説明

フリッカ検出装置、フリッカ検出方法、制御プログラム、可読記録媒体、固体撮像装置、多眼撮像装置および電子情報機器

【課題】フレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつ被写体画像の影響を軽減してフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行う。
【解決手段】複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置1において、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除する画像処理手段3と、フリッカ成分以外の画像情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段4とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の視点に対応する複数のセンサからの画像からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置およびこれを用いたフリッカ検出方法、このフリッカ検出装置で検出したフリッカを補正可能とする固体撮像装置、被写体からの画像光を光電変換して撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)に代表される二つ以上の固体撮像素子から取得される各画像信号を撮像可能とする多眼撮像装置、このフリッカ検出方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体、この固体撮像装置または多眼撮像装置を撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、車載用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置において、例えば蛍光灯であれば商用周波数60Hzに対して120Hzで点滅しており、人間の目にはその点滅は伝わらないが、固体撮像装置では、1秒間に例えば30フレーム、1フレームに数百ラインがあり、1ライン毎に露光が行われる。このことから、その露光タイミングが順次、ライン毎に時系列にずれて行くので、画像としてあるタイミングでは明るく、あるタイミングでは暗いという事態が発生する。これによって、波打ったようなもやもやした画像になってしまう。このため、点滅によるフリッカを検出してフリッカによる画像への影響を防止する信号処理技術が必要になる。
【0003】
関西圏では商用周波数60Hzであり、関東圏では商用周波数50Hzであるため、シャッタスピードを1/120secの整数倍にするかまたは、1/100secの整数倍にするかが分からなければ、このフリッカを除去することができない。例えば関西圏では、シャッタスピードを1/120secの整数倍にすれば、蛍光灯の点滅の周期であるから、明るさと暗さを共に含み、どのタイミングであっても、各画素での露光時間が一定になる。これを実現するために、点滅の周期が1/120secか1/100secかを検出し、補正するフリッカ検出方法が特許文献1に開示されている。
【0004】
図11は、特許文献1に開示されている従来のフリッカ補正装置の概略構成例を説明するためのブロック図である。
【0005】
図11に示すように、従来のフリッカ補正装置100は、入力端子101を有しており、画像信号Sig1が入力端子101から入力される。この画像信号Sig1は、電子カメラやスキャナなどのような固体撮像素子を用いたカメラによって被写体を撮像して得られ、例えば交流電源周期と同期して点滅する蛍光灯照明下において、CMOS型イメージセンサのようなX−Yアドレス走査型の固体撮像素子を用いたカメラで被写体を撮像した場合には、フリッカ成分を含む画像信号Sig1が、入力端子101から入力されることになる。
【0006】
入力端子1から入力された画像信号Sig1は、画像メモリ102に供給され、1フレームまたは1フィールド分の画像信号Sig1が、画像データとして画像メモリ102内に格納される。また、画像信号Sig1は、画像平均値算出手段103にも供給される。
【0007】
画像平均値算出手段103では、入力された画像信号Sig1から、1水平ライン毎に画像信号Sig1の平均値を算出して、フリッカデータ抽出手段104および105に対して、それぞれ画像平均値Sig2を出力する。この画像平均値算出手段103では、複数ライン毎に画像信号の平均値を算出することも可能であり、また、垂直方向に画像信号Sig1から画像平均値Sig2を算出することも可能である。
【0008】
また、フリッカ周波数算出手段106では、交流電源周波数と、撮像素子のフレーム周波数またはフィールド周波数とを用いて、フリッカ周波数を算出する。フリッカ周波数算出手段106は、交流電源周波数が50Hzである場合のフリッカ周波数Sig3をフリッカデータ抽出手段104に出力すると共に、交流電源周波数が60Hzである場合のフリッカ周波数Sig4を算出してフリッカデータ抽出手段105に出力する。
【0009】
フリッカデータ抽出手段104は、画像平均値算出手段103から入力された画像平均値Sig2を離散フーリエ変換(周波数変換)することによって、フリッカ周波数算出手段106から入力されたフリッカ周波数Sig3のスペクトル量Sig5と、フリッカ周波数Sig3の近傍の周波数のスペクトル量Sig5’およびS5”とを、それぞれ算出して、フリッカ判定手段107に出力する。
【0010】
また同様に、フリッカデータ抽出手段105は、画像平均値算出手段103から入力された画像平均値Sig2を離散フーリエ変換(周波数変換)することによって、フリッカ周波数算出手段106から入力されたフリッカ周波数Sig4のスペクトル量Sig6と、フリッカ周波数Sig4の近傍の周波数のスペクトル量Sig6’およびSig6”とを、それぞれ算出して、フリッカ判定手段107に出力する。
【0011】
フリッカ判定手段107は、スペクトル量Sig5、Sig5’およびSig5”を用いてフリッカ現象の有無を判定すると共に、スペクトル量Sig6、Sig6’およびSig6”を用いてフリッカ現象の有無を判定し、その判定結果をフリッカ情報Sig8としてフリッカ補正手段108に出力する。
【0012】
フリッカ現象があると判定された場合には、交流電源周波数が50Hzおよび60Hzの場合毎に、フリッカ現象の有無を判定することによっていずれの交流電源周波数であるかを判定し、その結果をフリッカ情報Sig7としてスイッチSW109に出力する。スイッチSW109は、フリッカ情報Sig7に従って切り替えられ、フリッカ現象が生じていると判定された交流電源周波数(50Hzまたは60Hz)に応じたスペクトル量Sig5、Sig5’およびSig5”、またはスペクトル量Sig6、Sig6’およびSig6”が、フリッカ補正量算出手段110に出力される。また、フリッカ現象がないと判定された場合には、フリッカ現象がないというフリッカ情報Sig8がフリッカ補正手段108に入力されて補正は行われない。
【0013】
フリッカ補正量算出手段110は、スイッチSW109から入力されたスペクトルSig5またはSig6を逆離散フーリエ変換することによって、補正量Sig9を算出し、算出した補正量Sig9をフリッカ補正手段108に出力する。
【0014】
フリッカ補正手段108は、フリッカ補正量算出手段110から入力されたフリッカ補正量Sig9を、画像メモリ102に格納されている、フリッカ成分を含む画像データに加算することによって、フリッカ成分を相殺した後に出力端子111から出力画像信号Sig10を出力する。
【0015】
次に、時間の異なる複数の画像を取り込んで比較することにより、フリッカ部分を検出・除去して画像合成することにより、フリッカのない画像を得る従来の画像処理装置が特許文献2に開示されている。
【0016】
図12は、特許文献2に開示されている従来の画像処理装置においてフリッカを除去した画像信号を得る信号処理方法を説明するためのフローチャートである。
【0017】
図12に示すように、まず、ステップS201において、時間の異なる2枚の画像を各画像信号として取り込む。
【0018】
次に、ステップS202において、その取り込んだ2枚の画像について各画素毎に、値の差の絶対値を算出し、その値が予め決めておいた一定値以上である画素の部分を「無効部分」としてマーキングした中間画像を作る。無効部分として判定されなかった部分は有効画像であり、中間画像に「有効部分」として残される。この後、有効画面が画像全体に満たされるまで次のステップS203〜S206の処理をを繰り返す。
【0019】
ステップS203の処理では、中間画像内に「無効部分」があるかどうかを判定し、「無効部分」がなければ(NO)、ステップS207で最終的な取得画像として出力される。「無効部分」があれば(YES)、次のステップS204の処理に進む。
【0020】
ステップS204では、再び1枚の画像を取り込む。
【0021】
次に、ステップS205の処理において、この画像とその1枚前の画像とをステップS202の処理と同様に比較し、新たな画像の方の「無効部分」を判定する。
【0022】
続いて、ステップS206の処理において、先にステップS203で「無効部分」があるかどうかを判定した中間画像の「無効部分」にこの新たな画像の有効部分がかかっていれば、その有効部分を中間画像に埋め込み、新たな中間画像とする。
【0023】
以下、ステップS203〜S206の処理をを繰り返すことによって、最終的に中間画像から無効部分がなくなったら、ステップS207でこの「無効部分」のない中間画像を最終取り込み画像として出力して終わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2003−198932号公報
【特許文献2】特開平11−32238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来のフリッカ補正装置100では、一つの入力端子101から入力した画像信号Sig1だけを使用するため、フリッカノイズに類似した画像が入力された場合や、フリッカノイズが非常に小さい場合などに、フリッカの発生を検出するのが困難であるという問題があった。
【0026】
要するに、図1311に示すように、従来のフリッカ補正装置100のフリッカデータ抽出手段104、105で、画像平均値算出手段103から入力された画像平均値Sig2を離散フーリエ変換(周波数変換)してフリッカ成分を抽出することによりフリッカ判定手段107にてフリッカ判定を行っているため、被写体および背景画像の影響を受けてフリッカの検出精度が低く誤認識することが多い。固体撮像素子がCMOSセンサの場合、フリッカは画像中に横縞となって現れるので、画面縦方向の周波数成分を検出し、蛍光灯点灯周波数付近にピークがあることにより、フリッカの発生の有無が検出可能である。ただし、通常の画像に重畳されたままで周波数の検出を行うため、被写体および背景画像の影響を強く受けてしまう。特に、横縞の画像など、縦方向に強弱の変化が強い画像の場合、特に誤認識が起こりやすくなってしまう。
【0027】
上記特許文献2に開示されているフリッカ検出、フリッカ除去の構成では、時間の異なる複数画像を重ね合わせてフリッカを検出、除去して画像合成するため、フレームメモリが別途必要になり、コストが高くなると共に、フレームメモリなど部品点数やチップサイズが増大し、また、動画に対しては、フレーム間の画像の相関関係が小さいために、正しい画像を構成することができないという問題があった。
【0028】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、フレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができるフリッカ検出装置およびこれを用いたフリッカ検出方法、このフリッカ検出方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体、このフリッカ検出装置を用いた固体撮像装置、このフリッカ検出装置を用いて立体視を含む動画や静止画の映像・画像を生成可能とする多眼撮像装置、この固体撮像装置または多眼撮像装置を画像入力デバイスとして撮像部に用いたカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明のフリッカ検出装置は、複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置であって、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行う画像処理手段と、該フリッカ成分以外の画像情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0030】
また、好ましくは、本発明のフリッカ検出装置における画像処理手段は、前記複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理手段を有する。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出装置における画像処理手段は、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段を有する。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出装置における画像処理手段は、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段と、互いに該垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらした該第1撮像素子および該第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理手段とを有する。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出装置におけるフリッカ検出手段は、前記差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ライン毎または複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出手段を有する。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出装置におけるフリッカ検出手段は、前記算出した画像平均値情報を周波数変換してフリッカ周波数を抽出する周波数変換手段を更に有し、該フリッカ周波数を前記フリッカ情報として抽出する。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出装置における周波数変換手段は、前記算出した画像平均値情報を離散フーリエ変換してフリッカ周波数のフリッカ情報を検出する。
【0036】
本発明の固体撮像装置は、本発明の上記フリッカ検出装置と、該フリッカ検出装置から出力されるフリッカ情報を元に、前記複数の撮像素子の各画像信号に対してそれぞれ補正を行って、該各画像信号中のフリッカ周波数成分を除去した各画像信号を出力するフリッカ補正手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0037】
本発明の固体撮像装置は、本発明の上記フリッカ検出装置と、該フリッカ検出装置から出力されるフリッカ情報を元に、フリッカが発生しない露光時間を前記複数の撮像素子にそれぞれ設定するセンサ駆動制御手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0038】
本発明の多眼撮像装置は、本発明の上記固体撮像装置の二つ以上の撮像素子から取得される各画像信号を撮像可能とするものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0039】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記固体撮像装置または本発明の上記多眼撮像装置を画像入力デバイスとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0040】
本発明のフリッカ検出方法は、複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出方法であって、画像処理手段が、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行う画像処理工程と、フリッカ検出手段が、該フリッカ成分以外の画像情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0041】
また、好ましくは、本発明のフリッカ検出方法における画像処理工程は、差分処理手段が、前記複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理工程を有する。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出方法における画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段が、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程を有する。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出方法における画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段が、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程と、差分処理手段が、互いに該垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらした第1撮像素子および第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理工程とを有する。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出方法におけるフリッカ検出工程は、画像平均値算出手段が、前記差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ラインまたは複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出工程を有し、該画像平均値情報に基づいてフリッカ情報を抽出する。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出方法におけるフリッカ検出工程は、周波数算出手段が、前記算出した画像平均値情報を周波数変換して前記フリッカ情報を抽出する周波数算出工程を更に有する。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明のフリッカ検出方法における周波数算出工程は、前記算出した画像平均値情報を離散フーリエ変換してフリッカ周波数のフリッカ情報を検出する。
【0047】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記フリッカ検出方法の各工程をコンピュータに実行させるためのものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0048】
本発明の可読記録媒体は、本発明の上記制御プログラムが記録されたコンピュータ読み出し可能なものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0049】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0050】
本発明においては、複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置において、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行う画像処理手段と、フリッカ成分以外の画像情報排除後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段とを有する。
【0051】
これによって、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行うので、被写体や背景画像の影響が軽減したりフリッカ周波数成分を強調して、従来のようにフレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0052】
以上により、本発明によれば、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行うため、被写体および背景画像の影響を軽減したりフリッカ周波数成分を強調して、フレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態1のフリッカ検出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のフリッカ検出手段の要部構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のフリッカ検出手段を説明するための図である。
【図4】図1の画像処理手段の要部構成例を示すブロック図である。
【図5】図1の画像処理手段の垂直同期信号シフト手段を説明するための図である。
【図6】図1の画像処理手段の差分処理手段を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態1のフリッカ検出装置を用いた固体撮像装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態1のフリッカ検出装置を用いた固体撮像装置の要部構成例の他の事例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態2のフリッカ検出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態3として、本発明の実施形態1または2のフリッカ検出装置を用いた固体撮像装置または多眼撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図11】特許文献1に開示されている従来のフリッカ補正装置の概略構成例を説明するためのブロック図である。
【図12】特許文献2に開示されている従来の画像処理装置においてフリッカを除去した画像を得るための処理方法を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12の従来の画像処理装置における課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に、本発明のフリッカ検出装置およびフリッカ検出方法、これらを用いた固体撮像装置の実施形態1および、このソフトウェア構成のフリッカ検出装置およびフリッカ検出方法、これらを用いた固体撮像装置の実施形態2を説明し、これらの実施形態1、2の固体撮像装置または他眼撮像装置を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態3について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1のフリッカ検出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0056】
図1に示すように、本実施形態1のフリッカ検出装置1は、少なくとも二つの撮像素子で同時に撮影された二つの各画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除する画像処理手段3と、画像情報の悪影響を排除した後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段4とを備え、複数の撮像素子からの各画像信号からフリッカの発生を検出する。
【0057】
即ち、本実施形態1のフリッカ検出装置1は、複数の入力端子2を有しており、複数の画像信号Sig11が各入力端子2からそれぞれ入力される。入力された各画像信号Sig11は、電子カメラ、スキャナなどのような複数の撮像素子を用いたカメラによって被写体および背景画像を撮像して得られ、例えば交流電源周期と同期して点滅する蛍光灯照明下において、CMOS型イメージセンサのようなX−Yアドレス走査型の固体撮像素子を用いたカメラで被写体および背景画像を撮像した場合には、フリッカ成分を含む画像情報の各画像信号Sig11が、各入力端子2からそれぞれ入力される。
【0058】
各入力端子2から入力された複数の画像信号Sig11は、画像処理手段3においてフリッカ検出が容易となるように複数の画像信号Sig11のうちの同時撮影の二つの画像信号Sig11から画像情報を排除する信号処理が為され、この画像情報が排除されてフリッカ検出が容易になる画像信号Sig12がフリッカ検出手段4に出力される。
【0059】
その画像信号Sig12はフリッカ検出手段4に入力され、フリッカ検出手段4において、その画像信号Sig12に基づいてフリッカ情報を抽出し、フリッカ情報Sig13を出力する。このフリッカ情報Sig13を用いて複数の画像信号Sig11からそれぞれフリッカを取り除くことができる。
【0060】
図2は、図1のフリッカ検出手段4の要部構成例を示すブロック図であり、図3は、図1のフリッカ検出手段4を説明するための図である。
【0061】
図2に示すように、フリッカ検出手段4は、画像情報が排除されてフリッカ検出が容易になった画像信号Sig12を1フィールドの1水平ラインまたは複数ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出手段41と、算出した画像平均値情報を周波数変換してフリッカ周波数情報を抽出する周波数算出手段42とを有する。
【0062】
図3示すように、フリッカ検出手段4の画像平均値算出手段41において、画像情報を排除した画像信号Sig12を1画面(1フィールド)の1水平ラインまたは複数ライン毎に画像平均値を算出し、周波数算出手段42において、算出した画像平均値情報を離散フーリエ変換してフリッカ周波数をフリッカ情報として検出する。このように、垂直方向の時間軸における1水平ライン毎または複数ライン毎の画像平均値情報の変化(信号強度の変化)を元にフリッカ現象の判定結果としてのフリッカ周波数のフリッカ情報Sig13を検出する。
【0063】
フリッカ周波数のフリッカ情報Sig13を正しく判断するためには、画像平均値Sig12の中に含まれるフリッカ成分が大きく、フリッカ成分以外の画像成分が小さくなっているのが好ましい。ここでは、フリッカ成分以外の画像成分を小さくするために、前述したように、画像処理手段3において、同時に撮影された二つの各画像信号Sig11を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除している。
【0064】
つまり、従来のように単眼撮像装置で撮影された一枚の画像信号では、フリッカ成分とそれ以外の画像成分の区別がつかないため、画像信号Sig11そのままで判断するしかなかったが、複数の撮像素子を持つ多眼撮像装置や固体撮像装置では、同時に撮影(同一の画像)された複数の画像信号Sig11が入力されるので、これら複数の画像信号Sig11を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することにより、フリッカ成分以外の画像成分を小さく抑えることが可能となっている。
【0065】
図4は、図1の画像処理手段3の要部構成例を示すブロック図である。
【0066】
図4において、画像処理手段3は、複数の撮像素子のうちの第1固体撮像素子からの垂直同期信号に対して第2固体撮像素子からの垂直同期信号を商用周波数の半周期分(フリッカ周波数の半周期分)だけずらす垂直同期信号シフト手段31と、第1固体撮像素子および第2固体撮像素子からの二つの各画像信号を差分処理する差分処理手段32とを有している。
【0067】
同時に撮影された二つの各画像信号からフリッカ成分以外の画像情報を排除するを画像処理として、ここでは、この差分処理手段32によって二つの各画像信号を差分処理している。
【0068】
差分処理手段32によってフリッカ成分以外の画像成分を小さくすることで、フリッカ判定を精度よく行うことができる。また、垂直同期信号シフト手段31により差分処理手段32のフリッカ成分が大きくなるように制御することで、フリッカ判定を精度よく行うことができる。以下、図5および図6を用いて詳細に説明する。
【0069】
図5は、図1の画像処理手段3の垂直同期信号シフト手段31を説明するための図である。
【0070】
図5において、例えば50Hz蛍光灯下では、1/100秒毎に蛍光灯フリッカの明暗が繰り返されるので、第1固体撮像素子からの垂直同期信号Sig21と第2固体撮像素子からの垂直同期意信号Sig22を1/200秒ずらすことにより、第1固体撮像素子からの画像信号Sig11と、第2固体撮像素子からの画像信号Sig11のフリッカ成分の位相を180度(周波数100Hzの半周期)ずらすことができる。または、例えば60Hz蛍光灯下では、1/120秒毎に蛍光灯フリッカの明暗が繰り返されるので、第1固体撮像素子からの垂直同期信号Sig21と第2固体撮像素子からの垂直同期意信号Sig22を1/240秒ずらすことにより、第1固体撮像素子からの画像信号Sig11と、第2固体撮像素子からの画像信号Sig11のフリッカ成分の位相を180度(周波数120Hzの半周期)ずらすことができる。このように、垂直同期信号シフト手段31により、第1固体撮像素子からの垂直同期信号Sig21に対して第2固体撮像素子からの垂直同期信号Sig22を商用周波数の半周期分だけずらすことにより、この後の差分処理後にフリッカ成分を強調させることができる。
【0071】
なお、垂直同期信号シフト手段31において、当初は商標周波数が50Hzまたは60Hzのずれ量に設定しておき、フリッカ検出手段4からのフリッカ情報Sig13に応じて、即ち、商標周波数が50Hzなのかまたは60Hzなのかに応じて、一方の第1固体撮像素子11の垂直同期意信号Sig21に対して第2固体撮像素子12の垂直同期意信号Sig22を1/200秒ずらすかまたは1/240秒ずらすかを切り替えるようにしてもよい。
【0072】
図6は、図1の画像処理手段3の差分処理手段32を説明するための図である。
【0073】
図6において、画像処理手段3の差分検出手段32は、第1固体撮像素子からの画像信号Sig11aと、第2固体撮像素子からの画像信号Sig11bとの差分を取ることにより、被写体および背景画像(画像情報)の悪影響を低減することができる。この差分処理後の画像信号Sig12において、前述したように、差分処理前に、互いの垂直同期信号を商用周波数の半周期ずらすことによりフリッカ成分を強調し、しかもフリッカ以外の画像成分を互いに差し引いて小さくしている。これによって、フリッカ判定を精度よく行うことができる。なお、この場合、画像の影響を更に抑えるために、画像信号Sig11aと画像信号Sig11bとの各被写体の位置を一致させて差分処理を施すこともできる。
【0074】
フリッカ検出手段4において、フリッカ成分を強調しかつ被写体および背景画像の影響を取り除いた差分処理後の画像信号Sig12を用いて、画像平均値算出手段41と周波数算出手段42でフリッカ成分を抽出することにより、従来のように単眼の画像信号Sig11だけを用いて求めるのに比べてフリッカ発生の検出精度が大幅に高くなる。
【0075】
このように、横縞の位置をずらした2つの画像の差をとることにより、被写体の影響を弱め、フリッカの横縞を強調することができる。特に、3Dカメラ(多眼撮像装置)の場合、二つのカメラA、Bの画像は、垂直方向にはほとんどずれがないため、差をとることにより、垂直方向の被写体の影響を大幅に低減することができる。
【0076】
図7は、本発明の実施形態1のフリッカ検出装置1を用いた固体撮像装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0077】
図7に示すように、本実施形態1の固体撮像装置10Aは、図1の画像処理手段3およびフリッカ検出手段4を有するフリッカ検出装置1と、フリッカ検出装置1から出力されるフリッカ周波数情報のフリッカ情報Sig13を元に、複数の画像信号Sig11にそれぞれ対して補正を行って、各画像信号Sig11中のフリッカ周波数成分を除去した各画像信号Sig14をそれぞれ各出力端子6に出力する複数のフリッカ補正手段5とを有している。
【0078】
フリッカ補正手段5は、フリッカ情報Sig13からのフリッカ周波数とフレーム周波数とに基づいて算出されたフリッカ補正量を、複数の画像信号Sig11にそれぞれ対して乗算してフリッカ成分の除去をそれぞれ行う。このように、フリッカ成分と逆の位相の波形を画像信号Sig11にそれぞれ乗算することにより、フリッカ成分を取り除く補正を行うことができる。
【0079】
図8は、本発明の実施形態1のフリッカ検出装置1を用いた固体撮像装置の要部構成例の他の事例を示すブロック図である。
【0080】
図8に示すように、本実施形態1の固体撮像装置10Bは、図1の画像処理手段3およびフリッカ検出手段4を有するフリッカ検出装置1と、フリッカ検出装置1によって出力されたフリッカ情報Sig13を元に、フリッカが発生しない露光時間を固体撮像素子11〜13にそれぞれ設定することにより、画像信号Sig11中にフリッカ成分が発生しないようにするセンサ駆動制御手段14とを備えている。
【0081】
以上により、本実施形態1によれば、複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置1において、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理(差分処理)してフリッカ成分以外の画像情報を排除する画像処理手段3と、フリッカ成分以外の画像情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段4とを有している。
【0082】
これによって、動作タイミングをフリッカ周波数の半周期分だけずらした2眼撮像装置(複眼カメラ)の各画像信号の差分を取ることにより、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除するため、被写体および背景画像の影響を低減し、フリッカ成分を強調した状態で、フリッカ成分を抽出することにより誤認識を大幅に低減することができる。これによって、フリッカ周波数の半周期分ずらすことによりフリッカ成分を強調し、しかもフリッカ以外の画像成分を互いに差し引いて小さくしているため、フレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつ被写体画像の影響を軽減してフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態1では、複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置1について説明してきたが、これを用いたフリッカ検出方法についても同様である。
【0084】
即ち、フリッカ検出装置1を用いたフリッカ検出方法において、画像処理手段3が、同時に撮影された二つの画像信号Sig11を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除する画像処理工程と、フリッカ検出手段4が、フリッカ成分以外の画像情報排除後の画像信号Sig12からフリッカ情報(フリッカ周波数成分)を抽出するフリッカ検出工程とを有していてもよい。
【0085】
画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段31が、第1撮像素子からの垂直同期信号に対して第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程と、差分処理手段32が、複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二つの画像信号を差分処理する差分処理工程とを有している。
【0086】
フリッカ検出工程は、画像平均値算出手段41が、差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ライン毎または複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出工程と、周波数変換手段42が、算出した画像平均値情報を周波数変換してフリッカ情報を抽出する周波数算出工程とを有している。
【0087】
本実施形態1では、これらの垂直同期信号シフト工程および差分処理工程のうちの少なくとも差分処理工程を行う場合について説明したが、これに限らず、垂直同期信号シフト工程だけを行う場合についても、フリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができる本発明の目的を達成することができる。この場合、画像処理工程において、画像処理手段3が、フリッカ周波数成分を強調する画像処理を行えばよい。
【0088】
なお、本実施形態1では、画像処理手段3は、第1固体撮像素子からの垂直同期信号Sig21に対して第2固体撮像素子からの垂直同期信号Sig22をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段31と、互いに垂直同期信号Sig21、Sig22をフリッカ周波数の半周期分だけずらした第1固体撮像素子および第2固体撮像素子からの二つの画像信号Sig11a,Sig11bを差分処理する差分処理手段32とのうちの少なくとも差分処理手段32による差分処理について説明したが、これに限らず、画像処理手段3は、第1固体撮像素子からの垂直同期信号Sig21に対して第2固体撮像素子からの垂直同期信号Sig22をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段31だけを有していてもよい。前述したが、画像処理手段3は、複数の固体撮像素子のうちの第1固体撮像素子および第2固体撮像素子からの二つの画像信号Sig11a,Sig11bを差分処理する差分処理手段32だけを有していてもよい。
【0089】
この場合のフリッカ検出方法の画像処理工程は、差分処理手段32が、複数の固体撮像素子のうちの第1固体撮像素子および第2固体撮像素子からの二つの画像信号Sig11a,Sig11bを差分処理する差分処理工程を有する。また、画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段31が、第1固体撮像素子からの垂直同期信号Sig21に対して第2固体撮像素子からの垂直同期信号Sig22をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程を有する。
【0090】
(実施形態2)
上記実施形態1では、フリッカ検出装置1をハードウェア構成について説明したが、本実施形態2では、フリッカ検出装置のソフトウェア構成について説明する。
【0091】
図9は、本発明の実施形態2のフリッカ検出装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0092】
図9において、本実施形態2のフリッカ検出装置1Aは、コンピュータシステムで構成されており、フリッカ検出制御を行う制御手段としてのCPU21(中央演算処理装置)と、CPU21の起動時にワークメモリとして働く一時記憶手段としてのRAM22と、CPU21を動作させるためのフリッカ検出の制御プログラムおよびこれに用いる各種データなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体(記憶手段)としてのROM23とを有している。
【0093】
CPU21は、ROM23内からRAM22内に読み出されたフリッカ検出の制御プログラムおよびこれに用いる各種データに基づいて、複数の撮像素子から入力される各画像信号Sig11からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置1Aにおいて、同時に撮影された二つの画像信号Sig11を画像処理してフリッカ成分以外の情報を排除する画像処理手段3Aと、フリッカ成分以外の情報排除処理後の画像信号Sig12からフリッカ情報(フリッカ周波数成分)を抽出するフリッカ検出手段4Aの機能を実行するようになっている。
【0094】
画像処理手段3Aは、第1撮像素子からの垂直同期信号に対して第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段31Aと、複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの同時に設営された二つの画像信号Sig11を差分処理する差分処理手段32Aとを有している。
【0095】
フリッカ検出手段4Aは、差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ライン毎または複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出手段41Aと、算出した画像平均値情報を周波数変換してフリッカ情報を抽出する周波数算出手段42Aとを有している。
【0096】
可読記録媒体としてのROM23としては、ハードディスクの他、形態自在な光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどで構成されていてもよい。この制御プログラムおよびそのデータなどがROMに記憶されるが、この制御プログラムおよびそのデータは、他の可読記録媒体から、または、無線、有線またはインターネットなどを介してROM23にダウンロードされてもよい。
【0097】
以上により、本実施形態2によれば、フレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつ被写体画像の影響を軽減してフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができる。
【0098】
なお、本実施形態2のフリッカ検出装置1Aは、上記実施形態1のフリッカ検出装置1の場合と同様に、固体撮像装置10A、10Bに適用することもできる。また、これらの固体撮像装置10Aまたは10Bを、二つ以上の固体撮像素子から取得される各画像信号を撮像可能とする後述の多眼撮像装置10Cに適用することもできる。
【0099】
なお、本実施形態2では、複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置1Aについて説明してきたが、これを用いたフリッカ検出方法についても同様である。
【0100】
即ち、フリッカ検出装置1Aを用いたフリッカ検出方法において、画像処理手段3Aが、同時に撮影された二つの画像信号Sig11を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除する画像処理工程と、フリッカ検出手段4Aが、フリッカ成分以外の画像情報排除後の画像信号Sig12からフリッカ情報(フリッカ周波数成分)を抽出するフリッカ検出工程とを有していてもよい。
【0101】
画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段31Aが、第1撮像素子からの垂直同期信号に対して第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程と、差分処理手段32Aが、複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二つの画像信号を差分処理する差分処理工程とを有している。
【0102】
フリッカ検出工程は、画像平均値算出手段41Aが、差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ライン毎または複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出工程と、周波数変換手段42Aが、算出した画像平均値情報を周波数変換してフリッカ情報を抽出する周波数算出工程とを有している。
【0103】
本実施形態2では、これらの垂直同期信号シフト工程および差分処理工程を行う場合について説明したが、これに限らず、垂直同期信号シフト工程だけを行う場合、または差分処理工程だけを行う場合についても、フリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができる本発明の目的を達成することができる。この場合、画像処理工程において、画像処理手段3Aが、フリッカ周波数成分を強調する画像処理を行えばよい。
【0104】
(実施形態3)
図10は、本発明の実施形態3として、本発明の実施形態1、2のフリッカ検出装置1または1Aを用いた固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置10Cを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0105】
図10において、本実施形態3の電子情報機器90は、画像信号を信号処理してカラー画像信号を得る、上記実施形態1、2のフリッカ検出装置1または1Aを用いた固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置10Cと、この10Aまたは10B、または多眼撮像装置からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部91と、この固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示部92と、この固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信部93と、この固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力部94とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置の他に、メモリ部91と、表示部92と、通信部93と、プリンタなどの画像出力部94とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0106】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0107】
したがって、本実施形態3によれば、この固体撮像装置10Aまたは10B、または多眼撮像装置からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力部94により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部91に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0108】
なお、本実施形態1、2では、フリッカ検出装置1または1Aは、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除する画像処理手段3または3Aと、フリッカ成分以外の情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段4または4Aとを有する。画像処理手段3または3Aは、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段31または31Aと、複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二つの画像信号を差分処理する差分処理手段32または32Aとのうちの少なくとも差分処理手段32または32Aを有する場合について説明したが、これに限らず、本発明のフリッカ検出装置は、複数の固体撮像素子の画像信号からフリッカ検出が容易なように画像処理を行う画像処理手段と、画像信号からフリッカ周波数成分を検出するフリッカ検出手段とを有していてもよい。この場合、本発明の固体撮像装置は、上記本発明のフリッカ検出装置と、複数の固体撮像素子と、発生したフリッカを信号処理で除去するフリッカ補正手段を有していてもよい。また、本発明の固体撮像装置は、上記本発明のフリッカ検出装置と、複数の固体撮像素子と、フリッカ検出装置で判定したフリッカ情報に基づいて固体撮像素子の動作を制御するセンサ駆動制御手段とを有していてもよい。さらに、固体撮像素子に対して、フリッカの検出に適したタイミングで動作するように制御するセンサ制御装置で構成されていてもよい。さらに、固体撮像素子に対して、フリッカの検出に適した画像出力位置を制御するセンサ制御装置で構成されていてもよい。固体撮像素子からの画像信号に対して、フリッカの検出に適した範囲の画像を切りだす画像切り出し手段を有してもよい。
【0109】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜3を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜3に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜3の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、複数の視点に対応する複数のセンサからの画像からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置およびこれを用いたフリッカ検出方法、このフリッカ検出装置で検出したフリッカを補正可能とする固体撮像装置、被写体からの画像光を光電変換して撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)に代表される二つ以上の固体撮像素子から取得される各画像信号を撮像可能とする多眼撮像装置、このフリッカ検出方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体、この固体撮像装置または多眼撮像装置を撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、車載用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行うため、被写体および背景画像の影響を軽減したりフリッカ周波数成分を強調して、フレームメモリなど部品点数やチップサイズの増大を抑え、かつフリッカノイズを効果的に検出できてフリッカ判定を精度よく行うことができる。
【符号の説明】
【0111】
1、1A フリッカ検出装置
2 入力端子
3、3A 画像処理手段
31、31A 垂直同期信号シフト手段
32、32A 差分処理手段
4、4A フリッカ検出手段
41、41A 画像平均値算出手段
42、42A 周波数算出手段
5 フリッカ補正手段
6 出力端子
10A、10B 固体撮像装置
10C 多眼撮像装置
14 センサ駆動制御手段
21 CPU21(制御手段)
22 RAM
23 ROM
Sig11 入力画像信号
Sig11a 第1固体撮像素子からの画像信号
Sig11b 第2固体撮像素子からの画像信号
Sig12 差分処理後の画像信号
Sig13 フリッカ情報
Sig14 フリッカ成分を除去した各画像信号
Sig21、22 垂直同期信号
90 電子情報機器
91 メモリ部
92 表示部
93 通信部
94 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出装置であって、
同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行う画像処理手段と、
該フリッカ成分以外の画像情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出手段とを有するフリッカ検出装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理手段を有する請求項1に記載のフリッカ検出装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段を有する請求項1に記載のフリッカ検出装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト手段と、互いに該垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらした該第1撮像素子および該第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理手段とを有する請求項1に記載のフリッカ検出装置。
【請求項5】
前記フリッカ検出手段は、
前記差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ライン毎または複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出手段を有する請求項1に記載のフリッカ検出装置。
【請求項6】
前記フリッカ検出手段は、
前記算出した画像平均値情報を周波数変換してフリッカ周波数を抽出する周波数変換手段を更に有し、該フリッカ周波数を前記フリッカ情報として抽出する請求項5に記載のフリッカ検出装置。
【請求項7】
前記周波数変換手段は、前記算出した画像平均値情報を離散フーリエ変換してフリッカ周波数のフリッカ情報を検出する請求項6に記載のフリッカ検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のフリッカ検出装置と、該フリッカ検出装置から出力されるフリッカ情報を元に、前記複数の撮像素子の各画像信号に対してそれぞれ補正を行って、該各画像信号中のフリッカ周波数成分を除去した各画像信号を出力するフリッカ補正手段とを有する固体撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のフリッカ検出装置と、該フリッカ検出装置から出力されるフリッカ情報を元に、フリッカが発生しない露光時間を前記複数の撮像素子にそれぞれ設定するセンサ駆動制御手段とを有する固体撮像装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の固体撮像装置の二つ以上の撮像素子から取得される各画像信号を撮像可能とする多眼撮像装置。
【請求項11】
請求項8または9に記載の固体撮像装置または請求項10に記載の多眼撮像装置を画像入力デバイスとして撮像部に用いた電子情報機器。
【請求項12】
複数の撮像素子の各画像信号からフリッカの発生を検出するフリッカ検出方法であって、
画像処理手段が、同時に撮影された二つの画像信号を画像処理してフリッカ成分以外の画像情報を排除することおよびフリッカ周波数成分を強調することのうち少なくともいずれかを行う画像処理工程と、
フリッカ検出手段が、該フリッカ成分以外の画像情報排除処理後の画像信号からフリッカ情報を抽出するフリッカ検出工程とを有するフリッカ検出方法。
【請求項13】
前記画像処理工程は、差分処理手段が、前記複数の撮像素子のうちの第1撮像素子および第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理工程を有する請求項12に記載のフリッカ検出方法。
【請求項14】
前記画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段が、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程を有する請求項12に記載のフリッカ検出方法。
【請求項15】
前記画像処理工程は、垂直同期信号シフト手段が、前記第1撮像素子からの垂直同期信号に対して前記第2撮像素子からの垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらす垂直同期信号シフト工程と、差分処理手段が、互いに該垂直同期信号をフリッカ周波数の半周期分だけずらした第1撮像素子および第2撮像素子からの二画面の画像情報を差分処理する差分処理工程とを有する請求項12に記載のフリッカ検出方法。
【請求項16】
前記フリッカ検出工程は、
画像平均値算出手段が、前記差分処理後の画像信号を1フィールドの1水平ラインまたは複数水平ライン毎に画像平均値情報を算出する画像平均値算出工程を有し、該画像平均値情報に基づいてフリッカ情報を抽出する請求項12に記載のフリッカ検出方法。
【請求項17】
前記フリッカ検出工程は、
周波数算出手段が、前記算出した画像平均値情報を周波数変換して前記フリッカ情報を抽出する周波数算出工程を更に有する請求項16に記載のフリッカ検出方法。
【請求項18】
前記周波数算出工程は、前記算出した画像平均値情報を離散フーリエ変換してフリッカ周波数のフリッカ情報を検出する請求項17に記載のフリッカ検出方法。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載のフリッカ検出方法の各工程をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み出し可能な可読記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−51523(P2013−51523A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187839(P2011−187839)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】