説明

フューズ及びその形成方法

アクティブフューズはアクティブフューズ構造(120)を備え、この構造を使用して可変抵抗体(106)及び選択トランジスタ(110)の双方を形成する。一の実施形態では、アクティブフューズ構造は、半導体基板(140)の活性領域(160)の一部に形成され、選択ゲート(124)はアクティブフューズ構造の一方の端部(123)の上に配置されてアクティブフューズへの書き込みに使用する一体型選択トランジスタ(110)を形成する。共有型のアクティブフューズ構造を活性領域の内部に使用することによって、面積要件を縮小し、かつ検出マージンを大きくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してフューズに関し、特にアクティブフューズ(active fuses)に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路では、フューズは多くの場合、恒久的な情報を保存するため、または恒久的な接続を形成するために使用される。例えば、フューズを使用して、メモリ冗長性(memory redundancy)の用途におけるように、正しくない回路接続を修正し、欠陥素子を置き換えることができる。また、フューズはチップ識別またはセキュリティ機能を行うために広く使用される。フューズはアナログトリミングに使用することもできる。フューズは、一旦、チップがパッケージングされてしまったときに書き込みを行なうことができるリードオンリーメモリ(read only memories:ROM)と置き換えるために使用されるワンタイムプログラマブル(one time programmable:OTP)(1度だけ書き込み可能な)デバイスとして使用することもできる。
【0003】
今日利用することができるフューズのタイプは、図1〜3を参照しながら議論することになるポリシリコンフューズである。図1は、節点12と節点20との間に、駆動トランジスタ16(トランジスタ16の制御電極は節点18に接続される)と共に接続されるポリシリコンフューズ14(可変抵抗体14とも呼ぶ)を示している。トランジスタ16及び可変抵抗体14は互いに金属部分6を通して接続される。金属部分6は節点2の可変抵抗体14と節点4の駆動トランジスタ16との間の相互接続を提供する。最初、可変抵抗体14は低い抵抗を有する。しかしながら、必要に応じて、電流を駆動トランジスタ16から可変抵抗体14に流して(例えば、図1の記号"I"で示す)、可変抵抗体14に回復不能な損傷を与えることにより可変抵抗体14への書き込みを行なって、可変抵抗体14に相対的に高い抵抗を持たせることができる。従って、可変抵抗体14は必要に応じて、フューズの2つの状態に対応する低抵抗または高抵抗を有することができる。しかしながら、低抵抗に対する高抵抗の抵抗比は一般に小さいので、抵抗比を検出するのが難しい。
【0004】
図2は、図1の概略図10に対応する素子22の上面図を示している。素子22はポリシリコン部分32を備え、このポリシリコン部分は幅広部を各端部に有し、かつこれらの端部よりも幅が狭い中央部34を有する。中央部34は可変抵抗体14に対応する。ここで、ポリシリコン部分32は、図3を参照すると分かるように、被覆シリサイド部も備えることに注目されたい。素子22は、駆動トランジスタ16を形成するために使用される活性領域(active region)56及びゲート58も備える。ここで、駆動トランジスタ16をポリシリコンフューズ14に接続するためには、図1の金属部分6に対応する金属部分42が正しい電気接続を行なうために必要であることに留意されたい。素子22は、図1の節点12に対応する金属部分24との電気接続を可能にするコンタクト26,28,及び30を備え、かつ図1の節点20に対応する金属部分60との電気接続を可能にするコンタクト50,52,及び54を備える。素子22はまた、ポリシリコン部分32と金属部分42との間の電気接続を可能にするコンタクト36,38,及び40を備え、かつ能動領域56と金属部分42との間の電気接続を可能にするコンタクト44,46,48を備える。ここで、可変抵抗体14と駆動トランジスタ16との間の金属部分42を十分に広くして、フューズへの書き込みを行なうために必要な、駆動トランジスタ16から可変抵抗体14に供給される大電流(例えば図2の記号"I"で示す)を流すことができるようにする必要があることに留意されたい。また、図3を参照しながら更に議論するように、可変抵抗体14と駆動トランジスタ16とを配線接続するために金属部分
42を形成するには物理設計ルールに従う必要がある。
【0005】
図3は素子22の断面図を示している。図3は、先行技術において公知のように、フィールド酸化膜領域68及び72を有する基板74を示している。可変抵抗体14は、フィールド酸化膜領域68の上のポリシリコン層66と、ポリシリコン層66を覆うシリサイド層64と、を有する。ここで、シリサイド層64及びポリシリコン層66は図2のポリシリコン部分32に対応することに注目されたい。従って、可変抵抗体14への書き込みを行なう前に、可変抵抗体14の抵抗は、コンタクト28と38との間にシリサイド層64が在るので低い。しかしながらここで、可変抵抗体14への書き込みを行なうために、電流が通過するシリサイド層64(ポリシリコン層66よりも低い抵抗を有する)が破壊されるように十分に大きな電流(駆動トランジスタ16から)をシリサイド層64及びポリシリコン層66に流し込む。例えば、大電流を流した結果、シリサイド層64は凝集することによって不連続となるので抵抗が高くなる。別の構成として、大電流を流した結果、エレクトロマイグレーションが原因でシリサイド層64の内部にボイドが生じ、これによっても抵抗が高くなる。一般的に、ポリシリコン層66はシリサイド層64よりも約3倍の厚さを有する。
【0006】
図3は、基板74内部に形成することができる駆動トランジスタ16の一例も示している。駆動トランジスタ16は基板74上のゲート58を備える。ここでまた、トランジスタ16はゲート58と基板74との間にゲート酸化膜層(図示せず)も備えることに注目されたい。ここで、駆動トランジスタ16は、この技術分野の当業者には公知の方法により形成することができ、かつ適切であればどのようなタイプのトランジスタとすることもできるので、ここでは更に詳細について議論することはないことに留意されたい。金属部分42は、可変抵抗体14と駆動トランジスタ16との間の誘電体層78の上に在り、可変抵抗体14及び駆動トランジスタ16の各々にコンタクト38及びコンタクト46によってそれぞれ電気的に接続される。ここで、金属部分42は十分に長い距離62を有して、可変抵抗体14及び駆動トランジスタ16を形成するために従う必要のある物理設計ルールに対応できるようにする必要があることに留意されたい。これらの物理設計ルールは、例えばコンタクト38とコンタクト46との間に必要な間隔、下敷きフィールド酸化膜68の長さ、コンタクト38とシリサイド層64及びポリシリコン層66のエッジとの間の距離、などについて規定する。また、物理設計ルールは、可変抵抗体14と駆動トランジスタ16との間の正しい電気接続を可能にするための、金属部分42の長さ62の最小限の長さを規定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ポリシリコンフューズを実現するために共に必要な可変抵抗体14及び駆動トランジスタ16は大面積を必要とするので、使用することができるフューズの数及びフューズの配置箇所が制限される。また、可変抵抗体14への書き込みを行なう前と後の抵抗比は通常、ポリシリコン層66が厚いので小さい。これによってフューズに関する検出マージンが小さくなる。従って、より小さな面積しか必要とせず、かつより大きな検出マージンを有する改良型フューズが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示する一実施形態は、アクティブフューズに関するものであり、このフューズにおいては、アクティブフューズ平面構造を使用して可変抵抗体及び選択トランジスタの双方を形成する。一実施形態では、アクティブフューズ平面構造は半導体基板の活性領域(active region)の一部に形成され、選択ゲートをアクティブフューズ平面構造の端部の上に配置してアクティブフューズへの書き込みに使用する一体型選択トランジスタを形成する。共有アクティブフューズ平面構造を活性領域内部に使用するこ
とによって、必要な面積を小さくし、かつ検出マージンを大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は例を通して示され、かつ添付の図面によって制限されることがなく、これらの図面においては、同様の参照符号は同様の構成要素を指す。
当業者であれば、これらの図面における構成要素が説明を簡単かつ明瞭にするために示され、必ずしも寸法通りには描かれていないことが分かるであろう。例えば、これらの図面における幾つかの構成要素の寸法を他の構成要素に対して誇張して描いて本発明の実施形態を理解し易くしている。
【0010】
図4は、可変抵抗体106及び選択トランジスタ110によって実現されるアクティブフューズを備える素子100の概略図を示している。従って、可変抵抗体106はまたフューズ106またはアクティブフューズ106と呼ぶことができることに留意されたい(また、フューズまたはアクティブフューズという用語を使用して可変抵抗体106及び選択トランジスタ110の組合せを指すことができることに留意されたい)。素子100は可変抵抗体106を備え、この可変抵抗体は節点104に接続される第1端子及び選択トランジスタ110の第1電流電極に接続される第2端子を有する。選択トランジスタ110は節点108に接続される第2電流電極を備え、かつ節点102に接続される制御電極を有する。ここで、図5及び図6を参照しながら更に以下に議論するように、可変抵抗体106の第2端子を選択トランジスタ110の第1電流電極に電気的に接続するための付加的な金属部分は必要ではないことに留意されたい。また、選択トランジスタ110はN型トランジスタとして示されているが、別の実施形態ではP型トランジスタを選択トランジスタ110として使用することができる。
【0011】
当初、可変抵抗体106は、アクティブフューズの第1抵抗状態に対応する低い抵抗を有する。しかしながら、必要に応じて、可変抵抗体106に対して、アクティブフューズの第2抵抗状態に対応する高い抵抗を有するように、書き込みを行う(プログラムする)ことができる。可変抵抗体106に対する書き込みは、電流(例えば図4の記号"I"で示す)を選択トランジスタ110から可変抵抗体106に流して回復不能な形で可変抵抗体106に損傷を与えて高い抵抗を生じさせることにより行なうことができる。従って、可変抵抗体106は必要に応じて、アクティブフューズの2つの抵抗状態に対応する低抵抗または高抵抗を有することができる(この場合、例えば2つの抵抗状態の内の一方の抵抗状態は論理「1」に対応し、2つの抵抗状態の内の他方の抵抗状態は論理「0」に対応する)。また、図5及び図6を参照しながら以下に更に詳細に議論するように、可変抵抗体106は、ポリシリコン領域ではなく素子100の活性領域を使用して形成される。これによって、素子100が必要とする面積を小さくすることができ、かつ高い抵抗比が実現され、より大きな検出マージンを提供することができる。
【0012】
図5は、図4の素子100に対応する素子101の上面図を示している。素子101はアクティブフューズ構造120を備え、このアクティブフューズ構造を使用して可変抵抗体106及び選択トランジスタ110の双方を形成する。アクティブフューズ構造120は3つの部分121,122,123を備える。部分122は、部分121と123との間に位置する幅狭の抵抗部分であり、この抵抗部分を使用して活性抵抗体構造(例えば可変抵抗体106)を形成する。通常、部分121, 123は抵抗部分122よりも幅が広い(図示しないが、アクティブフューズ構造120は、図6に示すように、被覆シリサイド部分を備えることもできる)。部分121はコンタクト114,116,118を備える。これらのコンタクトは図4の節点104に対応し、部分121と金属部分112との間における電気接続を可能にする。部分123は、部分123の一部の上に位置して選択トランジスタ110を形成する選択ゲート部分124と、部分123(トランジスタ110の第2電流電極に対応する)と金属部分132(図4の節点108に対応する)との間
の電気接続を可能にするコンタクト126,128,130とを備える。ここで、図示の実施形態は各電気接続を形成する3つのコンタクト(例えば、コンタクト114,116,118またはコンタクト126,128,130)を備えることに留意されたい。しかしながら、別の実施形態は電気接続を可能にする任意の数及び形状のコンタクトを使用することができることに留意されたい。また、付加的なコンタクトを必要に応じて使用することもできることに留意されたい。例えば、一つの追加コンタクトまたは複数の追加コンタクトを部分122と選択ゲート124との間に配置して、必要に応じてトランジスタ110の第1電流電極との電気接続を可能にしてもよい。また、選択ゲート124を選択するためのコンタクト(図示せず)を設けて、図4の節点102に対応する、選択トランジスタ110の制御電極との電気接続を可能にしてもよい。
【0013】
図6を参照しながら以下に更に詳細に記載するように、アクティブフューズ構造120は素子101の活性領域を利用して形成される。これによって、アクティブフューズ構造を使用して可変抵抗体106及び選択トランジスタ110の双方を形成することができる。このような構成により、可変抵抗体106の第2端子と選択トランジスタ110の第1電流電極との間に付加的な金属接続を設ける必要を無くすことができるので、必要な面積が小さくなる。従って、図1〜図3を参照しながら上記した先行技術によるポリシリコンフューズとは異なり、ポリシリコン抵抗体部分と活性領域トランジスタ部分との間に付加的な金属配線は必要ではない。更に、付加的な金属配線が必要ではないので、可変抵抗体106と選択トランジスタ110との間のコンタクト群も必要ではなく、これによって更に面積を縮小することが可能になる。また、素子101の活性領域を使用して活性構造120を形成するので、可変抵抗体の下の付加的なフィールド酸化膜領域はもはや必要ではない。このような面積の縮小により、処理の複雑さ及び処理コストを削減することもできる。
【0014】
図6は素子101(素子100にも対応する)の断面図を示している。素子101は基板140を備え、この基板は絶縁層138の上の活性層160を有する。従って、図示の実施形態では、基板140がシリコン・オン・インシュレーター(silicon-on-insulator:SOI)基板であることに留意されたい。しかしながら、別の実施形態では、活性層160のような活性領域を有するバルクシリコン基板または砒化ガリウム基板などの任意の基板を使用することができることに留意されたい。活性層160は、不純物領域142,144,146を逆導電型のウェルの内部に有する。例えば、図示の実施形態では、選択トランジスタ110をN型トランジスタとして実施するために、不純物領域142,144,146はN型不純物領域であり、ウェル141はP型ウェルである。活性層160はまた、フィールド酸化膜領域136を不純物領域142, 148の片側に備える。不純物領域144, 146はトランジスタ110のソース/ドレイン領域に対応する。トランジスタ110は基板140の上にゲート124も備えるので、この技術分野では公知のように、不純物領域144と不純物領域146との間のゲート124の下にチャネル領域が形成される。ここでまた、トランジスタ110は、この技術分野では公知のように、ゲート124と基板140との間にゲート酸化膜(図示せず)を備えることに留意されたい。トランジスタ110はまた、ゲート124の両側に、かつ不純物領域144, 146の上にサイドウォールスペーサ125を備えることができる。ゲート124は、例えばポリシリコンゲート、金属ゲート、または他の適切ないずれかのゲートまたはゲート積層体のような、任意のタイプのトランジスタゲートであってもよい。トランジスタ110は拡張領域150, 148を備えることもできるが、これらの領域を設けるかは任意である。これらの領域を設ける場合、拡張領域150, 148は、通常、不純物領域144, 146と同じ導電型の浅い不純物領域(ディープ注入領域とも呼ぶ)である。例えば、図示の実施形態では、拡張領域150, 148はN型拡張領域である。
【0015】
図示の実施形態ではトランジスタ110をN型トランジスタとして用いるが、別の実施
形態ではP型トランジスタを使用することができる。別の構成として、トランジスタ110はこの技術分野では公知の任意のタイプのトランジスタとすることもでき、この技術分野では公知の任意の適切な方法によっても形成することができる。更に、トランジスタ110及び可変抵抗体106は公知のプロセス及び材料を使用して形成することができる。同様に、活性層160は、アクティブフューズ構造120を形成するためにこの技術分野では公知のいずれの方法によっても形成することができる。また、アクティブフューズ構造120を形成するために、どのような形状を使用してもよいことに留意されたい。例えば、リング構造を使用して選択トランジスタ110を形成してもよいし、またはフィンガー構造を使用してもよい。この場合、アクティブフューズ構造120は複数のフィンガーを備え、これらのフィンガーが接続されて選択トランジスタ110を形成する。従って、どのような形状またはサイズの活性領域を使用しても、同じアクティブフューズ構造から可変抵抗体及び選択トランジスタを形成することができる。
【0016】
上に記載したように、活性層160は不純物領域142(ディープ注入領域とも呼ぶ)も備え、この不純物領域は金属部分112から活性層160に至る電気接続を可能にする。図示の実施形態では、ウェル141がP型ウェルであるため、不純物領域142もN型領域である。不純物領域142と不純物領域144との間の領域は可変抵抗体106の抵抗体領域122に対応する。拡張領域150を設ける場合には、拡張領域150は活性層160の上部に沿って不純物領域142, 144の双方の上に延在する。素子101はまた、拡張領域150(設ける場合)の上、または拡張領域150を設けない場合には活性層160の上に形成されるシリサイド層152を備える。素子101はまた、ゲート124上にシリサイド層154を備え、不純物領域146と、もしあれば拡張領域148との上にシリサイド領域156を備える。シリサイド領域156は、コンタクト128(及びコンタクト126, 130)を通しての金属部分132との電気接続を可能にする。同様に、シリサイド層152は、コンタクト116(及びコンタクト114, 118)を通して金属部分112との電気接続を可能にする。素子101はまた、トランジスタ110及び可変抵抗体106の上に誘電体層134を備え、誘電体層134上に金属部分112, 132を備える。ここで、点線162と点線164との間の活性層160の部分は、ほぼ図5のアクティブフューズ構造120に対応する。
【0017】
上に議論したように、可変抵抗体106への書き込みを行なうために、シリサイド層152を破壊するのに十分な大きさの電流(図4及び5の記号" I" で示す)が選択トランジスタ110によって供給される。端部123よりも幅狭の抵抗体部分122によって選択トランジスタ110からの電流の電流密度が高くなってシリサイド層152に影響を与える。例えば、抵抗体部分122に大電流が流れ、抵抗体部分122に流れる電流の電流密度が大きくなる結果、シリサイド層152が凝集して不連続になるので、抵抗が大きくなる。これに代わって、大電流が流れる結果、エレクトロマイグレーションによってシリサイド層152の内部にボイドが生じ、これによっても抵抗が大きくなる。一の実施形態では、シリサイド152の厚さは拡張領域150の厚さとほぼ同じ厚さであることに留意されたい。これによって抵抗比が大きくなる。すなわち、低抵抗(書き込み前の領域122の抵抗)に対する高抵抗(書き込み後の領域122の抵抗)の比が、上に記載したポリシリコンフューズにより得ることができる比よりも大きい。別の構成として、拡張領域150は設けなくてもよい、または少なくとも領域122には設けなくてもよく、これによって低抵抗に対する高抵抗の比が更に大きくなる。一の実施形態では、低抵抗に対する高抵抗の抵抗比は少なくとも10である。好適には、抵抗比は少なくとも20、更に好適には少なくとも30である。従って、本明細書において議論するアクティブフューズの実施形態によって必要な面積を縮小するとともに、検出マージンを大きくすることができる。
【0018】
図7は、アクティブフューズを図4〜図6を参照しながら上に記載したように使用する集積回路170の一実施形態を示している。集積回路170はセンスアンプ171を備え
、このセンスアンプは、素子101を使用して性能を向上させ、かつ必要面積を小さくすることができる。センスアンプ171は、N型トランジスタ180,174,194,186,198,199と、P型トランジスタ178. 172と、抵抗体196と、可変抵抗体188とを備える。センスアンプ171はp型トランジスタ178を有し、このトランジスタは第1電源電圧(例えばVdd)に接続される第1電流電極と、n型トランジスタ180の第1電流電極に接続される第2電流電極とを備える。N型トランジスタ180は、N型トランジスタ194の第1端子に接続される第2電流電極を備える。N型トランジスタ194は、抵抗体196の第1端子に接続される第2電流電極を備え、抵抗体196は基準電圧(例えば接地)に接続される第2端子を有する。センスアンプ171はまた、p型トランジスタ172を備え、このトランジスタは第1電源電圧に接続される第1電流電極と、n型トランジスタ174の第1電流電極に接続される第2電流電極とを有する。N型トランジスタ174は、N型トランジスタ186の第1端子に接続される第2電流電極を備える。N型トランジスタ186は、可変抵抗体188の第1端子に接続される第2電流電極を備え、可変抵抗体188は基準電圧に接続される第2端子を有する。P型トランジスタ178の制御電極はP型トランジスタ172の制御電極に接続される。SENSING ENABLE(検出イネーブル)信号はN型トランジスタ180及び174の制御電極に接続される。N型トランジスタ194の制御電極はN型トランジスタ186の制御電極に接続される。N型トランジスタ194の制御電極はN型トランジスタ194の第1電流電極に接続され、N型トランジスタ186の制御電極はN型トランジスタ186の第1電流電極に接続される。N型トランジスタ198は、N型トランジスタ174の第2電流電極に接続される第1電流電極と、書き込み電圧(Vp)に接続される第2電流電極と、VPGM ENABLE(VPGMイネーブル) を入力するように接続される制御電極とを有する。N型トランジスタ199は、N型トランジスタ186の制御電極に接続される第1電流電極と、Vpに接続される第2電流電極と、VPGM SEL(VPGM セレクト) を入力するように接続される制御電極とを有する。P型トランジスタ178, 172の第2電流電極はセンスアンプ171の出力OUT 及びOUTBARをそれぞれ供給する。ここでまた、別の実施形態では、VpはVddと同一であってもよいことに留意されたい。別の構成として、VpはVddとは異なっていてもよく、または更に別の実施形態では、トランジスタ198の第2電流電極のVpは、トランジスタ199の第2電流電極のVpと異なっていてもよい。
【0019】
ここで、トランジスタ194及び可変抵抗体196はアクティブフューズ素子として用いることができるので、素子190には図5及び図6の素子101を用いることができるに留意されたい。同様に、トランジスタ186及び可変抵抗体188もアクティブフューズ素子として用いることができるので、素子182には図5及び図6の素子101を用いることができる。従って、センスアンプ171は大きな検出マージンを有するとともに、より小さな面積しか必要としない。
【0020】
動作状態では、センスアンプ171の書き込み動作は、図4〜図6を参照しながら上に議論したように、可変抵抗体188への書き込みを行なうことにより実施される。すなわち、(書き込みを可能にするための)VPGM ENABLE及び(電流セルを選択するための)VPGM SELを双方共にアサートしてN型トランジスタ186の第1電流電極及び制御電極の各
々を第1電源電圧に設定し、N型トランジスタ186をオンにして可変抵抗体188に電流を流れさせることにより、(可変抵抗体188のシリサイド領域を破壊することなどによって)可変抵抗体188の抵抗を低抵抗から高抵抗に変化させる。ここで、可変抵抗体196は低抵抗状態に維持されることに留意されたい。すなわち、この可変抵抗体196は高抵抗状態に書き込まれることはなく、可変抵抗体196は基準セルとして動作する。一旦、書き込みが行われると、SENSING ENABLEをアサートして(この間、VPGM ENABLE 及びVPGM SELはアンアサートされたままである)、N型トランジスタ180, 174を駆動して電流がOUT 及びOUTBARに供給されるようにすることにより、書き込み値を読み出す、または検出することができる。次にこれらの電流を使用してセンスアンプ171に保持さ
れる値を求める。例えば、可変抵抗体188に書き込みを行って高抵抗にすると、OUT 及びOUTBARから第1の所定値が供給され、可変抵抗体188が低抵抗のままである場合には(すなわち、書き込みが行われない)、OUT 及びOUTBARから第2の所定値が供給される。第1の所定値はセンスアンプ171内に保持される第1状態に対応し、第2の所定値はセンスアンプ171内に保持される第2状態に対応することができる。一実施形態では、第1の所定値は論理レベル0または1の内の一方に対応し、第2の所定値は論理レベル0または1の内の他方に対応することができる。
【0021】
トランジスタ186及び可変抵抗体188は同じ活性領域を共有することができ、かつトランジスタ194及び可変抵抗体196も同じ活性領域を共有することができるので、センスアンプ171を集積回路170内に形成するために必要な面積を大きく低減することができる。また、高抵抗状態と低抵抗状態との抵抗比が大きくなるので、センスアンプ171の検出マージンが大きくなり、従って検出速度が大きくなり、検出性能が向上する。ここでまた、別の実施形態では、種々の異なるセンスアンプ構成を使用することができることに留意されたい。
【0022】
図8は、本発明の一実施形態によるメモリアレイ200の一部を示している。メモリアレイ200は、複数のメモリセル202,204,206,208,210,212を備え、これらのメモリセルを使用して不揮発性メモリアレイを形成することができる。すなわち、これらのセルの各々は、セルに1回だけ書き込みを行なうことができる機能を備える。従って、低抵抗状態(すなわち書き込みが行われていない)はメモリセルの第1論理状態に対応し、高抵抗状態(すなわち書き込みが行われている)はメモリセルの第2論理状態に対応することができる。例えば、例えばメモリセル204のようなメモリセルに書き込みを行なうために、周辺回路(図示せず)を使用して第1ワードライン(WL1)及び第2ビットライン(BL2)をアサートして、メモリセル204の可変抵抗体に電流を流し込むことにより高抵抗状態を実現する。従って、高抵抗状態に書き込みが行われる必要があるメモリセルは全て、このようにして書き込みを行なうことができる。また、次に周辺回路(図示せず)を使用してメモリセルの値を、この技術分野では公知のように、適切なワードライン及びビットラインを選択することにより必要に応じて検出することができる。従って、図5及び図6の素子101のような素子を使用してこれらのメモリセルの各セルを実現することにより、メモリアレイ全体に必要とされる面積が小さくなり、かつ抵抗比が大きくなることによって検出性能及び検出速度が向上する。ここでまた、メモリアレイ200は必要に応じて、どのような数のメモリセル、ビットライン、及びワードラインも備えることができることに留意されたい。また、メモリアレイ200はどのようなタイプのメモリとすることもできる。
【0023】
従って、可変抵抗体及び選択トランジスタの双方が共有することができるアクティブフューズ構造を使用することによって、どのように必要な面積を低減することができ、どのように検出マージンを大きくすることができるかが分かるであろう。例えば、本明細書に記載するアクティブフューズを、メモリアレイ、センスアンプのような種々の用途に使用することができる、または情報を集積回路に半永久的に保存する必要があるどのような場合においても使用することができる、或いはワンタイムプログラマブル(OTP)デバイスを必要とする全ての用途に使用することができる。
【0024】
本発明について特定の導電型または特定の電位極性に関して記載してきたが、当業者であれば、導電型及び電位極性を逆にすることができることが分かるであろう。例えば、本明細書における実施形態では、活性領域を可変抵抗体と一緒に共有してアクティブフューズを形成するN型トランジスタを参照しながら記載してきたが、別の実施形態では、P型トランジスタが活性領域を可変抵抗体と一緒に共有してアクティブフューズを形成してもよく、いずれの導電型のトランジスタを使用するかはアクティブフューズの用途によって
変わることが分かるであろう。また、上に記載した実施形態では、アクティブフューズに対する書き込みは可変抵抗体の状態を低抵抗から高抵抗に変化させるものとして記載した。しかしながら、別の実施形態では、書き込みは、フューズを一の抵抗状態から別の抵抗状態に変化させる操作とすることができる。
【0025】
これまでの明細書において、本発明について特定の実施形態を参照しながら記載してきた。しかしながら、この技術分野の当業者であれば、種々の変形及び変更を、以下の請求項に示す本発明の技術範囲から逸脱しない範囲において加え得ることが分かるであろう。従って、明細書及び図は、制限的な意味ではなく、例示として捉えられるべきであり、このような変形は全て、本発明の技術範囲に含まれるものである。
【0026】
効果、他の利点、及び技術的問題に対する解決法について、特定の実施形態に関して上に記載してきた。しかしながら、効果、利点、及び問題解決法、及びこのような効果、利点、または問題解決法をもたらし、またはさらに顕著にし得る全ての要素(群)が、いずれかの請求項または全ての請求項の必須の、必要な、または基本的な特徴または要素であると解釈されるべきではない。本明細書で使用されるように、「備える(comprises、comprising)」という用語、または他の全てのこれらの変形は包括的な意味で適用されるものであり、一連の要素を備えるプロセス、方法、製品、または装置がこれらの要素のみを備えるのではなく、明らかには列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素も備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】当業において公知のポリシリコンフューズ及び駆動トランジスタを示す図。
【図2】当業において公知のポリシリコンフューズ及び駆動トランジスタを示す図。
【図3】当業において公知のポリシリコンフューズ及び駆動トランジスタを示す図。
【図4】本発明の一実施形態による可変抵抗体及び選択トランジスタを示す概略図。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の可変抵抗体及び選択トランジスタの上面図。
【図6】本発明の一実施形態による、図4及び5の可変抵抗体及び選択トランジスタの断面図。
【図7】本発明の一実施形態によるセンスアンプの概略図。
【図8】本発明の一実施形態によるメモリアレイの概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フューズを形成する方法であって、
フューズ構造を活性領域の一部に形成する工程と、
フューズ構造の端部の上に配置される選択ゲートを形成する工程とを備え、選択ゲートとフューズ構造の前記端部の下層部とは、フューズの書き込みに使用する一体型選択トランジスタを形成する、方法。
【請求項2】
フューズ構造は対向する両方の端部と、中央部とを備え、フューズ構造の中央部は、フューズ構造の一方の端部を通過する電流の電流密度を、フューズの書き込みに十分となるように増大させるように適合されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
選択ゲートに近接するコンタクトをフューズ構造の一方の端部の内部に形成する工程をさらに有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
選択トランジスタを使用して、所望のフューズ状態に従って、フューズへの書き込みを行なう工程をさらに有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記フューズへの書き込みを行う工程は、フューズ構造の中央部を第1の抵抗状態から第2の抵抗状態に変化させることを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
フューズをメモリアレイのセンス回路に組み込む工程と、
選択トランジスタを使用して、所望のフューズ状態に従って、フューズへの書き込みを行なう工程とをさらに有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
フューズを形成する方法であって、
フューズ構造を活性領域の一部に形成する工程であって、前期フューズ構造は対向する両方の端部と、中央部とを備え、前記中央部は活性抵抗体構造を形成する工程と、
フューズ構造の一方の端部の上に配置される選択ゲートを形成する工程であって、選択ゲートとフューズ構造の前記端部の下層部とは、フューズへの書き込みに使用する一体型選択トランジスタを形成する工程と、
選択ゲート及びフューズ構造の複数の部分の上にシリサイドを形成する工程と、
第1及び第2コンタクトを形成する工程であって、第1コンタクトは選択ゲートに近接するフューズ構造の一方の端部と接触し、第2コンタクトはフューズ構造の反対側の端部と接触する工程と、
選択トランジスタと、第1及び第2コンタクトを通過する書き込み電流とを使用して、所望のフューズ状態にしたがって、フューズへの書き込みを行なう工程とを有する、方法。
【請求項8】
活性領域の一部に位置するフューズ構造と、
フューズ構造の一方の端部の上に配置される選択ゲートとを備え、選択ゲートとフューズ構造の前記端部の下層部とは、フューズの書き込みに使用する一体型選択トランジスタを形成する、フューズ。
【請求項9】
活性領域の一部に形成されるフューズ構造であって、前記フューズ構造は対抗する両方の端部と中央部とを備え、該中央部は活性抵抗体構造を有するフューズ構造と、
前記フューズ構造の一方の端部の上に配置される選択ゲートであって、前記選択ゲートとフューズ構造の前記端部の下層部とは、前記フューズの書き込みに使用する一体型選択トランジスタを形成する、選択ゲートと、
前記選択ゲート及び前記フューズ構造の複数の部分の上に形成されるシリサイドと、
第1及び第2コンタクトとを備え、前記第1コンタクトは前記選択ゲートに近接する前記フューズ構造の一方の端部に接触し、前記第2コンタクトは前記フューズ構造の反対側の端部に接触する、フューズ。
【請求項10】
フューズを有する集積回路において、
活性領域の一部に位置するフューズ構造と、
フューズ構造の端部の上に配置される選択ゲートであって、選択ゲートとフューズ構造の前記端部の下層部とは、前記フューズの書き込みに使用する一体型選択トランジスタを形成する構成の選択ゲートとを備える、集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−521644(P2007−521644A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513297(P2006−513297)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/012709
【国際公開番号】WO2004/097898
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】