説明

フランス鴨飼育舎のパネル状床敷用マット

【目的】 フランス鴨飼育舎のパネル状床敷マットを提供する。
【構成】 フランス鴨の飼育舎の床面に敷設するパネル状床敷用マットに関するもので、水分保持力及び透水性が良くさらさらした感じを維持し、また虫等が付かず発酵及び腐敗もし難く、更にフランス鴨の糞尿との分離が容易に行えるヤシガラチップ等の繊維質塊体を用いて多角形状のパネル状床敷用マットをプレスにより圧縮成形し、これを飼育舎の床面に複数枚組み合わせて敷設するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級食材フォアグラ用のフランス鴨を、雛鳥から成鳥に育つまでの成長期間を清潔かつ健康的に飼育するために、6mm以下の粒度で且つ含水分量が10%乃至20%の範囲に調整したヤシガラ等の繊維質塊体を用いて多角形状のパネル状床敷用マット1を圧縮成形し、前記パネル状床敷用マット1を家畜舎2の床面3に複数枚組み合わせて敷設することにより、製品加工ライン80日の成長期間前記パネル状床敷用マット1を交換することなく衛生的に且つ清潔さを維持しつつフランス鴨を飼育する事の出来るパネル状床敷用マット1に関し、詳しくは水分保持力及び透水性が良くさらさらした感じを維持し、また虫などが付かず発酵もし難く、更にマット1上に排出されるフランス鴨の糞は堆肥として極めて容易に回収処理する事が出来る利点を有し、また尿についてはマット1に吸収されつつ流下してマット1の下の床面3に排出されるので尿の分離が容易でかつ糞尿の腐敗から発生するアンモニアの悪臭もヤシガラが有している臭気吸着能により消臭されて発生しなくなることから長期にかつ快適に使用することが可能である。従ってフランス鴨の糞尿の排出処理を衛生的にかつ簡便に行う事により、フランス鴨の飼育をストレスを軽減し清潔感を維持しつつ衛生的に行うことが出来るので前記フランス鴨の飼育において従来飼育期間よりも一週間前後短い日数にて飼育を終了することが出来るばかりでなく従来の繊維質塊体を敷きつめた床敷料にて飼育する場合に比して大幅な成長促進効果が得られ、更に飼育期間が短縮されることにより飼料代が一週間前後節約できる等の多くの利点が得られる優れたパネル状床敷用マット1を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来飼育舎の床面に敷設する床敷料として、オガクズ、籾殻、稲藁等が通常用いられている。
これらの敷料は、手軽にかつ安価に入手出来るため広く使われている。ところが近年木材、稲作等の生産量の減少及びオガクズに対する需要の増加即ちキノコの苗床或いは長芋、海老等の出荷用保護材料として使用される量が増加していることから供給量が年々減少傾向にあるため入手困難となってきており、したがつてこれら物品の価格は年々値上がり傾向にあることは否めない。
しかもこれらオガクズ、籾殻、稲藁を床敷料として使用するにあたって下記に示すようにそれぞれ問題点を抱えているのが実情である。
オガクズにおいては、床敷料として床面に使用した場合、粒体が5ミリ以下と小さいことから乾物率10〜18%で家畜の糞尿とオガクズが混ざりあってドロドロの状態となるとともに、尿の水分が浮き上がって来るため、飼育している家畜が汚れるとともに滑りやすい危険な状態となる。このためオガクズと糞尿の混合物がドロドロの状態になるとショベルロ−ダ−にてこれらを舎外に掻き出し堆肥置き場に搬出している。しかしドロドロの状態のためショベルロ−ダ−から漏れる量が多く飼育舎からの全量除去に多大の労力と時間を要する。またオガクズと糞尿の混ざり合った敷料は通常80〜90%以上の水分を含んでいるため堆肥化処理が困難となるので水分を70%以下の固状にして堆肥化を促進させるため乾燥装置を利用したりゼオライト等の水分調整材を用いたりして水分調整を行う等の煩わしさを有し、更にオガクズと糞尿の混合物は腐敗し始めるとアンモニアの悪臭を発するとともにハエが飛来して蛆虫発生の原因となる。
またオガクズは消毒及び熱処理を施さずに床敷料として使用しているため、オガクズには寄生虫の卵が存在していることが多く敷料をくちばむことにより体内に入り繁殖することによる死亡例がある等の問題点を有する。
従ってオガクズの場合は、1回使用のみでしかも短時間で交換することになるため床敷料の費用のみならずオガクズと糞尿とのどろどろした混合物処理のための労務費用が嵩みコスト高となる欠点を有し、更に家畜が寄生虫の存在による死亡事故を生ずる等の欠点を有するものである。
籾殻は、吸水量が高いため利用されているが、籾殻中に珪酸が含まれているため非常に固くざらざらして使い難いので、籾殻を粉砕して柔らかくした粉砕籾殻が利用されている。しかし籾殻を粉砕処理するために費用が嵩んで採算が取れないことから現在では余り用いられていないのが実状である。
稲藁は床敷料としては好ましい材料であるが、コンバインが普及したため入手難となってきているのが現状である。
そこで上記欠点を改善する目的で、特開平6−205624号、特開平7−327536号及び特開2000−23584号等の発明が開発されている。
これらの発明は、6mm乃至30mm程度のヤシガラチップ等の繊維質塊体を飼育舎の床面に直接敷きつめるための床敷料を形成し使用している。これら床敷料はそれなりの効果を上げているものであるが、糞尿と繊維質塊体との混合物処理は従来技術同様ショベルロ−ダ−にて掻き寄せ処理しなければならない煩わしさを有し、更にこれらの混合物処理には処理手間と労務費が嵩む欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上述した家畜飼育における従来技術の問題点の改善及び開発された技術を更に改良し、高級なフランス鴨を衛生的にかつ清潔さを維持しつつ飼育するための飼育舎2の床面3に敷設して用いるパネル状床敷用マット1を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の飼育舎2のパネル状床敷用マット1は、6mm以下の粒度で且つ含水分量が10%乃至20%の範囲に調整したヤシガラチップ単体又はヤシガラチップと籾殻又はオガクズ等との混合体よりなる繊維質塊体を圧縮成形してパネル状の床敷用マット1を形成し、前記床敷用マット1を複数枚組み合わせて敷設することによりフランス鴨飼育舎2の床面を形成することを特徴とするフランス鴨飼育舎2のパネル状床敷用パネル1に関し、請求項2に記載の発明は、パネル状床敷用マット1の大きさに合わせて形成した多角形状の箱型容器内に、前記繊維質塊体を前記マット1の大きさに応じて必要量充填し、15kg/cm前後の圧力にて圧縮することにより所要空隙量を有する3cm前後の厚さのパネル状床敷マット1を形成することを特徴とするパネル状床敷用マット1の製造方法に関し、請求項3に記載の発明は、3角形、四角形、長方形、6角形等の多角形に形成したことを特徴とするパネル状床敷用マット1に関し、請求項4の発明は、多角形の1辺に凸部4を設け他辺には凹部5を設けたパネル状床敷用マット1を形成し、前記凹5凸4を利用して複数のマット1をモザイク状に組み合わせることにより前記パネル状床敷マット1の間に生ずる隙間又は横ズレを防止するように形成したことを特徴とするパネル状床敷用マット1に関するものである。
【0005】
本発明は上記のように、6mm以下の粒度で且つ含水分量が10%乃至20%の範囲に調整したヤシガラ等の繊維質塊体を用いて多角形状に圧縮成形したパネル状床敷用マット1を形成し、前記パネル状床敷用マット1を家畜舎2の床面3に複数枚組合せて敷設することによりフランス鴨を飼育するためのパネル状床敷用マット1に関し、前記パネル状床敷マット1はヤシガラ等の繊維質塊体を用いて成形しているので水分保持力及び透水性が良いためさらさらした感じを維持するとともにヤシガラはタンニン酸やフェノ−ルを若干含むため虫が付きにくいこと及び発酵もしにくい性質を有していることから前記マット1上に排出されるフランス鴨の糞は容易に回収することが可能であり、また尿についてはマット1内に吸収されつつ流下してマット1の下の床面3に排出されるので尿の分離が容易であり、更に糞尿の腐敗から生ずるアンモニアの悪臭はヤシガラが有している臭気吸着能により消臭されて発生しなくなることから長期にかつ快適に使用することが可能となる優れた特徴を有し、従ってフランス鴨の糞尿の排出処理を衛生的にかつ簡便行うことができることからフランス鴨を雛鳥から成鳥になる製品加工ラインの80日間パネル状床敷用マット1を交換することなく清潔感を維持しつつ衛生的に飼育することが出来るとともに成育期間の短縮が図れるのでフランス鴨の成長促進効果及び飼育費用が軽減され経済的メリットが大きい利点を有するものである。
【発明の実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は6mm以下の粒度で且つ含水分量が10%乃至20%の範囲に調整したヤシガラチップ単体又は前記ヤシガラチップと籾殻又はオガクズ等との混合体よりなる繊維質塊体を用いて箱型容器内に充填したものを圧縮成形して多角形状のパネル状床敷用マット1を形成し、フランス鴨の飼育舎2の床面3に前記パネル状床敷用マット1を複数枚組み合わせて敷設し、フランス鴨の飼育用床面1′を形成するためのパネル状床敷用マット1である。
【実施例】
【0007】
以下、図面に基づき、本発明の1実施例にについて更に詳しく説明すると、図1〜図4は、本発明に係わるパネル状床敷用パネル1に関する使用説明図であり、図1はフランス鴨の飼育舎2の断面図を示し、図2はパネル状床敷用マット1を床面3に複数枚敷設した状態を示す斜視図を示し、図3はパネル状床敷用マット1の斜視図を示し、図4は第3図の他の実施例を示す斜視図である。
【0008】
本発明のパネル状床敷用マット1について図1から図4に示す実施例に基づき具体的に説明すると、本発明は図1から図4に示されているとおり、フランス鴨の飼育舎2の床面3に複数枚敷設して飼育用の床面1′を形成するためのパネル状床敷用マット1に関するものである。
パネル状床敷用マット1の形状は、3角形、4角形、長方形、6角形等の各辺を密着させて使用することが出来る多角形状のものを使用する。その形状は使用場所の状況に応じて好ましい形状を使用すればよい。またその大きさは30cmから100cmの範囲内のものを形成すればよいが、使用するプレス装置の圧力容量に応じて形成するので、好ましくは30cm角から60cm角の範囲内で厚さ2cm乃至4cmの範囲で成形して用いるのが好ましい。
パネル状床敷用マット1の製造について述べると、先ず6mm以下の粒度を有するヤシガラチップを用意し、前記ヤシガラチップの含水分量を10%乃至20%の範囲に調整する。このヤシガラチップをパネル状床敷用マット1の必要な成形形状に合わせた箱型容器内に、前記マット1の成形形状の大きさに応じた量を充填する。例えば1.8kgのヤシガラチップを前記箱型容器内に充填したものをプレス装置により15kg/cm前後の圧力にて圧縮成形して30cm×60cmの長方形で厚さ3cmのパネル状床敷マット1を形成するものである。
プレス装置による圧縮成形において、前記ヤシガラチップに含有させた水分と接着成分の働きにより繊維質塊体よりなるヤシガラチップ間の程よい接着効果が得られ適当な空隙を有するパネル状床敷用マット1が形成される。なお、圧縮圧力が弱いと繊維質塊体同志の接着力が弱いことからすぐ崩れてしまうため前記パネル状床敷用マットを形成出来ないので、好ましくは15kg/cm前後の圧力で行うと良い。
この成形加工において、箱型容器内にヤシガラチップを充填した際繊維質塊体間の接着固化効果を更に高めるために糊を添加して成形しても良い。
【0009】
以上述べたように本発明の家畜舎のパネル状床敷用マット1は、6mm以下の粒度で且つ含水分量が10%乃至20%の範囲に調整したヤシガラチップ単体又は前記ヤシガラチップと籾殻又はオガクズ等との混合体よりなる繊維質塊体を圧縮成形してパネル状の床敷用マット1を形成し、前記パネル状床敷用マット1を複数枚組み合わせて飼育舎の床に敷設することによりフランス鴨の飼育舎の床面を構成するための飼育舎のパネル状床敷用マットを形成しているので、フランス鴨を、雛鳥から成鳥に育つまでの製品加工ラインの80日間を交換することなく衛生的に且つ清潔さを維持しつつ飼育することが出来る優れた利点を有するものである。
前記パネル状床敷用マット1は、ヤシガラチップを主体にして成形しているので水分保持力及び透水性が良いことからさらさら感を維持するとともにフランス鴨から排泄される尿は吸収されつつ下方に流下し糞は前記マット表面からの分離が極めて容易である。更に糞尿の腐敗から発生するアンモニアの悪臭もヤシガラチップに有している臭気吸着能により消臭されるのでアンモニアの悪臭から解放されるので長期にかつ快適に使用することが出来る利点を有する。
また上記のように糞尿を排出処理が簡便で且つ衛生的に行うことが出来るので前記フランス鴨を清潔感を維持しつつ衛生的に行えるので前記フランス鴨の飼育において従来飼育期間よりも一週間前後短い日数にて飼育を終了する事が出来ることから、従来の床敷料に比較して大幅な成長促進が得られるばかりでなく飼育期間短縮による飼料代の節約による飼育費用の低減が図れる等の多くの優れた効果が得られる飼育舎のパネル状床敷マット1である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本発明に係わるパネル状床敷マット1を敷設する飼育舎の説明用断面図。
【図2】 図1の飼育舎2の床3に複数枚敷設したパネル状床敷用マット1の斜視図。
【図3】 パネル状床敷用マット1本体を示す斜視図。
【図4】 図3の他の実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0011】
1. パネル状床敷用マット。
1′ パネル状床敷用マットの表面。
2, 飼育舎。
3. 飼育舎の床面。
4. パネル状床敷用マットの凸部。
5. パネル状床敷用マットの凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6mm以下の粒度で且つ含水分量が10%乃至20%の範囲に調整したヤシガラチップ単体又は前記ヤシガラチップと籾殻又はオガクズ等との混合体よりなる繊維質塊体を圧縮成形してパネル状の床敷用マットを形成し、前記パネル状床敷用マットを複数枚組み合わせて床に敷設することにより飼育舎の床面を形成することを特徴とするフランス鴨飼育舎のパネル状床敷用マット。
【請求項2】
パネル状床敷用マットの大きさに合わせて形成した多角形状の箱型容器内に、前記繊維質塊体を前記マットの大きさに応じて必要量充填し、15kg/cm前後の圧力にて圧縮することにより所要空隙量を有する3cm前後の厚さのパネル状床敷用マットを成形することを特徴とする請求項1に記載のフランス鴨飼育舎のパネル状床敷用マットの製造方法。
【請求項3】
パネル状床敷用マットの形状は三角形、四角形、長方形、6角形等の多角形に形成したことを特徴とする請求項1乃至2に記載のフランス鴨飼育舎のパネル状床敷用マット。
【請求項4】
多角形の1辺に凸部を設け他辺には凹部を設けたパネル状床敷用マットを形成し、前記凹凸を利用して複数のマットをモザイク状に組合せることにより前記パネル状床敷マットの間に生ずる隙間又は横ズレを防止するように形成したことを特徴とする請求項1乃至3に記載のフランス鴨飼育舎のパネル状床敷用マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−125505(P2008−125505A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340484(P2006−340484)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(596008116)太平物産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】