説明

フリーアクセスフロア、フリーアクセスフロアの床下空間の仕切方法

【課題】 フリーアクセスフロアの床下空間のエアの流れを容易に変更することができる技術を提供する。
【解決手段】 フリーアクセスフロア1とそれが支持される基礎床との間に形成される空間を仕切るフリーアクセスフロアの床下空間の仕切方法において、前記フリーアクセスフロアを構成する複数のフリーアクセスパネル1aのうちのいずれか一つ又はいずれか複数のそれぞれにスリット5を設け、該スリットに、仕切板6を挿脱可能に挿入して、前記フリーアクセスパネルの面から垂下させ、前記空間を流れるエアの流れ方向を定めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願に開示の技術は、床の構造及び床下空間の形成方法に係り、特に床下空間の間仕切りを行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基礎床面上に規則的に立設配置された支持脚にわたって床パネル(フリーアクセスパネル)を架橋状に敷設して構成されるフリーアクセスフロア(単にフリーアクセスとも言われる)の床下空間を、二つの支持脚の間に仕切板を設置することにより間仕切るようにした床構造が知られている(例えば下記特許文献1参照)。この床構造では、仕切板の上部を支持脚のパネル載置用台座に固着させて、仕切板の下部を基礎床面又は支持脚のベースプレート上に固定設置したL型アングル材に固着するようにしている。そして、L型アングル材に板の支治具を高さ調節可能に取り付け、この板支持具に仕切板の下部を固着するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3914315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、フリーアクセスフロアの床下空間を仕切板により仕切ることができるが、仕切板を取付けるための構造が複雑であり、例えばデータセンタなどIT機器を収めたラックが頻繁に増減されたり、位置変更が行われたりするような場合に、これらラックの増減や位置変更に対して簡単、迅速に仕切板の設置位置を変更し、床下を流れる例えば冷却風のようなエアの流れ方向を容易に変更することができなかった。このため、熱溜まり(IT機器の吸気面など本来低温であるべき領域に高温部が現れる現象)などシステムを不安定にする熱問題が生じやすくなるとともに、データセンタの稼働初期などでラックのない(冷却不要)床下エリアにも冷気が拡散する結果となるような場合は、余分な空調電力を使用することとなる。かかる消費電力の削減のため、床下空間の冷却風の流れを容易に変更可能とする技術の開発は、IT化にともなうデータセンタの大規模化において、消費電力の削減を図り、二酸化炭素の排出量を削減しようとする現今においては、顕著な問題となっている。
【0005】
この出願に開示された技術は上述した問題点を解決するためになされたものであり、床下空間のエアの流れを容易に変更することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、フリーアクセスフロアは、基礎床上に空間を介して複数のフリーアクセスパネルを配設して形成されるフリーアクセスフロアであって、前記複数のフリーアクセスパネルのうちのいずれか一つ又はいずれか複数のフリーアクセスパネルのそれぞれにはスリットが設けられ、該スリットに、前記空間を流れるエアの流れ方向を定める仕切板が、前記フリーアクセスパネルの面から垂下するように且つ挿脱可能に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
床下空間のエアの流れを容易に変更することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】フリーアクセスフロアの一部を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線矢視断面図である。
【図3】フリーアクセスパネルに仕切板を使用した状態を示す断面側面図である。
【図4】フリーアクセスパネルに仕切板を使用しない状態を示す断面側面図である。
【図5】フリーアクセスパネルに仕切板を複数使用する場合の例を示す平面図である。
【図6】フレキシブルな仕切板を示す断面図である。
【図7】フレキシブルな仕切板を使用した状態を示す断面図である。
【図8】フレキシブルな仕切板の支持部への固定方法を示す図である。
【図9】フレキシブルな仕切板の支持部への固定方法の他の一例を示す図である。
【図10】冷却風の流路を形成したフリーアクセスフロアの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態におけるフリーアクセスフロアは、サーバなどを構成して格納するラックの増減、あるいは配置換えが頻繁に行われる、データセンタの床などに適用することができる。
【0010】
図1はフリーアクセスフロアの一部を示す平面図、図2は図1のII−II線矢視断面図である。図1、図2において、フリーアクセスフロア1は複数のフリーアクセスパネル1aを平面状に並べてフロアを構成するように配設されている。フリーアクセスフロア1は、基礎床2上に立設された複数の支柱3により支持され、フリーアクセスフロア1と基礎床2との間には空間が形成されている。
【0011】
本例では、各フリーアクセスパネル1aは長方形状をなし、各支柱3は4つのフリーアクセスパネル1aの頂部が接する位置を支持している。これにより、各支柱3は、各フリーアクセスパネル1aの頂部を各支柱3の支持面の略中心とする位置で支持している。
【0012】
そして、複数のフリーアクセスパネル1aのうちの一部のフリーアクセスパネルには、スリット5が設けられている。このスリット5は、複数のフリーアクセスパネル1aのうちのいずれか一つ又はいずれか複数のフリーアクセスパネル1aのそれぞれに設けられている。
【0013】
そして、これらスリット5のうち、所定のスリット5には、図3に示すように、基礎床2とフリーアクセスフロア1との間に形成される空間を流れるエアの流れ方向を定める仕切板6が挿入される。この仕切板6は、フリーアクセスパネル1aの面から垂下するように且つ挿脱可能に設けられる。
【0014】
以上の構成において、上述したスリット5は、それが設けられるフリーアクセスパネル1aにおいて、各フリーアクセスパネル1aを基礎床2上に支持する支柱3間に設けられ、仕切板6が挿入された場合、支柱3と仕切板6とで、フリーアクセスパネル1aの一方側を空間的に仕切ることが可能となる。
【0015】
なお、仕切板6が挿入されないスリット5については、図4に示されるように塞ぎ板7が嵌合されてスリット5を塞ぐ構成となっている。すなわち、各スリット5には、フリーアクセスパネル1aの上面側に段部5aが設けられ、この段部5aに塞ぎ板7を嵌合してフリーアクセスパネル1aの面、すなわちフリーアクセスフロア1の面を面一に維持してスリット5を塞いでいる。また、仕切板6を使用する場合は、仕切板6の上縁に設けられた支持部6aを段部5aに係止して仕切板6が支持される。
【0016】
図4に示される仕切板6は例えば木材、プラスチックなどの板状部材が用いられ、支持部6aとともに一体形成されている。
【0017】
なお、図1では、一つのフリーアクセスパネル1aに一つのスリット5が設けられている場合について説明したが、図5の(a)(b)(c)に示すように、一つのフリーアクセスパネル1aに複数のスリット5を設けて、それぞれに仕切板6を挿入するようにしてもよい。図5の場合、複数のスリット5は長方形状をなすフリーアクセスパネル1aの各辺に沿うように、互いに直交するように、あるいは平行になるよう設けられている。
【0018】
ここで、仕切板の他の構成について説明する。図3に示した仕切板6は板状部材にて構成したが、図6に示すように、フレキシブルな部材により仕切板16を構成することもできる。図6に示される仕切板16は、支持部16aにパネル下の空間を塞ぐに十分な大きさ並びに形状を有する柔軟な生地などによる仕切部16bを取り付け、その下縁に複数の重り16cを取り付けることにより構成される。この生地には、例えばナイロン、ポリエステルなどの化繊の生地や、塩化ビニルシートなどを用いることができる。また、重り16cには、鉄などの金属材料やプラスチック樹脂材料を用いることができる。
【0019】
このように仕切板16をフレキシブルとすることにより、例えば、図7(a)に示すように、基礎床2上に障害物9があった場合には、フリーアクセスフロア1から仕切板16の上端部(支持部16a)が突出することなく、仕切板16の垂下量(仕切部16bの高さ方向の長さ)を調整することが可能となり、容易に床下空間を仕切ることが可能となる。また、図7(b)に示すように、基礎床2が高くなる場合も同様である。
【0020】
なお、仕切板をフレキシブル部材により構成する場合、支持部に対して仕切板の取付け方法は、図8に示すように、仕切部16bを構成するフレキシブル部材16dの上縁を粘着剤や接着剤で貼着したり、図9に示すように、フレキシブル部材16dの上縁を鋲やピンやネジ11等で機械的に固定することができる。
【0021】
図10は、実施の形態のフリーアクセスフロア1の一例を示している。仕切板6(又は16)が設けられた複数のフリーアクセスパネル1aを組み合わせて、床下に冷却風の流路Rが形成されている。すなわち、空調機20から噴出された冷却風は、仕切板で仕切られて形成された流路のみに効率的に流されることとなり、他の冷却不要な場所には流れず、空調に要する消費電力の削減が図れるとともに、その流路はフリーアクセスパネルのスリットに対して、仕切板の使用、不使用、あるいはフリーアクセスパネルのスリット方向を適宜選択することにより、容易に変更可能となる。
【0022】
これにより、実施の形態によれば、例えば、データセンタの稼働初期では冷却不要なエリアへの冷気を容易に遮断できるので空調機の電力コスト低減が可能となる。また、空調シミュレーションのモデル化時に切り出した解析エリアに容易に合せることができるので、解析精度が向上する。さらに、ラック装置や空調機などが設置された状態で、フリーアクセスフロアの上から容易に作業ができ、且つ風の流れ方向を変えることが容易に可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1 フリーアクセスフロア、1a フリーアクセスパネル、2 基礎床、5 スリット、6,16 仕切板、R 流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床上に空間を介して複数のフリーアクセスパネルを配設して形成されるフリーアクセスフロアであって、
前記複数のフリーアクセスパネルのうちのいずれか一つ又はいずれか複数のフリーアクセスパネルのそれぞれにはスリットが設けられ、
該スリットに、前記空間を流れるエアの流れ方向を定める仕切板が、前記フリーアクセスパネルの面から垂下するように且つ挿脱可能に設けられることを特徴とするフリーアクセスフロア。
【請求項2】
前記仕切板は、前記フリーアクセスパネルを前記基礎床上に支持する支柱間に設けられることを特徴とする請求項1記載のフリーアクセスフロア。
【請求項3】
前記スリットは一つの前記フリーアクセスパネルに複数設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフリーアクセスフロア。
【請求項4】
前記仕切り板はフレキシブルな材料で設けられ、且つ下端に重りが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のフリーアクセスフロア。
【請求項5】
フリーアクセスフロアとそれが支持される基礎床との間に形成される空間を仕切るフリーアクセスフロアの床下空間の仕切方法であって、
前記フリーアクセスフロアを構成する複数のフリーアクセスパネルのうちのいずれか一つ又はいずれか複数のそれぞれにスリットを設け、
該スリットに、仕切板を挿脱可能に挿入して、前記フリーアクセスパネルの面から垂下させ、前記空間を流れるエアの流れ方向を定めるようにしたことを特徴とするフリーアクセスフロアの床下空間の仕切方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−47240(P2011−47240A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198545(P2009−198545)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】