説明

フラット針布を備えた少なくともひとつのフラット・バーが存在する綿、合成繊維などに対するカード機における装置

【課題】機械的作業に関して簡素な様式で角度を変更かつ適合化する。
【解決手段】綿、合成繊維などに対するカード機における装置であって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の支持要素内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布を有する針布要素は前記フラット・バーの支持体に固着されていて、例えばシリンダなどのローラの針布と対向して位置しており、前記フラット針布の歯先平面とシリンダ針布の歯先円との間の間隔は前記シリンダの回転方向において減少するという装置が提供される。機械的作業に関して簡素な様式で角度(オフセット)を変更かつ適合化し得るために、前記針布ストリップの頂面および前記フラット針布の前記歯先平面は互いに平行には整列されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿、合成繊維などに対するカード機における装置であって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の支持要素内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布が前記フラット・バーの担持体に固着されていて、例えばシリンダなどのローラの針布と対向して位置しており、前記フラット針布の歯先平面とシリンダ針布の歯先円との間の間隔は前記シリンダの回転方向において減少しており、前記フラット針布の前記歯先平面、および、最狭幅点における前記シリンダ針布の前記歯先円に対する接線に平行に配置された概念的表面は、互いに所定角度βで配置されるというカード機における装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実際問題としてカード機のフラット・システムの場合には、フラット・バーはシリンダの接平面に対して(テーパもしくはオフセットとして知られる)所定角度に設定される。このことは特に、中央配置との比較において以下の利点を有する:
−シリンダの最狭幅の間隔は、良好に離脱が為され得るべく形成された調節縁部(ヒール部)に置かれる
−材料はテーパ間隙に漸進的に進入すると共に、優れた様式で開繊/精選される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の装置(EP0866153A)の場合には、底面を備えた担持体(形状化部材(profiled member))が存在し、担体層(基部)と該層内に埋設されたフックとを備える可撓針布がこの担持体に固着される。前記基部は接着剤によって脚部に固着される。前記フラット・バーはその作業位置(主要カーディング区域)に案内され、それにより、シリンダの外側面に対向して位置する非常に狭幅な点もしくは非常に狭幅なカーディング・ラインから成る捕捉平面(歯先平面)にフックの先端が位置するようになる。捕捉平面は、上述の最狭幅点において前記外側面と交差する接線に対して平行に配置された概念的表面と角度βを形成する。角度βを生成するために、前記フラット・バーおよび担持体のそれぞれは、対応角度における傾斜内で設計される必要がある。さらに、前記フラット・バーおよび担持体はの両方は所定の傾斜にて製造かつ取付けられる、すなわち、前記外側面に対する前記接線に関する前記担持体の傾斜は、故に前記角度βは、カード・フラット毎に固定される必要がある。針布を備える担体層が摩耗のために交換されるとき、担体層の頂面および底面が平行に配置されているので角度βは同一のままである。この装置に依ると、変更された技術的要件に対する角度βの変更もしくは適合は前記担持体の傾斜を変更することによってのみ可能であり、機械的作業条件に費用が掛かる。
【0004】
故に本発明は、冒頭に記述された種類の装置であって、前記不都合を回避し、特に、前記角度(オフセット、テーパ)の変更および適合化を構成に関して簡素な様式で許容する装置を作製するという技術的課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に依ればこの課題は、請求項1の特徴部分により解決される。
すなわち1番目の発明によれば、綿、合成繊維などに対するカード機における装置であって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の支持要素内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布を有する針布要素が前記フラット・バーの支持体に固着されていて、例えばシリンダなどのローラの針布と対向して位置しており、前記フラット針布の歯先平面とシリンダ針布の歯先円との間の間隔は前記シリンダの回転方向において減少しており、前記フラット針布の前記歯先平面と、最狭幅点における前記シリンダ針布の前記歯先円に対する接線に平行に配置された概念的表面とは、互いに所定角度(β)をなして配置されるというカード機における装置において、前記針布ストリップ(16’)の頂面(16a1;16c1)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、カード機における装置が提供される。
【0006】
前記頂面および前記歯先平面は互いに平行には整列されず、すなわち、各針布ストリップは断面が概ね楔形状であることから、前記担体層が交換されるときに、角度(テーパ)を変更すること、すなわち、フラット針布とシリンダ針布との間の間隔を調節することを容易にできる。代替的に、処理されるべき繊維材料に対する、および/または、大きな生産能力に対する最適な連携調整のために前記角度が変更されるべきであれば、前記針布が摩耗しない場合にも交換するのが好ましい。好適には、一体的なオフセットを有する回転フラット上において針布が作製される。
【0007】
請求項2乃至46は、本発明の好適な発展例を包含する。
請求項47乃至49は、本発明の更なる好適実施例を包含する。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記針布要素(16)の前記頂面(16a1;16c2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)は互いに角度(α)をなして配置される。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記針布ストリップ(16’)の前記担体要素(16a)は概ね楔状構成である。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)のたとえば接着剤である中間層(16d)は概ね楔状構成である。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)のたとえば板金ストリップである頂部要素(16c)は概ね楔状構成である。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16a)は、少なくと一層(16*、16**、16***)が概ね楔状構成であるという少なくとも二層(16*、16**、16***)から成る。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)と、前記シリンダ針布(4a)の歯先平面(22)に対する接線(19’)に平行に延在する概念的表面(19”)との間の前記角度(α)は、前記シリンダ(4)の回転方向(4b)において減少する。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記シリンダ針布(4a)は、前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)と前記シリンダ針布(4a)の前記歯先平面(22)との間における最小間隔(c1)にてヒール部を有する。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)の頂部層(16c)は例えば鋼鉄バンドなどの板金ストリップから成る。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記針布ストリップ(16’)の前記頂部層(16c)および前記担体層(16a)は互いに結合される。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、前記針布ストリップ(16’)の前記頂部層(16c)および前記担体層(16a)は接着(16d)により相互に結合される。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、前記針布ストリップ(16’)の前記頂面(16a1)および支持本体(15)の底面(15c)は互いに可逆的に着脱可能に結合される。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)の前記頂部要素(16c)の頂面(16c2)および磁気要素(15f)の底面(15f2)は互いに可逆的に着脱可能に結合される。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、少なくとも一個の磁気要素(15f)が、前記支持本体(15)の前記底面(15a)に組み合わされる。
15番目の発明によれば、1番目から14番目のいずれかの発明において、前記針布ストリップ(16’)は交換可能である。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)は交換可能である。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、フラット・バー(14)の針布(16b)は湾曲した歯先平面(23’)を有する。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、前記歯先平面(23’)は凹状に湾曲される。
19番目の発明によれば、1番目から18番目のいずれかの発明において、前記歯先平面(23’)は凸状に湾曲される。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)および前記針布ストリップ(16’)の幅の一部に亙って非平行な整列部分が夫々延在する。
21番目の発明によれば、1番目から20番目のいずれかの発明において、前記シリンダの回転方向(4b)において、前記シリンダ(4)の中点(M)に対して同軸的な一定間隔が、前記非平行な整列部分に隣接する。
22番目の発明によれば、1番目から21番目のいずれかの発明において、前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)は、例えばワイヤ長、ワイヤ太さ、穿刺深度、積層形態、基部厚みなどの異なる針布パラメータを有する。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の先端は複数の群に分割されており、各群は繊維区域を形成すべく使用される先端を有する。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、前記群は各々が歯先平面(231、232)を形成する。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、たとえば布地などの前記担体要素(16a)内に設定された前記針布(16b;16b1、16b2、16b3)は概ねU形状に屈曲された単一または複数のワイヤ等から成り、これらワイヤ等は、該U形状のワイヤなどの交差部材が前記担体要素(16a)の後側(16a1)に延在する様に挿入される。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、前記フラット・バー(14;141、142、143)は回転フラット(13)の一部である。
27番目の発明によれば、1番目から26番目のいずれかの発明において、前記フラット・バーは静止的なカーディング要素である。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、可撓針布(16b;16b1、16b2、16b3)が存在する。
29番目の発明によれば、1番目から28番目のいずれかの発明において、前記可撓針布は、担体(16a)、および、針布先端、ワイヤ、フックなどを備える。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、前記支持部はストリップ形態である。
31番目の発明によれば、1番目から30番目のいずれかの発明において、前記針布(16b;16b1、16b2、16b3)は、たとえば全鋼針布などの鋸歯ワイヤストリップから成る。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、前記針布(16b;16b1、16b2、16b3)は、前記底面(15c)の領域において前記フラット・バー上に取付けられる。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、3枚の針布ストリップ(織物材料)から成る担体要素(16a)が前記底面(支持本体)における凹所(15e)内に配置される。
34番目の発明によれば、1番目から33番目のいずれかの発明において、前記凹所(15d、15e)はフラット脚部(15a)の長手側部上における少なくとも2枚の側部ウェブ(15h、15i)などにより形成される。
35番目の発明によれば、1番目から34番目のいずれかの発明において、針布ストリップ(16’)が受容され、板金プレート(16c)が接着剤(16d)の補償層を介して前記針布ストリップに固定されており、前記板金プレート(16c)は前記フラット・バーの前記磁石(15f)に接続される。
36番目の発明によれば、1番目から35番目のいずれかの発明において、磁性材料から成る裏材(16c)が前記フラット針布の後側に配置される。
37番目の発明によれば、1番目から36番目のいずれかの発明において、前記裏材(16c)は鋼鉄バンド、板金などである。
38番目の発明によれば、1番目から37番目のいずれかの発明において、前記裏材(16c)は側方に、所定角度で屈曲された延長部、ウェブなどを有する。
39番目の発明によれば、1番目から38番目のいずれかの発明において、たとえば磁気バンド、磁気ストリップ、磁気ロッドなどである前記磁気構成要素(15f)が前記フラット・バー(14)の長手方向に延在する。
40番目の発明によれば、1番目から39番目のいずれかの発明において、前記フラット本体(15’)は例えばアルミニウムなどの軽金属から成る押出し成形された型材である。
41番目の発明によれば、1番目から40番目のいずれかの発明において、前記押出し成形された型材は中空型材である。
42番目の発明によれば、1番目から41番目のいずれかの発明において、二つの端部を備えた端部ヘッド部材(フラット・ヘッド)が前記フラット本体(15’)に組合わされる。
43番目の発明によれば、1番目から42番目のいずれかの発明において、前記端部ヘッド部材は硬化鋼などのピン(15*、15**)である。
44番目の発明によれば、1番目から43番目のいずれかの発明において、前記フラット本体(15’)は繊維強化プラスチック材料から成る。
45番目の発明によれば、1番目から44番目のいずれかの発明において、前記磁気要素(15f)は前記繊維強化プラスチック材料に一体化される。
46番目の発明によれば、1番目から45番目のいずれかの発明において、長手縁部に隣接する前記担体要素(16’)の少なくとも一つの縁部領域においてて、好適には各縁部領域においては、先端(16b;16b1、16b2、16b3)が設定される。
47番目の発明によれば、綿、合成繊維などに対するフラット・カードであって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の担体層内に配置された好適にはワイヤ・フックである前記フラット針布が支持本体に固着されるという2番目乃至46番目のいずれかに記載のフラット・カードのためのフラット・バーにおいて、前記針布要素(16)の頂面(16a1、16a2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、フラット・バーが提供される。
48番目の発明によれば、綿、合成繊維などに対するフラット・カードであって、ストリップ形態の担体層内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布を有するという2番目乃至47番目のいずれかに記載のフラット・カード上のフラット・バーのための可撓針布において、前記針布要素(16)の頂面(16a1、16a2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、可撓針布が提供される。
49番目の発明によれば、綿、合成繊維などに対する回転フラット・アセンブリを有するフラット・カードであって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の担体層内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布が支持体に固着されていて、例えばシリンダなどのローラの針布と対向して位置しており、前記フラット針布の歯先平面とシリンダ針布の歯先平面との間の間隔は前記シリンダの回転方向において減少するという2番目乃至48番目のいずれかに記載のフラット・カードにおいて、前記針布要素(16)の頂面(16a1、16a2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、フラット・カードが提供される。
50番目の発明によれば、1番目から49番目のいずれかの発明において、前記針布要素(16)は、前記楔形状の整列を表すマークを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は以下において、図面中に示された代表的実施例に関して更に詳細に説明される。
図1は、送給ローラ1と、送給テーブル2と、テーカイン3a、3b、3cと、シリンダ4と、ドッファ5と、ストリッピング・ローラ6と、把持ローラ7、8と、ウェブ案内要素9と、ウェブ用ファネル10と、取出ローラ11、12と、フラット案内ローラ13a、13bおよびフラット・バー14を備えた回転フラット13と、ケンス18と、ケンス用巻取器19とを備えた例えばTruetzschler フラット・カードTC 03などのフラット・カードを示している。各ローラの回転方向は、夫々の湾曲矢印により示される。符号Mはシリンダ4の中点(軸心)を表す。参照番号4aは針布を表し、4bはシリンダ4の回転方向を表す。符号Aは作用方向を表す。矢印Bはフラット・バー14のカーディング設定を表し、且つ、矢印Cはフラット・バー14の戻り搬送方向を表す。各ローラ内に描かれた湾曲矢印は夫々のローラの回転方向を表す。
【0009】
図2を参照すると、カードの各側において、数本の調節ネジを有する可撓屈曲部17がネジにより機械フレームの側方に固着されている。可撓屈曲部17は、凸状の外側面17aおよび下側面17bを有している。可撓屈曲部17の上方には、たとえば耐摩耗プラスチック材料から成る第1滑り面20が在り、この第1滑り面20は凸状外側面20aおよび凹状内側面20bを有している。(機械の他側上の)第2滑り面は図示しない。凹状内側面20bは、凸状の外側面17a上に位置する。各フラット・バー14は両端部にてカード・フラット・ヘッドを有し、該ヘッドに対しては2本の鋼鉄ピン15*、15**が軸方向に固着されている。これら鋼鉄ピンは滑り面20の凸状外側面20a上において矢印Bの方向に摺動する。支持本体15の下側表面上にはフラット針布ストリップ16が取付けられている。参照番号21は、フラット針布16の最狭幅点の歯先円を表す。その円周部上において、シリンダ4はたとえば鋸歯針布などのシリンダ針布4aを有している。参照番号22は、シリンダ針布4aの歯先円を表す。歯先円21と歯先円22との間の距離は符号aにより表され、たとえば0.20mmである。凸状外側面20aと歯先円22との間の距離は、符号bにより表される。凸状外側面20aの半径はr1により表され、歯先円22の半径はr2により表される。半径r1およびr2は、シリンダ4の中点M(図1参照)で交差する。
【0010】
図3(a)および図3(b)は、一方のフラット針布161、162、163と他方のシリンダ針布4aとの間の間隙がシリンダ4の回転方向4bにおいて減少するのを示している(誇張して描かれている)。フラット針布161、162、163とシリンダ針布4aとの間の間隔を念頭に置くと、最広幅間隔はc1と表現され且つ最狭幅間隔はc2と表現される。間隔c1およびc2は、シリンダ4の中点M(図1参照)に関して径方向に出現する。
【0011】
図3(a)および図3(b)を参照すると、針布要素16の頂部要素16cの頂面16c1およびフラット針布16bの歯先平面23は、互いに平行に整列されていない。
【0012】
図3(b)によれば、フラット針布16bの歯先平面23と、最狭幅点c2においてシリンダ針布4aの歯先円22に対する接線19’に平行に配置された概念的表面19”とは、互いに角度βをなして配置されている(図においては誇張して示される)。結果的に、各フラット・バー14においてフラット針布16bの歯先平面23は、平行表面19”に対して例えば0°55’などの角度βをなす。故に、テーパとも称されてオフセットとして知られるものが形成される。フラット針布16bとシリンダ針布4aとの間において角度βにより形成される間隙は、シリンダ4の回転方向4bに進むにつれ閉じる。
【0013】
更に、図3(b)によれば、針布要素16の頂面16c1およびフラット針布16bの歯先平面23は、互いに角度αをなして配置されている(図面においては誇張して示される)。角度αにより生成される楔構成は、シリンダ4の回転方向4bに進むにつれ開く。
【0014】
図4を参照すると、フラット・バー14はカード・フラット支持本体15および針布要素16から成る。針布要素16は、カード・フラット支持本体15に着脱可能(可逆的)に取付けられている。カード・フラット支持本体15は、カード・フラット脚部15aとカード・フラット背部15bとを備える形状化カード・フラット本体15’を含んでいる。たとえば押出し成形されたアルミニウム、型成形されたプラスチックなどから作成された長寸の形状化カード・フラット本体15’の2つの端部においては、カード・フラット・ヘッドが在る。図2および図3に係る実施例においては、これらカード・フラット・ヘッドのそれぞれは、2本のカード・フラット・ピン15*および15**を備えている。フラット・バー15bから離間した側において、カード・フラット脚部15a上には長手方向に2枚のウェブ15h、15iが取付けられており、それにより、底面15cの領域においては二段凹所15d、15eが存在している。カード・フラット支持本体15は、たとえば磁気バンド、磁気ストリップ、磁気ロッドなどの磁気要素15fを更に含んでおり、磁気要素15fは上側凹所15dにおける頂面15f1を介して接着剤層15gにより底面15cに締着される。前記カード・フラット支持本体の長さは、たとえば1mである。
【0015】
針布要素16は、たとえば織物材料であるストリップ形態の針布担体要素16aから成る針布ストリップ16’と、フラット針布16bとを備える。フラット針布16bは針布先端19(ワイヤ・フック)を備えており、概ねU形状であるこれらワイヤ・フックは、面16a1を貫通して押圧されることにより担体要素16aに固定される。前記ワイヤ・フックが方向を変える領域は、面16a1を越えて突出する。ワイヤ・フック19の端部、すなわち針布先端は、拘束されていない。前記ワイヤ・フックは鋼鉄ワイヤから成る。針布要素16は更に、たとえば鋼鉄プレートストリップ、鋼鉄バンドなどの頂部要素16cを含んでおり、頂部要素16cの底面16c2は例えば接着剤層である接続中間層16dによって針布担体要素16aの頂面16a1に固定される。16d1は中間層16dの頂面を表し且つ16d2は底面を表し、頂面16d1および底面16d2は互いに平行でない様に取付けられることから、中間層16dの断面は楔状である。針布要素16は、凹所15e内において該針布要素の構成要素である針布ストリップ16’、中間層16dおよび頂部要素16cで固定されることから、フラット針布16bはカード・フラット脚部15aの底面を越えて突出する。この固定作用は、フラット要素16c(鋼鉄バンド)の頂面16c1が磁気要素15f(アセンブリ平面)の底面15f2と平坦に当接する様に、行われる。フラット支持本体15と針布要素16との間における確定的固定接続は、作動時に安定する。フラット針布16b上に作用するカーディング力は、フラット脚部15aにおけるウェブ15h、15iにより吸収かつ補償される。
【0016】
図5(a)によれば、針布担体要素16aは断面が楔状構成であり、頂部要素16cおよび中間層16dは面平行である。図5(b)によれば、頂部要素16cは断面が楔状構成であり、針布要素16aおよび中間要素16dは面平行である。
【0017】
図6によれば、針布担体要素16aは、3つの層16*、16**および16***、すなわち例えば織物材料およびプラスチックなどの層から成る。上側層16*および下側層16***は面平行構成であるが、中央層16**は断面が楔形状である。頂面16a1は底面15cに対し、たとえば接着剤で固着される。図6に示された担体要素16aを、図5(a)に示された担体要素16aの代わりに配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る装置を備えたフラット・カードの概略的側面図である。
【図2】回転フラットのフラット・バーと二つの滑り面の第1滑り面からの断片とを示す図である。
【図3】(a)フラット針布の歯先平面とシリンダ針布との間の間隔がシリンダの回転方向に減少するという3個のフラット・バーを示す図である。(b)針布ストリップの頂面とフラット針布の歯先平面とが相互に平行に整列されてはおらず、フラット表面と歯先平面との間の角度αおよびオフセットに対する角度βが示された図3(a)に係るフラット・バーを示す図である。
【図4】フラット支持本体と針布ストリップとを備えたフラット・バーの分解図である。
【図5】(a)針布支持部が断面において楔状構成であるという更なる実施例を示す図である。(b)針布支持部が断面において楔状構成であるという他の更なる実施例を示す図である。
【図6】針布支持部が断面において楔状構成であるという実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 送給ローラ
2 送給テーブル
3a、3b、3c テーカイン
4 シリンダ
4a シリンダ針布
4b 回転方向
5 ドッファ
6 ローラ
7、8 把持ローラ
9 ウェブ案内要素
10 ウェブ用ファネル
11、12 取出ローラ
13 回転フラット
13a、13b フラット案内ローラ
14 バー
15 ピン
15 フラット支持本体
15*、15** 鋼鉄ピン
15 支持本体
15’ カード・フラット本体
15a カード・フラット脚部
15b フラット・バー、フラット背部
15c 底面
15d、15e 凹所
15f 磁気要素
15h、15i ウェブ
16 フラット針布
16’ 針布ストリップ
16a 針布要素
16b フラット針布
16c 頂部要素、フラット要素
16d 中間層
17 可撓屈曲部
17a 外側面
17b 下側面
18 ケンス
19 針布先端
19’ 接線
19” 概念的表面
20 第1滑り面
20a 凸状外側面
20b 凹状内側面
21 歯先円
22 歯先円
23 歯先平面
α 角度
β 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿、合成繊維などに対するカード機における装置であって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の支持要素内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布を有する針布要素が前記フラット・バーの支持体に固着されていて、例えばシリンダなどのローラの針布と対向して位置しており、前記フラット針布の歯先平面とシリンダ針布の歯先円との間の間隔は前記シリンダの回転方向において減少しており、前記フラット針布の前記歯先平面と、最狭幅点における前記シリンダ針布の前記歯先円に対する接線に平行に配置された概念的表面とは、互いに所定角度(β)をなして配置されるというカード機における装置において、
前記針布ストリップ(16’)の頂面(16a1;16c1)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、カード機における装置。
【請求項2】
前記針布要素(16)の前記頂面(16a1;16c2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)は互いに角度(α)をなして配置されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記針布ストリップ(16’)の前記担体要素(16a)は概ね楔状構成であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記針布要素(16)のたとえば接着剤である中間層(16d)は概ね楔状構成であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記針布要素(16)のたとえば板金ストリップである頂部要素(16c)は概ね楔状構成であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記針布要素(16a)は、少なくと一層(16*、16**、16***)が概ね楔状構成であるという少なくとも二層(16*、16**、16***)から成ることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)と、前記シリンダ針布(4a)の歯先平面(22)に対する接線(19’)に平行に延在する概念的表面(19”)との間の前記角度(α)は、前記シリンダ(4)の回転方向(4b)において減少することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記シリンダ針布(4a)は、前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の前記歯先平面(23)と前記シリンダ針布(4a)の前記歯先平面(22)との間における最小間隔(c1)にてヒール部を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記針布要素(16)の頂部層(16c)は例えば鋼鉄バンドなどの板金ストリップから成ることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記針布ストリップ(16’)の前記頂部層(16c)および前記担体層(16a)は互いに結合されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記針布ストリップ(16’)の前記頂部層(16c)および前記担体層(16a)は接着(16d)により相互に結合されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記針布ストリップ(16’)の前記頂面(16a1)および支持本体(15)の底面(15c)は互いに可逆的に着脱可能に結合されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記針布要素(16)の前記頂部要素(16c)の頂面(16c2)および磁気要素(15f)の底面(15f2)は互いに可逆的に着脱可能に結合されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも一個の磁気要素(15f)が、前記支持本体(15)の前記底面(15a)に組み合わされることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記針布ストリップ(16’)は交換可能であることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記針布要素(16)は交換可能であることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
フラット・バー(14)の針布(16b)は湾曲した歯先平面(23’)を有することを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記歯先平面(23’)は凹状に湾曲されることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記歯先平面(23’)は凸状に湾曲されることを特徴とする、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記針布要素(16)および前記針布ストリップ(16’)の幅の一部に亙って非平行な整列部分が夫々延在することを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記シリンダの回転方向(4b)において、前記シリンダ(4)の中点(M)に対して同軸的な一定間隔が、前記非平行な整列部分に隣接することを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)は、例えばワイヤ長、ワイヤ太さ、穿刺深度、積層形態、基部厚みなどの異なる針布パラメータを有することを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の先端は複数の群に分割されており、各群は繊維区域を形成すべく使用される先端を有することを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記群は各々が歯先平面(231、232)を形成することを特徴とする、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
たとえば布地などの前記担体要素(16a)内に設定された前記針布(16b;16b1、16b2、16b3)は概ねU形状に屈曲された単一または複数のワイヤ等から成り、これらワイヤ等は、該U形状のワイヤなどの交差部材が前記担体要素(16a)の後側(16a1)に延在する様に挿入されることを特徴とする、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記フラット・バー(14;141、142、143)は回転フラット(13)の一部であることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記フラット・バーは静止的なカーディング要素であることを特徴とする、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
可撓針布(16b;16b1、16b2、16b3)が存在することを特徴とする、請求項1乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記可撓針布は、担体(16a)、および、針布先端、ワイヤ、フックなどを備えることを特徴とする、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記支持部はストリップ形態であることを特徴とする、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記針布(16b;16b1、16b2、16b3)は、たとえば全鋼針布などの鋸歯ワイヤストリップから成ることを特徴とする、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記針布(16b;16b1、16b2、16b3)は、前記底面(15c)の領域において前記フラット・バー上に取付けられることを特徴とする、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
3枚の針布ストリップ(織物材料)から成る担体要素(16a)が前記底面(支持本体)における凹所(15e)内に配置されることを特徴とする、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記凹所(15d、15e)はフラット脚部(15a)の長手側部上における少なくとも2枚の側部ウェブ(15h、15i)などにより形成されることを特徴とする、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
針布ストリップ(16’)が受容され、板金プレート(16c)が接着剤(16d)の補償層を介して前記針布ストリップに固定されており、前記板金プレート(16c)は前記フラット・バーの前記磁石(15f)に接続されることを特徴とする、請求項1乃至34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
磁性材料から成る裏材(16c)が前記フラット針布の後側に配置されることを特徴とする、請求項1乃至35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記裏材(16c)は鋼鉄バンド、板金などであることを特徴とする、請求項1乃至36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記裏材(16c)は側方に、所定角度で屈曲された延長部、ウェブなどを有することを特徴とする、請求項1乃至37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
たとえば磁気バンド、磁気ストリップ、磁気ロッドなどである前記磁気構成要素(15f)が前記フラット・バー(14)の長手方向に延在することを特徴とする、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記フラット本体(15’)は例えばアルミニウムなどの軽金属から成る押出し成形された型材であることを特徴とする、請求項1乃至39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記押出し成形された型材は中空型材であることを特徴とする、請求項1乃至40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
二つの端部を備えた端部ヘッド部材(フラット・ヘッド)が前記フラット本体(15’)に組合わされることを特徴とする、請求項1乃至41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記端部ヘッド部材は硬化鋼などのピン(15*、15**)であることを特徴とする、請求項1乃至42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記フラット本体(15’)は繊維強化プラスチック材料から成ることを特徴とする、請求項1乃至43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記磁気要素(15f)は前記繊維強化プラスチック材料に一体化されることを特徴とする、請求項1乃至44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
長手縁部に隣接する前記担体要素(16’)の少なくとも一つの縁部領域においてて、好適には各縁部領域においては、先端(16b;16b1、16b2、16b3)が設定されることを特徴とする、請求項1乃至45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
綿、合成繊維などに対するフラット・カードであって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の担体層内に配置された好適にはワイヤ・フックである前記フラット針布が支持本体に固着されるという請求項2乃至46のいずれか一項に記載のフラット・カードのためのフラット・バーにおいて、
前記針布要素(16)の頂面(16a1、16a2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、フラット・バー。
【請求項48】
綿、合成繊維などに対するフラット・カードであって、ストリップ形態の担体層内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布を有するという請求項2乃至47のいずれか一項に記載のフラット・カード上のフラット・バーのための可撓針布において、
前記針布要素(16)の頂面(16a1、16a2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、可撓針布。
【請求項49】
綿、合成繊維などに対する回転フラット・アセンブリを有するフラット・カードであって、フラット針布を備えた少なくとも一個のフラット・バーが存在しており、ストリップ形態の担体層内に配置された好適にはワイヤ・フックであるフラット針布が支持体に固着されていて、例えばシリンダなどのローラの針布と対向して位置しており、前記フラット針布の歯先平面とシリンダ針布の歯先平面との間の間隔は前記シリンダの回転方向において減少するという請求項2乃至48のいずれか一項に記載のフラット・カードにおいて、
前記針布要素(16)の頂面(16a1、16a2)および前記フラット針布(16b;16b1、16b2、16b3)の歯先平面(23)は互いに平行には整列されていないことを特徴とする、フラット・カード。
【請求項50】
前記針布要素(16)は、前記楔形状の整列を表すマークを有することを特徴とする、請求項1乃至49のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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