説明

フラーレン−ポリマー結合体の製造方法、並びにフラーレン−ポリマー結合体およびそれを含有する化粧料

【課題】2級アミンを構造中に有することがなく中性で、フラーレンの活性への影響を与えることなく、極めて高収率で、水溶性〜水分散性あるいはシリコーン可溶性〜分散性のフラーレン−ポリマー結合体を製造する方法、並びに該製造方法により得られるフラーレン−ポリマー結合体およびそれを含有する化粧料を提供する。
【解決手段】フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体あるいはポリアルキルシロキサン誘導体(=ポリマー誘導体)とをラジカル反応させることにより、フラーレンとポリマー誘導体とが、式:−R1CR2−〔式中、R1、R2はC1-6アルキル基、CN、COOR(RはC1-6アルキル基またはH)、またはNH2〕で示される基を直接介して結合されてなるフラーレン−ポリマー結合体を製造することを特徴とする、フラーレン−ポリマー結合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフラーレン−ポリマー結合体の製造方法、並びにフラーレン−ポリマー結合体およびそれを含有する化粧料に関する。さらに詳しくは、フラーレンに、ポリオキシアルキレン誘導体あるいはポリアルキルシロキサン誘導体を結合させたフラーレン−ポリマー結合体の製造方法、並びに該製造方法により得られるフラーレン−ポリマー結合体およびそれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
フラーレンは多数の2重結合を有する構造から、水素電池、太陽電池、超伝導材料、触媒など、ナノテクに関連した様々な用途が研究されている。またラジカル捕獲作用を有することも知られ、抗癌作用、抗エイズ作用など、生化学的な用途も研究されている。
【0003】
しかしながら、フラーレンはベンゼン、トルエンなど、ごく限られた有機溶媒にのみ可溶であり、生化学用途に供するためにはこれを水溶化させる必要がある。このため、様々な表面修飾が検討され、フラーレン表面にカルボキシル基や水酸基など親水性の高い官能基を導入する方法や、水溶性高分子化合物をフラーレンに付加(結合)させる方法などが検討されてきた。
【0004】
しかし、低分子化合物によりフラーレンの表面処理をして水溶化させる場合、多数の親水性官能基をフラーレン表面に導入する必要がある。基本的に官能基の導入反応はフラーレンの活性に重要な2重結合を1重結合に変換することによりなされるため、多数の官能基を導入するほど、フラーレンのラジカル捕獲作用は低下するという問題がある。また、界面活性剤を用いた可溶化も報告されているが、実際には凝集体を分散させているに過ぎず、分子レベルでフラーレンを可溶化するには至っていない。
【0005】
一方、水溶性高分子化合物をフラーレンに付加させる方法は、少数の高分子をフラーレン表面に導入するのみで効率よく水溶化させることが可能であり、フラーレンの活性部位である多くの2重結合を維持できる可溶化方法である。この高分子をフラーレン表面に付加させる方法として、これまで実際に行われている方法は、具体的には、アミノ基(NH2)を片末端に有するポリエチレングリコール(PEG)を付加反応によりフラーレンに結合させて、「PEG−NH−フラーレン」結合体を得るというものである(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、この付加反応は必ずしも収率が高くなく、また、得られたフラーレン可溶化物が2級アミンを有し、pHによっては塩基性を示すなどの問題点が挙げられる。さらに、片末端のみにアミノ基を有するポリエチレングリコールの合成は煩雑であり、汎用性に乏しい。
【0006】
フラーレンは化粧品への応用もされており、シリコーンを配合した化粧料中に配合する場合、フラーレンをシリコーン中に分散させる手段の実現が望まれる。従来、フラーレンとシリコーンを混合させて凝集体としたものを系中に分散させている例はあるが、フラーレンへの表面修飾によってシリコーンとの親和性の高いフラーレンを合成し、単分子レベルでシリコーン中に分散させた例はみられない。なお本出願人は従前に、フラーレンが特定のエステル油に溶解し得ることを見出し、該特定のエステル油を溶剤として用い、フラーレンのもつ紫外線吸収効果を利用したサンケア用化粧組成物を提案しているが(特許文献4参照)、フラーレンをシリコーンに可溶化〜分散させるという技術は、本出願人が知る限りにおいて、これまでに報告されていない。
【0007】
【特許文献1】特開平9−235235号公報(段落番号[0011]、[0015]、[0019]等)
【特許文献2】特開2002−241307号公報(段落番号[0013]〜[0014]、図1等)
【特許文献3】特開2005−47858号公報(段落番号[0080]、[0124]等)
【特許文献4】特許第3506349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、2級アミンを構造中に有することなく、またフラーレンの活性に重要な2重結合が1重結合にほとんど変換されることなく、あるいは変換された場合でもその変換の程度・割合等が極めて低いため、フラーレンの活性への影響を与えることがなく、水溶性〜水分散性あるいはシリコーン可溶性〜シリコーン分散性の性質を有するとともに、極めて高収率で製造することができるフラーレン−ポリマー結合体の製造方法および該方法により得られるフラーレン−ポリマー結合体を提供することを目的とする。さらに、該フラーレン−ポリマー結合体を配合した化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、水溶性フラーレンの製造では従来、官能基としてアミノ基(−NH2)を水溶性高分子の片末端に導入し、このアミノ基を介して水溶性高分子とフラーレンを化学結合させ、フラーレン−NH−水溶性高分子の結合体としていた。しかし、かかる方法では収率がよくなく、また2級アミン(すなわち−NH−)が残存するためpHによっては塩基性を示す等の問題があった。そこで本願発明では、フラーレンのラジカル捕獲作用を利用して、ラジカル重合開始剤部分を有する水溶性高分子とフラーレンとをラジカル反応させることで、フラーレンの活性に悪影響を与えることなく高収率で、しかも構造中に2級アミンを有することなく、中性の水溶性ないし水分散性のフラーレン−ポリマー結合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
またシリコーン可溶性のフラーレンにおいても、上記と同様にして、ラジカル重合開始剤部分を有するシリコーンとフラーレンとをラジカル反応させることで、フラーレンの活性に悪影響を与えることなく高収率で、しかも構造中に2級アミンを有することなく、中性のシリコーン可溶性ないしシリコーン分散性のフラーレン−ポリマー結合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体とをラジカル反応させることにより、下記式(I)で示される基を直接介してフラーレンとポリオキシアルキレン誘導体とが結合してなるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を製造することを特徴とする、フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体の製造方法を提供する。
【0012】

【0013】
〔式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。〕
【0014】
また本発明は、上記ラジカル反応を、フラーレンを有機溶媒中に溶解させ、ここにラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体を添加し、加熱、撹拌することにより行う、上記製造方法を提供する。
【0015】
また本発明は、ラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体として下記式(II)で示す構成単位を有するポリマーを用いる、上記製造方法を提供する。
【0016】

【0017】
〔式(II)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X2はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;n、qは0〜18の数を示し;pは1〜6の数を示し;y、sは1〜1000の数を示す。〕
【0018】
また本発明は、上記製造方法により製造されるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体であって、下記式(III)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個または複数個、フラーレンにそれぞれ直接結合してなる、下記式(IV)で示されるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を提供する。
【0019】

【0020】
〔式(III)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1はO、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;nは0〜18の数を示し;pは1〜6の数を示し;yは1〜1000の数を示す。〕
【0021】

【0022】
〔式(IV)中、R1、R2、X1、n、p、yは上記で定義したとおりであり、Zはラジカル反応により派生し得る任意の末端基である。なお式(IV)はフラーレンに式(III)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個〜複数個直接結合する態様をすべて含む。〕
【0023】
また本発明は、水溶性〜水分散性である、上記フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を提供する。
【0024】
また本発明は、フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体とをラジカル反応させることにより、下記式(I)で示される基を直接介してフラーレンとポリアルキルシロキサン誘導体とが結合されてなるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を製造することを特徴とする、フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体の製造方法を提供する。
【0025】

【0026】
〔式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。〕
【0027】
また本発明は、上記ラジカル反応を、フラーレンを有機溶媒中に溶解させ、ここにラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体を添加し、加熱、撹拌することにより行う、上記製造方法を提供する。
【0028】
また本発明は、ラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体として下記式(VI)で示す構成単位を有するポリマーを用いる、上記製造方法を提供する。
【0029】

【0030】
〔式(VI)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X2、X3はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示し;n、m、q、tは0〜18の数を示し;yは1〜1000の数を示し;sは1〜1000の数を示す。〕
【0031】
また本発明は、上記製造方法により製造されるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体であって、下記式(VII)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個または複数個、フラーレンにそれぞれ直接結合してなる、下記式(VIII)で示されるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を提供する。
【0032】

【0033】
〔式(VII)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X3はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示し;n、m、q、tは0〜18の数を示し;yは1〜1000の数を示す。〕
【0034】

【0035】
〔式(VIII)中、R1、R2、X1、X3、R5、R6、R7、R8、n、m、q、t、yは上記で定義したとおりであり、Zはラジカル反応により派生し得る任意の末端基である。なお式(VIII)はフラーレンに式(VII)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個〜複数個直接結合する態様をすべて含む。〕
【0036】
また本発明は、シリコーン可溶性〜シリコーン分散性である、上記フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を提供する。
【0037】
また本発明は、上記フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を含有する化粧料を提供する。
【0038】
また本発明は、上記フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を含有する化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0039】
本発明の製造方法により、フラーレンの活性に悪影響を与えることなく、高収率で、中性のフラーレン−ポリマー結合体を製造することができる。本発明により、従来のようにフラーレンとポリマーとを2級アミンを介することなく結合した、水溶性〜水分散性のフラーレン−ポリマー結合体あるいはシリコーン可溶性〜シリコーン分散性のフラーレン−ポリマー結合体を得ることができる。特にシリコーン可溶性〜シリコーン分散性フラーレン−ポリマー結合体については、これまで報告が全くされておらず、フラーレンにシリコーン可溶化性〜シリコーン分散性をもたせるという技術は今回、本発明者によって初めてなされたものであり、化粧料への配合等において幅広い剤型への適用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明について詳述する。
【0041】
フラーレンは炭素原子から構成される中空球体の巨大炭素分子で、例えば、炭素原子数32(C32)、44(C44)、50(C50)、58(C58)、60(C60)、70(C70)、76(C76)、78(C78)、82(C82)、84(C84)、90(C90)、96(C96)、210(C210)、960(C960)のものなど種々の分子量ものが挙げられる。本発明では任意の分子量のフラーレンを用いることができるが、中でもC60、C70のものが好適に用いられる。本発明ではこれらフラーレンのうちの1種、または2種以上の任意の混合物を用いることができる。混合物としてはC60、C70の組み合わせが好適である。フラーレンの1種、または2種以上の混合物は、市販品として入手可能である。
【0042】
[フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体の製造方法]
本発明では、フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体とをラジカル反応させることにより、下記式(I)で示される基を直接介してフラーレンとポリオキシアルキレン誘導体とが結合してなるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を製造することを特徴とする。
【0043】

【0044】
上記式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。本発明では、R1、R2のいずれか一方がCN基またはNH2基であり、他方が炭素原子数1〜6のアルキル基またはCOOR(Rは上記で定義したとおり)であるのが好ましい。
【0045】
ここで「式(I)で示される基を直接介して」とは、2級アミン等の他の基を介することなく、フラーレンとポリオキシアルキレン誘導体とが、上記式(I)で示される基の一端と他端にそれぞれ直接結合することを意味する。
【0046】
上記ラジカル重合開始剤部分を有するポリオキシアルキレン誘導体としては、下記式(II)で示す構成単位を有する水溶性ポリマーが好ましい。
【0047】

【0048】
上記式(II)中、各置換基は以下の意味を示す。
1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X2はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示す。本発明では、R1、R2のいずれか一方、および、R3、R4のいずれか一方が、CN基またはNH2基であり、他方が炭素原子数1〜6のアルキル基またはCOOR(Rは上記で定義したとおり)であるのが好ましい。またR1とR3が同一の基を示し、R2とR4が同一の基を示し、X1とX2が同一の基を示すのが好ましい。
n、qは0〜18の数を示す。好ましくは2〜6である。
pは1〜6の数を示す。好ましくは2〜6である。
yは1〜1000の数を示す。好ましくは10〜500である。
sは1〜1000の数を示す。好ましくは2〜50である。
【0049】
上記ラジカル重合開始剤部分を有するポリオキシアルキレン誘導体は、常法により製造することができ、例えば「VPE−0201」、「VPE−0601」(いずれも和光純薬工業(株)製)等として市販されており、これらを好適に用いることができる。
【0050】
上記ラジカル反応は常法により行うことができる。具体的には、例えば、フラーレンをベンゼン、トルエン等のフラーレンを溶解し得る有機溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤部分を有するポリオキシアルキレン誘導体を添加し、50〜100℃、1〜5時間程度加熱撹拌することで行うことができる。ラジカル重合開始剤部分を有するポリオキシアルキレン誘導体として上記式(II)で示す構成単位を有する水溶性ポリマーを用いた場合、フラーレンとのラジカル反応により、該水溶性ポリマーがラジカル開始部である−N=N−部位で切断され、この部分が窒素ガス(N2)となって大気中に放出される。他方、切り離された構成単位がそれぞれラジカル発生点を有し、このラジカル発生点でフラーレンにラジカル反応により結合し、下記式(III)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個または複数個、フラーレンにそれぞれ直接結合してなる、下記式(IV)で示されるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体が得られる。
【0051】

【0052】
上記式(III)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1はO、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;nは0〜18の数を示し;pは1〜6の数を示し;yは1〜1000の数を示す。
【0053】

【0054】
上記式(IV)中、R1、R2、X1、n、p、yは上記で定義したとおりである。
【0055】
Zはラジカル反応により派生し得る任意の末端基である。より具体的には、H、または下記式(V)で表される基が挙げられる。
【0056】

【0057】
式(V)中、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X2はO、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;qは0〜18の数を示す。YはHまたはOR’(R’はメチル基、エチル基、プロピル基など、ラジカル反応で用いた有機溶媒由来の基を示す)を示す。
【0058】
なお式(IV)はフラーレンに式(III)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個〜複数個直接結合する態様をすべて含む。
【0059】
したがって得られたフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体が、従来のような2級アミンを介して結合されることはない。
【0060】
また従来のアミノ基を片末端に有するPEGをフラーレンに付加反応させる方法では反応時間として一昼夜(24時間)程度を要していたが、本発明方法では1〜5時間という極めて短時間でフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を得ることができ、従来に比べ格段に高い製造効率でフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を製造することができる。
【0061】
フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を有するポリオキシアルキレン誘導体の仕込み比(質量比)は、特に限定されるものでないが、溶解性および活性の点から、フラーレン/ポリオキシアルキレン誘導体=1/1〜1/500程度とするのが好ましく、より好ましくは1/10〜1/100である。
【0062】
このようにして得られる本発明のフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体は、フラーレンの活性に重要な2重結合を1重結合にほとんど変換することなく、あるいは変換することがあってもその変換の程度・割合等を極めて低い程度・割合に抑えることができるため、フラーレンの活性に影響を与えず、フラーレンの特性を十分に発揮することができ、併せてポリオキシアルキレン誘導体のもつ親水性、分散性、帯電防止、曇り防止等の特性を併せもつ。また2級アミンを有しないためpHによっては塩基性を示すといった従来の不具合もなく、中性を示す。
【0063】
したがって本発明製造方法により得られるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体は、水系中で水溶性〜水分散性の性質を有し、フラーレンのもつ特性(例えば、従来技術の欄で述べたような抗癌作用、抗エイズ作用、紫外線吸収作用、紫外線吸収作用、等)を十分に発揮することができる。
【0064】
なおここで「水溶性〜水分散性」とは、水に溶解ないしは水に分散するのみならず、低級アルコール、ケトン類(アセトン等)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの水溶性溶媒単独あるいは水との混合溶媒に溶解、分散する性質も含むものとする。
【0065】
本発明製造方法により得られるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体は、水溶性〜水分散性という性質を有することから、ポリマー付加量によっては充分水溶性にならない場合であっても、分散状態でフラーレンの活性を示すことがあり得るため、溶解・分散いずれの状態であっても、フラーレ、ポリオキシアルキレンのもつ作用・効果を発揮することができる。化粧料等においては、使用目的によって、ポリマー付加量を調整して水溶性基剤、水分散性基剤とすることができる。
【0066】
上記フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を化粧料に配合する場合、その配合量は特に限定されるものでないが、化粧料中に0.0001〜1質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1質量%が好ましい。
【0067】
[フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体の製造方法]
本発明では、フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体とをラジカル反応させることにより、下記式(I)で示される基を直接介してフラーレンとポリアルキルシロキサン誘導体とが結合されてなるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を製造することを特徴とする。
【0068】

【0069】
上記式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。本発明では、R1、R2のいずれか一方がCN基またはNH2基であり、他方が炭素原子数1〜6のアルキル基またはCOOR(Rは上記で定義したとおり)であるのが好ましい。
【0070】
ここで「式(I)で示される基を直接介して」とは、2級アミン等の他の基を介することなく、フラーレンとポリアルキルシロキサン誘導体とが、上記式(I)で示される基の一端と他端にそれぞれ直接結合することを意味する。
【0071】
上記ラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体としては、下記式(VI)で示す構成単位を有するポリマーが好ましい。
【0072】

【0073】
上記式(VI)中、各置換基は以下の意味を示す。
1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。
1、X2、X3はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示す。
5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示す。
n、m、q、tは0〜18の数を示す。好ましくは1〜6である。
yは1〜1000の数を示す。好ましくは10〜100である。
sは1〜1000の数を示す。好ましくは2〜100である。
【0074】
本発明では、R1、R2のいずれか一方、および、R3、R4のいずれか一方が、CN基またはNH2基であり、他方が炭素原子数1〜6のアルキル基またはCOOR(Rは上記で定義したとおり)であるのが好ましい。またR1とR3が同一の基を示し、R2とR4が同一の基を示し、X1とX2が同一の基を示すのが好ましい。
【0075】
上記ラジカル重合開始剤部分を有するポリアルキルシロキサン誘導体は、常法により製造することができ、例えば「VPS−0501」、「VPS−1001」(いずれも和光純薬工業(株)製)等として市販されており、これらを好適に用いることができる。
【0076】
上記ラジカル反応は常法により行うことができる。具体的には、例えば、フラーレンをベンゼン、トルエン等のフラーレンを溶解し得る有機溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤部分を有するポリアルキルシロキサン誘導体を添加し、50〜100℃、1〜5時間程度加熱撹拌することで行うことができる。ラジカル重合開始剤部分を有するポリアルキルシロキサン誘導体として上記式(VI)で示す構成単位を有するシリコーン可溶性ポリマーを用いた場合、フラーレンとのラジカル反応により、該シリコーン可溶性ポリマーがラジカル開始部である−N=N−部位で切断され、この部分が窒素ガス(N2)となって大気中に放出される。他方、切り離された構成単位がそれぞれラジカル発生点を有し、このラジカル発生点でフラーレンにラジカル反応により結合し、下記式(VII)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個または複数個、フラーレンにそれぞれ直接結合してなる、下記式(VIII)で示されるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体が得られる。
【0077】

【0078】
上記式(VII)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X3はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示し;n、m、q、tは0〜18の数を示し;yは1〜1000の数を示す。
【0079】

【0080】
上記式(VIII)中、R1、R2、X1、X3、R5、R6、R7、R8、n、m、q、t、yは上記で定義したとおりである。
【0081】
Zはラジカル反応により派生し得る任意の末端基である。より具体的には、H、または下記式(V)で表される基が挙げられる。
【0082】

【0083】
式(V)中、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X2はO、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;qは0〜18の数を示す。YはHまたはOR’(R’はメチル基、エチル基、プロピル基など、ラジカル反応で用いた有機溶媒由来の基を示す)を示す。〕
【0084】
なお式(VIII)はフラーレンに式(VII)で示されるコポリマーが1個〜複数個直接結合する態様をすべて含む。
【0085】
したがって得られたフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体が、2級アミンを介して結合されることはない。
【0086】
本発明方法では1〜5時間という極めて短時間でフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を得ることができ、極めて高い製造効率でフラーレン−ポリマー結合体を製造することができる。
【0087】
フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を有するポリアルキルシロキサン誘導体の仕込み比(質量比)は、特に限定されるものでないが、溶解性および活性の点から、フラーレン/ポリアルキルシロキサン誘導体=1/1〜1/500程度とするのが好ましく、より好ましくは1/10〜1/100である。
【0088】
このようにして得られる本発明のフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体は、フラーレンの活性に重要な2重結合を1重結合にほとんど変換することなく、あるいは変換することがあってもその変換の程度・割合等を極めて低い程度・割合に抑えることができるため、フラーレンの活性に影響を与えない。フラーレンの特性を十分に発揮することができ、併せてポリアルキルシロキサン誘導体のもつ撥水性、潤滑性、離型性、生体親和性、気体透過性等の特性を併せもつ。また2級アミンを有しないためpHによっては塩基性を示すといった従来の不具合もなく、中性を示す。
【0089】
したがって本発明のフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体は、シリコーン系中でシリコーン可溶性〜シリコーン分散性の性質を有し、フラーレンのもつ特性(例えば、従来技術の欄で述べたような抗癌作用、抗エイズ作用、紫外線吸収作用、等)を十分に発揮することができる。
【0090】
なおここで「シリコーン可溶性〜シリコーン分散性」とは、シリコーン中に溶解ないし分散することを意味するが、ここでシリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0091】
また本発明のフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体は、シリコーン可溶性・分散性の他に、アルカン類(ヘキサン等)等に対しても溶解性・分散性を有する。
【0092】
本発明製造方法により得られるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体は、シリコーン可溶性〜シリコーン分散性という性質を有することから、ポリマー付加量によっては充分シリコーン可溶性にならない場合であっても、分散状態でフラーレンの活性を示すことがあり得るため、溶解・分散いずれの状態であっても、フラーレン、ポリアルキルシロキサンのもつ作用・効果を発揮することができる。化粧料等においては、使用目的によって、ポリマー付加量を調整してシリコーン可溶性性基剤、シリコーン分散性基剤とすることができる。
【0093】
上記フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を化粧料に配合する場合、その配合量は特に限定されるものでないが、化粧料中に0.0001〜1質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1質量%が好ましい。
【0094】
なお、本発明で得られる化粧料はその目的に応じて、上記フラーレン−ポリマー結合体に加えて、化粧料に通常添加し得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。このような成分としては、油性基剤、界面活性剤、粉体、保湿剤、キレート剤、pH調製剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、薬剤、色素、香料、高分子可溶化剤、水等が挙げられるが、ただしこれら例示に限定されるものでない。
【実施例】
【0095】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%で示す。
【0096】
(実施例1)
フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体の製造
フラーレン(C60:アルドリッチ社製)1gをトルエン100mLに溶解し、窒素バブリングにより脱気した。「VPE−0201」(和光純薬工業(株)製)10gを添加し、70℃で3時間加熱攪拌した。溶媒をエバポレート、乾燥させ、目的とするポリオキシアルキレン修飾フラーレンを得た。なお「VPE−0201」は、上記式(II)で示す構成単位を有するポリマー〔ただし式(II)中、R1、R3はCH3を示し、R2、R4はCNを示し、X1はCOOを示し、X2はCOを示し、q、n、pはそれぞれ2であり、yは50であり、分子量20,000〕である。
【0097】
実施例1により合成したポリオキシアルキレン修飾フラーレン(=フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体)の1H−NMRスペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2に、それぞれ示す。
【0098】
(実施例2)
フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体の製造
フラーレン(C60:アルドリッチ社製)1gをトルエン100mLに溶解し、窒素バブリングにより脱気した。「VPS−1001」(和光純薬工業(株)製)10gを添加し、70℃で3時間加熱攪拌した。溶媒をエバポレート、乾燥させ、目的とするシリコーン修飾フラーレンを得た。なお「VPS−1001」は、上記式(VI)で示す構成単位を有するポリマー〔ただし式(VI)中、R1、R3はCH3を示し、R2、R4はCNを示し、R5、R6、R7、R8はCH3を示し、X1はCONHを示し、X2はCOを示し、X3はNHを示し、q、nはそれぞれ2であり、m、tはそれぞれ3であり、yは70であり、分子量90,000〕である。
【0099】
(実施例3)
上記実施例1、実施例2で得たフラーレン−ポリマー結合体を用いて、0.1%の溶媒中分散性について評価した。
【0100】
[分散性評価方法]
下記表1〜2に示す各溶媒(10mL)中に、実施例1、実施例2で得たフラーレン−ポリマー結合体、またはフラーレン(対照例)を10mg添加し、分散状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。結果を表1、2に示す。
(評価基準)
◎: 均一に透明性をもって分散(溶解)している
○: ほぼ均一に分散(溶解)している
△: 部分的に分散(溶解)している
×: 全く分散(溶解)していない
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
(比較例1)
一端にアミノ基、他端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール(以下「PEG−NH2」と記す。分子量約5,000。日本油脂(株)製)108mM、フラーレン(C60、東京化成工業(株)製)0.54mMを10mLベンゼン溶液中で混合し、室温(25℃)で24時間撹拌することで、フラーレン−PEG−NH2結合体を得た。撹拌5時間程度ではフラーレン−PEG−NH2結合体を得ることができなかった。
【0104】
以下にさらに処方例を示す。
【0105】
(実施例4 W/O型サンスクリーン)
(配 合 成 分) (質量%)
実施例1で得たフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体 0.5
実施例2で得たフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体 0.5
パラメトキシケイ皮酸オクチル 5
オキシベンゾン 3
疎水化処理二酸化チタン 5
疎水化処理酸化亜鉛 5
スクワラン 20
シリコーンオイル 23
シリコーンレジン 2
ジイソステアリン酸グリセリン 2
有機変性モンモリロナイト 0.5
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 余
1,3−ブチレングリコール 5
【0106】
(実施例5 化粧水)
(配 合 成 分) (質量%)
実施例1で得たフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体 0.1
1,3−ブチレングリコール 6
グリセリン 4
オレイルアルコール 0.1
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル 0.5
POE(15)ラウリルアルコールエーテル 0.5
エタノール 10
香料 適 量
色剤 適 量
防腐剤 適 量
緩衝剤 適 量
精製水 残 余
【0107】
(実施例6 マスカラ)
(配 合 成 分) (質量%)
実施例1で得たフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体 1
ポリアクリル酸エステルエマルション 30
固形パラフィン 8
ラノリンワックス 8
軽質イソパラフィン 30
セスキオレイン酸ソルビタン 4
精製水 19
防腐剤 適 量
香料 適 量
【0108】
(実施例7 ファンデーション)
(配 合 成 分) (質量%)
実施例2で得たフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体 0.5
セリサイト 4.86
カオリン 4
二酸化チタン 9.32
ベンガラ 0.36
黄酸化鉄 0.8
黒酸化鉄 0.16
流動パラフィン 5
デカメチルシクロペンタンシロキサン 12
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4
精製水 残 余
1,3―ブチレングリコール 7
防腐剤 適 量
香料 適 量
【0109】
(実施例8 W/O型クリーム)
(配 合 成 分) (質量%)
実施例2で得たフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体 0.3
シクロメチコン 14.7
ジメチコン 10
ペンタエリスリトールテトラエステル 5
有機変性粘度鉱物 1
POEグリセロールトリイソステアリン酸エステル 0.3
スクワラン 5
グリセロールトリ2−エチルヘキサン酸エステル 3
ワセリン 1
ジプロピレングリコール 5
グリセリン 5
POE(60)硬化ヒマシ油 2
防腐剤 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 余
香料 適 量
【0110】
(実施例9 口紅)
(配 合 成 分) (質量%)
実施例2で得たフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体 0.01
二酸化チタン 4.5
赤色201号 0.5
赤色202号 2
赤色223号 0.05
セレシン 4
キャンデリラロウ 8
カルナウバロウ 2
ヒマシ油 30
イソステアリン酸ジグリセライド 残 余
POE(25)POP(20)2−テトラデシルエーテル 1
イオン交換水 5
グリセリン 2
プロピレングリコール 1
酸化防止剤 適 量
香料 適 量
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施例1により合成したフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1により合成したフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体の13C−NMRスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体とをラジカル反応させることにより、下記式(I)で示される基を直接介してフラーレンとポリオキシアルキレン誘導体とが結合してなるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を製造することを特徴とする、フラーレン−ポリオキシアルキレン結合体の製造方法。

〔式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。〕
【請求項2】
上記ラジカル反応を、フラーレンを有機溶媒中に溶解させ、ここにラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体を添加し、加熱撹拌することにより行う、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
ラジカル重合開始剤部分を含むポリオキシアルキレン誘導体として下記式(II)で示す構成単位を有するポリマーを用いる、請求項1または2記載の製造方法。

〔式(II)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X2はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;n、qは0〜18の数を示し;pは1〜6の数を示し;y、sは1〜1000の数を示す。〕
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造されるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体であって、下記式(III)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個または複数個、フラーレンにそれぞれ直接結合してなる、下記式(IV)で示されるフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体。

〔式(III)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1はO、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;nは0〜18の数を示し;pは1〜6の数を示し;yは1〜1000の数を示す。〕

〔式(IV)中、R1、R2、X1、n、p、yは上記で定義したとおりであり、Zはラジカル反応により派生し得る任意の末端基である。なお式(IV)はフラーレンに式(III)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個〜複数個直接結合する態様をすべて含む。〕
【請求項5】
水溶性〜水分散性である、請求項4記載のフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体。
【請求項6】
フラーレンと、ラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体とをラジカル反応させることにより、下記式(I)で示される基を直接介してフラーレンとポリアルキルシロキサン誘導体とが結合されてなるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を製造することを特徴とする、フラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体の製造方法。

〔式(I)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示す。〕
【請求項7】
上記ラジカル反応を、フラーレンを有機溶媒中に溶解させ、ここにラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体を添加し、加熱撹拌することにより行う、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
ラジカル重合開始剤部分を含むポリアルキルシロキサン誘導体として下記式(VI)で示す構成単位を有するポリマーを用いる、請求項6または7記載の製造方法。

〔式(VI)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X2、X3はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示し;n、m、q、tは0〜18の数を示し;yは1〜1000の数を示し;sは1〜1000の数を示す。〕
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法により製造されるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体であって、下記式(VII)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個または複数個、フラーレンにそれぞれ直接結合してなる、下記式(VIII)で示されるフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体。

〔式(VII)中、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、CN、COOR(ここでRは炭素原子数1〜6のアルキル基、またはHを示す)、またはNH2を示し;X1、X3はそれぞれ独立に、O、CO、COO、OCO、CONH、NHCO、NH、NHCOO、OCONH、またはCH2を示し;R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示し;n、m、q、tは0〜18の数を示し;yは1〜1000の数を示す。〕

〔式(VIII)中、R1、R2、X1、X3、R5、R6、R7、R8、n、m、q、t、yは上記で定義したとおりであり、Zはラジカル反応により派生し得る任意の末端基である。なお式(VIII)はフラーレンに式(VII)で示される構成単位を少なくとも有するコポリマーが1個〜複数個直接結合する態様をすべて含む。〕
【請求項10】
シリコーン可溶性〜シリコーン分散性である、請求項9記載のフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体。
【請求項11】
請求項4または5記載のフラーレン−ポリオキシアルキレン結合体を含有する化粧料。
【請求項12】
請求項9または10記載のフラーレン−ポリアルキルシロキサン結合体を含有する化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−235110(P2009−235110A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215779(P2006−215779)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】