説明

フラッシュシステム

【課題】 フラット発光可能なフラッシュ調光装置とそのフラッシュ調光装置による閃光撮影に対応可能カメラに対して安定した露出を得るフラッシュシステムを提供する。
【解決手段】 カメラ外部に装着可能であって、放電管208とこれを駆動させる回路と、発光量を計測する光度測光センサー205及び206とCPU制御部20を含む発光制御を行わせる回路216で構成されるフラッシュ調光装置において、前記放電管208の発光光度を前記光度測光センサー205及び206で測定し、事前に設定する光度以上になると発光を停止させ、当該光度以下になると発光させることを繰り返す交番発光で発光量を制御させ、近接撮影における発光制御を可能にさせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフラット発光可能なフラッシュ調光装置に関し、特に閃光撮影に対応可能なカメラに装着されるフラッシュ調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の方法では、小光量を得るには発光時間を短くさせて発光させる閃光発光での手段をとっている。しかし、小光量になるにつれ放電管の励起の遅れ時間が影響してくる。放電管の励起の遅れ時間が長くなるとスイッチング素子(IGBT)が導通している時間内には発光しなくなるなど不安定な光量の発光になる。図4は従来の発光制御による発光量カーブの様子を示した図である。
【0003】
例えば、近接撮影でカメラと被写体との距離が10cm、F値2.8の場合、フラッシュ調光装置(マニュアルモードの時)の発光量はGN=0.28である。
【0004】
従来の方法によると、図4からGN=0.28を作るには発光時間を短くしなくてはならないが発光当初から光度が高いため、図4で発光してからカーブのピークまでの時間の約1/10の発光時間で制御する必要となり、また、次のステップの発光時間との差が殆どなく、微少な発光時間で発光量を規定するのは難しかった。このため通常の技術で求められる最小発光量値は約GN=2ぐらいで放電管の遅れ時間を考慮した最小光量値と言われている。
【0005】
上記問題を解決するために、特開2004−165164号公報に開示の方法においては、フラッシュ制御回路は、フラッシュコンデンサ(29)とフラッシュ照明装置(24)とを備えるフラッシュ回路(12)のために備えられる。フラッシュ制御回路は、フラッシュ照明装置(24)と直列の電流制限装置(62)と、電流制限回路(62)に並列のバイパス回路(61)を備える。バイパス回路(61)は、電流制限装置(62)をバイパスする第1設定と、電流制限装置(62)をバイパスしない第2設定とを有し、カメラからシーンの対象物までの距離を反映してフラッシュの光出力を適合させる方法を提案している。
【特許文献1】特開2004−165164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方法においては近接撮影の場合小発光量を求められたGN=0.28に対し、GN=2の発光量で調光発光するので2EV以上露出オーバーになることからカメラの絞り設定を絞り込ませなければならず、撮影条件が制限されることになる。
【0007】
また、被写体輝度の明るい場合、小発光量を求めるには閃光時間を短くしていくことになるが、放電管の遅れ時間があるので発光時間が短くなると発光しない時が発生する。発光時間を短くする方法では安定した発光は維持できないので小発光量は作れない。よって、近接撮影の場合は小発光量を求めることができないのでは露出オーバーになる不都合があった。
【0008】
また、解決方法として開示されている特開2004−165164号公報ではバイパス回路61においてレンズの距離調整機構と連動して電流制限装置62を作動させ、被写体の焦点距離に応じた電流制限によって発光量を調節するものであり、電流制限には抵抗体を用い、調整も段階的な調整で、連続的な調整ができない欠点を有しているし、抵抗体による電流制限だけでは、近距離における微少発光時では不安定な動作は避けられない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、フラット発光可能なフラッシュ調光装置とそのフラッシュ調光装置によるフラッシュ撮影に対応可能カメラに対して安定した露出を得るフラッシュシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフラッシュシステムは、カメラ外部に装着可能であって、発光放電管とこれを駆動させる回路と、発光量を計測する光度センサーとCPUを含む発光制御回路で構成されるフラッシュ調光装置において、前記発光放電管の発光光度を前記光度センサーで測定し、事前に設定する光度以上になると発光を停止させ、当該光度以下になると発光させることを繰り返す交番発光で発光量を制御させ、近接撮影における発光制御を可能にした。
【発明の効果】
【0011】
本発明においてはカメラ外部に装着可能であって、発光放電管とこれを駆動させる回路と、発光量を計測する光度センサーとCPUを含む発光制御回路で構成されるフラッシュ調光装置において、前記発光放電管の発光光度を前記光度センサーで測定し、事前に設定する光度以上になると発光を停止させ、当該光度以下になると発光させることを繰り返す交番発光で発光量を制御させ、近接撮影における発光制御を可能にしたので、小発光量を得る方法として発光光度を低下させ、放電管の遅れ時間による影響がない発光時間で制御した安定した発光量が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面等を参照して本発明の最も良好な実施形態を説明する。
【0013】
まず初めに、本発明の接続構造を説明する。図1は本発明に係るカメラとフラッシュ調光装置の信号接続関係を示す概略ブロック図であって、カメラ1にフラッシュ調光装置2を装着すると図1に示すようにカメラ1とフラッシュ調光装置2とはそれぞれのCPU制御部10、20が複数の信号ラインからなるカメラ側信号CM1〜CM5とフラッシュ調光装置側信号ST1〜ST5とで接続されて制御可能になっている。
【0014】
カメラ1のレリーズが押されるとカメラ1からフラッシュ調光装置2へ予備発光指示があり、フラッシュ調光装置2が予備発光する。被写体輝度をカメラ1のAEセンサーで測光し、それに応じた発光量をフラッシュ調光装置2のフラッシュ調光装置側信号ST1〜ST5にカメラ1のカメラ側信号CM1〜CM5から信号ラインを通じて伝達される。フラッシュ調光装置2は信号ラインの発光同期信号でカメラ1から求められた発光量を発光する。
【0015】
図2の回路で示すように、フラッシュ調光装置2のCPU制御部20に発光量を光度可変制御可能なフラット発光を行う放電管208と発光制御を行わせる回路216と発光駆動させる回路を備え、カメラから指示による予備発光を行い、その測光結果から小光量の要求の時、前記放電管208の光度を測定しある光度以上になると発光を停止させ、ある光度以下になると再度発光させる交番発光を光度測光センサー205及び206により、光度可変制御された一定の光度で発光制御が行われる。
【0016】
また、フラッシュ調光装置2をマニュアルモードのパワーレシオで使用する場合はフラッシュ調光装置2のフラッシュ調光装置側信号ST1〜ST5が求める発光量をカメラ1のカメラ側信号CM1〜CM5からの信号ラインを通じて伝達された発光信号で発光する。また、その発光量が小光量の場合は図2に示すフラット発光の発光制御回路システムで発光させる。
【0017】
図3はフラッシュ調光装置の発光駆動の様子を示した回路図である。発光駆動回路で図2に図示されている発光制御回路のFET201がONになるとF_GATE信号がLowになり、発光制御素子IGBT211がONする。そして、コンデンサCの電荷がトリガコイル212を流れることでトリガコイル212に高電圧が発生し、放電管208を発光させ発光光度が上昇し、測光回路の出力が所定のレベルに達すると図2に図示されているコンパレータ204が反転し、発光制御素子IGBT211が反転しOFFになる。
【0018】
発光が停止すると今度はコンパレータ204が再び反転し、F_GATE信号がLowとなり、発光駆動回路の発光制御素子IGBT211が再びONし、また、放電管208は発光され所定レベルに光度が達すると、コンパレータ204が反転し発光停止する。これを発光時間中繰り返すことにより放電管208を発光させる。これが交番発光である。
【0019】
光度を可変させるとコンパレータ204の入力に接続されている、DAコンバータ207の値で電圧を高くすると光度は大きくなり、電圧を低くすると光度は小さくなる。このようにして発光量を可変する。これは事前にフラッシュ調光装置の予備発光で得られた光量関数をCPU制御部20で演算した結果で制御される。
【0020】
図5は光度可変制御による光度と発光時間の関係を示したもので左側が発光量が大きい場合、右側が発光量が小さい場合の交番発光形態を示した図で、小発光量のステップは発光時間と光度の組み合わせで決定される。
【0021】
下記に示す表は所定の発光時間ではDA電圧を下げることによってGNが小さくなり、さらに発光時間を下げることにより小さな発光量が得られることを示している。
GN = 2 1.4 1 0.5
DA電圧値(mV)= 1000 200 2000 100
発光時間 = 300us 300us 100us 100us
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、フラッシュ調光装置2内に発光の光度を制御できる回路を有し発光光度制御手段を備え、特に小発光量を求められる近接撮影時の場合は、撮影された写真に光量ムラも露出オーバーもなく、これにより被写体光量に対して適正な露光が得られ、かつ見栄えの良好な写真を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るカメラとフラッシュ調光装置システムにおけるカメラとフラッシュ調光装置との接続関係を示す概略ブロック図である。
【図2】フラッシュ調光装置のフラット発光が可能な発光制御の様子を示した回路図である。
【図3】フラッシュ調光装置の発光駆動の様子を示した回路図である。
【図4】従来の発光制御による発光量カーブの様子を示した図である。
【図5】光度可変制御による光度と発光時間の関係を示したもので左側が発光量が大きい場合、右側が発光量が小さい場合の交番発光形態を示した図である。
【符号の説明】
【0024】
20 CPU制御部
205 光度測光センサー
206 光度測光センサー
208 放電管
216 発光制御を行わせる回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ外部に装着可能であって、発光放電管とこれを駆動させる回路と、発光量を計測する光度センサーとCPUを含む発光制御回路で構成されるフラッシュ調光装置において、前記発光放電管の発光光度を前記光度センサーで測定し、事前に設定する光度以上になると発光を停止させ、当該光度以下になると発光させることを繰り返す交番発光で発光量を制御させ、近接撮影における発光制御を可能にしたことを特徴とするフラッシュシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−308817(P2006−308817A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130634(P2005−130634)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000131326)株式会社シグマ (167)
【Fターム(参考)】