説明

フランジ構造

【課題】天井壁裏面に据え付けられた本体に対し、本体の周縁部のフランジを覆うパネルを設置する施工において、施工性を向上させることができ、また、パネルと天井壁からの風の吸い込みを防止することを目的とする。
【解決手段】天井壁1に形成された開口部2より天井壁裏面に挿入される形状で、下部に前記開口部2の下面に当接するフランジ3を形成した本体4に、本体4のフランジ3の周縁部5を覆うパネル6を設置し、空気を送風する送風手段7と、空気を加熱する加熱手段8と、空気を加湿する加湿手段9を備えたサウナ装置において、本体4のフランジ3を天井壁1から隆起させ、フランジ3の隆起とパネル6の形状が合致させることにより、施工性の向上とパネル6と天井壁1からの風の吸い込みを防止することのできるフランジ構造が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井壁に形成された開口部より天井壁裏面へと据え付けられた本体に、前記開口部の周縁部を覆うパネルを設置するという構成を持つサウナ装置のフランジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の天井埋込形空気調和機では図4、図5のようなパネルの取り付け方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その取り付け方法について図4、図5を参照しながら説明する。
【0004】
図に示すように室内天井壁101に形成された開口部102より天井壁裏面部103に据えつけられた空調機本体104に、開口部102より挿入され、挿入先端部が接続され、挿入後端部が開口部102に至って室内空気の吸込及び熱交換後の吹き出しのためのダクト110を形成すると共に、挿入後端部か開口部102の周縁部を覆うパネル106を形成する天井パネル105で、ダクト110を空調機本体104側に接続される本体側ダクト107を覆い、パネル106を有する開口部側ダクト108に分割し、両ダクトの端部を重ね合わせ開口部側ダクト108を本体側ダクト107により伸縮自在に形成すると共に、本体側ダクト107と開口部側108とにこれらを互いに固定する連結手段109を設けて構成する。
【特許文献1】特開平5−18598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のパネルの取り付け方法では、本体とパネルの距離が離れており、パネルを挿入する際のガイドの位置が天井壁裏面部となりパネルから奥の位置となるためパネルの取り付けが困難となり、施工性の向上が要求されている。
【0006】
また、本体とパネルの接続において本体に対するパネルの相対的な位置が明確に決定されないために室内天井壁に形成された開口部とパネルの位置関係は一意的に決まらずにズレが生じるため、開口部が室内側へ露出する可能性があり、パネル取り付けの際に注意を要するという課題があり、開口部とパネルの位置を一意的に決めることができるよう要求されている。
【0007】
また、パネル自体が天井と直接接触する構成のため、パネル取り付け時に天井との隙間に不均一な面が生じると影となり、美観を損なう。
【0008】
また、本体内の結露水がパネルに滴下したときに、パネルがフラット形状のためパネルの裏に結露水が落ちたときに貯水する量が少なく、長時間のサウナ運転を行ったときにパネルから溢水する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフランジ構造は、上記目的を達成するために、天井壁に形成された開口部に挿入される構成で、下部に前記開口部の下面に当接するフランジを形成した本体と、本体のフランジの周縁部を覆うパネルと、空気を送風する送風手段と、空気を加熱する加熱手段と、空気を加湿する加湿手段を備えたサウナ装置において、本体のフランジを天井壁から隆起させたものである。
【0010】
この手段により、パネル取り付けの際フランジの隆起を設けることにより、パネルの内周と本体のフランジ周縁部との隙間がパネルを挿入する際の位置決めとして働くと共に、パネルとフランジの形状が同形状であるため、フランジがガイドとなり、パネル取り付けの施工性の向上を図ることができる。また、浴室に取り付けるパネルは一般的に白色系統が多く、一方、本体フランジは内部に入るため黒色系統が多く、フランジが隆起していることにより、パネルと天井は隙間をもって配置され、一方本体と天井に隙間が生じた場合でも隙間は影となるため、美観を損ねることなく、施工性の向上を図ることができる。
【0011】
また、他の手段は、設置状態でパネルの中心部が最下点となるように隆起させ、前記パネルの隆起に合わせて隆起させた2辺のフランジの中心部を最も隆起させたものである。
【0012】
この手段により、パネル裏の貯水容量を増やすことができ、長時間のサウナ運転時に本体内部の結露水がパネルの裏側に貯水されても、パネルから溢水することはなく、パネル裏面に溜まる水はパネル中心部の最下点の位置から順じ貯水できる形状とすることができる。
【0013】
また、他の手段は、フランジ周囲を覆うように取り付けられるパネルに凸部を周上に設け、フランジに前記凸部と嵌合させる溝を設けたものである。
【0014】
この手段により、パネルとフランジとの隙間を減少させることができ、吸込口を通過せずにパネルと天井壁面の隙間から進入する空気を減少させることができる。
【0015】
また、他の手段は、パネル設置状態で、前記パネルの凸部を前記本体のフランジに当接する形状とし、前記本体のフランジを前記パネルの凸部の最下点部に当接するように隆起させたものである。
【0016】
この手段により、フランジ隆起部の断面積分の溝と前記溝の断面積に等しいパネルの凸部が嵌合して取り付くことにより、嵌合部分の接触面積が大きくなり、本体内へのパネルとフランジの隙間からの空気の吸い込みを減少させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パネルの取付の際、美観を損なわずに施工性の向上を図ることができるパネル取付機構を提供できる。
【0018】
また、サウナ運転時、加湿手段により加湿された空気で浴室等サウナ対象室内を加湿することとなるが、送風手段によりサウナ対象室内の空気を吸い込んだときに、本体内結露が生じるが、長時間サウナ運転時を行うと結露水が滴下し、パネルの裏側に貯水されることとなるが、設置状態でパネルの中心部が最下点となるようにパネルを隆起させることにより、パネル中心部の最下点の位置から順じ貯水できる形状とすることができ、長時間の運転でもパネルから溢水し、水滴が滴下することのない、サウナ運転が可能となる。
【0019】
また、パネルの周上に凸部を設け、フランジに前記凸部と勘合させる溝を設けて両者を勘合させることにより、パネルとフランジとの隙間を減少させることができ、吸込口を通過せずにパネルと天井壁面の隙間から進入する空気を減少させることができ、パネル裏面に貯水した結露水がパネルとフランジの隙間から漏洩して滴下することなく、性能を維持することができるという効果をもったサウナ装置のフランジ形状を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の構成によれば、浴室の天井壁に形成された開口部より天井壁裏面に据え付けられた本体に、上記開口部の周縁部を覆うパネルを設置し、空気を送風する送風手段と、空気を加熱する加熱手段と、空気を加湿する加湿手段を備えたサウナ装置において、本体のフランジを天井壁から隆起させたことを特徴としたパネル取付構造により、パネルの取付の際、施工性の向上を図ることができ、設置状態でパネルの中心部が最下点となるようにパネルを隆起させることにより、パネル中心部の最下点の位置から順じ貯水できる形状とすることができ、パネルの周上に凸部を設け、フランジに前記凸部と勘合させる溝を設けて両者を勘合させることにより、パネルとフランジとの隙間を減少させることができ、吸込口を通過せずにパネルと天井壁面の隙間から進入する空気を減少させることができるいう作用を有する。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1〜3に示すように浴室の天井壁1に形成された開口部2より浴室内側(図示せず)から本体4を挿入し、吊りロッド21により本体4の側面に取り付けられた吊り金具22をナット23により上下から挟み込むことにより本体4を固定し、さらに本体4のフランジ3を天井壁1に取り付けて室内側からネジ24により天井壁1にネジ止めすることにより本体4を固定する。
【0023】
さらに、フランジ3の周縁部5を覆うパネル6は、浴室内の空気を吸い込む吸込口10を設け、吸込口10にはパネル設置状態にて着脱可能な取っ手部を設けたフィルター11を設け、吸込口10から本体4に吸い込んだ空気を浴室へ吹き出す吹出口12を設け、前記吹出口12から吹き出される空気はパネル6の浴室内面側と同じ面上に設けられた可動式のルーバー25を介する。そして、パネル6の本体4と接する面側、つまり、浴室内から見てパネルの裏面側の周上に凸部としてパネルと一体で成型されたリブ13を設け、パネル6は設置状態においてパネル6の中心部が最下点となるように湾曲させた形状とすることによりサウナ運転をしたときの本体4内部の結露水がパネル6に滴下し、パネル6裏面に溜まる水はパネル中心部の最下点の位置から順じ貯水できる形状とする。
【0024】
また、パネル6に設けた前記リブ13と嵌合する溝14を本体4のフランジ3に設け、パネル6を挿入する際、両者が嵌め合わさる構造とする。
【0025】
そして、本体4の構造として、パネル6の吸込口10から空気を吸い込み、循環経路16に空気を送風する送風手段としてのファン17と、空気を加熱する加熱手段としてのヒーター18と、空気を加湿する加湿手段としてノズル19から水を噴霧し、水滴破砕面20へ当てて水を破砕させて加湿を行う構造を備えたサウナ装置を設け、サウナ装置において加熱、及び加湿を施された空気は浴室内へパネル6の吹出口12から可動式のルーバー25により風向を制御された状態にて室内へ吹き出される。
【0026】
上記構成において、パネル6を本体4に取り付ける際にパネル6の形状とフランジ3の隆起が同形状となるためパネル挿入時のガイドとして働くため、施工性の向上が図れ、本体4の運転時に循環経路16に空気を送風する送風手段としてのファン17により吸込口10から空気を吸い込む際、パネルに設けた凸部としてパネルと一体で成型されたリブ13と、前記リブ13と勘合させる本体4のフランジ3に設けた溝14によりパネル6と本体4のフランジ3との周上の隙間を減少させることにより、吸込口10を通過せずにパネル6と天井壁面15の隙間から進入する空気を減少させることができる。また、パネル6の形状が設置状態において中心部が最下点となるように湾曲させた形状であるため、パネル裏面に溜まる水はパネル中心部の最下点の位置から順じ貯水できる形状となる。
【0027】
また、パネルの凸部としてのリブ13をパネル6取り付け時に本体4のフランジ3に設けた溝14との勘合面積が最大となるようにリブ13を設けることにより、さらに、パネル6の吸込口10に設けたフィルター11を通らずにパネル6と天井壁面15の隙間から侵入する風を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
浴室に設置されたサウナ装置を持つ天井埋込型空気調和機を、室内に設置し、室内の空気を本体内に吸い込みダクトを介して室外へ排気する天井埋込型換気扇や室内の空気を本体内に吸い込み熱交換をして室内へ吹き出す天井埋込型空気調和機にも適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1のフランジ構造を示す側断面図
【図2】同フランジ構造の要部を示す斜視図
【図3】同詳細を示す側断面図
【図4】従来のフランジ構造を示す側断面図
【図5】同要部を示す斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 天井壁
2 開口部
3 フランジ
4 本体
5 周縁部
6 パネル
7 送風手段
8 加熱手段
9 加湿手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井壁に形成された開口部に挿入される構成で、下部に前記開口部の下面に当接するフランジを形成した本体と、本体のフランジの周縁部を覆うパネルと、空気を送風する送風手段と、空気を加熱する加熱手段と、空気を加湿する加湿手段を備えたサウナ装置において、前記本体の前記フランジを前記天井壁から隆起させたことを特徴としたフランジ構造。
【請求項2】
設置状態でパネルの対となる2辺の中心部が最下点となるように隆起させ、前記パネルの隆起に合わせて前記本体のフランジを隆起させたことを特徴とした請求項1記載のフランジ構造。
【請求項3】
フランジ周囲を覆うように取り付けられるパネルに凸部を周上に設け、前記フランジに前記凸部と嵌合させる溝を設けることを特徴とした請求項1または2記載のフランジ構造。
【請求項4】
パネル設置状態で、パネルの凸部を本体のフランジに当接する形状とし、前記本体の前記フランジを前記パネルの凸部の最下点部に当接するように隆起させたことを特徴とした請求項3記載のフランジ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−104486(P2008−104486A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287288(P2006−287288)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】