説明

フラッシュパネル

【課題】使用時の品質性能を十分に維持しつつ、リサイクル性の向上や廃棄処分の適正化による環境負荷の低減等が有利に図られ得るフラッシュパネルを提供する。
【解決手段】枠体10を挟むように、その両側の面に、複数の紙26が互いに積層されて接着された積層紙からなる補強板20をそれぞれ接着すると共に、該補強板20の枠体10側とは反対側の面に、合成樹脂製の化粧板18を接着して、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュパネルに係り、特に、枠体(枠組)の両側の面に、合成樹脂製の化粧板が、補強板を介して接着されてなるフラッシュパネルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造パネルの一種として、木製の角材等を縦横に組み立ててなる枠体の両側の面に、面板が、枠体を挟むように、接着剤等を用いて貼り付けられて形成された、所謂フラッシュパネルが知られている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。このフラッシュパネルは、軽量で且つ安価であるところから、住宅の壁パネルや天井パネル、ドアパネル、或いは家具や調度品の構成パネルや扉パネル等として、広く使用されている。
【0003】
また、それらの用途に使用されるフラッシュパネルには、面板の意匠面を与える合成樹脂製の薄肉の化粧板と、この化粧板の意匠面側とは反対側の面に接着されて、化粧板を補強する補強板とからなる複層構造をもって、面板が構成されたものがある。このようなフラッシュパネルにおいては、化粧板を補強する補強板として、一般に、合板やパーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板が用いられている。
【0004】
ところで、近年では、環境保全に対する意識の急速な高まりから、様々な分野の各種の製品に対して、全体的に又は部分的にリサイクルが可能であること、或いは全体を廃棄する場合にも、材質の異なる部材が容易に分離(分別)されて、適正な廃棄処分が簡単に行われ得るようになっていることが、要求されてきている。そして、そのような環境保全を意識した様々な要求を満たし得ることが、製品の価値を有利に高めて、販売促進に大きく寄与する状況となっている。
【0005】
かかる状況下、化粧板が合成樹脂製であるようなフラッシュパネルにあっても、上記の如きリサイクル性の向上や廃棄処分の適正化による環境負荷の低減等を図る上から、使用済みとなったときに、合成樹脂製の化粧板が、例えば木質板等からなる補強板から容易に剥離されて、分離され得るようになっていることが望ましい。しかしながら、従来のフラッシュパネルは、使用中での化粧板の補強板からの剥離による品質低下を防ぐために、化粧板が補強板に対して強固に接着されている。それ故、そのような従来のフラッシュパネルでは、上記の如き環境保全を意識した各種の要求を満足させることが、極めて困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−253014号公報
【特許文献2】特開平10−119005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、枠体の両側の面に、補強板と合成樹脂製の化粧板とが、補強板を内側にして、相互に接着されてなるフラッシュパネルにおいて、使用中での化粧板の補強板からの剥離を十分に防ぎ得る一方で、使用済みとなったとき等に、化粧板が補強板から比較的に容易に剥離可能とされていることにより、使用時の品質性能を十分に維持しつつ、リサイクル性の向上や廃棄処分の適正化による環境負荷の低減等が有利に実現され得るようにした新規な構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
本発明の要旨とするところは、枠体を挟むように、その両側の面に、補強板がそれぞれ接着されると共に、該補強板の枠体側とは反対側の面に、合成樹脂製の化粧板が接着されてなる構造のフラッシュパネルにおいて、前記補強板を、複数の紙が互いに積層されて接着された積層紙にて構成したことを特徴とするフラッシュパネルにある。
【0010】
このような本発明に従うフラッシュパネルにおいては、前記補強板を構成する前記積層紙が、再生紙を用いて形成されていることが望ましい。
【0011】
また、本発明にあっては、有利には、前記枠体の両面に接着された二つの補強板の対向面間に、ペーパーハニカムからなる芯材が配置されて、それら二つの補強板の対向面に対して、該芯材がそれぞれ接着される。
【0012】
さらに、本発明においては、前記枠体が、集成材を用いて形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明に従うフラッシュパネルにあっては、化粧板を補強板に接着する接着剤として、従来のフラッシュパネルと同様に、それら化粧板と補強板とを強固に接着可能な接着剤を用いることが出来る。このため、化粧板の補強板に対する接着強度を、従来品と同等の大きさと為すことが出来、以て、通常の使用状態において、化粧板の補強板からの無用な剥離が、有利に防止され得る。
【0014】
そして、本発明に係るフラッシュパネルにおいては、特に、補強板が積層紙(板紙)にて構成されているところから、化粧板に対して、それを補強板から無理に剥離させるような力を加えると、補強板を構成する積層紙の互いに積層された紙同士の間で層間剥離が生ずる。このため、化粧板に対して所定の引き剥がし力を加えることで、化粧板を補強板から比較的に容易に剥がすことが出来る。
【0015】
それ故、本発明に従うフラッシュパネルでは、使用中における化粧板の補強板からの剥離による品質低下が有効に防止され得る一方で、例えば、化粧板が汚れや損傷により使用に耐えなくなったとき等に、化粧板だけを新しいものに取り替えて、枠体や補強板をそのまま有効利用することが出来る。また、全体を廃棄処分する場合には、例えば木質板からなる補強板と合成樹脂製の化粧板等、材質の異なる部材を容易に分別廃棄することが出来る。
【0016】
従って、かくの如き本発明に従うフラッシュパネルにあっては、使用時の品質性能を十分に維持しつつ、リサイクル性の向上や廃棄処分の適正化による環境負荷の低減等が有利に実現され得る。そして、それにより、環境保全を意識した様々な要求を、全て十分に満足させることが可能となって、販売促進に直結する製品価値の向上が極めて有利に達成され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従うフラッシュパネルの一実施形態を示す正面説明図である。
【図2】図1のII−II断面における部分拡大説明図である。
【図3】図2のIII−III断面説明図である。
【図4】図2のIV部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0019】
先ず、図1には、本発明に従うフラッシュパネルの一実施形態の正面形態が示され、また図2には、その縦断面形態が、更に図3には、その横断面形態が、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のフラッシュパネルは、枠体10の両側の面に、枠体10を間に挟むようにして、面板12がそれぞれ1枚ずつ貼り付けられてなる、従来と同様な基本構造を有している。また、枠体10の内側における2枚の面板12の対向面間には、芯材14が配置されており、この芯材14は、2枚の面板12,12のそれぞれの対向面に接着されている。
【0020】
より具体的には、図1及び図2に示されるように、枠体10は、全体として矩形の枠形態を有しており、断面矩形形状を呈する4個の長手の枠組材16,16,16,16が、全体として矩形形状を呈するように組み付けられ、互いに接着されることによって形成されている。この枠体10を形成する枠組材16としては、木質材料からなるものの他、合成樹脂材料や軽金属材料等からなるものも用いられ得る。
【0021】
本実施形態では、枠組材16として、木質材料からなる角材、その中でも、比重の小さな杉の集成材が用いられている。これにより、枠組材16が無垢の角材からなる場合に比して、枠体10、ひいてはフラッシュパネル全体の軽量化が有利に達成され得るだけでなく、枠体10の反りの発生、更にはそれに起因するフラッシュパネル全体の反りの発生が、効果的に防止され得る。しかも、杉の間伐材等、本来、廃棄されるべき杉のひき板や小角材の有効利用が、有利に実現され得る。
【0022】
なお、枠体10の厚さ(図2にT1 にて示される寸法)は、フラッシュパネルの用途に応じた必要厚さに基づいて適宜に決定されるところであるが、一般には、9〜50mm程度とされる。枠組材16同士を接着する接着剤も、特に限定されるものではなく、従来より公知のものが、枠組材16の材質等に応じて適宜に選択されて、使用される。
【0023】
図2及び図3に示されるように、枠体10の内側に配置された芯材14は、紙製のハニカム構造体たる、公知のペーパーハニカムからなっている。ここでは、このペーパーハニカムからなる芯材14が、段ボール原紙等の再生紙を用いて形成されている。そのような芯材14が、枠体10の内側において、ペーパーハニカムの六角セルを枠体10の両面側に向かってそれぞれ開口させた状態で、配置されている。
【0024】
一方、図1及び図2に示されるように、2枚の面板12,12は、何れも、矩形平板形態を呈し、化粧板18と補強板20とが、前者を表面側に、後者を裏面側に、それぞれ位置させるように、互いに積層されて、接着された複層構造を有している。
【0025】
この面板12の表面を形成する化粧板18は、合成樹脂製で、薄肉の矩形平板からなっている。具体的には、例えば、メラミン樹脂化粧板やポリエステル樹脂化粧板、ポリ塩化ビニル樹脂化粧板、ポリオレフィン系樹脂化粧板等の公知の熱硬化性樹脂化粧板或いは熱可塑性樹脂化粧板等にて、化粧板18が構成されている。化粧板18の内部には、所定の印刷が施された化粧紙が埋設されており、そのような化粧紙の印刷面が、化粧板18の表面において視認可能となっている。これにより、化粧板18の表面が、所定の意匠を有する意匠面22とされている。この化粧板18の厚さ(図4にT2 にて示される寸法)は、一般に、0.8〜1.2mm程度とされるが、その厚さは、特に限定されるものではなく、意匠面22の化粧板18の平滑性を確保し得ると共に、重量を無用に増大させない程度の範囲内にいて、適宜に決定される。
【0026】
一方、面板12の裏面を形成する補強板20は、化粧板18と同一の大きさの矩形平板からなり、その厚さが、化粧板18よりも十分に厚くされている。これによって、補強板20の強度が、化粧板18よりも大きくされている。そして、図4に示されるように、かかる補強板20が、化粧板18の意匠面22側とは反対側の裏面に対して、化粧板18との間に形成された接着剤層24により接着されており、それによって、面板12が形成されている。
【0027】
かくして、面板12が、化粧板18の意匠面22にて形成された表面と、補強板20の強度に由来する十分に大きな強度(曲げ剛性)とを有して、構成されている。なお、化粧板18と補強板20とを接着する接着剤層24を形成する接着剤には、従来と同様に、例えば、酢酸ビニル系、ゴム系、アクリル系等のエマルジョン型接着剤や各種のホットメルト型接着剤等が用いられる。
【0028】
そして、本実施形態では、化粧板18に接着された補強板20が、従来のフラッシュパネルには見られない特別な構造を有しているのである。
【0029】
すなわち、図4に示されるように、補強板20は、従来品において用いられる合板やパーティクルボード、MDF等とは異なって、複数枚(ここでは5枚)の紙26が、それぞれ、接着剤層28を介して、互いに重ね合わされるように積層されて、各接着剤層28により相互に接着された積層紙にて、構成されている。また、そのような補強板20を構成する複数枚の紙26は、何れも、再生紙からなっている。つまり、ここでは、積層紙からなる補強板20として、例えば、段ボール原紙が用いられているのである。なお、補強板20を構成する、再生紙を用いて形成された積層紙には、段ボール原紙以外にも、例えば、従来より公知の紙器用板紙や建材原紙等のうち、2層以上の紙層同士が接着されてなる板紙等が使用可能である。
【0030】
補強板20全体の厚さ(図4にT3 にて示される寸法)は、特に限定されるものではないものの、0.6〜2.5mm程度とされていることが望ましい。何故なら、補強板20の厚さが、0.6mm未満である場合には、補強板20が余りに薄いために、強度不足が生ずるだけでなく、表面の平滑性が低下し、それが化粧板18、ひいては面板12の平滑性にも悪影響を及ぼすからである。また、補強板20の厚さが2.5mmを越える厚さとされている場合には、補強板20が必要以上に厚くなって、面板12の重量の増加を招くこととなるからである。
【0031】
補強板20を構成する紙26の積層枚数や厚さ(図4にT4 にて示される寸法)は、補強板20において必要とされる強度の大きさや補強板20全体の必要厚さ等に応じて適宜に決定されるところであるが、一般には、積層枚数が、通常、2〜10枚程度とされ、また、紙26の厚さは、補強板20の全体厚さと紙26の積層枚数とに応じて、適宜に選定される。紙26の積層枚数の好適範囲が10枚以内とされるのは、紙26を10枚を超える多数枚において積層する場合、補強板20の製作に手間が掛かるといった不具合が生ずる恐れがあるからである。
【0032】
なお、補強板20を構成する紙26の密度は、0.79〜0.83g/cm3 の範囲内の値とされていることが、望ましい。何故なら、かかる密度が0.79g/cm3 未満であると、複数の紙20を積層し、加圧接着して、補強板20を作製する際や、作製された補強板20と化粧板18とを積層し、加圧接着して、面板12を作製する際に、積層された複数の紙20が部分的に凹んでしまい、それによって、作製されるべき補強板20や面板12の平滑性が低下する恐れがあるからである。また、0.79g/cm3 未満の密度を有する紙20は、その強度が小さくなってしまうため、そのような強度の小さな紙20の積層紙からなる補強板20を、互いに積層される2枚の紙20,20同士の間で剥離させるときに、それら互いに積層される2枚の紙20,20同士の間だけにおいて剥離させることが出来ずに、かかる2枚の紙20,20だけでなく、それらに対して更に積層される紙20も一緒に破れてしまい、その結果、美麗な剥離面を得ることが難しくなるからである。そして、そうなった場合には、例えば、フラッシュパネルから面板12を、一旦剥がして、新しい面板12と取り替えたときに、面板12の平滑性が低下したり、接着性が低下したりする危惧が生ずることとなる。一方、補強板20を構成する紙26が0.83g/cm3 の密度を超える場合には、補強板20、更には面板12の重量が必要以上に大きくなるといった不具合を生じる恐れがあるため、かかる紙26の密度は、0.83g/cm3 以下とされていることが、望ましいのである。
【0033】
そして、補強板20を構成する積層紙は、適度な層間剥離性(紙間剥離性)を有している必要がある。具体的には、補強板20は、フラッシュパネルの通常の使用状態において、互いに積層される紙26同士の間で、自然に層間剥離が生ずることがないものの、例えば、所定の引き剥がし力をもって化粧板18を補強板20から引き剥がしたときに、化粧板18が補強板20から剥離する(分離する)よりも前に、互いに積層される紙26同士が剥離する程度の層間剥離性を具備していなければならない。つまり、補強板20は、それを構成する複数の紙26同士の間の剥離強度が、補強板20と化粧板18との間の剥離強度よりも小さくされている必要がある。
【0034】
従って、補強板20の層間剥離強度(J.TAPPI−No.54に基づき、インターナルボンドテスターを用いて測定したときの値)は、500〜650kPa程度であることが、望ましい。これにより、上記の如く、化粧板18に対して、それを補強板20から引き剥がす力を無理に加えたときに限って、化粧板18が補強板20から剥離される前に、互いに積層される紙26同士の間で、剥離され得るようになる。また、補強板20の作製中にも、互いに積層される紙26同士が無用に剥離してしまうようなことも、有利に回避され得る。
【0035】
なお、補強板20が上記の如き層間剥離強度を具備するためには、紙26同士の間に介装された接着剤層28を形成する接着剤が、補強板20と化粧板18との間に介装される接着剤層24を形成する接着剤よりも、接着力が小さいものであることが、好ましい。その点からして、紙26同士の間に介装された接着剤層28を形成する接着剤としては、例えば、天然系接着剤や、ポリビニルアルコール系接着剤、水溶性高分子系接着剤等、板紙を作製する際等において一般に用いられる接着剤が、好適に用いられる。また、補強板20を構成する紙26は、吸水率が大きいものであると、接着剤が多く染み込むようになり、それが、平滑性を低下させる原因ともなる。それ故、紙26は、比較的に吸水率の低く、耐水性を有するものであることが、望ましい。
【0036】
そして、図2及び図4に示されるように、上記の如き化粧板18と補強板20との積層体からなる2枚の面板12,12が、補強板20側を内側にして、枠体10と芯材14とを間に挟んだ両側に配置されている。また、そのような配置状態下で、枠体10の厚さ方向両側の端面と各補強板20との間や、芯材14の高さ方向両側の開口端面と各補強板20との間には、接着剤層30が介装されている(図4には、枠体10と補強材20との間に接着剤層30が介装された状態のみを示した)。そして、それら枠体10及び芯材14と各面板12の補強板20とが、かかる接着剤層30にて接着されており、以て、フラッシュパネルが形成されているのである。なお、面板12の補強板20と枠体10及び芯材14との間に介装される接着剤層30を形成する接着剤としては、補強板20と化粧板18とを接着するのに使用される前記した接着剤と同一の種類のものが、一般的に使用される。
【0037】
ところで、かくの如き構造を有する本実施形態のフラッシュパネルを作製する際には、例えば、先ず、補強板20として、目的とするフラッシュパネルの表面と同一の大きさを有する段ボール原紙を2枚準備する。また、その一方で、合成樹脂製で且つ補強板20と同一の大きさを有するメラミン樹脂化粧板等の化粧板18を、従来より公知の手法により作製する等して、2枚準備する。そして、準備された各補強板20に対して、化粧板18を、意匠面22側とは反対側の面においてそれぞれ接着する。それにより、2枚の面板12,12を作製する。
【0038】
また、それとは別に、段ボール原紙等の再生紙を用いて、ペーパーハニカムからなる芯材14を作製する等して、準備する。更に、所定長さを有する4本の枠組材16,16,16,16を、矩形状に組み立てて、互いに接着することにより、枠体10を作製する。
【0039】
そして、それら準備された部材を用いて、従来のフラッシュパネルの製造工程と同一の工程を行うことにより、目的とするフラッシュパネルが作製される。即ち、先ず、枠体10の厚さ方向両側の面と、ペーパーハニカムからなる芯材14の両側開口部の端面とに対して、前記せる如き接着剤からなる接着剤層30を、公知の手法により形成する。次いで、1枚の面板12における補強板20の化粧板18側とは反対側の面の外周部に、枠体10を、接着剤層30が形成された厚さ方向一方の面において、接着剤層30を介して載置すると共に、かかる面板12における枠体10の配置面の中央部に、ペーパーハニカムからなる芯材14を、接着剤層30が形成された一方の開口側端面において、接着剤層30を介して、配置する。その後、別の1枚の面板12を、枠体10と芯材14の上側に、それらの下側に位置する面板12と同様な状態で配置する。これにより、枠体10と、その内側に位置する芯材14とを間に挟んだ両側に、2枚の面板12,12を互いに対向させた状態で配置する。
【0040】
そして、その後、2枚の面板12,12を挟み付けるように両側からプレスして、枠体10及び芯材14と2枚の面板12とを接着する。これにより、目的とするフラッシュパネルを得るのである。なお、枠体10及び芯材14と2枚の面板12との間に介装された接着剤層30が、ホットメルト型接着剤を用いて形成されている場合には、2枚の面板12,12をプレスする際に、各面板12が所定温度にまで加熱される。
【0041】
かくして作製される本実施形態のフラッシュパネルにあっては、各面板12の化粧板18が、補強板20に対して強固に接着されて、通常の使用状態では、化粧板18が補強板20から容易には剥離しないようになっている一方、化粧板18に対して、それを補強板20から無理矢理に引き剥がすように力を加えると、補強板20において層間剥離が生じて、化粧板18が、補強板20から比較的に容易に分離され得るようになっている。
【0042】
従って、このようなフラッシュパネルにおいては、使用中での化粧板18の補強板20からの剥離が防止される良好な品質が安定的に確保され得る。そして、その一方で、例えば、化粧板18が汚れや損傷により使用に耐えなくなったとき、或いは化粧板18の意匠を変更したいとき等に、化粧板18を補強板20から無理に引き剥がして、新しいものや所望の意匠を有するものに取り替えることが出来、それによって、枠体10や芯材14、補強板20を廃棄することなしに、それらの有効利用が図られ得る。また、フラッシュパネル全体を廃棄処分する場合にあっても、可燃性廃棄物として処理されるべき、木質材料からなる枠体10及び紙製の芯材14や補強板20と、不燃性廃棄物として処理されるべき合成樹脂製の化粧板18とを、容易に分別して、廃棄することが出来る。
【0043】
従って、かくの如き本実施形態のフラッシュパネルにあっては、使用時の品質性能を十分に確保しつつ、リサイクル性の向上や廃棄処分の適正化による環境負荷の低減等が有利に実現され得る。また、意匠の変更要求に対しても、柔軟に対応可能となる。そして、それにより、環境保全に大いに貢献し得る製品として、或いは容易にデザイン変更が可能な製品として、販売促進に直結する製品価値が、極めて有利に高められ得るのである。
【0044】
また、本実施形態のフラッシュパネルにおいては、枠体10が集成材からなると共に、芯材14と面板12の補強板20とが再生紙を用いて形成されて、廃棄物の有効利用が図られている。これによっても、環境に配慮した、所謂エコ製品としての価値が有利に高められている。
【0045】
さらに、かかるフラッシュパネルでは、2枚の面板12,12間に、ペーパーハニカムからなる芯材14が配置されている。それ故、補強板20が紙製であるために、フラッシュパネル全体の強度が、例えば、合板等からなる補強板を有する従来のフラッシュパネルよりも極端に小さくなってしまうようなことが、有利に回避され得る。しかも、そのような芯材14の使用によるフラッシュパネル全体の重量の増大も、可及的に抑えられ得る。
【0046】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0047】
例えば、補強板20を構成する複数枚の紙26は、バージンパルプからなる紙や古紙であっても良い。また、かかる紙26として、バージンパルプからなる紙と古紙と再生紙のうちの少なくとも2種類のものを組み合わせて用いることも出来る。そして、それら各種の紙を公知の手法により積層して接着してなるものが、補強板20として、何れも使用され得るのである。
【0048】
さらに、2枚の面板12,12間に配置される芯材14は、各面板12、ひいてはフラッシュパネル全体の強度を高め得るものであれば、ペーパーハニカム以外の公知のものが適宜に用いられ得る。なお、芯材14は、本発明において必須のものではない。
【0049】
加えて、本発明は、住宅の壁パネルや天井パネル、ドアパネル、或いは家具や調度品の構成パネルや扉パネル等として広く使用されるフラッシュパネルの何れに対しても、有利に適用可能である。
【0050】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0051】
10 枠体 12 面板
14 芯材 16 枠組材
18 化粧板 20 補強板
22 意匠面 24,28,30 接着剤層
26 紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体を挟むように、その両側の面に、補強板がそれぞれ接着されると共に、該補強板の枠体側とは反対側の面に、合成樹脂製の化粧板が接着されてなる構造のフラッシュパネルにおいて、前記補強板を、複数の紙が互いに積層されて接着された積層紙にて構成したことを特徴とするフラッシュパネル。
【請求項2】
前記補強板を構成する前記積層紙が、再生紙を用いて形成されている請求項1に記載のフラッシュパネル。
【請求項3】
前記枠体の両面に接着された二つの補強板の対向面間に、ペーパーハニカムからなる芯材が配置されて、それら二つの補強板の対向面に対して、該芯材がそれぞれ接着されている請求項1又は請求項2に記載のフラッシュパネル。
【請求項4】
前記枠体が、集成材を用いて形成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載のフラッシュパネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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