説明

フラビウイルス感染症の治療または予防用のチオフェン類似体

【課題】フラビウイルス科ウイルス感染症の新規治療薬を提供する。
【解決手段】式IA


によって表される化合物、またはその医薬上許容しうる塩および溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、および新規化合物を用いてフラビウイルス感染症を治療または予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肝炎は、世界全域にわたって発生する疾患である。他の既知の原因は存在するが、肝炎は一般的にウイルス性である。ウイルス性肝炎は、群を抜いて肝炎の一般的な形態である。毎年ほぼ750,000人のアメリカ人が肝炎に罹患し、そのうち、150,000人超がC型肝炎ウイルス(「HCV」)に感染する。
【0003】
HCVは、フラビウイルス科に属するプラス鎖のRNAウイルスであり、豚コレラウイルスおよびウシウイルス性下痢性ウイルス(BVDV)を含むペスチウイルス属との密接な関係を有する。HCVは、相補的マイナス鎖のRNA鋳型の産生により複製すると考えられている。前記ウイルスについては効率のよい培養複製システムがないため、HCV粒子は、プールしたヒト血漿から分離され、電子顕微鏡により、約50〜60nmの直径を有することが示された。HCVゲノムは、翻訳時および翻訳後に、成熟ウイルスタンパク質(コア、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5B)に切断される、3009〜3030個のアミノ酸からなるポリタンパク質をコードする約9,600bpの一本鎖プラスセンスRNAである。構造糖タンパク質E1およびE2は、ウイルス脂質包膜中に埋め込まれており、安定なヘテロ二量体を形成していると考えられている。また、構造コアタンパク質はウイルスRNAゲノムと相互作用してヌクレオキャプシドを形成していると考えられている。NS2〜NS5と呼ばれる非構造タンパク質は、ウイルスの複製、ならびにポリメラーゼ、プロテアーゼおよびヘリカーゼを含むタンパク質のプロセシングに関与する、酵素機能を有するタンパク質を含む。
【0004】
HCVの主な汚染源は、血液である。健康問題としてのHCV感染症の重大さは、高リスク群における罹患率により、明らかとなっている。例えば、西欧諸国における血友病者の60%〜90%および静脈内薬乱用者の80%超は、HCVに慢性的に感染している。静脈内薬乱用者については、罹患率は、試験した集団によって約28%〜70%に亘っている。輸血後に関連する新たなHCV感染症の割合は、献血者をスクリーニングするのに用いられる診断手段の進歩により、最近著しく低下している。
【0005】
ペグインターフェロンとリバビリンとの併用は、慢性のHCV感染症に対する最適な治療法である。この治療法は、最も優勢な遺伝子型(1aおよび1b)に感染した患者の大半には、持続性ウイルス学的著効(SVR)をもたらさない。さらに、重大な副作用があると、現在の治療法への遵守が妨げられ、患者によっては、投与の減少または中止が必要となることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、フラビウイルス感染症の治療または予防用の抗ウイルス薬を開発する必要性が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、式I:
【0008】
【化1】

の化合物、またはその医薬上許容しうる塩を提供し、
式中、
は、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、ヒドロキシル、NH、3〜12員複素環またはNHSO6〜18アリールにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはC6〜14アリールであり、
Zは、H、ハロゲン、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜6アルケニル、あるいは非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜6アルキニルであり、
Xは、
【0009】
【化2】

であり、
Mは、
【0010】
【化3】

であり、
は、非置換のまたはR13により1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0011】
【化4】

であるか、あるいはR14により1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COOR、COCOOR、P(O)OROR、S(O)OR、S(O)OR、テトラゾール、CON(R)CH(R)COOR、CONR、CON(R)−SO−R、CONROHおよびハロゲンであり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜12アルキル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルケニル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルキニル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC6〜14アリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC7〜16アラルキル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている6〜18員ヘテロアラルキル、非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている3〜12員複素環、あるいは非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている4〜18員複素環−アルキルであるか、あるいは、RおよびRは、窒素原子と一緒になって、非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている3〜10員複素環か、または、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリールを形成し、ならびに、
およびRは、それぞれ独立して、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜12アルキル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルケニル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルキニル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC6〜14アリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC7〜16アラルキル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている6〜18員ヘテロアラルキル、非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている3〜12員複素環、あるいは非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている4〜18員複素環−アルキルから選択されるか、あるいは、RおよびRは、酸素原子と一緒になって、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されている5〜10員複素環か、または、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリールを形成し、
10は、ハロゲン、オキソ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、ヒドロキシル、C1〜4アルコキシ、ニトロ、ニトロソ、アジド、シアノ、−S(O)0〜2H、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−NHSOH、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキルまたは−NHSO1〜4アルキルであり、
11は、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシ、ニトロ、ニトロソ、アジド、シアノ、−S(O)0〜2H、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−NHSOH、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキルまたは−NHSO1〜4アルキルであり、
12は、ハロゲン、オキソ、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシ、ニトロ、ニトロソ、アジド、シアノ、−S(O)0〜2H、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−NHSOH、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキルまたは−NHSO1〜4アルキルであり、
13は、OH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキル、−NHSO1〜4アルキル、C6〜14アリール、C6〜14アリールオキシまたはC6〜14アリールオキシ−C1〜6アルキルであり、
14は、OH、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−NH−、C1〜6アルキル−CO−N(C1〜6アルキル)−または5〜10員ヘテロアリールであり、
14aは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−、−S(O)0〜21〜4アルキル、5〜10員ヘテロアリールまたはC6〜14アリールである。
その医薬上許容しうる塩。
【0012】
本発明の化合物は、HCVポリメラーゼ阻害剤である。驚くべきことに、本発明に係る、特定の置換パターンを有する化合物は、他のチオフェンHCVポリメラーゼ阻害剤と比べて改善された特性を示すことを見出した。したがって、本発明の化合物はC型肝炎感染症の治療および予防に対して優れた能力を有すると考えられる。
【0013】
他の態様において、本発明の、治療上有効な量の化合物、組成物または組合せを患者に投与することを含む、患者におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防する方法を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明の1以上の化合物および1以上の医薬上許容しうる担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明の化合物ならびにウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤、ウイルスポリメラーゼ阻害剤、ウイルスヘリカーゼ阻害剤、免疫調節薬、抗酸化剤、抗菌剤、治療用ワクチン、肝臓保護薬、アンチセンス薬、HCV NS2/3プロテアーゼの阻害剤、および内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤から選択される1または2以上のさらなる薬剤を含む組合せを提供する。
【0016】
さらなる態様において、患者におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防するための、本発明の化合物、組成物または組合せの使用を提供する。
【0017】
さらに他の態様において、患者におけるウイルスポリメラーゼの活性を阻害または低減するための、本発明の化合物、組成物または組合せの使用を提供する。
【0018】
さらに他の態様において、患者におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防するための薬剤の製造用の、本発明の化合物、組成物または組合せの使用を提供する。
【0019】
一実施形態において、本発明の化合物は、以下の実施形態が、独立して、または組み合わさって示されているものを含む。
【0020】
好ましい化合物または方法の態様によれば、本発明の化合物は、式IA:
【0021】
【化5】

により表されるか、またはその医薬上許容しうる塩であり、
式中、X、YおよびRはそれぞれ、上記で規定した通りである。
【0022】
さらなる好ましい化合物または方法の態様によれば、本発明の化合物は、式IB:
【0023】
【化6】

により表されるか、またはその医薬上許容しうる塩であり、
式中、X、Y、R、RおよびRはそれぞれ、上記で規定した通りである。
【0024】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである。
【0025】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルである。
【0026】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、C1〜6アルキルである。
【0027】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。
【0028】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0029】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、フェニルである。
【0030】
さらなる実施形態によれば、式I中のZは、H、ハロゲン、あるいは非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルである。
【0031】
さらなる実施形態によれば、式I中のZは、H、ハロゲン、あるいは非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜4アルキルである。
【0032】
さらなる実施形態によれば、式I中のZは、HまたはC1〜4アルキルである。
【0033】
さらなる実施形態によれば、式I中のZは、Hまたはメチルである。
【0034】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のYは、COORであり、Rは、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜12アルキル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルケニル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルキニル、あるいは非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC6〜14アリールである。
【0035】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のYは、COORであり、Rは、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキル、あるいは非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC6〜14アリールである。
【0036】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のYは、COORであり、Rは、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜4アルキル、あるいは非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているフェニルである。
【0037】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のYは、COORであり、Rは、H、C1〜4アルキルまたはフェニルである。
【0038】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のYは、COORであり、Rは、H、メチルまたはエチルである。
【0039】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のYは、COORであり、Rは、Hである。
【0040】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、非置換のまたはOH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)もしくは−N(C1〜4アルキル)により1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルである。
【0041】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、4位で置換されているシクロヘキシルである。
【0042】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中、Xは、−NR−CO−Rであり、Rは、4位で置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、カルボニルに対してトランス位にある。
【0043】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、非置換のまたは4位でOH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)もしくは−N(C1〜4アルキル)により置換されているシクロヘキシルである。
【0044】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中、Xは、−NR−CO−Rであり、Rは、非置換のまたは4位で、OH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)もしくは−N(C1〜4アルキル)により置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、カルボニル基に対してトランス位にある。
【0045】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、OH、ハロゲン、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルである。
【0046】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、4位で置換されているシクロヘキシルである。
【0047】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、4位で置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、アミノ基に対してトランス位にある。
【0048】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、4位で、OHまたはC1〜6アルコキシにより置換されているシクロヘキシルである。
【0049】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、
【0050】
【化7】

であり、R14aは、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−、−S(O)0〜21〜4アルキル、ヘテロアリールまたはC6〜14アリールである。
【0051】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、
【0052】
【化8】

であり、R14aは、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−、−S(O)0〜21〜4アルキル、ヘテロアリールまたはC6〜14アリールである。
【0053】
さらなる実施形態によれば、式I、IAおよびIB中のRは、
【0054】
【化9】

であり、R14aは、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。
【0055】
さらなる実施形態によれば、式IまたはIB中、Rは、4位で、OH、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシにより置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、アミノ基に対してトランス位にある。
【0056】
さらなる実施形態によれば、式IまたはIB中、Rは、4位で、OH、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシにより置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、アミノ基に対してトランス位にあり、Rは、非置換のまたは4位で、OH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)もしくは−N(C1〜4アルキル)により置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、カルボニル基に対してトランス位にある。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のあるいはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、Hal(例えば、F)、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−CO−NH−、C1〜4アルキル−CO−N(C1〜4アルキル)−またはトリアゾリルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0058】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、Hal(例えば、F)、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−CO−NH−、C1〜4アルキル−CO−N(C1〜4アルキル)−またはトリアゾリルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0059】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルであり、
は、非置換のまたは4位でOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより置換されているシクロヘキシルであり、
は、4位で、OH、Hal(例えば、F)、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−CO−NH−、C1〜4アルキル−CO−N(C1〜4アルキル)−またはトリアゾリルにより置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0060】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルであり、
は、非置換のまたは4位でOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより置換されているシクロヘキシルであり、
は、4位で、OH、Hal(例えば、F)、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−CO−NH−、C1〜4アルキル−CO−N(C1〜4アルキル)−またはトリアゾリルにより置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0061】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルまたはハロゲン化C1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、HまたはC1〜4アルキルである。
【0062】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシまたはC1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、HまたはC1〜4アルキルである。
【0063】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシまたはC1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、HまたはC1〜4アルキルである。
【0064】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシまたはC1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、HまたはC1〜4アルキルである。
【0065】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のあるいはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルまたはハロゲン化C1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、HまたはC1〜4アルキルである。
【0066】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルまたはハロゲン化C1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COORであり、
は、HまたはC1〜4アルキルである。
【0067】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のあるいは−NH、NHCH、N(CH、もしくはヒドロキシル−NH、NHCH、N(CH、もしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルまたはハロゲン化C1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COOHである。
【0068】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、OH、F、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルまたはハロゲン化C1〜4アルキルにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COOHである。
【0069】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のあるいはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0070】
【化10】

であり、
14aは、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−、−S(O)0〜21〜4アルキル、ヘテロアリールまたはC6〜14アリールであり、
Yは、COORであり、
R7は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0071】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0072】
【化11】

であり、
14aは、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−、−S(O)0〜21〜4アルキル、ヘテロアリールまたはC6〜14アリールであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0073】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のあるいはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0074】
【化12】

であり、
14aは、C1〜6アルキルまたはハロゲン化C1〜6アルキルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0075】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0076】
【化13】

であり、
14aは、C1〜6アルキルまたはハロゲン化C1〜6アルキルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0077】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に、非置換のあるいはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0078】
【化14】

であり、
14aは、C1〜6アルキルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0079】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0080】
【化15】

であり、
14aは、C1〜6アルキルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0081】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、各場合に非置換のあるいはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0082】
【化16】

であり、
14aは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0083】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物は、式(IB)の化合物およびその医薬上許容しうる塩から選択され、式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
は、非置換のまたはOH、C1〜4アルキルおよび/もしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【0084】
【化17】

であり、
14aは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり、
Yは、COORであり、
は、H、C1〜12アルキルまたはC6〜14アリールである。
【0085】
本発明の1つの態様によれば、本発明の化合物は、
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メトキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(シス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;ヒドロクロリド;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−シス−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;および
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−フルオロ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチルシクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸、から選択される。
【0086】
1つの実施形態において、本発明は、本明細書に記載した本発明に係る1以上の化合物および1以上の医薬上許容しうる担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0087】
1つの実施形態において、本発明は、本明細書に記載した本発明に係る1以上の化合物および本明細書に記載した本発明に係る1以上の化合物を含み、さらに、ウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤、ウイルスポリメラーゼ阻害剤、ウイルスヘリカーゼ阻害剤、免疫調節薬、抗酸化剤、抗菌剤、治療用ワクチン、肝臓保護薬、アンチセンス薬、HCV NS2/3プロテアーゼの阻害剤、および内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤から選択される1以上のさらなる薬剤を投与することを含む、医薬組成物を提供する。
【0088】
他の実施形態において、本明細書に記載した本発明に係る1以上の化合物ならびにウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤、ウイルスポリメラーゼ阻害剤、ウイルスヘリカーゼ阻害剤、免疫調節薬、抗酸化剤、抗菌剤、治療用ワクチン、肝臓保護薬、アンチセンス薬、HCV NS2/3プロテアーゼの阻害剤および内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤から選択される1または2以上のさらなる薬剤を含む組合せを提供する。
【0089】
一の組合せの実施形態において、前記化合物およびさらなる薬剤を逐次的に投与する。
【0090】
他の組合せの実施形態において、前記化合物およびさらなる薬剤を同時に投与する。
【0091】
上記の組合せは、医薬製剤の形での使用に対し都合良く提供することができ、したがって、上記で規定した組合せを医薬上許容しうる担体とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を含む。
【0092】
組成物用および組合せ用のさらなる薬剤は、例えば、リバビリン、アマンタジン、メリメポジブ、レボビリン、ビラミジンおよびマキサミンなどである。
【0093】
本明細書で用いる「ウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤」という用語は、哺乳動物におけるHCVセリンプロテアーゼを含むウイルスセリンプロテアーゼの機能を阻害するのに有効な薬剤を意味する。HCVセリンプロテアーゼの阻害剤としては、例えば、WO99/07733(Boehringer Ingelheim)、WO99/07734(Boehringer Ingelheim)、WO00/09558(Boehringer Ingelheim)、WO00/09543(Boehringer Ingelheim)、WO00/59929(Boehringer Ingelheim)、WO02/060926(BMS)、WO2006039488(Vertex)、WO2005077969(Vertex)、WO2005035525(Vertex)、WO2005028502(Vertex)、WO2005007681(Vertex)、WO2004092162(Vertex)、WO2004092161(Vertex)、WO2003035060(Vertex)、WO03/087092(Vertex)、WO02/18369(Vertex)またはWO98/17679(Vertex)に記載されている化合物などがある。
【0094】
本明細書で用いる「ウイルスポリメラーゼ阻害剤」という用語は、哺乳動物におけるHCVポリメラーゼを含むウイルスポリメラーゼの機能を阻害するのに有効な薬剤を意味する。HCVポリメラーゼの阻害剤としては、非ヌクレオシド、例えば、WO03/010140(Boehringer Ingelheim)、WO03/026587(Bristol Myers Squibb)、WO02/100846A1、WO02/100851A2、WO01/85172A1(GSK)、WO02/098424A1(GSK)、WO00/06529(Merck)、WO02/06246A1(Merck)、WO01/47883(Japan Tobacco)、WO03/000254(Japan Tobacco)およびEP1256628A2(Agouron)に記載されている化合物などがある。
【0095】
さらに、HCVポリメラーゼの他の阻害剤としては、ヌクレオシド類似体、例えば、WO01/90121A2(Idenix)、WO02/069903A2(Biocryst Pharmaceuticals Inc.)およびWO02/057287A2(Merck/Isis)およびWO02/057425A2(Merck/Isis)に記載されている化合物などもある。
【0096】
HCVポリメラーゼのヌクレオシド阻害剤の特定の例としては、R1626/R1479(Roche)、R7128(Roche)、MK−0608(Merck)、R1656(Roche−Pharmasset)およびバロピシタビン(Valopicitabine)(Idenix)などがある。
【0097】
HCVポリメラーゼの阻害剤の特定の例としては、JTK−002/003およびJTK−109(Japan Tobacco)、HCV−796(Viropharma)、GS−9190(Gilead)ならびにPF−868,554(Pfizer)などがある。
【0098】
本明細書で用いる「ウイルスヘリカーゼ阻害剤」という用語は、哺乳動物におけるフラビウイルス科ウイルスヘリカーゼを含むウイルスヘリカーゼの機能を阻害するのに有効な薬剤を意味する。
【0099】
本明細書で用いる「免疫調節薬」は、哺乳動物における免疫系の応答を増大または増強するのに有効な薬剤を意味する。免疫調節薬としては、例えば、クラスIインターフェロン(α−、β−、δ−およびΩ−インターフェロン、τ−インターフェロン、コンセンサスインターフェロン、およびアシアロインターフェロンなど)、クラスIIインターフェロン(γ−インターフェロンなど)ならびにペグインターフェロンなどがある。
【0100】
本明細書で用いる「クラスIインターフェロン」という用語は、1型受容体にすべて結合するインターフェロンの群から選択されるインターフェロンを意味する。これは、天然および合成により生成したクラスIインターフェロンを含む。クラスIインターフェロンの例としては、α−、β−、δ−およびΩ−インターフェロン、τ−インターフェロン、コンセンサスインターフェロンならびにアシアロインターフェロンなどがある。本明細書で用いる「クラスIIインターフェロン」という用語は、II型受容体にすべて結合するインターフェロンの群から選択されるインターフェロンを意味する。クラスIIインターフェロンの例としては、γ−インターフェロンなどがある。
【0101】
アンチセンス薬としては、例えば、ISIS−14803などがある。
【0102】
HCV NS3プロテアーゼの阻害剤の特定の例としては、BILN−2061(Boehringer Ingelheim)、SCH−6およびSCH−503034/ボセプレビル(Boceprevir)(Schering−Plough)、VX−950/テラプレビル(telaprevir)(Vertex)およびITMN−B(InterMune)、GS9132(Gilead)、TMC−435350(Tibotec/Medivir)、ITMN−191(InterMune)、MK−7009(Merck)などがある。
【0103】
内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤としては、ISIS−14803(ISIS Pharmaceuticals)およびWO2006019831(PTC therapeutics)に記載されている化合物などがある。
【0104】
一実施形態において、前記さらなる薬剤は、インターフェロンα、リバビリン、マリアアザミ(silybum marianum)、インターロイキン−12、アマンタジン、リボザイム、チモシン、N−アセチルシステインまたはシクロスポリンである。
【0105】
一実施形態において、前記さらなる薬剤は、インターフェロンα 1A、インターフェロンα 1B、インターフェロンα 2Aまたはインターフェロンα 2Bである。
【0106】
インターフェロンは、ペグ形および非ペグ形のものが入手可能である。ペグインターフェロンには、PEGASYS(商標)およびPeg−intron(商標)などがある。
【0107】
慢性C型肝炎に対するPEGASYS(商標)単剤療法の推奨用量は、腹部または大腿部への皮下投与による、48週の間、週1回180mg(1.0mLバイアルまたは0.5mL前充てん注射器)である。
【0108】
慢性C型肝炎に対する、リバビリンと併用する場合のPEGASYS(商標)の推奨用量は、週1回180mg(1.0mLバイアルまたは0.5mL前充てん注射器)である。
【0109】
リバビリンの1日当たりの用量は、2つに分けた用量での経口投与される、800mg〜1200mgである。前記用量は、ベースライン疾患特性(例えば、遺伝子型)、治療に対する反応および治療法の忍容性に応じて、患者ごとに個別化すべきである。
【0110】
PEG−Intron(商標)治療法の推奨用量は、皮下に1年間、1.0mg/kg/週である。前記用量は、同じ曜日に投与すべきである。
【0111】
リバビリンと併用投与する場合、PEG−Intronの推奨用量は、1.5μg/kg/週である。
【0112】
一実施形態において、ウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤は、フラビウイルス科ウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤である。
【0113】
一実施形態において、ウイルスポリメラーゼ阻害剤は、フラビウイルス科ウイルスポリメラーゼ阻害剤である。
【0114】
一実施形態において、ウイルスヘリカーゼ阻害剤は、フラビウイルス科ウイルスヘリカーゼ阻害剤である。
【0115】
さらなる実施形態において、
ウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤は、HCVセリンプロテアーゼ阻害剤であり、
ウイルスポリメラーゼ阻害剤は、HCVポリメラーゼ阻害剤であり、
ウイルスヘリカーゼ阻害剤は、HCVヘリカーゼ阻害剤である。
【0116】
一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の、式Iによる1以上の化合物を宿主に投与することを含む、宿主におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防する方法を提供する。
【0117】
一実施形態において、ウイルス感染症は、フラビウイルス感染症から選択される。
【0118】
一実施形態において、フラビウイルス感染症は、C型肝炎ウイルス(HCV)、ウシウイルス性下痢性ウイルス(BVDV)、豚コレラウイルス、デング熱ウイルス、日本脳炎ウイルスまたは黄熱病ウイルスである。
【0119】
一実施形態において、フラビウイルス科ウイルス感染症は、C型肝炎ウイルス感染症(HCV)である。
【0120】
一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の、本明細書に記載された本発明に係る1以上の化合物を宿主に投与することを含み、ウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤、ウイルスポリメラーゼ阻害剤、ウイルスヘリカーゼ阻害剤、免疫調節薬、抗酸化剤、抗菌剤、治療用ワクチン、肝臓保護薬、アンチセンス薬、HCV NS2/3プロテアーゼの阻害剤、および内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤から選択される1以上のさらなる薬剤を投与することをさらに含む、宿主におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防する方法を提供する。
【0121】
一実施形態において、治療上有効な量の、本明細書に記載された本発明に係る化合物を宿主に投与することを含む、宿主におけるウイルスポリメラーゼの活性を阻害または低減する方法を提供する。
【0122】
一実施形態において、治療上有効な量の、本明細書に記載された本発明に係る化合物を宿主に投与することを含み、1または2以上のウイルスポリメラーゼ阻害剤を投与することをさらに含む、宿主におけるウイルスポリメラーゼの活性を阻害または低減する方法を提供する。
【0123】
一実施形態において、ウイルスポリメラーゼは、フラビウイルス科ウイルスポリメラーゼである。
【0124】
一実施形態において、ウイルスポリメラーゼは、RNA依存性RNAポリメラーゼである。
【0125】
一実施形態において、ウイルスポリメラーゼは、HCVポリメラーゼである。
【0126】
前記組合せは、医薬製剤の形での使用に対して適宜提供することができ、したがって、上記で規定した組合せを医薬上許容しうる担体とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を含む。
【0127】
本発明の方法または本発明の組合せでの使用に対する個々の成分は、別個のまたは配合した医薬製剤で逐次的または同時に投与することができる。
【0128】
一実施形態において、本発明は、宿主におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防するための、本明細書に記載された本発明に係る化合物の使用を提供する。
【0129】
一実施形態において、本発明は、宿主におけるフラビウイルス科ウイルス感染症を治療または予防するための薬剤の製造用の、本明細書に記載された本発明に係る化合物の使用を提供する。
【0130】
一実施形態において、本発明は、宿主におけるウイルスポリメラーゼの活性を阻害または低減するための、本明細書に記載された本発明に係る化合物の使用を提供する。
【0131】
本発明による化合物が立体異性体(例えば、光学異性体(+および−)、幾何異性体(シスおよびトランス)ならびに配座異性体(アキシアルおよびエクアトリアル))として存在し得ることは、当業者により認識されるであろう。そのようなすべての立体異性体は、本発明の範囲に含まれる。
【0132】
本発明による化合物がキラル中心を含み得ることは、当業者により認識されるであろう。したがって、式で表される化合物は、2種の光学異性体(即ち、(+)または(−)鏡像異性体)の形で存在し得る。そのようなすべての鏡像異性体およびラセミ混合物を含むその混合物は、本発明の範囲に含まれる。単一の光学異性体または鏡像異性体は、キラルHPLC、酵素分解およびキラル補助基などの当該技術分野でよく知られている方法により得ることができる。
【0133】
一実施形態において、本発明の化合物は、対応する鏡像異性体を少なくとも95%、少なくとも97%、および少なくとも99%含まない、単一の鏡像異性体の形で提供される。
【0134】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、対応する(−)鏡像異性体を少なくとも95%含まない(+)鏡像異性体の形である。
【0135】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、対応する(−)鏡像異性体を少なくとも97%含まない(+)鏡像異性体の形である。
【0136】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、対応する(−)鏡像異性体を少なくとも99%含まない(+)鏡像異性体の形である。
【0137】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、対応する(+)鏡像異性体を少なくとも95%含まない(−)鏡像異性体の形である。
【0138】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、対応する(+)鏡像異性体を少なくとも97%含まない(−)鏡像異性体の形である。
【0139】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、対応する(+)鏡像異性体を少なくとも99%含まない(−)鏡像異性体の形である。
【0140】
本発明の化合物の医薬上許容しうる塩も提供する。化合物の医薬上許容しうる塩という用語は、医薬上許容しうる無機および有機の酸および塩基から得られるものを意味する。適切な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびベンゼンスルホン酸などがある。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は医薬上許容しうるものでないが、本発明の化合物およびそれらの医薬上許容しうる酸付加塩を得る際の中間体として有用であり得る。
【0141】
アミノ酸から得られる塩も含まれる(例えば、L−アルギニン、L−リシン)。
【0142】
適切な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム)、アンモニウム、NR(RはC1〜4アルカリである)塩、コリンおよびトロメタミンなどがある。
【0143】
本発明に係る化合物に対する以下の言及は、当該化合物およびその医薬上許容しうる塩を含む。
【0144】
本発明の一実施形態において、医薬上許容しうる塩は、ナトリウム塩である。
【0145】
本発明の一実施形態において、医薬上許容しうる塩は、リチウム塩である。
【0146】
本発明の一実施形態において、医薬上許容しうる塩は、カリウム塩である。
【0147】
本発明の一実施形態において、医薬上許容しうる塩は、トロメタミン塩である。
【0148】
本発明の一実施形態において、医薬上許容しうる塩は、L−アルギニン塩である。
【0149】
本発明に係る化合物が様々な多形性形態で存在し得ることは、当業者により理解されるであろう。当該技術分野で知られているように、多形性とは、複数の異なる結晶または「多形」種として結晶化する化合物の能力である。多形とは、固体状態の化合物分子の少なくとも2つの異なる配列または多形性形態を有する化合物の固体結晶相である。いかなる所定の化合物の多形性形態も、同じ化学式または組成により規定され、2つの異なる化合物の結晶構造と同じように化学構造が異なっている。
【0150】
本発明に係る化合物が様々な溶媒和物(solvate)の形態、例えば、水和物で存在し得ることは、当業者によりさらに理解されるであろう。本発明の化合物の溶媒和物は、溶媒分子が、結晶化過程中に化合物分子の結晶格子構造に取り込まれるときにも生成し得る。
【0151】
特に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野において通常の技量を有する者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で言及するすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それら全体の参照により引用される。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先するものとする。さらに、材料、方法および実施例は、例示的なものにすぎず、何ら限定するものではない。
【0152】
「アルキル」という用語は、線状、分枝または環状の炭化水素部分を意味する。「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、分子鎖に1もしくは2以上の二重結合または三重結合を有する線状、分枝または環状の炭化水素部分を意味する。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、アリル、ビニル、アセチレニル、エチレニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘキサトリエニル、ヘプテニル、ヘプタジエニル、ヘプタトリエニル、オクテニル、オクタジエニル、オクタトリエニル、オクタテトラエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキセニル、シクロヘキシジエニルおよびシクロヘキシルを含むが、これらに限定されない。示される場合には、「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、1または2以上の水素原子がハロゲンにより置換されているハロアルキル(例えばハロゲン化アルキル)の場合のように、任意に置換されていてもよい。ハロアルキルの例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、フルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロエチル、クロロエチル、クロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ジクロロフルオロエチルを含むが、これらに限定されない。ハロゲンの他にも、示される場合には、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、例えば、オキソ、−NR、−CONR、=NO−R、NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、−N(R)C(=NR)−NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、S(O)0〜2、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORによって任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0153】
「シクロアルキル」および「シクロアルケニル」という用語は、それぞれ環状炭化水素のアルキルまたはアルケニルを意味し、単環(例えば、シクロヘキシル)、スピロ(例えば、スピロ[2.3]ヘキサニル)、縮合(例えば、ビシクロ[4.4.0]デカニル)および架橋(例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)の炭化水素部分を含むことを意味する。
【0154】
「アルコキシ」、「アルケニルオキシ」および「アルキニルオキシ」という用語は、酸素原子を介して隣接原子に共有結合している、それぞれアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分を意味する。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基と同様に、示される場合には、アルコキシ、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシ基は、任意に置換されていてもよい。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、トリフルオロメトキシおよびネオヘキシルオキシが含まれるが、これらに限定されない。アルコキシ、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシ基は、例えば、ハロゲン、オキソ、−NR、−CONR、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−N(R)CONR、S(O)0〜2、C(O)R、C(O)OR、=NO−R、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORによって任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0155】
「アリール」という用語は、1以上のベンゼノイドタイプの環(即ち、単環または多環であり得る)を含み、示される場合には、1または2以上の置換基で任意に置換されていてもよい炭素環部分を意味する。例として、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、アミノフェニル、アニリニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルまたはビフェニルが含まれるが、これらに限定されない。アリール基は、例えば、ハロゲン、−NR、−CONR、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、S(O)0〜2、任意に置換された5〜12員ヘテロアリール、任意に置換された6〜18員ヘテロアラルキル、任意に置換された3〜12員複素環、任意に置換された4〜18員複素環アルキル、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORにより任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0156】
「アラルキル」という用語は、アルキル、アルケニルまたはアルキニルにより、隣接原子に結合しているアリール基を意味する。アリール基と同様に、示される場合には、アラルキル基もまた、任意に置換されていてもよい。例として、ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、フェネチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、4−フェニルブチルおよびナフチルメチルが含まれるが、これらに限定されない。示される場合には、アラルキル基は、例えば、ハロゲン、−NR、−CONR、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、S(O)0〜2、任意に置換された5〜12員ヘテロアリール、任意に置換された6〜18員ヘテロアラルキル、任意に置換された3〜12員複素環、任意に置換された4〜18員複素環アルキル、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORによって任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0157】
「複素環」という用語は、任意に置換された非芳香族の飽和または部分的に飽和したもので、当該環状部分が酸素(O)、硫黄(S)または窒素(N)から選択される1以上のヘテロ原子により中断されているものを意味する。複素環は、単環式または多環式の環であり得る。例として、アゼチジニル、ジオキソラニル、モルホリニル、モルホリノ、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリジノ、シクロペンタピラゾリル、シクロペンタオキサジニル、シクロペンタフラニルが含まれるが、これらに限定されない。示される場合には、複素環基は、例えば、ハロゲン、オキソ、−NR、−CONR、=NO−R、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C7〜12アラルキル、C6〜12アリール、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、S(O)0〜2、C6〜10アリール、C6〜10アリールオキシ、C7〜10アリールアルキル、C6〜10アリール−C1〜10アルキルオキシ、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORによって、任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0158】
「複素環−アルキル」という用語は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基により隣接原子に結合している、任意に置換されている複素環基を意味する。5〜18員複素環−アルキル部分において、5〜18員は複素環部分とアルキル、アルケニルまたはアルキニル基との双方に存在する原子を意味するものと理解される。例えば、以下の基は、7員複素環−アルキルに含まれる(*は結合点を表す)。
【0159】
【化18】

【0160】
示される場合には、複素環−アルキル基は、例えば、ハロゲン、オキソ、−NR、−CONR、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、S(O)0〜2、C6〜10アリール、C6〜10アリールオキシ、C7〜10アリールアルキル、C6〜10アリール−C1〜10アルキルオキシ、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、=NO−R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORにより、任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0161】
「ヘテロアリール」という用語は、任意に置換されている芳香環部分であって、当該環部分が酸素(O)、硫黄(S)または窒素(N)から選択される1以上のヘテロ原子により中断されているものを意味する。ヘテロアリールは、単環式または多環式の環であり得る。例として、アゼピニル、アジリジニル、アゼチル、ジアゼピニル、ジチアジアジニル、ジオキサゼピニル、ジチアゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、オキシラニル、オキサジニル、オキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピリジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、チアトリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラジニル、チアジアジニル、トリアジニル、チアジニル、チオピラニル、フロイソキサゾリル、イミダゾチアゾリル、チエノイソチアゾリル、チエノチアゾリル、イミダゾピラゾリル、ピロロピロリル、チエノチエニル、チアジアゾロピリミジニル、チアゾロチアジニル、チアゾロピリミジニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリジル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピラジニル、プリニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサチオリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジチオリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、フロピリミジニル、フロピリジル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チエノピリミジニル、チエノピリジル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾピラニル、ピリドピリダジニルおよびピリドピリミジニルが含まれるが、これらに限定されない。示される場合には、ヘテロアリール基は、例えば、ハロゲン、−NR、−CONR、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、S(O)0〜2、C6〜10アリール、C6〜10アリールオキシ、C7〜10アリールアルキル、C6〜10アリール−C1〜10アルキルオキシ、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORにより、任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。
【0162】
「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基により隣接原子に結合している、任意に置換されているヘテロアリール基を意味する。示される場合には、ヘテロアラルキル基は、例えば、ハロゲン、−NR、−CONR、−NRCOR、カルボキシ、−C(=NR)NR、アジド、シアノ、−N(R)C(=NR)NR、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、−N(R)CONR、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、S(O)0〜2、C6〜10アリール、C6〜10アリールオキシ、C7〜10アリールアルキル、C6〜10アリール−C1〜10アルキルオキシ、C(O)R、C(O)OR、NRC(O)R、SONR、NRSO、NRSONR、CRN=ORおよび/またはNRCOORにより、任意に置換されていてもよく、式中、R〜Rは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC2〜4アルキニルである。6〜18員ヘテロアラルキル部分において、前記6〜18員は、複素環部分とアルキル、アルケニルまたはアルキニル基との双方に存在する原子を意味すると理解される。例えば、以下の基は、7員ヘテロアラルキルに含まれる(*は結合点を表す)。
【0163】
【化19】

【0164】
「ハロゲン原子」は、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0165】
「アミジノ」という用語は、−C(=NR)NRを意味し、式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜12アリールおよびC7〜12アラルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換された4〜10員複素環または任意に置換された5〜12員ヘテロアリールを形成している。
【0166】
「グアニジノ」という用語は、−N(R)C(=NR)NRを意味し、式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜12アリールおよびC7〜12アラルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換された4〜10員複素環または任意に置換された5〜12員ヘテロアリールを形成している。
【0167】
「アミド」という用語は、−CONRおよび−NRCORを意味し、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜12アリールおよびC7〜12アラルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素(または−NRCORの場合には窒素原子およびCO基)と一緒になって、任意に置換された4〜10員複素環または任意に置換された5〜12員ヘテロアリールを形成している。
【0168】
「アミノ」という用語は、1または2以上の水素原子を置換することによって得られるアンモニアの誘導体を意味し、−NRを含み、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜12アリールおよびC7〜12アラルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換された4〜10員複素環または任意に置換された5〜12員ヘテロアリールを形成している。
【0169】
「スルホンアミド」という用語は、SONRおよび−NRSOを意味し、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜12アリールおよびC7〜12アラルキルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換された4〜10員複素環または任意に置換された5〜12員ヘテロアリールを形成している。
【0170】
硫黄原子が存在する場合、その硫黄原子は、異なる酸化レベル、即ち、S、SOまたはSOであり得る。そのようなすべての酸化レベルは、本発明の範囲内にある。
【0171】
「独立して」という用語は、置換基が各項目(item)について同じか、または異なり得ることを意味する。
【0172】
「宿主」または「患者」という用語は、ヒトの男性または女性、例えば、小児、若者または成人を意味する。
【0173】
治療に用いるのに必要となる本発明の化合物の量は、選択される個々の化合物だけでなく、投与経路、治療を必要とする状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によっても異なり、最終的には指導医(the attendant physician)または指導獣医の自由裁量であることは、理解されよう。しかし、一般に、適切な用量は、1日当たり約0.1〜約750mg/kg体重の範囲、例えば、0.5〜60mg/kg/日、または例えば、1〜20mg/kg/日の範囲内であろう。
【0174】
所望の用量は、単一用量で、または適当な間隔で投与される分割用量、例えば、1日当たり2、3、4もしくはそれを超える回数の用量として、適宜示され得る。
【0175】
化合物は、例えば、単位剤形当たり10〜1500mg、好都合には20〜1000mg、最も好都合には50〜700mgの有効成分を含む、単位剤形で適宜投与される。
【0176】
理想的には、有効成分は、約1〜約75μM、約2〜50μM、約3〜約30μMという、活性化合物の最高血漿中濃度を達成するように投与すべきである。これは、例えば、任意により生理食塩水中での有効成分の0.1〜5%溶液の静脈内注射、または約1〜約500mgの有効成分を含むボーラスとして経口投与することにより、達成することができる。所望の血中濃度は、約0.01〜約5.0mg/kg/時間を供給するための持続注入により、または約0.4〜約15mg/kgの有効成分を含む間欠注入により、維持することができる。
【0177】
本発明の化合物またはその医薬上許容しうる塩を、同じウイルスに対して活性のある第2の治療薬と併用する場合、各化合物の用量は、その化合物を単独で用いる場合と同じであってもよく、または異なっていてもよい。適当な用量は、当業者により容易に理解されるであろう。
【0178】
治療の用途で、本発明の化合物を未処理の化学物質として投与することは可能であるが、有効成分を医薬組成物として提供することが好ましい。したがって、本発明は、本発明の化合物またはその医薬上許容しうる誘導体、および1または2以上のそれらの医薬上許容しうる担体、ならびに、任意に、他の治療および/または予防の成分を含む、医薬組成物をさらに提供する。前記担体は、製剤の他の成分と適合性があり、その受容者に対して有害でないという意味において、「許容しうる」ものでなければならない。
【0179】
医薬組成物は、経口、直腸、鼻、局所(頬および舌下を含む)、経皮、膣または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)の投与に適するもの、あるいは吸入またはガス注入による投与に適する形態のものを含む。製剤は、適当な場合には、別個の剤形で都合良く提供することができ、薬学の技術分野でよく知られている任意の方法により調製することができる。すべての方法は、活性化合物を液状の担体もしくは微細な固体状の担体またはこれらの両方と結合した状態にし、それから、必要な場合には、生成物を所望の製剤に成形する段階を含む。
【0180】
経口投与に適する医薬組成物は、それぞれ予定量の有効成分を含むカプセル、カシェ剤または錠剤などの別個の剤形として;散剤または顆粒として;液剤、懸濁剤として、あるいは乳剤として、都合良く提供することができる。有効成分は、ボーラス、練り薬またはペースト剤としても提供することができる。経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤または湿潤剤などの従来の賦形剤を含んでいてもよい。錠剤は、当該技術分野でよく知られている方法に従って被覆してもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤もしくはエリキシル剤の形態であってよく、または、使用前の水もしくは他の適切な媒体を伴った構成に対して乾燥品として提供することができる。そのような液体製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水媒体(食用油を含んでもよい)、または保存剤などの従来の添加剤を含んでいてもよい。
【0181】
本発明に係る化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による)用に製剤化されてもよいし、添加保存剤を有する、アンプル、前充てん注射器、少量の注入液(infusion)または多数回投与型容器中の単位剤形として提供してもよい。組成物は、油性または水性の媒体中の懸濁剤、液剤または乳剤のような剤形を採ってもよいし、懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような製剤化剤を含んでもよい。あるいは、有効成分は、使用前の適切な媒体、例えば発熱物質を含まない滅菌水を伴った構成用の粉末の形態であり得、無菌固体の無菌的分離か、または溶液からの凍結乾燥によって得られる。
【0182】
表皮への局所投与のために、本発明に係る化合物は、軟膏剤、クリーム剤またはローション剤として、あるいは経皮貼付剤として製剤化されてもよい。そのような経皮貼付剤は、リナロール、カルバクロール、チモール、シトラール、メントールおよびt−アネトールなどの浸透促進剤を含んでもよい。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、適切な粘稠化剤および/またはゲル化剤の添加により、水性または油性の基剤を用いて製剤化することができる。ローション剤は、水性または油性の基剤を用いて調合することができ、通常、1または2以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤または着色剤も含むであろう。
【0183】
口内局所投与に適する組成物としては、香料基剤(通常、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム)中に有効成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性基剤中に有効成分を含む錠剤;ならびに適切な液体担体中に有効成分を含む口腔洗浄剤などがある。
【0184】
担体が固体である、直腸投与に適する医薬組成物は、例えば、単位用量坐剤として提供される。適切な担体としては、ココアバターおよび当該技術分野で一般的に使用される他の物質が挙げられ、坐剤は、活性化合物を軟化担体または溶融担体と混合した後に、冷却し、型取りすることによって、都合良く形成することができる。
【0185】
膣投与に適する組成物は、有効成分に加えて当該技術分野で適当であると知られているような担体を含む、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤または噴霧剤として提供することができる。
【0186】
鼻内投与のために、本発明の化合物は、液体の噴霧剤または分散性粉剤(dispersible powder)として、あるいは滴剤の形で用いることができる。滴剤は、さらに1つの分散剤、可溶化剤または懸濁化剤も含む、水性または非水性の基剤を用いて製剤化することができる。液体噴霧剤は、加圧パックから都合良く送出される。
【0187】
吸入による投与のために、本発明に係る化合物は、ガス注入器、噴霧器または加圧パックから、あるいはエアゾール噴霧剤を送出する他の好都合な手段により、都合良く送出される。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスのような適切な噴射剤を含んでもよい。加圧エアゾール剤の場合、用量単位は、計測した量を送出するためのバルブを備えることにより決定し得る。
【0188】
あるいは、吸入またはガス注入による投与のために、本発明に係る化合物は、乾燥粉末組成物、例えば、前記化合物と、ラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤との粉末混合物の形態を採り得る。前記粉末組成物は、粉末を吸入器またはガス注入器により投与することができる、例えば、カプセルまたはカートリッジあるいは、例えばゼラチンまたはブリスターパック中に、単位剤形として提供することができる。
【0189】
所望の場合には、有効成分の持続的放出をもたらすように構成された上述の製剤を用いることができる。
【0190】
式(I)の化合物は、式(II):
【0191】
【化20】

の化合物を、式:
【0192】
【化21】

の化合物と、従来のソノガシラ(Sonogashira)カップリング条件下で反応させることによって調製することができ、
式中、
Xは、上記で規定したように、例えば、−NR−CO−Rであり、
、RおよびRは、本明細書で規定した通りであり、Pgは、OHまたはカルボキシル保護基であり、Halは、Cl、BrまたはI(例えば、Br)である。
【0193】
さらなる実施形態において、Pgは、メトキシまたはtert−ブトキシである。
【0194】
さらなる実施形態において、Pgは、メトキシである。
【0195】
ソノガシラカップリング反応は、アセチレン含有化合物を製造するための、十分に確立された方法である。そのようなカップリングの条件は、当該技術分野でよく知られており、例えば、本願の実施例、Yamaguchiら(Synlett、1999年、5号、549〜550頁)、またはTykwinskiら(Angew.Chem.Int.Ed.2003年、第42号、1566〜1568頁)において見出すことができる。
【0196】
本発明はまた、式(I)の化合物の合成に有用であり得る中間体も含む。特定の中間体は、式W
【0197】
【化22】

により表され、
式中、
、Hまたはアミノ保護基(例えば、Boc(tert−ブトキシカルボニル)、Cbz(ベンジルオキシカルボニル))およびPgは、OHまたはカルボキシル保護基である。
【0198】
さらなる実施形態において、Pgは、メトキシまたはtert−ブトキシである。
【0199】
さらなる実施形態において、Pgは、メトキシである。
【0200】
さらなる実施形態において、R2は、Hである。
【0201】
さらなる実施形態において、R2は、Bocである。
【0202】
特定の中間体は、表Aに示した化合物を含むが、これらに限定されない。
【0203】
【表1】

【0204】
本発明のさらなる態様によれば、Xは、式3aまたは10aまたは10bの中間体を用いることを含む、
【0205】
【化23】

である式Iの化合物の調製の方法を提供する。
【0206】
本発明のさらなる態様によれば、Xは、式3aまたは10aまたは10bの中間体を用いることを含む、
【0207】
【化24】

である式Iの化合物の調製の方法を提供する。
【0208】
本発明のさらなる態様によれば、R1が式9aまたは9bの中間体を用いることを含む3,3−ジメチル−ブト−1−イニルである、式Iの化合物の調製の方法を提供する。
【0209】
本発明のさらなる態様によれば、R1が式4aの中間体を用いることを含む3,3−ジメチル−ブト−1−イニルであり、R6が式4aの中間体を用いることを含む4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルである、式Iの化合物の調製の方法を提供する。
【0210】
本発明のさらなる態様によれば、R1が式5aの中間体を用いることを含む3,3−ジメチル−ブト−1−イニルであり、R6が式5aの中間体を用いることを含む4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルである、式Iの化合物の調製の方法を提供する。
【0211】
以下の一般的なスキームおよび実施例は、本発明の様々な実施形態を例示するために記載されており、範囲の限定とみなしてはならない。本発明の他の化合物は、一般的もしくは具体的に記載された反応物および/または以下の実施例で用いる操作条件を代えることによって得られることは、当業者により理解されるであろう。チオフェン化合物を得るための合成方法は、特許出願である米国特許第6,881,741号、2003年12月9日に出願されたUSSN10/730,272、2005年1月26日に出願されたUSSN11/042,442、2006年5月15日に出願されたUSSN11/433,749、WO02/100851、米国第2004−0116509号、WO2004/052885、米国第2005−0009804号、WO2004/052879および米国第2004−0192707号にも記載されている。チオフェンアルキニル化合物は、WO2006/072347およびWO2006/072348にも開示されている。
【0212】
上記において、および以下の実施例において、すべての温度はセ氏温度で補正することなく示し、特に示さない限り、すべての部およびパーセントは重量基準である。
【0213】
下記の略語は、以下のように用いることができる。
Boc tert−ブトキシカルボニル
DCC 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EToAc 酢酸エチル
Hal ハロゲン
LAH 水素化アルミニウムリチウム
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
LDA リチウムジイソプロピルアミド
TLC 薄層クロマトグラフィー
RBO 丸底フラスコ
【0214】
HPLCによる精製はすべて、5μm粒子を充填した逆相C18カラムを用いて行った。カラムの直径は19mmで、長さは100mmであった。溶出剤は、適当な勾配のアセトニトリルおよび3mM濃度のHClを含む水であった。
【0215】
実施例1:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸の調製
【0216】
【化25】

ステップI
3−アミノ−5−ブロモ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(17.0g、72.0mmol)を含む乾燥THF(21mL)の懸濁液を1,4−シクロヘキサンジオンモノエチレンケタール(11.3mg、72.0mmol)で処理し、続いてジブチルチンジクロリド(1.098g、3.6mmol)で処理する。5分後に、フェニルシラン(9.74mL、79.2mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌する。濃縮後、残留物をEtOAcに溶解し、NaHCO、続いて食塩水で洗浄する。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮する。未精製(crude)の物質をヘキサン(500mL)で希釈する。ろ過後、母液を蒸発乾固して、5−ブロモ−3−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デス−8−イルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(24.79g、収率92%)を得る。
参照:WO2004/052885
【0217】
ステップII
A.トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリドの調製:
塩化オキサリル(DCM中2M、117mL)を、トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸(16.6g、117mmol)を含むDCM(33mL)およびDMF(0.1mL)の懸濁液に1滴ずつ加え、反応混合物を室温で3時間攪拌する。DCMを減圧下で除去し、残留物をDCMとともに共蒸発する。残留物をトルエンに溶解し、1M溶液とする。
【0218】
B.標的化合物の調製:
トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリドの1M溶液を、5−ブロモ−3−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(24.79g、65mmol)を含むトルエン(25mL)の溶液に加え、続いてピリジン(5.78mL、71.5mmol)を加える。次いで、得られた混合物を還流下で16時間攪拌する。反応混合物をトルエン(60mL)で希釈し、5℃まで冷却する。ピリジン(12mL)およびMeOH(5.6mL)を加えた後、混合物を5℃で2時間攪拌する。白色懸濁液をろ別し、トルエンを母液に加える。有機相を10%クエン酸、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮する。残留物を沸騰へキサン(1500mL)中で摩砕する。反応混合物を室温まで冷却させる。反応フラスコを氷浴に浸漬し、30分間攪拌する。白色固体をろ別し、冷ヘキサン(225mL)で洗浄する。固体を、20%EtOAc:ヘキサンを溶出剤として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、最終化合物である5−ブロモ−3−[(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチルシクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(10.5g、32%)を得る。
【0219】
ステップIII
5−ブロモ−3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチルシクロヘキサン−カルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(8.6g、17mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、3N HCl溶液(50mL)で処理する。反応物を40℃で3時間攪拌する。反応混合物を減圧下で蒸発させる。残留物をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO水溶液で洗浄する。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、5−ブロモ−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−オキソシクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを固体(7.4g、95%)として得る。
【0220】
ステップIV
雰囲気下、5−ブロモ−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−オキソシクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(5.9g、12.9mmol)を含む50mLのMeOHの冷(0℃)溶液にNaBH(250mg、6.4mmol)を少しずつ加える(約30分)。添加が完結し、TLC(ヘキサン:EtOAc 1:1)により反応の完結を確認した後、10mLのHCl 2%を加え、15分間攪拌する。反応混合物を真空中で濃縮して乾燥する。反応混合物を水(25mL)で回収した(recuperate)後、EtOAcで抽出する。有機相同士を合一し、MgSO上で乾燥し、濃縮乾燥する。残留物を、EtOAc:ヘキサン(1:1)を溶出剤として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−ブロモ−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサン−カルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(4.5g、収率77%)を固体として得る。
【0221】
ステップV
化合物である5−ブロモ−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(500mg、1.09mmol)および3,3−ジメチル−ブト−1−イン(385mg、4.69mmol)を含むDMF(0.5mL)の溶液に、トリエチルアミン(1.06mL)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(70mg、0.08mmol)を加え、反応混合物をN雰囲気下、還流条件下で16時間攪拌する。DMFおよびトリエチルアミンを減圧下で除去し、残留物を水と酢酸エチルとに分配する。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、濃縮し、残留物を酢酸エチルおよびヘキサン(1:2)を溶出剤として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを固体330mg(66%)として得る。
【0222】
ステップVI
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.10g、0.22mmol)をTHF:メタノール:HOの3:2:1混合液(5.0mL)に溶解し、LiOH.HOの1N溶液(0.65mL、0.65mmol)で処理する。60℃で2時間攪拌した後、反応混合物をロータリーエバポレータで、減圧下で濃縮する。混合物を酢酸エチルと水とに分配する。水層を0.1N HClを用いて酸性化する。EtOAc層を分離し、NaSO上で乾燥する。ろ過、およびロータリーエバポレータでの減圧下での溶媒の除去後に、メタノールおよびジクロロメタン(1:9)を溶出剤として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を固体30mg(30%)として得る。ESI(M−H):444.3。
【0223】
実施例2:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メトキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸の調製
【0224】
【化26】

ステップI:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.200g、0.435mmol)を含む乾燥DMF(2.0mL)の溶液に、ヨードメタン(0.136mL、2.18mmol)を加え、混合物を0℃まで冷却し、NaH(油中60%懸濁液、35mg、0.87mmol)を5分間に亘って少しずつ加える。混合物を0℃で1時間40分攪拌し、水の添加により反応を停止させ、2N HClを用いて酸性にした。混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄する。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮する。残留物を、0→50%の酢酸エチルを含むヘキサンで溶出させる、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メトキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(65mg、32%)を得る。
【0225】
ステップII:
ステップIからの5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メトキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを、前述(スキーム1、ステップVI)のように加水分解して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メトキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を固体(65mg、32%)として得る。ESI(M−H):458.3。
【0226】
実施例3:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸
【0227】
【化27】

ステップI
3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(5.0g、31.85mmol)を含む乾燥THF(9mL)の懸濁液を1,4−シクロヘキサンジオンモノエチレンケタール(5.0g、32.05mmol)で処理し、続いてジブチルチンジクロリド(482mg、1.59mmol)で処理する。5分後に、フェニルシラン(4.3mL、34.96mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌する。濃縮後、残留物をEtOAcに溶解し、NaHCOで洗浄し、続いて食塩水で洗浄する。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、濃縮する。残留物を、30%酢酸エチルを含むヘキサンを溶出剤として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、3−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(4.5g、収率47%)を得る。
【0228】
代替法:
3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)をジクロロメタンに溶解し、続いて1,4−シクロヘキサンジオンモノエチレンアセタール(2当量)に溶解して、微黄色溶液を得る。この溶液を、NaBH(OAc)(2.2当量)を含むジクロロメタンの懸濁液に加える。酢酸(2.4当量)を15分間に亘って1滴ずつ加える。得られた懸濁液をN下、20〜25℃で24時間攪拌する。水を加えることにより反応を停止させ、1時間攪拌する。ジクロロメタン層を分離し、水で再び処理し、さらに1時間攪拌する。ジクロロメタン層を分離し、飽和NaHCO溶液に加え、20〜25℃で20分間攪拌する。白色残留固体の一部をろ過し、次いで、有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、蒸発する。メタノールを残留物に加え、蒸発乾固する。残留物をメタノールに溶解し、0℃で2時間攪拌する。懸濁液を真空ろ過し、得られたろ過ケーキを冷メタノールで洗浄する。白色固体を真空下、35〜40℃で約20時間乾燥して、標題の化合物を得る。
【0229】
ステップII
A.トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリドの調製:
塩化オキサリル(ジクロロメタン中2M、17mL)を、トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸(2.3g、16.2mmol)を含むジクロロメタン(5mL)およびDMF(0.1mL)の懸濁液に1滴ずつ加える。反応混合物を室温で3時間攪拌する。揮発物を減圧下で除去して、未精製の酸クロリドを得、これを次の反応に直接用いる。
【0230】
B.トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリドを、3−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(2.4g、8.08mmol)を含むトルエン(18mL)溶液に加え、続いてピリジン(0.7mL)に加える。次いで、得られた混合物を還流下で16時間攪拌する。反応混合物をトルエン(7mL)で希釈し、5℃に冷却する。ピリジン(1.5mL)およびMeOH(0.8mL)を加えた後、混合物を5℃で2時間攪拌する。白色固体をろ過し、トルエンで洗浄する。ろ液を10%クエン酸、NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮する。固体を20%EtOAc:ヘキサンを溶出剤として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(2.3g、68%)を得る。
【0231】
代替法:
窒素下、トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸(1.8当量)を含むトルエンの溶液に無水DMFを加える。反応混合物を攪拌し、塩化チオニル(2.16当量)を3〜5分に亘って加える。次いで、混合物を室温で3時間攪拌する。反応が完結したとき、トルエンを反応混合物に加える。次いで、溶液を、減圧窒素下でその容積の半分まで蒸発させる。溶液をトルエンに溶解して、1N酸クロリド溶液を得る。
【0232】
3−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)およびピリジン(2当量)を酸クロリド(1N)溶液に加える。反応混合物を還流下で15時間攪拌する。反応が完結すると、反応混合物を室温に冷却し、次いで、メタノールおよびトルエンをそれに加える。反応混合物を室温で1時間攪拌し、NaHCOの飽和水溶液を加える。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、約4倍量の溶媒になるまで蒸発する。溶液に、4倍量のヘプタンを攪拌しながら加える。反応フラスコを氷浴中に浸漬し、120分間攪拌し、ベージュ色の固体をろ別し、冷ヘプタンで洗浄し、次いで、真空オーブン中で一晩乾燥して、標題の化合物を得る。
【0233】
ステップIII
n−BuLi(2当量)を、ジイソプロピルアミン(1当量)を含む乾燥THFの冷(−40℃)溶液に、10分に亘って1滴ずつ加える。反応混合物を同じ温度で30分間攪拌する。次いで、3−[(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチルシクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)を含むTHFの溶液を、内部温度を約−40℃に保ちながら1滴ずつ(35分)加える。反応混合物を30分間攪拌し、ヨウ素(2当量)を含むTHFの溶液を1滴ずつ加え、NHClの飽和溶液を加える前に同じ温度で30分間攪拌する。反応混合物を酢酸エチルおよび水で希釈する。有機層を分離し、5%チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄する。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、懸濁液になるまで蒸発させ、次いで、ヘプタンを加える。懸濁液を0℃で30分間攪拌し、ろ過し、ヘプタンで洗浄して、3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):(M+H):548.21
【0234】
ステップIV
窒素下、25mLのRBFに、3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)、ヨウ化銅(0.025当量)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(0.01当量)を加える。DMF、トリエチルアミン(2.5当量)および3,3−ジメチル−ブト−1−イン(2当量)を加え、反応混合物をN雰囲気下、40℃で2時間攪拌する。反応混合物をセライトでろ過し、酢酸エチルで洗浄する。この溶液を水で希釈し、酢酸エチルで2回抽出する。有機相同士を合一し、水で3回洗浄する。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、約2mLまで蒸発し、次いで、8mLのヘプタンを加える。2〜4mLまで蒸発し、氷浴中で冷却する。生成した白色固体をろ過し、ヘプタンで洗浄し、オーブン中で乾燥して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0235】
ステップV
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)をテトラヒドロフランに溶解し、3.6N HCl溶液で処理する。この反応物を40℃で5時間攪拌する。次いで、水を加え、反応混合物を室温に冷却する。反応混合物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出する。合一した抽出物を、25mLの飽和NaHCO水溶液および2×50mLの水で洗浄する。有機層を高粘性油になるまで濃縮し、50mLのヘプタンをこの混合物に加えて所望の化合物を沈殿させ、それをろ過して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0236】
ステップVI
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)をTHFに溶解する。水を反応混合物に加え、−25℃に冷却する。温度を−20℃未満に維持しながらNaBH(0.5当量)を少しずつ加える。この混合物を−25℃で2時間攪拌する。次いで、2N HClを加え、溶液を室温まで加温する。相を分離し、水層をEtOACで洗浄する。有機相同士を合一し、食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮乾燥して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを、異性体の93:7混合物として得る。未精製のシス/トランス混合物をメタノール中で再結晶して、>99%のトランス異性体を得る。
【0237】
ステップVII
既に述べたもの(実施例1、ステップVI)と同じ手順に従って、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):(M−H):444.3
実施例4:
【0238】
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(シス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸および5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサン−カルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸
【0239】
【化28】

ステップI:
3−アミノ−5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(実施例9)(0.387g、1.6mmol)および4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキサノン(0.27g、1.6mmol)を含む乾燥THFの溶液に、ジブチルチンジクロリド(0.024g、0.080mmol)を加え、続いてフェニルシラン(0.276mL、2.2mmol)を加える。この混合物を室温で一晩攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発し、残留物を酢酸エチルで希釈する。有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物を、勾配のある50〜100%酢酸エチルを含むヘキサンを用いたシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0240】
ステップII:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.20g、0.50mmol)を含むトルエン(1mL)溶液に、トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリド1Mの溶液(1.0mL、1.0mmol)、およびピリジン(0.046mL、0.58mmol)を加える。この混合物を105℃で一晩攪拌し、酢酸エチルで希釈する。有機層を、飽和NaHCO(2×)および食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチルに続いて10%MeOH/酢酸エチル)により精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0241】
ステップIII:
上述した(実施例1、ステップVI)ように、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.13g、0.25mmol)を、水酸化リチウムを用いて加水分解し、HPLC精製の後に、純粋な異性体である5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(シス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸および5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):(M+H):497.4
実施例5:
【0242】
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(シス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸および5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサン−カルボニル)−(トランス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸
【0243】
【化29】

ステップI:
3−アミノ−5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.237g、1.0mmol)および4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキサノン(0.170g、1.0mmol)の還元的アミノ化を、ジブチルチンジクロリドおよびフェニルシランを用いて、上述したのと同じ条件下で実施して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0244】
ステップII:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.27g、0.70mmol)を上述のように、トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリドを用いてアシル化して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0245】
ステップIII:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.244g、0.48mmol)を上述した(実施例1、ステップVI)ように、水酸化リチウムを用いて加水分解し、HPLC精製の後に、純粋な異性体である5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(シス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸および5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):(M+H):497.4
実施例6:
【0246】
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸
【0247】
【化30】

ステップI:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.92g、2.0mmol)を含む10mLのCHClの溶液に、0℃のメタンスルホニルクロリド(0.31mL、4.0mmol)を加え、続いてトリエチルアミン(0.56mL、4.0mmol)を加える。反応混合物を室温で24時間攪拌し、水で処理する。水層をCHClで2回抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(シス−4−メタンスルホニルオキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0248】
ステップII:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(シス−4−メタンスルホニルオキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1.16g、2.00mmol)を含む10mLのDMFの溶液に、アジ化ナトリウム(0.65g、10mmol)を加える。反応混合物を50℃で48時間攪拌する。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水で3回、食塩水で1回洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、3−[(トランス−4−アジド−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0249】
ステップIII:
3−[(トランス−4−アジドシクロヘキシル)−(トランス−4−メチルシクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−(3,3−ジメチルブト−1−イニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1.0g、2.0mmol)を含むトリメチルシリルアセチレン(1.4mL、10mmol)の溶液を、マイクロ波で120℃2時間処理する。この混合物を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル)により精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−{(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−[トランス−4−(4−トリメチルシラニル−[1,2,3]トリアゾール−1−イル)−シクロヘキシル]−アミノ}−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0250】
ステップIV:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−{(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−[トランス−4−(4−トリメチルシラニル−[1,2,3]トリアゾール−1−イル)−シクロヘキシル]−アミノ}−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.48g、0.82mmol)を含むTHF(2.0mL)の溶液に、TBAF1.0Mを含むTHF(1.23mL、1.23mmol)を加える。反応混合物を24時間攪拌し、水および飽和塩化アンモニウム溶液で処理する。水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル)により精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0251】
ステップV:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(0.27g、0.52mmol)を上述した(実施例1、ステップVI)ように、水酸化リチウムを用いて加水分解し、HPLC精製の後に、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):(M+H):497.4
【0252】
中間体2:4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキサノン
【0253】
【化31】

ステップI:
メタンスルホン酸1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−8−イルエステル(2.80g、11.9mmol)およびアジ化ナトリウム(3.86g、59.3mmol)を含む50mLの乾燥DMFの混合物を、窒素下、100℃で20時間攪拌する。最終混合物を室温に冷却し、食塩水で希釈し、エーテルで3回抽出する。有機部分を合一し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、8−アジド−1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカンを得る。
【0254】
ステップII:
8−アジド−1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン(1.00g、5.43mmol)と1−(トリメチルシリル)プロピン(3.76mL、27.1mmol)との混合物を、120℃で2時間マイクロ波にかける。混合物を真空下で濃縮して、過剰の1−(トリメチルシリル)プロピンを除去し、未精製の1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−4−トリメチルシラニル−1H−[1,2,3]トリアゾールを得る。
【0255】
ステップIII:
1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−4−トリメチルシラニル−1H−[1,2,3]トリアゾール(1.60g、5.68)を含む41mLの乾燥THFの溶液を、テトラブチルアンモニウムフッ化物を含むTHFの1M溶液(9.0mL、9.0mmol)で処理する。得られた混合物を、窒素下、室温で48時間攪拌する。それをEtOAcで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、水および食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−1H−[1,2,3]トリアゾールを得る。
【0256】
ステップIV:
1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−1H−[1,2,3]トリアゾール(1.06g、5.06mmol)を、中間体1のステップIIIの場合と同じ手段を行って、4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキサノンを白色固体として得る。
【0257】
中間体1:4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキサノン
【0258】
【化32】

ステップI:
メタンスルホン酸1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルエステルを、William、Coll.Med.、Natl.Taiwan Univ.、Taipei、Taiwanの、Cheng Chen Yu、Wu Shou Chien、Hsin Ling Wei、Tam S.による、Journal of Medicinal Chemistry(1992年)、第35巻(12号)、2243〜7頁に従って調製する。
【0259】
ステップII:
メタンスルホン酸1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−8−イルエステル(567mg、2.40mmol)および1,2,4−トリアゾール(232mg、3.36mmol)を含む乾燥DMF(5.00mL)の溶液を、窒素下、室温で水素化ナトリウム60%(125mg、3.12mmol)を用いて処理する。得られた混合物を65℃で72時間攪拌する。それを氷水(75mL)に注ぎ込み、75mLのEtOAcで3回抽出する。有機部分を合一し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮する。この固体を、溶出剤として100%EtOAcから5%MeOH:EtOAcまでの勾配を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、最終化合物である1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾールを白色固体として得る。
【0260】
ステップIII:
1−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール(379mg、1.81mmol)を、THFおよび3N HCl水溶液の1:1混合液(9mL)に溶解する。得られた混合物を40℃で5時間攪拌する。THFの大部分を真空下で除去し、次いで、残りの混合物を塩基性pHに達するまで3N NaOH水溶液を用いて中和する。それを10mLのジクロロメタンで3回抽出する。有機部分を合一し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮して、4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキサノンを白色ワックス状固体として得る。
実施例7:
【0261】
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−フルオロ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸の調製
【0262】
【化33】

5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸(102mg、0.23mmol)を含む乾燥CHCl(2mL)の懸濁液に、DAST(ジエチルアミノスルフルトリフルオリド)(90μL、0.69mmol)を加え、混合物を室温で4時間攪拌する。次いで、それをCHClで希釈し、水を混合物に加え、それを20分間激しく攪拌する。有機画分を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮し、残留物を分取HPLCにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−フルオロ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸を得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):[M+H]:448.30
実施例8:
【0263】
5−(3,3−ジメチルブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチルシクロヘキサンカルボニル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸ヒドロクロリドの調製:
【0264】
【化34】

ステップI:
3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ブロモ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(4.566g、13.58mmol)を含む乾燥DMF(40mL)の溶液に、ヨウ化銅(I)(52mg、0.27mmol)、Pddba(622mg、0.68mmol)およびトリエチルアミン(9.46mL、67.9mmol)を加え、溶液に窒素を10分間通気することによって混合物を脱酸素する。次いで、tert−ブチルアセチレン(6.62mL、54.32mmol)およびBINAP(676mg、1.09mmol)を混合物に加え、それを窒素下60℃で一晩加熱する。この混合物をCHClで希釈し、CHClで洗浄しながらセライトを通してろ過する。ろ液を食塩水で洗浄し、有機画分を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮し、残留物を、ヘキサン中のEtOAcの勾配を用いて溶出させるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
H NMR(CDCl)δ、ppm:1.27(s,9H)、1.51(s,9H)、3.84(s,3H)、7.87(s,1H)、9.24(br.s,1H)
MS実測値(エレクトロスプレー):[M+H]338.17
【0265】
ステップII:
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(4.344g、9.58mmol)を含むCHCl(30mL)の溶液に、トリフルオロ酢酸(30mL)を加え、混合物を室温で一晩攪拌する。次いで、それを蒸発乾固し、得られた残留物をCHClに再溶解し、水性のNaHCOおよび食塩水で洗浄する。有機画分を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、3.135gの未精製の5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
H NMR(CDCl)δ、ppm:1.28(s,9H)、3.80(s,3H)、5.36(br.s,2H)、6.49(s,1H)
MS実測値(エレクトロスプレー):[M+H]238.11
【0266】
ステップIII:
5−(3,3−ジメチルブト−1−イニル)−3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1.512g、5.97mmol)およびN−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−4−オン(1.189g、5.97mmol)を含む2mLの乾燥THFの溶液に、ジブチルチンジクロリド(181mg、0.60mmol)を加え、混合物を窒素下、室温で10分間攪拌する。次いで、フェニルシラン(810μL、6.57mmol)を加え、混合物を室温で24時間攪拌する。さらに595mgのN−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−オン、90mgのジブチルチンジクロリドおよび405μLのフェニルシランを加え、混合物をさらに24時間攪拌する。次いで、混合物をCHClで希釈し、食塩水で洗浄し、有機画分を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、5.142gの未精製の5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(N−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0267】
ステップIV:
トランス−4−メチルシクロヘキシルカルボン酸クロリド(23.88mmol)およびピリジン(2.89mL、35.82mmol)を、ステップIII由来の5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(N−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(5.142g)を含む乾燥トルエン(50mL)の溶液に加える。この混合物を24時間還流し、次いで、それを室温にし、さらなる量のピリジン(1.0mL)およびMeOH(5mL)を加える。次いで、この混合物をCHClで希釈し、食塩水で洗浄し、有機画分を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、可変量の5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(ピペリジン−4−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを含む、5.198gの未精製の5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(N−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0268】
ステップV:
ステップIVの生成物(5.198g)を、30mLのCHClに溶解し、20mLのトリフルオロ酢酸で処理する。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、それを蒸発乾固し、得られた残留物をCHClに再溶解し、水性のNaHCOおよび食塩水で洗浄する。有機画分を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮して、5.340gの未精製の5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(ピペリジン−4−イル)アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0269】
ステップVI:
ステップV由来の生成物(5.340g)を含む1,2−ジクロロエタン(60mL)の溶液に、ホルムアルデヒド(1.94mLの37%水溶液、23.88mmol)を加え、続いて、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.403g、11.34mmol)を20分にわたり少しずつ加える。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、水を混合物に加え、それをCHClで抽出する。有機画分を水性のNaHCOおよび食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮し、0〜10%のMeOHを含むCHClを用いて溶出させるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
【0270】
ステップVII:
ステップVI由来の生成物(281mg、0.61mmol)を上述(実施例1、ステップVI)のように、水酸化リチウムを用いて加水分解し、HPLC精製後に、5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸ヒドロクロリドを得る。
MS実測値(エレクトロスプレー):[M+H]:445.29
実施例9:
【0271】
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサン−カルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸
【0272】
【化35】

ステップI
(実施例3由来の)3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルをテトラヒドロフランに溶解し、3N HCl溶液で処理する。反応物を40℃で3時間攪拌する。反応混合物を減圧下で蒸発させる。混合物をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO水溶液で洗浄する。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、標題の化合物を得る。
【0273】
ステップII
雰囲気下、5−ヨード−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを含むMeOHの冷(0℃)溶液に、NaBHを少しずつ加え、攪拌する。反応が完結した後、2%HClを加え、15分間攪拌する。反応混合物を真空下で濃縮して乾燥する。残留物を水とEtOAcとに分配する。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濃縮乾燥する。残留物を、EtOAc:ヘキサンを溶出剤として用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物を得る。
【0274】
ステップIII
3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルおよびエチニル−トリメチル−シランを含むDMFの溶液に、トリエチルアミンおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)を加え、反応混合物をN雰囲気下、60℃で16時間攪拌する。DMFおよびトリエチルアミンを減圧下で除去し、残留物を水と酢酸エチルとに分配する。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、濃縮し、残留物を、酢酸エチルおよびヘキサン(1:2)を溶出剤として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物を得る。
【0275】
ステップIV
3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−トリメチル−シラニルエチニル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルおよび2−クロロ−2−メチルプロパンをジクロロメタンに溶解し、新たに昇華させた塩化アルミニウムを−78℃で加える。反応混合物を同じ温度で6時間攪拌する。反応混合物を水に注ぎこみ、ジクロロメタンで希釈する。有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、濃縮する。残留物を、酢酸エチルおよびヘキサンを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物を得る。
参照:J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1982年、959〜960頁。
【0276】
ステップV
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサン−カルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを、THF:メタノール:HOの3:2:1混合液に溶解し、LiOH.HOの1N溶液で処理する。60℃で2時間攪拌した後、反応混合物をロータリーエバポレータで減圧下、濃縮する。混合物を、酢酸エチルと水とに分配する。水層を0.1N HClで酸性化する。EtOAc層を分離し、NaSO上で乾燥する。溶媒を除去し、残留物を、メタノールおよびジクロロメタン(1:9)を溶出剤として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題の化合物を得る。
【0277】
【表2−1】

【0278】
【表2−2】

実施例10:
【0279】
HCV RNA依存性RNAポリメラーゼアッセイにおける化合物の評価
以下の参考文献は、参照によりすべて引用される。
1. Behrens, S., Tomei, L., De Francesco, R. (1996) EMBO 15, 12-22
2. Harlow, E, and Lane, D. (1988) Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbord Laboratory. Cold Spring Harbord. NY.
3. Lohmann, V., Korner, F., Herian, U., and Bartenschlager, R. (1997) J. Virol. 71, 8416-8428
4. Tomei, L., Failla, C., Santolini, E., De Francesco, R., and La Monica, N. (1993) J Virol 67, 4017-4026
【0280】
精製した組換えHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5Bタンパク質)を含むin vitroポリメラーゼアッセイを用いて化合物を評価する。HCV NS5Bは、組換えバキュロウイルスをベクターとして用いて昆虫細胞において発現させる。HCV NS5Bタンパク質のクローニング、発現および精製に用いた実験手順を以下に示す。以下は、化合物の試験のためのRNA依存性RNAポリメラーゼアッセイの詳細である。
【0281】
昆虫細胞におけるHCV NS5Bタンパク質の発現:
HCV−Bk株、即ち遺伝子型1bのNS5Bタンパク質全体をコードするcDNAを、プライマーであるNS5Nhe5’(5’−GCTAGCGCTAGCTCAATGTCCTACACATGG−3’)およびXhoNS53’(5’−CTCGAGCTCGAGCGTCCATCGGTTGGGGAG−3’)と、鋳型のプラスミドpCD3.8−9.4とを用いてPCRにより増幅した(Tomeiら、1993年)。NS5Nhe5’およびXhoNS53’は、それぞれそれらの5’末端に2つのNhelおよびXhol部位(下線の配列)を含む。プラスミドpET/NS5Bを産生するために、増幅したDNAフラグメントを細菌発現プラスミドpET−21b(Novagen)に、制限部位NheIおよびXhoIの間でクローニングした。このプラスミドは、プライマーであるNS5B−H9(5’−ATACATATGGCTAGCATGTCAATGTCCTACACATGG−3’)およびNS5B−R4(5’−GGATCCGGATCCCGTTCATCGGTTGGGGAG−3’)を用いてNS5Bコーディング領域をPCR増幅するための鋳型として、後で用いた。NS5B−H9は、プラスミドpET−21bにおける15ヌクレオチドの領域、続いて翻訳開始コドン(ATG)およびNS5Bコーディング領域の5’末端に対応する8ヌクレオチド(アクセッション番号M58335を有するHCV配列におけるnt.7590〜7607)を含む。NS5B−R4は、2つのBamHI部位(下線)、続いてHCVゲノムにおける終止コドンの回りの領域に対応する18ヌクレオチド(nt.9365〜9347)を含む。1.8kbの増幅された配列をNheIおよびBamHIで消化し、前消化されたpBlueBacIIプラスミド(Invitrogen)にライゲーションした。得られた組換えプラスミドをpBac/NS5Bと呼んだ。製造業者のプロトコールに記載されているように、Sf9細胞に、3μgのpBac/NS5Bを1μgの線状化バキュロウイルスDNA(Invitrogen)とともに同時にトランスフェクションした。2回のプラーク精製の後に、NS5B組換えバキュロウイルスBacNS5Bを単離した。組換えNS5Bタンパク質の存在は、大腸菌で発現したNS5Bタンパク質のHisのタグをつけた型に対するウサギポリクローナル抗血清(抗NS5B)を用いて、BacNS5B感染Sf9細胞のウェスタンブロット分析(HarlowおよびLane、1988年)により判定した。このプラーク精製ウイルスによるSf9細胞の感染は、細胞密度1.2×10細胞/mLおよび感染多重度5で、1リットルスピンナーフラスコ中で行った。
【0282】
可溶性組換えNS5Bタンパク質の調製:
Sf9細胞を上述のようにして感染させた。感染から60時間後に、細胞を収集し、それからリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。Lohmannら(1997年)に記載されている方法を数点修正した方法により、総タンパク質を可溶化した。簡単に述べると、タンパク質を溶解緩衝液(LB)I、LBIIおよびLBIIIを用いて、3段階(S1、S2、S3)で抽出した(Lohmannら、1997年)。LBIIの組成は、この段階で可溶化されるNS5Bタンパク質の量を減少させるために0.1%トライトンX−100および150mM NaClを含むように変更した。さらに、タンパク質の構造の完全性を保存するために、プロトコールを通して細胞抽出物の音波処理を避けた。
【0283】
高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)を用いた組換えNS5Bの精製:
S3画分中の可溶性NS5Bタンパク質を希釈して、NaCl濃度を300mMに低下させ、次いで、Behrensら(1996年)により記載されたようにして、それをDEAEセファロースビーズ(Amersham−Pharmacia)とともにバッチ式で4℃で2時間インキュベートした。SW41ローター(Beckman)を用いて25000rpmで4℃15分間遠心分離して、非結合物質を除去した。上清をさらに希釈して、NaCl濃度を200mMに低下させ、その後、FPLC(登録商標)システム(Amersham−Pharmacia)に接続した5mLのHiTrap(登録商標)ヘパリンカラム(Amersham−Pharmacia)上に、1mL/分の流速で加えた。結合タンパク質を、25mLの容積に亘る、0.2〜1Mの連続的なNaCl勾配を用いて、1mL画分に溶出させた。NS5B含有画分は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)と、続く1:2000の希釈度の抗NS5B抗血清を用いたウェスタンブロッティングにより、同定した。陽性画分をプールし、溶出緩衝液を、PD−10カラム(Amersham−Pharmacia)を用いて、50mM NaPO pH7.0、20%グリセロール、0.5%トライトンX−100および10mM DTTに対して交換した。次いで、試料を1mL HiTrap(登録商標)SPカラム(Amersham−Pharmacia)上に0.1mL/分の流速で加えた。結合タンパク質を、15mLの容積に亘る連続的な0〜1M NaCl勾配を用いて、溶出させた。溶出した画分をSDS−PAGEおよびウェスタンブロットにより分析した。あるいは、製造業者により記載されたようなSilver Stain Plusキット(BioRad)を用いた銀染色により、SDS−PAGEの後にタンパク質を可視化した。陽性画分をRdRp活性について試験し(下記を参照)、最も活性が高いものをプールし、40%グリセロール溶液として−70℃で保存した。
【0284】
類似体を評価するために用いたin vitro HCV RdRpフラッシュプレートシンチレーション近接アッセイ(STREP−FLASHアッセイ):
このアッセイは、ストレプトアビジン被覆シンチラント埋込みマイクロタイターFlashplates(商標)(NEN Life Science Products Inc、MA、USA、SMP 103A)の表面に捕捉された、polyrA/ビオチニル化オリゴdT鋳型プライマー中の[H]放射標識されたUTPの取込みを測定することからなっている。簡単に述べると、400ng/μL polyrA溶液(Amersham Pharmacia Biotech)を、20pモル/μLの5’ビオチンオリゴdT15と振とうさせつつ(volume to volume)、混合した。鋳型およびプライマーを95℃で5分間変性させ、次いで、37℃で10分間インキュベートした。アニールされた鋳型−プライマーをその後、Tris−HCl含有緩衝液で希釈し、ストレプトアビジン被覆フラッシュプレートに一晩かけて結合させた。非結合物質を捨て、化合物を10μL溶液に、続いて、50mMのMgCl、100mMのTris−HCl(pH7.5)、250mMのNaClおよび5mMのDTTを含む10μL溶液を加えた。酵素および基質を含む30μL溶液の添加により酵素反応を開始させ、下記の濃度を得た:25μM UTP、1μCi[H]UTPおよび100nMの組換えHCV NS5B。RdRp反応を室温で2時間進行させ、その後、ウェルを250μLの0.15M NaCl溶液で3回洗浄し、37℃で風乾し、液体シンチレーションカウンター(Wallac Microbeta Trilex、Perkin−Elmer、MA、USA)を用いて計数した。
実施例11:
【0285】
細胞に基づくルシフェラーゼリポーターHCV RNA複製アッセイ細胞培養
本発明の化合物は、HCVポリメラーゼ阻害剤である。驚くべきことに、本発明に係る、特定の置換パターンを有する化合物は他のチオフェン類似体と比べて治療指数の改善を示すことが見出された。
【0286】
Huh−7肝臓癌細胞系由来のレプリコン細胞系であるHuh−7、5.2およびETを、Krieger N、Lohmann V、Bartenschlager Rによる、Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture−adaptive mutations.、J.Virol.、2001年、第75巻、4614〜4624頁に一般的に記載されているようにして、培養中で維持した。Huh−7、5.2の細胞は、ネオマイシン遺伝子に加えて、ホタルルシフェラーゼ遺伝子に対する組込みコピーを有する、高度な細胞培養適応性のレプリコンI389luc−ubi−neo/NS3−3’/5.1構成体を含む(Krieger N、Lohmann V、Bartenschlager Rによる、Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture−adaptive mutations.、J.Virol.、2001年、第75巻、4614〜4624頁)。この細胞系は、ルシフェラーゼ活性を測定することにより、HCV RNAの複製および翻訳の測定を可能にする。ルシフェラーゼ活性はこれらの細胞におけるレプリコンRNAのレベルと密接に関連することが以前に示された(Krieger N、Lohmann V、Bartenschlager Rによる、Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture−adaptive mutations.,J.Virol.,2001年、第75巻、4614〜4624頁)。Huh−7、ET細胞系は、ET細胞がより頑健で、NS5Aの代わりにHCV NS4B遺伝子における適応的突然変異を含むことを除いて、Huh−7、5.2細胞系について述べたのと同じ特徴を有する。レプリコンRNAのレベルは活発に増殖しつつある細胞において最高であるため、両細胞系は亜集密(sub-confluent)レベル(<85%)で培養中に維持した。細胞継代に用いた培地は、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸および350μg/mLのG418最終濃度を有する10%ウシ胎児血清を加えられたDMEM(Gibco BRL Laboratories、Mississauga、ON、Canada)からなっている。細胞は、5%COの大気中37℃でインキュベートし、亜集密を維持するために週2回継代した。
【0287】
白色不透明の96ウェルマイクロタイタープレートで1ウェル当たり約3000の生存Huh−7、5.2またはET細胞(100μL)を平板培養した。このアッセイに用いた細胞培地は、G418およびフェノールレッドを含まない点以外は、上述と同じであった。5%COインキュベーター中37℃で3〜4時間のインキュベーション時間の後に、化合物(100μL)を様々な濃度で加えた。次いで、細胞を5%COインキュベーター中37℃でさらに4日間インキュベートした。次いで、培地を除去し、95μLのルシフェラーゼ緩衝液(ルシフェリン基質を含む緩衝界面活性剤)を添加して、細胞を溶解した。少なくとも10分間、細胞溶解産物を室温でインキュベートし、直接光から保護した。ルミノメーター(Wallac MicroBeta Trilux、Perkin Elmer(商標)、MA、USA)を用いて、ルシフェラーゼのカウントのためにプレートを読み取った。
【0288】
化合物当たり2連で11種の濃度を用いた用量反応曲線から、阻害効果の50%阻害濃度(IC50s)を求めた。非線型回帰分析を用いて曲線をデータポイントに適合させ、GraphPad Prismソフトウェア、version 2.0(GraphPad Software Inc.、San Diego、CA、USA)を用いて得られた曲線からIC50sを内挿した。
実施例12:
【0289】
21アミノ酸C末端切断HCV NS5B遺伝子型1b株BK酵素アッセイにおける化合物の評価
以下の参考文献は、参照によりすべて引用される。
○Tomei, L., Failla, C., Santolini, E., De Francesco, R., and La Monica, N. (1993) J Virol 67, 4017-4026
○Lesburg, C. A. et al. Crystal structure of the RNA-dependent RNA polymerasefrom hepatitis C virus reveals a fully encircled active site. Nat. Struct. Biol. 6, 937-943(1999).
○Ferrari, E. et al. Characterization of soluble hepatitis C virus RNA-depen-dent RNA polymerase expressed in Escherichia coli. J. Virol. 73, 1649-1654 (1999).
【0290】
細菌細胞において発現する精製した組換えHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5Bタンパク質)を含むin vitroポリメラーゼアッセイを用いて、化合物を評価する。HCV NS5Bタンパク質のクローニング、発現および精製に用いた実験手順を以下に示す。以下は、化合物を試験するためのRNA依存性RNAポリメラーゼアッセイの詳細である。
【0291】
昆虫細胞におけるHCV NS5Bタンパク質の発現:
HCV NS5Bタンパク質の発現および精製
N末端ヘキサヒスチジンタグを含む21アミノ酸C末端切断HCV NS5B遺伝子型1b株BK酵素(Tomeiら、1993年)を表す組換え可溶形を、大腸菌BL21(DE3)においてクローニングし、発現させた。切断型酵素をLesburgら(1999年)およびFerrariら(1999年)に記載された方法にわずかに修正を加えた方法で精製した。簡単に述べると、可溶性溶菌液をHiTrapニッケルキレート化アフィニティカラム(GE Healthcare、Baie d’Urfe、QC、Canada)上に加えた。イミダゾール勾配を用いて結合酵素を溶出させた。次いで、イミダゾールをPD−10脱塩カラム(GE Healthcare、Baie d’Urfe、QC、Canada)を用いて、プールした活性画分の緩衝液から除去した。さらなる精製は、溶出用のNaCl勾配を用いて陽イオン交換HiTrap SPセファロースカラム(GE Healthcare、Baie d’Urfe、QC、Canada)にタンパク質調製物を流すことにより達成された。その後、PD−10カラムを用いて、緩衝液を10mM Tris pH7.5、10%グリセロール、5mM DTT、600mM NaClに交換した。陽性画分をRNA依存性ポリメラーゼ活性について試験し、最も活性の高い画分をプールし、−70℃で保存した。
【0292】
in vitro NS5Bアッセイ
HCV NS5B重合活性に対する化合物の阻害作用の測定を、ホモ重合RNA鋳型/プライマーを用いて、酵素により、新たに合成したRNAへと取り込まれた放射標識されたUTPの量を評価することによって行った。簡単に述べると、ホモ重合poly rAのRNA鋳型に対してアニールした15−merの5’ビオチニル化DNAオリゴヌクレオチド(Oligo dT)プライマーを、ストレプトアビジン被覆ビーズ(GE Healthcare、Baie d’Urfe、QC、Canada)の表面上に捕捉させる。本質的には、化合物は、20mM Tris−HCl pH7.5、5mM MgCl2、1mM DTT、50mM NaCl、50nMの精製NS5B酵素、250ngのpolyrA/oligodT15(Invitrogen、Burlington、Ontario、Canada)、15μMの非放射標識されたUTP、および1μCiの[H]UTP(3000Ci/mmol、GE Healthcare、Baie d’Urfe、QC、Canada)からなる最終容積50μLの反応混合物中、様々な濃度(0.005〜200μM)で試験した。HCV NS5B酵素の重合活性は、伸長しつつあるプライマーの3’末端上の放射標識された[3H]UTP基質の取込みを測定することによって定量化され、検出は、液体シンチレーションカウンター(Wallac MicroBeta Trilux、Perkin−Elmer(商標)、MA、USA)を用いて、シグナルを数えることにより達成される。
【0293】
[3H]チミジン取込みアッセイ
合計1,000〜2,000の細胞/ウェルを、10%FBS(HyClone Laboratories,Inc.、Logan、Utah)および2mMグルタミン(Life Technologies,Inc.)を添加した150μLの容積のDMEM(Life Technologies,Inc.、Logan、Utah)で、96ウェルクラスタ皿に播種する。ペニシリンおよびストレプトマイシン(Life Technologies,Inc.)は、それぞれ500U/mLおよび50μg/mLの最終濃度となるように加える。5%CO2の大気中37℃で18時間インキュベートした後、培地を除去し、培地で希釈した化合物と交換する。6連の2倍希釈の薬剤を、3つずつ試験する。さらに72時間インキュベートした後、培地中、50μLの容積の[3H]メチルチミジン10μCi/mL溶液(Amersham Life Science,Inc.、Arlington Heights、Ill.;2Ci/mmol)を加え、プレートを37℃でさらに18時間インキュベートする。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2分間トリプシン処理し、Tomtec細胞収集器(Tomtec、Orange、Conn.)を用いてファイバーガラスフィルター上に収集する。フィルターを37℃で1時間乾燥し、4.5mLの液体シンチレーションカクテル(Wallac Oy、Turku、Finland)を含むバッグに入れる。生存複製細胞を示す、[3H]メチルチミジンの蓄積を、液体シンチレーションカウンター(1450−Microbeta、Wallac Oy)を用いて測定する。SOP:265−162−03を参照のこと。この実験のために、用いた細胞系は、Huh−7ET(Huh−7細胞系(肝細胞癌、ヒト)由来で、HCVサブゲノムレプリコンを含む細胞)、Molt−4(末梢血液、急性リンパ球性白血病、ヒト)、DU−145(前立腺癌、脳への転移、ヒト)、Hep−G2(肝細胞癌、ヒト)およびSH−SY5Y(神経芽細胞腫、ヒト)細胞である。
【0294】
データ解析
細胞毒性に関する50%細胞毒性濃度(CC50s)は、化合物当たり6〜8種の濃度をそれぞれ3つずつ用いて用量反応曲線から求める。非線型回帰分析を用いて曲線をデータポイントに適合させ、GraphPad Prismソフトウェア、version 2.0(GraphPad Software Inc.、San Diego、CA、USA)を用いて得られた曲線からIC50値を内挿する。
【0295】
TI:実施例12からのHCVレプリコン細胞(Huh−7ET細胞)におけるCC50/IC50の比。化合物を2回以上試験する場合、TIの平均値を示す。
【0296】
表2に、他のチオフェンHCVポリメラーゼ阻害剤と比較した、本発明の代表的な、選択された化合物の治療指数(TIs)を示す。
【0297】
【表3−1】

【0298】
【表3−2】

【0299】
化合物A〜Iは、米国特許第6,881,741号、WO02/100851、WO2004/052885またはWO2006/072347に記載されているようにして合成することができる。
実施例13:
【0300】
ヒトおよびラットのミクロソームにおける安定性ならびに培養ヒト肝細胞における誘導
本発明に係る、特定の置換パターンを有する化合物は、他のチオフェン類似体と比べて、ヒト肝細胞における改善されたミクロソーム安定性および/または誘導を示す。例えば、化合物1および2は、化合物Eと比べて、より優れたミクロソーム安定性プロファイルおよび誘導プロファイルを示した。
【0301】
ヒトおよびラットのミクロソームにおける安定性
各化合物を、肝ミクロソーム中(1.6mg/mL)で、酸化的およびグルクロン酸抱合の条件下(1.5mM NADPHおよび1.5mM UDPGAを含むリン酸緩衝液、pH=7.4)、37℃でインキュベートする。NADPHもUDPGAも含まないインキュベーション(incubations)を対照として用いる。化合物は、50μMで0および60分間インキュベートする。等量のアセトニトリルを加えることにより、反応を停止させる。混合物を遠心分離し、上清をHPLC/UVまたはMS/MSによって分析する。残っている親化合物のパーセントは、0分のインキュベーションでの親化合物の面積に対する60分のインキュベーションでの親化合物の面積に、100を掛けたものに相当する。
【0302】
培養ヒト肝細胞における誘導
誘導は、凍結保存または新たに培養したヒト肝細胞において実施する。細胞をコラーゲン上で48時間培養する。この期間の後に、細胞に試験化合物または陽性対照誘導物質であるリファンピシンを含む、新たに添加された(spiked)インキュベーション培地を投与する。インキュベーションにおける試験化合物の最終濃度は、1、10および100mMであるが、陽性対照は10mMで試験する。陰性対照(NC)は、0.1%DMSOの最終含量で細胞をインキュベートすることからなっていた。細胞処理は、毎日交換した試験化合物または対照誘導物質を添加した(spiked)新たなインキュベーション培地を用いて合計48時間行う。誘導期間の終了時に、誘導物質を含む培地を除去し、細胞を12mM HEPES、pH7.4を含む200μLのKrebs−Henseleit緩衝液(KH緩衝液)で2回洗浄する。次に、CYP3A4の誘導を、基質としてのテストステロンを用いた活性により、およびmRNAレベルにより測定する。CYP3A4活性については、200mMテストステロンを添加した(spiked)新たなKH緩衝液を加え、細胞を37℃で30分間インキュベートする。インキュベーション時間の終了時に、培地を除去し、6−ベータ−ヒドロキシテストステロン定量用のHPLC/MSにより分析する。最大誘導(100%誘導)は、10mMリファンピシン処理により測定する。試験化合物がCYP3A4誘導を引き起こす能力は、標準的な誘導物質を用いて得られた最大誘導に対するパーセントとして表す。mRNAレベルの測定については、肝細胞を収集し、Qiagen RNeasy Purificationキット(Mississauga、ON)を用いて、製造業者の指示に従って全RNAを調製する。肝細胞のcDNAは、M−MLV逆転写酵素(Invitrogen、Carlbad、CA)を用い、ユニバーサルプライマー(Roche Diagnostic、Germany)により全RNAから合成する。全RNA試料中での特異的なmRNA発現の分析は、Applied BiosystemのABI Prism 7700配列検出システムを用いた定量的リアルタイムPCRにより実施する。CYP3A4に用いたプライマーは、フォワードプライマーが5’−TCA GCC TGG TGC TCC TCT ATC TAT−3’であり、リバースプライマーが5’−AAG CCC TTA TGG TAG GAC AAA ATA TTT−3’である。用いたプローブは、5’−/56−FAM/TCC AGG GCC CAC ACC TCT GCC T/36−TAMSp/−3’であった。データを、実時間検出により、リボソームの18S mRNA(VIC)に対して標準化する。データ解析および統計学的アッセイは、Microsoft(登録商標)Excelを用いて行う。結果は、以下の式による、対照群と比較した、倍率変化の(fold change)遺伝子発現として報告することができる。
ΔCt=Ct FAM − Ct VIC
ΔΔCt=ΔCt薬剤候補 − ΔCt対照
誘導率(Fold Induction):2−ΔΔCt
【0303】
上記の実施例は、上記の実施例で用いたものについて、本発明の一般的または具体的に述べた反応物および/または操作条件を代えることによって、同様な成功をもって繰り返すことができる。
【0304】
前述のことから、当業者は、本発明の本質的特性を容易に確かめることができ、その精神および範囲から逸脱することなく、それを様々な使用および条件に適応させるために本発明の様々な変更および修正を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IA:
【化1】

式中、
は、C1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルであり、
Xは、
【化2】

であり、
Mは、
【化3】

であり、
は、非置換のまたはR13により1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
は、
【化4】

であるか、あるいは4位でR14により置換されているシクロヘキシルであり、
Yは、COOR、COCOOR、P(O)OROR、S(O)OR、S(O)OR、テトラゾール、CON(R)CH(R)COOR、CONR、CON(R)−SO−R、CONROHおよびハロゲンであり、
、RおよびRは、それぞれ独立して、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜12アルキル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルケニル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルキニル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC6〜14アリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC7〜16アラルキル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている6〜18員ヘテロアラルキル、非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている3〜12員複素環、あるいは非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている4〜18員複素環−アルキルであるか、あるいは、RおよびRは、窒素原子と一緒になって非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている3〜10員複素環、または、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリールを形成し、ならびに
およびRは、それぞれ独立して、H、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC1〜12アルキル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルケニル、非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されているC2〜12アルキニル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC6〜14アリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されているC7〜16アラルキル、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリール、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている6〜18員ヘテロアラルキル、非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている3〜12員複素環、あるいは非置換のまたはR12により1回もしくは2回以上置換されている4〜18員複素環−アルキルから選択されるか、あるいは、RおよびRは、酸素原子と一緒になって非置換のまたはR10により1回もしくは2回以上置換されている5〜10員複素環、または、非置換のまたはR11により1回もしくは2回以上置換されている5〜12員ヘテロアリールを形成し、
10は、ハロゲン、オキソ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、ヒドロキシル、C1〜4アルコキシ、ニトロ、ニトロソ、アジド、シアノ、−S(O)0〜2H、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−NHSOH、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキルまたは−NHSO1〜4アルキルであり、
11は、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシ、ニトロ、ニトロソ、アジド、シアノ、−S(O)0〜2H、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−NHSOH、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキルまたは−NHSO1〜4アルキルであり、
12は、ハロゲン、オキソ、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシ、ニトロ、ニトロソ、アジド、シアノ、−S(O)0〜2H、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−NHSOH、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキルまたは−NHSO1〜4アルキルであり、
13は、OH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)、−CONH、−CONH(C1〜4アルキル)、−CON(C1〜4アルキル)、−NHCOH、−N(C1〜4アルキル)COH、−N(C1〜4アルキル)COC1〜4アルキル、−NHCOC1〜4アルキル、−C(O)H、−C(O)C1〜4アルキル、カルボキシ、−C(O)OC1〜4アルキル、−S(O)0〜21〜4アルキル、−SONH、−SONH(C1〜4アルキル)、−SON(C1〜4アルキル)、−N(C1〜4アルキル)SOH、−N(C1〜4アルキル)SO1〜4アルキル、−NHSO1〜4アルキル、C6〜14アリール、C6〜14アリールオキシまたはC6〜14アリールオキシ−C1〜6アルキルであり、
14は、OH、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−NH−、C1〜6アルキル−CO−N(C1〜6アルキル)−またはヘテロアリールであり、
14aは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−CO−、−S(O)0〜21〜4アルキル、ヘテロアリールまたはC6〜14アリールである、
で表される化合物、またはその医薬上許容しうる塩。
【請求項2】
YがCOORであり、RがH、メチルまたはエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YがCOORであり、RがHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
14がOH、フルオロ、C1〜6アルコキシまたはトリアゾールである、請求項1、2または3に記載の化合物。
【請求項5】
14がOH、−OCH、1,2,3トリアゾールまたは1,2,4トリアゾールである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が非置換のまたはNH、NHCH、N(CHもしくはヒドロキシルにより1回もしくは2回以上置換されているC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がC1〜6アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
Xが−NR−CO−Rであり、Rが非置換のまたは4位でOH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)もしくは−N(C1〜4アルキル)により置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基は、カルボニル基に対してトランス位にある、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が非置換のまたはOH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)もしくは−N(C1〜4アルキル)により1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が4位でOH、ハロゲン、C1〜6アルキル、ハロゲン化C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン化C1〜6アルコキシ、シアノ、ニトロ、−NH、−NH(C1〜4アルキル)または−N(C1〜4アルキル)により1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
が4位でC1〜6アルキルにより置換されているシクロヘキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
が4位で−CHにより置換されているシクロヘキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
がOH、ハロゲン、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
が4位でOH、ハロゲン、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が4位で置換されているシクロヘキシルであり、前記4位の置換基がアミノ基に対してトランス位にある、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
が4位でOHまたはC1〜6アルコキシにより置換されているシクロヘキシルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
が4位でOHにより置換されているシクロヘキシルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
が4位でOCHにより置換されているシクロヘキシルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
が4位でOHまたはC1〜6アルコキシにより置換されているシクロヘキシルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
が4位でOHにより置換されているシクロヘキシルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項23】
が4位でOCHにより置換されているシクロヘキシルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項24】
がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり、
が非置換のまたはOH、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシにより1回もしくは2回以上置換されているシクロヘキシルであり、
がOH、F、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルまたはハロゲン化C1〜4アルキルにより置換されているシクロヘキシルであり、
YがCOOHである、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項25】
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メトキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(シス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;ヒドロクロリド;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(4−シス−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−(トランス−4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−[(トランス−4−フルオロ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸、
より選択される化合物、またはその医薬上許容しうる塩。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の1以上の化合物および1以上の医薬上許容しうる担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の1以上の化合物および1以上のさらなる薬剤を含む、医薬組合せ。
【請求項28】
前記1以上のさらなる薬剤がウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤、ウイルスポリメラーゼ阻害剤、ウイルスヘリカーゼ阻害剤、免疫調節薬、抗酸化剤、抗菌剤、治療用ワクチン、肝臓保護薬、アンチセンス薬、HCV NS2/3プロテアーゼの阻害剤、および内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤から選択される、請求項27に記載の医薬組合せ。
【請求項29】
前記1以上のさらなる薬剤がリバビリンおよびインターフェロン−αから選択される、請求項28に記載の医薬組合せ。
【請求項30】
前記1以上のさらなる薬剤がリバビリンおよびペグインターフェロン−αから選択される、請求項28に記載の医薬組合せ。
【請求項31】
宿主におけるC型肝炎ウイルス感染症を治療するための、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
1以上のさらなる薬剤を投与することをさらに含む、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記1以上のさらなる薬剤がウイルスセリンプロテアーゼ阻害剤、ウイルスポリメラーゼ阻害剤、ウイルスヘリカーゼ阻害剤、免疫調節薬、抗酸化剤、抗菌剤、治療用ワクチン、肝臓保護薬、アンチセンス薬、HCV NS2/3プロテアーゼの阻害剤、および内部リボソーム侵入部位(IRES)の阻害剤から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記1以上のさらなる薬剤がリバビリンおよびインターフェロン−αから選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記1以上のさらなる薬剤がリバビリンおよびペグインターフェロン−αから選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
前記宿主がヒトである、請求項31〜35のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デス−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロ−ヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;または
3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−トリメチル−シラニルエチニル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル、
から選択される、化合物。
【請求項38】
請求項1〜25に記載の化合物の合成のための、下記化合物
3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デス−8−イル)−(トランス−4−メチル−シクロ−ヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−シクロヘキシルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
5−(3,3−ジメチル−ブト−1−イニル)−3−アミノ−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;
3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−ヨード−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル;または
3−[(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−(トランス−4−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−トリメチル−シラニルエチニル−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル、
の使用。

【公開番号】特開2012−6966(P2012−6966A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−188667(P2011−188667)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【分割の表示】特願2009−536570(P2009−536570)の分割
【原出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(505012911)ヴァイロケム ファーマ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】