説明

フラップ開き装置及び画像形成装置

【課題】封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作を行うことを可能としたフラップ開き装置及びこれを有する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、さらには、転写時、定着時のフラップのズレに対処した画像形成装置の提供。
【解決手段】封筒S1との相対移動時に封筒S1のフラップに係合してフラップを開くフラップ開き部材41と、フラップ開き部材41によって封筒S1のフラップを開くときに封筒41を吸着された状態とする吸着手段44とを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒のフラップを開くフラップ開き装置及びこれを有する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、かかるフラップ開き装置が知られており(たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕参照)、またかかるフラップ開き装置を備えたかかる画像形成装置(たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕参照)が知られている。これらの装置は、フラップが閉じられたまま市販されている封筒を、フラップを開いて使用しようとする場合の利便性を高めている。また、かかる画像形成装置は、近年、様々な紙種への対応が求められ、封筒に対する要求も高まっているという要請に対応したものとなっている。
【0003】
フラップ開き装置では、フラップを開くときに、フラップの開き動作につられて封筒本体が動くことを規制する機構を要するが、かかる画像形成装置のように、封筒を搬送するローラ対で挟持した状態とすることで、フラップを開くときにこの開き動作に封筒本体がつられて動くことを規制した構成においては、次のような問題がある。
・封筒の搬送方向においてかかるローラ対に隣設する上流側、下流側のローラを、かかる搬送方向における封筒の長さよりも狭い間隔で配接する必要があり、結果として、ローラ数が増えてしまう。具体的には、たとえば、かかる搬送方向におけるローラ間隔は、通常、最小用紙の長辺の長さに対応して設定すればよいが、フラップが長辺に取り付けられているタイプの封筒を、短辺が搬送方向と平行になるように搬送する構成(たとえば、〔特許文献1〕参照)では、短辺の長さごとにローラがないと搬送できなくなってしまう。
・かといって、フラップが長辺に取り付けられているタイプの封筒を搬送する場合に、長辺が搬送方向と平行になるように搬送しようとすると、封筒がローラで挟持されているのでフラップを開くことができない。
【0004】
また、画像定着後の封筒のフラップを開く構成を採用した画像形成装置(たとえば、〔特許文献1〕参照)においては次の問題が生じ得る。
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置には、転写ローラ対や定着ローラ対など、強い狭持力を有するローラ対が搭載されており、転写ローラ対では回転軸方向の中央部よりも両端部側の方が狭持力が強くなるため狭持力に偏差が生じており、また、定着ローラ対では回転軸方向でローラ径が異なるツヅミ形状などのローラ対を用いて用紙に搬送方向と直交する方向に用紙を押し広げる力を作用させている。この力は、通常の用紙についてはニップ時のシワ防止を向上するものであるが、フラップが閉じたままの封筒を、たとえば、封筒本体とフラップとの境界線に平行な方向に通紙すると、この狭持力の偏差やローラ形状による押し広げ力によってフラップが図12に示すようにズレてしまい、用紙幅方向位置ズレなどによる搬送ジャムの要因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作を行うことを可能としたフラップ開き装置及びこれを有する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、さらには、転写時、定着時のフラップのズレに対処した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、封筒との相対移動時に封筒のフラップに係合してフラップを開くフラップ開き部材と、このフラップ開き部材によって封筒のフラップを開くときに同封筒を吸着された状態とする吸着手段とを有するフラップ開き装置にある。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフラップ開き装置において、前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒のサイズに応じて、同封筒の延在面内で同封筒と前記フラップ開き部材とが相対移動する方向と交差する方向に前記フラップ開き部材を移動させるための移動手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のフラップ開き装置において、前記移動手段は、前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒のサイズを入力するサイズ入力手段によって入力されたサイズに応じて前記フラップ開き部材を移動させることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載のフラップ開き装置において、前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒を、前記吸着手段によって吸着した状態で、同封筒と前記フラップ開き部材とが相対移動する方向と交差する断面において湾曲させた状態とする湾曲手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載のフラップ開き装置において、前記フラップ開き部材によってフラップを開かれた封筒本体とフラップとの境界部を押圧してフラップの閉じ癖を矯正するための押圧手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載のフラップ開き装置を備え、封筒を含む記録媒体を通紙可能であり、前記フラップ開き部材は、搬送されている封筒のフラップに係合してフラップを開く画像形成装置にある。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記フラップ開き装置により、記録媒体の搬送方向において像担持体上の像を記録媒体に転写する転写位置よりも上流側で、封筒のフラップを開くことを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置であって、請求項5に従属した画像形成装置において、前記押圧手段により、記録媒体の搬送方向において前記転写位置よりも上流側で、前記境界部を押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、封筒との相対移動時に封筒のフラップに係合してフラップを開くフラップ開き部材と、このフラップ開き部材によって封筒のフラップを開くときに同封筒を吸着された状態とする吸着手段とを有するフラップ開き装置にあるので、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作を行うことを可能とし、封筒の搬送方向の自由度が向上した利便性の高いフラップ開き装置を提供することができる。
【0015】
前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒のサイズに応じて、同封筒の延在面内で同封筒と前記フラップ開き部材とが相対移動する方向と交差する方向に前記フラップ開き部材を移動させるための移動手段を有することとすれば、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作を行うことを可能とするとともに封筒のサイズに対する適応性が向上し、封筒の搬送方向及びサイズの自由度が向上した利便性の高いフラップ開き装置を提供することができる。
【0016】
前記移動手段は、前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒のサイズを入力するサイズ入力手段によって入力されたサイズに応じて前記フラップ開き部材を移動させることとすれば、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作を行うことを可能とするとともに封筒のサイズに対する適応性及び操作性が向上し、封筒の搬送方向及びサイズの自由度が向上した利便性のより高いフラップ開き装置を提供することができる。
【0017】
前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒を、前記吸着手段によって吸着した状態で、同封筒と前記フラップ開き部材とが相対移動する方向と交差する断面において湾曲させた状態とする湾曲手段を有することとすれば、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作をより高い確実性で行うことを可能とし、封筒の搬送方向の自由度が向上した利便性及び信頼性の高いフラップ開き装置を提供することができる。
【0018】
前記フラップ開き部材によってフラップを開かれた封筒本体とフラップとの境界部を押圧してフラップの閉じ癖を矯正するための押圧手段を有することとすれば、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながらフラップの開き動作を行うことを可能とするとともにフラップが開かれた封筒の閉じ癖を矯正することで、封筒の搬送方向の自由度及びフラップを開かれた記録媒体の搬送性が向上した利便性及び信頼性の高いフラップ開き装置を提供することができる。
【0019】
本発明は、かかるフラップ開き装置を備え、封筒を含む記録媒体を通紙可能であり、前記フラップ開き部材は、搬送されている封筒のフラップに係合してフラップを開く画像形成装置にあるので、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながら画像形成装置内で搬送される封筒に対してフラップの開き動作を行うことを可能とし、封筒の搬送方向の自由度が向上した利便性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0020】
前記フラップ開き装置により、記録媒体の搬送方向において像担持体上の像を記録媒体に転写する転写位置よりも上流側で、封筒のフラップを開くこととすれば、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながら画像形成装置内で搬送される封筒に対してフラップの開き動作を行うことを可能とするとともに転写位置及び定着が行なわれる場合には定着時におけるフラップのズレに対処し、封筒の搬送方向の自由度及びフラップを開かれた記録媒体の搬送性が向上した利便性及び信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0021】
前記押圧手段により、記録媒体の搬送方向において前記転写位置よりも上流側で、前記境界部を押圧することとすれば、封筒の搬送方向に対するフラップの位置にかかわらずフラップの開き動作時に封筒本体が動くことを規制しながら画像形成装置内で搬送される封筒に対してフラップの開き動作を行うことを可能とするとともに転写位置及び定着が行なわれる場合には定着時におけるフラップのズレに対処し、また押圧手段の押圧を転写前に行なうことで押圧による像の乱れを回避し、封筒の搬送方向の自由度及びフラップを開かれた記録媒体の搬送性が画質の低下を回避しつつ向上した利便性及び信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示したフラップ開き装置によりフラップが開かれる様子を示した斜視図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に備えられた定着装置及び制御系の一部のブロック図である。
【図4】図3に示した加圧ローラが変位する様子を示した概略正面図である。
【図5】図2に示したフラップ開き部材を駆動する接離手段を示した正面図である。
【図6】図2に示したフラップ開き部材を同図に示した両矢印の方向に移動させる移動手段を示した正面図である。
【図7】図1に示したフラップ開き装置に備えられた吸着手段及び押圧手段を示した正面図である。
【図8】図1に示したフラップ開き装置に備えられた吸着手段及び押圧手段の変形例を示した正面図である。
【図9】図8及び図9に示した押圧手段の一部の変形例を示した概略正面図である。
【図10】図1に示したフラップ開き装置に搭載可能な湾曲手段を示した正面図である。
【図11】図1に示した画像形成装置に備えられる定着装置の他の例を示した概略正断面図である。
【図12】従来の技術により封筒のフラップがズレる様子を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、印刷機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
【0024】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を像形成物質としてのトナーを担持することで形成可能な第1の像担持体としての潜像担持体である感光体たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
【0025】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100の本体99の図示しないフレームに回転自在に支持された可撓性を有する第2の像担持体としての中間転写体である無端ベルト状の転写ベルト11の移動方向であって図1において反時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
【0026】
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための作像ユニットである画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
【0027】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトとして構成された転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
【0028】
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体である記録材としての用紙たる転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって画像形成装置100は中間転写方式言い換えると間接転写方式の画像形成装置となっている。したがって画像形成装置100はタンデム型間接転写方式の画像形成装置である。
【0029】
なお、以下、転写紙Sが封筒である場合には、転写紙Sの表記に代えて封筒S1と表記する。
図2に示すように、封筒S1は、本体Saと、折り返し部としてのフラップSfと、これらの境界部Sbとを有している。
【0030】
図1に示すように、転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部58を形成している。
【0031】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された一次転写手段としての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0032】
転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDFシート、ポリイミド系樹脂が挙げられ、本形態ではポリイミドを使用している。コート層の材質としては、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
【0033】
転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、転写ベルト11がA1方向に回転するときに、主走査方向に対応した、図1における紙面と垂直な幅方向のうちの何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
【0034】
転写ベルト11は、幅方向において、A4横サイズの転写紙Sに対応した幅を有している。よって、画像形成装置100は、最大でA3縦サイズの転写紙Sに対する画像形成が可能となっている。
【0035】
画像形成装置100は、本体99内に、4つの画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、図1における転写ベルト11の右側において転写ベルト11に対向して配設された2次転写手段としての2次転写装置5と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの下方に対向して配設された潜像形成手段としての光書込みユニットである書き込みユニットとしての露光装置たる光走査装置8とを有している。
【0036】
画像形成装置100はまた、本体99内に、転写ベルト11と2次転写装置5との間の2次転写部57に向けて搬送される転写紙Sを多数枚積載可能な給紙カセットとしての給紙トレイであるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた転写紙Sを、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部57に向けて繰り出すレジストローラ対4と、図2(a)に示すように、封筒S1が、フラップSfが折り曲げられた状態で搬送されるときに、図2(b)に示すようにフラップSfを開くフラップ開き装置40と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0037】
図1に示すように、画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像すなわち未定着トナー画像を定着させるための定着手段であるベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、シート給送装置61から送り出された転写紙Sを搬送する搬送ローラ14を備え、転写紙Sの搬送方向において搬送ローラ14より下流側の中途部にフラップ開き装置40、レジストローラ対4、定着装置6をこれらの順で配設された給紙路32と、給紙路32の終端に位置し定着済みの転写紙Sである画像出力物を本体99の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ対としての排紙ローラ7と、給紙路32に沿って配設され2次転写部57を通過した転写紙Sを定着装置6に案内するガイド部材67と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の補給用のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9BKと、本体99の上側に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙部としての排紙トレイ17とを有している。
【0038】
画像形成装置100はまた、本体99内に、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動手段としての駆動装置と、画像形成装置100の動作全般を制御する図示しないCPU、メモリ等を含む制御手段91とを有している。
【0039】
画像形成装置100はまた、画像形成に用いる転写紙Sの種類に関する情報すなわち転写紙Sのサイズ、転写紙Sが封筒S1であるか否かに関する情報等を入力可能とした操作パネル92を有している。操作パネル92は、フラップ開き装置40によってフラップSfを開かれる封筒をはじめとする転写紙Sのサイズを入力する点においてサイズ入力手段として機能する。なお、操作パネル92で入力される転写紙Sのサイズに関する情報には、転写紙Sの搬送方向すなわち縦搬送であるか横搬送であるかについての情報も含むものとする。
【0040】
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、転写ベルトユニット10と、光走査装置8と、定着装置6とは、シート給送装置61の上方に位置する画像形成部を構成している。
【0041】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、張架ローラとしてのクリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架する支持ローラとしての張架ローラ75、33と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11表面をクリーニングする中間転写体クリーニング装置であるベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
【0042】
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動モータを備えた図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKにそれぞれ独立して1次転写バイアスを印加する図示しない第1の転写バイアス印加手段としての電源及び制御手段91の一機能として実現された第1の転写バイアス制御手段とを有している。
【0043】
駆動ローラ72、クリーニング対向ローラ74、張架ローラ75、33は、転写ベルト11を回転搬送可能に掛け回した支持ローラとなっている。クリーニング対向ローラ74、張架ローラ75、33は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、張架ローラ75、33の間に張り渡した部分において形成されている。張架ローラ75、33は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
【0044】
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
【0045】
駆動ローラ72は、転写ベルト11を介して2次転写装置5を当接されており、2次転写部57を形成している。よって駆動ローラ72は2次転写対向ローラを兼ねている。
クリーニング対向ローラ74は、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
【0046】
転写ベルト11の寿命は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの寿命の略整数倍となっている。転写ベルト11の寿命によりこれを交換する場合において、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKも寿命に達している場合には、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKについても交換を行う。このように、転写ベルト11の寿命を、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの寿命の略整数倍とすることで、転写ベルト11と感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKとを同時に交換することが可能となり、メンテナンス性が向上する他、寿命に達した感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを放置した場合における感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの摩擦係数上昇に起因する転写率低下、中抜け画像の発生が抑制ないし防止される。
【0047】
ただし、転写ベルト11の寿命を、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの寿命の略整数倍としなくとも、転写ベルト11の寿命によりこれを交換する場合において、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKが寿命に達している場合、あるいは寿命に近づいている場合に、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKについても交換を行うようにすれば、同様に、メンテナンス性の向上、転写率低下、中抜け画像の発生が抑制ないし防止されといった利点がある。
【0048】
クリーニング装置13は、図1においてクリーニング対向ローラ74及び張架ローラ75の左方に配設されている。クリーニング装置13は、クリーニング対向ローラ74に対向する位置、すなわち、A1方向において2次転写部57の下流側且つ1次転写部58の上流側の位置で転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブレード76と、クリーニングブレード76をその内部に収容したケース77とを有している。
【0049】
クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブレード76で掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
転写ベルトユニット10は、本体99に対して一体で着脱可能となっている。
【0050】
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において光走査装置8の下方に多段、本形態では2段で配設されている。多段のシート給送装置61により、本体99の底部に給紙テーブルたる給紙部としてのペーパーバンク31が形成されている。
【0051】
シート給送装置61は、最上位の転写紙Sの上面に押圧される給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が所定のタイミングで反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sを1枚ずつ分離してレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。この点、給紙ローラ3は分離ローラとしても機能する。
シート給送装置61から送り出された転写紙Sは、給紙路32を経てレジストローラ対4に至り、レジストローラ対4のローラ間に挟まれる。
【0052】
2次転写装置5は、駆動ローラ72に対向して配置されている。2次転写装置5は、駆動ローラ72との間で転写ベルト11を挟むようにして配設され、転写ベルト11との間を通過する転写紙Sに転写ベルト11上のトナー像を転写可能とするための2次転写部材である転写部材としての2次転写ローラ64と、2次転写ローラ64をクリーニングするクリーニング装置65と、2次転写ローラ64を駆動ローラ72に向けて付勢した付勢部材としての図示しないバネとを有している。
【0053】
2次転写ローラ64と、転写ベルト11の2次転写部57近傍の一部とは、給紙路32に臨むように配設されている。2次転写ローラ64は、駆動ローラ72との間で2次転写バイアスを印加する図示しない第2の転写バイアス印加手段としての電源及び制御手段91の一機能として実現された第2の転写バイアス制御手段を接続されている。
【0054】
電源は、2次転写ローラ64に、転写ベルト11上に担持されたトナー像を構成するトナーの帯電極性と逆極性のバイアスを印加する。よって2次転写ローラ64は、電源によるバイアス印加により転写ベルト11上に担持されたトナー像に対する引力を発生させ、これによってかかるトナー像を転写紙S上に静電転写する。この点、2次転写ローラ64は引力ローラとして機能する。2次転写部57は、像担持体である転写ベルト11上のトナー像を、封筒S1を含む転写紙Sに転写する転写位置となっている。
【0055】
クリーニング装置65は、2次転写ローラ64に先端が当接したブレードを主に有しており、2次転写ローラ64に付着した紙粉やトナー等の異物を除去し、2次転写ローラ64をクリーニングするようになっている。
2次転写装置5は、トナー像を転写された後の転写紙Sを定着装置6へと搬送するシート搬送機能も有するように、転写部材として無端ベルト状の2次転写ベルトを用いても良い。
【0056】
フラップ開き装置40は、封筒S1の搬送による封筒S1との相対移動時に、図2に示すように、封筒S1の本体Saと折り曲げられた状態のフラップSfとの隙間に、封筒S1の搬送方向下流側から進入してフラップSfに係合し、すくい上げるようにしてフラップSfを開くフラップ開き部材としての爪41を有している。
【0057】
爪41は、かかる隙間に良好に進入するように、封筒S1の搬送方向の上流側に向けて先細りとなった尖った形状の尖端部41aを有している。
爪41は、サイズ入力手段として機能する操作パネル92によって入力された封筒S1のサイズに応じて、同図において両矢印で示されているように移動するようになっており、各種のサイズの封筒S1についてフラップSfを良好に開くことが可能となっている。この点を含みフラップ開き装置40の詳細については後述する。
【0058】
図3に示すように、定着装置6は、第1の加熱手段たる第1の加熱源としての加熱ローラヒータであるヒータ66と、ヒータ66を内部に有する中空の金属ローラである加熱ローラ62と、加熱ローラ62に巻き掛けられた定着ベルト63と、加熱ローラ62とともに定着ベルト63を巻き掛けたゴム製の定着ローラ68と、定着ローラ68との間で定着ベルト63に圧接し圧接部であるニップ部としての定着ニップ70を形成する中空のローラである加圧ローラ69と、加圧ローラ69の内部に配設された第2の加熱手段たる第2の加熱源としての加圧ローラヒータとしてのヒータ84とを有している。
【0059】
定着装置6はまた、加熱ローラ62及び定着ローラ68とともに定着ベルト63を巻き掛けたテンションローラ73と、テンションローラ73に、定着ベルト63の張力を増加する向きの付勢力を与えるようにテンションローラ73を定着ベルト63の内側から外側に向かって付勢した付勢部材としてのスプリング83と、加圧ローラ69の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ86とを有している。
【0060】
定着装置6はまた、転写紙Sの移動方向である搬送方向たるC1方向において定着ニップ70の上流側で加圧ローラ69に対向し転写紙Sを定着ニップ70に案内する案内部材たる入口側案内部材である用紙ガイド部材としての入口ガイド板81と、C1方向において定着ニップ70の下流側で加圧ローラ69に対向し定着ニップ70を通過した転写紙Sを定着装置6外部に案内し排出する出口側案内部材である用紙ガイド部材としての出口ガイド板82と、C1方向において定着ニップ70の下流側で定着ベルト63及び定着ローラ68に対向し定着ニップ70を通過した転写紙Sを定着ベルト63の表面から分離する分離部材90とを有している。
【0061】
定着装置6はまた、加圧ローラ69の外周面に当接して同外周面に付着した紙粉やトナーを除去するローラ状のクリーニング部材89と、定着ローラ68を回転駆動させることで、定着ベルト63、加熱ローラ62、テンションローラ73、加圧ローラ69、クリーニング部材89を従動回転させ、定着ニップ70において転写紙SをC1方向に搬送する駆動手段としての駆動モータ87と、加圧ローラ69を定着ベルト63を介して定着ローラ62に圧接させる付勢手段としての図示しないスプリングと、定着装置6に備えられた以上の構成を囲繞し内包して作業者にかかる構成が直接触れられないようにしたケーシングとしての定着ケース85とを有している。
【0062】
駆動モータ87、ヒータ66、ヒータ84は何れも、制御手段91によって駆動を制御される。この点、制御手段91は、回転駆動制御手段、第1の加熱制御手段、第2の加熱制御手段として機能する。制御手段91は、第1の加熱制御手段、第2の加熱制御手段として機能するにあたり、サーミスタ86によって検知される温度が定着に適した目標温度となるように、ヒータ66、ヒータ84の駆動を行う。
【0063】
定着ローラ68、加熱ローラ62、テンションローラ73はそれぞれ、その回転中心位置が固定となるように、その軸68a、62a、73aを定着ケース85に定位置で回転自在に支持されている。
【0064】
加圧ローラ69、クリーニング部材89はそれぞれ、その軸69a、89aを定着ケース85に回転自在に支持されているが、加圧ローラ69は、定着ローラ68、定着ベルト63等に相対変位するように言い換えると近接離間する向きに定着ケース85に移動自在に支持されているとともに、クリーニング部材89は加圧ローラ69の変位に追従可能なように定着ケース85に移動自在に支持されている。これは、図4(a)に示すように、定着ニップ70に転写紙Sが進入したときとそうでないときあるいは定着ニップ70に進入する転写紙Sの厚さに変動があるときや、同図(b)に示すように、加圧ローラ69が熱膨張したときに、スプリングの付勢力によって定着ニップ70における圧力を略一定に保ったまま加圧ローラ69が変位するようにするためである。
【0065】
定着ベルト63、定着ローラ68、加熱ローラ62、テンションローラ73、加圧ローラ69は、定着ニップ70において転写紙Sに担持されたトナー像の定着を行うために転写紙Sを搬送するための搬送部材として機能する回転体となっている。回転体としての定着ベルト63、定着ローラ68、加熱ローラ62、テンションローラ73、加圧ローラ69はそれぞれ、ベルト回転体、定着回転体、加熱回転体、テンション回転体、加圧回転体となっている。定着ニップ70において転写紙Sに担持されたトナー像の定着を行うために転写紙Sを搬送するための搬送部材は、このような回転体に限らず、定着ベルト63を巻き掛けた非回転の部材であっても良い。なお、クリーニング部材89も回転体であって、クリーニング回転体となっている。
【0066】
定着装置6は、本体99に着脱自在であり、本体99の外部に一体で取り出し可能であって、このようなユニット化により、交換部品として取り扱うことが可能となっており、また本体99から取り出した状態での修理等のアクセスが容易化するため、メンテナンス性が著しく向上している。
【0067】
定着ローラ68は、耐熱性で無端状であればゴム以外の弾性体で構成されていてもよい。
ヒータ66、ヒータ84は、ハロゲンヒータであるが、他のヒータであっても良い。
ヒータ66、ヒータ84はそれぞれ、加熱ローラ62、加圧ローラ69の内部に配設されているが、加熱ローラ62、加圧ローラ69の外部に配設されていてもよい。
ヒータ66の本数は、本形態では2本であるが、他の本数であっても良い。
ヒータ84の本数は、本形態では1本であるが、他の本数であっても良い。
【0068】
入口ガイド板81、出口ガイド板82、分離部材90は、定着ケース85に取り付けられている。
入口ガイド板81は、定着ケース85に備えられた、転写紙Sの入口となる導入口85aの近傍に配置されている。
出口ガイド板82は、定着ケース85に備えられた、転写紙Sの出口となる排出口85bの近傍に配置されている。
【0069】
分離部材90は、先端が定着ベルト63から離間した状態で配置されている。分離部材90は、定着ローラ68の軸線方向である幅方向に延びる板状の部材であるが、櫛歯状に形成されたものであっても良い。
クリーニング部材89は加圧ローラ69の軸線方向である幅方向に延びるローラ状の部材である。クリーニング部材89はブレード状の部材であっても良い。クリーニング部材89は必須の構成ではない。
【0070】
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙Sを定着ニップ70に挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、転写紙Sに担持されたトナー像を同転写紙Sの表面に定着するようになっている。
【0071】
トナーボトル9Y、9M、9C、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、ワックス成分が内部に均一に分散した重合トナーであって、転写ベルト11に付着した際、ワックス成分の外部への析出が少なくなっている。かかる各色のトナーは、図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられた現像装置80Y、80M、80C、80BKに補給される。
【0072】
図1に示すように、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKは互いに同様の構成となっている。画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの周囲に、図1中時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、クリーニング手段としてのクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKと、除電手段としての除電装置78Y、78M、78C、78BKと、AC帯電を行なう帯電手段としての帯電装置79Y、79M、79C、79BKと、2成分現像剤により現像を行う現像手段としての現像装置80Y、80M、80C、80BKと、調整モード時であるプロセスコントロール時に感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上の形成された基準トナー像のトナー濃度及びラインの位置を検出することでトナー濃度及びラインの位置ズレ補正を行うための図示しない像検知センサとを有している。
【0073】
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、本体99に固定された図示しないガイドレールに沿って本体99に対して引き出し自在であるとともに、本体99に押し込むことが可能であり、本体99に対して着脱自在に設置されたプロセスカートリッジとなっている。プロセスカートリッジとしての画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、本体99に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことが可能であるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。またプロセスカートリッジの要素である各部の寿命が同等とされているため、不要な交換が防止、抑制され、さらに好ましい構成となっている。
【0074】
このような構成の画像形成装置100において、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、制御手段91において形成すべき所望の画像であるフルカラー画像に対応した画像情報を含む印刷ジョブである画像形成ジョブがメモリに記憶され保持されるとともに、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、クリーニング対向ローラ74、張架ローラ75、33が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKがB1方向に回転駆動される。
【0075】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、B1方向への回転に伴い、帯電装置79Y、79M、79C、79BKにより表面を所定の極性に一様に帯電され、光走査装置8からの、同図の紙面垂直方向に略一致する主走査方向への、上方へ向けた、光変調されたレーザー光の露光走査すなわち照射により、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した静電潜像による潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Y、80M、80C、80BKによりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーにより現像され、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像によって構成された単色画像が形成される。
【0076】
なお、制御手段91は、光走査装置8を駆動して各色に対応した静電潜像を形成するにあたり、メモリに記憶した画像情報をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の色情報に分解し、各色に分解された単色の画像情報である各色画像情報に基づいて光走査装置8を駆動する。
【0077】
現像による可視像化により得られたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、A1方向の最上流側に位置するイエロートナー画像から、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、ブラックトナー画像の順で、順次、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによって形成される1次転写バイアスにより、A1方向に回転している転写ベルト11上の同じ位置に1次転写され、転写ベルト11上にはフルカラーのトナー画像である合成カラー画像が形成され担持される。
【0078】
一方、カラー画像を形成すべき旨の信号の入力に伴い、ペーパーバンク31に備えられたシート給送装置61のいずれかが選択され、選択されたシート給送装置61に備えられた給送ローラ3が回転して転写紙Sを繰り出すとともに1枚ずつ分離して給紙路32に送り込み、給紙路32に送り込まれた転写紙Sは図示しない搬送ローラでさらに搬送され、転写紙Sが封筒S1である場合にはそのフラップSfをフラップ開き装置40で開かれたうえで、レジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
【0079】
転写ベルト11上に重ね合わされた合成カラー画像が転写ベルト11のA1方向の回転に伴って2次転写部57まで移動するタイミングに合わせて、言い換えると給紙タイミングを計られて、レジストローラ対4が回転し、2次転写部57では、合成カラー画像が、2次転写部57に送り込まれた転写紙Sに密着し、2次転写バイアス及びニップ圧の作用によって転写紙Sに一括して2次転写され、記録される。このとき、かかるニップ圧が強くても、また転写紙Sとして封筒S1に転写を行った場合でも、フラップSfがすでに開かれた状態であるため、かかるニップ圧を受けても、図12に示すように境界部Sbが破線位置から実線位置にズレて、フラップSfが破線位置から実線位置にズレることがなく、その後の封筒S1の搬送においてジャムが生じることもない。また、転写紙Sの搬送方向において、かりにフラップSfの開き動作が2次転写部57と定着装置6との間で行われるとすればトナー像が乱れてしまう可能性が高いが、フラップ開き装置40は、転写紙Sの搬送方向において、転写位置である2次転写部57よりも上流側で、封筒S1のフラップSfを開くため、かかるトナー像の乱れは生じることがない。
【0080】
転写紙Sは2次転写装置5によって搬送されて定着装置6に送り込まれ、定着装置6において定着ベルト63と加圧ローラ69との間の定着ニップ70すなわち定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像が溶融され、合成カラー画像を定着される。このとき、かかる圧力が強くても、転写紙Sとして封筒S1に転写を行った場合でも、フラップSfがすでに開かれた状態であるため、かかる圧力を受けても、図12に示すように境界部Sbが破線位置から実線位置にズレて、フラップSfが破線位置から実線位置にズレることがなく、その後の封筒S1の搬送においてジャムが生じることもない。
【0081】
定着装置6を通過した、合成カラー画像を定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て本体99外に排出され、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。
【0082】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写後に残留した残留トナーである転写残トナーをクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKにより表面から除去され、除電装置78Y、78M、78C、78BKによって除電され、表面電位を初期化されて、帯電装置79Y、79M、79C、79BKによる次の帯電に供される。
【0083】
2次転写を終えた2次転写部57通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブレード76によって転写後にその表面に残留した転写残トナーを除去されてクリーニングされ、次の転写に備える。
【0084】
フラップ開き装置40の詳細について説明する。
フラップ開き装置40は、爪41の他に、爪41とくに尖端部41aを、図5(a)又は図7に示すように、図2に示したようにフラップSfを開くために転写紙Sの搬送経路に近づけたり、図5(b)に示すように、転写紙Sの搬送経路から離間させたりするように駆動する接離手段42と、制御手段91の一機能として実現され接離手段42の動作を制御する接離制御手段とを有している。
【0085】
フラップ開き装置40はまた、図6に示すように、爪41を接離手段42とともに図2において両矢印で示したように移動させる移動手段43と、制御手段91の一機能として実現され移動手段43の動作を制御する移動制御手段とを有している。
【0086】
フラップ開き装置40はまた、図7に示すように、図2に示したようにフラップSfを開くときにフラップSfの開き動作が良好に行われるように本体Saを吸着された状態とする吸着手段44と、図2(b)に示したように爪41によってフラップSfを開かれた封筒S1を、押圧して、フラップSfの閉じ癖すなわちフラップSfが図2(a)に示したように折り曲げられた状態に復帰しようとする癖すなわち閉じ癖を矯正するための押圧手段45とを有している。
【0087】
接離手段42は、爪41を保持するための保持部材としての保持板47と、爪41を保持板47に回動自在に保持させ爪41の回転支点となっている軸48と、その各端部を保持板47と爪41とに固定され爪41を同図において軸48を中心に反時計方向に付勢した付勢部材としての引っ張りスプリングであるバネ49と、爪41の、軸48に対してバネ49を固定された部分と逆側において突設されている突起部50とを有している。
【0088】
接離手段42はまた、保持板47に図5又は図7における上下方向にスライド自在に保持され突起部50に係合する、かかる上下方向に対して傾斜した傾斜部である係合部51aを有するスライド板51と、スライド板51を同図における下方に付勢した付勢部材としての図示しないバネ部材と、スライド板51を連結されスライド板51をバネ部材の付勢力に抗して同図における上方に駆動するための駆動装置としての図示しないソレノイドとを有している。駆動装置はソレノイドに限らずモータであっても良い。駆動装置は接離制御手段として機能する制御手段91によって動作を制御される。
【0089】
このような構成の接離手段42においては、ソレノイドへの非通電時には図5(b)に示すように、バネ部材の付勢力によりスライド板51が下方に位置し、係合部51aが突起部50に係合し突起部50が係合部51aに沿って移動することでバネ49の付勢力に抗して爪41が軸48を中心に時計方向に回動した状態となり、爪41が転写紙Sの搬送経路から離間し、転写紙Sに干渉することが防止される状態となる。
【0090】
封筒S1が通紙される場合には、接離制御手段として機能する制御手段91によってソレノイドに通電が行われ、同図(a)又は図7に示すように、バネ部材の付勢力に抗してスライド板51が上方に移動し、バネ49の付勢力によって爪41が軸48を中心に反時計方向に回動し、爪41が転写紙Sの搬送経路に進入した状態となる。この状態で封筒S1が給紙路32を搬送されてくると、図2に示したように、尖端部41aが封筒S1の搬送方向下流側から封筒S1の本体Saと折り曲げられた状態のフラップSfとの隙間に進入してフラップSfに係合しすくい上げるようにしてフラップSfを開く。
【0091】
封筒S1の通紙が完了すると、接離制御手段として機能する制御手段91によってソレノイドへの通電が解除され、爪41を退避させ再度図5(b)に示した状態とする退避動作が行われる。から離間し、転写紙Sに干渉することが防止される状態となる。
接離制御手段として機能する制御手段91によってソレノイドへの通電が行われるのは、操作パネルにより転写紙Sが封筒S1である旨が入力されたときである。
【0092】
移動手段43は、保持板47において接離手段42を爪41とともに支持した支持板52と、支持板52に螺合したガイド棒53と、ガイド棒53を回転駆動させる図示しない駆動源としてのモータとを有している。
【0093】
ガイド棒53は、図2に示した両矢印の方向に延在している。この方向は、封筒S1と爪41とが相対移動する方向すなわち給紙路32において封筒S1が搬送される方向と交差する方向であり、本形態では転写紙Sの幅方向である図1の紙面に垂直な方向に対応している。
【0094】
モータは移動制御手段として機能する制御手段91によって動作を制御される。なお、同図において符号54は支持板52とガイド棒53とを互いに固定するためのねじを示しているが、本形態においてねじ54は備えられていない。ねじ54については後述する。
【0095】
このような構成の移動手段43においては、サイズ入力手段として機能する操作パネル92によって入力された封筒S1のサイズに応じて、移動制御手段として機能する制御手段91によってモータが駆動され、爪41が、転写紙Sの幅方向において、そのサイズの封筒S1のフラップSfを良好に開く位置を占めるようになっており、フラップSfを開くことの確実性が向上している。
【0096】
吸着手段44は、転写紙Sの搬送をガイドする搬送ガイド板46と、搬送ガイド板46の、転写紙Sを案内する側の面すなわち給紙路32側の面と反対側に配設され、図7に示した向きの空気流を形成し、搬送ガイド板46のかかる面を案内されている転写紙Sをかかる面に吸着させる負圧を形成するための負圧形成手段としてのファン55と、ファン55の駆動を制御する、制御手段91の一機能として実現された吸着制御手段とを有している。搬送ガイド板46はファン55によってかかる負圧を形成するために図示しない通気孔を多数形成されている。搬送ガイド板46は給紙路32を形成している。
【0097】
このような構成の吸着手段44においては、吸着制御手段として機能する制御手段91によってファン55が駆動されると、通気孔を通じて、給紙路32側からエアーを吸い込み、搬送ガイド板46の給紙路32側の面に転写紙Sが吸着される。転写紙Sが封筒S1である場合には、かかる吸着作用によって本体Saが搬送ガイド板46に吸着された状態となるとともに、接離手段42が動作し、爪41が図7に示した姿勢をとるため、フラップSfを開くときに、フラップSfが本体Saに対して開く動作につられて本体Saが動こうとしても、本体Saは搬送ガイド板46に吸着されているため、本体SaがフラップSfの開き動作につられて動くことは規制され、フラップSfが良好に開かれる。
【0098】
したがって、本体SaがフラップSfの開き動作につられて動くことを規制する構成としてローラ対を要しないため、フラップ開き装置40を用いれば、必要とされるローラ数が低減可能となるとともに、図2に示したように、フラップSfが本体Saの長辺に取り付けられているタイプの封筒S1、言い換えると境界部Sbが本体Saの長辺に対応しているタイプの封筒S1を、長辺が搬送方向と平行になるように搬送しても、ローラ対による規制を行っていないため、フラップSfが開かれるようになっている。
【0099】
また、たとえば封筒S1の剛性が高い場合でも、フラップSfが容易に開き、フラップSfの開き不足が生じることが防止ないし抑制される。また、封筒S1が保管状態によってはカールすることがあり、そのため給送ローラ3による繰り出し時や搬送ローラ14によって挟持されるときに幅方向の位置がずれることなどにより、従来の装置ではフラップSfの開き動作時の位置がばらつくことでフラップSfの開き不良が生じることがあるが、フラップ開き装置40では、爪41に対向する位置に搬送されてきた封筒S1は吸着手段44によって搬送ガイド板46に吸着されているためフラップSfの開き動作の確実性が向上し、フラップSfの開き不良が防止ないし低減されている。
【0100】
吸着手段44は、図8に示すように、それ自身が転写紙Sを吸着したまま搬送する機能を有していても良い。同図に示している吸着手段44は、同図に示した向きの空気流を形成するファン55の他、記録媒体搬送手段56を有している。記録媒体搬送手段56は、図示しない多数の通気孔をその全体にわたって形成された無端状のベルト21と、ベルト21を巻き掛けた駆動ローラ22と、駆動ローラ22とともにベルト21を巻き掛けた従動ローラ23と、駆動ローラ22を回転駆動する駆動源としての図示しないモータと、モータの駆動を制御する、制御手段91の一機能として実現された搬送制御手段とを有している。ファン55は、同図に示した向きの空気流を形成することで、爪41に対向する部分においてベルト21の外周面を案内されている転写紙Sをかかる外周面に吸着させる負圧を形成する負圧形成手段となっている。
【0101】
このような構成の吸着手段44においては、吸着制御手段として機能する制御手段91によってファン55が駆動されると、通気孔を通じて、給紙路32側からエアーを吸い込み、ベルト21の給紙路32側の外周面に転写紙Sが吸着される。また、搬送制御手段として機能する制御手段91によってモータが駆動されると、駆動ローラ22が回転駆動されることでベルト21が従動回転し、更にこれに従動ローラ23が従動回転する。転写紙Sが封筒S1である場合には、かかる搬送作用によって封筒S1が搬送されつつ、かかる吸着作用によって本体Saがベルト21に吸着された状態となるとともに、接離手段42が動作し、図7を参照しながらすでに説明したようにフラップSfが開かれるが、このとき、封筒S1が搬送ガイド板46に吸着されたまま搬送ガイド板46に沿って搬送されることによる搬送ガイド板46による搬送抵抗を受けることがなく、封筒S1は吸着されているベルト21によって搬送されるので、封筒S1の搬送の確実性が向上し、これによってフラップSfの開き動作の確実性も向上する。また、フラップ開き装置40自身が転写紙Sの搬送機能を有しているため、これに隣接して配設される、転写紙Sを搬送するためのローラの配設位置の規制が緩和され、図7に示した場合よりも、ローラ数がより低減可能となっている。
【0102】
図7に示すように、押圧手段45は、転写紙Sの搬送方向において爪41の配設位置よりも下流側に配設されたローラ対24と、ローラ対24のニップに転写紙Sを導くためのガイド板25と、ローラ対24を構成している一方のローラ24aを他方のローラ24bに付勢しニップにおける圧力を高めた付勢部材としての押圧バネであるスプリング26とを有している。
【0103】
このような構成の押圧手段45においては、爪41によってフラップSfを開かれた封筒S1をガイド板25でローラ対24のニップに確実に導き、境界部Sbをニップで押圧することで、フラップSfが開かれた封筒S1の閉じ癖を矯正する。閉じ癖が矯正されることにより、封筒S1は、その後の搬送が良好に行われ、閉じ癖に起因するジャムが防止ないし抑制される。押圧手段45は、転写紙Sの搬送方向において、転写位置である2次転写部57よりも上流側で、閉じ癖を矯正するため、閉じ癖の矯正の際にトナー像の乱れを生じることがなく、また閉じ癖を矯正した封筒S1にトナー像の転写が行われるので、この転写が良好に行われる。
【0104】
押圧手段45は、図8に示すように、装置の低廉化、小型化等のために、ローラ24bに代えてベルト21、駆動ローラ22を備え、吸着手段44との部品の共通化を行っても良い。また、押圧手段45を構成するローラは、外径が均一のストレート形状であってもよいが、図9に示すように、ツヅミ形状であっても良く、この場合、閉じ癖の矯正も可能となり得る。
【0105】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0106】
たとえば、図7に示したように吸着手段44が搬送ガイド板46を有する構成においては、フラップ開き装置40は、図10に示すように、爪41によってフラップSfを開かれる封筒S1を、吸着手段44によって吸着した状態で、同図の紙面に垂直な方向である封筒S1の搬送方向と交差する断面すなわち同図の紙面に平行な断面において湾曲させた状態とする湾曲手段27を備えていても良い。同図に示した構成では、搬送ガイド板46が、転写紙Sの幅方向に一対備えられているとともに、ファン55が、各搬送ガイド板46に対応して一対、各搬送ガイド板46と一体で備えられている。
【0107】
湾曲手段27は、各搬送ガイド板46の互いに対向する側の端部に一体化され、各搬送ガイド板46を、かかる端部を中心に回動させる回動軸28と、各回動軸28を駆動する駆動源としての図示しないモータと、モータの駆動を制御する、制御手段91の一機能として実現された湾曲制御手段とを有している。同図(b)に示した湾曲手段27はこれらに加えて各搬送ガイド板46の間に不動の搬送ガイド板46を有し、搬送ガイド板46を3分割した態様で備えている。
【0108】
このような構成の湾曲手段27においては、吸着手段44によって封筒S1の本体Saが搬送ガイド板46に吸着されると、湾曲制御手段として機能する制御手段91によって各回動軸28が駆動され、封筒S1の搬送方向から見て平面状をなしていた搬送ガイド板46が、同図に示した状態になって、搬送ガイド板46に吸着されている本体Saをかかる搬送方向から見てU字状のような湾曲した形状とし、封筒S1はこの姿勢を保ったまま搬送される。同図に示されているように、本体Saが湾曲した形状では、封筒S1は、フラップSfが本体Saに対して鋭角の角度で開いた状態となる。そのため、封筒S1がかかる姿勢で搬送されると、爪41は本体SaとフラップSfとの間に容易に進入する。よって、このような構成のフラップ開き装置40は、フラップSfの開き動作の確実性が向上する。
【0109】
搬送ガイド板46又はベルト21と、爪41又はガイド板25との間隔は、上述の形態のように固定であっても良いし、封筒S1の厚み等に応じて可変であっても良く、可変とする場合は、たとえば、ソレノイド等の駆動手段を設けて変位手段とし、これを接離手段42、吸着手段44、ガイド板25の何れか1つ以上に連結し、連結した構成を変位させるように構成する。
【0110】
本発明を適用したフラップ開き装置は画像形成装置に備えられたものに限られず、たとえば単独の装置として構成しても良い。封筒のサイズを入力するサイズ入力手段を設ける場合にはフラップ開き装置自体に備えられた構成としてこれを設ける。
【0111】
上述の構成の移動手段43は、モータが移動制御手段として機能する制御手段91によって動作を制御され、サイズ入力手段として機能する操作パネル92によって入力された封筒S1のサイズに応じて、爪41が、転写紙Sの幅方向において、フラップSfを開くのに適した位置を占めるようになっており、そのためねじ54を備えていないものとして説明したが、手動によって爪41の位置を適切な位置に位置決めする場合には、ねじ54を備え、爪41を手動で適切な位置に移動させた状態でねじ54を締結し、爪41をその位置から移動しないよう固定する。この場合、サイズ入力手段、モータを省略し、支持板52はガイド棒53に螺合でなく摺動自在に係合した構成としても良い。このような構成は、フラップ開き装置を、たとえば、上述のように単独の装置として構成する場合に採用可能である。
【0112】
上述の構成のフラップ開き装置では、封筒を搬送することでフラップ開き部材を封筒に相対移動させ、搬送されている封筒のフラップを開く構成を採用しているが、フラップ開き部材側が動いて封筒に相対移動し、フラップを開くようにしても良い。このような構成の場合は、フラップを開く複数の封筒を積載する積載トレイを有し、この積載トレイ上に積載された最上位の封筒のフラップをフラップ開き部材で開いた後に、封筒に相対移動する排紙部材を、フラップを開かれた最上位の封筒に係合させて積載トレイから排紙する構成であってかかる動作を繰り返し行う構成とすれば、連続的に多数の封筒のフラップを開くことが可能となる。吸着手段は、封筒の本体を、フラップ開き部材に対向する側で吸着するようにする。吸着手段を上下動可能とする上下動手段を設ければ、フラップを開く封筒を上下動手段で積載トレイ上の他の封筒から浮かせた状態としてフラップを開くようにすると、排紙部材を排紙すべき封筒のみに係合させることが容易になる。またこの場合、排紙部材が係合するときに吸着手段による吸着を解除するようにすれば、排紙が良好に行われる。上下動手段を設けることは、積載トレイ側を不動にしても、積載トレイ上の封筒の数によらず、フラップを開かれる封筒の位置を、フラップを開くのに適した位置に移動させることが可能となる点でも好ましい。
【0113】
本発明を適用する定着装置は、上述のようなベルト定着方式を採用したものに限らず、次に述べるようなローラ定着方式を採用したものであっても良い。
図11に、ローラ定着方式を採用した定着装置示す。
【0114】
なお、この定着装置6において、すでに説明した定着装置6に備えられている構成と同様の構成については、適宜かかる構成と同じ符号を付して説明を省略する。また、すでに説明した定着装置6について説明した各制御を行うための構成についても、すでに説明した定着装置6と同様に備えているが、適宜図示及び説明を省略する。また、この定着装置6について説明した構成を、すでに説明した定着装置6に適宜組み合わせて採用することも可能である。
【0115】
この定着装置6は、定着ローラ68と加圧ローラ69とヒータ66の光を効率よく定着ニップ70に集光して定着ニップ70の昇温効率を高める反射板66aとを有している。定着ローラ63は、金属製の基体68bと、基体68bの外周に密着するように支持された無端ベルト68cとを有している。無端ベルト68cはポリイミドをベースとする耐熱性のシート材に金属層や離型層などを積層して構成されたものである。基体68bは、その内部に赤外線ヒータであるヒータ66を配設されているので、金属製となっているが、適宜、耐熱性樹脂、セラミックなどで構成しても良い。基体68bは回転せず、無端ベルト68cは基体68bの外周に沿って移動する態様で、加圧ローラ69に連れ回りする。加圧ローラ69は金属芯金に弾性層を被覆した構成であり、必要に応じてその表層全体若しくは一部に離型層を形成しても良い。この定着装置6において、駆動モータ87に相当する駆動手段は、加圧ローラ69に対して設けられている。
【0116】
以上述べたベルト定着方式、ローラ定着方式の何れの定着装置においても、加熱手段は、いわゆるIH方式といわれる、電磁誘導加熱方式によるものとしても良い。この場合、IHコイルは、たとえば図11に示した定着装置6においては、基体68bに内蔵される場合と、基体68bの外部に配設される場合があるなど、IHコイルの配設位置には種々のパターンがある。また、たとえば図11に示した定着装置6における基体68bや無端ベルト68cなど、搬送部材の材質は、加熱手段の種類や配置場所によって最適なものが選択される。
【0117】
本発明を適用する画像形成装置は、タンデム型であっても、上述した間接転写方式でなく、直接転写方式を採用可能である。また、画像形成装置は、いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム(像担持体)上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することが可能であるし、他にも、シート状の有機感光体等の像担持体上に各色のトナー像を現像するものの色重ね自体は別にある中間転写体(像担持体)を用いる方式、あるいは中間転写体(像担持体)を複数用いる方式、中間色トナーを用いる方式等の画像形成装置にも同様に適用することが可能である
【0118】
その他、画像形成装置は、近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきているが、画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
【0119】
このような画像形成装置に用いる画像形成物質としての現像剤は、二成分現像剤に限らず、一成分現像剤であっても良いし、画像形成物質は定着を必要とする他のものであっても良い。
【0120】
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
【0121】
画像形成装置は、印刷装置であっても良い。印刷装置においては、封筒にインクを付着させて印刷を行う印刷位置よりも、封筒の搬送方向上流側でフラップを開くことが、良好な画像形成すなわち印刷を行う上で好ましい。
【0122】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0123】
20 像担持体
27 湾曲手段
40 フラップ開き装置
41 フラップ開き部材
43 移動手段
44 吸着手段
45 押圧手段
57 転写位置
92 サイズ入力手段
100 画像形成装置
S 記録媒体
S1 封筒
Sa 封筒本体
Sb 境界部
Sf フラップ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特許第3317514号公報
【特許文献2】特開平8−258816号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒との相対移動時に封筒のフラップに係合してフラップを開くフラップ開き部材と、
このフラップ開き部材によって封筒のフラップを開くときに同封筒を吸着された状態とする吸着手段とを有するフラップ開き装置。
【請求項2】
請求項1記載のフラップ開き装置において、
前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒のサイズに応じて、同封筒の延在面内で同封筒と前記フラップ開き部材とが相対移動する方向と交差する方向に前記フラップ開き部材を移動させるための移動手段を有することを特徴とするフラップ開き装置。
【請求項3】
請求項2記載のフラップ開き装置において、
前記移動手段は、前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒のサイズを入力するサイズ入力手段によって入力されたサイズに応じて前記フラップ開き部材を移動させることを特徴とするフラップ開き装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載のフラップ開き装置において、
前記フラップ開き部材によってフラップを開かれる封筒を、前記吸着手段によって吸着した状態で、同封筒と前記フラップ開き部材とが相対移動する方向と交差する断面において湾曲させた状態とする湾曲手段を有することを特徴とするフラップ開き装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載のフラップ開き装置において、
前記フラップ開き部材によってフラップを開かれた封筒本体とフラップとの境界部を押圧してフラップの閉じ癖を矯正するための押圧手段を有することを特徴とするフラップ開き装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載のフラップ開き装置を備え、封筒を含む記録媒体を通紙可能であり、前記フラップ開き部材は、搬送されている封筒のフラップに係合してフラップを開く画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記フラップ開き装置により、記録媒体の搬送方向において像担持体上の像を記録媒体に転写する転写位置よりも上流側で、封筒のフラップを開くことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置であって、請求項5に従属した画像形成装置において、
前記押圧手段により、記録媒体の搬送方向において前記転写位置よりも上流側で、前記境界部を押圧することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−256013(P2011−256013A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132068(P2010−132068)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】