説明

フッ素繊維紡績糸およびそれらを用いた織編物

【課題】
本発明の課題は、前述の従来技術における問題点を克服し、酸やアルカリなどの過酷な環境下に曝されても摺動性や発油性、撥水性、防汚性などのフッ素繊維特有の機能性を発揮することのできる紡績糸を提供することである。
【解決手段】
動摩擦係数が0.01〜0.8であるフッ素繊維を90重量%以上、導電性物質を含有する繊維を0.1重量%以上、10重量%以下含み、帯電圧が500V以下であるフッ素繊維紡績糸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紡績工程通過性の改善が可能で、かつ防汚性、撥油性、耐薬品性、耐熱性、耐候性および摺動性に優れたフッ素繊維紡績糸およびそれらを用いた織編物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フッ素繊維はその優れた力学特性により、様々な用途に利用されている。特にその摩擦特性により摺動性に富むことから、自動車部材や特殊機械などに利用されている。更にはフッ素原子が周囲を覆っており粘着性が少ないことから撥水シートや防汚シート、撥油シートなどにも展開されている。また、フッ素のその他の特性として、酸やアルカリに強いため耐薬品性にも優れる特性を有している点が挙げられる。したがって、フッ素繊維の融点は325℃と高く、耐熱性にも優れており、あらゆる過酷な環境下に曝されても使用に耐え得るものである。
【0003】
しかしながら、フッ素繊維は捲縮を付与しにくく、フッ素の摩擦特性が低いことから繊維の絡合性が悪く、更には大きくマイナス側に帯電するなどの理由から紡績糸として使用されていなかった。
【0004】
例えば特許文献1では水溶性ビニロン(以下PVAという)との混紡により捲縮加工性を改善して得られた繊維から、PVAを分解及び/又は溶解除去してフッ素100%紡績糸を得ようとせんとするものであるが、紡績時の制電効果については何ら言及がない。特に摩擦係数の高いフッ素繊維を用いる場合は、制電性が低いために工程通過性に問題を生じさせ、溶融後は夥しい帯電があり除去後の加工性が非常に悪くなるものであり、最終製品としての品位を大きく損なうものであった。また、紡績糸の状態でPVAを溶出させる工程が必須であるが、この場合紡績糸内の空隙からのフッ素繊維の抜け落ちが多くなり、経年と共に生地が薄くなり、引いては破れることにもなるため、フッ素繊維の特性を発揮し難いものでもあった。また、紡績糸からのPVAの溶出により毛羽が多く発生することがあり、毛羽立ちが問題となる用途では使用が制限される好ましくないものであった。
【0005】
また、特許文献2ではマスタースライバーからカーボンブラック練り込み原綿を高混率で混紡せしめて制電糸を得る技術が提案されているが、上記フッ素繊維特有の制電性に関する問題については記載されていない。
また、酸・アルカリなどの過酷な環境下での性能維持、且つ、摺動性、撥水性、撥油性および防汚性に優れている紡績糸を得るためには限りなくフッ素繊維100%に近づけることが好ましいが、上記特許文献に記載の発明から達成することはできず、一方でこのような紡績糸を得るためにはフッ素繊維特有の低摩擦係数による繊維間絡合性不足や、スライバーまで作成できたとしてもケンスに収容されるまでの立ち上がり部分でスライバー切れが発生し、製造が非常に困難であるという問題を解決する必要があったため、これまでフッ素高混率紡績糸の提案がされてこなかったのが実状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−36172公報
【特許文献2】特公昭58−45485公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、前述の従来技術における問題点を克服し、酸やアルカリなどの過酷な環境下に曝されても摺動性や発油性、撥水性、防汚性などのフッ素繊維特有の機能性を発揮することのできる紡績糸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる本発明の目的を発揮するために種々鋭意検討を実施した結果、以下のことを見出した。すなわち、動摩擦係数が0.01〜0.8であるフッ素繊維を90重量%以上含有することで、良好な絡合性を有し、紡績しやすい繊維を得られ、また、導電性微粒子または導電性金属化合物を含有する繊維を用いる等の手段により帯電圧が500V以の制電性に優れたことを特徴とするフッ素繊維紡績糸を得られるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紡績糸を構成するフッ素短繊維が特定の動摩擦係数を有しているため、繊維の脱落の少ない安定した紡績糸とすることができる。また、本発明の好ましい態様によれば、紡績糸として良好に形成される捲縮数、捲縮率、平均繊維長を有しているため、繊維同士の絡合性に優れて、より繊維の脱落の少ない紡績糸を得られる。フッ素繊維の構成比率が増えれば増えるほど、摺動性に優れ、酸やアルカリなどの有機溶剤にも強く、撥水性、撥油性、防汚性にも優れるものである。さらに、当該フッ素繊維紡績糸を用いて構成された織編物は、自動車部材等、特に車体のスタビライザーの軸受けシャフトのような摺動性に富むことが求められる用途に適したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の動摩擦係数を有するフッ素繊維に適当な導電性物質、例えば少量の導電性繊維を混綿等することにより、フッ素繊維の絡合性と導電性の向上を同時に達成でき、絡合性向上による適度な動摩擦係数を有するフッ素繊維紡績糸を得られることにより、紡績加工通過性が良好になることを見出した。
【0011】
本発明に用いられるフッ素繊維樹脂に関しては、重合体の繰り返し構造単位の90%以上が主鎖または側鎖にフッ素原子を1個以上含むモノマーで構成された繊維であればいづれのものでも使用できるが、フッ素原子数の多いモノマーで構成された繊維ほど好ましく、例えば4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA)または4フッ化エチレン−オレフィン共重合体(ETFE)などに例示されるフッ素原子数が4以上のモノマーで構成された繊維が好ましい。中でも好ましくはポリ4フッ化エチレン(PTFE)を用いる方が耐熱性、誘電率の面から好ましい。
【0012】
通常、フッ素繊維は摩擦係数が低い。しかしながら、本発明において、フッ素繊維紡績糸を構成するフッ素単繊維表面の動摩擦係数は0.01〜0.8であり、かかるフッ素繊維を90重量%以上含有することを特徴とするものである。紡績する際の繊維同士の絡合性を向上させるため、好ましい動摩擦係数は0.1〜0.7であるが、より好ましくは0.25〜0.5である。なお、動摩擦係数の測定はJIS−L−1015(1999)に基づいて行う。
【0013】
上記範囲の摩擦係数とするためには、捲縮による作用を利用する方法が挙げられる。例えば、押し込み式捲縮付与装置にて5〜28山/2.54cmの捲縮数、5〜28%の捲縮率を付与することが好ましい。より好ましくは、捲縮数9〜24山/2.54cm、12〜16%の捲縮率を有することである。捲縮数が5山/2.54cmを下回ると繊維間の絡合性が悪くなり紡績性に支障をきたす他、紡績糸にした際に充分な糸強力が得られないことがあり、好ましくない。一方で、24山/2.54cmを上回ると繊維同士の絡み付きが強くかつ多くなり、ネップなどの原因になり品位を大きく悪くするので、好ましくない。捲縮率についても同様に、5%を下回ると繊維間摩擦係数(F×F)が低くなり、繊維間の絡合性が悪くなることから工程通過性が悪化し、糸品位も損なわれる。逆に捲縮率を28%を超えて増加させると、捲縮数増加と同様にネップを多く発生させてしまうことになるため好ましくない。ここで捲縮率は、次の方法にて算出される。一定長さの試料を、フリーの状態で沸水中30分間処理して脱水した後、標準状態中(20℃×60%RH)で一昼夜風乾する。その後試料に0.1g/dの荷重をかけ、1分後の長さLを測定し、次いでフリーで3分間放置した後、2mg/dの荷重下で1分後の長さMを測定する。これらの測定値から次式により算出される。
捲縮率(%)=(L−M)×100/L
フッ素繊維に添加する油剤についても、紡績性、糸質を向上させる大きなファクターとなる。フッ素繊維に粘度の低い油剤を採用すると紡績の糸道で油剤が脱落し工程通過性や糸質に大きな問題を来すため好ましくない。フッ素繊維に付与する油剤としてはエーテル結合を有する化合物が共重合された化合物またはエーテル結合を側鎖に有する化合物を付与したり、粘度の高い油剤を付与することが好ましい。
【0014】
本発明のフッ素繊維紡績糸のカット繊維長としては、平均繊維長で25〜250mmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは35〜180mmの間であり、牽切カットやバイヤスカットであっても良い。平均繊維長が25mmを下回ると紡績工程途中での絡合性が悪くなることがある他、紡績糸を形成したとしても、繊維の脱落が発生しやすく、糸品位が悪くなることがあり、また繊維の脱落により求められる機能や性能を発揮することができなくなるため、好ましくない。一方で繊維長を長くすると、繊維同士が捩れて紡績時に開繊性が悪くなり、カード工程以降でのノードラ(イレギュラードラフト)や糸ムラの主因となるため好ましくない。
【0015】
また、加工性や紡績糸性能の発揮などの点から、本発明に使用する繊維の繊度は0.6〜7.0デシテックス(以下dtex)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.1dtex〜3.3dtexの範囲内である。
【0016】
本発明においては、フッ素繊維紡績糸の内に適当な導電性物質を付与することにより、繊維間の絡合性を向上させるものである。導電性物質としては、20℃における電気伝導率がグラファイトと同等以上、すなわち10S/m以上のものが好ましい。ここで、付与される導電性物質として導電性繊維を用いることが好ましく、かかる第2成分繊維としての導電性繊維をフッ素繊維と混紡させて得ることが好ましく、さらに、かかる混紡する第2成分繊維としては、カーボンブラックまたは金属(化合物)などの導電性微粒子を繊維表層に含有する繊維、または銅化合物などの導電性金属化合物を化学処理にて硫化銅、ヨウ化銅などの導電性金属化合物を繊維の表層または内部に析出させた繊維がよく、フッ素繊維特有の大きくマイナス側へと傾く静電気の発生を抑制する観点から、カーボンブラックを含有する重合体成分が繊維表面の一部、または全部に露出している合成繊維が好ましい。
【0017】
カーボンブラックを含有する合成繊維としては、基本的には特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アクリルなどから選ばれる1種であるか、導電性を元々持ち得る金属繊維そのものであっても良いが、編み地にした際の風合いや曲げ剛性などの面から、特に前述のアクリル繊維が好ましい。
【0018】
また、カーボンブラックの20℃、20%RHの環境下における電気比抵抗については、10〜10Ω・cmであるものが好ましく、より好ましくは10〜10Ω・cmであるものを好適に用いることができる。
【0019】
特にカーボンブラック等の導電性成分を複合成分とするものが好ましく、電気比抵抗値が10Ω・cmを超えると良好な制電機能を発揮できずに特に本発明のフッ素繊維の帯電を抑えることができず、紡績性や糸品質に大きな影響を及ぼすことがあるため、好ましくない。また、電気比抵抗値が10Ω・cmを下回ると、繊維特性的に強力低下が生じ、糸物性に悪影響を及ぼすことがあるため好ましくない。
【0020】
上記構成により、本発明のフッ素繊維紡績糸は帯電圧500V以下という良好な制電性を示すものとなり、安定した可紡性が可能となるものである。ここで、本発明において、帯電圧はインテック社製静電電位測定器(スタチロン−DZ3)を用いることができ、対象物から50mmの距離から帯電物体の静電電位を測定するものである。また、誘電率は、JIS−C−6481に記載の方法で測定する。プリント基板用材料の銀箔を規定の形状にエッチングにより処理し、しかる後に変圧器ブリッジ法測定回路に組み込み測定し、誘電率は電極面積、電極間距離および測定用コンデンサの静電容量から計算で求める。測定周波数は1MHzである。
【0021】
本発明に用いられるフッ素繊維、および、第2成分繊維がある場合はその繊維に対しても、押し込み式捲縮付与装置にて捲縮付与を行うことが好ましいが、この際、特にフッ素繊維に関しては、繊維のヤング率が低いために他の合成繊維と異なり過度な捲縮付与が必要となる。
【0022】
かかる捲縮付与の操作においては、一般的な押し込み式捲縮機を使用する。紡糸工程において得られた10〜330万dtexのトウ状の繊維束を70〜100℃の押し込み式捲縮装置へ投入し、熱固着させるために100〜120℃で乾熱固着を施す。この後、所望の繊維長を得るためにECカッターにて任意の長さに短繊維カットを行い、短繊維を製造せしめるものである。
【0023】
次に本発明のフッ素繊維紡績糸の製造方法について説明する。
【0024】
本発明の紡績糸に使用されるフッ素繊維は、動摩擦係数が0.01〜0.8であるフッ素繊維が好適に使用でき、このフッ素繊維はセルロース誘導体とフッ素樹脂をマトリックス状態で紡糸し、焼成するマトリックス製法で得ても、フッ素樹脂を加圧、加熱凝集した後フイルム状に延伸し、スリットカットするスリットヤーン方式で得ても構わない。ここで、ポリオキシレンアルキルエーテルからなる油剤を繊維重量あたり0.1〜0.4重量%付与して動摩擦係数をコントロールしても良い。
【0025】
この時、油剤を表面に付与しすぎると加工工程途中や糸道に油剤が脱落し、油剤清掃や堆積した油剤の影響で工程通過中の繊維をフィブリル化させること等に繋がるため、好ましくない。その他の動摩擦特性を制御する方法としては、PTFE分子量の変更や焼成温度、焼成時間の変更をすることによっても可能であり、加工方法や条件によってそれぞれの方法を選択すれば良い。
【0026】
フッ素繊維の伸度については1〜30%の範囲内に入っていることが好ましい。伸度が30%を超えると紡績工程途中でのドラフト時にドラフト後のストレッチバックによるスライバームラ、糸ムラ、スラブ・ネップなど品質の低下が生じることとなるため好ましくない。逆に伸度が1%を下回ると同じく紡績工程途中でのドラフト時に繊維の切断や細断化に伴いフライの発生原因にも繋がるため好ましくない。より好ましい繊維伸度は5〜25%の範囲内である。
【0027】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【実施例】
【0028】
以下に本発明で用いた評価方法につき具体的に説明する。
[帯電圧測定]
インテック社製静電電位測定器(スタチロン−DZ3)を用い、対象物から50mmの距離から帯電物体の静電電位を測定した。
【0029】
[動摩擦係数]
JIS−L−1015(1999)に基づいた測定方法で、実施例、比較例に用いたフッ素繊維紡績糸、ナイロンFYまたはポリエステルFYの中から任意に抜き取った繊維を用いた糸を使用して筒編み地を作成し表面測定機トライボギヤ(TYPE:HEIDON−14DR)を使用し、編み地の縦横方向の動摩擦係数を測定して、縦横の平均値を採った。
[静摩擦係数]
実施例、比較例に用いたフッ素繊維等の中から任意に抜き取った10本のFYおよび紡績糸を、走糸法(F/M摩擦)により以下の条件にて測定した。
雰囲気:20℃×65%RH、接触角180゜、荷重=23.0g
[紡績性]
一定量を紡糸して、以下の基準により評価した。
◎:糸切れはなく、良好
○:わずかに糸切れがあった。
△:頻繁に糸切れがあった。
−:紡績糸ではないため、紡績性を試験していない。
【0030】
[摩擦耐久性]
編み地を下記条件にて繰り返しメタリックと干渉させ、布帛のダメージの程度により以下の基準にて評価した。
パンプ圧:0.281kgf/cm2、相手材:サンドペーパー(粒度号#320)、荷重(g):0.454kg
◎: 耐久回数200回以上
○: 耐久回数150回以上
△: 耐久回数100回以上150回未満
[総合評価]
対メタリックへの摺動性、紡績性、編成性、帯電性を総合的に判断した結果であり、以下の定性的な基準による評価である。
◎:非常に良好
○:良好
△:やや劣る。
(実施例1)
マトリックス紡糸法により重量平均分子量200万のPTFEポリマーを、セルロース誘導体と混合してマトリックス状態として湿式紡糸を行い350℃で5分焼成することで、単繊維繊度が3.3dtexのトウを得、その後押し込み式捲縮付与装置にて18山/2.54cmの捲縮数、17%の捲縮率を施し、それらをECカッターにて51mmに繊維長カットを実施し、伸度12%の短繊維を得た。
【0031】
その後、ポリエチレングリコールとポリエチレンアジペートとを70/30重量%の割合で重縮合を行い、ポリエチレングリコールとポリエチレンアジペートよりなるブロックポリエーテルエステルを得、ジメチルスルホキシドに溶解し、過硫酸アンモニウムを用いてアクリルニトリル(AN)をグラフト重合した重合体溶液を作成し、この重合体溶液にカーボンブラック#40(粒径20μm)を混合し、ホモミキサーでよく攪拌し、ブロックポリエーテルエステルにANをグラフト重合した中にカーボンブラックを微分散せしめ、AN/アクリル酸メチル/メタリルスルホン酸ソーダ(94.3/5.4/0.3)モル%のAN重合体のジメチルスルホキシド溶液と混合し、次いで紡糸を行い延伸処理を行った単繊度1.7dtexのアクリル系原糸を得た。得られた原糸を上記と同様に捲縮付与装置に投入し、捲縮数19山/2.54cm、捲縮率16%の捲縮を付与し、ECカッターにて繊維長51mmに切断し、導電性アクリル系短繊維を得た。
【0032】
その後、得られたフッ素繊維と導電性アクリル系繊維とを98:2の重量比率で導電性アクリル系繊維をフッ素繊維で挟み込むサンドウィッチ状にし、開繊機にて混綿し均一に混綿し、通常の紡績方法を用いて8.9g/mの太さのスライバーを作成し、粗紡工程を経た後、通常のリング精紡機を用いて綿式番手15sの紡績糸を得た。
【0033】
紡績性は良好であり、糸切れもなかった。
【0034】
この時の各工程における紡績糸の帯電圧は50〜350Vと安定しており、静電気による紡績不具合もなかった。
【0035】
この導電繊維混紡PTFE紡績糸を用いて、8ゲージの経編機にて経編地を編成した。
【0036】
得られた編物の性能、工程特性について表1に示した。
【0037】
(実施例2)
実施例1において、導電性アクリル繊維の重量比率を5重量%にした以外は実施例1と同様にし、経編地を作成した。得られた編物の性能、工程特性について表1に示した。
【0038】
(実施例3)
実施例1において、導電性アクリル繊維の重量比率を10重量%にした以外は実施例1と同様にし、経編地を作成した。得られた編物の性能、工程特性について表1に示した。
【0039】
(比較例1)
実施例1において、フッ素繊維紡績糸に代えて390TのナイロンFYを使用した以外は実施例1と同様に経編み地を作成した。得られた編物の性能、工程特性について表1に示した。
【0040】
(比較例2)
実施例1において、フッ素繊維紡績糸に代えて390TのポリエステルFYを使用した以外は実施例1と同様に経編み地を作成した。得られた編物の性能、工程特性について表1に示した。
【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
動摩擦係数が0.01〜0.8であるフッ素繊維を90重量%以上、導電性物質を含有する繊維を0.1重量%以上、10重量%以下含み、帯電圧が500V以下であるフッ素繊維紡績糸。
【請求項2】
該導電性物質が導電性微粒子または導電性金属化合物である請求項1に記載のフッ素繊維紡績糸。
【請求項3】
該フッ素繊維の伸度が1%以上、30%以下である請求項1または2に記載のフッ素繊維紡績糸。
【請求項4】
該フッ素繊維が5山/2.54cm以上、28山/2.54cm以下の捲縮数、5%以上、28%以下の捲縮率を有する請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素繊維紡績糸。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載されたフッ素繊維紡績糸を用いて構成された織編物。

【公開番号】特開2012−1848(P2012−1848A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138024(P2010−138024)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】