説明

フルオレノン誘導体による眼の病態の治療

網膜剥離および加齢黄斑変性等の眼の病態の治療のための組成物および方法が提供される。本明細書において記述された様々なフルオレノン誘導体は、網膜下腔からの液体除去を刺激し、反応性神経膠症をダウンレギュレートすることができる。本明細書において記述された化合物の投与は、網膜を再接着させる侵襲性手技の代替物または補助剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年11月12日に出願された米国仮出願第61/260,439号;および2010年8月31日に出願された米国仮出願第61/378,624号の利益を主張し;その全ての全体は参照として本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし。
【0003】
参照として援用された材料
該当なし。
【0004】
(技術分野)
本発明は、概して眼の病態(ophthalmic condition)の治療に関する。
【背景技術】
【0005】
網膜剥離は、一生涯の間で300人の患者のうちおよそ1人を失明させる可能性のある病態である。網膜剥離とは解剖学的には網膜色素上皮(RPE)からの神経網膜の分離および網膜下腔中の液体の蓄積を表わす。加えて、網膜剥離は網膜における深刻な反応性神経膠症により特徴づけられる。
【0006】
裂孔原性および非裂孔原性の2つの一般的クラスの網膜剥離がある。病因が異なるので、2つの主なクラス(裂孔原性vs非裂孔原性)の従来の治療は異なる。
【0007】
裂孔原性(より一般的)において、網膜下腔の中への液体/硝子体液の漏出をもたらす網膜の破壊または断裂がある。これは、外傷、後部硝子体剥離(PVD)または高度近視の症例および従来の白内障手術において典型的に見られる。非外傷性裂孔原性網膜剥離の発生率は一般集団において1:10,000である。これは非裂孔原性網膜剥離または滲出性網膜剥離と比較して、より一般的な形態である。裂孔原性RDのための医療の現在の基準は、断裂を修復し、網膜を再接着させる、気体網膜復位、強膜バックリング技法または硝子体切除術による外科的介入である。合併症を伴わない症例のための外科手術は継続時間で最大1.5時間であり、>90%の解剖学的成功率および60〜95%の全体的な成功率である。にもかかわらず、外科手術後でもなお、患者の40%は読字能力が得られず、10〜40%は別の手技を必要とするだろう。外科手術の合併症は、疼痛、出血感染、バックル突出および水晶体外傷、白内障進行および増殖性硝子体網膜症(PVR)を含み、概して患者の5%未満で生じる。外科手術(強膜バックリングまたは硝子体切除術)の費用は$1400〜$2500の範囲にもなる。外科手術の再接着の高度な手技は費用がかかり、三次医療センターでのみ行なわれるので利用しにくい。
【0008】
非裂孔原性網膜剥離の症例において、タンパク性滲出液は、剥離したRPEと神経網膜との間の空間に漏出する。これは炎症性病態(例えば網脈絡膜症)または脈絡膜腫瘍において典型的に見られ、血液網膜関門の崩壊または網膜下腔における異常な液体の流れを引き起こし得る。通常は、修復すべき孔または断裂がないので、非裂孔原性網膜剥離については外科手術は治療法の主力ではない。滲出液に起因する非裂孔原性網膜剥離については、滲出性の液体の根本原因(例えば炎症、糖尿病性網膜症、腫瘍)を治療して滲出プロセスを除去すべきである。時には、温熱療法または凍結療法および硝子体内ステロイドを使用して、網膜を再接着させ、神経膠症、浮腫または炎症を予防する。
【0009】
気体網膜復位の間の気体の硝子体内注射は網膜剥離について使用されているが、硝子体内注射を介して網膜剥離を治療するFDA認可薬物はない。硝子体内注射は、局所麻酔または局部麻酔下で行える、短時間の診療所レベルの手技である。合併症は疼痛、網膜下出血、結膜下出血または眼圧の一時的上昇を含み得る。
【0010】
加齢黄斑変性(AMD)は先進国における失明の主要原因である。AMDのうちで最もよく見られる萎縮(ドライ)型のための効果的な治療はない。萎縮型AMDは、光受容細胞の下に位置して通常は光感知細胞に重要な代謝支援を提供する網膜色素上皮(RPE)における異常が引き金となって起きると考えられる。RPE機能不全に続発して、視力の不可逆的損失をもたらす黄斑の桿体および錐体の変性が起こる。酸化ストレス、ドルーゼンの形成およびリポフスチンの蓄積および局部炎症および反応性神経膠症は、萎縮型AMDの発病に関係する病理学的プロセスを示すと考えられる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の様々な態様の中には、眼の病態の治療のための組成物および方法の供与がある。
【0012】
一態様は、眼の病態を治療する方法を提供する。フルオレノン誘導体の効果的な量を含む医薬組成物を、それを必要とする被験体に対して投与する。いくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は、式(1)
【化1】

式(1)
の化合物である。
【0013】
式(1)において、Xは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルキル;置換された低級アルキル;およびより低級シクロアルキルからなる群から選択され;Rは、置換されたアルキル基であって、該置換基が、アリールおよび置換されたアリール;ならびに該アルキル基が複素環の炭素原子に付加されており、0または1個の窒素原子および少なくとも1個の二重結合を有する置換または非置換複素環からなる群から選択される、置換されたアルキル基であり;Y1およびY2は、ハロゲン、水素およびメチルからなる群から独立して選択される。
【0014】
いくつかの実施形態において、眼の病態は、網膜剥離または加齢黄斑変性(AMD)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、眼の病態は網膜剥離である。いくつかの実施形態において、眼の病態はAMDである。いくつかの実施形態において、眼の病態は萎縮型(ドライ型)AMDまたは血管新生型(ウェット型)AMDである。いくつかの実施形態において、眼の病態は萎縮型(ドライ型)AMDである。いくつかの実施形態において、眼の病態は血管新生型(ウェット型)AMDである。
【0015】
いくつかの実施形態において、Xは、プロピル、ヒドロキシエチル、ハロエチル、および6個未満の炭素を有するシクロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Rは複素環式アルキル基である。いくつかの実施形態において、Rはオキサジニル−アルキル基である。いくつかの実施形態において、化合物は、2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}−テトラヒドロ−1,3−オキサジン;2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}オキサゾリン;2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}チアゾリン;およびそのエナンチオマー;およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、Rはピリジル−アルキル基である。いくつかの実施形態において、化合物は、5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(2−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(3−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(4−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;およびそのエナンチオマー;およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、Rは複素環式アラルキル基である。いくつかの実施形態において、化合物は、5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[4−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[3−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[2−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;および該当する場合そのエナンチオマー;およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態において、Xはプロピル基であり;Rはカルボキシメチルであり;Y1およびY2はコリン(chorine)である。いくつかの実施形態において、化合物は、[(R)−(+)−(5,6−ジクロロ2,3,9,9a−テトラヒドロ3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]酢酸(DPOFA)であり、以下の構造
【化2】

DPOFA
を有する。
【0019】
いくつかの実施形態において、化合物はプロドラッグである。
【0020】
いくつかの実施形態において、被験体は哺乳類である。いくつかの実施形態において、被験体は、ヒト、サル、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、マウス、ラット、モルモット、およびニワトリからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、組成物は眼に投与される。いくつかの実施形態において、投与は強膜下投与、テノン嚢下投与、結膜下投与、硝子体内投与、または局所投与を含む。いくつかの実施形態において、投与は硝子体内注射を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、組成物は、眼用色素、眼用麻酔薬、眼用散瞳薬、眼用毛様体筋麻痺性散瞳薬、眼用抗コリン作用薬、および眼用抗炎症剤、眼用コルチコステロイド、眼用人工涙液または潤滑剤、眼用抗生物質、眼用抗真菌剤、眼用抗ウイルス剤、眼用エピネフリン、眼用β遮断薬、眼用外科手術補助剤、眼用眼内洗浄剤、および眼用粘弾性剤からなる群から選択される眼用薬剤をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、眼用薬剤は、Acular(ケトロラクトロメタミン)、AK−Con−A(眼用ナファゾリン)、Akten(塩酸リドカイン)、Alamast、Alphagan(ブリモニジン)、Alrex、Avastin(ベバシズマブ)、アトロピン、AzaSite(アジスロマイシン)、Azopt、バシトラシン、Betadine、ベタキソロール、Betaxon、Betoptic、ブリンゾラミド、BSS、カルバコール、セファゾリン、Celluvisc、クロラムフェニコール、Ciloxan、シプロフロキサシン、Cosopt、デメカリウム、デヌホゾール四ナトリウム、デキサメタゾン、ジピベフリン、ドルゾラミド、Durezol(ジフルプレドナート)、エピネフリン、フルオレセイン、フルルビプロフェン、ゲンタマイシン、Goniosol、グラミシジン、Humorsol、Hylartin、高張性NaCl、Indocycanineグリーン、イトラコナゾール、ラタノプロスト、Lotemax、Lucentis(ラニビズマブ)、Lumigan(ビマトプロスト点眼剤)、Macugen(ペガプタニブ)、マンニトール、メタゾラミド、ミコナゾール、Miostat、Muro 128、ネオマイシン、Neptazane、Ocuflox、OcuHist、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、パロミド529、フェニレフリン、フィソスチミン、ピロカルピン、プラスミン酵素、ポリミキシンB、プレドニゾロン、プロパラカイン、プロピン、Puralube、Quixin(レボフロキサシン)、Rescula(イソプロピルウノプロストン点眼剤)、Restasis(サイクロスポリン乳化点眼剤)、ローズベンガル、ヒアルロン酸ナトリウム、スプロフェン、テラマイシン、チモロール、トブラマイシン、トリアムシノロン、トリフルリジン、トロピカミド、Trusopt、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、ビダラビン、Vira−A、Viroptic、Vistide(シドフォビル注射)、Visudyne(注射用ベルテポルフィン)、Vitrase(ヒアルロニダーゼ)、Vitrasertインプラント、Vitravene注射、Xalatan、およびZaditorからなる群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は薬学的に許容されるキャリアーまたは賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物はシリコン油を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、方法は眼の病態の症状についての被験体のモニタリングをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は網膜剥離の徴候または手技の副作用についての被験体のモニタリングをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、網膜再剥離、出血、感染、バックル突出、水晶体外傷、白内障進行および、増殖性硝子体網膜症のうちの1つまたは複数についての被験体のモニタリングをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法はAMDの症状についての被験体のモニタリングをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、ドルーゼン、色素変質、滲出変化、萎縮、視力減少、優先的超高感度視野測定変化(preferential hyperacuity perimetry changes)、視力障害、中心暗点、変形視症、色識別の困難、明るい光への曝露後の視覚機能回復の遅れ、またはコントラスト感度の消失のうちの1つまたは複数についての被験体のモニタリングをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法は組成物の再投与を含む。いくつかの実施形態において、方法は被験体のモニタリング結果に従う組成物の再投与を含む。
【0027】
一態様は、フルオレノン誘導体、眼用薬剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は式(1)の化合物である。
【化3】

式(1)
【0029】
式(1)によれば、Xは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルキル;置換された低級アルキル;および低級シクロアルキルからなる群から選択され;Rは、置換基が、アリールおよび置換されたアリール;ならびにアルキル基が複素環の炭素原子に付加されており、0または1個の窒素原子および少なくとも1つの二重結合を有する置換または非置換複素環からなる群から選択される、置換されたアルキル基であり;Y1およびY2は、ハロゲン、水素およびメチルからなる群から独立して選択される。医薬組成物のいくつかの実施形態において、式(1)の置換基は上で検討されたもののいずれかであり得る。
医薬組成物のいくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は、[(R)−(+)−(5,6−ジクロロ2,3,9,9a−テトラヒドロ3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]酢酸(DPOFA)であり、以下の構造
【化4】

DPOFA
を有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、眼用薬剤は、眼用色素、および眼用麻酔薬、眼用散瞳薬、眼用毛様体筋麻痺性散瞳薬、眼用抗コリン作用薬、および眼用抗炎症剤、眼用コルチコステロイド、眼用人工涙液または潤滑剤、眼用抗生物質、眼用抗真菌剤、眼用抗ウイルス剤、眼用エピネフリン、眼用β遮断薬、眼用外科手術補助剤、眼用眼内洗浄剤、または眼用粘弾性薬剤である。
【0031】
いくつかの実施形態において、眼用薬剤は、Acular(ケトロラクトロメタミン)、AK−Con−A(眼用ナファゾリン)、Akten(塩酸リドカイン)、Alamast、Alphagan(ブリモニジン)、Alrex、アトロピン、Avastin(ベバシズマブ)、AzaSite(アジスロマイシン)、Azopt、バシトラシン、Betadine、ベタキソロール、Betaxon、Betoptic、ブリンゾラミド、BSS、カルバコール、セファゾリン、Celluvisc、クロラムフェニコール、Ciloxan、シプロフロキサシン、Cosopt、デメカリウム、デヌホゾール四ナトリウム、デキサメタゾン、ジピベフリン、ドルゾラミド、Durezol(ジフルプレドナート)、エピネフリン、フルオレセイン、フルルビプロフェン、ゲンタマイシン、Goniosol、グラミシジン、Humorsol、Hylartin、高張性NaCl、
Indocycanineグリーン、イトラコナゾール、ラタノプロスト、Lotemax、Lucentis(ラニビズマブ)、Lumigan(ビマトプロスト点眼剤)、Macugen(ペガプタニブ)、マンニトール、メタゾラミド、ミコナゾール、Miostat、Muro 128、ネオマイシン、Neptazane、Ocuflox、OcuHist、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、パロミド529、フェニレフリン、フィソスチミン、ピロカルピン、プラスミン酵素、ポリミキシンB、プレドニゾロン、プロパラカイン、プロピン、Puralube、Quixin(レボフロキサシン)、Rescula(イソプロピルウノプロストン点眼剤)、Restasis(サイクロスポリン乳化点眼剤)、ローズベンガル、ヒアルロン酸ナトリウム、スプロフェン、テラマイシン、チモロール、トブラマイシン、トリアムシノロン、トリフルリジン、トロピカミド、Trusopt、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、ビダラビン、Vira−A、Viroptic、Vistide(シドフォビル注射)、Visudyne(注射用ベルテポルフィン)、Vitrase(ヒアルロニダーゼ)、Vitrasertインプラント、Vitravene注射、Xalatan、およびZaditorからなる群から選択される。
【0032】
他の目的および特徴は一部明らかになり、以下で一部指摘されるだろう。
【0033】
当業者は、下記に述べられた図面が説明の目的のためにのみであることを理解するだろう。図面は、本教示の範囲をいかなる方法でも限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】6μM、20μMおよび60μMのDPOFAによる処理の前、処理中および処理後のウシRPE−脈絡膜を使用する第1の実験において、時間(分)の関数として基底側キャピラリー(マイクロリットル)のメニスカス位置の増加を示す線および散布図である。さらに詳しい方法論の情報は実施例1に従う。
【図2】6μM、20μMおよび60μMのDPOFAによる処理の前、処理中および処理後のウシRPE−脈絡膜を使用する第2の実験において、時間(分)の関数として基底側キャピラリー(マイクロリットル)のメニスカス位置の増加を示す線および散布図である。さらに詳しい方法論の情報は実施例1に従う。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書において記述したものは、網膜剥離および加齢黄斑変性(AMD)等の眼の病態の治療のための組成物および方法を含む。様々な態様は、フルオレノン誘導体[(R)−(+)−(5,6−ジクロロ2,3,9,9a−テトラヒドロ3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]酢酸(DPOFA)が網膜色素上皮を横切って水分除去を効果的に刺激できるという開示に、少なくとも部分的に基づく。
【0036】
眼の病態の治療のために本明細書において記述した薬理化合物およびプロトコルのいくつかの実施形態は、2つの別個の活性(網膜下腔からの液体除去の刺激および反応性神経膠症のダウンレギュレーション)を組み合わせることができる。網膜剥離のための標準療法が外科手術であることを考慮すると、本明細書において記述した方法は、網膜を再接着させる侵襲性手技の代替物または補助剤を提供することができる。一般的な眼科医は、本明細書において記述した様々な薬理学的治療を与えることができ、これらの治療を広く利用可能にする。
フルオレノン誘導体
【0037】
フルオレノン誘導体は、網膜剥離およびAMD等の眼の病態の治療のために使用することができる。いくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は広い特異性のある低分子Cl-/HCO3-アンチポーター阻害剤である。いくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は、網膜下腔からの液体除去を刺激することができる。いくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は反応性神経膠症をダウンレギュレートすることができる。いくつかの実施形態において、フルオレノン誘導体は、網膜下腔からの液体除去を刺激し、反応性神経膠症をダウンレギュレートすることができる。
【化5】

フルオレノン
【0038】
本明細書において記述した組成物および方法で使用される例示的なフルオレノン誘導体は、US6,251,898;WO2001/014334;US4,316,043;US4,317,922;US4,337,354;US4,356,313;US4,356,314;US4,604,396;US4,675,341;US4,731,471;US4,731,472;4,782,073;US4,797,391;US4,835,313;US4,605,760;US4,605,761;US4,731,470;US4,769,370;およびUS4,777,281(各々の全体は参照として本明細書に援用される)に記載される化合物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書において記述した組成物および方法で使用されるフルオレノン誘導体はUS6,251,898(その全体は参照として本明細書に援用される)に記載されるものである。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書において記述した組成物および方法で使用されるフルオレノン誘導体は、R−(+)−(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−ヒドロキシ−9a−ヒドロカルビル−1H−フルオレン−3−オン化合物のアナログ(例えばエーテルアナログまたはエステルアナログ)であり、式(1)
【化6】

式(1)
の一般的化学構造を有し、
【0040】
式中、R、X、およびY1およびY2は、Xは低級アルキル、置換されたアルキルまたはシクロアルキル基であり得、Rはエーテル、エステルまたはアミド基であり得、Y1およびY2は独立してハロゲン、水素またはメチルであり得る。より具体的には、上記の式によれば、RおよびX、およびY1およびY2はUS6,251,898(その全体は参照として本明細書に援用される)中で定義された通りであり得る。
【0041】
一実施形態において、フルオレノン誘導体は、[(R)−(+)−(5,6−ジクロロ2,3,9,9a−テトラヒドロ3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]酢酸(DPOFA)である。上記の一般式によれば、DPOFAは、「X」としてR(+)配向で9a−位に付加されたプロピル基;「R」基として7−炭素原子に付加されたカルボキシメチル基を有し;Y1およびY2はコリンである。DPOFAの具体的構造は以下の通りである。
【化7】

DPOFA
【0042】
DPOFAはL−644711としても公知である。DPOFAは、外傷誘導性脳浮腫の臨床試験においてヒトに全身的に投与された。DPOFAは反応性神経膠症を抑制し、液体除去を促進することができ、それによって網膜剥離およびAMD等の眼の病態についての効果的な治療を提供する。
【0043】
DPOFAが神経膠細胞腫大および中枢神経系における反応性神経膠症の効果的な阻害剤であることが、報告されている。本明細書において示されるように、生体外の組織培養モデルにおいて、DPOFAは網膜色素上皮(RPE)を横切って効果的に水分除去を刺激する。したがって、DPOFAおよび他の類似化合物は、網膜剥離の間に網膜下腔から脈絡膜循環へ効果的に液体を除去することができる。さらに、例えばミュラー細胞における神経膠症のダウンレギュレーションは、AMDを有するか、またはそのリスクがある被験体における光受容体の生存を増加させることができる。
【0044】
DPOFAは局所的な眼用使用のために製剤化することができる。
【0045】
本明細書において記述した組成物および方法中に含むことができるさらなる例示的なフルオレノン誘導体は、以下のものを含む。
【0046】
2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}−テトラヒドロ−1,3−オキサジン;
【0047】
2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}オキサゾリン;
【0048】
2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}チアゾリン;
【0049】
5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(2−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;
【0050】
5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(3−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;
【0051】
5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(4−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;
【0052】
5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[4−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;
【0053】
5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[3−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;
【0054】
5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[2−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;
【0055】
そのエナンチオマー;および
【0056】
その薬学的に許容される塩。
【0057】
本明細書において記述した化合物は、プロドラッグとして投与することができる。
製剤
【0058】
本明細書において記述した薬剤および組成物は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(Gennaro編)、第21版、ISBN 0781746736(2005);Ophthalmic Drug Delivery Systems(Mitra編)、第2版、ISBN10 0824741242(2003);Intraocular Drug Delivery(Jaffe編)ISBN10 0824728602 (2006)(各々の全体は参照として本明細書に援用される)中に記載されているような1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を使用して、任意の従来の方式によって製剤化することができる。かかる製剤は、被験体に対する適切な投与のための形態を提供するように、好適な量の担体と共に、好ましくは精製形態で本明細書において記載された生物学的に活性のある薬剤の治療法上効果的な量を含むだろう。
【0059】
製剤は投与の様式に適合するべきである。本発明で有用な薬剤は、非経口、肺、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、眼、頬腔、および直腸への投与含むが、これらに限定されない複数の経路を使用して、被験体に対する投与について公知の方法によって製剤化することができる。様々な実施形態において、本明細書において記述した薬剤は、眼の投与のために製剤化される。個々の薬剤は、1つまたは複数の追加薬剤と組み合わせて、または他の生物学的に活性のある薬剤または生物学的に不活性な薬剤と共に投与することもできる。かかる生物学的に活性のある薬剤もしくは生物学的に不活性な薬剤は、薬剤(複数可)と、液体でもしくは機構的に連通し得るか、またはイオン力、共有結合力、ファンデルワールス力、疎水性力、親水性力もしくは他の物理的力によって薬剤(複数可)に対して付加され得る。
【0060】
制御放出性(または持続放出性)調製物は、薬剤(複数)の活性を延長し、投薬頻度を減少させるように製剤化することができる。制御放出性調製物は、作用開始の時間または薬剤の血液レベルおよび網膜レベル等の他の特徴の達成に使用することができ、したがって副作用の出現に影響を与えることができる。制御放出性調製物は、所望の治療法上の効果をもたらす薬剤(複数可)の量を最初に放出し、そして延長された期間にわたり治療法上の効果のレベルを維持するために連続的に他の量の薬剤を放出するようにデザインすることができる。身体中でほぼ一定のレベルの薬剤を維持するために、薬剤は、身体から代謝または排泄される薬剤量を補充する率で投薬形態から放出することができる。薬剤の制御放出は、様々な誘発因子(例えばpH変化、温度変化、酵素、水分、または他の生理学的条件もしくは分子)によって刺激することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、医薬製剤はヒアルロン酸を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、医薬製剤はシリコン油を含む。シリコン油は網膜剥離の治療において慣習的に使用され、この時油は目の中へ注射され、再接着するまで網膜を適所に機械的に保持する。
【0063】
さらに以下に記述されるように、本明細書において記述した化合物は、他の治療法上の形式と組み合わせても使用することができる。したがって本明細書において記述した治療法に加えて、疾患、障害または病態の治療に効果的であることが公知の他の治療法を被験体に対して提供することもできる。
【0064】
本明細書において記述した化合物は、点眼薬と共に製剤化または投与することができる。点眼薬は、Ophthalmic Drug Facts、第21版、Bartlett編、Lippincott Williams & Wilkins、2009年、ISBN10 1574393138中でリストされたものを含むが、これらに限定されない。本明細書において記述した化合物と共に製剤化または投与することができる点眼薬の例は、色素、局所麻酔剤、散瞳薬、毛様体筋麻痺性散瞳薬、抗コリン作用薬、抗炎症剤、コルチコステロイド、NSAIDS、人工涙液または潤滑剤(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白色ペトロラタム、鉱物油、ラノリン)、抗感染薬、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、エピネフリン、β遮断薬、外科手術補助剤、眼内洗浄剤、および粘弾性薬剤を含むが、これらに限定されない。
【0065】
例えば、本明細書において記述した化合物と共に製剤化または投与することができる点眼薬は、Acular(ケトロラクトロメタミン)、AK−Con−A(眼用ナファゾリン)、Akten(塩酸リドカイン)、Alamast、Alphagan(ブリモニジン)、Alrex、アトロピン、Avastin(ベバシズマブ)、AzaSite(アジスロマイシン)、Azopt、バシトラシン、Betadine、ベタキソロール、Betaxon、Betoptic、ブリンゾラミド、BSS、カルバコール、セファゾリン、Celluvisc、クロラムフェニコール、Ciloxan、シプロフロキサシン、Cosopt、デメカリウム、デヌホゾール四ナトリウム、デキサメタゾン、ジピベフリン、ドルゾラミド、Durezol(ジフルプレドナート)、エピネフリン、フルオレセイン、フルルビプロフェン、ゲンタマイシン、Goniosol、グラミシジン、Humorsol、Hylartin、高張性NaCl、Indocycanineグリーン、イトラコナゾール、ラタノプロスト、Lotemax、Lucentis(ラニビズマブ)、Lumigan(ビマトプロスト点眼剤)、Macugen(ペガプタニブ)、マンニトール、メタゾラミド、ミコナゾール、Miostat、Muro 128、ネオマイシン、Neptazane、Ocuflox、OcuHist、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、パロミド529、フェニレフリン、フィソスチミン、ピロカルピン、プラスミン酵素、ポリミキシンB、プレドニゾロン、プロパラカイン、プロピン、Puralube、Quixin(レボフロキサシン)、Rescula(イソプロピルウノプロストン点眼剤)、Restasis(サイクロスポリン乳化点眼剤)、ローズベンガル、ヒアルロン酸ナトリウム、スプロフェン、テラマイシン、チモロール、トブラマイシン、トリアムシノロン、トリフルリジン、トロピカミド、Trusopt、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、ビダラビン、Vira−A、Viroptic、Vistide(シドフォビル注射)、Visudyne(注射のためのベルテポルフィン)、Vitrase(ヒアルロニダーゼ)、Vitrasertインプラント、Vitravene注射、Xalatan、およびZaditorから選択することができる。
治療法上の方法
【0066】
さらに、必要とする被験体における網膜剥離およびAMD、または関連する病態等の眼の病態を治療するプロセスが提供される。本明細書において記述した化合物の治療法上効果的な量は、反応性神経膠症の抑制もしくは液体除去の促進または両者によって眼の病態を治療するように、被験体に対して投与することができる。本明細書において記述した治療法は、外科手術の必要性を減少させるか、外科合併症率を減少させるか、または外科手術の反復の必要性を減少させることができる。網膜剥離のための標準療法が外科手術であることを考慮すると、本明細書において記述した方法は、網膜を再接着させる侵襲性手技の代替物または補助剤を提供することができる。
【0067】
本明細書において記述した方法は、概してそれを必要とする被験体に対して行なわれる。本明細書において記述した治療法上の方法を必要とする被験体は、網膜剥離またはAMD等の眼の病態または関連する病態と診断され得るか、またはそのリスクがあり得る。
【0068】
例えば、必要とする被験体は網膜剥離と診断され得る。別の例としては、被験体は後部硝子体剥離の病徴に罹患し得る。別の例としては、必要とする被験体は白内障手術等の網膜剥離の発生率を増加させることが公知の手技を受け得る。網膜剥離に関連する病態の例は、網膜分離症ならびに化学火傷または熱傷および頭部外傷(例えば戦傷)に起因する網膜障害を含むが、これらに限定されない。
【0069】
例えば、必要とする被験体はAMDと診断され得る。別の例としては、被験体はAMDのリスクがあると診断され得る。AMDのリスクがある人は、例えば、AMDの家族歴、AMDと関連する遺伝子突然変異(例えば、補体系タンパク質のH因子、B因子または第3因子の遺伝子中の変異;ATP合成酵素遺伝子中の変異;ABDトランスポーター遺伝子中の変異、補体タンパク質C3のArg80Glyバリアント、常染色体優性のファイブリン−5変異)、異常なドルーゼン沈着物、高血圧症、コレステロール増加、肥満、高脂肪摂取、酸化ストレス、コーカサス人種、光曝露(例えば青色光曝露)、および喫煙のうちの1つまたは複数を有する可能性がある。
【0070】
本明細書において記述された化合物の効果的な量は、反応性神経膠症を抑制することができる。本明細書において記述された化合物の効果的な量は、網膜からの液体除去を促進することができる。本明細書において記述された化合物の効果的な量は反応性神経膠症を抑制し、網膜からの液体除去を促進することができる。
【0071】
裂孔原性網膜剥離の症例において、欠陥または断裂が網膜中に存在し得る。裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述した化合物の投与は、網膜剥離の自発性な非外科的治癒を支援または加速することができる。裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述した化合物の投与は、外科的整復を行なうことができる(限定された)時間ウィンドウを拡大することができる。裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述した化合物の投与は、外科的整復手技の間に行うことができる。裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述された化合物の投与は、外科的整復手技の後に行うことができる。
【0072】
非裂孔原性網膜剥離の症例において、通常断裂または欠陥は網膜中に存在しない。非裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述した化合物の投与は、液体除去または神経膠症の予防をもたらすことができる。非裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述した化合物の投与は、潜在する全身疾患(糖尿病等)に対処する追加の時間を提供することができる。非裂孔原性網膜剥離と診断された被験体に対する本明細書において記述した化合物の投与は、網膜剥離の自発性の非外科手術治癒を支援または加速することができる。
【0073】
萎縮型(ドライ型)AMDの症例において、RPE異常は黄斑部における光受容体(例えば桿体および錐体)の2次変性をもたし得る(Petrukhin 2007 Expert Opin. Ther. Targets 11(5), 625-639を参照されたい)。RPE異常は萎縮型AMDにおける一次病巣を構成すると考えられるが、視力喪失をもたらし得るのは光受容細胞の機能不全および変性である。一部のAMD患者(約10〜20%)は、脈絡膜血管新生を発生する可能性があり、それは最も重症の視力喪失に関連する血管新生型(ウェット型)AMDとして公知の疾患の形態である。血管新生型(ウェット型)AMDにおいて、血管は網膜の裏側の脈絡膜から上昇して増殖し、それは網膜剥離を引き起こす場合がある。萎縮または血管新生に起因する光受容細胞の死は、AMD患者における視力喪失を説明することができる。少なくとも上述した理由のために、光受容体保護はAMD(例えばドライ型AMD)に効果的な治療法上の戦略を提供することができる。
【0074】
ミュラー細胞は光受容体生存を直接媒介すると考えられる(Zack 2000 Neuron 26(2), 285-286; Harada et al. 2000 Neuron 26(2), 533-541; Wahlin et al. 2000 Invest Ophthalmol Vis Sci 41(3), 927-936; Campochiaro et al. 2001 Exp Eye Res 73(5), 693-701を参照されたい)。反応性神経膠症の形態におけるミュラー細胞異常は、AMD(Guidry et al 2002 Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 43(1), 267-273; Lopez et al. 1996 Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 37(5), 855-868; Curcio et al. 1996 Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 37(7), 1236-1249; Madigan et al. 1994 Retina 14(1), 65-74を参照されたい)および色素性網膜炎(Fariss et al. Am J Ophthalmol 129(2), 215- 223)に罹患したヒト網膜に加えて、異なる形態の光受容体変性に罹患した動物網膜(RCSラット、Hartig et al. 1995 J Neurocytol 1995 24(7), 507-1711を参照;F344ラット、DiLoreto et al. 1995 Brain Res 698(1-2), 1-14を参照;アビシニアン猫、Ekstrom et al. 1988 Invest Ophthalmol Vis Sci 29(9), 1363-71を参照;光誘導性、Grosche et al. Neurosci Lett 185(2), 119-2214を参照;および網膜剥離誘導性、Lewis et al. 1995 Invest Ophthalmol Vis Sci 36(12), 2404-16(桿体変性)を参照されたい)において報告されている。さらに、反応性神経膠症のダウンレギュレーションは、CNSにおける神経保護に好結果であることが示されている(Jones et al. 1999 J Neurobiol 40(4), 560-573を参照されたい)。したがって、AMDにおける光受容体保護は、本明細書において記述した化合物の投与による神経膠症(例えばミュラー細胞における神経膠症)のダウンレギュレーションを介して達成することができる。
【0075】
治療の必要性の決定は、典型的には網膜剥離またはAMD等の眼の病態と合致する病歴および健康診断によって査定されるだろう。本明細書において記述した方法によって治療可能な様々な病態の診断は、当該技術分野の技能内である。被験体は、動物被験体、好ましくは哺乳類、より好ましくはウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、マウス、ラット、サル、モルモット、およびニワトリ、ならびに最も好ましくはヒトであり得る。
【0076】
本明細書において記述した方法によれば、投与は非経口、肺、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、眼、頬腔、または直腸への投与であり得る。様々な実施形態において、投与は眼へのものである。例えば、投与は強膜下、テノン嚢下、結膜下、硝子体内、局所であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書において記述した化合物は、硝子体内注射によって標的組織(例えば網膜)に送達することができる。硝子体内注射は点眼薬送達のための標準経路である。本明細書において記述した化合物の硝子体内注射は短時間の診療所手技に適応させることができ、同様に、同等に、またはそれ以上に効果的であるが、外科手術の可能性のある合併症を回避することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、網膜に対する徐放が所望される場合、遅延放出製剤(例えば乳酸−グリコール酸共重合体製剤)を投与することができる。
【0079】
本明細書において記述した治療において使用した場合、本明細書において記述した化合物の治療法上効果的な量は、純粋な形態、またはかかる形態が存在する場合には薬学的に許容される塩形態で、薬学的に許容される賦形剤の存在または非存在下で用いることができる。例えば、本発明の化合物は、反応性神経膠症の抑制または網膜からの液体除去の促進に十分な量において、任意の内科療法に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で投与することができる。
【0080】
単一投薬形態を製造するために薬学的に許容される担体と組み合わせることができる本明細書において記述した組成物の量は、治療された宿主および投与の特定の様式に依存して変動するだろう。必要な治療法上効果的な量が複数の個々の用量の投与によって達成できるので、各々の投薬形態の個々の用量に含まれる薬剤の単位内容物は、治療法上効果的な量を構成する必要はないことは、当業者によって認識されるだろう。
【0081】
本明細書において記述された組成物の毒性および治療法上の有効性は、LD50(集団の50%に対する致死用量)、およびED50(集団の50%における治療法上効果的な用量)の決定のために、細胞培養または実験動物において標準的医薬手技によって決定することができる。毒性と治療法上の効果の間の用量比は比LD50/ED50として表現できる治療法上の指標であり、高い治療法上の指標が好ましい。
【0082】
任意の特定の被験体のための特異的治療法上効果的な用量レベルは、治療されている障害および障害の重症度;用いられた特異的化合物の活性;用いられた特異的組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康、性別および食餌;投与の時間;投与経路;用いられた組成物の排泄率;治療の期間;用いられた特異的化合物と併用または同時に使用される薬物を含む様々な因子;および医学技術において周知の因子のようなもの(例えば、Koda-Kimble et al. (2004) Applied Therapeutics: The Clinical Use of Drugs、Lippincott Williams & Wilkins、ISBN 0781748453;Winter (2003) Basic Clinical Pharmacokinetics、第4版、Lippincott Williams & Wilkins、ISBN 0781741475;Sharqel (2004) Applied Biopharmaceutics & Pharmacokinetics、McGraw−Hill/Appleton & Lange、ISBN 0071375503を参照されたい)に依存するだろう。例えば、所望される治療法上の効果の達成に必要とされるものよりも低いレベルで組成物の用量を開始し、所望される効果が達成されるまで徐々に投薬量を増加させることは、当該技術分野の技術内で適切である。所望されるならば、効果的な用量は投与の目的のために複数用量へと分けることができる。したがって、単一用量組成物は、用量を構成するためにかかる量またはその約数を含んでいてもよい。しかしながら、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって本発明の化合物および組成物の合計の1日の使用量が決定されることは理解されるだろう。
【0083】
本明細書において記述した化合物の投与は、単回の事象または時間にわたる治療コースとして起こり得る。例えば、本明細書において記述した化合物は、毎日、毎週、2週毎、または毎月、投与することができる。急性の病態の治療のために、治療のタイムコースは通常少なくとも数日になるだろう。特定の病態のためには、治療は数日から数週間に延長することができる。例えば、治療は1週間、2週間または3週間にわたって延長することができる。より慢性的な病態のために、治療は、数週間から数か数か月または1年以上に及び得る。
【0084】
本明細書において記述した方法に沿った治療は、網膜剥離またはAMD等の眼の病態のための従来の治療形式の前に、それと同時に、またはその後に行なうことができる。上で検討されるように、本明細書において記述した化合物は、網膜剥離の外科的整復に対する補助剤として投与することができる。別の例としては、本明細書において記述した化合物は、硝子体内注射を介して典型的には投与されるか、または網膜剥離の公知の副作用(薬物または投与経路からの)を有する薬物と共に投与することができる。例えば、本明細書において記述した化合物は、網膜下注射(かかる手技は網膜剥離を誘導し得る)を含む遺伝子療法プロトコルと併用して投与することができる。本明細書において記述された化合物の使用は、かかる副作用の出現を部分的または全体的に回避または減少させることができる。
【0085】
本明細書において記述したフルオレノン誘導体は、点眼薬と共に投与または製剤化することができる。例示的な点眼薬は上で検討された通りであり得る(例えばOphthalmic Drug Facts、第21版、Bartlett編、Lippincott Williams & Wilkins、2009年、ISBN10 1574393138を参照されたい)。
【0086】
フルオレノン誘導体は、点眼薬、抗生物質、または抗炎症薬等の他の薬剤と同時にまたは連続して投与することができる。例えば、フルオレノン誘導体は、点眼薬、抗生物質、または抗炎症薬等の他の薬剤と同時に投与することができる。同時投与は、各々が1つまたは複数のフルオレノン誘導体、点眼薬、抗生物質、抗炎症薬、または他の薬剤を含む分離した組成物の投与を介して起こり得る。同時投与は、2つ以上のフルオレノン誘導体、点眼薬、抗生物質、抗炎症薬、または他の薬剤を含む1つの組成物の投与を介して起こり得る。フルオレノン誘導体は、点眼薬、抗生物質、抗炎症薬、または他の薬剤と共に連続して投与することができる。例えば、フルオレノン誘導体は、点眼薬、抗生物質、抗炎症薬、または他の薬剤の投与前にまたはそれらの投与後に投与することができる。
【0087】
本明細書において記述した方法に沿った治療は、対象となる眼の病態についての被験体のモニタリングを含み得る。例えば、治療は、網膜再剥離、出血感染、バックル突出、水晶体外傷、白内障進行、および増殖性硝子体網膜症のうちの1つまたは複数についての被験体のモニタリングを含み得る。別の例としては、治療は、ドルーゼン、色素変質、滲出変化(例えば目における出血、硬性白斑、網膜下/RPE下/網膜内の液体)、萎縮(例えば初期萎縮および地図状萎縮)、視力の急激な減少(例えば20/20から20/80等の2レベル以上)、優先的超高感度視野測定変化(ウェット型AMDについて)、視力障害、中心暗点、乱視(すなわち変形視症)、色識別の困難、明るい光への曝露後の視覚機能回復の遅れ、またはコントラスト感度の消失のうちの1つまたは複数についての被験体のモニタリングを含み得る。別の例としては、治療はアムスラー格子試験またはコントラスト感度試験に従う被験体のモニタリングを含み得る。いくつかの実施形態において、治療方法は、モニタリングステップからの結果に従って本明細書において記述した化合物の1つまたは複数のさらなる投与を含む。
投与
【0088】
本明細書において記述した組成物は、当該技術分野で公知の様々な手段において投与することができる(例えばOphthalmic Drug Delivery Systems、第2版、ISBN10 0824741242 (2003)(Mitra編);Intraocular Drug Delivery(Jaffe編)ISBN10 0824728602 (2006)を参照されたい)。上で検討されるように、投与は、眼への投与、眼内投与、局所投与、または注射による投与であり得る。いくつかの実施形態において、投与は硝子体内注射である。
【0089】
本明細書において記述した薬剤を含む組成物は当該技術分野において周知の様々な方法で投与することができる。投与は、例えば、直接注射(例えば、定位)、対象となる因子を分泌するように操作された細胞の埋込、薬物を放出する生体材料、ポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、マイクロ粒子、埋込式マトリックス装置、ミニ浸透圧ポンプ、埋込式ポンプ、注射可能ゲルおよびヒドロゲル、リポソーム、ミセル(例えば最大30μm)、ナノスフェア(例えば1μm未満)、マイクロスフェア(例えば1〜100μm)、リザーバ装置、上記のもののいずれかの組み合わせ、または変化する比率で所望の放出特性を提供する他の好適な送達媒体を含む方法を含むことができる。薬剤の制御放出送達の他の方法は当業者に公知であり、本発明の範囲内である。
【0090】
送達システムは、例えば、インスリンの送達または特異的臓器または腫瘍に対する化学療法のために使用するものに類似する方式で薬剤を投与するのに使用される注入ポンプを含むことができる。典型的には、かかるシステムを使用して、薬剤(複数可)は、選択された部位で制御された期間にわたり薬剤を放出する生体分解性の生体適合性ポリマー埋込物と組み合わせて投与される。ポリマー材料の例は、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレンビニルアセタート、コポリマーおよびその組み合わせを含む。加えて、制御放出システムは治療法上の標的に近接して置くことができ、したがって全身的投薬量の一部をのみ必要とする。
【0091】
本明細書において記述した化合物はカプセル化され、様々な担体送達システムにおいて投与することができる(例えばOphthalmic Drug Delivery Systems、第2版、ISBN10 0824741242 (2003)(Mitra編);Intraocular Drug Delivery(Jaffe編)ISBN10 0824728602 (2006)を参照されたい)。担体送達システムの例は、マイクロスフェア、ヒドロゲルとポリマー埋込物、スマートポリマー担体、リポソームを含む(一般的にはUchegbu and Schatzlein編(2006) Polymers in Drug Delivery、CRC、ISBN−10: 0849325331を参照されたい)。化合物送達のための担体ベースのシステムは、細胞内輸送の提供;生体分子/薬剤の放出率の調整;作用部位に達する生体分子比率の増加;作用部位への薬物輸送の改良;他の薬剤または賦形剤との共局在性沈着の許容;インビボでの薬剤の安定性の改良;クリアランス減少による作用部位での薬剤滞留時間の延長;非標的組織への薬剤の非特異的送達の減少;薬剤により引き起こされる刺激の減少;薬剤の高初回用量に起因する毒性の減少;薬剤の免疫原性の変化;投薬量頻度の減少、製品の味の改善;または製品の保管期間の改善を行うことができる。
キット
【0092】
キットも提供される。かかるキットは、本発明の組成物および、特定の実施形態において、投与についての説明書を含むことができる。かかるキットは、本明細書において記述した方法の実行を促進することができる。キットとして供給された場合、組成物の異なる成分は分離した容器中にパッケージングされ、使用直前に混合することができる。成分は、本明細書において記述した化合物を含むが、これらに限定されない。成分のかかるパッケージングは、所望されるならば、組成物を含む1つまたは複数の単位投薬量形態を含み得るパックまたはディスペンサ装置において個別に提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパック等の金属箔またはプラスチック箔を含み得る。成分のかかる個別のパッケージングは、特定の実例において、成分の活性を失うことなしに長期的な保存も可能にすることができる。
【0093】
キットは、分離した容器中に、例えば個別にパッケージングされた凍結乾燥活性成分に添加される滅菌水または食塩水等の試薬も含むことができる。例えば、密封されたガラスアンプルは凍結乾燥成分を含み、窒素等の中性の非反応気体下で各々がパッケージングされた滅菌水または滅菌食塩水を別のアンプル中に含むことができる。アンプルは、ガラス、ポリカーボネート等の有機ポリマー、ポリスチレン、セラミック、金属または典型的には試薬の保持に用いられる他の材料等の任意の好適な材料からなることができる。好適な容器の他の例は、アンプルと類似の物質から製作されるボトル、アルミニウムまたは合金等の箔で裏打ちされた内部からなるエンベロープを含む。他の容器は試験チューブ、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジおよび同種のものを含む。容器は、皮下注射針によって貫通できるストッパーを有するボトル等の滅菌接近ポートを有することができる。他の容器は、容易に着脱可能な膜によって分離される2つのコンパートメントを有することができる。除去に際して成分が混合することを可能にする。着脱可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムおよび同種のものであり得る。
【0094】
特定の実施形態において、キットは説明材料と共に供給することができる。説明書は紙または他の基質上に印刷されてもよく、および/またはフロッピーディスク、ミニCD−ROM、CD−ROMおよびDVD−ROM、ジップディスク、ビデオテープ、オーディオテープおよび同種のもの等の電子読取り可能な媒体として供給することができる。詳細な説明書は物理的にキットに付随しなくてもよく、その代りに、ユーザーは、キットのメーカーまたは代理店によって指定されたインターネットウェブサイトを参照することができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明の特定の実施形態の記述および請求に使用する成分の量、分子量等の特性、反応条件などを表現する数は、いくつかの実例において「約」という用語によって修飾されているとして理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態において、明文化された説明および添付した請求項において記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、および通常の端数切り捨て技法を適用して解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の幅広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な例において記載される数値は実行可能な限り正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態で提供された数値はそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的にもたらされる一定の誤差を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明の特定の実施形態を記述する文脈において使用される「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」という用語および類似の参照(特に以下の請求項の特定の文脈において)は、単数および複数の両方を包含すると解釈することができる。本明細書において値の範囲の列挙は、範囲内に分類される各々の分離した値を個別に参照する簡便方法として働くことが単に意図される。本明細書において特別の指示の無い限り、各々の個々の値は、あたかも個別に本明細書において列挙されるかのように、明細書の中へ援用される。本明細書において記述されたすべての方法は、本明細書において特別の指示の無い限りまたは明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の好適な順序で行なうことができる。特定の実施形態に関して本明細書において提供される任意のおよびすべての例、または例示的な文言(例えば「等の」)の使用は、本発明を単により詳しく説明することを意図し、請求項に記載されない限り本発明の範囲に対する限定をもたらさない。明細書中の文言は、請求項に記載されない任意の要素が本発明の実行に不可欠であると解釈されるべきでない。
【0097】
本明細書において開示された本発明の代替の要素または実施形態のグループは、限定として解釈されるべきではない。各々のグループメンバーを、個別に、またはグループの他のメンバーもしくは本明細書において見出される他の要素と任意の組み合わせで、参照および請求することができる。グループの1つまたは複数のメンバーは、利便性または特許性の理由で、グループに包括するか、またはグループから削除することができる。任意のかかる包括または削除が起こる場合、本明細書は、修飾されたグループを含み、したがって添付の請求項中で使用されるすべてのマーカッシュグループの明文化された説明を満たすと本明細書において見なされる。
【0098】
本出願において引用されるすべての出版物、特許、特許出願、および他の参考文献は、各々の個別の出版物、特許、特許出願、または他の参考文献の全体がすべての目的のために参照として援用されることが個別に示される場合と同じ程度に、全体がすべての目的のために参照として援用される。参照の引用は、かかるものが本発明に対する先行技術であるという承認として本明細書において解釈されないものとする。
【0099】
本発明を詳細に記述しきたので、修飾、変形および同等の実施形態が、添付の請求項中で定義された本発明の範囲を逸脱せずに可能であることは明らかだろう。さらに、本開示における例がすべて非限定的例として提供されることは認識されるべきである。
【実施例】
【0100】
以下の非限定的例は、本発明を例証するためにさらに提供される。続く実施例において開示された技法が、本発明者が本発明の実行において機能を十分に見出したアプローチを示し、したがってその実行のための様式の例を構成すると判断できることは、当該技術分野の当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、開示された具体的な実施形態において多くの変化を行い、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに同様または類似の結果をなお得ることができることを本開示に照らして認識するべきである。
実施例1:ウシRPE−脈絡膜複合体を横切る水輸送の刺激に対する化合物の効果
【0101】
DPOFAの効果を生体外のウシRPE−脈絡膜複合体モデルにおいて検討した。
【0102】
溶液の調製。
【0103】
リンガー溶液は、pH7.4で、120mM NaCl、5mM KCl、23mM NaHCO3、1mM MgCl2、1.8mM CaCl2、2.0mMタウリンおよび10mMグルコースを含んでいた。溶液の浸透性は295±5mOsMであった。溶液を、5%CO2で37℃にセットされた細胞培養インキュベーター中に置いた。溶液を使用前の少なくとも2日間インキュベーターにおいて維持した。水輸送実験での使用の数分前にグルタチオンを1mMの最終濃度で溶液に添加した。
【0104】
108mMのDPOFAストック溶液を5.5ml調製するために、220mgのDPOFAを重量測定した。4ミリリットルの水を薬物に添加し、続いて104マイクロリットルの5M NaCl溶液を添加した。小さな磁性撹拌棒を薬物の懸濁に置き、続いてpH電極を浸漬する。注意深くpHをモニタリングしながら、1N NaOH溶液をゆっくりし添加し始めた。pHが7.2〜7.4の範囲に達するまで(そのポイントで薬物は完全に溶解された)、NaOHを添加した。pH電極および磁性撹拌棒を取り出し、体積を5.5mlに調節した。ストックを小分にし、−20℃に保存した。使用するDPOFA希釈をリンガー溶液またはPBS中で作製した。
【0105】
水移動実験のためのUssingタイプチャンバーの調製。
【0106】
Ussingタイプチャンバーを使用して、組織調製物を横切る水輸送を査定した。実験の3時間前に2個のUssing様チャンバーを組み立て、リン酸緩衝食塩水で満たした。チャンバーを保温ジャケットをかぶせたスタンドに設置して、チャンバーをあらかじめ37℃に暖めた。
【0107】
水輸送実験のためのウシRPE−脈絡膜の円形組織シートの調製。
【0108】
ウシの目を地域の屠殺場から得て、120mM NaCl、5mM KCl、23mM NaHCO3、1mM MgCl2、1.8mM CaCl2、2.0mMタウリンおよび10mMグルコース(pH7.4)を含む冷リンガー溶液に置いた。目は摘出後2〜3時間内に研究室に運び、リンガー溶液中で繰り返しリンスした。余分な筋肉および結合組織を室温で切り取った。摘出した目を毛様体扁平部で切開し、前部部分を硝子体液と共に廃棄した。硝子体液除去の間に感覚網膜が剥離したならば、目は使用不可能であると判断して廃棄した。硝子体液の除去後に、接着した神経網膜を備えた目の後方部分を肉眼で検査して、強膜中に大きな血管を含まない領域を捜し出した。サイズ13の真鍮製コルクボーラーを使用して、選択された領域をハンマーで穿孔した。
【0109】
生じた組織「ボタン」をリンガー溶液を含むペトリ皿中に置いた。神経網膜を慎重に剥がして廃棄した。RPE−脈絡膜組織の平らな円形のシートを鉗子を用いて慎重に取り出し、平らなスプーンに置き、ペトリ皿に運んだ。ペトリ皿にはUssingタイプチャンバーの「基底側の」丸い窓(金属メッシュを含む)が設置され、リンガー溶液で覆われていた。脈絡膜−RPEの円形のシートを「基底側の」窓の金属メッシュの上に脈絡膜側を下にして置いた。RPE−脈絡膜シートのRPE側を示されたナイロンメッシュで覆い、続いてUssingタイプチャンバー窓の「頂端側」部分で留める。
【0110】
前加温したUssing様チャンバーを保温ジャケットをかぶせせたスタンドから撤去し、PBSの溶液を除き、分解した。挿入されたRPE−脈絡膜円形組織シートを備えた組み立てられたチャンバー窓をチャンバー中に取り付けた。RPE−脈絡膜組織を含む組み立てられたUssing様チャンバーを、保温ジャケットをかぶせたスタンドに戻した。
【0111】
前加温したリンガー溶液を最初にチャンバーの頂端側におよび次いで基底側に添加した。チャンバー内の温度をチェックし、35℃に達したならば、修飾電極およびDVC−1000電圧/電流クランプ装置(WPI, Inc.)を使用して電気抵抗を測定した。組織の抵抗値が100Ω未満であったならば調製物を廃棄し、新しい組織円をカメラの中へ挿入した。抵抗値が100Ωを超えたならば、組織調製物は正常であると判断された。測定キャピラリーを含む2個の円筒を、頂端側から開始して次いで基底側に向けて、チャンバーの内側に挿入した。基底側槽および頂端側槽における液体のレベルは、長いバレル注射針を使用して調整した。
【0112】
客観的なグレードで水平方向を観察する顕微鏡を使用して、2個のキャピラリーの各々におけるメニスカスの位置の変化の追跡によって水輸送を測定した。メニスカス位置の記録は液体レベルを合わせた直後に開始された。メニスカスレベル測定の開始1〜3時間後にUssing様チャンバー槽に異なる濃度でDPOFAを添加した。DPOFAの添加に応答した基底側のキャピラリーメニスカス位置の上方へのシフトを、時間ゼロでのメニスカス位置と比較した場合のメニスカスレベルの増加のマイクロメートルで表わした。基底側キャピラリー中の液体の上方への移動は、DPOFA添加に応答したRPE−脈絡膜調製物の頂端側から側底側への汲み出し率の増加を反映していた。
【0113】
結果から、DPOFAはウシRPE−脈絡膜複合体を横切る水輸送を刺激したことが示された。
【0114】
RPE−脈絡膜複合体の頂端側から基底側への水輸送の刺激に対するDPOFAの効果を示す例示的なデータは、示された図1および図2中に提供される。第1の実験において、Ussing様チャンバーの基底側の2分の1に位置するキャピラリー中のメニスカス位置の上方へのシフトによって判断できるように、DPOFAの添加は、RPE−脈絡膜複合体の頂端側から基底側への水の輸送の有意な増加を刺激した(例えば図1を参照されたい)。6μM濃度のDPOFAは、20μMおよび60μMの薬物濃度よりも水の輸送を有意に誘導した。第2の実験において、DPOFAは、RPE−脈絡膜複合体の頂端側から基底側への水の移動を増加させた(例えば図2を参照されたい)。水輸送の最も強い刺激が6μM濃度で見られた。
【0115】
本明細書において提供されたデータから、DPOFAがRPE−脈絡膜複合体の頂端側から基底側への水の移動を刺激することが示される。RPEの頂端側は網膜の網膜下腔に相当し、DPOFAが網膜下腔からの水の移動に効果的であることを示し、したがって網膜剥離の解消を誘導する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の病態を治療する方法であって、式(1)の化合物
【化1】

式(1)
(式中、
Xは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルキル;置換された低級アルキル;および低級シクロアルキルからなる群から選択され;
Rは、置換されたアルキル基であって、該置換基が、アリールおよび置換されたアリール;ならびに該アルキル基が複素環の炭素原子に付加されており、0または1個の窒素原子および少なくとも1個の二重結合を有する置換または非置換複素環からなる群から選択される、置換されたアルキル基であり;
1およびY2は、ハロゲン、水素およびメチルからなる群から独立して選択される)
の効果的な量を含む医薬組成物をそれを必要とする被験体に対して投与することを含み、
眼の病態が網膜剥離または加齢黄斑変性(AMD)からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
Xが、プロピル、ヒドロキシエチル、ハロエチル、および6個未満の炭素を有するシクロアルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが複素環式アルキル基である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
Rがオキサジニルアルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、
2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}−テトラヒドロ−1,3−オキサジン;
2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}オキサゾリン;
2−{[(5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]メチル}チアゾリン;
そのエナンチオマー;および
その薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
Rがピリジルアルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、
5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(2−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;
5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(3−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;
5,6−ジクロロ−9a−プロピル−7−(4−ピリジルメトキシ)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−フルオレン−3−オン;
そのエナンチオマー;および
その薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Rが複素環式アラルキル基である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、
5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[4−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;
5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[3−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;
5,6−ジクロロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−7−[2−(2−オキサゾリニル)−フェニルメトキシ]−9a−プロピル−1H−フルオレン−3−オン;および
その薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Xがプロピル基であり;Rがカルボキシメチルであり;Y1およびY2がコリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、[(R)−(+)−(5,6−ジクロロ2,3,9,9a−テトラヒドロ3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]酢酸(DPOFA)であり、以下の構造
【化2】

DPOFA
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物がプロドラッグである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記被験体が哺乳類である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記被験体が、ヒト、サル、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、マウス、ラット、モルモット、およびニワトリからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が眼に投与される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、強膜下投与、テノン嚢下投与、結膜下投与、硝子体内投与又は局所投与を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が硝子体内注射を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、眼用色素、眼用麻酔薬、眼用散瞳薬、眼用毛様体筋麻痺性散瞳薬、眼用抗コリン作用薬および眼用抗炎症剤、眼用コルチコステロイド、眼用人工涙液または潤滑剤、眼用抗生物質、眼用抗真菌剤、眼用抗ウイルス剤、眼用エピネフリン、眼用β遮断薬、眼用外科手術補助剤、眼用眼内洗浄剤、ならびに眼用粘弾性薬剤からなる群から選択される眼用薬剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記眼用薬剤が、Acular(ケトロラクトロメタミン)、AK−Con−A(眼用ナファゾリン)、Akten(塩酸リドカイン)、Alamast、Alphagan(ブリモニジン)、Alrex、Avastin(ベバシズマブ)、アトロピン、AzaSite(アジスロマイシン)、Azopt、バシトラシン、Betadine、ベタキソロール、Betaxon、Betoptic、ブリンゾラミド、BSS、カルバコール、セファゾリン、Celluvisc、クロラムフェニコール、Ciloxan、シプロフロキサシン、Cosopt、デメカリウム、デヌホゾール四ナトリウム、デキサメタゾン、ジピベフリン、ドルゾラミド、Durezol(ジフルプレドナート)、エピネフリン、フルオレセイン、フルルビプロフェン、ゲンタマイシン、Goniosol、グラミシジン、Humorsol、Hylartin、高張性NaCl、Indocycanineグリーン、イトラコナゾール、ラタノプロスト、Lotemax、Lucentis(ラニビズマブ)、Lumigan(ビマトプロスト点眼剤)、Macugen(ペガプタニブ)、マンニトール、メタゾラミド、ミコナゾール、Miostat、Muro 128、ネオマイシン、Neptazane、Ocuflox、OcuHist、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、パロミド529、フェニレフリン、フィソスチミン、ピロカルピン、プラスミン酵素、ポリミキシンB、プレドニゾロン、プロパラカイン、プロピン、Puralube、Quixin(レボフロキサシン)、Rescula(イソプロピルウノプロストン点眼剤)、Restasis(サイクロスポリン乳化点眼剤)、ローズベンガル、ヒアルロン酸ナトリウム、スプロフェン、テラマイシン、チモロール、トブラマイシン、トリアムシノロン、トリフルリジン、トロピカミド、Trusopt、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、ビダラビン、Vira−A、Viroptic、Vistide(シドフォビル注射)、Visudyne(注射のためのベルテポルフィン)、Vitrase(ヒアルロニダーゼ)、Vitrasertインプラント、Vitravene注射、Xalatan、およびZaditorからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記医薬組成物が薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬組成物がヒアルロン酸を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬組成物がシリコン油を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記眼の病態が網膜剥離である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
網膜再剥離、出血感染、バックル突出、水晶体外傷、白内障進行、および増殖性硝子体網膜症のうちの1つまたは複数についての被験体のモニタリングをさらに含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記眼の病態がAMDである、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記眼の病態が萎縮型AMDまたは血管新生型AMDである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記眼の病態が萎縮型AMDである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記眼の病態が血管新生型AMDである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ドルーゼン、色素変質、滲出変化、萎縮、視力減少、優先的超高感度視野測定変化、視力障害、中心暗点、変形視症、色識別の困難、明るい光への曝露後の視覚機能回復の遅れ、またはコントラスト感度の消失のうちの1つまたは複数についての被験体のモニタリングをさらに含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物を再投与することをさらに含む、請求項24または29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
式(1)の化合物
【化3】

式(1)
(式中、
Xは、1〜3個の炭素原子を含む低級アルキル;置換された低級アルキル;および低級シクロアルキルからなる群から選択され;
Rは、置換されたアルキル基であって、該置換基が、アリールおよび置換されたアリール;ならびに該アルキル基が複素環の炭素原子に付加されており、0または1個の窒素原子および少なくとも1つの二重結合を有する置換または非置換複素環からなる群から選択される、置換されたアルキル基であり;
1およびY2は、ハロゲン、水素およびメチルからなる群から独立して選択される)と;
眼用色素および眼用麻酔薬、眼用散瞳薬、眼用毛様体筋麻痺性散瞳薬、眼用抗コリン作用薬および眼用抗炎症剤、眼用コルチコステロイド、眼用人工涙液または潤滑剤、眼用抗生物質、眼用抗真菌剤、眼用抗ウイルス剤、眼用エピネフリン、眼用β遮断薬、眼用外科手術補助剤、眼用眼内洗浄剤ならびに眼用粘弾性薬剤からなる群から選択される眼用薬剤と;
薬学的に許容される担体または賦形剤と
を含む医薬組成物。
【請求項32】
前記化合物が、[(R)−(+)−(5,6−ジクロロ2,3,9,9a−テトラヒドロ3−オキソ−9a−プロピル−1H−フルオレン−7−イル)オキシ]酢酸(DPOFA)であり、以下の構造
【化4】

DPOFA
を有する、請求項31の医薬組成物。
【請求項33】
前記眼用薬剤が、Acular(ケトロラクトロメタミン)、AK−Con−A(眼用ナファゾリン)、Akten(塩酸リドカイン)、Alamast、Alphagan(ブリモニジン)、Alrex、アトロピン、Avastin(ベバシズマブ)、AzaSite(アジスロマイシン)、Azopt、バシトラシン、Betadine、ベタキソロール、Betaxon、Betoptic、ブリンゾラミド、BSS、カルバコール、セファゾリン、Celluvisc、クロラムフェニコール、Ciloxan、シプロフロキサシン、Cosopt、デメカリウム、デヌホゾール四ナトリウム、デキサメタゾン、ジピベフリン、ドルゾラミド、Durezol(ジフルプレドナート)、エピネフリン、フルオレセイン、フルルビプロフェン、ゲンタマイシン、Goniosol、グラミシジン、Humorsol、Hylartin、高張性NaCl、Indocycanineグリーン、イトラコナゾール、ラタノプロスト、Lotemax、Lucentis(ラニビズマブ)、Lumigan(ビマトプロスト点眼剤)、Macugen(ペガプタニブ)、マンニトール、メタゾラミド、ミコナゾール、Miostat、Muro 128、ネオマイシン、Neptazane、Ocuflox、OcuHist、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、パロミド529、フェニレフリン、フィソスチミン、ピロカルピン、プラスミン酵素、ポリミキシンB、プレドニゾロン、プロパラカイン、プロピン、Puralube、Quixin(レボフロキサシン)、Rescula(イソプロピルウノプロストン点眼剤)、Restasis(サイクロスポリン乳化点眼剤)、ローズベンガル、ヒアルロン酸ナトリウム、スプロフェン、テラマイシン、チモロール、トブラマイシン、トリアムシノロン、トリフルリジン、トロピカミド、Trusopt、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、ビダラビン、Vira−A、Viroptic、Vistide(シドフォビル注射)、Visudyne(注射のためのベルテポルフィン)、Vitrase(ヒアルロニダーゼ)、Vitrasertインプラント、Vitravene注射、Xalatan、およびZaditorからなる群から選択される、請求項31〜32のいずれか一項の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510852(P2013−510852A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538861(P2012−538861)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/055540
【国際公開番号】WO2011/059881
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(506118526)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】