説明

フリッカ抑制方法、CCDイメージセンサ

【課題】 CCDによって取得された画像に現れるフリッカを打ち消すためにゲイン補正を行う方法において、商用電源の周期を高速に検出することで、フリッカをさらに抑制する。
【解決手段】 蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を高速に求める。各垂直転送レジスタの両端部のうち水平転送レジスタにつながる端部の電極に第1の垂直転送信号線を、他方の端部の電極に第2の垂直転送信号線を接続し、両端部の電位を独立に制御する。まず、垂直転送レジスタに出力されている負電荷を、両端部の電位を下げ、それ以外の部分の電位を上げることにより合体させる(12)。そして、水平転送レジスタにつながる端部の電位を上げ、それ以外の部分を下げることにより、合体した電荷を水平転送レジスタに転送する(13)。以上のように負電荷を加算することで、読み取る電荷の総数を減らすことでき、輝度の総和を高速に求めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDイメージセンサのフリッカ抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源により駆動された蛍光灯下でCCDイメージセンサを用いると、取得した画像にフリッカと呼ばれるちらつきが発生することがある。
【0003】
フリッカは、CCDイメージセンサのフレームレート(単位時間あたりのフレーム取得数)と、蛍光灯を駆動する商用電源の周波数との相関によって、発生したりしなかったりする。
【0004】
蛍光灯から放射される光は、商用電源の周期で周期的に変動している。そして、その強度は、商用電源の半周期で周期的に変動している。ここで、商用電源の周波数の2倍の値がフレームレートの倍数になっていれば、各フレームの明るさ(各フレームの露光期間において、CCDイメージセンサが検出した、蛍光灯から放射された光の強度の積分値)は同じになるのでフリッカは生じない。
【0005】
例えば、商用電源の周波数が60Hzで、フレームレートが10fpsまたは15fps(fpsは1秒あたりに取得するフレーム数)の場合、商用電源の周波数の2倍の値がフレームレートの倍数になっているので、各フレームの明るさは同じになり、フリッカは生じない。また、商用電源の周波数が50Hzで、フレームレートが10fpsの場合、商用電源の周波数の2倍の値がフレームレートの倍数になっているので、各フレームの明るさは同じになり、フリッカは生じない。
【0006】
一方、商用電源の周波数の2倍の値がフレームレートの倍数になっていなければ、各フレームの明るさは異なる場合がある。フレームの明るさが異なると、フリッカが生じる。
【0007】
例えば、商用電源の周波数が50Hzで、フレームレートが15fpsの場合、商用電源の周波数の2倍の値がフレームレートの倍数になっていないので、各フレームの明るさは異なる場合があり、フリッカが生じうる。
【0008】
このようなフリッカは、画質を著しく低下させるので、画質を向上させるためには、これを抑制することが必要となる。
【0009】
フリッカを抑制する方法として、まず、フリッカの発生しないフレームレートでCCDイメージセンサを用いる方法が挙げられる。例えば、上の例で言えば、商用電源の周波数が50Hzの場合、フレームレートを15fpsではなく、10fpsとすれば、フリッカは発生しない。
【0010】
しかしながら、この方法では、使用できるフレームレートが著しく制限されてしまう。したがって、動いている被写体を撮影する場合のように、フレームレートを変えながら撮影したい場合には、この方法を用いることは適当ではない。
【0011】
そこで、フレームレートが著しく制限されない方法が必要となるが、このような方法として、フリッカを打ち消すゲイン補正を行う方法が挙げられる。この方法では、まず、蛍光灯を駆動する商用電源の周期の検出を行い、これにもとづいてゲイン補正を行う。商用電源の周期の検出を行うためには、商用電源の周期と同じ周期で変動する蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求めればよい。
【0012】
蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求めるためには、通常の画像取得動作と同様、フォトダイオードに蓄積された負電荷を、各垂直ラインの垂直転送レジスタにより水平転送レジスタに1画素ずつ転送し、水平転送レジスタから電荷電圧変換部に1画素ずつ転送することにより、1画素ずつデータを読み出した後、これらの総和を計算するのが通常である。ここで、垂直ラインとは、複数の配列された転送レジスタ(垂直転送レジスタ)が延びる方向のラインを言う。また、水平ラインとは、各垂直転送レジスタの一方の端部に接続する水平転送レジスタが延びる方向のラインを言う。
【0013】
なお、先行技術の中には、CCDイメージセンサの全画素の輝度の総和を、スミア信号により求めているものもある(例えば、特開平2−4089号公報(特許文献1)を参照)。
【特許文献1】特開平2−4089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のように、フリッカを打ち消すゲイン補正を行う方法は、フレームレートが著しく制限されない反面、商用電源の周期の検出が必要となる。通常の画像取得動作によってCCDイメージセンサの全画素の輝度の総和を求め、これにより商用電源の周期を検出すると、数秒ほど要するのが通常である。
【0015】
例えば、水平方向1280ライン×垂直方向960ラインの1228800画素のCCDイメージセンサでは、通常の画像取得動作では一画素ずつデータを読み出すので、フレームレートは最大で5fps程度が限度とされている。したがって、フレームサンプリング周期は、200ms程度となる。これは、例えば商用電源の周波数が50Hzの場合の周期20msの10倍である。このように、サンプリング周期よりもかなり小さい周期を有する信号の周期を検出しなければならない。その結果、商用電源の周期を検出するために数秒ほど要することになる。
【0016】
そして、商用電源の周期を検出している間、フリッカは当然抑制されない。したがって、フリッカをできるだけ抑制するため、商用電源の周期の高速検出が必要となる。
【0017】
なお、特許文献1に記載の発明は、スミア信号が発生していないときには用いることができないという欠点がある。
【0018】
本発明の目的は、CCDイメージセンサによって取得された画像に現れるフリッカを打ち消すためにゲイン補正を行う方法において、商用電源の周期を高速に検出することで、フリッカをさらに抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、CCDイメージセンサの各垂直転送レジスタの両端部のうち水平転送レジスタにつながる端部の電極に、通常の画像取得の際に用いられる画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線の代わりに、これとは独立した第1の垂直転送信号線を接続することとする。各垂直転送レジスタの両端部のうち水平転送レジスタにつながらない端部の電極に、画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線の代わりに、これとは独立した第2の垂直転送信号線を接続することとする。これにより、各垂直転送レジスタの両端部の電位を独立に制御する。
【0020】
そして、CCDイメージセンサが蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求める際には、次のような転送動作手順をとる。
【0021】
すなわち、各垂直転送レジスタの両端部の電極に、第1の垂直転送信号線および第2の垂直転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可し、各垂直転送レジスタの両端部以外の部分の電極に、画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可する。これにより、各垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積され、各垂直転送レジスタに出力された負電荷は1つに合体する。
【0022】
次に、CCDイメージセンサが、水平転送レジスタにつながる端部の電極に、第1の垂直転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可し、それ以外の部分の電極に、画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線および第2の垂直転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可する。これにより、合体された負電荷は一挙に水平転送レジスタに転送される。
【0023】
このようにして水平転送レジスタに転送された合体された負電荷は、通常の画素毎転送動作モードによって、電荷電圧変換部に転送される。なお、水平転送レジスタにおける転送も、上述した垂直転送レジスタにおける電荷加算転送動作モードにより、各垂直転送レジスタで合体された負電荷をさらに合体し、これを一挙に電荷電圧変換部に転送してもよい。
【0024】
本発明は、従来技術とは異なり、蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求める際には、電荷を1つずつ読み出すのではなく、垂直ライン(または垂直ラインと水平ラインの双方)の電荷を加算したうえで読み出すので、電荷電圧変換部が読み取る電荷の総数は大きく減少する。その結果、蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求める時間を短縮でき、商用電源の周期を高速に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、CCDイメージセンサによって取得された画像に現れるフリッカを打ち消すためにゲイン補正を行う方法において、商用電源の周期を高速に検出することで、フリッカをさらに抑制することが可能になる。
【0026】
例えば、水平方向1280ライン×垂直方向960ラインの1228800画素のCCDイメージセンサでは、従来のように通常の画像取得動作によってCCDイメージセンサの全画素の輝度の総和を求めると、商用電源の周期の検出に数秒もかかっていた。しかしながら、本発明のように垂直ラインの負電荷を加算すると、フレームサンプリング周期は、200ms/960で200μs程度にすることが可能である。これは、例えば商用電源の周波数が50Hzの場合の周期20msより十分小さいので、商用電源の1周期すなわち20msあれば、商用電源の周期の検出が可能になる。つまり、本発明によれば、従来の100倍以上の速度で商用電源の周期の検出が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
本発明のCCDイメージセンサは、フォトダイオードに蓄積された負電荷を転送する動作として、通常の画像取得の際に用いられる画素毎転送動作モードと、商用電源の周期を検出するために、CCDイメージセンサの全画素の輝度の総和を求める際に用いられる電荷加算転送動作モードを有する。画素毎転送動作モードは、従来のCCDイメージセンサのものと全く同様である。
【0029】
図1を参照すると、本発明のフリッカ抑制方法で用いられる電荷加算転送動作モードの手順を示すフローチャートが示されている。
【0030】
まず、ステップ11で、各垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された負電荷が、当該垂直ラインの垂直転送レジスタに出力される。ここで、垂直ラインとは、複数の配列された転送レジスタ(垂直転送レジスタ)が延びる方向のラインを言う。また、水平ラインとは、各垂直転送レジスタの一方の端部に接続する水平転送レジスタが延びる方向のラインを言う。本ステップは、通常の画素毎転送動作モードと全く同様である。
【0031】
次に、ステップ12で、各垂直転送レジスタの両端部の電極にLowレベルの電圧を印可し、それ以外のすべての電極にHighレベルの電圧を印可して、各垂直ラインの負電荷を加算する。通常の画素毎転送動作モードでは、ピクセルと同じ空間周期の矩形波を、所定の時間周期でその電圧レベルを反転させることにより、各垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された電荷を分離したまま、各垂直転送レジスタの一方の端部に接続された水平転送レジスタに1画素ずつ転送している。しかしながら、電荷加算転送動作モードでは、各垂直転送レジスタの両端部の電極にLowレベルの電圧を印可し、それ以外のすべての電極にHighレベルの電圧を印可することにより、各垂直転送レジスタ内において両端部以外はポテンシャル障壁を取り除く。これにより、各垂直ラインの負電荷は合体し、合体した負電荷は、水平転送レジスタに転送されずに各垂直転送レジスタ内に残る。以上により、各垂直ラインの負電荷を加算することができる。
【0032】
次に、ステップ13で、各垂直転送レジスタの端部のうち、水平転送レジスタにつながる方の端部の電極にHighレベルの電圧を印可し、それ以外のすべての電極にLowレベルの電圧を印可して、加算した負電荷を一挙に水平転送レジスタに転送する。水平転送レジスタにつながる方の端部の電極にHighレベルの電圧を印可し、それ以外のすべての電極にLowレベルの電圧を印可することにより、加算された負電荷は、ポテンシャル障壁によって水平転送レジスタにつながる方の端部に押し込められて、水平転送レジスタに一挙に転送されることになる。
【0033】
最後に、ステップ14で、水平転送レジスタに転送された、各垂直ラインの加算された負電荷を、通常の画素毎転送動作モードで電荷電圧変換部に転送する。本ステップは、転送される電荷は、各垂直ラインの1画素分の負電荷ではなく、各垂直ラインの加算された負電荷である。
【0034】
以上のように、本発明のフリッカ抑制方法で用いられる電荷加算転送動作モードでは、各垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された負電荷を加算してしまうため、電荷電圧変換部が読み取って電圧変換する負電荷の個数は、水平ラインのピクセル数、すなわち、通常の画素毎転送動作モードの場合に電荷電圧変換部が読み取って電圧変換する負電荷の個数を垂直ラインのピクセル数で割った値となる。CCDイメージセンサの全画素の輝度の総和を求める際に最も時間を要する工程は、電荷電圧変換部が負電荷を読み取って電圧変換する工程であるので、CCDイメージセンサの全画素の輝度の総和を求める時間も、ほぼ、通常の画素毎転送動作モードの場合に要する時間を垂直ラインのピクセル数で割った時間になり、大幅な時間短縮が望める。その結果、商用電源の周期を高速に検出することが可能になり、フリッカをさらに抑制することができる。
【0035】
なお、水平転送レジスタについても、ステップ11からステップ13と同様な手順により、水平転送レジスタ内の各垂直転送レジスタで加算された負電荷をさらに加算し、電荷電圧変換部に一挙に転送することも可能である。この場合、商用電源の周期をさらに高速に検出することが可能になる。また、各垂直転送レジスタにおける転送を通常の画素毎転送動作モードとし、水平転送レジスタにおける転送を電荷加算転送動作モードにすることも可能である。
【0036】
次に、上記各ステップについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図2Aは、ステップ11における垂直転送レジスタ内の状態を示している図である。簡単のため、垂直ラインの画素数が4のCCDイメージセンサが用いられている。垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された負電荷101、102、103、104が、当該垂直ラインの垂直転送レジスタ20に出力されている。図2Aでは、負電荷のある部分の電極には、垂直転送信号線901および902によりHighレベルの電圧が印加され、負電荷のない部分の電極には、垂直転送信号線903および904によりLowレベルの電圧が印加されている。その結果、図2Aに示すような矩形波の電子ポテンシャルが形成され、垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された負電荷101、102、103、104は分離されている。
【0038】
電荷加算転送動作モードを有しない従来のCCDイメージセンサでは、垂直転送レジスタ20の両端部の電極には、負電荷のない部分の電極と同様に、垂直転送信号線903および904が接続されている。そして、垂直転送信号線901および902の電圧レベルと垂直転送信号線903および904の電圧レベルを所定の時間周期で反転させることにより、各負電荷101〜104を水平転送レジスタ30の方向に分離を保ったままシフトさせる。すなわち、図2Aの次のタイミングでは、図2Aでは負電荷のあった部分の電子ポテンシャルが山になり、図2Aでは負電荷のなかった部分の電子ポテンシャルが谷になって、各負電荷101〜104は水平転送レジスタ30の方向に分離を保ったままシフトする。
【0039】
しかしながら、電荷加算転送動作モードを有する本発明のCCDイメージセンサでは、負電荷を加算して、これを一挙に水平転送レジスタ30に転送するというステップ12と13の動作を実現しなければならないので、垂直転送信号線901〜904以外に、垂直転送レジスタ20の両端部の電子ポテンシャルを独立に制御するための信号線を設ける。図2Aでは、垂直転送信号線911および912が、垂直転送レジスタ20の水平転送レジスタにつながらない方の端部の電極に、垂直転送信号線913および914が、垂直転送レジスタ20の水平転送レジスタにつながる方の端部の電極に、それぞれ接続されている。図2Aの状態は、前述のように、通常の画素毎転送動作モードと共通の状態であるので、垂直転送信号線911〜914には、垂直転送信号線903および904と同様、Lowレベルの電圧が印可されている。
【0040】
図3には、垂直転送信号線901〜914に印加される電圧の時間変化を示した。ステップ11および図2Aの状態は、時間Aの状態に対応している。
【0041】
図2Bは、ステップ12における垂直転送レジスタ内の状態を示している図である。ここでは、負電荷101〜104を合体させるため、垂直転送レジスタ20の両端部の電極以外の電極にHighレベルの電圧を印可し、垂直転送レジスタ20の両端部の電極にLowレベルの電圧を印可する。すなわち、垂直転送信号線901〜904には、Highレベルの電圧を印可し、垂直転送信号線911〜914には、Lowレベルの電圧を印可する。これにより、図2Bに示すように、垂直転送レジスタ20の両端部以外の電子ポテンシャルは谷となり、垂直転送レジスタ20の両端部の電子ポテンシャルは山となって、図2Aにおいて、各負電荷101〜104を分離していたポテンシャル障壁は取り除かれ、各負電荷101〜104は合体し、負電荷201となる。ステップ12および図2Bの状態は、図3の時間Bの状態に対応している。
【0042】
図2Cは、ステップ13における垂直転送レジスタ内の状態を示している図である。ここでは、負電荷101〜104を合体した負電荷201を水平転送レジスタ30に一挙に転送するため、垂直転送レジスタ20の水平転送レジスタ30につながる端部の電極以外の電極にLowレベルの電圧を印可し、垂直転送レジスタ20の水平転送レジスタ30につながる端部の電極にHighレベルの電圧を印可する。すなわち、垂直転送信号線901〜912には、Lowレベルの電圧を印可し、垂直転送信号線913および914には、Highレベルの電圧を印可する。これにより、図2Cに示すように、垂直転送レジスタ20の水平転送レジスタ30につながる端部の電子ポテンシャルは谷となり、それ以外の部分の電子ポテンシャルは山となって、負電荷201は、垂直転送レジスタ20の水平転送レジスタ30につながる端部に押し込められる。その結果、負電荷201は、水平転送レジスタ30に転送される。ステップ13および図2Cの状態は、図3の時間Cの状態に対応している。
【0043】
図2Dは、ステップ13における水平転送レジスタ内の状態を示している図である。簡単のため、水平ラインの画素数が4のCCDイメージセンサが用いられている。ここで、負電荷202〜204も、負電荷201と同様、他の垂直ラインにおいて加算され転送されてきた電荷である。
【0044】
最後に、ステップ14で、水平転送信号線801〜804を用いて、通常の画素毎転送動作モードにより、負電荷201〜204を1つずつ電荷電圧変換部60に転送する。
【0045】
なお、前述のように、水平ラインの転送においても電荷加算転送動作モードを用いてもよい。その場合、水平転送レジスタ30の両端部の電極を水平転送信号線803および804に接続するのではなく、水平転送レジスタ30の電荷電圧変換部60につながらない方の端部に水平転送信号線811および812(不図示、垂直転送信号線911および912に相当)を、水平転送レジスタ30の電荷電圧変換部60につながる方の端部に水平転送信号線813および814(不図示、垂直転送信号線913および914に相当)を接続し、同様に電圧を印加すればよい。
【0046】
図4を参照すると、本発明のCCDイメージセンサの機能ブロック図が示されている。CCD41の垂直転送レジスタの電極に接続される垂直転送信号線901および902に電圧を印可する画素毎転送動作モード用電圧源1(42)と、垂直転送信号線903および904に電圧を印可する画素毎転送動作モード用電圧源2(43)と、水平転送レジスタの電極に接続される水平転送信号線801および802に電圧を印可する画素毎転送動作モード用電圧源3(46)と、水平転送信号線803および804に電圧を印可する画素毎転送動作モード用電圧源4(47)により、画素毎転送動作モードが実現される。そして、CCD41の垂直転送レジスタの電極に接続される垂直転送信号線911および912に電圧を印可する電荷加算転送動作モード用電圧源1(44)と、垂直転送信号線913および914に電圧を印可する電荷加算転送動作モード用電圧源2(45)により、電荷加算転送動作モードが実現される。各電圧源は、図3のタイミングで各信号線に電圧を印加する。
【0047】
なお、水平ラインにおいても電荷加算転送動作モードを採用する場合は、CCD41の水平転送レジスタの電極に接続される水平転送信号線811および812に電圧を印可する電荷加算転送動作モード用電圧源3(不図示)と、水平転送信号線813および814に電圧を印可する電荷加算転送動作モード用電圧源4(不図示)を別途設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のフリッカ抑制方法で用いられる電荷加算転送動作モードの手順を示すフローチャートである。
【図2A】図1のステップ11における垂直転送レジスタ内の状態を示した図である。
【図2B】図1のステップ12における垂直転送レジスタ内の状態を示した図である。
【図2C】図1のステップ13における垂直転送レジスタ内の状態を示した図である。
【図2D】図1のステップ13における水平転送レジスタ内の状態を示した図である。
【図3】垂直転送信号線901〜914に印加される電圧の時間変化を示した図である。
【図4】本発明のCCDイメージセンサの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
11〜14 ステップ
20 垂直転送レジスタ
30 水平転送レジスタ
41 CCD
42 画素毎転送動作モード用電圧原1
43 画素毎転送動作モード用電圧原2
44 電荷加算転送動作モード用電圧原1
45 電荷加算転送動作モード用電圧原2
46 画素毎転送動作モード用電圧原3
47 画素毎転送動作モード用電圧原4
60 電荷電圧変換部
101〜104 電荷
201〜204 電荷
801〜801 水平転送信号線
901〜914 垂直転送信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源により駆動されている蛍光灯下でCCDイメージセンサが取得した画像に生じるフリッカを抑制するために、前記CCDイメージセンサが前記蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求めるステップと、該全画素の輝度の総和に基づいて前記商用電源の周期を検出するステップと、該商用電源の周期に基づいてゲイン補正を行うステップとを備えるフリッカ抑制方法において、
前記CCDイメージセンサの各垂直転送レジスタの両端部のうち水平転送レジスタにつながる端部の電極には、通常の画像取得の際に用いられる画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線を接続せず、第1の垂直転送信号線を接続することとし、前記各垂直転送レジスタの両端部のうち前記水平転送レジスタにつながらない端部の電極には、前記画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線を接続せず、第2の垂直転送信号線を接続することとし、
前記CCDイメージセンサが前記蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求めるステップは、
前記CCDイメージセンサが、前記各垂直転送レジスタの両端部の電極に、前記第1の垂直転送信号線および前記第2の垂直転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可し、前記各垂直転送レジスタの両端部以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可することによって、各垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された負電荷を合体する第1のステップと、
前記CCDイメージセンサが、前記水平転送レジスタにつながる端部の電極に、前記第1の垂直転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可し、それ以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線および前記第2の垂直転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可することによって、前記第1のステップで合体された負電荷を前記水平転送レジスタに転送する第2のステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記CCDイメージセンサの水平転送レジスタの両端部のうち電荷電圧変換部につながる端部の電極に、通常の画像取得の際に用いられる画素毎転送動作モード用の水平転送信号線を接続せず、第1の水平転送信号線を接続することとし、前記水平転送レジスタの両端部のうち前記電荷電圧変換部につながらない端部の電極に、前記画素毎転送動作モード用の水平転送信号線を接続せず、第2の水平転送信号線を接続することとし、
前記CCDイメージセンサが前記蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求めるステップは、
前記CCDイメージセンサが、前記水平転送レジスタの両端部の電極に、前記第1の水平転送信号線および前記第2の水平転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可し、前記水平転送レジスタの両端部以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の水平転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可することによって、前記第2のステップで前記各垂直転送レジスタによって転送された前記合体された負電荷をさらに合体する第3のステップと、
前記CCDイメージセンサが、前記電荷電圧変換部につながる端部の電極に、前記第1の水平転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可し、それ以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の水平転送信号線および前記第2の水平転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可することによって、前記第3のステップで合体された負電荷を前記電荷電圧変換部に転送する第4のステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
商用電源により駆動されている蛍光灯下で取得した画像に生じるフリッカを抑制するために、前記蛍光灯下における背景画像の全画素の輝度の総和を求め、該全画素の輝度の総和に基づいて前記商用電源の周期を検出し、該商用電源の周期に基づいてゲイン補正を行うCCDイメージセンサにおいて、
前記CCDイメージセンサの各垂直転送レジスタの両端部のうち水平転送レジスタにつながる端部の電極に、通常の画像取得の際に用いられる画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線の代わりに接続される第1の垂直転送信号線と、
前記各垂直転送レジスタの両端部のうち前記水平転送レジスタにつながらない端部の電極に、前記画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線の代わりに接続される第2の垂直転送信号線と、
各垂直ラインの各フォトダイオードにより蓄積された負電荷を合体するために、前記各垂直転送レジスタの両端部の電極に、前記第1の垂直転送信号線および前記第2の垂直転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可し、前記各垂直転送レジスタの両端部以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可する手段と、
前記合体された負電荷を前記水平転送レジスタに転送するために、前記水平転送レジスタにつながる端部の電極に、前記第1の垂直転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可し、それ以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の垂直転送信号線および前記第2の垂直転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可する手段を有することを特徴とするCCDイメージセンサ。
【請求項4】
前記CCDイメージセンサの水平転送レジスタの両端部のうち電荷電圧変換部につながる端部の電極に、通常の画像取得の際に用いられる画素毎転送動作モード用の水平転送信号線の代わりに接続される第1の水平転送信号線と、
前記水平転送レジスタの両端部のうち前記電荷電圧変換部につながらない端部の電極に、前記画素毎転送動作モード用の水平転送信号線の代わりに接続される第2の水平転送信号線と、
前記各垂直転送レジスタによって転送された前記合体された負電荷をさらに合体するために、前記水平転送レジスタの両端部の電極に、前記第1の水平転送信号線および前記第2の水平転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可し、前記水平転送レジスタの両端部以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の水平転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可する手段と、
前記さらに合体された負電荷を前記電荷電圧変換部に転送するために、前記電荷電圧変換部につながる端部の電極に、前記第1の水平転送信号線を用いてHighレベルの電圧を印可し、それ以外の部分の電極に、前記画素毎転送動作モード用の水平転送信号線および前記第2の水平転送信号線を用いてLowレベルの電圧を印可する手段をさらに有する、請求項3に記載のCCDイメージセンサ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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