説明

フラッシュバックチャンバの視覚的向上

【課題】改良されたフラッシュバックチャンバの視覚的向上を提供する。
【解決手段】向上したフラッシュバック視覚化を備えた脈管アクセスのための医療用注入デバイスが記述され、上記デバイスは、フラッシュバックチャンバを有するハブアセンブリを含む。ハブアセンブリは、近位部分と、遠位部分と、上記近位部分と上記遠位部分との中間の実質的に透明な窓区間とを含む。針がフラッシュバックチャンバに結合され、その結果、針が血管に挿入された後、流体が針の管腔を通ってフラッシュクチャンバに流入する。コントラスト部材が上記ハブアセンブリの少なくとも一部分に配置され、その結果、血液がフラッシュバックチャンバに入るとき、コントラスト部材は、窓区間を通してみるとき、高いコントラスト背景を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年9月29日に出願され、参考として本明細書にその全容が援用された米国仮出願第60/848,250号からの優先権を請求する。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、例えば静脈内(IV)のカテーテルのような医療用注入またはアクセスデバイスに関し、さらに詳細には、静脈内カテーテルが患者の脈管構造または血管の中に挿入されるとき流体の視覚化が高められるチャンバを含む、脈管アクセスデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景の情報)
オーバーザニードル(over−the−needle)カテーテルまたはオーバーザニードルIVカテーテル(例えば2003年10月31日に出願されたCarlyonらへの特許文献1に記述されたような)は、患者の脈管構造への末梢静脈挿入のために使用される。使い捨ての医療品は、カテーテルを備えたカテーテルアダプタのアセンブリ、および針がカテーテルチューブを貫通するようにカテーテルアダプタに対して配列された針/ハブアセンブリとしてパッケージ化される。針はまた、カテーテルチューブの遠位先端を越えてわずかな距離を延び、それによって、カテーテルを挿入されるヒトまたは動物の皮膚を貫通するように鋭利な尖端を提供する。
【0004】
カテーテルを備えたカテーテルアダプタ、および針/ハブアセンブリが患者の脈管構造または血管に挿入された後、血液が脈管血圧により、中空の針の中を流れ、針ハブの中に入り、これは時々フラッシュバックと称される。通常、針ハブは、医療従事者が血液フラッシュバックの視覚インジケータを提供されるように配列、構成される。この視覚インジケータは、針の先端、したがってカテーテルチューブの遠位端が血管に配置されたことを表示するために使用される。一技術において、針ハブは、針と流体的に結合されたチャンバを含み、かつ少なくとも部分的に透明の材料から作られ、それによって、チャンバの中への血液のフラッシュバックが、医療従事者に視覚的に明らかとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0096592号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかるチャンバは透明であるが、これらのデバイスのフラッシュバックチャンバの中の血液は、例えば明るさの少ない状態または暗い背景のような特定の状況においては、時として視覚化が困難である。したがって、例えば向上したフラッシュバック視覚化を備えたIVカテーテルデバイスのような新しい脈管アクセスデバイスを提供することが望ましい。高いコントラスト背景を提供して、フラッシュバック可視性を最大にするようなデバイスを提供することが特に望ましい。明るさの少ない状況においてまたは黒い肌色を有する患者に対して使用されるとき、大きく改良されたフラッシュバック可視性を備えたフラッシュバックチャンバの血液または他の流体の早期の検出を容易にするデバイスを提供することがさらに望ましい。従来技術のデバイスと比較して、構造、製造および動作がそれほど複雑でないようなデバイスを提供することが望ましい。かかる方法は、ユーザが、かかるカテーテルデバイスを通常使用する者よりも高い技術を有することを要求しないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の概要)
本発明は、向上したフラッシュバック視覚化を備えた脈管アクセスのための医療用注入デバイスである。一実施形態において、デバイスは、フラッシュバックチャンバを有するハブアセンブリを含む。ハブアセンブリは、近位部分、遠位部分、および近位部分と遠位部分との間に配置された実質的に透明の窓区間を有する。管腔を含む針はフラッシュバックチャンバに結合され、それによって、例えば血液のような流体が、針が血管に挿入された後、針の管腔を通ってフラッシュバックチャンバに流入する。コントラスト部材がハブアセンブリの少なくとも一部分に配置され、それによって、血液がチャンバに入るとき、部材は、窓区間を通して見るとき、高いコントラスト背景を提供する。
【0008】
従来技術のデバイスと比較して、本発明は、構造、製造および動作において、複雑さのより少ないデバイスを提供する。本発明のこれらのおよび他の目的および利点は、以下の詳細な記述および請求項を読み、かつ添付の図面を参照すると明らかになる。
例えば、本願発明は以下を提供する。
(項目1)
向上したフラッシュバック視覚化を備えた脈管アクセスのための医療用注入デバイスであって、
近位部分、遠位部分、実質的に透明の窓区間およびフラッシュバックチャンバを有するハブアセンブリであって、上記窓区間は、上記近位部分と上記遠位部分との間に配置された、ハブアセンブリと、
針であって、近位端、遠位端ならびに上記針の中を通る管腔を有し、上記管腔は、上記フラッシュバックチャンバに流体結合され、流体が上記管腔を通って上記フラッシュバックチャンバに入ることを可能にする、針と、
コントラスト部材であって、上記ハブアセンブリの少なくとも一部分に配置され、それによって上記フラッシュバックチャンバの中の流体が、上記コントラスト部材を背景として上記実質的に透明の窓を通して見える、コントラスト部材と
を備えている、デバイス。
(項目2)
上記ハブアセンブリは、実質的に透明である、項目1に記載の医療用注入デバイス。
(項目3)
上記ハブアセンブリは、上記フラッシュバックチャンバに流体結合された出口をさらに含み、上記出口は、気体に対して透過性であり、液体に対しては実質的に不透過性であるように構成された、項目1と項目2のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
(項目4)
上記出口は、上記出口に配置された気体に対して透過性の部材を含む、項目3に記載の医療用注入デバイス。
(項目5)
上記ハブアセンブリは、上記ハブアセンブリの相対する側面の少なく1つに形成されたくぼんだへこみを含む、項目1〜項目4のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
(項目6)
上記コントラスト部材は、上記ハブアセンブリに固定された模様がつけられた部材である、項目1〜項目5のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
(項目7)
上記コントラスト部材は、上記ハブアセンブリに塗布された被覆である、項目1〜項目6のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
(項目8)
上記コントラスト部材は成形処理によって形成されている、項目1〜項目7のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
(項目9)
上記成形処理は、ツーショット射出成形である、項目8に記載の医療用注入デバイス。
(項目10)
上記成形処理は、オーバーモールディングである、項目8に記載の医療用注入デバイス。
(項目11)
上記ハブアセンブリは、上記針の近位端に結合されている、項目1〜項目10のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
(項目12)
向上したフラッシュバック視覚化を備えた医療用注入デバイスであって、
チャンバと、近位部分と、遠位部分と、上記近位部分と上記遠位部分との中間の実質的に透明な窓区間とを含むハブアセンブリであって、上記ハブアセンブリは、出口と上記出口のプラグとを含む含み、上記プラグを通って気体が外に出ることを可能にする、ハブアセンブリと、
針であって、上記チャンバに流体的に結合された管腔を含み、それによって流体が上記管腔を通って上記チャンバの中に入り得る、針と、
コントラスト部材であって、上記ハブアセンブリの少なくとも一部分に配置され、それによって上記チャンバの中の流体が、上記コントラスト部材を背景として上記窓を通して見え、ユーザに対してより容易に視覚化され、ツーショット射出成形処理によって形成される、コントラスト部材と
を備えている、デバイス。
(項目13)
向上したフラッシュバック視覚化を備えた医療用注入デバイスであって、
チャンバと、近位部分と、遠位部分と、上記近位部分と上記遠位部分との中間の実質的に透明な窓区間とを含むハブアセンブリであって、上記ハブアセンブリは、出口と上記出口のプラグとを含む含み、上記プラグを通って気体が外に出ることを可能にする、ハブアセンブリと、
針であって、上記チャンバに流体的に結合された管腔を有し、それによって流体が上記管腔を通って上記チャンバの中に入り得る、針と、
コントラスト部材であって、上記ハブアセンブリの少なくとも一部分に断続的に配置され、それによって上記チャンバの中の流体が、上記コントラスト部材を背景として上記窓を通して見え、ユーザに対してより容易に視覚化される、コントラスト部材と
を備えている、デバイス。
(項目14)
上記ハブアセンブリは、少なくとも2つの相対する側面に形成されたへこみを含み、ユーザによる改良された把持を可能にする、項目13に記載の医療用注入デバイス。
(項目15)
上記コントラスト部材は上記へこみに配置され、ツーショット射出成形によって形成される、項目1〜項目14のうちのいずれか一項に記載の医療用注入デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1−1】図1Aは、本開示の例示的な実施形態による医療用デバイスの斜視図である。図1Bは、図1Aに示される医療用デバイスの概略的な上面図である。図1Cは、図1Aに示される医療用デバイスの概略的な側面図である。
【図1−2】図1Dは、図1Aに示される医療用デバイスの分解斜視図である。
【図1−3】図1Eは、図1Bに示される医療用デバイスの分解上面図である。
【図2−1】図2Aは、本開示の例示的な実施形態による針の側面図である。図2Bは、図2Aに示された針の上面図である。図2Cは、図2Aに示された針の正面図である。図2Dは、図2Bの切断線2D−2Dに沿う、図2Bに示された針の断面図である。図2Eは、図2Bに示された区域2Eの拡大である。図2Fは、図2Bに示された区域2Fの拡大である。
【図2−2】図2Gは、カテーテルにスライド可能に取り付けられ、遠位端の近くに穿孔を備えた針の代替の例示的な実施形態の拡大斜視図である。図2Hは、図2Gの拡大図の断面図である。図2Iは、カテーテルにスライド可能に取り付けられ、針の外側および/またはカテーテルの内側に沿って波形を備えた針の代替の例示的な実施形態の拡大斜視図である。図2Jは、図2Iの拡大図の断面図である。
【図3−1】図3Aは、本開示の例示的な実施形態によるハブアセンブリの斜視図である。図3Bは、図3Aに示されたハブアセンブリの正面図である。図3Cは、図3Aに示されたハブアセンブリの上面図である。図3Dは、図3Aに示されたハブアセンブリの側面図である。
【図3−2】図3Eは、図3Cの切断線3E−3Eに沿う、図3Cに示されたハブアセンブリの断面図である。図3Fは、反時計回りに90度回転された、図3Bに示されたハブアセンブリの正面図である。図3Gは、図3Fの切断線3G−3Gに沿う、図3Fに示されたハブアセンブリの断面図である。
【図3H】図3Hは、図3Fの切断線3H−3Hに沿う、図3Fに示されたハブアセンブリの断面図である。
【図3−3】図3Iは、図3Aに示されたハブアセンブリの背面図である。図3Jは、針ハブが所定の位置にある、図3Aに示されたハブアセンブリの斜視図である。図3Kは、図3Jに示されたハブアセンブリの正面図である。図3Lは、図3Jに示されたハブアセンブリの上面図である。
【図3−4】図3Mは、図3Jに示されたハブアセンブリの側面図である。図3Nは、図3Mに示されたハブアセンブリの断面図である。図3Oは、図3Aに示されたハブアセンブリの背面図である。図3Pは、針ハブの斜視図である。
【図4】図4Aは、本発明の例示的な実施形態によるフィルタ筐体の斜視図である。図4Bは、図4Aに示されたフィルタ筐体の側面図である図4Cは、図4Aに示されたフィルタ筐体の背面図である。図4Dは、図4Cの切断線4D−4Dに沿う、図4Cに示されたフィルタ筐体の断面図である。図4Eは、本開示の例示的な実施形態によるフィルタプラグの斜視図である。
【図5−1】図5Aは、本開示の例示的な実施形態によるハブアセンブリの斜視図である。図5Bは、図5Aに示されたハブアセンブリの正面図である。図5Cは、図5Aに示されたハブアセンブリの上面図である。図5Dは、切断線B−Bに沿う、図5Cに示されたハブアセンブリの断面図である。
【図5−2】図5Eは、切断線A−Aに沿う、図5Cに示されたハブアセンブリの断面図である。図5Fは、図5Aに示されたハブアセンブリの側面図である。図5Gは、図5Aに示されたハブアセンブリの底面図である。図5Hは、図5Aに示されたハブアセンブリの背面図である。
【図5−3】図5Iは、反時計回りに90度回転された、図5Bに示されたハブアセンブリの正面図である。図5Jは、切断線E−Eに沿う、図5Iに示されたハブアセンブリの断面図である。図5Kは、切断線F−Fに沿う、図5Iに示されたハブアセンブリの断面図である。
【図5−4】図5Lは、切断線G−Gに沿う、図5Kに示されたハブアセンブリの断面図である。図5Mは、切断線H−Hに沿う、図5Kに示されたハブアセンブリの断面図である。図5Nは、図5Kに示されたハブアセンブリの一部分の拡大された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の性質および所望の目的をより完全に理解するために、添付の図面と共に以下の詳細な記述が参照され、同様な参照文字は、幾つかの図面をわたって、対応する部品を示す。
【0011】
(定義)
以下の定義は、以下の記述に対する便宜的な参照のためであり、限定的な態様で解釈されるべきではない。
【0012】
用語「近位の」は、デバイスがその通常の動作で使用されるとき、医療従事者に最も近く、デバイスが使用されている患者から最も遠い、論議されているデバイス、目的物もしくは部品の位置、または医療従事者の方に向かいかつ患者から離れる方向を意味し、これらを指すと理解されるべきである。
【0013】
用語「遠位の」は、デバイスがその通常の動作で使用されるとき、医療従事者から最も遠く、デバイスが使用されている患者に最も近い、論議されているデバイス、目的物もしくは部品の位置、または医療従事者から離れかつ患者の方に向かう方向を意味し、これらを指すと理解されるべきである。
【0014】
用語「医療従事者」は、臨床医、外科医、医療技術者、研究室技術者、看護師、臨床看護師、医師の助手、獣医および獣医助手、または医療用注入もしくはアクセスデバイスの使用に関係する他の者たちを概ね含むものと理解されるべきである。
【0015】
用語「患者」は、ヒトと動物の両方を含むと理解されるべきであり、また、医療用注入またはアクセスデバイスの使用に関係する病院、診療所、診察室、診断施設/研究室などで実行される外科的処置および診断的処置、医療的治療および/または他の技術/処置/治療を含むが、これらに限定されない医療的処置を受けているヒトまたは動物を含む。
【0016】
(詳細な説明)
本開示は、その最も広い局面において、向上したフラッシュバック視覚化を備えた脈管アクセスデバイスおよびかかるデバイスを使用する方法を特徴とする。向上したフラッシュバック視覚化を備えたデバイスおよびかかるデバイスを使用する方法の例示的な実施形態が、例えば注入デバイス、オーバーザニードルカテーテル、患者に対して流体を投与するために使用される他のカテーテルおよび供給チューブのような医療用アクセスデバイスの観点から論議される。かかるデバイスが、薬物の注入および患者の治療のための広く様々な医療用デバイスに対して使用されるように適合されることが想定され、したがって本発明の範囲内である。本発明は、瀉血穿刺、消化器の穿刺、腸管の穿刺、尿および腰椎の穿刺に関する処置の間に収集された身体流体を含む身体流体の収集のために使用されることも想定される。例えば上面、底面、左、右、上、および下のような本明細書の相対的な記述は、図に対するものであり、したがって限定する意味に解釈されるべきではない。
【0017】
図1A〜図1Eを参照して、本開示の例示的な実施形態による向上したフラッシュバック視覚化を有する脈管アクセスデバイス10が示される。上記のように、脈管アクセスデバイス10は、医療従事者が、血液フラッシュバックをより容易に視覚化し、患者の血管(例えば静脈または動脈)にカテーテルを正しく配置するようにすることを可能にする。脈管アクセスデバイス10は、近位端14、遠位端16を有し、管腔18を画定するカテーテル12を含む。近位端22および遠位端24を有する針20は、カテーテル12の管腔18にスライド可能に取り付けられる。
【0018】
ここで図2A〜図2Fを参照して、針20の遠位端24は、鋭利にされて尖端26となり、尖端26は、カテーテル12の遠位端16を過ぎてわずかな距離突出する(図1C)。鋭利な尖端26は、患者の皮膚および血管を刺し、カテーテル12の遠位端24が、患者の血管の中に挿入されることを可能にする。針20は、遠位の開口部30から近位の開口部34まで延びる管腔28を含む。針20は、遠位の開口部30に近いが、これから間隔を置いて離されたノッチ開口部32(図2E)も画定する。針20の遠位端24を患者の血管の中に挿入すると、血液が遠位の開口部30に流入し、管腔28を通って上に上がり、次にノッチ開口部32および近位の開口部34を通って外に出る。ノッチ開口部32を出る血液は、針20とカテーテル12との間の環状のスペース(図示されず)に流入する。環状のスペースの中に入る血液は、血管が刺されたという早期の表示を医療従事者に提供する。
【0019】
ここで図2Gおよび図2Hも参照して、血管が刺されたという早期の表示を医療従事者に提供する代替の例示的な実施形態が示される。この例示的な実施形態において、カテーテル12の遠位端16は、カテーテル12の壁を貫通する穿孔80を含み、穿孔80は、カテーテル12の外の流体が、針20とカテーテル12との間の環状のスペース82と流体連通するようにされることを可能にする。したがって、カテーテルの遠位端16が血管内に位置するとき、血液は穿孔80を通って環状のスペース82に流入する。
【0020】
ここで図2Iおよび図2Jも参照して、さらに別の代替の例示的な実施形態が示される。この実施形態は、血管が刺されたという早期の表示を医療従事者に提供する実施形態である。この例示的な実施形態において、バンプまたは波形84は、針20の外面および/またはカテーテル12の内面に提供され、それによって血管と環状のスペース82との間に流路が確立され、それによって流体が、環状スペース82に流入することを可能にする。他の作成技術も、血管が刺されたという早期の表示を提供するために適切であることは、当業者に明らかである。
【0021】
針20は、例えば、胸腔穿刺針、Veress針、またはHuber針を含む任意のタイプの針であり得ることが考えられる。針20は、約14〜26ゲージを含むがこれに限定されない範囲のサイズのステンレス鋼から作成され得るが、特定の用途の要件に依存して、より小さなまたはより大きなサイズが使用され得ることが想定される。針20はまた、様々な長さで、例えば約2.2〜3.6インチで提供され得るが、より短いまたはより長い長さも想定される。
【0022】
針20の近位端22は、ハブアセンブリ36(図1A)に接続される。ここで、図3A〜図3Pを参照して、ハブアセンブリ36は一般に、断面が長方形であり、2つの側面70、72、上面74および底面76を有し、窓区間42を含む。ハブアセンブリ36は、針ハブ40(図3P)をさらに含み、針ハブ40は、針20の近位端22をハブアセンブリ36に選択的に固定するように適合される。針ハブ40は、空洞またはフラッシュバックチャンバ38を含む。針20は、針ハブ40の入口43を通って受け入れられ、フラッシュバックチャンバ38(図3N)と流体的に結合される。針20(図1D)の近位端22は、フラッシュバックチャンバ38の中に約0.0〜2.0ミリメータ突出するが、より大きな突出も受容可能であることが想定される。医療従事者が、血管の中に針20を挿入するとき、血液は遠位の開口部30に流入し、管腔28を通って上に上がり、次に近位の開口部34を通ってフラッシュバックチャンバ38の中に入る。結果として、医療従事者は、フラッシュバックチャンバ38に入る血液を窓区間42を通して視覚化し得、針20が正しく血管に配置されたという視覚表示が提供される。窓区間42は、フラッシュバックチャンバ38の中の血液を拡大するように凸面、または湾曲し得ることも想定される。
【0023】
針ハブ40を含むハブアセンブリ36は、例えば半硬質の重合体および硬質の重合体、ならびに成形された医療グレードのポリプロピレンのような弾力的材料のような医療的用途に対して適切な材料から作成される。ハブアセンブリ36は、透明な(または澄んだ)生体適合性のあるプラスチックから作成され得、その結果、血液がフラッシュバックチャンバ38の中に入るとき、血液は医療従事者によって容易に視覚化され得ることも想定される。当業者は、他の材料および作成方法も適切であることを悟る。ハブアセンブリ36の窓区間42が透明、または実質的に透明であり、その結果、フラッシュバックチャンバ38の中の血液フラッシュバックが容易に視覚化される場合、ハブアセンブリ36は、半透明であるか、透光性、または不透明でもあり得る。
【0024】
ここで図4A〜図4Eを参照して、ハブアセンブリ36(図1D)は、フィルタ筐体46をさらに含む。フィルタ筐体46は概ね管状であり、出口48を画定し、出口48は、フラッシュバックチャンバ38と流体結合し、そこから空気が逃れることを可能にする。例示的な実施形態において、フィルタ筐体46は、出口48に配置されたフィルタプラグ52(図4E)を含む。フィルタプラグ52は、空気は通すが、例えば血液のような液体に対しては不透過性か、または半不透過性であり、その結果、血液はフラッシュバックチャンバ38の外に漏れ出すことから防止される、当技術分野で公知の多くの材料から作られ得る。図示のように、フィルタ筐体46は管状であるが、任意の特定の用途の要件に依存して、他の形状およびサイズが当業者に明らかである。ハブアセンブリ36全体は、一個部品、または複数の構成要素で作成され得ることが想定され、したがって本開示の範囲内である。複数の構成要素、例えばハンドル、針ハブおよびフィルタ筐体は組み立てられ、機械的な締め具、熱溶接または超音波溶接、接着剤、または当業者に公知の他の手段または技術によって結合される。複数の構成要素ハブアセンブリ36は、例えば様々なサイズのIVカテーテルを製造するより簡単かつより柔軟な方法を含む多くの利点を提供する。
【0025】
任意の数の構造またはデバイスが、液体に対しては不透過性または半不透過性であり、気体に対しては透過性があるバリアを作成するために使用され得ることは当業者に明らかであるとおり、前述は例示であり、限定するものではない。例えば、フィルタ筐体の出口48は、蓋で覆われ得、出口48を蓋で覆うメカニズムは、複数の通しアパーチャを含み得、これら複数の通しアパーチャは、上述の所望の気体透過性/液体不透過性特性を有するような大きさとされる。
【0026】
ここで図5A〜図5Nを参照して、コントラスト部材54がハブアセンブリ36に配置され得、高いコントラスト背景を提供し、フラッシュバックチャンバ38の中の血液または他の身体流体の検出および可視性を向上させ得る。このコントラスト部材54は、例えばフラッシュバックチャンバ38の血液のより早い、より容易な、かつより決定的な検出を含む多くの利点を提供する。フラッシュバックチャンバの血液の視覚化は、針20の遠位端24、したがってカテーテル12の遠位端16が患者の血管を貫通したという表示を医療従事者に提供する。例示的な実施形態において、コントラスト部材54は、不透明であり、かつ白く、ハブアセンブリ36に均一に配置されている。フラッシュバックチャンバ38に現れるタイプの流体に対して効果的な背景を提供するように、コントラスト部材54の色、透明性、反射率、および範囲が概ね選択されることは想定され、したがって本開示の範囲内である。
【0027】
ハブアセンブリ36は、相対する側面70、72の1つまたは相対する両側面70、72に形成されたくぼんだ領域またはへこみ56を含み、医療従事者による指の配置を可能にする。コントラスト部材54は、ハブアセンブリ36の両へこみ56、および底面76に実質的に配置される。図5Fに示されるように、コントラスト部材54は、交互に凸部分60および凹部分62をさらに含み、医療従事者に対してより確実な把持表面または把持を提供する。さらなる実施形態において、コントラスト部材54は、ハブアセンブリ36の任意の部分に配置され得る。コントラスト部材54のさらなる例およびパターンは、当業者に明らかである。
【0028】
一実施形態において、コントラスト部材54は、医療従事者の視線と相対するハブアセンブリ36の少なくとも一部分に配置され、それによって、窓区間42を通して見るとき、コントラスト部材54は様々な視角での所望のコントラストを提供する。例示された実施形態において、医療従事者は、医療用デバイスを患者の中に挿入するとき、ハブアセンブリ36のへこみ56に親指および指を配置する。医療従事者は次に、ハブアセンブリ36の窓区間42を通してフラッシュバックチャンバ38を視覚化し得る。
【0029】
特定の実施形態において、コントラスト部材54は、ハブアセンブリ36と一体構造の部分であるか、またはその表面に固定/塗布される。例えば成形、射出成形、ツーショット成形、塗装、塗装および接着ラベルを含む多数の材料および作成技術が、当業者に明らかである。成形された材料が高いコントラスト背景を提供するために十分な、透光性または不透明な領域を有するような処理を、かかる作成技術が含むことは想定されており、したがって本開示の範囲内である。コントラスト部材54は、分離した構成要素部分(例えば成形された部分)であり、これがハブアセンブリ36に固定されることも想定される。分離したコントラスト部材54は、例えばスナップオン、機械的締め付け、熱溶接、振動溶接、超音波溶接、または接着剤による接着を含む任意の多くの方法でハブアセンブリ36に固定され得ることは、当業者に明らかである。
【0030】
ハブアセンブリ36および/または針ハブ40の1つ以上の表面は、コントラスト表面を作成する表面仕上げを提供するために、処理または加工(例えば化学エッチング、サンドブラスト)され得ることも想定される。さらなる実施形態において、かかる表面仕上げまたは処理は、適切な製造技術(例えば、その部分がきめのある透光性表面で形成されるようにするために、きめのある表面を含むモールドを使用してその部分を成形すること)の使用によって達成される。
【0031】
代替の実施形態において、コントラスト部材は、ハブアセンブリ36に断続的に配置され得る(例えば、コントラスト部材は凹区間62を、相互連結することなく凸区間60で形成され得る)。コントラスト部材の断続する区間は、ハブアセンブリ36の表面から高くされ、医療従事者に対してより確実な把持を提供し得る。医療用デバイス10を患者の中に挿入するとき、医療従事者は時として、ハブアセンブリ36の上面74および底面76に親指または指を配置する。この代替の実施形態において、コントラスト部材の断続する区間は、医療従事者が、交互するハブアセンブリ36の透明な領域とコントラスト部材の不透明な領域とを通して、フラッシュバックチャンバ38に入る血液を視覚化することを可能にする。
【0032】
動作において、医療従事者は、ハブアセンブリ36のへこみ56に親指および指を置くことによって脈管アクセスデバイス10を把持し、針20の鋭利な尖端26を患者の血管に挿入する。一旦、針20の遠位端24が血管を刺すと、少なくとも毛細管作用および/または脈管圧により血液が管腔28に流入し始める。血液は最初に、ノッチ開口部32、穿孔80、または波形84を通って針20とカテーテル12との間の環状のスペース82に流入し、血管が刺されたという早期の表示を医療従事者に提供する。針20の遠位端24およびカテーテル12の遠位端16が、血管の正しい場所にさらに挿入されるとき、脈管血圧が、血液を針の管腔を通って上に押し上げ、結局、血液は針20の近位端22から出てフラッシュバックチャンバ38の中に入る。フラッシュバックチャンバ38の中の空気もフィルタプラグ52を通り、例えば血液がフラッシュバックチャンバに流入することを容易にする。フィルタプラッグ52は、例えば血液のような液体に対して不透過性であり、血液は、フラッシュバックチャンバ38から漏れ出すことから防止される。
【0033】
従来のデバイスに見られるように、患者が打撲傷を負っているかまたは肌の色が黒い場合、最小のコントラストにより暗くなり得る患者の皮膚のような他の背景の代わりに、医療従事者は、血液がフラッシュバックチャンバ38に入るとき、窓42を通してコントラスト部材54を背景にして血液を視覚化する。さらに、血液の視覚化は、針ハブ40(図3P)の近位の領域を通して見ることによって提供され得、針ハブ40の近位の領域は、窓区間40を越えて近位方向に延びる。したがって、医療従事者には、カテーテル12が血管の中に正しく配置されたという視覚表示が提供される。
【0034】
開示の実施形態が、特定の用語を使用して記述されたが、かかる記述は例示的な目的のみのためであり、下記の請求項の精神または範囲から逸脱することなく変更および変形がなされ得ることが理解される。
【0035】
(参考としての援用)
本明細書に引用されたすべての特許、公開された特許出願および他の参考文献の全内容が、その全容において、参考として本明細書に明確に援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【公開番号】特開2013−9987(P2013−9987A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−200416(P2012−200416)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【分割の表示】特願2009−530451(P2009−530451)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】