説明

フッ素置換ジベンゾイルメタニドを配位子とするアルミニウム錯体

【課題】フッ素置換の位置及び数を選択することにより、発光波長を制御できる新規なフッ素置換ジベンゾイルメタニドを配位子とするアルミニウム錯体を提供する。
【解決手段】一般式(II)で示されるジベンゾイルメタンを基本骨格とし、ベンゼン核水素の任意の数がフッ素原子で置換されたフッ素化ジベンゾイルメタニドを配位子とするトリスアルミニウム錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素置換ジベンゾイルメタニドを配位子とする発光特性を有し、低濃度分散型のEL素子として有用な新規なアルミニウム錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、先にジベンゾイルメタン−金属(白金、銅、パラジウム)錯体またはその誘導体とビス(ペンタフルオロベンゾイル)メタン−金属(白金、銅、パラジウム)錯体またはその誘導体とを含む錯体クラスター、及び錯体結晶について特許出願をしている(特開2009−023918号公報;特許文献1)。
また、本発明者らは、トリス(ペンタフルオロジベンゾイル)メタン−アルミニウム錯体及びその錯体を出発原料とするビス(ペンタフルオロジベンゾイル)メタン−金属(コバルト、ニッケル、銅)錯体の合成と結晶構造について報告している(「Synthesis and Crystal Structures of Fluorinated β-Diketonate Metal(Al3+, Co2+, Ni2+, and Cu2+) Complexes」(Bull. Chem.,Soc. Jpn. Vol. 82, No. 1, 96-98 (2009);非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−023918号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Synthesis and Crystal Structures of Fluorinated β-Diketonate Metal(Al3+, Co2+, Ni2+, and Cu2+) Complexes」(Bull. Chem.,Soc. Jpn. Vol. 82, No. 1, 96-98 (2009))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、トリス(ジベンゾイル)メタン−アルミニウム錯体について、ベンゾイル基の水素原子の任意の数をフッ素原子に置換した錯体を合成し、それら錯体中のフッ素原子の置換位置及び数とその発光スペクトルとの関係について調べた。その結果、フッ素置換の位置及び数を選択することにより、発光波長を制御(微調節)できることを確認した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の新規なトリス(フッ素原子置換ジベンゾイル)メタン−アルミニウム錯体を提供する。
【0007】
1.一般式(I)
【化1】

(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれフッ素原子または水素原子を表わす。)
で示されるアルミニウム錯体。
2.一般式(I)において、R12、R14、R22及びR24がフッ素原子であり、R11、R13、R15、R21、R23及びR25が水素原子である、前項1に記載のアルミニウム錯体。
3.一般式(I)において、R11、R15、R21及びR25がフッ素原子であり、R12、R13、R14、R22、R23及びR24が水素原子である、前項1に記載のアルミニウム錯体。
4.一般式(I)において、R11、R13、R15、R21、R23及びR25がフッ素原子であり、R12、R14、R22及びR24が水素原子である、前項1に記載のアルミニウム錯体。
5.一般式(I)において、R12、R13、R14、R22、R23及びR24がフッ素原子であり、R11、R15、R21及びR15が水素原子である、前項1に記載のアルミニウム錯体。
6.一般式(I)において、R11、R12、R14、R15、R21、R22、R24及びR25がフッ素原子であり、R13及びR23が水素原子である、前項1に記載のアルミニウム錯体。
7.前項1〜6のいずれかに記載のアルミニウム錯体を含む発光材料。
8.前項7に記載の発光材料を含むEL素子。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、フッ素置換ジベンゾイルメタニドを配位子とする新規なアルミニウム錯体を提供したものである。
本発明のアルミニウム錯体は、フッ素の置換位置及び数が変わることで、その発光波長が段階的に変化し、溶液では白色、固体では白色から黄色の強い発光を示す。フッ素置換化合物はフッ素間の反発作用、フッ素を介した作用(CH・F間の作用やアニオン・π電子相互作用など)により分子間で相互に影響を及ぼすことが知られている。従って、フッ素置換ジベンゾイルメタニドを配位子とする本発明のアルミニウム錯体(発光材料)は、フッ素を置換していないものに比べて、有機ポリマーなどに塗布、混入して使用する場合に、フッ素効果により優れた分散性及び溶解性を示し、ポリマーの炭化水素鎖中に効率的に分散させることができるため、低濃度分散型のEL素子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のアルミニウム錯体の電子吸収スペクトルである。
【図2】実施例2のアルミニウム錯体の電子吸収スペクトルである。
【図3】実施例3のアルミニウム錯体の電子吸収スペクトルである。
【図4】実施例4のアルミニウム錯体の電子吸収スペクトルである。
【図5】実施例5のアルミニウム錯体の電子吸収スペクトルである。
【図6】実施例1のアルミニウム錯体の発光スペクトルである。
【図7】実施例2のアルミニウム錯体の発光スペクトルである。
【図8】実施例3のアルミニウム錯体の発光スペクトルである。
【図9】実施例4のアルミニウム錯体の発光スペクトルである。
【図10】実施例5のアルミニウム錯体の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るアルミニウム錯体は、下記一般式(I)
【化2】

(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれフッ素原子または水素原子を表わす。)。
で示される。
【0011】
すなわち、本発明のアルミニウム錯体は、一般式(II)で示されるジベンゾイルメタン(DBM)
【化3】

を基本骨格とし、水素原子の任意の数がフッ素原子で置換されたジベンゾイルメタニドを配位子とする。
【0012】
本発明のアルミニウム錯体において、ジベンゾイルメタン骨格の(フッ素置換)フェニル基の具体例としては、以下の(1)〜(6)で示されるものが挙げられる。
【化4】

【0013】
上記一般式(I)で示される本発明のアルミニウム錯体の具体例としては、(i)R12、R14、R22及びR24がフッ素原子で、R11、R13、R15、R21、R23及びR25が水素原子であるもの(錯体3aと略記する。)、(ii)R11、R15、R21及びR25がフッ素原子で、R12、R13、R14、R22、R23及びR24が水素原子であるもの(錯体3bと略記する。)、(iii)R11、R13、R15、R21、R23及びR25がフッ素原子で、R12、R14、R22及びR24が水素原子であるもの(錯体4aと略記する。)、(iv)R12、R13、R14、R22、R23及びR24がフッ素原子で、R11、R15、R21及びR15が水素原子であるもの(4bと略記する。)、(v)R11、R12、R14、R15、R21、R22、R24及びR25がフッ素原子で、R13及びR23が水素原子であるもの(錯体5と略記する。)。
【0014】
[アルミニウム錯体の製造方法]
本発明のアルミニウム錯体のうち、(i)〜(iv)の錯体は、以下の通り二段階の工程により合成することが出来る。まず、上記(2)〜(5)で示されるいずれか1つのフッ素置換フェニル基に対応するフッ素置換ベンゾイルクロリドを、室温〜50℃、好ましくは約45℃の温度で塩化アルミニウムのテトラクロロエタン等の溶液に加え、その後室温に戻し、酢酸ビニルを加え反応させることにより対応するフッ素置換ジベンゾイル配位子が生成する(第1工程)。得られた配位子を、次に塩化アルミニウムのアルコール溶液、好ましくはメタノールに加えて反応させることで目的とするアルミニウム錯体を製造することができる(第2工程)。
【0015】
また、(v)の錯体は、上記(6)で示されるフッ素置換フェニル基に対応するフッ素置換ベンゾイルクロリドを、室温〜50℃、好ましくは約45℃の温度で塩化アルミニウムのテトラクロロエタン等の溶液に加え、その後室温に戻し、酢酸ビニルを加え反応させる一段階で製造することができる。すなわち、(v)の錯体の場合には、対応するフッ素置換ジベンゾイル配位子を単離することはできないが、これはフッ素置換量が増えると、配位子の安定性が低下するためと考えられる。
【0016】
本発明の対応するフッ素置換ジベンゾイル配位子の製造方法で使用する原料のモル比は、特に制限されないが、フッ素置換ベンゾイルクロリド1モルに対して、塩化アルミニウム1モル、酢酸ビニル1モルが好ましい。アルミニウム錯体の製造方法で使用する原料のモル比は、特に制限されないが、配位子1モルに対して、塩化アルミニウムは0.1〜5モルが妥当であり、特に0.35モルが好ましく、酢酸ビニルは1モルが好ましい。
【0017】
本発明の対応するフッ素置換ジベンゾイル配位子の製造方法で使用する溶媒としては、原料を溶解するものであれば特に制限されないが、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2,2−テトラクロロエタンが挙げられ、溶媒の沸点が高い点から1,1,2,2−テトラクロロエタン好ましい。配位子と塩化アルミニウムの反応は、原料を溶解するものであれば特に制限されないが、アルコールやジクロロメタンなどのハロゲン溶媒が溶解性に優れている。特に、メタノールが濃縮などの取り扱いが容易で好ましい。
【0018】
反応温度は、適宜選択できるが、配位子の合成においては室温〜80℃、特に30〜50℃程度が好ましい。室温より低い場合は反応速度が遅いため不利であり、50℃より高い場合は配位子のオルト位のフッ素が外れて環化反応が起こるため、不要な副生成物が生じる。
【0019】
反応終了後は、常法により溶媒を除去、残留物を抽出し、精製する。得られた錯体はNMR(核磁気共鳴法)及びSI−MSにより、一般式(I)で示される各アルミニウム錯体であることが確認できる。
【0020】
本発明のアルミニウム錯体は、発光特性を有する。発光特性は、分光蛍光光度計を用いて測定した電子吸光スペクトルより確認できる。
【0021】
本発明のアルミニウム錯体の電子吸光スペクトルより、上記任意に選択したR11〜R15、R21〜R25、すなわちジベンゾイルメタニド配位子におけるフェニル基の2〜6位のフッ素の置換位置及び数により発光波長が異なることが確認された。
【0022】
具体的には、R11〜R15、R21〜R25が上記(i)のアルミニウム錯体(錯体3a)と、R11〜R15、R21〜R25が上記(v)のアルミニウム錯体(錯体5)の発光挙動を比較すると、最大吸収波長はそれぞれ353及び332nmであり、発光帯ピークはそれぞれ420及び411nmである。このように、本発明のアルミニウム錯体では、ジベンゾイルメタニド配位子におけるフッ素の置換位置及び数を選択することにより発光波長の微調整をすることが可能である。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
なお、実施例のアルミニウム錯体について、NMRは、ブルカー株式会社製のAVANCE−III400を使用し、SI−MSは日立株式会社製のM−2500を使用し、元素分析はパーキンエルマー株式会社製のPE−2400を使用して測定した。
また、電子吸収スペクトル及び発光スペクトルは日本分光株式会社製のJASCO−V−660及びFP−6500を使用して測定した。
【0024】
実施例1:アルミニウム錯体3a
窒素雰囲気下、300mlの反応容器に塩化アルミニウム(0.026 mol)のテトラクロロエタン溶液(20ml)を入れ、45℃に温めた後、3,5−ジフルオロベンゾイルクロリド(0.026 mol)を加えた。室温まで冷却後、酢酸ビニル(0.026 mol)をゆっくりと加え、その後、35℃で10時間撹拌した。反応混合物を10%希塩酸溶液に移し、水蒸気蒸留により溶媒を除去した。残留物をジエチルエーテルで抽出し、シリカゲルカラムで精製し、無色の結晶(収率55%)を得た。TLC(薄層クロマトグラフィ)、NMR及びSI−MS分析より原料となる対応するフッ素置換配位子の生成を確認した。得られた配位子(3.7 mmol)を15mlの反応溶液に加え、メタノール(15ml)を加えて溶かした後、ナトリウムメトキシド(3.7 mmol)のメタノール溶液(5ml)及び塩化アルミニウム(1.2 mmol)のメタノール溶液(10ml)を加えて、2時間室温で撹拌した。反応混合物の溶媒を濃縮除去し、クロロホルムで抽出し、カラムクロマトグラフィーで精製し、黄色の結晶(収率85%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS(内部標準物質)): δ7.50-7.45 (m, 12H, PhH), 7.00-6.93 (m, 6H, PhH), 6.78 (s, 3H). SI-MS: 617 (M-3a) m/z. IR (KBr disk, cm-1): 1564, 1543, 1524, 1458, 1387, 1348, 1315, 1125, 990, 789. 元素分析: Calcd for C45H21AlF12O6 (%): C 59.22, H 2.32; found: C 59.10, H 2.11.
アセトニトリル溶液として測定した電子吸収スペクトルは353nmに最大吸収を示し(図1)、353nmで励起したところ420nm付近にピークを有する発光帯を示した(図6)。
【0025】
実施例2: アルミニウム錯体3b
3,5−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに、2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドを用いた以外は、実施例1と同様の方法でそれぞれ配位子である無色の結晶(収率80%)及びアルミニウム錯体の無色の結晶(収率91%)を得た。TLC、NMR及びSI−MS分析よりアルミニウム錯体3bの生成を確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS(内部標準物質)): δ7.28 (t, J = 8.4 Hz, 6H, PhH), δ6.86 (t, J = 8.4 Hz, 12H, PhH),6.32 (s, 3H, CH). SI-MS: 617 (M-3b) m/z. IR (KBr disk, cm-1): 1626, 1597, 1560, 1525, 1473, 1423, 1389, 1315, 1003. 元素分析: Calcd for C45H21AlF12O6 (%): C 59.22, H 2.32; found: C 59.01, H 2.22.
アセトニトリル溶液として測定した電子吸収スペクトルは329nmに最大吸収を示し(図2)、329nmで励起したところ423nm付近にピークを有する発光帯を示した(図7)。
【0026】
実施例3:アルミニウム錯体4a
3,5−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに、2,4,6−トリフルオロベンゾイルクロリドを用いた以外は、実施例1と同様の方法でそれぞれ配位子である無色の結晶(収率62%)及びアルミニウム錯体無色の結晶(収率95%)を得た。TLC、NMR及びSI−MS分析よりアルミニウム錯体4aの生成を確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS(内部標準物質)): δ6.64 (t, J = 8.4 Hz, 12H, PhH), 6.224 (s, 3H, CH). SI-MS: 689 (M-4a) m/z. IR (KBr disk, cm-1): 1640, 1607, 1568, 1528, 1458, 1408, 1387, 1348, 1123, 1080, 1036, 1001, 843. 元素分析: Calcd for C45H15AlF18O6 (%): C 52.96, H 1.48; found: C 52.82, H 1.37.
アセトニトリル溶液として測定した電子吸収スペクトルは331nmに最大吸収を示し(図3)、331nmで励起したところ405nm付近にピークを有する発光帯を示した(図8)。
【0027】
実施例4:アルミニウム錯体4b
3,5−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに、3,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを用いた以外は、実施例1と同様の方法でそれぞれ配位子である無色の結晶(収率50%)及びアルミニウム錯体の黄色の結晶(収率61%)を得た。TLC、NMR及びSI−MS分析よりアルミニウム錯体4bの生成を確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS(内部標準物質)): δ7.60 (t, J = 7.4 Hz, 12H, PhH), 6.70 (s, 3H, CH). SI-MS: 690 (M-4b) m/z. IR (KBr disk, cm-1): 1568, 1497, 1462, 1371, 1343, 1230, 1047, 787, 621. 元素分析: Calcd for C45H15AlF18O6 (%): C 52.96, H 1.48; found: C 53.00, H 1.22.
アセトニトリル溶液として測定した電子吸収スペクトルは352nmに最大吸収を示し(図4)、352nmで励起したところ417nm付近にピークを有する発光帯を示した(図9)。
【0028】
実施例5:アルミニウム錯体5
3,5−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに、2,3,5,6−テトラフルオロベンゾイルクロリドを用いた場合は一段階でアルミニウム錯体が生成した。窒素雰囲気下、300mlの反応容器に塩化アルミニウム(0.026 mmol)のテトラクロロエタン溶液(20ml)を入れ、45℃に温めた後、2,3,5,6−ジフルオロベンゾイルクロリド(0.026 mmol)を加えた。室温まで冷却後、酢酸ビニル(0.026 mmol)をゆっくりと加え、その後、35℃で10時間撹拌した。反応混合物を10%希塩酸溶液に移し、水蒸気蒸留により溶媒を除去した。残留物をジエチルエーテルで抽出し、シリカゲルカラムで精製し、目的のアルミニウム錯体の無色の結晶(収率66%)を得た。TLC(薄層クロマトグラフィ)、NMR及びSI−MS分析よりアルミニウム錯体の生成を確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, TMS(内部標準物質)): δ7.18-7.10 (m, 6H, PhH), 6.34 (s, 1H, CH) (s). SI-MS: 761 (M-5) m/z. IR (KBr disk, cm-1): 1587, 1528, 1506, 1435, 1383, 1319, 1277, 1179, 1001, 941, 635. 元素分析: Calcd for C45H9AlF24O6 (%): C 47.89, H 0.80; found: C 47.68, H 1.06。
アセトニトリル溶液として測定した電子吸収スペクトルは332nmに最大吸収を示し(図5)、332nmで励起したところ411nm付近にピークを有する発光帯を示した(図10)。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の発光特性を有するフッ素置換ジベンゾイルメタニドを配位子とするアルミニウム錯体は、配位子のフッ素置換の位置または数を選択することにより、発光波長の微調整をすることができ、EL素子を指向した発光材料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれフッ素原子または水素原子を表わす。)
で示されるアルミニウム錯体。
【請求項2】
一般式(I)において、R12、R14、R22及びR24がフッ素原子であり、R11、R13、R15、R21、R23及びR25が水素原子である、請求項1に記載のアルミニウム錯体。
【請求項3】
一般式(I)において、R11、R15、R21及びR25がフッ素原子であり、R12、R13、R14、R22、R23及びR24が水素原子である、請求項1に記載のアルミニウム錯体。
【請求項4】
一般式(I)において、R11、R13、R15、R21、R23及びR25がフッ素原子であり、R12、R14、R22及びR24が水素原子である、請求項1に記載のアルミニウム錯体。
【請求項5】
一般式(I)において、R12、R13、R14、R22、R23及びR24がフッ素原子であり、R11、R15、R21及びR15が水素原子である、請求項1に記載のアルミニウム錯体。
【請求項6】
一般式(I)において、R11、R12、R14、R15、R21、R22、R24及びR25がフッ素原子であり、R13及びR23が水素原子である、請求項1に記載のアルミニウム錯体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のアルミニウム錯体を含む発光材料。
【請求項8】
請求項7に記載の発光材料を含むEL素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−62260(P2012−62260A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206274(P2010−206274)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(598041566)学校法人北里研究所 (180)
【Fターム(参考)】