説明

フッ素樹脂皮膜の密着処理方法

【課題】従来困難であったフッ素樹脂コーティング皮膜を、常温又は低温で、金属、プラスチック、石材などのあらゆる基材に高密着に施工すること。
【解決手段】公知のクラリアントジャパン株式会社製機能コーティング剤、商品名アクアミカ「パーヒドロポリシラザンからなるシリカコーティング剤(アクアミカのグレードはNL(パラジウム触媒)、NP、SP、UP、エアゾール缶(アミン触媒)の常温硬化タイプ)」をプライマーとして施工し、その表面に常温硬化タイプのフッ素樹脂皮膜(例えば、株式会社フロロテクノロジー社製FG5010など)を積層してなる、フッ素樹脂皮膜の密着処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、プラスチック、石材等にフッ素樹脂を高密着に施工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、フッ素樹脂のコーティングに当たっては、通常、400℃程度の高温で焼付を行い、基材と密着させることが一般的である。
【0003】
しかし、このような高温処理では、基材材料の劣化、歪、変形、溶解、化学的変化などがあり製品として著しい欠陥が生じ大きな問題であった。
【0004】
これに対応するものとして、室温又は低温硬化フッ素樹脂「例えば、アクリル変性フッ素樹脂、シリコン変性フッ素樹脂、株式会社フロロテクノロジー社のFG5030、5010等」を利用して、基材を熱変化させることなくフッ素樹脂コーティングする方法が提供されている。
【0005】
しかしながら、これらの手段の全てに於いては、該フッ素樹脂を基材材料表面に使用に耐えうる密着性とするには極めて困難であつた事は、当業界で周知とされるところである。
【0006】
従って、金属、プラスチック、石材などのあらゆる基材表面に、フッ素樹脂を低温で高密着に処理する要望には多大なものがあった。
【特許文献1】なし
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フッ素樹脂を多くの多様な基材表面に、室温又は近似の低温で、高密着にコーティング施工することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フッ素樹脂を基材の表面に高密着に施工するため、公知のクラリアントジャパン株式会社製機能コーティング剤、商品名アクアミカ「パーヒドロポリシラザンからなるシリカコーティング剤」をプライマーとして施工し、その表面にフッ素樹脂皮膜を積層することで、極めて安定した、高密着のフッ素樹脂コーティングが可能になることを見出した。
【0009】
クラリアントジャパン株式会社の商品名アクアミカはパーヒドロポリシラザンを原料とし、有機溶媒、微量の触媒から構成されており、常温又は比較的低温でのシリカ転化タイプであり、緻密なシリカへ転化することの出来る材料であり、あらゆる基材と極めて高密着なシリカ皮膜を構成する。また、フッ素樹脂はこのシリカ表面に極めて強固に接着する事が実験により確認されて本発明は完成した。
【0010】
本発明に適した該商品アクアミカのグレードはNL(パラジウム触媒)、NP、SP、UP、エアゾール缶(アミン触媒)であり、硬化条件が常温から300℃のものであり、何れも問題なく使用できる。
【0011】
また、本発明で使用するフッ素樹脂は、パーフロロエチレン、トリフロン、ジフロン、アクリル変性フッ素樹脂、シリコン変性フッ素樹脂、その他の変性フッ素樹脂、株式会社フロロテクノロジー社製FG5030、5010、ファインケミカルジャパン社製FC109、FC115等多くのフッ素樹脂コーティング剤が可能であるが、本発明の趣旨からすると、常温硬化から比較的低温で硬化するフッ素樹脂を選定使用することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、多くの種類の基材に、確実に密着よく、フッ素樹脂をコーティングすることが可能となり、強固な皮膜が安定して構成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
基材表面を清浄にした後、乾燥し、クラリアントジャパン株式会社の商品名アクアミカ(NP140)をスプレー塗装機により均質に吹き付ける。次いで、80℃10分間乾燥し、次いで冷却後、株式会社フロロテクノロジー社製FG5030のシランカップリング結合鎖を有する常温硬化型フッ素樹脂コーティング剤をスプレー塗装する。次いで、室温乾燥して、密着性の著しく高いフッ素樹脂のコーティングが完成した。
【実施例1】
【0014】
SUS304板(へアーライン仕上げ表面)を、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムと苛性ソーダからなる脱脂剤に浸漬処理して、充分に脱脂を行う。
【0015】
次いで、乾燥を充分にした後、クラリアントジャパン社製のアクアミカ(エアゾール缶)により内容フッ素樹脂を1回均質に吹き付けた。引き続き70℃、30分熱風乾燥した。
【0016】
次いで冷却後、株式会社フロロテクノロジー社製常温硬化フッ素樹脂コーティング剤FG5030(フッ素樹脂含有量0.1%)を原液のままスプレー塗装して、室温(35℃)にて乾燥して作業を終了した。
【0017】
仕上がりの製品は、フッ素樹脂の特性が発現しており、中でも撥水性、撥油性に優れ、マジックインクをうけつけないほどに汚染防止効果に優れていた。また、この効果は拭き取り、書き込みを約1000回繰り返しても衰えることのない高密着性を発揮した。
【産業上の利用可能性】
【0018】
高温焼付に依存することなく、フッ素樹脂を高密着にコーティングできるので、材料を変質することがなく、プラスチックにもフッ素樹脂本来の機能(例えば、防汚染等)応用が可能になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公知のクラリアントジャパン株式会社製機能コーティング剤、商品名アクアミカ「パーヒドロポリシラザンからなるシリカコーティング剤」をプライマーとして施工し、その表面にフッ素樹脂皮膜を積層してなる、フッ素樹脂皮膜の密着処理方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公知のクラリアントジャパン株式会社製機能コーティング剤、商品名“アクアミカ”「パーヒドロポリシラザンからなるシリカコーティング剤」のうち、常温でガラス転化可能な、アミン触媒、パラジウム触媒を採用したタイプの商品名“アクアミカ”をプライマーとして施工した後、その表面に常温乾燥硬化が可能なフッ素樹脂コーティング皮膜を積層することを特徴とする、フッ素樹脂皮膜の密着処理方法

【公開番号】特開2006−56082(P2006−56082A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238954(P2004−238954)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(393005093)
【Fターム(参考)】