説明

フランジ付き紙容器

【課題】舌片の切り込み端が達している集合点で微細な透孔が生じないようにし、蓋板を取り付けた商品において前記集合点の部分から外部に内容物が漏れ出難い容器を提供する。
【解決手段】第二舌片151の突端151aから第二側面板14側に亘る端縁151bの位置を、第二縁片15の谷折り線の延長線に対して外方側に偏倚させて、第二舌片151の突端151aが、ブランク組み上げでの側面板12が折り起こされたときに相対する縁片13での外辺近傍部13aに対応位置する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品、粉末物等の包装に使用される紙容器であって、蓋板を取り付けることができるように開口部外周にフランジを一体に有しているフランジ付き紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示されているような形状をした一枚のブランクから上面開口としたトレー状のフランジ付き紙容器があり、これに紙製の蓋板を被せてその蓋板周辺とフランジとをヒートシールすることで、冷凍食品等の包装用として使用されている。
【0003】
上記フランジ付き紙容器を組み上げることのできるブランクは、図4に示すように方形の底面板11の相対向する二側辺にそれぞれ山折り線を介して側面板12が連接され、前記側面板12の底面板11とは反対側となる外辺には、谷折り線を介して縁片13が連接され、その縁片13の左右端(縁片の長さ方向に対向する端部)にはそれぞれ横方向(縁片の長さ方向)に延びる舌片131が設けられている。前記側面板12の左右側辺(側面板の幅方向に対向する辺)には、それぞれ山折り線を介して逆三角形状の折り込み接合板121が連接され、前記折り込み接合板121の底面板11とは反対側となる外辺には、谷折り線を介して接合縁片122が連接されていて、この接合縁片122は切り込みを介した状態で舌片131と同一平面を形成している。
【0004】
接合縁片122と舌片131とを分ける切り込みの切り込み端は、側面板12の側辺の山折り線と側面板12の外辺の谷折り線と折り込み接合板121の外辺の谷折り線との集合点Aまで達しており(図5参照)、この切り込みによって、舌片131は、後述するように製函時に前記接合縁片122と折り込み接合板121とから分離する。
【0005】
また、底面板11の他の相対向する二側辺には、それぞれ山折り線を介して第二側面板14が連接され、第二側面板14の底面板11とは反対側の外辺には、谷折り線を介して第二縁片15が連接され、その第二縁片15の左右端(第二縁片の長手方向に対向する端部)には、それぞれ横方向(第二縁片の長手方向)に延びる第二舌片151が設けられている。前記第二側面板14の左右側辺(第二側面板の幅方向に対向する辺)には、それぞれ谷折り線を介して逆三角形状の第二折り込み接合板141が連接されている。
【0006】
さらに隣り合う側面板12と第二側面板14との間に位置する前記折り込み接合板121と第二折り込み接合板141とについては、その折り込み接合板121の側面板12とは反対側の側辺と第二折り込み接合板141の第二側面板14とは反対側の側辺とが、山折り線を介して連接されている。そして、上記第二舌片151での第二折り込み接合板141が接する近傍となる端縁には、第二折り込み接合板141側に突出する小突起152が設けられていて、小突起152と第二折り込み接合板141とは切り込みを介して同一平面を形成するようにしている。
【0007】
小突起152と第二折り込み接合板141との間の切り込みは、後述するようにこの小突起152が、舌片131側の上記集合点A(上記舌片131の切り込み端が位置している個所)に対応してこの集合点Aを覆うことができる形状とするために、第二側面板14の側辺の谷折り線と第二側面板14の外辺の谷折り線との集合点Bより底面板11側に寄っており、その切り込み端は、第二側面板14の側辺の前記谷折り線で折り曲がる部分まで達している(図5参照)。
【0008】
上記ブランクからフランジ付き紙容器を得るには、側面板12と第二側面板14とを折り曲げてトレー状とし、折り込み接合板121と第二折り込み接合板141とはこの折り込み接合板121と第二折り込み接合板141との間の山折り線の位置で山折りして内面同士を接着させる。ついで、折り込み接合板121と第二折り込み接合板141とを前記接着により重ね合わせた状態で、第二折り込み接合板141が第二側面板14の外面に相対するようにしてこの第二側面板14側に折り曲げ、縁片13、第二縁片15、接合縁片122をそれぞれ谷折りして、前記接合された折り込み接合板121と第二折り込み接合板141との第二側面板14への重ね合わせにより前記接合縁片122の上面と前記第二縁片15の下面とが相対するようになり、この接合縁片122の上面と前記第二縁片15の下面とが接着され、また側面板12と第二側面板14とを折り曲げて相互の側辺同士を揃えるようにすることにより前記舌片131の上面と第二舌片151の下面とが相対し、この舌片131の上面と第二舌片151の下面とを接着させていて、このようにして上面が開口部とされたトレー状の紙容器が組み上げられている(図6、図7参照)。
【0009】
製函された紙容器は、底面板11と四方の側面板12、第二側面板14とで上面を開口部とする上開きのテーパー形状とする収容部が形成され、開口部の周囲には、前記側面板12の外辺と第二側面板14の外辺から谷折りされた縁片13と第二縁片15とが位置して、縁片13の舌片131の上面に第二縁片15が位置して上述のように接着されることで前記縁片13と第二縁片15とが連続してなるフランジが形成されている。
【0010】
そして、集合点Aに舌片131の切り込み下端が達していて、紙容器形態での集合点Aで微細な透孔が生じ易い構造となっており、第二舌片151の突出する形状とした上記小突起152が設けられた目的は、この小突起152を、縁片13と側面板12との間の谷折り線の端部に跨るようにして、収容物を充填して蓋板を取り付けた後に集合点Aでの微細な透孔から収容物が外部に漏れ出るのを防止することであった。
【0011】
なお、ブランクに使用する材料は、一般的に紙箱用として使用されるコートボール、コートマニラ、アイボリーなどの板紙で良いが、収容物が冷凍食品等の水分を多く含むものの場合には、板紙の少なくとも内面にポリエチレン樹脂を溶融押出し法により塗布したポリエチレン加工紙が好ましく使用できる。トレーに組み立てた時、ポリエチレンが接合に有利であることを考慮すると、ブランクの両面にポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が塗布されている加工紙を使用することが望ましい。
【0012】
そして、上述したフランジ付き紙容器の製函は、組み起こし装置を用いてブランクの折り線位置での折り曲げが行なわれるとともに、所要部位での接着がヒートシールにて行なっているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3687396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、組み起こし装置でフランジ付き紙容器が組み立てられる際、底面板の周辺の側面板と第二側面板とが山折り線の位置から折り起こされる過程で、側面板側の縁片の端部と第二側面板側の第二縁片の端部とが近付き合って、前記第二縁片の端部である第二舌片が他方の縁片に当接し、側面板側の折り曲げが設定通りとならずに規制されてしまうという不具合がある(図8)。そして、側面板の側辺での山折り線上部と第二側面板の側辺での谷折り線上部とが重なり合わずに若干離れた状態で紙容器の組み立てが進み、ブランクの所要位置でのヒートシールが行なわれてしまう(図9)。その結果、第二側面板側に位置する上記小突起が、上記集合点から離れて浮いた状態となり、集合点Aでの微細な透孔からの内容物の漏れ出しを防止し難いという問題が解決できない。
【0015】
また、上述したように小突起が側面板と縁片とに跨るものとなっているものの、小突起が小さいものであるため、側面板と縁片との間の谷折り線での曲がり(外方から見て谷折り)に追従できずにその曲がりが小さいものとなっていた。そのため、蓋板を被せ付けてヒートシールを行なった場合でも、舌片の上面に適正に重ならずにやや起きた状態の小突起とその上に重ねる蓋板周辺との間で適正にヒートシールが行なわれずに隙間が生じ易い。その結果として切り込み端が達している上記集合点で折り込みが適正にならずに上記と同様に微細な透孔からの内容物の漏れ出しを防止し難いという問題を解決できない。
【0016】
そこで本発明は上記事情に鑑み、舌片の切り込み端が達している集合点で微細な透孔が生じないようにすることを課題とし、蓋板を取り付けた容器において前記集合点の部分から外部に内容物が漏れ出難い容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、方形の底面板の相対向する二側辺に、それぞれ山折り線を介して側面板が連接され、側面板の前記底面板とは反対側となる外辺に、谷折り線を介して縁片が連接され、前記縁片の左右端に、それぞれ横方向に延びる舌片が設けられ、前記側面板の左右側辺に、それぞれ山折り線を介して逆三角形状の折り込み接合板が連接され、折り込み接合板の底面板とは反対側となる外辺には、谷折り線を介して接合縁片が連接され、
底面板の他の相対向する二側辺に、それぞれ山折り線を介して第二側面板が連接され、第二側面板の前記底面板とは反対側となる外辺に、谷折り線を介して第二縁片が連接され、第二縁片の左右端に、それぞれ横方向に延びる第二舌片が設けられ、前記第二側面板の左右側辺に、それぞれ谷折り線を介して逆三角形状の第二折り込み接合板が連接され、
前記折り込み接合板の側面板とは反対側の側辺と、第二折り込み接合板の第二側面板とは反対側の側辺とが、山折り線を介して連接されているブランクを組み上げて形成される紙容器であって、
前記各側面板を折り曲げてトレー状に組み立て、前記折り込み接合板と第二折り込み接合板とを重ね合わせて接着し、この重ね合わせた二枚の接合板を前記第二側面板の外面側に折り曲げて重ね合わされ、
前記縁片と第二縁片と接合縁片とがそれぞれ谷折りされていて、前記二枚の接合板の第二側面板への重ね合わせにより相対する前記接合縁片の上面と前記第二縁片の下面とが接着され、前記舌片の上面と第二舌片の下面とが接着されて、前記縁片と第二縁片とが連続してなるフランジが形成されているフランジ付き紙容器において、
前記第二舌片の突端から前記第二側面板側に亘る端縁の位置を、第二縁片の前記谷折り線の延長線に対して外方側に偏倚させて、第二舌片の突端が、ブランク組み上げでの側面板が折り越されたときに相対する縁片での外辺近傍部に対応位置する構成としたことを特徴とするフランジ付き紙容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0018】
そして、本発明において、前記第二舌片の第二側面板側の端部に突出形状の凸片が一体にして設けられ、前記凸片が、舌片が連続している前記縁片のヒートシール領域上のみに位置しているものとすることが良好である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、第二舌片の突端から第二側面板側に亘る端縁の位置を、第二縁片の谷折り線の延長線に対して外方側に偏倚させて、第二舌片の突端が、ブランク組み上げでの側面板が折り越されたときに相対する縁片での外辺近傍部に対応位置するように設けられているので、ブランクからの組み上げに際して底面板の周囲にある側面板と第二側面板を折り曲げるときに、前記第二舌片が、側面板側の縁片に当接して、舌片の側面板に対する谷折りが生じ易くなる。そのため、側面板の折り曲げが規制されずに、側面板の側辺の山折り線の上部(上記集合点A)と第二側面板の側辺の谷折り線の上部(上記集合点B)とが適正に重なるようになる。
【0020】
そして、側面板の側辺の山折り線の上部と第二側面板の側辺の谷折り線の上部とが適正に重なった状態で、フランジ形成のための舌片の上面に第二舌片を重ねてヒートシールが行なわれているので、上述したように、舌片の切り込み端が及んでいる上記集合点Aで仮に微細な透孔が生じていたとしても、この集合点Aが、第二側面板の側辺の谷折り線の上部である集合点Bの部分で覆われる形となり、微細な透孔からの漏れ出しを防止できるという効果を奏する。
【0021】
請求項2の発明によれば、第二舌片に一体となっている凸片が、縁片のヒートシール領域上のみに位置しているので、凸片は縁片上面に適正に重なることとなる。よって、蓋材を重ね合わせてヒートシールが行なわれた時点でこの凸片は密にして縁片上面に重なることとなり、側面板の側辺の山折り線の上部(集合点A)と第二側面板の側辺の谷折り線の上部(集合点B)との適正な重なりが得られ易く、上記微細な透孔からの内容物の漏れ出しを抑える作用がより向上する。さらに、ヒートシールする蓋板との間でも凸片が適正に面接着されることとなり、蓋板と凸片との間に隙間が生じるのを確実に防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るフランジ付き紙容器の実施の形態をブランクで示す説明図である。
【図2】実施の形態の要部を拡大して示す説明図である。
【図3】実施の形態の一例を示す説明図である。
【図4】従来の形態をブランクで示す説明図である。
【図5】従来の形態の要部を拡大して示す説明図である。
【図6】従来の形態を斜め上方から見た状態で示す説明図である。
【図7】従来の形態を斜め下方から見た状態で示す説明図である。
【図8】従来の形態での第二舌片が縁片に当接した状態を示す説明図である。
【図9】従来の形態での集合点が揃わない不具合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに本発明を図1から図3に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明のフランジ付き紙容器1を得るブランクについて説明する。図1はこのブランクを示していて、方形の底面板11の相対向する二側辺にそれぞれ山折り線を介して側面板12が連接され、この側面板12の前記底面板11とは反対側である外辺に谷折り線を介してフランジの構成部材である縁片13が連接されている。前記縁片13の左右端(縁片13の長手方向に対向する端部)にはそれぞれ横方向(縁片長手方向)に延びる舌片131が設けられている。
【0024】
上記側面板12の左右側辺(容器形態での側面板幅方向に対向する辺)にはそれぞれ山折り線を介して逆三角形状の折り込み接合板121が連接され、前記折り込み接合板121の底面板11とは反対側となる外辺には谷折り線を介して接合縁片122が連接されている。
【0025】
先に説明した従来例と同じようにこの接合縁片122は切り込みを介した状態で舌片131と同一平面を形成している。そして、舌片131を、接合縁片122と前記折り込み接合板121とから分ける切り込みの切り込み端が、側面板12の側辺の山折り線と側面板12の外辺の谷折り線と折り込み接合板121の外辺の谷折り線との集合点Aまで達している。この切り込みによって、舌片131が製函時に前記接合縁片122と折り込み接合板121とから分離する点についても先に説明の従来例と同じである。
【0026】
また、上記底面板11の他の相対向する二側辺にはそれぞれ山折り線を介して第二側面板14が連接され、前記第二側面板14の底面板11とは反対側である外辺には谷折り線を介してフランジの構成部材である第二縁片15が連接されている。前記第二縁片15の左右端(第二縁片15の長手方向に対向する端部)にはそれぞれ横方向(第二縁片15の長手方向)に延びる第二舌片151が設けられている。
【0027】
この第二舌片151それぞれにあっては、図2に示すように外辺側を円弧状とするとともに内辺側を直線状としている。そして、第二舌片151の突端151aから第二側面板14側に向いている直線状の端縁151bの位置を、第二縁片15の前記谷折り線の延長線に対して外方側に偏倚させている。そして、前記突端151aの位置は、第二縁片15での長さ方向に直交する方向でのほぼ中間位置を通る線15a上としており、ブランクを組み上げて側面板12が折り起こされたときに相対する縁片13での外辺近傍部13aに対応位置するように設けられている。
【0028】
このように第二舌片151の第二側面板14側の端縁151bを外方に偏倚させて、突端151aの位置を、ブランク折り起こし時の縁片13での外辺近傍部13aに対応位置するように設けているので、ブランクからの組み上げに際して、第二舌片151が、側面板12側の縁片13に当接したときに、舌片13の側面板12に対する谷折りが生じ易くなる。そのため、側面板12の折り曲げが規制されずに、側面板12の側辺の山折り線の上部と第二側面板14の側辺の谷折り線の上部とが近付いて、両者が適正に重なるようになる。
【0029】
そして、側面板12の側辺の山折り線の上部と第二側面板14の側辺の谷折り線の上部とが適正に重なった状態(集合点Aに集合点Bが重なった状態)で、谷折りされた縁片13の舌片131の上面に、第二縁片15の第二舌片151を重ねてヒートシールを行なえば、舌片131の切り込み端が及んでいる集合点Aで微細な透孔が生じていたとしても、この部分が、第二側面板14の側辺の谷折り線の上部である集合点Bの部分で覆われる形となる。
【0030】
さらに第二舌片151それぞれの第二側面板14側の端部に凸片16が一体に設けられていて、この凸片16は、図示のように第二舌片151の第二側面板14側の端部から略くの字状に突出したものである。そして、この凸片16は、製函後では上記舌片131が連続している縁片13の上面上のみに位置するように設けられており、側面板12とその縁片13との間の谷折り線の折れ曲がり部分にかかることがないように設けられている。
【0031】
ブランクを構成する包材はその両面がヒートシール性を備える熱可塑性樹脂層であるため、上記縁片13の上面と凸片16の下面が対面した状態でヒートシールを行なえば、この縁片13のヒートシール領域内で凸片16が接着されることとなる。そして、この場合、凸片16は側面板12と前記縁片13との間の谷折り線の部分を跨ぐことがないため、凸片16は平板状態のままで縁片13に接着される。
【0032】
ブランクからフランジ付き紙容器1を得るための組立ては先に従来例のものと同じであってつぎのようにして行う。即ち、側面板12、第二側面板14を折り曲げてトレー状に組み立て、折り込み接合板121と第二折り込み接合板141の内面同士を接着させる。ついで、接着させた折り込み接合板121と第二折り込み接合板141を第二側面板14側に折り曲げる。これとともに縁片13、第二縁片15、接合縁片122をそれぞれ谷折りして、接着された折り込み接合板121と第二折り込み接合板141の前記第二側面板14への重ね合わせにより接合縁片122の上面とこの上に重なっている第二縁片15の下面とが相対し、この相対する接合縁片122と第二縁片15とをヒートシールするとともに、側面板12と第二側面板14との折り曲げにより前記舌片131の上面と第二舌片151の下面とが相対していて、この舌片131と第二舌片151とをヒートシールして、前記縁片13と第二縁片15とが連続してなるフランジ17が形成されて、フランジ付き紙容器1が組み上がる(図3)。
【0033】
フランジ付き紙容器1のフランジ17における各コーナーでは、舌片131の上に、上記端縁151bを外方に偏倚させて突端151aを上記縁片13の外辺近傍部13aに対応させた第二舌片151が重ね合わされてヒートシールにて接着されており、上述したように側面板12の側辺の山折り線位置での山折り部分の上部である集合点Aに、第二側面板14の側辺の谷折り線位置での谷折り部分の上部である集合点Bが密に重なる状態となった紙容器が得られているものである。また、上記凸片16はこのフランジ付き紙容器1でのフランジ形成時のヒートシール時に、縁片13の上面にヒートシールにて接着されて、上述したように側面板12側にかかることなく縁板13のヒートシール面領域内のみに位置して、このフランジ付き紙容器1が組み上げられている。
【0034】
このように集合点Aに対して第二側面板14側の集合点Bの部分が適正に対応位置し、さらに凸片16が適正に縁片13の上面に重ね合わせられて接着されているため、従来の集合点Aでの微細な透孔は生じ難くなり、また仮に生じていたとしてもその微細な透孔が前記集合点Bの部分で覆われることとなり、内容物を充填して蓋板を被せ付けヒートシールした製品とした後に、前記集合点Aから外部への内容物の漏れ出しは生じないものとなる。
【0035】
なお、上記凸片16を、フランジ付き紙容器1の組み上げ時には縁片13の上面に対して非ヒートシール状態で重ね合わせておくことも可能である。そして、上述のように内容物の充填を行なって蓋板を被せ、その蓋体の周辺とフランジ付き紙容器1のフランジ17とをヒートシールする際に、凸片16に対応する位置についても加熱、加圧してヒートシールすれば、前記凸片16の潰れながら集合点A周りを締め込む作用が生じ、微細な透孔の発生をより確実に防止できるのでより効果的である。また、第二縁片15と接している第二側面板14の、谷折り線となる外辺の幅を若干大きくすることも可能であり、このようにすることで、側面板12の側辺の山折り線と第二側面板14の側辺の谷折り線とを、より密に重ね合わせることができ、内容物の漏れ出し防止の効果を高める上でさらに一層効果的である。
【符号の説明】
【0036】
1…フランジ付き紙容器
11…底面板
12…側面板
121…折り込み接合板
122…接合縁片
13…縁片
131…舌片
13a…外辺近傍部
14…第二側面板
141…第二折り込み接合板
15…第二縁片
151…第二舌片
151a…突端
151b…直線状の端縁
152…小突起
16…凸片
17…フランジ
A…集合点
B…集合点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の底面板の相対向する二側辺に、それぞれ山折り線を介して側面板が連接され、側面板の前記底面板とは反対側となる外辺に、谷折り線を介して縁片が連接され、前記縁片の左右端に、それぞれ横方向に延びる舌片が設けられ、前記側面板の左右側辺に、それぞれ山折り線を介して逆三角形状の折り込み接合板が連接され、折り込み接合板の底面板とは反対側となる外辺には、谷折り線を介して接合縁片が連接され、
底面板の他の相対向する二側辺に、それぞれ山折り線を介して第二側面板が連接され、第二側面板の前記底面板とは反対側となる外辺に、谷折り線を介して第二縁片が連接され、第二縁片の左右端に、それぞれ横方向に延びる第二舌片が設けられ、前記第二側面板の左右側辺に、それぞれ谷折り線を介して逆三角形状の第二折り込み接合板が連接され、
前記折り込み接合板の側面板とは反対側の側辺と、第二折り込み接合板の第二側面板とは反対側の側辺とが、山折り線を介して連接されているブランクを組み上げて形成される紙容器であって、
前記各側面板を折り曲げてトレー状に組み立て、前記折り込み接合板と第二折り込み接合板とを重ね合わせて接着し、この重ね合わせた二枚の接合板を前記第二側面板の外面側に折り曲げて重ね合わされ、
前記縁片と第二縁片と接合縁片とがそれぞれ谷折りされていて、前記二枚の接合板の第二側面板への重ね合わせにより相対する前記接合縁片の上面と前記第二縁片の下面とが接着され、前記舌片の上面と第二舌片の下面とが接着されて、前記縁片と第二縁片とが連続してなるフランジが形成されているフランジ付き紙容器において、
前記第二舌片の突端から前記第二側面板側に亘る端縁の位置を、第二縁片の前記谷折り線の延長線に対して外方側に偏倚させて、第二舌片の突端が、ブランク組み上げでの側面板が折り越されたときに相対する縁片での外辺近傍部に対応位置する構成としたことを特徴とするフランジ付き紙容器。
【請求項2】
前記第二舌片の第二側面板側の端部に突出形状の凸片が一体にして設けられ、前記凸片が、舌片が連続している前記縁片のヒートシール領域上のみに位置している請求項1に記載のフランジ付き紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−188159(P2012−188159A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55301(P2011−55301)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】