説明

フッ素系界面活性剤

本発明は、フッ素化された末端基を有する新規な化合物、界面活性剤物質としてのその使用、および前記化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素化された末端基を含有する新規化合物、界面活性物質としてのそれらの使用、およびこれらの化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系界面活性剤は、界面張力を減少させる卓越した能力を有し、例えば、表面、例えば繊維製品、紙、ガラス、建築材料または吸着剤の表面の疎水化において利用される。さらに、これらを、塗料、コーティングまたは粘着剤における界面プロモーターまたは乳化剤または粘度低下剤として使用することが可能である。
【0003】
一般的に、フッ素系界面活性剤は、パーフルオロアルキル置換基を含有し、これは、生物学的および/または他の酸化プロセスにより、パーフルオロアルキルカルボン酸(PFCA)およびパーフルオロアルキルスルホン酸(PFAS)に環境中で分解される。近年、自然界におけるパーフルオロアルキルカルボン酸(PFCA)およびパーフルオロアルキルスルホン酸(PFAS)の蓄積が、懸念の原因となっている。PFCAおよびPFASは、その長鎖の変形(8個または9個以上の炭素原子を有するパーフルオロアルキル鎖を含有する)が、生体内蓄積能を有する、非常に難分解性の化合物である。それらは、一部のケースでは、健康被害をもたらす疑いがある(G. L. Kennedy, Jr., J. L. Butenhoff, G. W. Olsen, J. C. O'Connor, A. M. Seacat, R. G. Biegel, S. R. Murphy, D. G. Farrar, Critical Review in Toxicology, 2004, 34, 351-384)。
【0004】
任意にフッ素化されたアルキル基またはアリール基を含有するスルホトリカルバリレートの特定の用途は、US 4,988,610、US 6,890,608に、ならびにA.R. Pitt et al., Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects, 1996, 114, 321-335;A.R. Pitt, Progr. Colloid Polym. Sci., 1997, 103, 307-317およびZ.-T. Liu et al., Ind. Eng. Chem. Res. 2007, 46, 22-28に記載されている。
【0005】
Omnova社は、側鎖が末端CFまたはC基を含有するポリマーを市販している。国際公開WO 03/010128には、C3〜20−パーフルオロアルキル基を含有する、パーフルオロアルキル置換アミン、酸、アミノ酸およびチオエーテル酸が記載されている。
【0006】
特開2001-133984号公報には、反射防止コーティングにおける使用に好適なパーフルオロアルコキシ鎖を含有する界面活性化合物が開示されている。特開平9-111286号公報には、エマルションにおけるパーフルオロポリエーテル界面活性剤の使用が開示されている。DE 102005000858 A1には、少なくとも1個の末端ペンタフルオロスルフラニル基または少なくとも1個の末端トリフルオロメトキシ基を有し、かつ極性の末端基を含有し、界面活性であり、界面活性剤として好適である化合物が記載されている。
【0007】
代替の界面活性物質、好ましくは古典的なフッ素系界面活性剤に匹敵する特性プロファイル、および同等に良好な化学的多用途性を有し、好ましくは酸化または還元分解の際に長鎖の難分解性フルオロカルボン酸またはフルオロスルホン酸を発生する分解が行われないか、または好ましくは従来のフッ素系界面活性剤よりも著しく低い用量で効果的である、代替の界面活性物質への要求が引き続きある。
【発明の概要】
【0008】
界面活性物質として好適であり、好ましくは上述の不利な点の1または2以上を有しない新規化合物が見出された。
【0009】
本発明はまず、式(I)
【化1】

式中、
基Z(Z、ZおよびZ)は、互いに独立して分枝状もしくは非分枝状アルキル基または構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基であり、ここでそれぞれの指数ciおよびc’iは、互いに独立して0〜10であり、di=0〜5であり、ここでRは、分枝状または非分枝状のフッ素含有アルキルラジカルであり、R〜Rは、互いに独立して水素または分枝状もしくは非分枝状アルキル基であり、ciおよびc’iは、同時には0でなく、またA=O、Sおよび/またはNであり、
は、アニオン性極性基であり、Yは、水素原子であり、または逆もまた同様であり、
Xはカチオンであり、
また、基Zの少なくとも1つは、構造R(A(CRci−(CRc’idi−で表される基である、
で表される化合物に関する。
【0010】
式(I)について、a)Z、ZおよびZがすべて構造R(O(CHcidiで表される基であり、ならびにすべてのRがCFCFCH−、CFCFCHCH−、CFCFCFCH−またはH(CFCH−から選択される場合には、di>0であり、かつ/またはb)Z=Z=Zであり、ならびにすべてのZがCCHCH−、C13CHCH−またはC17CHCH−から選択される場合には、YはOSOに等しくなく、ならびにXはNaまたはKに等しくないのが、好ましい。
【0011】
ラジカルRは、分枝状の、または非分枝状のフッ素含有アルキル基である。ラジカルRは、部分的にフッ素化されているかまたはパーフルオロ化されていてもよく、好ましくは末端のパーフルオロ化基を含有する。好ましいのは、1〜10個のC原子を有する分枝状の、または非分枝状のフッ素含有アルキル基である。非分枝状のフッ素含有アルキル基は、好ましくは1〜6個のC原子、特に1〜4個のC原子を含有する。分枝状のフッ素含有アルキル基は、好ましくは3〜6個のC原子、特に3〜4個のC原子を含有する。使用する分枝状のフッ素含有アルキル基は、好ましくは(CF−CH−または(CF−C−基である。
【0012】
〜Rは、好ましくは、互いに独立して水素またはC1〜4−アルキル基、特にHまたはCHである。ciおよびc’iは、好ましくは、互いに独立して0〜6、特に0〜3、特に好ましくは0〜2の範囲からの整数であり、ここでciおよびc’iは、同時には0でない。diは、好ましくは0〜3、特に好ましくは1〜3の範囲からの整数、特に1である。
【0013】
Aは、好ましくはOまたはSに等しく、特にOである。特に、基Zは、R(O(CRci(CRc’idi−に等しい。
【0014】
特に好ましいのは、R〜Rが水素に等しく、Rが水素またはメチルに等しく、ciおよびc’iが、互いに独立して0〜2、特に1に等しく、diが、0〜3、特に1〜3に等しく、AがOに等しい化合物であり、ここでciおよびc’iは、同時には0でない。本発明の好ましい変法において、ここでのRは、メチルに等しく、変数は、これらの好ましい意味を有する。また好適なのは、Rがメチルに等しく、R〜Rが水素に等しく、ここで変数が好ましい意味を有する化合物である。
【0015】
特に好ましいのは、フッ素含有基ZがR(O(CHcidi−に等しい式(I)で表される化合物であり、ここで、それぞれの指数ci=2〜10、好ましくは2〜4、特に2であり、di=0〜5、好ましくは0〜3、特に好ましくは1〜3、特に1であり、Yはアニオン性極性基であり、Yは水素原子であるか、または逆もまた同様であり、Xはカチオンであり、基Zの少なくとも1つは、構造R(O(CHcidi−で表される基であり、ここで好ましくは、a)Z、ZおよびZがすべて構造R(O(CHcidi−で表される基であり、ならびにすべてのRがCFCFCH−、CFCFCHCH−、CFCFCFCH−またはH(CFCH−から選択される場合には、d>0であり、ならびにb)Z=Z=Zであり、ならびにすべてのZがCCHCH−、C13CHCH−またはC17CHCH−から選択される場合には、YはOSOに等しくなく、ならびにXはNaまたはKに等しくない。
【0016】
好ましいのは、さらにZ、ZおよびZが互いに独立してFC(CFai(CHbi(O(CHcidi−基である、式(I)で表される化合物であり、ここでai=0〜6、好ましくは1〜5、特に1〜2であり、bi=1〜6、好ましくは1〜3、特に1〜2であり、ci=2〜10、好ましくは2〜4、特に2であり、di=0〜5、好ましくは1〜3、特に1であり、ここで特にZ=Z=Zである。好ましいのはまた、ai=0、1または2、好ましくは1〜2、特に1であり、bi=1であり、ci=2であり、ならびにdi=1または2、特に1であり、ならびにここでa+a+a>1である化合物である。
【0017】
すべてのZ、ZおよびZがCFCFCH−、CFCFCHCH−、CFCFCFCH−またはH(CFCH−から選択される場合には、式(I)中のdiは、好ましくは0より大きい。Z=Z=Zであり、ならびにすべてのZがCCHCH−、C13CHCH−またはC17CHCH−から選択される場合には、YはOSOに等しくなく、ならびにXはNaまたはKに等しくない。
【0018】
本発明の態様において、本発明の化合物を、混合物の形態とすることができ、ここで個々の化合物は、ci、c’iおよび/またはdiについて異なる値を有する。
本発明の式(I)で表される化合物は、本発明において1つまたは2つ以上のフッ素化された基Zを含有していてもよい。当該化合物は、好ましくは2つまたは3つのフッ素化された基Zを含有しており、特に好ましいのは、3つのフッ素化された基Zを含有しているものである。
【0019】
3つの置換基Z、ZおよびZは、すべて同一であってもよいか、すべて異なっていてもよいか、またはそれらの2つが同一でありかつそれらの1つが異なっていてもよく、ただしZ、ZおよびZは、すべて同時にはフッ素化されていない分枝状の、または非分枝状のアルキルラジカルではない。好ましい化合物は、Z、ZおよびZの2つまたはZ、ZおよびZのすべてが同一であり、特に記載した好ましいR(O(CRci(CRc’idi−基に等しいものである。
【0020】
極めて特に好ましいのは、ここでは以下のフッ素含有アルキルラジカル:CFCH−、CFCFCH−、CFCFCFCH−、CFCFCHCH−、CFCFCHCHCH−、CFCFHCFCH−、(CFCH−、(CFC−、CF(CFCHCH−、CF(CFCHCH−、CF(CFCH−である。当該化合物は、好ましくは、多くとも3個のフッ素担持炭素原子を有するフッ素含有アルキルラジカルを含む。式(I)で表され、式中Z=Z=Zである特に好ましい化合物は、ciまたはc’iが0〜3、特に0〜2に等しく、di>0であり、ここでciおよびc’iが同時には0でないものである。diが1〜3、特に1に等しい本発明の化合物が、特に好ましい。
【0021】
化合物が、フッ素化されていない末端基Z、ZおよびZを含有している場合には、これらは、好ましくは、互いに独立して1〜20個のC原子、好ましくは1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルである。特に、Z、ZおよびZは、互いに独立して、3〜10個のC原子を有する、特に好ましくは3〜8個のC原子を有する直鎖状アルキルである。基Z、ZおよびZの2つがフッ素化されていない場合には、これらの2つの基は、好ましくは同一である。
【0022】
本発明に従って使用するべき化合物または本発明の化合物の好ましい基において、2つのうちの1つが水素原子に等しいYおよびYは、−COO、−SO、−OSO、−PO2−、−OPO2−、−(OCHCH−O−(CH−COO、−(OCHCH−O−(CH−SO、−(OCHCH−O−(CH−OSO、−(OCHCH−O−(CH−PO2−、−(OCHCH−O−(CH−OPO2−から選択されたアニオン性極性基または式A〜C
【化2】

を意味し、ここでsは、1〜1000の範囲からの整数を意味し、tは、1、2、3または4から選択された整数を意味し、wは、1、2または3から選択された整数を意味する、
を表す。
【0023】
ここでの好ましいアニオン性基は、特に、−COO、−SO、−OSO、−PO2−、−OPO2−、従属式A、ならびに−(OCHCH−O−(CH−COO、−(OCHCH−O−(CH−SOおよび−(OCHCH−O−(CH−OSOを含み、ここで単独で採用したこれらの基の各々の個々の1つが、好ましい場合がある。
【0024】
ここでの極めて特に好ましいアニオン性基は、−SO、−OSO、−PO2−またはOPO2−、特に−SOを含む。特に好ましいのは、Yがスルホネート基−SOであり、Yが水素原子である化合物である。
【0025】
Xは、好ましくは1価のカチオン、特にH、アルカリ金属カチオンまたはNRであり、ここでR=HまたはC〜Cアルキルであり、すべてのRは、同一であっても異なっていてもよい。Xは、特に好ましくはNa、KまたはNH、殊に好ましくはNaである。
【0026】
式(I)で表される好ましい化合物は、特に、すべての変数が好ましい意味を有する化合物である。好ましいのは、明確に、Z=Z=Z=FC(CFai(CHbi(O(CHcidi−であり、ここでai=1〜2であり、bi=1〜2であり、ci=2であり、di=1〜3であり、YまたはYがスルホネート基−SOであり、X=Naである化合物である。
【0027】
特に好ましいのは、式(Ia)または(Ib):
【化3】

式中、Z=Z=Zであり、すべてのZは、R(O(CHcidi−から選択され、ここでci=2であり、di=1〜3であり、R=CFCFCH−またはCFCFCFCH−である、
で表される化合物である。
【0028】
本発明の式(I)で表される化合物は、本発明においてスルホトリカルバリレート(sulfotricarballylate)と呼ばれ、アコニット酸のエステルに基づいており、その二重結合上に、スルホネート基が付加されている。特に、本発明において3つのフッ素化された末端基を含有するスルホトリカルバリレートが、好ましい。本発明の式(I)で表される化合物はまた、混合物の形態、特にまた異性体混合物(構造異性体および/または立体配置異性体混合物)の形態であり得る。特に、ジアステレオマーおよび/または鏡像異性体混合物であり得る。
【0029】
本発明の好ましい化合物の例は、以下のものである:
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

ここで、式Ia−1およびIa−2で表される化合物が、特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は化合物1b)についての静的界面張力を示すグラフである。
【図2】図2は化合物1b)についての動的界面張力を示すグラフである。
【0033】
本発明の化合物の利点は、特に以下のことであり得る:
− 効率および/もしくは有効性に関して、従来の炭化水素界面活性剤のものと等しいかもしくは優れている界面活性、
− 難溶解性のパーフルオロ化分解生成物、例えばPFOA(パーフルオロオクタン酸)もしくはPFOS(パーフルオロオクタンスルホネート)を形成しない物質の生物学的分解性および/もしくは非生物分解性、
− 弱い発泡作用および/もしくは低い泡安定化、
− 処方物中での良好な加工可能性ならびに/または
− 貯蔵安定性。
【0034】
本発明の化合物は、好ましくは格別な界面活性を有する。本発明の式(I)で表される化合物は、それらが長鎖PFCAまたはPFASへの化学的または生物学的分解のいずれも受けないため、従来技術のフッ素系界面活性剤と比較して著しく改善された環境的特性を有することができる。
【0035】
本発明は第2に、本発明の化合物、特に式(I)で表される好ましい化合物の、例えばコーティング処方物の流動挙動および湿潤能力を改善するための界面活性剤としての使用に関する。
上に記載した本発明の化合物の好ましい態様を、ここで特に有利に用いることができる。2つまたは3つ、特に3つの本発明のフッ素化された基を含有するスルホトリカルバリレートを、好ましく使用する。式(Ia)および/または(Ib)で表される化合物を、好ましく使用する。本発明の化合物をまた、混合物の形態で、特にまた異性体混合物(構造異性体および/または立体配置異性体混合物)の形態で使用することができる。特に、ジアステレオマーおよび/または鏡像異性体混合物であり得る。
【0036】
利用分野は、例えば、塗料、コーティング、保護コーティング、電子または半導体用途における特別なコーティング(例えばフォトレジスト、上層反射防止コーティング、下層反射防止コーティング)または光学的用途(例えば写真コーティング、光学素子のコーティング)における特別なコーティングなどの表面コーティング調製物における、研磨剤およびワックス(特に家具、床および自動車のための)における、または対応する調製物に添加するための添加調製物における添加剤としての、本発明の化合物の使用である。
【0037】
使用のために、本発明の化合物は通常、対応するよう設計した調製物に組み込まれる。本発明は同様に、少なくとも1つの本発明の化合物を含む、対応する組成物にも関する。かかる組成物は、好ましくは、特定の用途に好適なビヒクル、ならびに任意にさらなる活性物質および/または任意に補助剤を含んでもよい。ここで、好ましい組成物は、塗料および表面コーティング調製物および印刷インクである。
【0038】
特に、本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物を、単独でまたは他の界面活性剤と混合して含む、水ベースの表面コーティング配合物にも関する。好ましいのは、以下の合成塗膜形成剤に基づく表面コーティング配合物の使用である:
− アルキド樹脂、飽和/不飽和ポリエステルなどの重縮合樹脂、
− ポリアミド/イミド、シリコーン樹脂;フェノール樹脂;尿素樹脂およびメラミン樹脂、
− ポリウレタンおよびエポキシ樹脂などの重付加樹脂、
− ポリオレフィン、ポリビニル化合物およびポリアクリレートなどの重合樹脂。
【0039】
さらに、本発明の化合物は、天然産物および加工天然産物に基づく表面コーティングにおける使用にも適している。好ましいのは、油、スターチおよびセルロースなどの多糖類をベースとする、また、環状オリゴテルペン、ポリテルペンおよび/またはセラックなどの天然樹脂をベースとする表面コーティングである。
【0040】
本発明の化合物は、物理的に硬化する(熱可逆性)水性表面コーティングシステム、ならびに架橋(エラストマーおよび熱硬化性)水性表面コーティングシステムの両方において使用できる。本発明の化合物は、好ましくは、表面コーティングシステムの流動および湿潤特性を改良する。
【0041】
本発明の化合物の適用のさらなる領域は、ポリマー、特にフッ素重合体の製造方法においてである。例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフルオロポリマーの重要な工業的製造方法は、例えば、乳化および懸濁重合である。懸濁および乳化重合は、当業者に周知の、標準的な重合プロセスである。懸濁および乳化重合プロセスにおいて、当該システムは常に少なくとも4つの構成を含む:(大部分は)水不溶性モノマー、水、分散剤または乳化剤、および開始剤。かかる重合プロセスの実行は、当業者によく知られるものである。これらのプロセスにおいて、ポリマーは、水、対応する、通常は気体のモノマー(単数または複数)、開始剤(単数または複数)、界面活性剤(単数または複数)、および他の助剤(単数または複数)を含むオートクレーブにおいて、攪拌ならびに一定温度および圧力調整を伴って製造される。本発明の化合物は、水溶液に分散する非常に疎水性なフルオロポリマー小滴または粒子を保持するための界面活性剤として適する。
【0042】
さらに、本発明の化合物を、疎水剤、疎油化剤、湿潤/流動制御剤、汚点(spot)および汚染の保護剤/清浄剤、染み(stain)除去、かぶり防止剤、潤滑剤、消泡剤、脱気剤、乾燥促進剤、耐摩耗性および機械的摩耗促進剤、ならびに帯電防止剤において、特に織物(特に衣類、カーペットおよび敷物類、家具および自動車における室内装飾品)ならびに硬質表面(特に台所の表面、衛生陶器、タイル、ガラス)、不織布材料、革製品、紙およびボール紙、木材および木材に基づく材料、鉱物基材、例えば石、セメント、コンクリート、石膏、セラミックス(施釉したタイルおよび無釉タイル、ストーンウェア、磁器)およびガラスの処理において、ならびにプラスチックおよび金属基材のために使用できる。
【0043】
金属基材について、特許請求の範囲はさらにまた、防食剤における使用に関する。プラスチックおよびプラスチック加工用の型について、特許請求の範囲はさらにまた、型剥離剤における使用に関する。清浄剤および染み除去剤の場合において、特許請求の範囲はさらにまた、洗剤または汚染乳化剤および分散剤としての使用に関する。
【0044】
本発明の化合物を、さらに抗菌活性物質として、特に抗菌性表面改質のための試薬として使用できる。
本発明の化合物の適用のさらなる領域は、以下の機能:消泡、脱気剤、摩擦制御剤、湿潤剤、流動制御剤、顔料適合性増強剤、印刷解像度増強剤、乾燥促進剤の1つまたは2つ以上を有する、印刷インクにおける添加剤において、または添加剤調製物においてである。
【0045】
本発明の化合物をまた、泡安定剤として、ならびに/または、特に、合成およびタンパク質に基づく水性膜形成泡消火泡における膜形成を支持するために、また耐アルコール(alcohol-resistant)処方物(AFFFおよびAFFF−AR、FP、FFFPおよびFFFP−AR)のために使用できる。
【0046】
本発明の化合物を、さらに以下の機能:潤滑剤、内部摩擦低減剤、UV安定剤、疎水剤、疎油化剤、汚点および汚染保護剤、充填剤のためのカップリング剤、防炎剤、移動阻害剤(特に可塑剤の移動に対する)、かぶり防止剤の1つまたは2つ以上を有する、ポリマー材料(プラスチック)中の添加剤として使用できる。
【0047】
さらに、本発明の化合物はまた、洗浄、エッチング、反応性改変のための液体媒体中の添加剤、ならびに/または金属表面(特にまたエレクトロコーティング(electrocoating)および陽極酸化)もしくは半導体表面(特に半導体フォトリソグラフィー:現像剤、剥離剤、エッジビーズ除去剤、エッチング剤および清浄剤のための)上への物質堆積として、湿潤剤および/もしくは堆積した薄膜質促進剤としての使用に好適である。
【0048】
さらに、本発明に従って界面活性剤として使用することができる化合物は、洗浄および清浄用途のために、ならびに以下の機能:乳化剤、湿潤剤、発泡剤、潤滑剤、帯電防止剤、皮膚油脂耐性促進剤の1つまたは2つ以上を有する、化粧品製品、例えばヘアケアおよびボディケア製品(例えばシャンプー、ヘアリンスおよびヘアコンディショナー)、フォームバス(foam bath)、クリームまたはローションにおける添加剤/界面活性剤としての使用に好適である。
【0049】
本発明の化合物を、さらに以下の機能:基材湿潤剤、アジュバント、発泡防止剤、分散剤、エマルジョン安定剤の1つまたは2つ以上を有する、除草剤、殺虫剤および殺菌剤における添加剤として使用する。さらに、本発明の化合物をまた、凍結防止剤または防氷剤における添加剤として使用できる。
【0050】
さらに、本発明の化合物は、以下の機能:湿潤剤、発泡剤、発泡防止剤の1つまたは2つ以上を有する、鉱石加工のための調製物、特に浮遊選鉱および浸出液における添加剤として、ならびに以下の機能:湿潤剤、発泡剤、乳化剤の1つまたは2つ以上を有する、油井の刺激のための剤における添加剤として好適である。
【0051】
本発明の化合物の適用のさらなる領域は、以下の機能:湿潤剤、浸透剤、基剤付着促進剤、消泡剤の1つまたは2つ以上を有する、接着剤における添加剤としての使用においてである。
【0052】
本発明の化合物を、さらに以下の機能:湿潤剤、腐食防止剤の1つまたは2つ以上を有する、油脂および油圧油中の添加剤として使用することができる。油脂の場合において、特許請求の範囲は、さらにまた(特にフッ素重合体粒子のための)分散剤としての使用に関する。
【0053】
本発明の化合物をまた、以下の機能:疎水剤、疎油化剤、汚染保護剤、耐候性促進剤、UV安定剤、シリコーンブリードに対する剤の1つまたは2つ以上を有する、パテおよび充填組成物における添加剤として使用できる。
【0054】
本発明は、本発明に従って用いるべき化合物の、本明細書中で述べたすべての使用に関する。前記目的のための界面活性剤のそれぞれの使用は、当業者に知られており、したがって本発明に従って用いるべき化合物の使用は、問題を示さない。本発明の式(I)で表される化合物を、好ましくは塗料およびコーティング調製物、印刷インクおよびワックス、ならびに研磨剤において使用する。特に好ましいのは、塗料およびコーティング調製物における使用である。
【0055】
式(I)で表される化合物、特に上で好ましいと記載した式(I)で表される化合物の、塗料およびコーティング調製物における使用は、特に有利である。基ZがR(O(CHcidi−に等しく、ここでそれぞれの指数ci=2〜10、好ましくは2〜4、特に2であり、di=0〜5、好ましくは1〜3、特に1である化合物が、ここで好ましい。式(I)で表され、式中Z=Z=Z=FC(CFai(CHbi(O(CHcidi−であり、ここでai=0〜6、好ましくは1〜5、特に1〜2であり、bi=1〜6、好ましくは1〜3、特に1〜2であり、ci=2であり、di=1〜3、好ましくは1であり、YまたはYがスルホネート基−SOに等しく、およびX=Naである化合物が、特に好ましい。特に、式Ia−1〜Ia−6で表される化合物、特に式Ia−1およびIa−2で表される化合物は、塗料およびコーティング調製物における使用に好適である。
【0056】
本発明の式(I)で表される化合物を、好ましくは、1種または2種以上のアルコールZOH(II)を使用した、アコニット酸もしくは無水物もしくは酸塩化物の、またはクエン酸のエステル化、続いて好ましくは亜硫酸水素ナトリウムの付加反応により製造できる。
【0057】
は、フッ素化されていない分枝状もしくは非分枝状アルキル基または構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基であり、ここでそれぞれの指数ciおよびc’iは、互いに独立して0〜10であり、di=0〜5であり、ここでRは、分枝状の、または非分枝状のフッ素含有アルキルラジカルであり、R〜Rは、互いに独立して水素または分枝状もしくは非分枝状アルキル基であり、ciおよびc’iは、同時には0でなく、A=O、Sおよび/またはNである。
【0058】
は、好ましくは式(I)で表される好ましい化合物について記載した変化形、特にFC(CFai(CHbi(O(CHcidi−基を包含し、式中ai=0〜6であり、bi=1〜6であり、ci=2〜10であり、di=0〜5である。aiは、好ましくは1または2に等しく、biは、好ましくは1〜3、特に1〜2に等しい。ciは、好ましくは2〜4、特に2に等しい。diは、好ましくは1〜3、特に1に等しい。
【0059】
好ましいのは、FC(CFai(CHbi(O(CHcidi−基を含有するアルコールを使用することであり、ここで1種またはまた種々のアルコールを、混合物として、または次第に反応させることができる。好ましくは、特に、1種のみのアルコールを使用する。
【0060】
エステル化をまた、フッ素化されていない分枝状もしくは非分枝状アルコールを有する混合物において、または種々のアルコールを使用して次第に行うことができる。フッ素化されていない分枝状または非分枝状アルコールは、好ましくは1〜20個のC原子、好ましくは1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルを含有するものである。特に好ましいのは、3〜10個のC原子を有する、特に好ましくは3〜8個のC原子を有するアルコールである。
【0061】
したがって、本発明は第3に、本発明に従ってフッ素化された2つまたは3つの末端基を含有する、式(I)で表される化合物、特にスルホトリカルバリレートの製造方法に関する。
【0062】
使用するアルコールは、商業的に入手でき、かつ/またはそれらの製造は、当業者によく知られるものである(Heilmann et al. J. Fluorine Chem. 1992, 59, 387;Janulis et al. US 5,157,159 (1992))。
【0063】
アコニット酸エステルを、好ましくは、従来の触媒、例えばトルエン−4−スルホン酸一水和物の存在下で合成する:
【化7】

【0064】
アコニット酸エステルを、さらに好ましくは、クエン酸から開始して、従来の触媒、例えば硫酸の存在下で合成できる。また、対応するクエン酸エステル(IV)を製造することが、可能である。
【化8】

【0065】
第2のステップにおいて、基Yを、次いで当業者によく知られる方法によるアコニット酸エステルの二重結合上への付加反応またはクエン酸エステルのOH基の誘導体化により導入する。以下のスキームは、亜硫酸水素ナトリウムの付加反応によるスルホトリカルバリレートの合成を、例により示し、それを、当業者に公知の条件下で行うことができる:
【化9】

【0066】
式(III)は、Z/E二重結合異性体の存在を再現する。本発明のさらなる化合物を、上に示した例示的な反応と同様にして製造できる。本発明のさらなる化合物をまた、文献から公知であり、当業者に自体公知の他の方法により製造できる。特に、他のエステル化触媒を、使用できる。
【0067】
本発明は、第4に式(III)で表される化合物に関し、それは、本発明の式(I)で表される化合物の上記の合成における中間体として存在する:
【化10】

【0068】
式中、
基Z(Z、ZおよびZ)は、互いに独立して分枝状もしくは非分枝状アルキル基、または構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基であり、ここでそれぞれの指数ciおよびc’iは、互いに独立して0〜10、好ましくは0〜6、特に0〜2であり、di=0〜5であり、ここでRは、分枝状または非分枝状のフッ素含有アルキルラジカルであり、R〜Rは、互いに独立して水素または分枝状もしくは非分枝状アルキル基であり、ciおよびc’iは、好ましくは同時には0でなく、A=O、Sおよび/またはNであり、基Zの少なくとも1つは、構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基である。
【0069】
式(III)で表される好ましい化合物は、Z、ZおよびZが互いに独立してFC(CFai(CHbi(O(CHcidi−基であり、ここでai=0〜6、特にai=1〜5、好ましくは1〜2であり、bi=1〜6、好ましくは1〜3、特にbi=1〜2であり、ci=2〜10、特にci=2であり、di=0〜5、特にdi=1であるものである。特に好適な化合物は、Z=Z=Zであるものである。
【0070】
好ましいのはまた、ai=0、1または2、好ましくは1または2、特に1であり、bi=1であり、ci=2であり、di=1または2、特に1であり、またここでa+a+a>1である化合物である。
【0071】
本発明は第5に、フッ素化ポリマーの合成におけるモノマーまたはコモノマーとしての、式(III)で表される化合物の使用に関する。
引用した参考文献の開示は、それにより明白にまた本出願の開示内容の一部である。以下の例は、保護の範囲を限定せずに本発明をより詳細に説明する。
【0072】

例1:式(Ia−1)で表されるスルホトリカルバリレートの合成
a)エステル化
【化11】

使用するアルコールを、文献(Heilmann et al. J. Fluorine Chem. 1992, 59, 387;Janulis et al. US 5157159 (1992))に記載のとおり製造する。72.4mmolのアルコール、18.1mmolのアコニット酸(90%、Alfa Aesar)および3.6mmolのトルエン−4−スルホン酸一水和物(Merck KGaA)の40mlのトルエン中の混合物を、その後還流下で48時間撹拌する。反応の間に遊離した水を、水分離器の補助により除去する。反応を、水を使用して反応停止する。混合物を、その後トルエンで抽出し、混ぜ合わせた有機相を、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過する。溶媒を、ロータリーエバポレーター中で蒸留する。
精製:シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー;
溶離剤:トルエン/酢酸エチル 1/2
【0073】
【化12】

【0074】
b)付加反応
【化13】

68mlの亜硫酸水素ナトリウム溶液(水中39%、Merck KGaA)(338mmol)を、50℃にて、13.5mmolのトリエステルを45mlの1,4−ジオキサン(Merck KGaA)に溶解した溶液に滴加し、混合物を、還流下で撹拌する。滴加の後に、反応温度を、88℃にて65時間保持する。24時間および48時間後、23mlの亜硫酸水素ナトリウム溶液(水中39%、Merck KGaA)(113mmol)を、再び各々の回において滴加する。溶媒を、ロータリーエバポレーター中で除去する。その後、粗生成物をジエチルエーテル(Merck KGaA)中に吸収させ、撹拌し、濾過する。濾過残留物を、再び撹拌および濾過により洗浄する。ジエチルエーテル相を混ぜ合わせ、有機溶媒をロータリーエバポレーター中で除去する。
【0075】
【化14】

【0076】
例2:静的界面張力の決定
種々の濃度c(重量パーセント)を有する水性界面活性剤溶液の静的界面張力γを決定する。
機器:Sinterface張力計(モデルPAT1)
測定溶液の温度:室温
【0077】
使用した測定法:小滴が空気に対して垂れ下がる際の界面張力の測定。楕円体(小滴)の主要な曲率の半径(rおよびr)を、ここで小滴外形分析により決定する。界面の外部と内部との間の圧力差(Δp)が曲率の半径に間接的に比例するため、界面張力を、以下の相関関係から計算できる:
【数1】

【0078】
機器設定:小滴容積7〜10mm;測定時間1500〜3600s;1.5の像/s、小滴密度=1g/cm
測定値を、表1に示す。図1は、例1b)によるスルホカルバリレートの濃度の関数としての静的界面張力を示す。
【0079】
【表1】

【0080】
例3:動的界面張力の決定
化合物1bの0.1%(重量パーセント)水溶液の動的界面張力γを、決定する。
使用した測定法:気泡圧力法を使用した界面張力の測定
機器:SITA張力計(モデルt 60)
測定溶液の温度:21℃±0.2℃
【0081】
動的界面張力の測定において、気泡を、種々の速度にて毛細管を貫通して界面活性剤溶液中に押し進める。得られた圧力変化から、界面張力を、以下の方程式を使用して、泡寿命の関数として決定できる:
【数2】

max=最大圧力、ρ=液体の密度、h=浸漬深さ、r=毛細管の半径
【0082】
測定値を表2に示す。図2は、化合物1b)についての泡寿命の関数としての動的界面張力を示す。
【0083】
【表2】

【0084】
例4:ポリウレタン水性表面コーティングにおける耐くぼみ試験
表面コーティングを、表3による原料から製造し、ここで表面欠陥(くぼみ)が、特に消泡剤BYK 023を過剰投与することにより発生する。例1bによるスルホトリカルバリレートをDowanol PM(Dow Chemicals)に溶解した高度に濃縮された溶液(95重量%)を、表面コーティング中に種々の量において包含させ、効能において0試料(スルホトリカルバリレートなし)と比較する。
【0085】
【表3】

【0086】
汚染された表面コーティング試料の製造において、先ず結合剤、顔料ペーストおよび水を、最初に導入し(表4a;PEビーカー:860ml)、最初に導入した混合物のいくらかを、その後完了させる(表4b;PEビーカー350ml)。
【0087】
【表4】

【0088】
界面活性剤溶液の包含のために、後者を、先ず最初に導入し(PEビーカー、175ml)、表面コーティングの量は、その後界面活性剤の重量に基づく。種々の界面活性剤含量を有するか、または界面活性剤を有しない3種の試験コーティングを、製造する(表5)。
【0089】
【表5】

* 表面コーティング試料の合計量に基づく界面活性剤含量
【0090】
表面コーティングを、白色塗料カード(219×286mm;製造者:Leneta)に、真空吸引を伴う自動フィルム塗布器(Byk Gardner E-2101)の補助により、フィルム塗布器フレーム(Erichsonモデル360;容量:4mlの表面コーティング;計測:20ml噴霧;引出速度:50mm/s;湿潤層厚さ:30μm)で設ける。
【0091】
表面コーティング試料2は、表面欠陥(くぼみ)を事実上有せず、表面コーティング試料3は、表面欠陥(くぼみ)を完全に有せず、一方表面コーティング試料1は、多数の表面欠陥(くぼみ)を示す。
【0092】
例5:式(Ia−2)で表されるスルホトリカルバリレートの合成
式(Ia−2)で表されるスルホトリカルバリレートを、例1に記載したプロセスにより製造する。
【0093】
【化15】

【0094】
例2に記載した静的界面張力および例3に記載した動的界面張力の両方を、その後決定する。結果を、表6および7に示す。
【0095】
【表6】

【0096】
【表7】

【0097】
例6:式(Ia−3)で表されるスルホトリカルバリレートの合成
式(Ia−3)で表されるスルホトリカルバリレートを、例1に記載したプロセスにより製造する。
【化16】

【0098】
例2に記載した静的界面張力および例3に記載した動的界面張力の両方を、その後決定する。結果を、表8および9に示す。
【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
例7:式(Ia−4)で表されるスルホトリカルバリレートの合成
式(Ia−4)で表されるスルホトリカルバリレートを、例1に記載したプロセスにより製造する。
【化17】

【0102】
例2に記載した静的界面張力および例3に記載した動的界面張力の両方を、その後決定する。結果を、表10および11に示す。
【0103】
【表10】

【0104】
【表11】

【0105】
例8:式(Ia−5)で表されるスルホトリカルバリレートの合成
式(Ia−5)で表されるスルホトリカルバリレートを、例1に記載したプロセスにより製造する。
【化18】

【0106】
例2に記載した静的界面張力および例3に記載した動的界面張力の両方を、その後決定する。結果を、表12および13に示す。
【0107】
【表12】

【0108】
【表13】

【0109】
例9:式(Ia−6)で表されるスルホトリカルバリレートの合成
式(Ia−6)で表されるスルホトリカルバリレートを、例1に記載したプロセスにより製造する。
【化19】

【0110】
例2に記載した静的界面張力および例3に記載した動的界面張力の両方を、その後決定する。結果を、表14および15に示す。
【0111】
【表14】

【0112】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

式中、
基Z(Z、ZおよびZ)は、互いに独立して分枝状もしくは非分枝状アルキル基または構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基であり、ここでそれぞれの指数ciおよびc’iは、互いに独立して0〜10であり、およびdi=0〜5であり、ここでRは、分枝状または非分枝状のフッ素含有アルキルラジカルであり、R〜Rは、互いに独立して水素または分枝状もしくは非分枝状アルキル基であり、ciおよびc’iは、同時には0でなく、またA=O、Sおよび/またはNであり、
は、アニオン性極性基であり、Yは、水素原子であり、または逆もまた同様であり、
Xはカチオンであり、
および、基Zの少なくとも1つは、構造R(A(CRci−(CRc’idi−で表される基である、
で表される化合物。
【請求項2】
式(I)中の変数が、以下の意味:
基Z(Z、ZおよびZ)は、互いに独立して、分枝状もしくは非分枝状アルキル基または構造R(O(CHcidiで表される基であり、ここでそれぞれの指数ci=2〜10およびdi=0〜5であり、ここでRは、分枝状または非分枝状のフッ素含有アルキルラジカルであり、
は、アニオン性極性基であり、Yは、水素原子であり、または逆もまた同様であり、
Xはカチオンであり、
および基Zの少なくとも1つは、構造R(O(CHcidiで表される基である、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
フッ素化されていない分枝状または非分枝状アルキル基が、1〜10個、特に3〜8個の炭素原子を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが1価のカチオン、特にH、またはアルカリ金属カチオン、特にNa、またはNRであり、ここでR=HまたはC1〜C6アルキル、特にHであり、すべてのRが、同一であっても異なっていてもよいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が、2つまたは3つ、特に3つのフッ素化された基Zを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
、ZおよびZが、互いに独立してFC(CFai(CHbi(O(CHcidi−基であり、式中ai=0〜2、特にai=1〜2であり、bi=1〜6、特にbi=1〜2であり、ci=2〜10、特にci=2であり、di=0〜5、特にdi=1であり、ここで、特にZ=Z=Zであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
またはY、特にYがスルホネート基−SOであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
=Z=Z=FC(CFai(CHbi(O(CHcidiであり、式中ai=1〜2であり、bi=1〜2であり、ci=2であり、およびdi=1であり、Yがスルホネート基−SOであり、Yが水素原子であり、またX=Naであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式(Ia)または(Ib):
【化2】

式中、Z=Z=Zであり、すべてのZは、R(O(CHcidiから選択され、ここでci=2であり、di=1〜3であり、およびR=CFCFCH−またはCFCFCFCH−である、
で表される化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の、界面活性剤、特に塗料における添加剤またはコーティング調製物、印刷インクまたはワックス、または研磨剤としての使用。
【請求項11】
式(I)で表される少なくとも1種の化合物および特定の用途に好適であるビヒクル、ならびに任意にさらなる特定の活性物質を含有してもよい、組成物、特に塗料またはコーティング調製物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の製造方法であって、a)アコニット酸もしくはクエン酸またはその無水物もしくは酸塩化物の、式ZOH(II)で表される1種または2種以上のアルコールを使用した、好ましくは触媒の存在下でのエステル化、ならびにb)好ましくは亜硫酸水素ナトリウムのオレフィン性二重結合上への付加反応またはOH基の誘導体化を含み、ここでアルコールが請求項1に記載の基Zを含有する、前記方法。
【請求項13】
式(III)
【化3】

式中、
基Z(Z、ZおよびZ)は、互いに独立して分枝状もしくは非分枝状アルキル基または構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基であり、ここでそれぞれの指数ciおよびc’iは、互いに独立して0〜10であり、di=0〜5であり、ここでRは、分枝状または非分枝状のフッ素含有アルキルラジカルであり、R〜Rは、互いに独立して水素または分枝状もしくは非分枝状アルキル基であり、A=O、Sおよび/またはNであり、
および、基Zの少なくとも1つは、構造R(A(CRci(CRc’idi−で表される基であり、ciおよびc’iは、同時には0でない、
で表される化合物。
【請求項14】
、ZおよびZが、互いに独立してFC(CFai(CHbi(O(CHcidi−基であり、ここでai=0〜6、特にai=1〜2であり、bi=1〜6、特にbi=1〜2であり、ci=2〜10、特にci=2であり、およびdi=0〜5、特にdi=1〜3であり、ここで特にZ=Z=Zであることを特徴とする、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式(III)で表される化合物の、フッ素化ポリマーの合成におけるモノマーまたはコモノマーとしての使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−530732(P2012−530732A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516543(P2012−516543)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003328
【国際公開番号】WO2010/149262
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】