説明

フッ素系界面活性剤

本発明は、アリールスルホネート基、スペーサーおよび基Yを含み、ここでYが、CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−もしくは[CF−(CH]NH−(式中、aは0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または式(I)(式中RfがCF−(CH−、CF−(CH−O−、CF-(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−もしくは[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−もしくは(CFN−(CH−を表し、Bが単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOもしくはSO−Oを表し、Rが1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、bが0もしくは1を表し、cが0もしくは1を表し、qが0もしくは1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルが1を表し、rが0、1、2、3、4もしくは5を表す)を表す化合物、これらの化合物の製造方法、ならびにこれらの界面活性化合物の使用に関する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールスルホネート基、スペーサーおよび基Yを含む化合物、これらの化合物の製造方法、およびこれらの表面活性化合物の使用に関し、ここでYは、CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中aは0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または、
【化1】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
を表す。
【背景技術】
【0002】
フッ素系界面活性剤(fluorosurfactant)は、表面エネルギーを低減させる極めて優れた能力を有し、これは、例えば、表面の疎水化、例えば織物含浸(textile impregnation)、ガラスの疎水化、または航空機翼の除氷に用いられる。
しかし、一般的に、フッ素系界面活性剤は、パーフルオロアルキル置換基を含み、これは、生物学的および他の酸化プロセスにより環境中で分解されて、パーフルオロアルカンカルボン酸類およびパーフルオロアルカンスルホン酸類を生成する。これらは、難分解性であると見なされ、一部のケースでは健康被害をもたらすことが疑われる(G. L. Kennedy, Jr., J. L. Butenhoff, G. W. Olsen, J. C. O'Connor, A. M. Seacat, R. G. Perkins, L. B. Biegel, S. R. Murphy, D. G. Farrar, Critical Reviews in Toxicology 2004, 34, 351-384)。さらに、比較的長鎖のパーフルオロアルカンカルボン酸類およびパーフルオロアルカンスルホン酸類は、食物連鎖において蓄積する。
【0003】
したがって、古典的なフッ素系界面活性剤に匹敵する特性プロフィールを有し、好ましくは酸化的または還元的に分解され得る、界面活性物質についての要求がある。ここで特に有利な化合物は、酸化的または還元的分解の際に難分解性の有機フッ素分解生成物を何ら後に残留させないものである。
既知のパーフルオロ化されたアリールスルホネートは、4−(ヘプタデカフルオロオクチル)ベンゼンスルホン酸のナトリウム塩である(CAN 118:126988)。
Omnova社は、側鎖が末端CFまたはC基を含むポリマーを市販している。国際公報WO 03/010128には、C3〜20パーフルオロアルキル基を含むパーフルオロアルキル置換アミン類、酸類、アミノ酸類およびチオエーテル酸類が記載されている。
【0004】
特開2001−133984号公報には、反射防止コーティングに用いるのに適するパーフルオロアルコキシ鎖を含む界面活性化合物が開示されている。特開平9−111286号公報には、エマルジョンにおけるパーフルオロポリエーテル界面活性剤の使用が開示されている。
しかし、これらの既知のフッ素系界面活性剤は、最終的には分解の際に難分解性のパーフルオロアルカンスルホン酸およびパーフルオロアルカンカルボン酸の生成をもたらす。環境により優しいとして導入された末端CF基を含む置換基さえも、分解されて、難分解性のトリフルオロ酢酸を生成し得る。
先のドイツ国特許出願DE 102005000858には、少なくとも1つの末端ペンタフルオロスルフラニル基または少なくとも1つの末端トリフルオロメトキシ基を担持し、極性末端基を含む化合物が、界面活性性であり、界面活性剤として高度に好適であることが記載されている。
【0005】
フッ素化を伴わない直鎖状アリールスルホネート類、例えばノニルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、これらが生分解性であるため、最も用いられている界面活性剤の1つである。これらは、良好な化学的および熱的安定性を有し、噴霧乾燥配合物において用いることができる。その製造が安価なために、直鎖状アリールスルホネート類は、家庭用合成洗剤として、洗浄剤として、および工業製品において用いられている。
OCFまたはSF基を修飾として含むこのクラスのアリールスルホネート類は、DE 102005000858には記載されていない。
パーフルオロ化された界面活性剤のためのさらなる、好ましくは分解性の代替物に対する要求が継続している。
【発明の概要】
【0006】
今回、基CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中aは0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または、
【化2】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
から選択される少なくとも1つの基Y(好ましくは末端位に配置される)を含む本発明の化合物が、界面活性性であり、界面活性剤に極めて好適であることが見出された。
【0007】
したがって、本発明は第1に、アリールスルホネート基、スペーサーおよび基Yを含む化合物であって、Yが、CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中aは0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または、
【化3】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
を表す、前記化合物に関する。
【0008】
本発明の化合物は、好ましくは、言及するフッ素化された末端基以外には、フッ素化された基をさらに含まない。
界面活性化合物中の基Yは、飽和の、または不飽和の、分枝状または非分枝状の炭化水素単位であるスペーサーに好ましくは結合しており、ここで鎖中または分枝中の炭化水素単位は、任意に1個または2個以上のヘテロ原子を有していてもよい。炭化水素単位は、脂肪族または芳香族単位であり得る。
本発明の変形において、基Yは、界面活性化合物中に多数回出現し、界面活性化合物は、好ましくはオリゴマーまたはポリマーである。
本発明の他の同様に好ましい変形において、基Yは、界面活性化合物中に1回、2回または3回のみ出現し、ここで当該基が1回のみ出現する化合物が、特に好ましい。
【0009】
本発明の化合物は、好ましくは式IA〜IB
【化4】

式中、Yは、CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中、aは、0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または
【化5】

【0010】
式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
を表し、
スペーサーは、飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状の、任意に置換されている炭化水素単位を表し、鎖中または分枝中の炭化水素単位は、任意に1個または2個以上のヘテロ原子を有していてもよく、
Mは、金属カチオンを表し、
mは、1、2または3を表す
で表される低分子量化合物である。
【0011】
本発明において、式IAおよび/またはIBで表される化合物が、特に好ましい。
式IAおよびIBにおいて、Mは、金属カチオン、特にアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンから選択される金属カチオンを示す。リチウム、ナトリウムもしくはカリウムカチオンまたはNHは、Mのために好ましく用いられる。
【0012】
式IAおよびIBにおいて、mは、存在するスルホニル基の数を示し、ここでmは、好ましくは1または2、極めて特に好ましくは1である。
【0013】
m=1について、式IAについてのスルホニル基の位置は、オルト、メタまたはパラ位において可能である。パラ位が好ましい。
m=1について、式IBについてのスルホニル基の位置は、好ましくは炭素原子C−4、C−5またはC−6上、特に好ましくはC−5またはC−6上であり、これは、以下の従属式により例示される:
【化6】

基Yを担持するスペーサーの位置は、好ましくはC−1またはC−2上、特に好ましくはC−1上である。
スペーサーの炭化水素単位中のヘテロ原子は、例えばO、SまたはNH、好ましくはOまたはS、極めて特に好ましくはOであり得る。
【0014】
本発明の化合物の他の好ましい態様において、スペーサーを、
−(CH−、
−(CH)−CH(Hal)−(CH(n−1)−、
−CH=CH−(CH(n−1)−、
−(CH−O−、
−(CH−O−(CH−または
−CHCH=CH−(CH(n−1)−、
−(CHn−1−Ar−(CH(n’−1)−、
−(CHn−1−C≡C−(CH−、
−(CH−Q−(CHn’
による式の表現で記載することができ、ここで
Arは、アリールを表し、
Qは、O、SまたはNを表し、
nおよびn’は、1〜30の範囲からの整数を表し、
Halは、Cl、BrまたはIを表し、また
pは、1〜4の範囲からの整数を表す。
【0015】
nおよび/またはn’は、好ましくは、4〜24の範囲からの整数、特に好ましくは6〜18の範囲からの整数を表す。本発明の変形において、nが偶数であることも好ましい。
本発明の変形において、Halは、好ましくはClまたはBr、極めて特に好ましくはBrを表す。
本発明の変形において、pは、好ましくは2または3、極めて特に好ましくは3を表す。
本発明の変形において、スペーサー
−(CH)−CH(Hal)−(CH(n−1)−、
−CH=CH−(CH(n−1)
は、Y=SFについて好ましい。
【0016】
本発明の変形において、スペーサー
−(CH−、
−CH=CH−(CH(n−1)−、
−(CH−O−、
−(CH−O−(CH−または
−CHCH=CH−(CH(n−1)
は、Y=CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中、aは、0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または
【化7】

【0017】
式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
について好ましい。
【0018】
基Yにおいて、aは、好ましくは0、1または2、特に好ましくは0または2、極めて特に好ましくは0を表す。
以下でRfとも略すアリール置換基としてのフッ素基の中で、好ましいのは、rが0、1または2を表すものであり、ここでrは好ましくは0を表す。特に好ましいのは、本発明において、基Rf=CF−、CF−S−、CFCF−S−、SF−または(CFN−である。
【0019】
本発明の好ましい変形において、基Yは、上記で定義したように、CF−O−、CF−S−、CFCF−S−、(CFN−、CFNH−、または
【化8】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0を表す、
からなる。
【0020】
Rfは、好ましくは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−Sまたは[CF−(CHN−を表す。本発明の好ましい変形は、式中rが、0、1、2または3、特に0、1または2を表す、以下でまたRfと略すフッ素基を包含し、ここでrは、好ましくは0を表す。
本発明の特に好ましい態様において、Rfは、CF−、CF−O−、CF−CH−CH−O−、CF−S−、CFCF−S−、SF−、CF−CH−CH−S−、(CF−N−および(CF−CH−CH−N−、特にCF−、CF−O−、CF−S−および(CF−N−を表す。
本発明の他の好ましい変形は、CF−、CF−S−、CFCF−S−、SF−または(CFN−に等しい基Rfを包含する。
【0021】
特に好ましい基Bは、O、S、CHO、CH、C(O)およびOC(O)である。特に、OおよびOC(O)に等しいBが、好ましい。
本発明の特に好ましい変形は、CF−Ar−O、CF−O−Ar−O、CF−CH−CH−O−Ar−O、CF−S−Ar−O、CFCF−S−Ar−O、SF−Ar−O、CF−CH−CH−S−Ar−O、(CF−N−Ar−O、(CF−CH−CH−N−Ar−O、CF−Ar−OC(O)、CF−O−Ar−OC(O)、CF−CH−CH−O−Ar−OC(O)、CF−S−Ar−OC(O)、CFCF−S−Ar−OC(O)、SF−Ar−OC(O)、CF−CH−CH−S−Ar−OC(O)、(CF−N−Ar−OC(O)および(CF−CH−CH−N−Ar−OC(O)に等しい、特にCF−Ar−O、CF−O−Ar−O、CF−S−Ar−O、(CF−N−Ar−O、CF−Ar−OC(O)、CF−O−Ar−OC(O)、CF−S−Ar−OC(O)および(CF−N−Ar−OC(O)に等しい基Yを包含する。
本発明の特に好ましい変形は、CF−Ar−OおよびCF−Ar−OC(O)に等しいYを包含する。
【0022】
本発明の変形において、qが0を表し、少なくとも1つのcおよび/またはbが各々1を表すのが好ましい。すべてのcおよびbが1を表す、即ち芳香環がo,p,o位においてフッ素基により置換されているのが特に好ましい。
本発明の他の変形において、すべてのqおよびbが各々0を表し、少なくとも1つのcが1を表すのが好ましい。両方のcが1を表す、即ち芳香環がo,o位においてフッ素基により置換されているのが特に好ましい。
本発明の他の変形において、すべてのcおよびqが各々0を表し、bが1を表す、即ち芳香環がp位においてフッ素基により置換されているのが好ましい。
【0023】
特に好ましいのは、好ましいかまたは特に好ましい範囲における変数の組み合わせを有する化合物の使用である。
さらなる好ましい組み合わせは、特許請求の範囲中に開示されている。
【0024】
本発明の化合物、または本発明の組成物もしくは剤の利点は、特に、以下のものであり得る:
− 効率および/または有効性に関して、従来の炭化水素界面活性剤と同一またはこれより優秀たり得る界面活性性、および/または
− 難分解性のパーフルオロ化された分解生成物の生成を伴わない、物質の生物学的および/または非生物的分解性、および/または
− 配合物への良好な加工可能性、および/または
− 貯蔵安定性。
ここで特に好ましい化合物は以下の化合物を含む:
【0025】
【化9】

【0026】
【化10】

【0027】
【化11】

界面活性剤として本発明により用いることができる化合物は、疎水化剤または疎油化剤(oleophobicising agent)として用いるのに特に適する。
【0028】
使用領域は、例えば、織物、紙、ガラス、多孔質建築材料または吸着剤の表面改質である。塗料、コーティング、インク、写真コーティング(写真乾板、フィルムおよび紙用)、半導体フォトリソグラフィー用の特別のコーティング(フォトレジスト、最上部の反射防止コーティング、底部の反射防止コーティング)または表面コーティング用の他の調製物において、本発明の化合物および本発明により用いる化合物を、1または2以上の以下の機能を伴って有利に用いることができる:かぶり防止剤、分散剤、エマルジョン安定剤、消泡剤、脱気剤、帯電防止剤、難燃剤、光沢増進剤、潤滑剤、顔料または充填剤適合性増進剤、耐引っかき性増進剤、基材付着増進剤、表面付着減力液、皮膚保護剤(skin preventer)、疎水化剤、疎油化剤、UV安定剤、湿潤剤、流動制御剤、粘度低下剤、マイグレーション防止剤、乾燥促進剤。印刷インクにおいて、本発明の化合物および本発明により用いる化合物を、同様に有利に用いることができ、1または2以上の以下の機能を有し得る:消泡剤、脱気剤、摩擦制御剤、湿潤剤、流動制御剤、顔料適合性増進剤、印刷解像度増進剤、乾燥促進剤。
【0029】
したがって、本発明はさらに、本発明の化合物または本発明により用いる化合物の、表面コーティング、例えば印刷インク、塗料、コーティング、写真コーティング、半導体フォトリソグラフィー用の特殊コーティング、例えばフォトレジスト、最上部の反射防止コーティング、底部の反射防止コーティングのための調製物における添加剤としての、または対応する調製物に添加するための添加剤調製物における使用に関する。
本発明の化合物または本発明により用いる化合物の本発明によるさらなる使用は、界面プロモーターまたは乳化剤としての使用である。これらの特性を、特に、エマルジョン重合によるフッ素重合体を調製するために、有利に用いることができる。
【0030】
本発明の化合物および本発明により用いる化合物を、気泡安定剤として、特に「泡消火薬剤」として知られている調製物において、用いることができる。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物または本発明により用いる化合物の、気泡安定剤としての、および/または成膜を支持するための、特に、合成の、およびまたタンパク質をベースとする水成膜泡消火薬剤における、ならびにまたアルコール耐性配合物(AFFFおよびAFFF−AR、FP、FFFPおよびFFFP−AR泡消火薬剤)のための使用に関する。
【0031】
本発明の化合物および本発明により用いる化合物をまた、帯電防止剤として用いることができる。帯電防止作用は、織物、特に衣類、カーペットおよび敷物類、家具の張材および自動車の内装、不織布材料、革商品、紙および厚紙物品、木材および木材をベースとする材料、鉱物基材、例えば石、セメント、コンクリート、しっくい、陶磁器(施釉または無釉タイル、土器、磁器)およびガラスの処理において、ならびにプラスチックおよび金属基材のために、特に重要である。本出願は、対応する使用に関する。
【0032】
金属基材について、本発明はさらにまた、本発明の化合物の防食剤における使用に関する。
本発明はさらにまた、プラスチック加工における離型剤としてのその使用に関する。
一般的に、本発明の化合物および本発明により用いる化合物は、汚点および染みに対する保護剤、染み除去剤、かぶり防止剤、潤滑剤として、ならびに耐摩擦性および耐機械的摩耗性増進剤として、適する。
【0033】
本発明の化合物および本発明により用いる化合物を、織物(特に衣類、カーペットおよび敷物類、家具の張材および自動車の内装)ならびに硬質表面(特に台所表面、衛生設備、タイル、ガラス)のための洗浄組成物および染み除去剤における、ならびに光沢剤およびワックス(特に家具、フローリングおよび自動車用の)における添加剤として有利に用いることができ、これは、以下の機能の1または2以上を有する:湿潤剤、流動制御剤、疎水化剤、疎油化剤、汚点および染みに対する保護剤、潤滑剤、消泡剤、脱気剤、乾燥促進剤。洗浄組成物および染み除去剤の場合において、洗浄剤または汚れ乳化剤および分散剤としての使用は、さらにまた本発明の有利な態様である。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物または本発明により用いる化合物の、洗浄組成物および染み除去剤における、または湿潤剤、流動制御剤、疎水化剤、疎油化剤、汚点および染みに対する保護剤、潤滑剤、消泡剤、脱気剤もしくは乾燥促進剤としての使用に関する。
【0034】
本発明の化合物および本発明により用いる化合物をまた、以下の機能の1または2以上を有するポリマー材料(プラスチック)における添加剤として、有利に用いることができる:潤滑剤、内部摩擦低下剤、UV安定剤、疎水化剤、疎油化剤、汚点および染みに対する保護剤、充填剤のための結合剤、難燃剤、マイグレーション防止剤(特に可塑剤のマイグレーションに対するもの)、かぶり防止剤。
【0035】
金属表面上の洗浄、エッチング、反応性改質および/または物質堆積(特にまた電気めっきおよび陽極酸化)または半導体表面(特に、半導体フォトリソグラフィー用)のための液体媒体中の添加剤として用いる際に、本発明の化合物および本発明により用いる化合物は、現像剤、リムーバー、エッジビーズ除去剤、エッチングおよび洗浄組成物として、湿潤剤および/または堆積フィルム品質増進剤として作用する。電気めっきプロセス(特にクロムめっき)の場合において、本発明はさらにまた、発泡作用を伴うかまたは伴わないフューム防止剤(fume inhibitor)としての機能に関する。
【0036】
さらに、界面活性剤として本発明において用いることができる化合物は、洗浄および清浄用途、特に織物の洗浄および清浄用途に適する。硬質表面の清浄および光沢化はまた、界面活性剤として本発明において用いることができる化合物についての可能な適用領域である。さらに、界面活性剤として本発明において用いることができる化合物を、化粧品、例えばフォームバス(foam bath)およびヘアシャンプーにおいて、またはクリームおよびローションにおける乳化剤として、有利に用いることができる。本発明の化合物および本発明により用いる化合物を同様に、ヘアケアおよびボディーケア製品(例えばヘアリンスおよびヘアコンディショナー)における添加剤として有利に用いることができ、これは、以下の機能の1または2以上を有する:湿潤剤、発泡剤、潤滑剤、帯電防止剤、皮脂耐性増進剤。
【0037】
本発明の化合物および本発明により用いる化合物は、除草剤、殺虫剤および殺菌剤における添加剤として作用し、これは、以下の機能の1または2以上を有する:基材湿潤剤、アジュバント、気泡防止剤、分散剤、エマルジョン安定剤。
本発明の化合物および本発明により用いる化合物を同様に、接着剤における添加剤として有益に用いることができ、これは、以下の機能の1または2以上を有する:湿潤剤、浸透剤、基材接着増進剤、消泡剤。
本発明の化合物および本発明により用いる化合物はまた、潤滑剤および油圧油における添加剤として作用することができ、これは、以下の機能の1または2以上を有する:湿潤剤、腐食防止剤。潤滑剤の場合において、分散剤(特にフッ素重合体粒子のためのもの)としての使用は、さらにまた重要な観点である。
【0038】
パテおよび充填組成物における添加剤として用いる際には、本発明の化合物および本発明により用いる化合物は、以下の機能の1または2以上を伴って作用し得る:疎水化剤、疎油化剤、染みに対する保護剤、耐候性増進剤、UV安定剤、シリコーンブリード防止剤。
界面活性剤として本発明において用いることができる化合物についての適用のさらなる領域は、浮遊選鉱、即ち廃棄岩(dead rock)からの鉱石および鉱物の回収および分離である。このために、これらを、鉱石加工のための調製物、特に浮遊選鉱液およびリーチング液における添加剤として用い、これらは以下の機能の1または2以上を伴う:湿潤剤、発泡剤、気泡防止剤。関連する使用はまた、油井の刺激のための剤における添加剤としてのものであり、これは以下の機能の1または2以上を伴う:湿潤剤、発泡剤、乳化剤。
【0039】
さらに、これらを、除氷剤または氷結防止剤における添加剤として用いることができる。
さらに、本発明において界面活性剤として用いることができる好ましい化合物をまた、食物における乳化剤または分散助剤として用いることができる。他の適用分野は、金属処理において、革補助剤として、建設化学および作物保護においてである。
本発明の界面活性剤はさらにまた、抗菌活性化合物として、特に抗菌性表面改質のための試薬として好適である。
【0040】
本発明は、本発明において用いる化合物の本明細書中で言及するすべての使用に関する。前記目的のための界面活性剤のそれぞれの使用は、当業者に知られており、したがって本発明において用いる化合物の使用は、問題を提示しない。
適用のために、本発明の化合物は、通常適切に配合された調製物中に導入される。本発明は同様に、本発明の少なくとも1種の化合物を含むそれぞれの組成物に関する。このような組成物は、好ましくは特定の用途に適するビヒクルおよび任意に他の特定の活性化合物および/または任意に補助剤を含む。
【0041】
ここで好ましい組成物は、塗料およびコーティング調製物、消火組成物、潤滑剤、洗浄および清浄組成物、除氷剤または織物仕上げもしくはガラス処理のための疎水化剤である。本発明の好ましい変形において、組成物は、織物およびカーペットを仕上げるための疎水化剤である。
織物の疎水性仕上げのために、ポリシロキサン類、フッ素化炭化水素またはアルミニウムもしくはジルコニウム塩のパラフィン類との混合物をベースとする疎水化剤が、一般的に用いられる(この点に関して、"Handbuch der Textilhilfsmittel" [Handbook of Textile Assistants], A. Chwala, V. Anger, Verlag Chemie, New York 1977, Chapter 3.24 "Phobiermittel" [Proofing Agents], 735頁以降を参照)。織物の疎水性仕上げは、特に雨具の場合において、これらを耐水性または防水性のいずれかにする役割を果たす。疎水化剤は、織物の繊維に適用され、ここでこれは、それ自体分子の疎水性部分が繊維表面に対して垂直であるように整列する。このようにして、水が表面全体にわたり拡散する傾向は、大幅に低減される。水は、凝集力のために球形の形状を採り、織物表面から水滴の形態で流出する。
【0042】
本発明の組成物についてのさらなる適用領域は、塗料およびコーティング調製物、消火組成物(粉末および泡)、潤滑剤、洗浄および清浄組成物ならびに除氷剤である。
組成物は、自体公知の方法により、例えば本発明の化合物を特定の用途に適するビヒクルおよび任意にさらなる特定の活性化合物および任意に補助剤と混合することにより、調製することができる。本発明において用いる化合物は、文献から当業者に自体公知の方法により調製することができる。
本発明の化合物は、文献から当業者に自体公知の方法により調製することができる。例を、以下に記載する。
【0043】
したがって、本発明はさらに、本発明の化合物の製造方法であって、式II
Y−スペーサー−Z II
式中、Yおよび−スペーサー−は、上記で示した意味の1つを有することができ、および
Zは、OH、Br、Clまたはビニルを示す、
で表される化合物を、ベンゼンおよびナフタレンの群から選択される対応する芳香族化合物と反応させ、その後スルホン化および塩形成を行うことを特徴とする、前記方法に関する。
【0044】
上記で定義した式IIで表される化合物の結合は、好ましくはフリーデル−クラフツアルキル化により行う。フリーデル−クラフツアルキル化についての反応条件および反応手順は、当業者に知られており、標準的な文献中に詳細に記載されている。式IIで表される化合物の芳香族化合物との反応は、ルイス酸である三塩化アルミニウムの存在下で行う。Yにより修飾された両方のアルコールおよびまた塩化物もしくは臭化物、または末端二重結合を含む式IIで表される化合物を、ここで用いることができる。これらの化合物の合成を、以下に記載する。
フリーデル−クラフツアルキル化によるスルホン化は、同様に標準的な方法であり、例えば三酸化硫黄との反応により行うことができる。アルカリ金属水酸化物/水におけるその後の塩形成により、対応する塩が得られる。
フリーデル−クラフツアルキル化の代替として、グリニヤール反応もまた可能である。この反応もまた、専門家の間で標準的な反応として知られている。
【0045】
式II
Y−スペーサー−Z II
式中、
スペーサーは、式の表現において
−(CH−、
−(CH)−CH(Hal)−(CH(n−1)−、
−CH=CH−(CH(n−1)−、
−(CH−O−、
−(CH−O−(CH−または
−CHCH=CH−(CH(n−1)−、
−(CHn−1−Ar−(CH(n’−1)−、
−(CHn−1−C≡C−(CH−、
−(CH−Q−(CHn’
により記載され、ここで
Arは、アリールを表し、
Qは、O、SまたはNを表し、
nおよびn’は、1〜30の範囲からの整数を表し、
Halは、Cl、BrまたはIを表し、
pは、1〜4の範囲からの整数を表し、
【0046】
Yは、CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中、aは、0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または
【化12】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
を表し、
Z=OH、Cl、Brまたはビニルである、
で表される化合物の合成を、これから各々の基Yについて詳細に記載する。
【0047】
基Yは、一般的に以下のスキームに従って導入することができる:
【化13】

【0048】
【化14】

【0049】
【化15】

【0050】
さらに、鎖延長は、エステルまたはアミド形成により可能である/行うことができる。
アリールスルホネートに対するさらなる官能化(界面活性剤最終生成物):
【化16】

【0051】
アリールスルホネートを結合させるためのこれらの方法に加えて、以下に示すリンカー官能基を用いることも可能である(リンカーを用いた芳香族Yの結合)。
CF−O基は、以下のスキームに従って導入することができる:
【化17】

【0052】
以下のことが、Y=CF−Oに適用される:
脂肪族OCF基は、例えばキサントゲン酸塩類のフルオロ脱硫(fluorodesulfuration)によりアルコール類から得ることができる(K. Kanie, Y. Tanaka, K. Suzuki, M. Kuroboshi, T. Hiyama, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2000, 73, 471-484; P. Kirsch, Modern Fluoroorganic Chemistry: Synthesis, Reactivity, Applications, Wiley-VCH, Weinheim, 2004, 67頁以降、144頁以降)。したがって、引用した参考文献中の前記方法の対応する開示はまた、本出願の開示内容に明確に属する。アリールスルホネート基の導入は、当業者に知られている方法により可能である。
【0053】
【化18】

【0054】
ビニル化合物Gは、化合物DまたはEから、脱離により得ることができる。
以下のことが、a=2であるY=CF−(CH−O−に適用される:
CF−(CH−O−基は、CF−(CH−OHと化合物Z−(CH−Brとの反応(ここで、CF−(CH−OHは商業的に入手でき、Zは保護されたOH基を表す)およびその後の水酸基の脱保護により導入する。
【0055】
【化19】

【0056】
CF(CHS−基はまた、Mitsunobu反応または求核置換により同様に導入することができる。図式中に示すように、同様の転位(transformation)により、対応する化合物(例えば末端においてアルコール、ハロゲン化物またはオレフィン官能基を有するもの)が得られる。
【0057】
SF基は、以下のスキームに従って導入することができる:
アルコール類およびハロゲン化物類について:
【化20】

【0058】
エステル類、カルボン酸類および酸塩化物について:
【化21】

【0059】
ニトリル類、アミン類、アルデヒド類およびケトン類について:
【化22】

【0060】
段階的または直接的酸化:
【化23】

【0061】
オレフィン類およびアルキン類について:
【化24】

【0062】
脂肪族SF基は、例えば、末端二重結合に、SFClまたはSFBrのフリーラジカル付加反応により導入することができる。例えば、脱ハロゲン化水素または水素添加を、その後任意に行うことができる。これらの反応工程の最初の2つは、SF官能基の存在下での接触水素化(P. Kirsch, M. Bremer, M. Heckmeier, K. Tarumi, Angew. Chem. 1999, 111, 2174-2178; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1999, 38,1989-1992)と同様に、文献(R. Winter, P. G. Nixon, G. L. Gard, D. H. Radford, N. R. Holcomb, D. W. Grainger, J. fluorine Chem. 2001, 107, 23-30)中に記載されている。したがって、引用した参考文献中の前記方法の対応する開示はまた、本出願の開示内容に明確に属する。親水性、反応性または重合性成分の導入は、対応するω−SF−アルコールを介して、当業者に知られている方法により可能である。例は、以下のスキームにより明らかになる:
【0063】
【化25】

CF−(CH−SまたはC−S−基は、以下のスキームに従って導入することができる:
【0064】
【化26】

【0065】
【化27】

【0066】
y=0または1である末端基CF(CFS−はまた、好ましくは、好適な分子または中間体中に、対応するRf臭化物のチオレートとの反応により導入することができ、これは、N.V. Ignatiev et al., Zh. Organich. Khim. 1985, 21(3), 653頁に記載されている通りである。チオールとRf−BrまたはRf−Iとの直接的な反応をまた、N.V. Ignatiev, Ukr. Khim. Zh. 2001, No. 10, 98〜102頁に記載されているように行うことができる。CFS−基をまた、N.V. Kondartenko et al. Ukr. Khim. Zh. 1975, 41(6), 516頁以降により記載されているようにAgSCFにより、またはW.A. Sheppard, J. Org. Chem. 1964, 29(4), 895頁以降に記載されているようにCFSClにより導入することができる。したがって、引用した参考文献中の前記方法の対応する開示はまた、本出願の開示内容に明確に属する。
【化28】

【0067】
a=2であるY=CF−(CH−S−について:
CF−(CH−S−基は、CF−(CH−Iと化合物Z−(CH−SHとの反応(ここで、Z−(CH−SHは対応するハロゲン化物から容易に入手でき、Zは保護されたOH基を表す)、およびその後の水酸基の脱保護により導入する。
【化29】

【0068】
【化30】

【0069】
(CFN基は、以下のスキームに従って導入することができる:
【化31】

【0070】
【化32】

【0071】
【化33】

【0072】
【化34】

【0073】
以下のことが、Y=(CFN−に適用される:
【化35】

末端二重結合を、フリーデル−クラフツアルキル化において直ちに用いることができる。対応するアルコール類または臭化物類を得るための修飾を、以下のスキームに示す:
【0074】
【化36】

【0075】
aが0〜5の範囲から選択される整数を表すアミンビルディングブロック[CF−(CHN−を、Gabriel合成(Organikum: Organisch-Chemisches Grundpraktikum [Basic Practical Organic Chemistry]、第16版、VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin, 1986)、続いてヒドラジンとの反応による第一アミンの遊離により、導入することができる。CF(CH)HaIを用いたこのアミンのその後のアルキル化および脱ベンジル化により、第三アミノアルコールが重要なビルディングブロックとして得られる。
【化37】

【0076】
以下のことが、Y=CFNH−に適用される:
化合物CFNH−R中の末端基CFNH−は、対応する化合物ClC=N−Rの過剰のHFとの反応により、文献から知られている方法により導入することができる(対応する合成は、例えば、Petrow et al., Zh. Obshch. Khim. 29 (1959) 2169-2172に記載されている)。あるいはまた、イソシアン酸トリフルオロメチルを、アルコールと反応させて、化合物CF−NHC(=O)−O−Rを得ることも可能である(Knunyants et al. Mendeleev Chem. J. 22 (1977) 15-105またはMotornyi et al., Zh. Obshch. Khim. 29 (1959) 2157-2122に記載のとおり)。対応する出発物質は、各々、文献から知られている方法により得ることができ、生成物の基Rは、確立された方法により化学的に修飾することができる。
【0077】
Y=
【化38】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
である基Yは、以下のスキームに従って導入できる:
【0078】
【化39】

【0079】
【化40】

【0080】
【化41】

【0081】
【化42】

【0082】
【化43】

【0083】
【化44】

【0084】
この芳香族基は、例えば示したスキームに従ってジオールまたはアルケン上に導入される。いくつかの場合において、それぞれのRf置換芳香族化合物は、商業的に入手できる。そうでない場合は、合成方法をまた、各々の場合において示す。したがって、引用した参考文献中の前記方法の対応する開示はまた、本出願の開示内容に明確に属する。
基Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、指数は上記の通りであり、これを芳香族化合物に対する置換反応により導入することができる。Rfを以下のスキームにおいて用いる場合には、他に示さない限り、本明細書中に示す定義が適用される。
【0085】
Rf置換アリールビルディングブロックは、エーテル架橋の形成を伴うMitsunobu反応における対応するフェノール類の反応により導入することができる(O. Mitsunobu Synthesis 1981, 1)。
アリール基のNHまたはNR結合を介しての結合は、以下のスキームに従って同様にMitsunobu条件下で行う:
【化45】

【0086】
前記Rf置換基を含むアリールビルディングブロックは、以下の反応に従って合成することができる:
以下のことは、CF置換基に適用される:CF基は、以下のスキームに示す通り、芳香族カルボン酸のHFおよびSFとの超大気圧(superatmospheric pressure)および高温の下での反応により得ることができる:
【化46】

【0087】

【化47】

式中、G=−COH、CHNH、−CHOH、−CHO、−COCl、−CHBr、−CHCOH、−CH=CH、−CH=CHCOH、−C≡CCHOHである、
で表される化合物は、商業的に入手できる。
【0088】
3つのフッ素化されたCF基を含む芳香族系についての誘導体化:
【化48】

DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
TPAP:過ルテニウム酸テトラ−n−プロピルアンモニウム
THP:テトラヒドロピラニル
【0089】
以下のことは、SFに適用される:
市販のp−ニトロペンタフルオロスルフラニル化合物の修飾は、P. Kirsch et al. Angewandte Chemie 1999, 111, 2174-2178に記載されているようにして行うことができる。
【化49】

市販の試薬は、以下のものである:
G’=−OH、−Br、−NH、−NO、−CHO、−CO
【化50】

【0090】
m,m−ビスペンタフルオロスルフラニル化合物は、W. A. Sheppard J. Am. Chem. Soc. 1962, 84, 3064-3072またはUS 3073861もしくはUS 3135736に記載されているようにして入手可能である:
【化51】

【0091】
引用した参考文献中の上記の方法の対応する開示は、このようにまた、本出願の開示内容に明確に属する。
以下のことは、FCS−またはFS−に適用される:
【化52】

市販の試薬は、以下のものである:
G’’=−OH、−Br、−Cl、−NH、−NO、−N=C=O、−CHO、−COH、−CN、−CHOH、−CHBr
【0092】
芳香族トリフルオロメチルチオエーテル類およびペンタフルオロエチルチオエーテル類は、以下のスキームに示す通り、ヨウ化芳香族化合物の置換またはチオフェノール類のエーテル化により入手可能である:
【化53】

【0093】
以下のことは、FCOに適用される:
【化54】

市販の試薬は、以下のものである:
G’’’=−OH、−I、−Br、−Cl、−NH、−SH、−B(OH)、−CHO、−COH、−COMe、−CONH、−CN、−CHOH、−CHBr、−CHCN。
【0094】
トリフルオロメトキシ芳香族化合物は、フェノール類の四塩化炭素およびフッ化水素との反応により得ることができる。
【化55】

【0095】
【化56】

【0096】
出発物質ニトロレゾルシノールは、以下の文献に従って調製することができる:
Ref. 1 Funke; Krucker; BSCFAS; Bull. Soc. Chim. Fr.; 1953; 744, 746または
Ref. 1 Grosheintz; Fischer; JACSAT; J. Am. Chem. Soc.; 70; 1948; 1476, 1478。
【0097】
aが0〜5の範囲から選択される整数を表すアミンビルディングブロック[CF−(CHN−は、Gabriel合成(Organikum: Organisch-Chemisches Grundpraktikum [Basic Practical Organic Chemistry]、第16版、VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin, 1986)、続いてヒドラジンとの反応による第一アミンの遊離により、導入することができる。CF(CHHaIを用いたこのアミンのその後のアルキル化および脱ベンジル化により、第三アミノアルコールが重要なビルディングブロックとして得られる。
【0098】
【化57】

【0099】
以下のことは、(CFN−に適用される:
【化58】

市販の試薬は、以下のものである:
G’’’’=−OH、−I、−Br、−Cl、−NH、−NHAc、−CHO、−COH、−COMe、−CONH、−CN、−CHOH、−CHBr、−CHCN。
【0100】
(CFN置換基は、F.S. Fawcett; J. Am. Chem. Soc. 84 (No.22) (1962) 4275-4285に記載のとおりに、イソシアネート類から開始して、フルオロホスゲンとの反応およびSF/HFを用いたその後のフッ素化により、またはイソチオシアネート類から開始して、二フッ化水銀との反応およびその後のフルオロホスゲンとの反応、およびSF/HFを用いたその後のフッ素化により、得ることができる:
【化59】

【0101】
ビストリフルオロメチルアニリン類を調製するための代替経路は、芳香族アルデヒド類から開始し、R.E. Banks, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 (1973) 80-82に詳細に記載されている:
【化60】

【0102】
以下のことは、CFNH−に適用される:
化合物CFNH−R中の末端基CFNH−は、対応する化合物ClC=N−Rの過剰のHFとの反応により、文献から知られている方法により導入することができる(対応する合成は、例えば、Petrow et al., Zh. Obshch. Khim. 29 (1959) 2169-2173またはE. Kuhle, Angew. Chem. 89 (No.11) (1977), 797-804に記載されている)。あるいは、イソシアン酸トリフルオロメチルを、アルコールと反応させて、化合物CF−NHC(=O)−O−Rを得ることができる(Knunyants et al. Mendeleev Chem. J. 22 (1977) 15-105またはMotornyi et al., Zh. Obshch. Khim. 29 (1959) 2157-2122に記載のとおり)。対応する出発物質は、各々、文献から知られている方法により得ることができ、またはClC=N−Rタイプの化合物は、化合物R−NH−CHOの塩素およびSOClとの反応により得ることができ、生成物の基Rは、確立された方法により化学的に修飾することができる。
【0103】
したがって、ここで引用した参考文献中の前記方法の対応する開示もまた、本出願の開示内容に明確に属する。
前記反応についての好適な溶媒および反応条件の選択は、当業者に全く困難を与えない(Organikum: Organisch-Chemisches Grundpraktikum [Basic Practical Organic Chemistry]、第16版、VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin, 1986)。
【0104】
明細書中で言及した好ましい化合物、その使用、組成物および方法に加えて、本発明の主題のさらなる好ましい組み合わせは、特許請求の範囲中に開示されている。
したがって、引用した参考文献中の開示もまた、本出願の開示内容に明確に属する。
以下の例は、保護の範囲を限定せずに本発明を一層詳細に説明する。特に、特定の例が基づく化合物の例中に記載した特徴、特性および利点はまた、詳細に述べていないが、保護の範囲内にある他の物質および化合物に、他の箇所に逆のことが記載されていない限り該当し得る。さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された全範囲にわたって行うことができ、本明細書中で述べる例には限定されない。
【0105】

用いる略語のリスト:
Bn:ベンジル
DBH:1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
Me:メチル
MTBE:メチルtert−ブチルエーテル
RT 室温(20℃)
THF:テトラヒドロフラン
PE:石油エーテル
DCC N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
TPAP 過ルテニウム酸テトラ−n−プロピルアンモニウム
9−BBN 9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
【0106】
例1
1.アルコールの合成
【化61】

15gのデセノールを、250mlのDCMに溶解し、−40℃に冷却する。27gのSFCl(コールドトラップにより予め凝縮させたもの)を、装置中にガスとして通じる。活性化のために、2mlの1MのEtB溶液を加える。活性化を、ガスの導入の間バッチがもはや加温されなくなるまで繰り返す。混合物を、同一の温度にてさらに2時間撹拌する。反応混合物を、氷/NaHCO溶液(飽和)に加えることにより加水分解し、次にNaOHを用いてpH10に調整する。分離した水性相をMTBエーテルで2回洗浄する。採集した有機相をNaCl溶液で1回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸留により除去する。
【0107】
【化62】

9gの出発物質を、還流凝縮器を備えた250mlの一口フラスコ中の120mlのエタノールに溶解し、その後KOH粉末を加える。反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物を濃縮し、水およびMTBEを加え、相を分離し、水性相をMTBEで3回抽出し、採集した有機相を飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸留により除去する。
【0108】
【化63】

2.フリーデル−クラフツアルキル化:
アルコール(28g)を、200gのクロロベンゼンに溶解し、13gのナフタレンを加え、その後13gのAlClを加える。100℃にて12時間加温した後、反応混合物を氷に加え、有機相を分離する。有機相を濃縮し、アルキルナフタレンを再結晶させる。
3.スルホネートへの変換
アルキルナフタレン(39g)を、40℃より低い温度にて溶媒を用いずに三酸化硫黄(8g)を用いてスルホニル化し、単離する。単離した生成物を、NaOH(6g)と水(30g)との混合物に加え、スルホネートを生成する。
【0109】
例2
臭化物の合成:
【化64】

1.臭素化
アルコール(8.3g、29.4mmol)を、最初に乾燥DCM(0.2モル溶液)中に導入し、トリフェニルホスフィン(11.6g、44mmol、1.4当量)およびその後分割してテトラブロモメタン(CBr:16.6g、50mmol、1.5当量)を加える。反応を4時間撹拌し、次に飽和NaHCO溶液を用いてクエンチし、MTBEで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥する。
生成した粗生成物を、ヘプタンを有するカラムに通じ、9gの無色油を得る。
【0110】
2.フリーデル−クラフツアルキル化:
臭素化物(34g)を、200gのクロロベンゼンに溶解し、13gのナフタレンを加え、その後13gのAlClを加える。100℃にて12時間加温した後、反応混合物を氷に加え、有機相を分離する。有機相を濃縮し、アルキルナフタレンを再結晶させる。
【化65】

3.スルホネートへの変換
アルキルナフタレン(39g)を、40℃より低い温度にて溶媒を用いずに三酸化硫黄(8g)を用いてスルホニル化し、単離する。単離した生成物を、NaOH(6g)と水(30g)との混合物に加え、スルホネートを生成する。
【0111】
4.ベンゼンを有する類似の界面活性剤
【化66】

1.(E)−10−ブロモ−1−ペンタフルオロスルファニルデク−1−エン(35g)を、C(200g)中でAlCl触媒(26g)によりアルキルベンゼンに変換する。
2.第2の工程において、(E)−10−(ペンタフルオロ)スルファニルデク−9−エニル)ベンゼン(34g)を、三酸化硫黄(16g)を用いてスルホニル化する。塩生成を、NaOH/水(4g/20g)を用いて行う。
【0112】
例3
工程1:
ペンタフルオロチオブロモデク−1−エンの合成
チオデセノール(臭化チオデセニルの前駆体)を、SFClを10−ブロモデク−1−エン上に加え、その後HClを脱離させることにより得る(例2を参照)。
オレフィン−変法1
【化67】

1)K−O−t−Bu(0.12mol)を、テトラヒドロフラン(75g)に加え、次にペンタフルオロチオブロモデク−1−エン(0.1mol)を計量して加え、混合物を50℃にて12時間撹拌する。反応混合物を氷に加える。(E)−1−ペンタフルオロスルファニルデカ−1,9−ジエンビルディングブロックを、慣用の実験室方法を用いて単離、精製する。
【0113】
オレフィン−変法2
【化68】

アルコール(0.1mol)を、メタンスルホン酸エステル中間体に、THF(75g)中のMeSOCl(0.11mol)および0.15molのNaHCOを用いて10〜20℃にて変換する(反応時間:1〜3時間)。Na−O−t−Bu(0.15g)を反応混合物に加え、次にこれを25℃にて6時間撹拌する。反応混合物を氷に加える。(E)−1−ペンタフルオロスルファニルデカ−1,9−ジエンを、慣用の実験室方法を用いて単離、精製する。
【0114】
【化69】

1)(E)−1−ペンタフルオロスルファニルデカ−1,9−ジエン(26g)を、最初にベンゼン(120g)中に導入し、AlCl触媒(16g)を用いて対応するアルキルベンゼンに変換する。単離のために、混合物を、氷を用いてクエンチし、有機相を分離し、濾過し、濃縮する。
2)アルキルベンゼン(34g)を、三酸化硫黄(17g)を用いてスルホニル化する。塩生成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0115】
例4
【化70】

1)例1に従って調製したアルコール(28g)、塩基Na−O−t−Bu(0.2g)および触媒Pd−DBA(5g)を、トルエン(100g)中の2−(3−)クロロナフタレン(16g)に加える。加温(6時間;100℃)および冷却の後、アルコキシナフタレンを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)例2に従って調製したブロモ化合物(35g)および塩基NaCO(11g)を、トルエン(100g)中の2−(3−)ヒドロキシナフタレン(15g)に加える。加温(3時間、80℃)および冷却の後、アルコキシナフタレンを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
3)アルコキシナフタレン(41g)を、三酸化硫黄(12g)を用いて溶媒を用いずにスルホニル化し(40℃より低い温度)、次に、単離した後、NaOH(6g)および水(30g)の混合物を用いて塩生成。
【0116】
例5
【化71】

【0117】
1)例1に従って調製したヘキセノール(28g)を、ブロモクロロエタン(14g)を用いて200mlのTHF中で、トリエチルアミン(10g)を加えて40℃にてエーテル化する。生成物を、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)クロロエチルエーテル(35g)およびナフタレン(13g)を、その後AlCl触媒(26g)を用いてアルキルナフタレンに変換する。生成物を、同様に慣用の実験室方法を用いて単離する。
3)アルキルナフタレン(44g)を、三酸化硫黄(17g)を用いてスルホニル化し、塩生成のために氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。まずエタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0118】
例6
【化72】

【0119】
1)例1に従って調製したアルコール(28g)を、50℃で4時間、THF(100g)中の塩化ホモアリル(0.1mol)およびNaCO(11g)と共に撹拌し、次にホモアリルエーテルを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)ホモアリルエーテル(0.1mol)を、クロロベンゼン(100g)に溶解し、ナフタレン(13g)およびAlCl(26g)を加え、混合物を、80℃で6時間撹拌し、次にアルキルナフタレンを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
3)アルキルナフタレン(45g)を、三酸化硫黄(12g)を用いてアルキルナフタレンスルホン酸に変換する。塩生成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0120】
例7
【化73】

1)例3と同様にして、例1に従って調製した28gのアルコールを、18gの2−(3)−クロロメチルナフタレンと、0.2gのNa−O−t−Buおよび5gのPd−DBAの存在下で反応させる。
2)アルコキシメチルナフタレン(42g)を、SO(12g)を用いてスルホン化し、塩生成のために、氷/メチルtert−ブチルエーテルに加える。水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0121】
例8
【化74】

1)エーテル化/変法1。ブロモヘキサン(27g)およびNaCO(14g)を、THF(50g)中の3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール(11g)に加え、混合物を50℃で6時間撹拌する。慣用の実験室方法を用いた単離により、エーテルを得る。
【0122】
2)エーテル化/変法2。ヘキサノール(21g)およびトリフェニルホスフィン(60g)を、THF(50g)中の3,3,3−トリフルオロプロパノール(11g)に加え、適切な混合のために、混合物を超音波浴中に10分間置く。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD、50g)を15分かけて滴加し、反応混合物を合計3時間激しく撹拌する。溶媒を蒸発させる。その後、冷n−ヘキサン(90ml)を加え、この間酸化トリフェニルホスフィンが沈殿する。固体を濾別し、溶液を蒸発させ、残留物をジクロロメタン(100g)中に回収し、溶液を、SiOの層を通して濾過する。溶出液を濃縮し、残留物は生成物からなる。
【0123】
3)脱ベンジル化。[6−(3,3,3−トリフルオロプロポキシ)ヘキシルオキシメチル]ベンゼン(5g)を、エタノール(30g)中に回収し、触媒Pd/C(5%)(0.5g)および水素(大気圧)を加えて30℃で水素添加する。反応溶液を濾過し、濃縮し、生成物6−(3,3,3−トリフルオロプロポキシ)ヘキサン−1−オールを得る。
4)フリーデル−クラフツアルキル化
【化75】

【0124】
1)アルキルナフタレン。アルコール(20g)をクロロベンゼン(100g)に溶解し、ナフタレン(13g)および次いでAlCl(26g)を加える。混合物を100℃で12時間加温した後、これを氷に加え、有機相を分離する。これを濾過し、濃縮し、アルキルナフタレンを再結晶させる。
2)アルキルナフタレンスルホン酸
アルキルナフタレン(31g)を、三酸化硫黄(12g)を用いて、溶媒を用いずにスルホニル化する(40℃より低い温度)。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0125】
例9
【化76】

【0126】
1)ペンタンアルコールを、例6と同様にして、Williamsonエーテル合成により得る。
2)アルコキシナフタレン。ペンタノール(0.1mol)、Na−O−t−Bu(0.2g)および触媒Pd−DBA(5g)を、2−(3−)クロロナフタレン(16g)に加え、混合物を80℃にて4時間加温し、冷却後、アルコキシナフタレンを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
3)アルコキシナフタレンスルホン酸。アルコキシナフタレン(33g)を、SO(12g)を用いてスルホニル化する。塩形成のために、反応混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0127】
例10
【化77】

【0128】
1)例6に従って得られるアルコール(20g)を、THF(100g)中の1−クロロブト−3−エン(0.1mol)およびNaCO(11g)と共に50℃にて4時間撹拌し、次にホモアリルエーテルを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)ホモアリルエーテル(0.1mol)を、クロロベンゼン(100g)に溶解し、ナフタレン(13g)およびAlCl(26g)を加え、混合物を80℃で6時間撹拌し、次にアルキルナフタレンを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
3)アルキルナフタレン(0.1mol)を、三酸化硫黄(12g)を用いてアルキルナフタレンスルホン酸に変換する。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0129】
例11
【化78】

キサントゲン酸塩の変形
1)キサントゲン酸塩。水素化ナトリウム(0.12mol、60%パラフィン懸濁液として)を、200mlのジメチルホルムアミド(DMF)に加え、混合物を0℃に冷却し、次にベンジルオキシペンタノール(0.1mol、30mlのDMFに溶解したもの)を加える。混合物を、さらに60〜90分間撹拌する。次に、二硫化炭素(0.2mol)を−5〜0℃にて滴加し、混合物をさらに2時間撹拌する。最後に、ヨウ化メチル(0.12mol)を計量して加え、混合物を20℃で10〜14時間撹拌する。生成物を、慣用の実験室方法を用いて単離し、精製する。
【0130】
2)CFエーテル。まず、(HF)/Py(160ml、65%)および次にキサントゲン酸メチル(100mmol、80mlのDCM中)を、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(0.29mol)をDCM(500ml)に懸濁させた懸濁液に、−78℃で加える。反応混合物を−78℃でさらに1時間撹拌し、その後2時間かけて0℃に加温し、この温度でさらに2時間撹拌する。反応が完了した際に、生成物を、慣用の実験室方法を用いて単離し、精製する。
3)トリフルオロメトキシペンタノール。トリフルオロメトキシペンチルベンジルエーテル(0.1mol)を、エタノール(60g)中に回収し、触媒Pd/C(5%)(0.5g)および水素(大気圧)を加えて30℃で水素添加する。反応溶液を濾過し、濃縮し、生成物を得る。
【0131】
4)アルコール(17g)を、クロロベンゼン(100g)に溶解し、ナフタレン(13g)、次いでAlCl(26g)を加える。混合物を100℃で12時間加温した後、これを氷に加え、有機相を分離し、濾過し、濃縮し、アルキルナフタレンを再結晶させる。
5)アルキルナフタレン(28g)を、三酸化硫黄(12g)を用いて、溶媒を用いずにスルホニル化(40℃より低い温度)/単離する。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0132】
例12
【化79】

【0133】
1)例11に従って調製したアルコール(17g)、塩基Na−O−t−Bu(0.2g)および触媒Pd−DBA(5g)を、1−(2−)クロロナフタレン(16g)に加え、混合物を70℃にて6時間加温し、次に冷却する。慣用の実験室方法を用いた生成物の単離により、アルコキシナフタレンが得られる。
2)アルコキシナフタレン(30g)を、SO(10g)を用いてスルホニル化する。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0134】
例13
【化80】

【0135】
1)例11に従って調製したアルコール(17g)を、200mlのTHF中のブロモクロロエタン(14g)を用いて、トリエチルアミン(10g)を加えて、40℃にてエーテル化する。生成物を、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)その後、クロロエチルエーテル(23g)およびナフタレン(13g)をアルキルナフタレンに、60℃で3時間において、AlCl触媒(26g)を用いて変換する。生成物を、同様に慣用の実験室方法を用いて単離する。
3)アルキルナフタレンスルホン酸
アルキルナフタレン(34g)を、三酸化硫黄(17g)を用いてスルホニル化し、塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。まずエタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0136】
例14
【化81】

【0137】
1)THF(100g)中の1−クロロペント−4−エン(0.1mol)およびNaCO(11g)を、3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール(11g)に加え、混合物を還流下で4時間撹拌し、次にアリルエーテルを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)5−(3,3,3−トリフルオロプロポキシ)ペント−1−エン(18g)を、最初にベンゼン(100g)中に導入し、次にAlCl触媒(26g)と共に60℃で6時間加温し、対応するアルキルベンゼンに変換する。生成物を、慣用の実験室方法により単離する。
3)アルキルベンゼン(25g)を、三酸化硫黄(12g)を用いてスルホニル化する。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0138】
例15
【化82】

【0139】
例11と同様に、中間体5−トリフルオロメトキシペント−1−エンを、まずペント−4−エン−1−オールから、キサントゲン酸塩法により得る。
1)5−トリフルオロメトキシペント−1−エン(15g)を、最初にベンゼン(120g)中に導入し、AlCl触媒(16g)を用いて対応するアルキルベンゼンに変換する。単離のために、混合物を、氷を用いてクエンチし、有機相を分離し、濾過し、濃縮する。
2)アルキルベンゼン(22g)を、三酸化硫黄(17g)を用いてスルホニル化する。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0140】
例16
3−(ビストリフルオロメチルアミノ)プロパン−1−オール:
【化83】

ビストリフルオロアリルアミン(23.2g、120mmol)を、RTにて、9−BBN(240ml)をTHF(200ml)に溶解した撹拌溶液に滴加する。
24時間後、反応混合物を0℃に冷却し、その後3MのNaOH(44ml、熱の発生)および30%のH溶液(40ml、ドライアイス/アセトン浴を用いて対向冷却する(countercool))を滴加する。混合物を50℃で1時間加熱し(無色固体が再溶解する)、次にRTに冷却する。
精製操作のために、飽和NaCl溶液を加え、相を分離し、有機相を、NaSO溶液と共に振盪することにより再び洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別する。溶媒を除去し、残留物(生成物)を蒸留する。
【0141】
例17
1−ブロモ−3−(ビストリフルオロメチルアミノ)プロパン:
【化84】

アルコール(110mmol)を、最初に乾燥DCM(0.2モル溶液)中に導入し、トリフェニルホスフィン(154mmol、1.4当量)およびその後分割してテトラブロモメタン(CBr、165mmol、1.5当量)を加える。反応物を4時間撹拌し、次に飽和NaHCO溶液を用いてクエンチし、MTBEで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥する。
生成した粗生成物を、蒸留により単離する。
【0142】
【化85】

【0143】
1)1−ブロモ−3−(ビストリフルオロメチルアミノ)プロパン(18.2g)を、100gのクロロベンゼンに溶解し、ナフタレン(13g)および次にAlCl(13g)を加える。100℃で12時間加温した後、混合物を氷に加え、有機相を分離する。有機相を濃縮し、アルキルナフタレンを再結晶させる。
2)アルキルナフタレン(32g)を、三酸化硫黄(12g)を用いて、溶媒を用いずにスルホニル化する(40℃より低い温度)。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0144】
例18
【化86】

【0145】
1)例16に従って調製した3−(ビストリフルオロメチルアミノ)プロパン−1−オール(21g)および塩基Na−O−t−Bu(0.2g)および触媒Pd−DBA(5g)を、1−(2−)クロロナフタレン(16g)に加える。加温(6時間、100℃)および冷却の後、アルコキシナフタレンを、慣用の実験室方法を用いて単離する。
2)アルコキシナフタレン(30g)を、三酸化硫黄(12g)を用いてアルキルナフタレンスルホン酸に変換する。塩形成のために、混合物を氷/メチルtert−ブチルエーテルに加え、水相をこの溶媒で抽出し、すべての有機相を蒸発させる。エタノール、次にNaOH(4g)を加え、混合物を短時間加温し、冷却し、生成した結晶を単離し、乾燥する。
【0146】
例19
4−(12−トリフルオロメトキシドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
(12−トリフルオロメトキシドデシル)ベンゼン
【化87】

0.5gのAlClを、窒素下0℃で撹拌しながら、3.33gの1−ブロモ−12−トリフルオロメトキシドデカンを10mlのベンゼンに溶解した溶液に加え、混合物を、20〜25℃で48時間撹拌する(Gilman; Meals; J. Org. Chem., 1943; 126と同様にして)。生成物を単離するために、反応混合物を氷に加え、有機相を分離し、濾過し、溶媒を50℃にて真空中で除去し、無色のろう状固体を得る。
【0147】
4−(12−トリフルオロメトキシドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
【化88】

2.67gのクロロスルホン酸を、窒素下0℃で撹拌しながら、5.8gの(12−トリフルオロメトキシドデシル)ベンゼンを26mlの1,2−ジクロロエタンに溶解した溶液に加え、混合物を、15〜20℃で3時間撹拌する。生成物を単離するために、反応混合物を氷に加え、有機相を分離し、濾過し、溶媒を40℃にて真空中で除去する。18mlの1MのNaOHを残留物に加え、混合物を撹拌し、次に水を水性相から真空中で注意深く除去し、淡黄色の無定形固体を得る。
【化89】

【0148】
例20
4−(12−トリフルオロメチルスルファニルドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
(12−トリフルオロメチルスルファニルドデシル)ベンゼン
【化90】

(12−トリフルオロメトキシドデシル)ベンゼンの調製と同様に、0.5gのAlClを、窒素下0℃でで撹拌しながら、3.49gの1−ブロモ−12−トリフルオロメチルスルファニルドデカンを10mlのベンゼンに溶解した溶液中に計量して加え、混合物を、20〜25℃で48時間撹拌する(Gilman; Meals; J. Org. Chem., 1943; 126と同様にして)。生成物を単離するために、反応混合物を氷に加え、有機相を分離し、濾過し、溶媒を50℃にて真空中で除去し、ほぼ無色の固体を得る。
【0149】
4−(12−トリフルオロメチルスルファニルドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
【化91】

2.43gのクロロスルホン酸を、窒素下0℃で撹拌しながら、5.6gの(12−トリフルオロメチルスルファニルドデシル)ベンゼンを24mlの1,2−ジクロロエタンに溶解した溶液に加え、混合物を、15〜20℃で3時間撹拌する。生成物を単離するために、反応混合物を氷に加え、有機相を分離し、濾過し、溶媒を40℃にて真空中で除去する。16mlの1MのNaOHを残留物に加え、混合物を撹拌し、次に水を水性相から真空中で注意深く除去し、無定形固体を得る。
【化92】

【0150】
例21
4−[10−(ビストリフルオロメチルアミノ)デシル]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
(10−フェニルデシル)ビストリフルオロメチルアミン
【化93】

(12−トリフルオロメトキシドデシル)ベンゼンの調製と同様に、0.5gのAlClを、窒素下0℃で撹拌しながら、3.72gの(10−ブロモデシル)ビストリフルオロメチルアミンを10mlのベンゼンに溶解した溶液中に計量して加え、混合物を、20〜25℃で48時間撹拌する(Gilman; Meals; J. Org. Chem., 1943; 126と同様にして)。生成物を単離するために、反応混合物を氷に加え、有機相を分離し、濾過し、溶媒を50℃にて真空中で除去し、無定形固体を得る。
【0151】
4−[10−(ビストリフルオロメチルアミノ)デシル]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
【化94】

2.89gのクロロスルホン酸を、窒素下0℃で撹拌しながら、7.00gの(10−フェニルデシル)ビストリフルオロメチルアミンを29mlの1,2−ジクロロエタンに溶解した溶液に加え、混合物を、15〜20℃で3時間撹拌する。生成物を単離するために、反応混合物を氷に加え、有機相を分離し、濾過し、溶媒を40℃にて真空中で除去する。19mlの1MのNaOHを残留物に加え、混合物を撹拌し、次に水を水性相から真空中で注意深く除去し、帯黄色の無定形固体を得る。
【化95】

【0152】
例22
12−(ビストリフルオロメチルアミノ)ドデカンカルボン酸4−スルホフェニルナトリウム塩
12−(ビストリフルオロメチルアミノ)ドデカンカルボン酸
【化96】

Jones試薬(2.56gのCrOを11mlの水に溶解した溶液に1.68mlの濃HSOを0℃で加えることにより得られる)を、窒素下0℃で撹拌しながら、4.72gの12−(ビストリフルオロメチルアミノ)ドデカン−1−オールを56mlのアセトンに溶解した溶液に加え、混合物を、20℃で1時間撹拌する。生成物を単離するために、反応混合物を濾過し、溶媒を得られた溶出液から30℃で真空中で除去する。粗生成物を、シクロヘキサン/酢酸エチル(8:2)の混合物中、シリカゲル上でクロマトグラフィー分離し、無定形固体を得る。
【0153】
12−(ビストリフルオロメチルアミノ)ドデカンカルボン酸4−スルホフェニルナトリウム塩
【化97】

12gのSOClを、窒素下0℃で撹拌しながら、3.51gの12−(ビストリフルオロメチルアミノ)ドデカンカルボン酸を25mlのアセトンに溶解した溶液中に計量して加え、混合物を、60〜70℃にて0.75時間撹拌し、次に過剰のSOClおよび約50%のトルエンを、蒸留により除去する。次に、10mlのTHF、2.45gの4−ヒドロキシフェニルスルホン酸ナトリウム塩および4mlのトリエチルアミンを、0〜10℃にてトルエン中に残留する酸塩化物に順次加え、混合物を、25℃で4時間撹拌する。生成物を単離するために、反応混合物を濾過し、溶媒を得られた溶出液から30〜40℃で真空中で除去し、部分的に結晶性の固体を得る。
【化98】

【0154】
例23
4−[12−(ビストリフルオロメチルアミノ)ドデシルオキシ]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
【化99】

4.84gの4−ヒドロキシフェニルスルホン酸ナトリウム塩および0.97gのNaOH(粉末状)を、20℃にて窒素下で撹拌しながら、8.80gの(12−ブロモドデシル)ビストリフルオロメチルアミンを44mlのDMFに溶解した溶液に加え、混合物を、55〜65℃にて24時間撹拌する。生成物を単離するために、反応混合物を濾過し、溶媒を得られた溶出液から40〜60℃で真空中で除去する。55mlのエタノールを生成した粗生成物に加え、混合物を40℃に加温し、懸濁液を0℃に冷却する。固相の分離により淡褐色の固体を得、これを30℃にて真空中で乾燥する。
【化100】

【0155】
例24:生化学的分解性の決定
化合物の生化学的分解性を、European Commission publication: Classification, Packaging and Labelling of Dangerous Substances in the European Union, Part II - Testing Methods, Annex V - Methods for the Determination of Physico-Chemical Properties, Toxicity and Ecotoxicity, Part B, Biochemical Degradability - Zahn-Wellens Test (C.9.)、1997年1月、353〜357頁に対応するZahn-Wellens試験により決定する。
バッチ容積:1.5l
活性化スラッジ濃度:1gの固体/l
スラッジの由来:Merck KGaA; Darmstadtの処理プラント(調整していない(not adapted))
用いる試験物質の量:DOCとして約100〜200mg/l
曝気:精製空気を用いる
試料の精製操作(work-up):濾過(ミディアム〜ハードフィルター)
DOCの決定:Dimatec機器を用いた差分法(difference method)による
【0156】
方法についてのさらなる詳細は、上記の刊行物およびまたOECD Guideline for the testing of chemicals, 第3章、degradation and accumulation, method 302 B, 1〜8頁、採用:1992年7月17日中に示されており、この内容は、この点において本出願の開示内容に明確に属する。
さらに、試験における化合物自体の分解に加えて、フッ化物定量によりフッ素含有基の分解をも観察する:
方法:イオンクロマトグラフィー
機器:Dionex 120
検出器のタイプ:電導度検出器
カラム:AS9HC溶離剤:炭酸ナトリウム溶液、9mmol/l流量:1ml/分
文献:EN ISO 10304-2
【0157】
例25:表面張力の決定
機器:Kruess張力計(モデルK12)
測定溶液の温度:20℃
用いる測定モジュール:リング
測定溶液の濃度:脱イオン水中約0.5〜3.0g/l
方法についてのさらなる詳細は、the European Commission publication: Classification, Packaging and Labelling of Dangerous Substances in the European Union, Part II - Testing Methods, Annex V - Methods for the Determination of Physico-Chemical Properties, Toxicity and Ecotoxicity, Part A, Surface Tension (A.5), 1997年1月、51〜57頁およびまたOECD Guideline for the testing of chemicals, section 1, physical-chemical properties, method 115, 1〜7頁、採用:1995年7月27日により示されており、この内容は、この点において本出願の開示内容に明確に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリールスルホネート基、スペーサーおよび少なくとも1つの基Yを含む化合物であって、Yが、CF−(CH−O−、SF−、CF−(CH−S−、CFCFS−、[CF−(CHN−または[CF−(CH]NH−(式中aは0〜5の範囲から選択される整数を表す)、または、
【化1】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
を表す、前記化合物。
【請求項2】
スペーサーがフッ素原子を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
スペーサーが、飽和または不飽和の、分枝状または非分枝状の炭化水素単位を示し、ここで鎖中または分枝中の炭化水素単位が、任意に1個または2個以上のヘテロ原子を有していてもよいことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式IAまたはIB
【化2】

式中、Yは、請求項1において定義したとおりであり、
スペーサーは、請求項1〜3のいずれかにおいて定義したとおりであり、
Mは、金属カチオンを示し、および
mは、1、2または3を示す、
に適合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
スペーサーが、以下の意味:
−(CH−、
−(CH)−CH(Hal)−(CH(n−1)−、
−CH=CH−(CH(n−1)−、
−(CH−O−、
−(CH−O−(CH−、
−CHCH=CH−(CH(n−1)−、
−(CHn−1−Ar−(CH(n’−1)−、
−(CHn−1−C≡C−(CH−または
−(CH−Q−(CHn’−、
式中、
nおよびn’は、互いに独立して、1〜30の範囲からの整数を表し、
Halは、Cl、BrまたはIを示し、および
pは、1〜4の範囲からの整数を表し、
Arは、アリールを示し、
Qは、O、SまたはNを表す、
の1つを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
基YがCF−(CH−O−を示し、ここでa=0、1、2、3、4または5、好ましくはa=0、1または2であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
基YがSFを示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
基YがCF−(CH−S−を示し、ここでa=0、1、2、3、4または5、好ましくはa=0、1または2であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
基YがCF−CF−S−を示すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
基Yが[CF−(CHN−を示し、ここでa=0、1、2、3、4または5、好ましくはa=0、1または2であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
基Yが[CF−(CH]NH−を示し、ここでa=0、1、2、3、4または5、好ましくはa=0、1または2であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
基Yが、
【化3】

式中、
Rfは、CF−(CH−、CF−(CH−O−、CF−(CH−S−、CFCF−S−、SF−(CH−、[CF−(CHN−、[CF−(CH]NH−または(CFN−(CH−を表し、
Bは、単結合、O、NH、NR、CH、C(O)−O、C(O)、S、CH−O、O−C(O)、N−C(O)、C(O)−N、O−C(O)−N、N−C(O)−N、O−SOまたはSO−Oを表し、
Rは、1〜4個のC原子を有するアルキルを表し、
bは、0または1を表し、cは、0または1を表し、
qは、0または1を表し、ここでbおよびqからの少なくとも1つのラジカルは、1を表し、ならびに
rは、0、1、2、3、4または5を表す、
を示すことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
本発明の化合物の製造方法であって、式II
Y−スペーサー−Z II
式中Yおよび−スペーサー−は、請求項1〜12のいずれかにおいて示した意味の1つを有し、
Zは、OH、Br、Clまたはビニルを示す、
で表される化合物を、ベンゼンおよびナフタレンの群から選択される対応する芳香族化合物と反応させ、その後スルホン化および塩形成を行うことを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を含む、組成物。
【請求項15】
それぞれの用途に適するビヒクルおよび任意にさらなる特定の活性化合物が存在することを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、塗料またはコーティング調製物、消火組成物、潤滑剤、洗浄または清浄組成物、除氷剤または織物仕上げもしくはガラス処理のための疎水化剤であることを特徴とする、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を、好適なビヒクル、および任意にさらなる特定の活性化合物と混合することを特徴とする、前記方法。
【請求項18】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、界面活性剤としての使用。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、疎水化剤または疎油化剤としての、特に織物、紙、ガラス、多孔質建築材料または吸着剤の表面改質における疎水化剤または疎油化剤としての使用。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、帯電防止剤としての、特に衣類、カーペットおよび敷物類などの織物、家具の張材および自動車の内装、不織布材料、革商品、紙および厚紙物品、木材および木材をベースとする材料、石、セメント、コンクリート、しっくいなどの鉱物基材、施釉または無釉タイル、土器、磁器などの陶磁器およびガラスの処理における、ならびにプラスチックおよび金属基材のための帯電防止剤としての使用。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、印刷インク、塗料、コーティング、写真コーティングなどの表面コーティング、、フォトレジスト、最上部の反射防止コーティング、底部の反射防止コーティングなどの半導体フォトリソグラフィー用の特殊コーティングのための調製物における添加剤としての、または対応する調製物に添加するための添加剤調製物における使用。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、気泡安定剤としての、および/または成膜を支持するための、特に泡消火剤における使用。
【請求項23】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、界面プロモーターまたは乳化剤としての、特にフッ素重合体を調製するための使用。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の、抗菌活性化合物としての、特に抗菌性表面改質のための試薬としての使用。

【公表番号】特表2009−541402(P2009−541402A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517019(P2009−517019)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005841
【国際公開番号】WO2008/003446
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】