説明

フランジ付容器の保持具

【課題】容器を保持する作業や、保持されている容器の取り外しを容易に行えるようにするとともに、容器の確実な保持が図れるようにしたフランジ付容器の保持具を得る。
【解決手段】頂板部6と側板部8a、8b、8c,8dとの接続部位に、対応位置の容器のフランジの一部を嵌合する嵌合部9a、9b,9c,9dがスリット10により形成され、また、頂板部6には、隣接する容器2のフランジに対応する位置に、下方に折り込まれて容器のフランジの下面に掛止する折込掛止片11が連結部12を残してスリット13,14により区画されて形成されたフランジ付容器の保持具1において、折込掛止片11には、折込時に容器2のフランジの下面と対向する連結部12の左右の対向辺15に、隣接する容器のフランジの下面に掛止する突状の掛止部16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体にジャム、アイスクリーム、プリン等の内容物が収容され、前記容器本体の開口部の上端外周に外向きにフランジを有し、前記容器本体の開口部がアルミ箔等の如きシール部材の接着、巻き締め等で密封されているフランジ付容器の複数個を一群として隣接させて整列させ、その一群を一括して保持するフランジ付容器の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のフランジ付容器の保持具として、隣接して整列配置された複数のフランジ付容器群の全頂面を覆いうる頂板部と、頂板部の周縁に下方に折り曲げ可能に連設された側板部とからなり、頂板部と側板部との接続部位に、対応位置の容器のフランジの一部を嵌合する嵌合部がスリットにより形成され、また、頂板部には、隣接する容器のフランジに対応する位置に、下方に折り込まれて容器のフランジの下面に掛止する折込掛止片が連結部を残してスリットにより区画されて形成されたフランジ付容器の保持具がある。
【0003】
前記折込掛止片にあっては、折込時に容器のフランジの下面に対向する連結部の左右の対向辺が、容器のフランジと略平行となっており、左右の対向辺の縁部が容器のフランジの下面に掛止するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3305971号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなフランジ付き容器の保持具では、頂板部に形成された折込掛止片の、折込時に容器のフランジの下面に対向する連結部の左右の対向辺が、容器のフランジと略平行となっており、左右の対向辺の縁部が容器のフランジの下面に掛止するようになっているので、容器を保持するために折込掛止片を下方に押して折り込んで、左右の対向辺の縁部を左右に隣接する容器のフランジの下面に掛止させる際、フランジの下面に接触する折込掛止片の対向辺の縁部が線接触となり接触面積が広く、そのため摩擦抵抗が大きいことから、対向辺の縁部をフランジの下面に掛止させるため折込掛止片を押し込む時に過分な力を要することになり、押し込み難く容器の保持作業を面倒なものとし、また、保持されている容器を取り外す際も取り外し難いといった問題があった。
【0006】
また、容器本体の開口部をシールするシール部材には、開封を容易にするために舌片状の摘み片が延設されているものがあるが、この摘み片が折込掛止片の対向辺の縁部を掛止させる位置に存在していた場合、折込掛止片を押し込むには一層の力を要し、そして、不完全な掛止の場合は、摘み片の弾性で折込掛止片が押し戻され、フランジの下面から外れてしまう場合があるといった問題があった。
【0007】
本発明の目的は、容器を保持する作業や、保持されている容器の取り外しを容易に行えるようにするとともに、容器の確実な保持が図れるようにしたフランジ付容器の保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、隣接して整列配置された複数のフランジ付容器群の全頂面を覆いうる頂板部と、頂板部の周縁に下方に折り曲げ可能に連設された側板部とからなり、前記頂板部と側板部との接続部位に、対応位置の容器のフランジの一部を嵌合する嵌合部がスリットにより形成され、また、頂板部には、隣接する容器のフランジに対応する位置に、下方に折り込まれて前記容器のフランジの下面に掛止する折込掛止片が連結部を残してスリットにより区画されて形成されたフランジ付容器の保持具において、前記折込掛止片は、折込時に前記容器のフランジの下面と対向する前記連結部の左右の対向辺に、前記隣接する容器のフランジの下面に掛止する突状の掛止部を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記折込掛止片の前記左右の対向辺に有する突状の掛止部は、略円弧状であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1に記載の、前記折込掛止片の前記左右の対向辺に有する掛止部は、それぞれ左右の対向辺の端部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のフランジ付容器の保持具によれば、前記折込掛止片は、折込時に前記容器のフランジの下面と対向する前記連結部の左右の対向辺に、前記隣接する容器のフランジの下面に掛止する突状の掛止部を有しているので、容器を保持するために折込掛止片を下方に押して折り込んだときの、折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部とフランジの下面との接触面積が小さく、そのため摩擦抵抗も小さいことから、折込掛止片を押し込む時に過分な力を要することなく押し込むことができるので容器の保持作業を容易に行うことができ、また、保持されている容器の取り外しも容易に行うことができる。
また、折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部とフランジの下面との接触面積が小さいので、折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部をフランジの下面に掛止させたとき、掛止部がフランジの下面に食い込む作用が働き、例えば、容器の開口部をシールするシール部材に延設された摘み片があり、この摘み片が折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部を掛止させる位置に存在していたとしても、摘み片上に掛止した折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部が不完全であっても、摘み片の弾性で折込掛止片が押し戻され、フランジの下面から外れてしまうことはなく、容器の確実な保持が図れる。
【0012】
請求項2に記載のフランジ付容器の保持具によれば、請求項1に記載の、前記折込掛止片の前記左右の対向辺に有する突状の掛止部が略円弧状であるので、折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部とフランジの下面との接触は点接触となり、摩擦抵抗もより小さいことから、容器の保持作業を一層容易に行うことができ、また、保持されている容器の取り外しも一層容易に行うことができる。
また、掛止部がフランジの下面に食い込む作用が大きく、摘み片上に掛止した折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部の掛止が不完全であっても、容器の一層確実な保持が図れる。
【0013】
請求項3に記載のフランジ付容器の保持具によれば、請求項1または2のいずれか1に記載の、前記折込掛止片の前記左右の対向辺に有する掛止部が、それぞれ左右の対向辺の端部に設けられているので、容器を保持するために折込掛止片を下方に押して折り込んだときの、折込掛止片の左右の対向辺に有する突状の掛止部を、容器のフランジの最内周側まで移動させてフランジに掛止させることができることになり、容器の確実な保持が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るフランジ付容器の保持具を実施するための形態の第1例を示す平面図である。
【図2】第1例のフランジ付容器の保持具でフランジ付容器を保持した状態を示す斜視図である。
【図3】第1例のX−X線断面図である。
【図4】第1例の変形例を示す説明図である。
【図5】本発明に係るフランジ付容器の保持具を実施するための形態の第2例を示す要部平面図である。
【図6】第2例のフランジ付容器の保持具でフランジ付容器を保持した状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係るフランジ付容器の保持具を実施するための形態の第3例を示す要部平面図である。
【図8】第1例乃至第2例で保持するフランジ付容器の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るフランジ付容器の保持具を実施するための形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図3は本発明に係るフランジ付容器の保持具の実施の形態の第1例を示すもので、図1は本発明に係るフランジ付容器の保持具の第1例を示す平面図、図2は第1例のフランジ付容器の保持具でフランジ付容器を保持した状態を示す斜視図、図3は第1例のX−X線断面図である。
【0016】
本例のフランジ付容器の保持具1は、図8にその一例を示す容器2を保持する。この容器2は、容器本体3の開口部の上端外周に外向きにフランジ4を有し、容器本体3の開口部がアルミ箔等の如きシール部材5の接着、巻き締め等で密封されており、シール部材5には開封を容易にするために舌片状の摘み片5aが延設されている。
【0017】
前記保持具1は、厚紙、合成樹脂、その組み合わせの積層体等の可撓性と保形剛性とを具備する板状材料で形成する。
厚紙とは、一般的な製造方法で得られた単層、或いは多層の紙を用いることができる。厚紙の製造方法は、特に限定されるものではないが、木材パルプ(化学パルプ、機械パルプ)、非木材パルプ、古紙パルプ等と、必要に応じて添加した填料やその他薬品等を水に分散した紙料を抄紙機のワイヤー上に噴射し、ワイヤーパートで脱水、ドライヤーパートで乾燥して製造する。また、必要に応じて紙に強度や耐水性を付与するためにPVA、デンプン、表面サイズ剤等の薬品を単独又は2種類以上組み合わせてサイズプレス等で紙表面を処理することや、紙の凹凸を整えるカレンダー処理を施すことも可能である。
【0018】
また、合成樹脂とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニール等を例示することができ、これらを単独或いは2種類以上(紙を含む)を組み合わせて使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
このような板状材料で形成された本例のフランジ付容器の保持具1は、隣接して整列配置された複数の容器群の全頂面を覆いうる頂板部6と、頂板部6の周縁に折り曲げ線7a、7b、7c,7dを介して下方に折り曲げ可能に連設された側板部8a、8b、8c,8dとからなる。
本例では、頂板部6は2列に整列配置した4個の容器2を保持するものとして設定され、四角形状(正方形)に形成され、その大きさは、各辺、即ち、周縁に折り曲げ線7a、7b、7c,7dが、前記配置した容器2のフランジ4の一部を横切る大きさに設定されている。
【0020】
そして、頂板部6と側板部8a、8b、8c,8dとの接続部位には、折り曲げ線7a、7b、7c,7dに沿って、前記配置した容器2のフランジ4の一部を嵌合する嵌合部9a、9b,9c,9dがスリット10により形成されている。この嵌合部9a、9b,9c,9dへの容器2のフランジ4の嵌合は、図2に示すように、側板部8a、8b、8c,8dを折り曲げ線7a、7b、7c,7dから下方へ折り曲げることにより嵌合し且つ、嵌合状態を保持するようになっている。
【0021】
また、頂板部6の中央寄りには、前記配置した4個の容器2のうち、隣接する2個の容器2のフランジ4にそれぞれ対応する位置に、下方に折り込まれてそれぞれ隣接する2個の容器2のフランジ4の下面に掛止する一対の折込掛止片11が連結部12を残してスリット13、14により区画されて対向して形成されている。
前記折込掛止片11は、連結部12から左右に延びる片を有する略矩形状に形成され、折込掛止片11を連結部12から下方へ折り込んだとき、容器2のフランジ4の下面と対向する連結部12の左右側に位置する対向辺15に、隣接する2個の容器2のフランジ4の下面に掛止する突状の掛止部16が設けられている。
【0022】
この掛止部16は略円弧状が好ましい。掛止部16における円弧のRは、0.3mm〜5.0mmが好ましい。0.3mmより小さいと掛止部16の掛止強度が低下してしまい、5.0mmより大きいと容器2のフランジ4の下面に押し込む際の接触抵抗が大きくなり好ましくない。
本例では、図3に示すように、折込掛止片11の左右の対向辺15が、折込掛止片11を下方に押し込んだときに、容器2のフランジ4の下面との間に隙間Sが空くように左右端部に向かって傾斜しており、この傾斜する左右の対向辺15の端部に掛止部16がフランジ4の下面に向かって突出するように設けられている。そして、この掛止部16における円弧のRは1.0mmとなっている。
【0023】
なお、本例では、頂板部6は2列に整列配置した4個の容器2を保持するものとして設定されているが、図4に示すように、2列に整列配置した6個の容器2を保持するように構成することもでき、さらに、それ以上の容器2を保持する構成にすることも可能である。
【0024】
以上のように構成した本例のフランジ付容器の保持具1によれば、折込掛止片11は、折込時に容器のフランジ4の下面と対向する連結部12の左右の対向辺14に、隣接する容器2のフランジ4の下面に掛止する突状の掛止部16を有しているので、容器2を保持するために折込掛止片11を下方に押して折り込んだときの掛止部16とフランジ4の下面との接触面積が小さく、そのため摩擦抵抗も小さいことから、折込掛止片11を押し込む時に過分な力を要しない。また、保持されている容器2の取り外しも容易に行える。
【0025】
また、掛止部16とフランジ4の下面との接触面積が小さいので、掛止部16をフランジ4の下面に掛止させたとき、掛止部16がフランジの下面に食い込む作用が働き、図8に示すように、容器2の開口部をシールするシール部材5に延設された摘み片5aがあり、この摘み片5aが掛止部16を掛止させる位置に存在していたとしても、摘み片5a上に掛止した掛止部16が不完全であっても、摘み片5aの弾性で折込掛止片11が押し戻され、フランジ4の下面から外れてしまうことはない。
【0026】
本例では、掛止部16が略円弧状であるのでフランジの下面との接触は点接触となり、摩擦抵抗もより小さいことから、折込掛止片11の押し込みを一層容易に行うことができ、また、保持されている容器の取り外しも一層容易に行うことができ、また、掛止部16がフランジ4の下面に食い込む作用が大きく、摘み片上5aに掛止した掛止部16の掛止が不完全であっても、容器2の一層確実な保持が図れる。
【0027】
また、本例では、折込掛止片11の左右の対向辺15が、折込掛止片11を下方に押し込んだときに、容器2のフランジ4の下面との間に隙間Sが空くように左右端部に向かって傾斜しており、この傾斜する左右の対向辺15の端部に掛止部16がフランジ4の下面に向かって突出するように設けられているので、容器2を保持するために折込掛止片11を下方に押して折り込んだときに掛止部16を、容器2のフランジ4の最内周側まで移動させてフランジ4に掛止させることができることになり、容器の確実な保持が図れる。
【0028】
図5は本発明に係るフランジ付容器の保持具を実施するための形態の第2例を示す要部平面図、図6は本例のフランジ付容器の保持具でフランジ付容器を保持した状態を示す断面図である。
第2例では、折込掛止片11の左右の対向辺15に有する突状の掛止部16にあっては、対向辺15を円弧状に形成することにより掛止部16としている。この円弧状に形成された対向辺15よりなる掛止部16の円弧のRは5.0mmとなっている。その他の構成は前記の第1例と同様である。
以上のように構成した本例のフランジ付容器の保持具1によれば、第2実施例と同様な効果を得ることができる。
【0029】
図7は本発明に係るフランジ付容器の保持具を実施するための形態の第3例を示す要部平面図である。
第3例では、第1例と同様、折込掛止片11の左右の対向辺15が、折込掛止片11を下方に押し込んだときに、容器2のフランジ4の下面との間に隙間Sが空くように左右端部に向かって傾斜しており、この傾斜する左右の対向辺15の端部に掛止部16がフランジ4の下面に向かって突出するように設けられている。第1例との相違は、この掛止部16における円弧のRが0.3mmとなっている点だけであり、その他の構成は前記の第1例と同様である。
以上のように構成した本例のフランジ付容器の保持具1によれば、第1実施例と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 フランジ付容器の保持具
2 容器
3 容器本体
4 フランジ
5 シール部材
5a 摘み片
6 頂板部
7a、7b、7c,7d 折り曲げ線
8a、8b、8c,8d 側板部
9a、9b,9c,9d 嵌合部
10 スリット
11 折込掛止片
12 連結部
13、14 スリット
15 対向辺
16 掛止部
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接して整列配置された複数のフランジ付容器群の全頂面を覆いうる頂板部と、頂板部の周縁に下方に折り曲げ可能に連設された側板部とからなり、前記頂板部と側板部との接続部位に、対応位置の容器のフランジの一部を嵌合する嵌合部がスリットにより形成され、また、頂板部には、隣接する容器のフランジに対応する位置に、下方に折り込まれて前記容器のフランジの下面に掛止する折込掛止片が連結部を残してスリットにより区画されて形成されたフランジ付容器の保持具において、
前記折込掛止片は、折込時に前記容器のフランジの下面と対向する前記連結部の左右の対向辺に、前記隣接する容器のフランジの下面に掛止する突状の掛止部を有していることを特徴とするフランジ付容器の保持具。
【請求項2】
前記折込掛止片の前記左右の対向辺に有する突状の掛止部は、略円弧状であることを特徴とする請求項1に記載のフランジ付容器の保持具。
【請求項3】
前記折込掛止片の前記左右の対向辺に有する掛止部は、それぞれ左右の対向辺の端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1に記載のフランジ付容器の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−210970(P2012−210970A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78260(P2011−78260)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】