラックおよび微細粉金属のような充填剤; 例えば水和されている酸化セリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムのような熱安定剤; 例えばハロゲン化炭化水素、アルミナ3水和物、水酸化マグネシウム、珪灰石、有機リン化合物のような難燃剤およびその他の燃焼抑制剤; およびその技術おいて知られているその他の添加剤を例示することができる。これらの添加剤は、典型的に加硫後の最終組成物に加えられるが、それらが加硫メカニズムを妨害しないならば、製造の任意のポイントで加えてもよい。これらの添加剤は、後記の硬化エラストマー組成物を製造するために添加される追加成分と同じであっても、異なっていてもよい。
【0034】
本発明の方法の第3のステップ(III)は、オルガノポリシロキサンの加硫である。加硫は、静的または動的に起こり得る。本発明に使用される動的加硫は、フッ素樹脂組成物の連続的な混合と共に起きる加硫プロセスをいう。その連続的な混合は、ステップ(II)を実行する混合、すなわちステップ(II)の混合と同時であるか、またはその代わりにその混合はステップ(II)に続いて起こし得るという混合と同じであり得る。あるいは、その加硫は静的に起こり得る。静的加硫は、ステップ(II)の生成物をさらに混合することなく、オルガノポリシロキサンを加硫することをいう。例えば、ステップ(II)の混合の生成物は、例えばステップ(II)の生成物の加熱のようなオルガノポリシロキサンの硬化プロセスに単に付すことができる。
【0035】
それによって、フッ素樹脂組成物は、変性FC樹脂中にシリコーンベース(D)を完全に分散させ、その後にラジカル開始剤、成分(E)を使用してそのシリコーンベースを加硫することによって典型的に製造される。混合は、FC樹脂中にその成分を均一に分散することができる任意の装置、例えば密閉式混合機、押出機内で行うことができる。あるいは、本方法の混合ステップ(I)および(II)、ならびにステップ(III)の動的加硫の実施形態は、二軸スクリュー押出機を使用することによって遂行することができる。前に注記されたように、FC樹脂は、成分(D)から(F)を加える前に変性されなければならない。FC樹脂の変性後に、成分(D)から(F)の混合順序は、当業者によって決定することができる。典型的に(F)は、(E)の後に加えられるだろうが、(F)がエラストマー相の硬化を妨害しない限り、それは決定的に重要ではない(例えば、(F)は、FC樹脂またはベースと前もって混合することができる)。
【0036】
典型的な混合手順において、FC樹脂(A)および相溶化剤(B)が、コントロールされている温度において混合機中で最初に混合され、その後に使用されるときに触媒(C)が加えられる。この(化学的)変性ステップ中に使用される温度は、開始剤(C)の最適な半減期を与えるように実験的に決定される。それは割り当てられた時間内にFC樹脂(A)へ相溶化剤をグラフトさせるために十分な範囲まで同時に分解しながら、このステップ中、成分(C)は、FC樹脂/相溶化剤の組み合わせ中に完全に混合されなければならない。温度が高すぎると、開始剤は早まって分解し、FC樹脂の変性は不十分であり、温度が低すぎると、開始剤の分解が十分でなく、わずかに変性されたFC樹脂しか生成しない。触媒(C)を加える前に相溶化剤をFC樹脂と完全に混合することが好ましい。
【0037】
FC樹脂の変性は、シリコーンベース(D)およびラジカル開始剤(E)を加える直前の1つのステップ中で遂行することができる。あるいは、FC樹脂は、最初にFC樹脂を変性し、その後、変性されたFC樹脂をシリコーンベース(D)、およびラジカル開始剤(E)と一緒に混合機に加え戻す次のステップにおいて混合機からそれを除去するステップの2つのステップで製造することができる。
【0038】
そのようなフッ素樹脂材料を混合するために知られている任意の混合技術を、本発明の方法においても使用することができるが、典型的には押出プロセスを使用する。動的加硫が使用される場合の混合ステップ(I)および(II)ならびにステップ(III)は二軸スクリュー式押出機を使用して実施することができる。本発明方法の一実施形態では、二軸スクリュー式押出機で5分より少ない時間で混合が行われる。
【0039】
追加成分をフッ素樹脂シリコーン組成物に加えることができる。これらは、その他のフッ素樹脂またはその他のフッ素樹脂シリコーン組成物を本発明のフッ素樹脂シリコーン組成物中に混合するステップを含む。また、これらの追加成分は、フッ素樹脂に典型的に加えられる任意の成分または材料であり得る。典型的には、これらの成分は、充填剤および加工助剤から選ぶことができる。多くの市販のフッ素樹脂は、すでにこれらの成分を含んでいる可能性がある。
【0040】
本発明のフッ素樹脂は、例えば押出し、真空成形、射出成形、ブロー成形または圧縮成形のような従来の技術によって加工して樹脂部品を製造することができる。さらに、これらの組成物は、機械的性質のわずかな劣化でまたは劣化なしに再加工(リサイクル)することができる。これらの新規なフッ素樹脂は、例えばプレナム電線のような電線またはケーブルの絶縁、自動車および器具の部品、ベルト、ホース、構造シールの製造および一般のゴムの応用における利用がある。
【0041】
(実施例)
次の実施例は、本発明の組成物および方法をさらに説明するために提供されるものであり、本発明を限定するものとして解釈されず、本発明は、付属の特許請求の範囲においてその輪郭が描かれる。実施例における全ての部およびパーセントは、重量基準であり、全ての測定値は、他に示されていなければ、約23℃において得られた。
原材料
・GP-30 は、Dow Corning Corporation によってSilastic(登録商標) GP-30 Silicone Rubberとして市販されているシリコーンゴムベースである。
・GP-50 は、Dow Corning CorporationによってSilastic(登録商標) GP-50 Silicone Rubberとして市販されているシリコーンゴムベースである。
・LCS-755 は、Dow Corning CorporationによってSilastic(登録商標) LCS-755 Silicone Rubberとして市販されているシリコーンゴムベースである。
・LS-2840は、Dow Corning Corporationによって Silastic(登録商標) LS-2840 Fluorosilicone Rubberとして市販されているフルオロシリコーンゴムベースであり、Georgia Marble Companyから市販されている Gama-Sperse(登録商標) CS-11を5部も含んでいる。
・相溶化剤 1は、約35 mPa-sの粘度を有し、-CH=CH2基 30% およびOH基3% を含むヒドロキシ末端ブロックメチルビニルシロキサンオリゴマーである。
・相溶化剤2 は、ムーニー粘度(ML1+10)21を有する一方の末端がヨウ素で終結されているフルオロカーボンターポリマーである。
・TAIC は、カルシウムシリケートに吸着されているトリアリルイソシアヌレート(CAS# 1025-15-6)(72%)であり、Akrochem CorporationによってAkrosorb(商標) 19251 (B) TAIC (72)として市販されている。
・THV220Gは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンフルオライドからなり、融点120℃を有するフッ素樹脂ターポリマーであり、Dyneon A 3M CompanyによってDyneon(商標) Fluorothermoplastics THV 220Gとして市販されている。
・THV610Gは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンフルオライドからなり、融点185℃を有するフッ素樹脂ターポリマーであり、Dyneon A 3M CompanyによってDyneon(商標) Fluorothermoplastics THV 610Gとして市販されている。
・Kynar 2500 は、フッ素樹脂コポリマーであり、ATOFINA Chemicals, Inc.によってKynar Flex(登録商標) 2500として市販されている。
・Kynar 2750 は、フッ素樹脂コポリマーであり、ATOFINA Chemicals, Inc.によってKynar Flex(登録商標) 2750として市販されている。
・Kynar 460 は、フッ素樹脂ホモポリマーであり、ATOFINA Chemicals, Inc.によってKynar Flex(登録商標) 460として市販されている。
・Trigonox 101-は、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン (CAS# 78-63-7)であり、Akzo Novel Chemicals, Inc.によってTRIGONOX(登録商標) 101として市販されている。
・Trigonox 145-は、炭酸カルシウムに45%担持されている2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3(CAS# 1068-27-5)であり、Akzo Novel Chemicals, Inc.によってTRIGONOX(登録商標) 145-45B-pdとして市販されている。
・Trigonox A-W70-は、tert-ブチルハイドロパーオキサイド 70%水溶液(CAS# 75-91-2)であり、Akzo Novel Chemicals, Inc.によってTRIGONOX(登録商標) A-W70として市販されている。
【0042】
(実施例1)
THV220G(235.79g)を、170℃および50rpmで、回転ローターを具備する310mlのHaakeボールに加えた。溶融してから5分後に、相溶化剤 1(2.2g)を加えた。ローター速度を10rpmに減じ、全ての相溶化剤1を入れた。その後、20分間にわたってローター速度を段階的に60rpmに高め、そして5分間混合した。その後にTrigonox 101(0.6g)を加えた。5分後に、GP-50(91.86g)を加え、5分間混合した。Trigonox 101(1.60g)を加え、生成した樹脂組成物をトルクが安定するまで約5分間混合した。
【0043】
樹脂組成物をプラーク(plaque)に熱間プレスした。圧縮成形してから24時間後に物性試験を行った。ASTM D412のDie Standard によりD 500mm/分で引張り(tensile)および伸び(elongation)を測定した。実施例1は、引張り強度 8.5 MPaおよび伸び 410%を与えた。
【0044】
(実施例2)
Kynar 2500(215.3g)を、165℃および60rpmで回転ローターを具備する310mlのHaakeボールに加えた。溶融してから5分後に、相溶化剤 1(5.3g)を加えた。ローター速度を5rpmに減じ、全ての相溶化剤 1を入れた。その後、15分間にわたってローター速度を段階的に60rpmに高め、そして10分間混合した。その後にTrigonox 101(1.29g)を加えた。10分後に、GP-50(92.0g)を加え、5分間混合した。Trigonox 101(2.8g)を加え、生成した樹脂組成物をトルクが安定するまで約5分間混合した。
【0045】
樹脂組成物をプラークに熱間プレスした。圧縮成形してから24時間後に物性試験を行った。ASTM D412のDie StandardによりD 500mm/分で引張りおよび伸びを測定した。実施例2は、引張り強度 8.5MPaおよび伸び 302%を有していた。
【0046】
(実施例3)
THV220G(235.8g)を、185℃および60rpmで回転ローターを具備する310mlのHaakeボールに加えた。それが溶融してから5分後に、相溶化剤 1(2.3g)を加えた。ローター速度を5rpmに減じ、全ての相溶化剤 1を入れた。その後、10分間にわたってローター速度を段階的に60rpmに高め、そして5分間混合した。その後にTrigonox 101(0.6g)を加えた。10分後に、GP-30(92.66g)を加え、5分間混合した。Trigonox 101(1.38g)を加え、生成した樹脂組成物をトルクが安定するまで約5分間混合した。
樹脂組成物をプラークに熱間プレスした。圧縮成形してから24時間後に物性試験を行った。ASTM D412のDie StandardによりD 500mm/分で引張りおよび伸びを測定した。実施例3は、引張り強度10.7MPaおよび伸び 445%を有していた。
【0047】
(実施例4)
Kynar 460(210g)を165℃および50rpmにおいてバンバリーローターを具備するHaake Rheomix 3000ボールに加え、それが溶融するまで混合した。TAIC(3g)およびTrigonox 145(1g)を加えた。ローター速度を75rpmに高め、10分間混合した。GP-50(140g)を加え、10分間混合した。Trigonox A-W70(2g)を加え、生成した樹脂組成物を約5分間混合した。サンプル4AをHaakaから取り出し、プレス中で225℃、10分間静的に硬化した。サンプル4Bは、Haake中において150rpmで動的に硬化し、トルクが安定するまで混合した。樹脂組成物をプラークに熱間プレスした。ASTM D412のDie StandardによりD 500mm/分で引張りおよび伸びを測定した。実施例4Aは、引張り強度8.3MPaおよび伸び12%および39ショア(Shore) D デュロメータ(Durometer)を有していた。実施例4Bは、引張り強度7.2MPaおよび伸び14%および33ショアD デュロメータを有していた。
【0048】
(実施例5)
Kynar 2750(223g)、LS-2840(180g)およびサンプル5Bおよびサンプル5Cについてのみ相溶化剤 2(3g)を50rpmのバンバリーローターを具備するHaake Rheomix 3000ボールに加え、フッ素樹脂が溶融するまでチャンバー温度200℃において混合した。Trigonox A-W70(2.5g)を加え、生成した樹脂組成物を約100rpmで混合した。サンプル5Aおよび5Bは、過酸化物の分解温度に達するまで混合し、シリコーンを動的に硬化させた。サンプル5Cは、10分混合後にHaakaから取り出し、プレス中において225℃で10分間静的に硬化させた。樹脂組成物をプラークに熱間プレスした。ASTM D412のDie StandardによりD 500mm/分で引張りおよび伸びを測定した。実施例5Aは、引張り強度6.4MPaおよび伸び206%および29ショアD デュロメータを有していた。実施例5Bは、引張り強度8.0MPaおよび伸び294%および30ショアD デュロメータを有していた。実施例5Cは、引張り強度6.0MPaおよび伸び210%および20ショアD デュロメータを有していた。
【0049】
(実施例6)
THV610G(300g)およびサンプル6Bおよびサンプル6Cについてのみ相溶化剤 1(3g)を25rpmのバンバリーローターを具備するHaake Rheomix 3000ボールに加え、フッ素樹脂が溶融するまでチャンバー温度約200℃において混合した。サンプル6Bおよびサンプル6Cについてのみ、Trigonox 145(1g)を加えた。ローター速度を125rpmに高め、10分間混合した。LCS-755(115g)を加え、2分間混合した。Trigonox A-W70(2.0g)を加えた。サンプル6Aおよび6Bは、過酸化物の分解温度に達するまで混合し、シリコーンを動的に硬化させた。サンプル6Cは、10分混合後にHaakaから取り出し、プレス中において225℃で10分間静的に硬化させた。樹脂組成物をプラークに熱間プレスした。ASTM D412のDie StandardによりD 500mm/分で引張りおよび伸びを測定した。実施例6Aは、引張り強度4.2MPaおよび伸び206%および28ショアD デュロメータを有していた。実施例6Bは、引張り強度7.4MPaおよび伸び305%および31ショアD デュロメータを有していた。実施例6Cは、引張り強度5.6MPaおよび伸び99%および31ショアD デュロメータを有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)次の成分を混合するステップ
(A)23℃より高いガラス転移温度を有するフルオロカーボン樹脂
(B)相溶化剤
(C)任意の触媒、
(II)ステップ(I)の生成物を次の成分と混合するステップ
(D)硬化性オルガノポリシロキサンを含むシリコーンベース
(E)前記オルガノポリシロキサンを硬化するに十分な量のラジカル開始剤
および
(III)オルガノポリシロキサンを加硫するステップ
を含み、エラストマーベース組成物中のフルオロカーボン樹脂(A)とシリコーンベース(D)の重量比が、95:5〜30:70の範囲内であるフッ素樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
フルオロカーボン樹脂(A)が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、およびビニリデンフルオライドのモノマーからなる群から選択されるモノマーを含む、フッ素樹脂のホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
相溶化剤(B)が、(B')2個以上のオレフィン基を含む有機化合物、(B'')少なくとも2個のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサンおよび(B''')珪素原子に結合している少なくとも1個の加水分解性基または少なくとも1個のヒドロキシル基も含むオレフィン官能性シランの群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
相溶化剤(B)は、ヒドロキシ末端ブロックメチルビニルシロキサンである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
任意選択の触媒(C)が存在し、それが有機過酸化物である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
硬化性オルガノポリシロキサンが、2〜20個の炭素原子を有する少なくとも2個のアルケニル基を含み、米国材料試験協会(ASTM)の試験方法D926によって測定して少なくとも30のウィリアム可塑度を与えるに十分な分子量を有するジオルガノポリシロキサンゴムである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ラジカル開始剤が、有機過酸化物である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
加硫ステップ(III)が、動的加硫である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
動的加硫が、押出プロセスによって起こる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
押出しプロセスが、二軸スクリュー式押出機中で起こる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
加硫ステップ(III)が、静的加硫である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって製造されるフッ素樹脂組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のフッ素樹脂組成物を含む加工物品。

【公表番号】特表2006−527274(P2006−527274A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509091(P2006−509091)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/018229
【国際公開番号】WO2004/108822
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】