説明

フラビウイルス感染症ワクチンおよびフラビウイルス感染症ワクチン用アジュバント

【課題】フラビウイルス感染症ワクチン用アジュバントおよびそれを用いた効果的且つ安全な1回接種用フラビウイルス感染症ワクチンの提供。
【解決手段】安全なフラビウイルス抗原、およびポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子または水酸化アルミニウムゲルを効果的なアジュバントとして含有するフラビウイルス感染症ワクチン、並びにポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるフラビウイルス感染症ワクチン用アジュバント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラビウイルス感染症ワクチンおよびフラビウイルス感染症ワクチン用免疫助成剤(アジュバント)を含有する1回接種用のフラビウイルス感染症ワクチンに関する。詳しくは、アジュバントとして生分解性γ−PGAナノ粒子(γ−PGA−NP)または水酸化アルミニウムゲルを用いて感染防御免疫能を増強し、1回接種することで複数回接種した場合と同程度にフラビウイルス感染症を予防するためのフラビウイルス感染症ワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
フラビウイルスは、1本鎖のプラス鎖RNAをゲノム(約11kb)とするRNAウイルスである。このウイルスには、日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、およびセントルイス脳炎ウイルスが含まれる。フラビウイルスは、脊椎動物に広く存在し、その多くは蚊やダニを介して伝播する。脊椎動物への感染の多くは不顕性であるが、まれに、脳炎などによって特徴付けられる中枢神経系の病気に代表される重篤な病気を引き起こすことがある。世界的には毎年非常に多くの臨床例および死亡例が報告されており、近年の日本においてはフラビウイルス感染症の患者は少なくなったものの、海外の感染地域からの日本上陸が強く懸念されており、感染の蔓延を予防する方策が強く求められている。
【0003】
フラビウイルスの感染を予防するために、有効なワクチンの開発が急務である。
日本脳炎(以下、JEともいう)を例に採ると、財団法人阪大微生物病研究会は、北京1株からホルマリン不活化マウス脳由来JEワクチン(以下、JEワクチン、JEワクチンビケンともいう)を製造し、主に日本で配給している。当該研究会はまた、日本脳炎ウイルス(以下、JEVともいう)中山株からの、別のマウス脳由来JEワクチン(JE−VAX)も製造した。JE−VAXは商業的に配給されており、国際的に広く利用可能である(非特許文献1)。
国際的には、JE−VAXワクチンの推奨される投与スケジュールは、0、7、および30日目のそれぞれに計3回の接種であり、最初のシリーズ後に、さらに追加免疫のワクチン接種をする必要があるが最適な時期は充分に解決されていない。
日本において、子供のJEワクチンの接種は法律で義務付けられている。最初の一連の免疫は、90ヶ月齢までに3回のワクチン接種、ならびに9歳から12歳までの間に単回の追加免疫接種が必要とされている。日本政府は、JEVに対する免疫性を維持するために、更に付加的な定期的追加免疫を推奨している。このように現行の日本脳炎ワクチンの問題点は、複数回の基礎免疫、さらに追加免疫を要することは不便かつ不快であり、JEの突然の大流行やJEV感染のリスクが高い地域への急な旅行のような緊急の状況で短期間でJE予防を殆ど与えないことである。それゆえ、JEVに対する有効な1回接種用ワクチンの開発が非常に必要とされている。
しかし、これらフラビウイルス感染症ワクチンにおいては有用なアジュバントは、未だ開発されていない。
【0004】
ワクチンにおける使用のために数多くのアジュバントが評価されてきた。しかしながら、殆どが認容出来ない毒性レベルを有し、日本で一般に臨床使用される唯一のアジュバントはアルミニウムベースのミネラル塩(アルミニウムアジュバント;alum)である。
γ−PGAは、伝統的日本食である納豆の天然成分であり、納豆菌の特定の株によって産生される細菌の被膜エキソポリマーである(非特許文献2〜5)。本発明者等は、生分解性(γ−PGA)−グラフト−L−フェニルアラニン(L−PAE)コポリマー(γ−PGAナノ粒子[γ−PGA−NP])を作り出し、γ−PGA−NPは、天然起源、水溶性、生分解性、且つ安全であるため、医療用途にたいへん適しており、薬物送達、組織工学において、ならびに感熱性ポリマーとしての用途を提案している。
【非特許文献1】Kurane I.他,Vaccine,2000;18 Suppl 2:p33−35
【非特許文献2】Akagi T.他,Macromol Biosci,2005;5(7):p598−602
【非特許文献3】Akagi T.他,J Control Release,2005;108(2−3):p226−236
【非特許文献4】Akagi T.他,J Biomater Sci Polym Ed,2006;17(8):p875−92
【非特許文献5】Akagi T.他,Biomaterials,2007;28(23):p3427−3436
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、安全且つ効果的なフラビウイルス感染症ワクチン用アジュバントを含有する1回接種で感染防御可能なフラビウイルス感染症ワクチンの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、日本脳炎ワクチンのように基礎免疫に際して複数回接種を要するフラビウイルスワクチンについて1回接種で数回接種と同程度の免疫防御能を得ることができる1回接種法の開発を目指している。また、ワクチン製造の安全性を向上するために日本脳炎ウイルスを不使用とする安全な次世代ワクチンの開発も必要である。そこで、既存の日本脳炎ワクチン、或いは日本脳炎ウイルスを使用せずに製造可能でワクチン効果を有する日本脳炎中空粒子(JE−VLP)あるいはウエストナイル中空粒子を用いて、アジュバント併用による1回接種用ワクチン開発を開始した。アジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲルと納豆菌由来のγ−PGAをL−エチルアラニンエチルエステルで部分疎水修飾させ両親媒化することにより作製したγ−PGA−NPを用いた。フラビウイルスワクチンにアジュバントとして当該ナノ粒子を加えることにより、1回接種で充分な感染防御免疫を誘導することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本願発明は、以下に示す通りである。
【0007】
[1]フラビウイルス感染症を予防するためのフラビウイルス抗原、およびアジュバントを含有するフラビウイルス感染症ワクチン。
[2]アジュバントがポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子である、上記[1]記載のワクチン。
[3]アジュバントが水酸化アルミニウムゲルである、上記[1]記載のワクチン。
[4]水酸化アルミニウムゲルが炭酸ナトリウムと硫酸アルミニウムカリウムから調製されたものである、上記[3]記載のワクチン。
[5]1回接種することでフラビウイルス感染症を予防するためのワクチンである、上記[1]〜[4]いずれかに記載のワクチン。
[6]フラビウイルスが日本脳炎ウイルスおよび/またはウエストナイルウイルスである、上記[1]〜[5]いずれかに記載のワクチン。
[7]フラビウイルス抗原がフラビウイルス様中空粒子である、上記[1]〜[6]いずれかに記載のワクチン。
[8]フラビウイルス抗原がウイルス全粒子である、上記[1]〜[6]いずれかに記載のワクチン。
[9]ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)、ポリアスパラギン、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、上記[2]、[5]〜[8]いずれかに記載のワクチン。
[10]ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、上記[2]、[5]〜[9]いずれかに記載のワクチン。
[11]ポリアミノ酸が両親媒化されている、上記[2]、[5]〜[10]いずれかに記載のワクチン。
[12]ポリアミノ酸がポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体である、上記[2]、[5]〜[11]いずれかに記載のワクチン。
[13]ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるフラビウイルス感染症ワクチン用アジュバント。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアジュバントは、フラビウイルス感染症ワクチン用の効果的且つ安全なアジュバントである。γ−PGA−NPまたは水酸化アルミニウムゲルをアジュバントとするフラビウイルス抗原を含有する本発明のフラビウイルス感染症ワクチンは、従来のプレーンワクチンを複数回接種した場合と同程度の充分な感染防御免疫を1回接種することで誘導することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、フラビウイルス感染症を予防するためのフラビウイルス抗原、およびアジュバントを含有するフラビウイルス感染症ワクチンを提供する。
【0010】
詳細には本発明は、フラビウイルス抗原、およびポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子を含有するフラビウイルス感染症ワクチンを提供する。該ワクチンは1回接種で充分な効果を有するため、その使用は1回接種が好ましい。
【0011】
本発明はまた、フラビウイルス抗原、および水酸化アルミニウムゲルを含有するフラビウイルス感染症ワクチンを提供する。該ワクチンは1回接種で充分な効果を有するため、その使用は1回接種が好ましい。
【0012】
本発明においてフラビウイルスとは、フラビウイルス科フラビウイルス属に属するウイルスであり、例えば、日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、およびセントルイス脳炎ウイルスなどが挙げられる。特に好ましくは、日本脳炎ウイルスまたはウエストナイルウイルスである。フラビウイルスの亜型は、特に限定されず、これまで単離された亜型であっても将来単離される亜型であってもよい。
【0013】
本発明のワクチンに含まれるフラビウイルス抗原とは、前記フラビウイルスを構成する種々の成分の少なくとも一部であれば特に限定されるものではなく、Mタンパク質およびEタンパク質をはじめとするウイルスサブユニットでもよく、ウイルス全粒子でもよい。あるいは、フラビウイルス抗原は、フラビウイルスを使用せずに製造可能でワクチン効果を有すると報告されているフラビウイルス様中空粒子(以下、VLPともいう)であってもよい。免疫原性の観点から、VLPまたは全ウイルス粒子が好ましい。全ウイルス粒子に関しては、ホルマリン等により不活化された全ウイルス粒子が安全性の観点からより好ましい。本発明のフラビウイルス感染症ワクチンに含まれるフラビウイルス抗原は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、複数の亜型に由来する1種の抗原を用いてもよい。
【0014】
上記フラビウイルス抗原が日本脳炎ウイルス抗原の場合、その製法は以下のようになる。
抗原がウイルス全粒子の場合、例えば、日本脳炎ワクチンビケンの製法と同様に、日本脳炎ウイルスに感染したマウスの脳乳剤を硫酸プロタミンで処理し、ウイルスを分離、精製し、これをホルマリンで不活化した後、超遠心法で精製しTCM−199で希釈するなどすればよい。あるいは、例えば国際公開WO00/20565号に開示されたようにして、日本脳炎ウイルスを細胞株に感染させて培養する方法を用いてもよい。
抗原がVLPの場合は、例えば特開2004−65118号公報に開示された方法に従って、日本脳炎ウイルスゲノムRNAから調製されたcDNAを発現ベクターに組み込んで動物細胞を形質転換し、形質転換体を培養してVLPを得ることができる。
【0015】
ウエストナイルウイルス抗原も、上記の日本脳炎ウイルス抗原に準じて製造することが可能である。即ち、抗原がウイルス全粒子の場合、例えば、ウエストナイルウイルスに感染したマウスの脳乳剤を硫酸プロタミンで処理し、ウイルスを分離、精製し、これをホルマリンで不活化した後、超遠心法で精製しTCM−199で希釈するなどすればよい。あるいは、国際公開WO00/20565号に開示された方法に準じて、ウエストナイルウイルスを細胞株に感染させて培養する方法を用いても良い。
また、抗原がウエストナイルウイルスVLPの場合は、ウエストナイルウイルスのアミノ酸配列(例、NY99−flamingo382−99株:GenBank Accession No.AF196835)をもとにして、ウエストナイルウイルスのprMタンパク質およびEタンパク質をコードするDNA断片を含む発現ベクターを動物細胞に導入し、得られた形質転換細胞を培養することにより、その培地中にウエストナイルウイルスVLPを分泌させることが可能である。NY99−flamingo382−99株以外の変異ウエストナイルウイルス株としては、例えば、Ebel, G.D.ら, Am. J. Trop. Med. Hyg., 71(4): 493-500, 2004の「Table I」に記載のもの等が挙げられ、該表中に示される各Accession No.の配列を入手して、対応する領域を決定することにより、容易に変異ウエストナイルウイルス株のVLPを得ることができる。
日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス以外のフラビウイルス抗原についても、上記の方法に準じて製造することが可能である。
【0016】
本発明においてアジュバントとは、抗原とともに用いられると、抗原に対する免疫応答を非特異的に高め、抗原に対する細胞性免疫や抗体生産を増強したり、長時間留まらせたりという役割を果たして、具体的には、抗原に吸着する性質を持つ無機物(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ミョウバンなど)や抗原水溶液を包んで乳濁液にする性質を持つ油乳剤(例えば、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバントなど)などである。本発明に使用されるアジュバントは上記目的を達成し得る限り制限されないが、フラビウイルス抗原とともに用いることにより1回接種で充分な感染防御免疫誘導効果を与えることから、ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子および水酸化アルミニウムゲルが好ましい。
【0017】
1つの実施態様において、本発明のワクチンは、上記フラビウイルス抗原以外に、ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子を含む。
【0018】
前記「生分解性ナノ粒子」とは、ポリアミノ酸を主成分とし、生体内で酵素等の作用を受け、所定の時間経過後に粒子の崩壊およびポリアミノ酸骨格がアミノ酸のモノマーまたはオリゴマーに分解可能な粒子をいう。
【0019】
本発明における生分解性ナノ粒子の「主成分」とは、ナノ粒子を構成する骨格をいう。
【0020】
本発明における生分解性ナノ粒子の形状は特に限定されるものではないが、一般的には球状である。球状の粒子のサイズは通常10nm〜100μm程度であり、好ましくは10nm〜500nmである。このようなサイズにすることによって、単位重量当りの粒子表面積増加に伴うフラビウイルス抗原の固定化量の増加、抗原提示細胞への抗原の取り込み促進、それに伴うCTLの活性化、抗体産生の誘導などの効果が生じる。
【0021】
前記粒子の形状は、顕微鏡にて観察し、確認することができる。前記粒子のサイズは、ナノ粒子の水分散液を動的光散乱により測定した平均粒子径をいう。なお、球状以外の形状のナノ粒子のサイズは、球状のナノ粒子に準じて求めることができる。
【0022】
前記生分解性ナノ粒子の骨格となるポリアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸または人工アミノ酸の重合体であってもよい。安全性または毒性の面から、天然に存在するアミノ酸からなるポリアミノ酸が好ましいが、その由来は天然物であっても合成品であってもよい。天然に存在するアミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジンまたはアスパラギンが好ましい。また、アミノ酸はL−体であってもD−体であってもよい。ポリアミノ酸中にL−体とD−体が所定の割合で含まれていてもよい。
【0023】
天然に存在するアミノ酸からなるポリアミノ酸としては、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)またはポリアスパラギンが好ましい。所期の目的を達成し、ナノ粒子に様々な特性を付与するためには、前記ポリアミノ酸の修飾体、それらの誘導体またはそれらの混合物も本発明の好ましいポリアミノ酸に含まれる。特に好ましいポリアミノ酸は、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体またはそれらの混合物である。
【0024】
「修飾アミノ酸」、「アミノ酸誘導体」、ポリアミノ酸の「修飾体」および「誘導体」という用語は、当該分野において通常使用される意味を有するものとする。ポリアミノ酸の「修飾体」および「誘導体」の例としては、構成アミノ酸の一部を別のアミノ酸としたもの、構成アミノ酸の利用可能な官能基を用いて修飾したもの等があげられる。具体的には、ポリ(γ−グルタミン酸)のペプチド鎖中に1種またはそれ以上の他のアミノ酸、その修飾体もしくは誘導体を導入したもの、グラフト共重合体となっているもの、またはポリ(ε−リジン)の構成アミノ酸リジンの利用可能なα−位の一部をメチル化したもの等があげられる。
【0025】
ポリアミノ酸の「混合物」とは、2種以上のアミノ酸を構成成分とするものであり、前記例示したポリアミノ酸、それらの修飾体およびそれらの誘導体を構成するアミノ酸から2種以上選択することが好ましい。
【0026】
好ましい「修飾体」または「誘導体」の例として、ポリアミノ酸が両親媒化されるように、ポリアミノ酸を修飾または誘導したものがあげられる。例えば、親水性ポリアミノ酸の側鎖に疎水性アミノ酸を導入して、所望の親水性−疎水性のバランスとすることもできる。ポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体であるポリアミノ酸が好適な具体例としてあげられる。かかるポリアミノ酸は、分子内および分子間の疎水性基の会合によりナノ粒子化が容易である点からも好ましい。
【0027】
ポリアミノ酸は、アミノ酸以外の構成成分、例えば、糖質、脂質等を含んでいてもよい。好ましいポリアミノ酸は、構成成分の50重量%以上がアミノ酸である。
【0028】
ポリアミノ酸においてすべての構成アミノ酸間の結合は、同一種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。例えば、すべての構成アミノ酸がペプチド結合によって結合したものであってもよく、部分的または全体的にペプチド結合以外の結合またはリンカーによりアミノ酸が結合したものであってもよい。ペプチド結合以外の結合としては、エステル結合、エーテル結合等があげられ、リンカーとしては、グルタルアルデヒド、ジイソシアネート等があげられるが、これらに限定されない。さらに、ポリアミノ酸の官能基間において架橋されていてもよい。架橋することにより、ポリアミノ酸の物性を変化させ、所望のアジュバント特性を得ることも可能である。架橋剤としては、カルボジイミド、ジグリシジルエステル等があげられるが、これらに限定されない。
【0029】
ポリアミノ酸の分子量は、特に限定されるものではないが、所望の粘度や溶解度に応じて変更されうる。分子量は、通常1000〜500万の範囲である。好ましくは5000〜200万の範囲である。前記分子量は、水溶液もしくは有機溶媒中でゲルろ過クロマトグラフィーにより測定された値である。
【0030】
ポリアミノ酸の製造は、化学合成法、発酵法などの公知の方法を適宜選択して行うことができる。ポリアミノ酸のナノ粒子化は、公知の方法により行うことができる。例えば、液中乾燥法、噴霧乾燥法、球形晶析法、溶媒置換法(沈殿・透析法)、直接超音波分散法を用いることができる。例えば、ポリ(γ−グルタミン酸)またはポリ(ε−リジン)からなる生分解性ナノ粒子は、溶媒置換法により製造することができる。このような方法を適宜選択または組み合わせて、生分解性ナノ粒子の材料、構成成分、分子量、サイズ、電荷その他のパラメータを目的に応じたものとすることができる。
【0031】
別の実施態様において、本発明のワクチンは、上記フラビウイルス抗原以外に、水酸化アルミニウムゲルを含む。
【0032】
本発明のワクチンに用いられる水酸化アルミニウムゲルは、ワクチンに添加して抗原の免疫原性を高める作用を有する限り、いかなる水酸化アルミニウムゲルであってもよい。例えば、水酸化アルミニウムゲルは、自体公知の方法により製造することが可能であり、水酸化アルミニウムゲル「Aluminum Hydroxide Gel (A-8222)」(SIGMA製)、「Alhydrogel (2%)) (Brenntag Biosector製)などの市販品を使用してもよい。
【0033】
前記水酸化アルミニウムゲルは、炭酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムカリウムを原料として調製されたものであることが好ましい。原料となる炭酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムカリウムは、水酸化アルミニウムゲルを調製するために通常用いられる試薬を限定なく使用することが出来る。硫酸アルミニウムカリウムは、カリミョウバンとも称される硫酸アルミニウムカリウム12水和物AlK(SO・12HOが好適に用いられる。
【0034】
炭酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムカリウムを原料として、本発明で使用される水酸化アルミニウムゲルは例えば以下のようにして調製される。炭酸ナトリウム(143.1g)を9Lの生理食塩水に溶解し、濾過し、炭酸ナトリウム溶液を調製する。硫酸アルミニウムカリウム12水和物(カリミョウバン)(316.0g)を9Lの生理食塩水に溶解し、濾過し、硫酸アルミニウムカリウム溶液を調製する。得られた炭酸ナトリウム溶液及び硫酸アルミニウムカリウム溶液を混合し、撹拌すれば水酸化アルミニウムゲルが得られ、これを洗浄することにより本発明のアジュバント(水酸化アルミアジュバント)として使用することができる。
【0035】
本発明のフラビウイルス感染症ワクチンは、前記フラビウイルス抗原が前記生分解性ナノ粒子内に包含されていてもよく、前記フラビウイルス抗原が前記生分解性ナノ粒子表面に固定されていてもよい。
【0036】
本発明のワクチンに含まれるフラビウイルス抗原と生分解性ナノ粒子との比は、抗原の種類やナノ粒子の特性により一概には規定できないが、例えば、フラビウイルス抗原としてVLP、および生分解性ナノ粒子としてポリ(γ−グルタミン酸)を用いた場合、重量比で1:1〜1:1000が例示され、好ましくは1:10〜1:200である。
【0037】
また、本発明のフラビウイルス感染症ワクチンは、前記フラビウイルス抗原と前記アジュバントとしての水酸化アルミニウムゲルとを混合することにより製造することができる。
【0038】
本発明のワクチンに含まれるフラビウイルス抗原と水酸化アルミニウムゲルの比は、抗原の種類などにより一概には規定できないが、例えば、フラビウイルス抗原としてVLPを用いた場合、重量比で1:10〜1:500が例示され、好ましくは1:30〜1:200である。
【0039】
さらに、本発明のワクチンは、医薬として許容されうる担体を含んでいてもよい。前記医薬として許容されうる担体としては、ワクチンの製造に通常用いられる担体を限定なく使用することができ、具体的には、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、水、グリセロール、等張水性緩衝液およびそれらの組合せがあげられる。また、これに乳化剤、保存剤(例、チメロサール)、等張化剤、pH調整剤および不活化剤(例、ホルマリン)等が適宜配合される。
【0040】
本発明のワクチンは、全身に投与されてもよく、局所投与でもよい。全身投与の場合、筋肉内、皮下、皮内、静脈内、腹腔内等への投与があげられ、投与方法としては、注射または点滴などがあげられる。
【0041】
本発明のワクチンの投与対象は、特に限定されず、例えば、ヒトを含む哺乳類、鳥類等があげられる。
【0042】
本発明のワクチンは、ワクチンの投与様式に適合した形態を有することが好ましく、例えば、注射可能な形態として、溶液、懸濁液または乳化液が挙げられる。あるいは、液体溶液、懸濁液または乳化液に供せられる形態として、凍結乾燥製剤等の固体形態が挙げられる。
【0043】
本発明のワクチンを用いて、フラビウイルス感染症を予防またはその症状を軽減することができる。本発明は、有効免疫感作量の本発明のワクチンを対象に投与する工程を含むフラビウイルス感染症の予防または軽減方法を提供する。
【0044】
ワクチンの投与方法としては、前記例示した通りである。投与量は、対象の年齢、性別、体重等を考慮して決められるが、抗原としてVLPを用いた場合、通常5μg〜100μgを1回または2回以上投与することができる。本発明のワクチンは、1回接種で充分な感染防御効果を有することから1回接種が推奨される。複数回投与する場合、1〜2週間の間隔をあけて投与することが好ましい。抗原としてウイルス全粒子を用いた場合、VLP換算で投与量を設定すればよい。前記VLPの重量は蛋白窒素定量法により蛋白定量した値である。
【実施例】
【0045】
以下、試験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの試験例により何ら限定されるものではない。
【0046】
以下の試験例は以下のようにして行った。
マウスは、雌のBALB/cマウス(日本エスエルシー社、浜松、日本)の4週齢を使用した。
JEV北京1株をウイルス中和抗体価アッセイに使用し、JaTH−160株をマウスのチャレンジ実験に使用した。
JEワクチンビケン(JEワクチン)、および水酸化アルミアジュバント(Lot No.:MAH0601)は、財団法人阪大微生物病研究会、観音寺研究所(BIKEN、観音寺、日本)で調製されたものを使用した。
JE−VLPは、JEV cDNA高発現J12#26細胞株(特開2004−65118号公報)の培養上清から精製した。
【0047】
γ−PGA−NPは、γ−PGA(平均分子量Mn=380,000、明治製菓株式会社、東京、日本)を用いて既報に従ってγ−PGA疎水性誘導体からなるナノ粒子を国立大学法人大阪大学にて調製した(Akagi T.他,Macromol Biosci,2005;5(7):p598−602、Kaneko T.他,Chem Mater,2005;17:p2484−86、およびMatsusaki M.他,Chem Lett,2004;33:p398−99を参照)。γ−PGA−グラフト−L−Pheからなるナノ粒子を沈殿および透析によって調製した。最初に、γ−PGA−グラフト−L−Phe(10mg)を1mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、同量の生理食塩水を添加して半透明の溶液を得た。その後、溶液をセルロース膜チューブ(分子量50,000のカットオフ)で蒸留水に対して透析し、有機溶媒を除去した。透析した溶液を凍結乾燥した。以下の試験例において、53%グラフト化されたγ−PGA−グラフト−L−Pheを使用した。
【0048】
ワクチン接種に関して、マウスへの投与量は、抗原量として試験例4を除きJEワクチンおよびJE−VLPについては各1μg、アジュバントとして水酸化アルミアジュバントおよびγ−PGA−NPについては各100μgであり、投与方法は腹腔内注射とした。
ウイルスチャレンジとして、免疫マウス群を、最初のワクチン接種の15日後に、3×10PFU(20×LD50)のJEVのJaTH−160株の腹腔内注射で接種した。JEVチャレンジと同時に、既報に従って、マウスに10μlのPBSを脳内接種して血液脳関門を破壊させた(Srivastava AK.他,Vaccine,2001;19(31):p4557−4565、およびKojima A.他,J Virol,2003;77(16):p8745−8755参照)。
【0049】
血清サンプル中の中和抗体の試験は次のようにして行った。
1回接種群のマウスからの血清を最初の免疫から15日後に採取し、既報に従って、ウイルス中和抗体の試験をした(Srivastava AK.他,Vaccine,2001;19(31):p4557−4565、およびKojima A他,J Virol,2003;77(16):p8745−8755参照)。中和抗体価は、コントロールウェルに対してウェルあたりの平均プラーク数を50%減少させる希釈血清の逆数で表される。
【0050】
フィッシャーの直接確率検定をStatViewソフトウェア(SAS Institute社,カリー,ノースカロライナ州)を使用して行い、ウイルスチャレンジ試験における群間の差を評価した。他の試験でのデータを分析するために、パラメトリックなウェルチt検定を使用した。<0.05のp値を有意と見なした。
【0051】
試験例1 JEワクチンを1回あるいは2回接種後の致死性JEVによるチャレンジ試験と中和抗体価
(1)JEワクチンの1回または2回接種による致死性JEVチャレンジ試験でのマウスの防御(図1)
(A)JEワクチンまたはコントロール群としてPBSを、0日目および7日目にマウスの腹腔内に2回接種した。15日目に、マウスをJEVに感染させた。ウイルスチャレンジから20日後までの生残率推移を調べた(図1A)。
(B)JEワクチンまたはPBSを、0日目にマウスの腹腔内に1回接種した。15日目に、マウスをJEVに感染させた。感染後20日目まで毎日、生残率推移を調べた(図1B)。
2回免疫群のマウスの全てがJEVチャレンジ後生き延びたが(図1A)、一方で1回接種群の50%しか生き延びなかった(図1B)。
(2)JEワクチンで1回または2回免疫したマウスの血清中の抗JEV中和抗体価(図2)
マウスに、(1)で説明したようにして、1回もしくは2回、PBS、またはJEワクチンを含むPBS溶液を腹腔内注射にて免疫を行った。最初の免疫から15日後、マウス血清を回収し、抗JEV中和抗体価を調べた。
結果は図2に示すように、JEワクチンで1回免疫したマウスの血清における中和抗体価は、2回免疫したマウスの血清におけるそれよりも有意に低かった。
【0052】
試験例2 アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJEワクチンをマウスに1回接種した時のチャレンジ試験と中和抗体価(図3、4)
(A)アジュバントを含む群としてJEワクチン+水酸化アルミアジュバント、JEワクチン+γ−PGA−NP、コントロール群としてJEワクチン、PBS、水酸化アルミアジュバント、γ−PGA−NP(100μg)をマウスの腹腔内に1回接種を行った。免疫から15日後に、マウスをJEVに感染させた。感染から20日後までの生存率推移を調べた。図3のウイルスチャレンジ試験結果に示すように、JEVチャレンジから20日後、JEワクチン+水酸化アルミアジュバント、JEワクチン+γ−PGA−NPの両群共にマウスの生存率は100%であった。JEワクチンと比べてJEワクチン+水酸化アルミアジュバント、JEワクチン+γ−PGA−NPのアジュバント添加群の1回接種は著しく生存率を高めることが分かった。
(B)アジュバントを含む群としてJEワクチン+水酸化アルミアジュバント、JEワクチン+γ−PGA−NP、コントロール群としてJEワクチン、PBS、水酸化アルミアジュバント、γ−PGA−NP(100μg)をマウスの腹腔内に1回接種を行った。免疫から15日後、マウス血清を採取し、抗JEV中和抗体価を調べた。
図4に示すように、JEワクチン、JEワクチン+水酸化アルミアジュバント、JEワクチン+γ−PGA−NP群の中和抗体価はそれぞれ1.765、3.155、3.163であった。JEワクチン+γ−PGA−NP群の中和抗体価は、JEワクチンに比べて有意に高かった。
【0053】
試験例3 アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLPをマウスに1回接種した時のチャレンジ試験と中和抗体価(図5、6)
(A)アジュバントを含む群としてJE−VLP+水酸化アルミアジュバント、JE−VLP+γ−PGA−NP、JE−VLP、コントロール群としてPBS、水酸化アルミアジュバント、γ−PGA−NP(100μg)をマウスの腹腔内に1回接種を行った。免疫から15日後に、マウスをJEVに感染させ、20日後までの生存率推移を調べた。
図5に示すように、JE-VLP群の生存率は40%であり、アジュバントを添加したJE−VLP+水酸化アルミアジュバント、JE−VLP+γ−PGA−NPの両群の生存率は、94%であった。
(B)アジュバントを含む群としてJE−VLP+水酸化アルミアジュバント、JE−VLP+γ−PGA−NP、JE−VLP、コントロール群としてPBS、水酸化アルミアジュバント、γ−PGA−NPをマウスの腹腔内に1回接種を行った。免疫から15日後、マウス血清を採取し、抗JEV中和抗体価を調べた。
図6に示すように、1回接種後のJE−VLP+水酸化アルミアジュバント、JE−VLP+γ−PGA−NPの両群の中和抗体価は、アジュバントなしのJEワクチンの2回接種(図2)の中和抗体価と同程度であり、JEワクチンおよびJE-VLPにそれぞれ水酸化アルミアジュバントを加えることで、1回接種で充分な感染防御能を誘導することが確認された。
アジュバントありの1回接種後の両群の中和抗体価は、アジュバントなしの2回接種後中和抗体価レベルであり、生残率も94%以上となった。JE−VLPにアルミアジュバントを加えることにより、1回接種で十分な感染防御免疫を誘導することが確認され、γ−PGA−NPをアジュバントにした場合でも同等の効果が得られた。
したがって、JE−VLPと、γ−PGA−NPまたは水酸化アルミアジュバントとの組み合わせによりJEワクチンの1回接種法が構築できる可能性が示唆された。
【0054】
試験例4 アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLPをマウスに2回接種した時のチャレンジ試験と中和抗体価(図7-A、図7-B、図8)
JE−VLP(0.1μg、1μg)を、単独またはアルミアジュバントもしくはγ−PGA−NPのいずれかと懸濁した状態で、マウスにそれぞれ1週間間隔で2回腹腔内接種し、初回接種から15日後に、30×LD50量のJEVを腹腔内感染し、マウスをJEVに感染させ、20日後までの生存率推移を調べた。図7-A、図7-Bは2回接種後の生残率(生存率)推移を示した。
JE−VLP(0.1μg、0.3μg、1μg)を、単独またはアルミアジュバントもしくはγ−PGA−NPのいずれかと懸濁した状態で、初回接種から2週間後の血清中の中和抗体価を測定した。図8は、それぞれ2回接種後の中和抗体価を示した。
JE−VLP+水酸化アルミアジュバントとの組み合わせワクチンについて、JE−VLPの接種量が1μgの場合の中和抗体価が2.32であったのと比べて、0.3μgでは1.69、0.1μgでは1.69であった。
一方、JE−VLP+γ−PGA−NPとの組み合わせワクチンについては、JE−VLPの接種量が1μgの中和抗体価2.32と比べると、0.3μgでは3.05、0.1μgでは2.91であった。
【0055】
また、1μgのJEワクチンのみの場合と比較すると、0.1μgのJE−VLP+水酸化アルミアジュバントでは、それぞれの中和抗体価は3.63、3.56と抗原量が1/10にもかかわらず同等レベルであった。0.1μgのJE−VLP+γ−PGA−NPの中和抗体価は2.91とほぼ同レベルであった。
このことから、本発明の1回接種用ワクチンでは抗原量を減らしても、充分なワクチン効果が得られることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】JEワクチンの1回または2回接種後の致死性JEVチャレンジ時のマウスの生残率を示す図である。マウス(n=10)、○:JEワクチンを1μg含むPBS溶液400μl、●:PBS溶液400μl
【図2】JEワクチンで1回または2回接種後のマウスの血清中の抗JEV中和抗体価を示す図である。マウス(n=5)、平均値、:p<0.05、N.D.:検出不可
【図3】アジュバントとして水酸化アルミアジュバントまたはγ−PGA−NPを加えたJEワクチンを1回接種後のマウスにおける致死性JEVチャレンジ時の生存率推移を示している。 ●:PBS、n=31、 ■:alum=水酸化アルミアジュバント、n=35、 ◆:PGA-NPs=γ−PGA−NP、n=35、 ○:JE vaccine=JEワクチン、n=31、 □:JE vaccine+alum=JEワクチン+水酸化アルミアジュバント、n=20、 ◇:JE vaccine+γ-PGA-NPs=JEワクチン+γ−PGA−NP、n=33、:p<0.05
【図4】アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJEワクチンをマウスに1回接種した時の中和抗体価である。平均値、:p<0.05.N.D.:検出不可
【図5】アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLPをマウスに1回接種後のマウスにおける致死性JEVチャレンジ時の生存率推移を示している。
【図6】アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLPをマウスに1回接種した時の中和抗体価を示す図である。
【図7−A】アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLP(1μg)をマウスに2回接種した時のマウスにおける致死性JEVチャレンジ時の生存率推移を示している。
【図7−B】アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLP(0.1μg)をマウスに2回接種した時のマウスにおける致死性JEVチャレンジ時の生残率推移を示している。
【図8】アジュバントとしてγ-PGA-NPまたは水酸化アルミアジュバントを添加したJE−VLP(0.1μg、0.3μg、1μg)をマウスに2回接種した時の中和抗体価を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラビウイルス感染症を予防するためのフラビウイルス抗原、およびアジュバントを含有するフラビウイルス感染症ワクチン。
【請求項2】
アジュバントがポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子である、請求項1記載のワクチン。
【請求項3】
アジュバントが水酸化アルミニウムゲルである、請求項1記載のワクチン。
【請求項4】
水酸化アルミニウムゲルが炭酸ナトリウムと硫酸アルミニウムカリウムから調製されたものである、請求項3記載のワクチン。
【請求項5】
1回接種することでフラビウイルス感染症を予防するためのワクチンである、請求項1〜4いずれかに記載のワクチン。
【請求項6】
フラビウイルスが日本脳炎ウイルスおよび/またはウエストナイルウイルスである、請求項1〜5いずれかに記載のワクチン。
【請求項7】
フラビウイルス抗原がフラビウイルス様中空粒子である、請求項1〜6いずれかに記載のワクチン。
【請求項8】
フラビウイルス抗原がウイルス全粒子である、請求項1〜6いずれかに記載のワクチン。
【請求項9】
ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、ポリ(α−アスパラギン酸)、ポリ(ε−リジン)、ポリ(α−グルタミン酸)、ポリ(α−リジン)、ポリアスパラギン、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、請求項2、5〜8いずれかに記載のワクチン。
【請求項10】
ポリアミノ酸が、ポリ(γ−グルタミン酸)、それらの修飾体、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、請求項2、5〜9いずれかに記載のワクチン。
【請求項11】
ポリアミノ酸が両親媒化されている、請求項2、5〜10いずれかに記載のワクチン。
【請求項12】
ポリアミノ酸がポリ(γ−グルタミン酸)とフェニルアラニンエチルエステルのグラフト共重合体である、請求項2、5〜11いずれかに記載のワクチン。
【請求項13】
ポリアミノ酸を主成分とする生分解性ナノ粒子からなるフラビウイルス感染症ワクチン用アジュバント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−149583(P2009−149583A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330151(P2007−330151)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年10月23日日本ウイルス学会主催の第55回日本ウイルス学会学術集会(平成19年10月1日第55回日本ウイルス学会学術集会 プログラム・抄録集において要旨を掲載)及び平成19年12月9日日本ワクチン学会主催の第11回日本ワクチン学会学術集会(平成19年11月11日第11回日本ワクチン学会学術集会 プログラム・抄録集において要旨を掲載)において、文書をもって発表
【出願人】(505314022)独立行政法人医薬基盤研究所 (17)
【出願人】(591222245)国立感染症研究所長 (48)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000173692)財団法人阪大微生物病研究会 (23)
【Fターム(参考)】