説明

フラワーペースト類

【課題】
カカオ分を少量しか含有していないにもかかわらず、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)が強く、またフラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)も強く感じられるフラワーペースト類を提供すること。
【解決手段】
本発明のフラワーペースト類は、カカオ分を1〜15質量%と乳清ミネラルを含有し、該カカオ分と該乳清ミネラルの固形分との質量比率が1:0.001〜1:0.5であり、好ましくは該乳清ミネラルを固形分として0.001〜5質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カカオ分を少量しか含有していないにもかかわらず、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)が強く、またフラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)も強く感じられるフラワーペースト類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に加熱処理により糊化した澱粉を骨格とし、油脂、必要に応じて糖類、卵製品、乳製品、香料などを含有するフラワーペースト類は製菓、製パンのフィリング材として利用されてきた。また、最近ではベーカリー食品の食感改良や老化抑制を目的として、ペースト状のフラワーペースト類をベーカリー生地に練り込んだり、シート状のフラワーペースト類をベーカリー生地に折り込んで、焼成する方法が取られている。
【0003】
また、ベーカリー食品にチョコレート風味を付与することを目的として、フラワーペースト類にもココアパウダー、カカオマス、チョコレート等が使用されてきた。しかし、これらはフラワーペースト類の物性や乳化に影響を与えるため、フラワーペースト類への添加量が制限されてきた。そのためフレーバーを用いてチョコレート風味を食品に付与してきたが、良好なチョコレート風味を付与できないという欠点があった。
【0004】
一方、フラワーペースト類などの食品に乳清ミネラルを用いた先行技術として例えば特許文献1〜4があげられる。
特許文献1には、特定の製法で得られた乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤が記載されている。また、特許文献3には、特定の条件を満たす乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤が記載されている。
これらの特許文献1及び3に記載の調味剤は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドがなく厚みのある風味とし、全体として調和のとれた風味とすることができると記載されている。
【0005】
特許文献2には、特定の製法で得られた乳清ミネラルを有効成分として含有するマスキング剤が記載されている。また、特許文献4には、特定の条件を満たす乳清ミネラルを有効成分として含有するマスキング剤が記載されている。
これらの特許文献2及び4に記載のマスキング剤は、飲食品や医薬品の苦味、渋味、エグ味などの雑味や、飲食品や経口医薬品の風味としては強すぎる風味を、その基本風味バランスを変えることなく、極少量の添加でマスキングできると記載されている。
【0006】
しかし、特許文献1〜4では、カカオ分を含有するフラワーペースト類において、カカオ分と乳清ミネラルの固形分を特定質量比で含有させることにより、極少量のカカオ分しか含有していないのに、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)が強く、またフラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)も強く感じられることについて全く記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−54663号公報
【特許文献2】特開2008−54664号公報
【特許文献3】特開2008−54666号公報
【特許文献4】特開2008−54667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、カカオ分を少量しか含有していないにもかかわらず、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)が強く、またフラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)も強く感じられるフラワーペースト類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、カカオ分と乳清ミネラルを含有し、カカオ分と乳清ミネラルの固形分との質量比率を特定比率としたフラワーペースト類により、上記目的を達成できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、カカオ分を1〜15質量%と乳清ミネラルを含有し、カカオ分と乳清ミネラルの固形分との質量比率が1:0.001〜1:0.5であるフラワーペースト類を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフラワーペースト類により、カカオ分の含有量が少ないにもかかわらず、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)が強く、またフラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)も強く感じられるフラワーペースト類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のフラワーペースト類について、好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明のフラワーペースト類はカカオ分を1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜9質量%、一層好ましくは3〜8質量%、最も好ましくは4〜7質量%含有する。本発明のフラワーペースト類においてカカオ分の含有量が1質量%よりも少ないと、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)や、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)が強く感じられず、カカオ分の含有量が15質量%よりも多いとフラワーペースト類の物性や乳化に影響を与えるため好ましくない。
【0012】
上記のカカオ分とは、カカオニブ、カカオマス、カカオリカー、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー及びカカオエキスパウダーなどのカカオ豆由来物から、これらに含まれている水分を除いたものを指し、具体的にはカカオ脂肪分(ココアバター)と非脂肪カカオ分(ポリフェノール、テオブロミン、カフェインなど)との合計量をいう。
また、上記のカカオ分として、カカオ分を含有する各種チョコレート生地、各種チョコレートや、これらの加工品などを用いることもできる。
【0013】
上記の乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
【0014】
上記乳清ミネラルとして、固形分中のカルシウム含量が好ましくは2質量%未満、さらに好ましくは1質量%未満、最も好ましくは0.5質量%未満である乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほどチョコレート風味の増強効果が得られる。
【0015】
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用するカルシウムを除去の工程としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
【0016】
本発明のフラワーペースト類は、上記のカカオ分と乳清ミネラルの固形分との質量比率が1:0.001〜1:0.5、好ましくは1:0.002〜1:0.3、さらに好ましくは1:0.005〜1:0.2、最も好ましくは1:0.01〜1:0.1とする。本発明のフラワーペースト類において、上記のカカオ分と乳清ミネラルの固形分との質量比率が1:0.001よりも乳清ミネラルの比率が低いと、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)や、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)が強く感じられないため好ましくなく、上記のカカオ分と乳清ミネラルの固形分との質量比率が1:0.5よりも乳清ミネラルの比率が高いと、フラワーペースト類の苦味が強くなりやすい。
【0017】
本発明のフラワーペースト類においては、上記の乳清ミネラルは固形分として好ましくは0.001〜5質量%、さらに好ましくは0.003〜1質量%、最も好ましくは0.005〜0.5質量%となるように含有させる。本発明のフラワーペースト類において、上記の乳清ミネラルの固形分の含有量が0.001質量%よりも少ないとフラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)や、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)が強く感じられにくく、上記の乳清ミネラルの固形分の含有量が5質量%よりも多いとフラワーペースト類の苦味が強くなりやすい。
【0018】
本発明のフラワーペースト類は澱粉類を含有する。上記澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、豆などの澱粉、これらの澱粉を原料とし、エステル化、エーテル化、架橋化、α化、熱処理等の化学的、物理的処理を施したもの、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、米粉等のその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉等の堅果粉等があげられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
本発明のフラワーペースト類は、上記澱粉を好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは2.5〜9質量%、最も好ましくは3〜9質量%含有する。本発明のフラワーペースト類において上記澱粉類の含有量が2質量%よりも少ないと十分にペースト化されにくく、10質量%よりも多いと、硬くなりやすいため口解けの悪いものとなりやすい。
【0020】
本発明のフラワーペースト類は油脂を含有することが好ましい。上記油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
本発明のフラワーペースト類は、上記油脂を好ましくは8〜45質量%、さらに好ましくは12〜45質量%、最も好ましくは15〜45質量%含有する。本発明のフラワーペースト類において上記油脂の含有量が8質量%よりも少ないとフラワーペースト類が滑らかな食感となりにくく、45質量%よりも多いとフラワーペースト類が油っぽくなり良好なチョコレート風味を感じにくくなりやすい。なお、上記カカオ分がカカオ脂肪分を含む場合、上記油脂の含有量には、該カカオ脂肪分も算入する。
【0022】
本発明のフラワーペースト類では、上記油脂としては、パーム油、ヤシ油、大豆油、ナタネ油、米油を含有する油脂配合物等をエステル交換してなるエステル交換油脂が好ましく、特にヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を含有する油脂配合物をエステル交換した油脂を用いることが好ましい。このエステル交換した油脂を用いることにより、良好な乳化安定性を有するフラワーペースト類とすることができる。
上記のヨウ素価52〜70のパーム軟部油としては、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、ドライ分別等の無溶剤分別等の方法によって、パーム油を分別した際に得られる低融点部であるパームオレインやパームスーパーオレインを用いることができる。上記のパーム軟部油として、特に乳化安定性に優れたフラワーペースト類が得られることから、ヨウ素価60以上のパームスーパーオレインを使用することがさらに好ましい。
【0023】
本発明のフラワーペースト類では、ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%含む油脂配合物をエステル交換した油脂を、フラワーペースト類中、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは9〜45質量%、最も好ましくは15〜45質量%含有することが好ましい。
【0024】
上記のエステル交換の反応は、常法により行うことができ、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよく、また、ランダムエステル交換反応であっても、位置選択性のエステル交換反応であってもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いた、ランダムエステル交換反応であることがより好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes) 属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus) 属、ムコール(Mucor) 属、ペニシリウム(Penicillium) 属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
【0025】
また、本発明のフラワーペースト類において極度硬化油を用いることが好ましい。極度硬化油を用いることにより、フラワーペースト類の艶や発色を良好にすることができる。
上記の極度硬化油は、1種又は2種以上の油脂からなる配合油を、ヨウ素価が5以下、好ましくは1未満となるまで水素添加した硬化油脂であって、その融点が好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上の硬化油脂である。上記配合油に用い得る油脂としては、例えば、パーム油、コーン油、綿実油、大豆油、ハイエルシンナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。
上記の極度硬化油の中でも、艶及び発色の向上効果が特に高い点で、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油、大豆油の極度硬化油及びパーム油の極度硬化油から選択される1種又は2種以上を使用することが好ましい。
【0026】
本発明のフラワーペースト類では、上記の極度硬化油をフラワーペースト類中、好ましくは0.0008〜0.45質量%、さらに好ましくは0.0008〜0.225質量%、最も好ましくは0.0008〜0.135質量%含有することが好ましい。
【0027】
本発明のフラワーペースト類は、実質的にトランス酸を含まないことが好ましい。水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、水素添加油脂は、完全水素添加油脂(極度硬化油脂)を除いて、通常、構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。
ここでいう「実質的にトランス酸を含まない」とは、油脂の全構成脂肪酸中、トランス酸の含有量が好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは1質量%以下であることを意味する。本発明においては、上記極度硬化油以外の油脂として、天然油脂、並びに該天然油脂に分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から選択される1種又は2種以上を組み合わせて用いることにより、実質的にトランス酸を含まないフラワーペースト類を簡単に得ることができる。
【0028】
本発明のフラワーペースト類は糖類を含有することが好ましい。本発明で用いることができる糖類としては、上記澱粉類のような高分子の糖類以外の単糖類、二糖類、オリゴ糖等の低分子の糖類であれば特に限定されず、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、液糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、トレハロース、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、オリゴ糖があげられる。
本発明において上記糖類の含有量は、本発明のフラワーペースト類中、固形分として好ましくは8〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%、最も好ましくは12〜35質量%である。
【0029】
本発明のフラワーペースト類において、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、還元乳糖、還元澱粉糖化物、還元水飴、パラチニット等の糖アルコールや、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム等の甘味料は、チョコレートの好ましい風味が得られにくいことから本発明では用いないことが好ましい。
【0030】
本発明のフラワーペースト類は、増粘安定剤を含有することが好ましい。増粘安定剤を含有させることにより、フラワーペースト類の製造時やベーカリー生地への複合作業時等における乳化破壊を防止することによる物性改良効果や、保水性を向上させることによる離水防止効果や食感向上効果を得ることが可能となる。
【0031】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のフラワーペースト類では、離水防止効果が高いことから、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム及びゼラチンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用することが好ましい。
本発明のフラワーペースト類は、上記増粘安定剤を好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜5質量%含有する。
【0032】
本発明のフラワーペースト類は、合成乳化剤を含有しないことが好ましい。
上記の合成乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。
本発明のフラワーペースト類には、上記合成乳化剤でない乳化剤を用いることができる。該乳化剤としては、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、乳脂肪球皮膜蛋白質が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
本発明のフラワーペースト類には、その他、通常フラワーペースト類の原料として使用し得る成分を使用することが可能であり、例えば、水、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、牛乳・練乳・脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・バター・クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・発酵乳等の乳や乳製品、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、ホエー蛋白濃縮物・トータルミルクプロテイン等の乳蛋白や動物蛋白、卵及び各種卵加工品、デキストリン、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、香辛料抽出物、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。尚、これらの成分のうち、水並びに牛乳及び卵等の水分を含有する成分は、本発明のフラワーペースト類中の水分含有量が30〜85質量%となるように使用することが好ましい。
【0034】
本発明のフラワーペースト類は、カカオ分と乳清ミネラルを有するフラワーペースト類原料を均質化処理した後、加熱し、冷却することにより製造することができる。
【0035】
本発明のフラワーペースト類の製造方法についてさらに詳しく説明する。
まず、油脂に必要によりその他の成分を添加し、油相とする。水に、乳清ミネラルとその他の成分を添加し水相とする。カカオ分は油相と水相のどちらに添加しても構わないが、水相に添加することが好ましい。また増粘安定剤を添加する場合は、作業性の点から、油相に添加することが好ましい。
【0036】
上記の油相と水相を混合し、水中油型に乳化して、予備乳化組成物とする。水相と油相の比率(前者:後者、質量基準)は、好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは92:8〜60:40、最も好ましくは92:8〜64:36とする。
【0037】
次いで、得られた上記予備乳化組成物を、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、好ましくは圧力0〜80MPaの範囲で均質化した後、加熱する。加熱は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT、HTST、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、あるいは直火等を用いた加熱調理により行なうことができる。加熱温度は60〜145℃が好ましく、加熱時間は0.05〜30分が好ましい。また、加熱後には必要により再度均質化してもよい。
【0038】
次いで、冷却する。冷却は急速冷却、徐冷却等のいずれでもよく、冷却の前、又は後にエージングを行ってもよい。更に、得られた本発明のフラワーペースト類は、必要により、冷蔵状態もしくは冷凍状態で保存してもよい。
【0039】
さらに、本発明のフラワーペースト類は、その形状を、シート状、ブロック状、円柱状、ダイス状等としてもよい。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mm、ブロック状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ50〜500mm、円柱状:直径1〜25mm、長さ5〜100mm、ダイス状:縦5〜50mm、横5〜50mm、厚さ5〜50mmである。
【0040】
以下に、本発明のフラワーペースト類を用いた食品について述べる。
該食品は、フラワーペースト類として本発明のフラワーペースト類を用いる点以外は、従来のものと同様とすることができる。
本発明のフラワーペースト類を用いた食品としては、焼成、フライ、蒸すな
どの加熱済みのベーカリー食品に、本発明のフラワーペースト類をトッピング、サンド、フィリングとして用いた食品をあげることができる。
【0041】
また、本発明のフラワーペースト類を用いた食品としては、ベーカリー生地と本発明のフラワーペースト類をトッピング、サンド、包餡、練り込み、折り込み等の方法で複合させた複合生地を、必要に応じ圧延、成形、ホイロ、ラックタイムをとった後、焼成、フライ、蒸すなどの加熱をして得られた食品をあげることができる。
【0042】
上記のベーカリー生地としては、例えば、クッキー生地、パイ生地、シュー生地、サブレ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地、食パン生地、フランスパン生地、デニッシュ生地、スイートロール生地、イーストドーナツ生地等の菓子生地やパン生地が挙げられる。
【0043】
上記の複合生地としては、具体的には、ベーカリー生地にペースト状のフラワーペースト類を包餡した包餡生地、ベーカリー生地にペースト状のフラワーペースト類をトッピング又はサンドした生地、ベーカリー生地にペースト状のフラワーペースト類を練り込んだ練り込み生地、ベーカリー生地にシート状のフラワーペースト類をロールインした積層生地、製パン連続ラインにおいて、ブロック状のフラワーペースト類を、ファットポンプ等を使用して薄板状に押し出し、ベーカリー生地にロールインした積層生地、小片状のフラワーペースト類をベーカリー生地中に混合した混合生地等が挙げられる。
【0044】
得られた上記複合生地を焼成する場合、ホイロは、イーストを含まないベーカリー生地を使用する場合は必要なく、イーストを配合したベーカリー生地を使用する場合のみ必要である。体積が大きいベーカリー食品を得るためには、ホイロは、好ましくは25〜40℃、相対湿度50〜80%で20〜90分、さらに好ましくは32〜38℃、相対湿度50〜80%で30〜60分で行う。
【0045】
そして上記複合生地の焼成は、通常のベーカリー食品と同様、160〜250℃、特に170〜220℃で行なうのが好ましい。160℃未満であると、火通りが悪くなりやすく、また良好な食感が得られにくい。また、250℃を超えると、焦げを生じて食味が悪くなりやすい。
【0046】
得られた上記複合生地をフライする場合、ラックタイムは特に有効である。ラックタイムをとることにより、ベーカリー生地の水分を飛ばし、表面を固化させることができ、結果として、ベーカリー生地の水分を減少させること及びフライ操作時の吸油を減少させることができる点で、ラックタイムをとることが望ましく、時間にして10〜40分、相対湿度50%以下の環境中で静置することにより好ましい効果が得られる。
【0047】
フライ操作は、通常のドーナツ等と同様、160〜250℃、特に170〜220℃で行なうのが好ましい。160℃未満であると吸油が多く、良好な食感が得られにくい。250℃を超えると、焦げを生じて食味が悪くなりやすい。
なお、上記焼成とフライとを併用する場合は、フライした後に焼成しても、焼成した後にフライしてもよい。
【0048】
本発明のフラワーペースト類を用いた食品において、本発明のフラワーペースト類の使用量は特に制限されるものではないが、例えば、上記ベーカリー食品又は上記ベーカリー生地100質量部に対し10〜80質量部の範囲から選択することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限されるものではない。
本発明フラワーペースト類においては、油脂としてエステル交換油脂を用いることが好ましく、エステル交換油脂の製造方法の一例として、次の製造方法が挙げられる。
<エステル交換油脂の製造方法>
ヨウ素価65のパームスーパーオレインにナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、パーム分別軟部油のエステル交換油脂Aを得た。
【0050】
(実施例1)
エステル交換油脂A8質量%にキサンタンガム0.2質量%を添加し、油相とした。水43.4質量%、ココアパウダー(カカオ分97%質量)5.15量%、乳清ミネラル(固形分100質量%、固形分中のカルシウム含量0.4質量%)0.05質量%、デンプン(水分13質量%)5質量%、ソルビン酸カリウム0.1質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分75質量%、水分25質量%)35質量%、小麦粉3質量%、香料0.1質量%を混合し水相とする。この油相と水相とを混合、乳化、均質化し、加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、本発明の実施例1のペースト状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.01)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、以下の評価基準に従って、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表1に示した。
【0051】
(評価基準)
<先味>
○ 強く感じる
△ 感じる
× ほとんど感じない
<後味>
++ 強く感じる
+ 感じる
− 感じない
【0052】
(実施例2)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から43.5質量%に、ココアパウダー5.15質量%をカカオマス(カカオ分99質量%)5.05質量%に変更した以外は実施例1と同様にして本発明の実施例2のペースト状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.01)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表1に示した。
【0053】
(実施例3)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から39.62質量%に、ココアパウダー5.15質量%をチョコレート(カカオ分56質量%)8.93質量%に変更した以外は実施例1と同様にして本発明の実施例3のペースト状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.01)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表1に示した。
【0054】
(比較例1)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から43.45質量%に変更し、乳清ミネラルを除いた以外は、実施例1と同様にして比較例1のペースト状フラワーペーストを得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表1に示した。
【0055】
(比較例2)
実施例2の水相調製において、水の量を43.5質量%から43.55質量%に変更し、乳清ミネラルを除いた以外は、実施例2と同様にして比較例2
のペースト状フラワーペーストを得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表1に示した。
【0056】
(比較例3)
実施例3の水相調製において、水の量を39.62質量%から39.67質量%に変更し、乳清ミネラルを除いた以外は、実施例3と同様にして比較例3のペースト状フラワーペーストを得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表1に示した。
【0057】
【表1】

【0058】
(実施例4)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から43.445質量%に、乳清ミネラルの量を0.05質量%から0.005質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の実施例4のペースト状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.001)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表2に示した。
【0059】
(実施例5)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から42.95質量%に、乳清ミネラルの量を0.05質量%から0.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の実施例5のペースト状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.1)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表2に示した。
【0060】
(比較例4)
実施例5の水相調製において、水の量を42.95質量%から47.585質量%に、ココアパウダーの量を5.15質量%から0.515質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例4のペースト状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:1)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表2に示した。
【0061】
【表2】

【0062】
(実施例6)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から47.519質量%に、ココアパウダーの量を5.15質量%から1.031質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の実施例6のペースト状フラワーペースト(カカオ分1質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.05)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表3に示した。
【0063】
(実施例7)
実施例1の水相調製において、水の量を43.4質量%から38.25質量%に、ココアパウダーの量を5.15質量%から10.3質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の実施例7のペースト状フラワーペースト(カカオ分10質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.005)を得た。
得られたペースト状フラワーペーストについて、実施例1と同様の評価基準にて、フラワーペーストを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペーストを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表3に示した。
【0064】
【表3】

【0065】
(実施例8)
エステル交換油脂A25質量%及びパーム極度硬化油(ヨウ素化1未満)0.05質量%に、キサンタンガム0.01質量%及びペクチン0.3質量%を添加し油相とした。水25.24質量%、ココアパウダー(カカオ分97質量%)5.15%、乳清ミネラル(固形分100質量%、固形分中のカルシウム含量0.4質量%)0.05質量%、デンプン(水分13質量%)4質量%、小麦粉3質量%、ゼラチン2質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分75質量%、水分25質量%)35質量%、及び香料0.2質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmの本発明の実施例8のシート状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.01)を得た。
得られたシート状フラワーペーストを用いて下記に示す配合と製法にてシート状フラワーペースト折り込みスイートロール(実施例8)を製造した。
得られたシート状フラワーペースト折り込みスイートロール(実施例8)について、以下の評価基準にて、フラワーペースト折り込みスイートロールを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペースト折り込みスイートロールを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を評価した。評価の結果を表4に示した。
【0066】
(配合)
強力粉80質量部、薄力粉20質量部、脱脂粉乳3質量部、食塩1.5質量部、全卵(正味)8質量部、イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、ショートニング10質量部、冷水51質量部。
【0067】
(製法)
上記の配合の冷水以外の原料をミキサーボールに入れ、縦型ミキサーを用い、低速で各材料が均一になるまで3分混捏した後、撹拌しながら冷水を加え、低速で2分混合し、捏ね上げ温度を20℃とした。次いで、20分フロアタイムを取った後、−20℃の冷凍庫にて60分生地を冷却した。
得られた生地を厚さ6mmに圧延し、生地100質量部に対し、シート状フラワーペースト50質量部を積置後、包み込み、リバースシーターで3つ折り2回のロールイン操作を行ない、9層の積層生地である複合生地を得た。この複合生地を2℃で4時間冷却した後、厚さ15mmまで圧延し、幅15mm、長さ200mmの短冊状にカットし、これを天板に並べ、室温にて30分ラックタイムを取った後、上火200℃、下火180℃に設定した固定窯で14分焼成し、フラワーペースト折り込みスイートロールを得た。
【0068】
(評価基準)
<先味>
○ 強く感じる
△ 感じる
× ほとんど感じない
<後味>
++ 強く感じる
+ 感じる
− 感じない
【0069】
(実施例9)
実施例8の水相調製において、水の量を25.24質量%から25.34質量%に、ココアパウダー5.15質量%をカカオマス(カカオ分99質量%)5.05質量%に変更した以外は、実施例8と同様にして本発明の実施例9のシート状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.01)を得た。
得られたシート状フラワーペーストを用いて、実施例8と同様の配合と製法にてシート状フラワーペースト折り込みスイートロールを製造した。
得られたシート状フラワーペースト折り込みスイートロールについて、フラワーペースト折り込みスイートロールを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペースト折り込みスイートロールを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を実施例8と同様の評価基準にて評価した。評価の結果を表4に示した。
【0070】
(実施例10)
実施例8の水相調製において、水の量を25.24質量%から21.46質量%に、ココアパウダー5.15質量%をチョコレート(カカオ分56質量%)8.93質量%に変更した以外は実施例8と同様にして本発明の実施例10のシート状フラワーペースト(カカオ分5質量%、カカオ分:乳清ミネラルの固形分との質量比率は1:0.01)を得た。
得られたシート状フラワーペーストを用いて、実施例8と同様の配合と製法にてシート状フラワーペースト折り込みスイートロールを製造した。
得られたシート状フラワーペースト折り込みスイートロールについて、フラワーペースト折り込みスイートロールを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペースト折り込みスイートロールを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を実施例8と同様の評価基準にて評価した。評価の結果を表4に示した。
【0071】
(比較例5)
実施例8の水相調製において、水の量を25.24質量%から25.29質量%に変更し、乳清ミネラルを除いた以外は、実施例8と同様にして比較例5のシート状フラワーペーストを得た。
得られたシート状フラワーペーストを用いて、実施例8と同様の配合と製法にてシート状フラワーペースト折り込みスイートロールを製造した。
得られたシート状フラワーペースト折り込みスイートロールについて、フラワーペースト折り込みスイートロールを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペースト折り込みスイートロールを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を実施例8と同様の評価基準にて評価した。評価の結果を表4に示した。
【0072】
(比較例6)
実施例8の水相調製において、水の量を25.34質量%から25.39質量%に変更し、乳清ミネラルを除いた以外は、実施例8と同様にして比較例6のシート状フラワーペーストを得た。
得られたシート状フラワーペーストを用いて、実施例8と同様の配合と製法にてシート状フラワーペースト折り込みスイートロールを製造した。
得られたシート状フラワーペースト折り込みスイートロールについて、フラワーペースト折り込みスイートロールを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペースト折り込みスイートロールを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を実施例8と同様の評価基準にて評価した。評価の結果を表4に示した。
【0073】
(比較例7)
実施例8の水相調製において、水の量を21.46質量%から21.51質量%に変更し、乳清ミネラルを除いた以外は、実施例8と同様にして比較例7のシート状フラワーペーストを得た。
得られたシート状フラワーペーストを用いて、実施例8と同様の配合と製法にてシート状フラワーペースト折り込みスイートロールを製造した。
得られたシート状フラワーペースト折り込みスイートロールについて、フラワーペースト折り込みスイートロールを口に含んでいる間に感じるチョコレート風味(先味)と、フラワーペースト折り込みスイートロールを嚥下した後に残るチョコレート風味(後味)を実施例8と同様の評価基準にて評価した。評価の結果を表4に示した。
【0074】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カカオ分を1〜15質量%と乳清ミネラルを含有し、該カカオ分と該乳清ミネラルの固形分との質量比率が1:0.001〜1:0.5であることを特徴とするフラワーペースト類。
【請求項2】
前記乳清ミネラルを固形分として0.001〜5質量%含有する請求項1記載のフラワーペースト類。
【請求項3】
前記乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である請求項1または2記載のフラワーペースト類。
【請求項4】
カカオ分と乳清ミネラルを有するフラワーペースト類原料を均質化処理した後、加熱し、冷却することを特徴とする請求項1記載のフラワーペースト類の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のフラワーペースト類を用いたことを特徴とする食品。

【公開番号】特開2011−217646(P2011−217646A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88715(P2010−88715)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】