説明

フルオレンおよびアリール基を含むモノマー、オリゴマーおよびポリマー

【課題】合成するのが容易であり、高い電荷移動度を有し、半導体デバイス用の薄い、大面積のフィルムを形成するために容易に加工可能である、半導体または電荷輸送材料として用いるための新規な材料を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの9−H,H−フルオレン基および少なくとも1つのアリーレン基を含むモノマー、オリゴマーまたはポリマーに関する。本発明はさらに、これらの製造方法、電界効果トランジスタ、エレクトロルミネセント、光起電およびセンサーデバイスを含む光学、電気光学または電子デバイスにおける半導体または電荷輸送材料としてのこれらの使用に関する。本発明はさらに、新規な材料を含む電界効果トランジスタおよび半導電性部品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、9−H,H−フルオレンおよびアリール基を含むモノマー、オリゴマーまたはポリマー、特に共役コポリマーに関する。本発明はさらに、これらの製造方法、電界効果トランジスタ、エレクトロルミネセント、光起電およびセンサーデバイスを含む光学、電気光学または電子デバイスにおける半導体または電荷輸送材料としてのこれらの使用に関する。本発明はさらに、新規な材料を含む電界効果トランジスタおよび半導電性部品に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料は、近年、有機ベース薄膜トランジスタおよび有機電界効果トランジスタにおける活性層として有望であると示されている(非特許文献1参照)。このようなデバイスは、スマートカード、セキュリティータグおよびフラットパネルディスプレイにおける切換素子における潜在的用途を有する。有機材料は、これらを溶液から溶着させることができる場合には、これが、迅速な大面積の製作経路を可能にするため、これらのシリコン類似物にまさる実質的な費用上の利点を有すると考えられる。
【0003】
デバイスの性能は、主に半導電性材料の電荷キャリア移動度および電流オン/オフ比に基づいており、従って理想的な半導体は、オフ状態における低い導電性およびこれと組み合わせて、高い電荷キャリア移動度(>1×10−3cm−1−1)を有しなければならない。さらに、酸化により、低下したデバイス性能に至るため、半導電性材料が、酸化に対して比較的安定である、即ち、これが、高いイオン化ポテンシャルを有することが重要である。
【0004】
有機FETのための有効なp型半導体であることが示されている、従来技術において知られている化合物は、以下に示す構造を有するジチエノチオフェン(DTT)(1a)およびこの縮合した二量体であるα,α’−ビス(ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン)(BDT)(1b)である(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4参照)。
【化1】

【0005】
特に、鋭意に研究されているBDTは、1×10−3〜5×10−2cm−1−1の極めて高い電荷キャリア移動度および極めて高い電流オン/オフ比(10まで)を有する、有機FETのための有効なp型半導体であることが示されている。BDTはまた、固体状態で完全に同一平面の形状を有し、チオフェンのオリゴマーよりも平面状であることが見出されている。
【0006】
しかし、BDTは、高い融点を有し、極めて不溶性であり、従って、有機薄膜トランジスタにおける活性層として用いる場合には、これは、容易には溶液加工することができない。この結果、FETのような用途について、BDTのような従来技術の材料は、通常は真空蒸着により薄膜として堆積されており、これは、大面積フィルムの製作には適さない高価な加工技術である。BDTの溶解性を改善するために、いくつかの置換誘導体が、現在まで合成されているが(1c)(非特許文献4参照)、これらは尚、薄膜トランジスタとして用いられる際には、真空加工を必要とした。
【0007】
【非特許文献1】エイチ・イー・カッツ(H. E. Katz)ら、エーシーシー・ケム・レス(Acc. Chem. Res)、2001、34、5、359頁
【非特許文献2】エイチ・シリングハウス(H. Sirringhaus)ら、アプル・フィズ・レト(Appl. Phys. Lett.)、1997、71、26、3871頁
【非特許文献3】リ(Li)ら、ジェイ・アム・ケム・ソス(J. Am. Chem. Soc.)、1998、120、2206頁
【非特許文献4】ジェイ・ジェイ・モリソン(J. J. Morrison)ら、シンス・メト(Synth. Met.)、1999、102、987頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、合成するのが容易であり、高い電荷移動度を有し、半導体デバイスにおいて用いるための薄い、大面積のフィルムを形成するために容易に加工可能である、半導体または電荷輸送材料として用いるための新規な材料を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の記載から、当業者に直ちに明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、これらの目的は、9−H,H−フルオレンの新規なアリールコポリマーを提供することにより達成することができることを見出した。
【0010】
9,9−ジアルキルフルオレン(2)含有(コ)ポリマーは、有機発光ダイオード(OLED)用途のための溶解性材料の群として、鋭意に検討されている(M. T. Bernius et al., Adv. Mater., 2000, 12(23), 1737頁;U. Scherf et al., Adv. Mater., 2002, 14(7), 477頁参照)。OLED用途について、エキシマー急冷(excimer quenching)を生じ得るポリマー主鎖の凝集を防止するのが望ましい。9,9−ジアルキル置換基は、ポリマーのための溶解性を提供し、またポリマー主鎖に直交して充填されるのを補助し、従ってポリマー鎖の凝集を防止するのを補助する。
【化2】

【0011】
US 5,708,130およびUS 6,169,163には、構造(3)で示され、式中、Rは、またヘテロ原子を含むことができるC1−20−ヒドロカルビルである、9,9’−二置換フルオレンのポリマーが開示されている。WO 00/22026には、Rが、アリールまたはヘテロアリールである、9,9’−二置換フルオレンのポリマーが開示されている。US 6,353,083には、2種の他の異なるモノマーを有する9−置換または9,9’−二置換フルオレンのコポリマーが開示されている。これらの文献には、さらに、OLEDのためにこれらのポリマーを用いることが示唆されている。
【化3】

【0012】
Bin Liu et al., Macromolecules, 2000, 33, 8945頁には、9,9’−ジヘキシルフルオレンとデシルチオフェンとのコポリマーの合成およびこれらの材料のOLED用途についての研究が報告されている。
WO 02/45184には、有機半導体およびバインダーを含む電界効果トランジスタ(FET)が開示されており、ここで、該半導体は、特に、前記構造(3)で表されるポリマーを含むことができ、ここで、Rは、H、アルキル、アリールまたは置換アリールから選択されている。
【0013】
H. Sirringhaus et al., Appl. Phys. Lett. 2000, 77(3), 406頁には、ポリ−9,9−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン(4、F8T2)が、フルオレン架橋のsp−炭素上のオクチル鎖の存在にもかかわらず、電界効果トランジスタにおいて合理的な移動度(10−2cm−1−1)を示すことが報告されている。この良好な移動度は、ポリマーの液晶挙動の結果であり、これにより、トランジスタにおける半導体の形態の制御が可能である。特に、ポリマーを、275〜285℃において、このネマティック液晶相にアニーリングし、急冷して秩序を「凍結(freeze in)」させる前に、ラビングしたポリイミド層上で電荷輸送の方向に整列させる。
【化4】

【0014】
しかし、9位のsp炭素原子において炭化水素基で置換されている、従来技術のフルオレンコポリマーは、spジアルキル架橋が密な充填を妨害し、これが電荷輸送に悪影響を生じるという欠点を有する。
【0015】
対照的に、本発明は、フルオレン架橋の9位におけるsp炭素において置換されておらず、メソゲン性挙動を維持する、非置換フルオレンコポリマーに関する。フルオレン架橋における鎖の欠如により、ポリマー主鎖の一層密な充填および改善された電荷輸送が容易になる。所要の可溶化側鎖は、ここでは、チオフェンコモノマー上に存在することができ、ポリマー主鎖の平面内にあることができ、従ってポリマー鎖の充填を妨害しない。さらに、この方法により、一層低い温度において液晶相挙動を示すポリマーが得られる。従って、本発明の材料のいくつかは、150℃の周辺の温度において、すでに液晶性を示し、これは、例えば、265℃またはこれより高い温度においてネマティック相を有する、従来技術のポリマーF8T2よりも顕著に低く、例えばFETデバイスの製作において、一層低い加工温度を可能にする。
【0016】
本発明の他の観点は、9−H,H−フルオレンおよびアリーレン単位を含む中心核を有し、前述の核が、随意にスペーサー基を介して、1つまたは2つの重合性基に結合している、反応性メソゲンに関する。反応性メソゲンは、液晶相を誘発するか、もしくは増強することができ、またはこれら自体液晶性である。これらは、これらの中間相において配向することができ、1または2以上の重合性基は、インサイチュ(in situ)で重合または架橋して、高い程度の秩序を有するポリマーフィルムを形成し、従って高い安定性および高い電荷キャリア移動度を有する改善された半導体材料を得ることができる。
【0017】
本発明の他の観点は、次にさらに、例えば溶液から、半導体デバイスにおいて用いるための薄層として加工される、液晶ポリマー、例えば主鎖型または側鎖型液晶ポリマー、特に本発明の反応性メソゲンから得られる側鎖型液晶ポリマーに関する。
【0018】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの9−H,H−フルオレン基および少なくとも1つのアリーレンまたはヘテロアリーレン基を含むモノマー、オリゴマーまたはポリマーに関する。
本発明は、さらに、上記に定義した、少なくとも1つのモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む半導体または電荷輸送材料、部品またはデバイスに関する。
【0019】
本発明は、さらに、本発明のポリマーの、半導体または電荷輸送材料としての、特に光学、電気光学もしくは電子デバイスにおける、例えば集積回路の部品としての電界効果トランジスタ(FET)における、フラットパネルディスプレイ用途における薄膜トランジスタとして、もしくは電波方式認識(RFID)タグのための、または有機発光ダイオード(OLED)用途、例えばエレクトロルミネセントディスプレイまたは例えば液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト用の半導電性部品において、光起電またはセンサーデバイスのための、電池における電極材料としての、光伝導体としての、および電子写真用途、例えば電子写真式記録としての使用に関する。
【0020】
本発明は、さらに、本発明の新規なモノマー、オリゴマーおよびポリマーの、エレクトロルミネセント材料としての、光起電またはセンサーデバイスにおける、電池における電極材料としての、光導電体としての、電子写真用途、例えば電子写真式記録のための、およびLCDまたはOLEDデバイスにおける配向層としての使用に関する。
【0021】
本発明は、さらに、本発明の半導電性もしくは電荷輸送材料、部品またはデバイスを含む、光学、電気光学もしくは電子デバイス、FET、集積回路(IC)、TFT、OLEDまたは配向層に関する。
【0022】
本発明は、さらに、本発明の半導電性もしくは電荷輸送材料、部品もしくはデバイスまたはFET、IC、TFTもしくはOLEDを含む、フラットパネルディスプレイ用のTFTまたはTFTアレー、電波方式認識(RFID)タグ、エレクトロルミネセントディスプレイまたはバックライトに関する。
本発明は、さらに、本発明のFETまたはRFIDタグを含むセキュリティーマーキングまたはデバイスに関する。
【0023】
発明の詳説
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、これらが、高いキャリア移動度を有するため、電荷輸送半導体として特に有用である。
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーにおいて、9−H,H−フルオレン基は、非置換であるか、または9位以外において置換されていることができる。アリーレン基は、置換または非置換であることができ、随意に1個または2個以上のヘテロ原子を含む。
【0024】
本発明の好ましい態様において、9−H,H−フルオレン基は、9位以外において、1つまたは2つ以上のアルキルまたはフルオロアルキル基により置換されている。フルオロアルキルおよびアルキル側鎖の、9−H,H−フルオレン基中への導入により、これらの溶解性および従ってこれらの溶液加工性が改善される。さらに、フルオロアルキル側鎖の存在により、また、本発明の材料が、n型半導体として有効になる。フルオロアルキル置換基の電子求引性により、また、HOMO(最高占有分子軌道エネルギーレベル)がさらに低下し、一層酸化されにくい、一層安定な材料が得られる。
【0025】
特に好ましいのは、式I
【化5】

式中、
〜Rは、互いに独立して、H、ハロゲン、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、Iおよび/またはCNにより単置換もしくは多置換されていることができ、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることが可能である、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル、随意に置換されたアリールもしくはヘテロアリール、または、P−Sp−であり、
【0026】
Pは、重合性または反応性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
およびR00は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
Arは、随意に1つまたは2つ以上の基Rで置換されているアリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、
kおよびmは、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、k+m>1である、
で表される1つまたは2つ以上の同一であるかまたは異なる繰り返し単位を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0027】
特に好ましいのは、式I1
【化6】

式中、R1〜6、Ar、kおよびmは、互いに独立して、式Iの意味の1つを有し、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、Sn(R、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNおよび/または−OHにより単置換もしくは多置換されていることができ、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることが可能である、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル、随意に置換されたアリールもしくはヘテロアリール、または、P−Spであり、
nは、1〜10000の整数であり、
およびここで、繰り返し単位は、同一であるかまたは異なることができる、
で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0028】
式Iで表される繰り返し単位を、以下でまた、[(Ar)−fl−(Ar)]と略し、式中、flは、式Iにおいて示す9−H,H−フルオレン単位であり、Ar、kおよびmは、式Iにおいて定義した通りである。
【0029】
本発明のオリゴマーおよびポリマーにおいて、多数回出現する場合における繰り返し単位[(Ar)−fl−(Ar)]は、互いに独立して、式Iから選択することができ、従ってオリゴマーまたはポリマーは、同一の、または異なる繰り返し単位[(Ar)−fl−(Ar)]を含むことができる。従って、オリゴマーおよびポリマーは、ホモポリマーおよびコポリマー、例えば、
−例えば−fl−Ar−Ar−fl−fl−fl−Ar−fl−Ar−などのモノマー配列を有する、統計的に無秩序なコポリマー、
−モノマー配列−fl−Ar−fl−Ar−fl−Ar−fl−Ar−を有する交互コポリマー、および
−例えば−fl−fl−fl−fl−fl−Ar−Ar−Ar−Ar−Ar−Ar−fl−fl−fl−fl−fl−fl−などのモノマー配列を有する、ブロックコポリマー
を含み、ここで、基flおよびArは、好ましくは、一緒に、共役系を形成し、ここで、多数の基(例えば、配列−fl−fl−fl−fl−における各々の基flまたは配列−Ar−Ar−Ar−Ar−Ar−Ar−における各々の基Ar)は、互いに同一であるかまたは異なることができる。
【0030】
特に好ましいのは、1つまたは2つ以上の繰り返し単位[(Ar)−fl−(Ar)]を含むモノマー、オリゴマーおよびポリマーであり、ここで、kは、0であり、mは、1であり、すべての基flは、同一の意味を有し、すべての基Arは、同一の意味を有し、極めて好ましくは、専らこのような繰り返し単位からなるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0031】
さらに好ましいのは、同一の繰り返し単位を有する、式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
さらに好ましいのは、R1〜6がHである、式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0032】
特に好ましいのは、2〜5,000、特に10〜5,000、極めて好ましくは100〜1,000の重合度(繰り返し単位の数n)を有する、式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
さらに好ましいのは、5,000〜300,000、特に20,000〜100,000の分子量を有する、式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0033】
特に好ましいのは、式IおよびI1で表される位置規則的な(regioregular)ポリマーである。これらのポリマーにおける位置規則性は、好ましくは、少なくとも90%、特に95%またはこれ以上、極めて好ましくは98%またはこれ以上、最も好ましくは99〜100%である。
位置規則的なポリマーは、これらが、強力な鎖間π−π積み重ね相互作用(interchain pi-pi-stacking interactions)および高度な結晶性を示し、高いキャリア移動度を有する有効な電荷輸送材料となるため、有利である。
【0034】
さらに好ましいのは、重合または架橋反応が可能である少なくとも1つの反応性基Pを含む、式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
さらに好ましいのは、メソゲン性または液晶性である、式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマー、特にカラマイト相(calamitic phase)を形成するポリマー、およびカラマイト相を形成する、1つまたは2つ以上の基P−Sp−を含む、式IまたはI1で表される反応性メソゲンである。
【0035】
さらに好ましいのは、本明細書中に示す式IおよびI1で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーであり、ここで、
−mは、1、2または3、好ましくは1または2であり、
−kは、0、1または2、好ましくは0または1であり、
−nは、1〜15の整数、好ましくは1であり、RおよびRの一方または両方は、P−Sp−を示し、
−R1〜6の少なくとも1つは、P−Sp−を示し、
−nは、2〜5000の整数であり、RおよびRは、P−Sp−とは異なり、
【0036】
−R〜Rは、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されているC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオアルキル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキル、mが1〜6の整数であり、iが1、2または3である(CHCHO)2i+1および随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、極めて好ましくはC〜C20アルキルまたはC〜C20フルオロアルキルから選択されており、
−RおよびRは、H、ハロゲン、Sn(R、CHCl、COH、CH=CH、SiR00および随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されており、
−n>1である。
【0037】
Arは、好ましくは、25個までのC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族または複素芳香族基であり、ここで、環は、縮合していることができ、ここで、複素芳香族基は、好ましくはN、OおよびSから選択された、少なくとも1個の複素環原子を含む。これは、随意に、1つまたは2つ以上のF、Cl、Br、I、CNおよび、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換または多置換されている直鎖状、分枝状または環状アルキルで置換されており、ここで、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、随意に、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されている。
【0038】
好ましい基Arは、フェニル、フッ素化フェニル、ピリジン、ピリミジン、ビフェニル、ナフタレン、チオフェン、フッ素化チオフェン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン、9−アルキリデンフルオレン、9−H,H−フルオレン、チアゾールおよびオキサゾールであり、これらのすべては、非置換であるか、上記に定義したR、または好ましくはLで単置換または多置換されており、ここで、Lは、F、Cl、Brまたは1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基であり、ここで、1個または2個以上のH原子は、随意に、FまたはClにより置換されている。
【0039】
極めて好ましくは、Arは、随意に3または4位においてRまたはLにより置換されている、チオフェン−2,5−ジイルである。これらの好ましい基におけるRは、好ましくは、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されているC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオアルキル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキル、mが1〜6の整数である(CHCHO)および随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、極めて好ましくはC〜C20アルキルまたはC〜C20フルオロアルキルである。
【0040】
特に好ましいのは、以下の式
【化7】

【0041】
【化8】

【0042】
【化9】

式中、R、Rおよびnは、上記に定義した通りである、
で表される化合物である。
【0043】
さらに好ましいのは、以下の式
【化10】

式中、P、Sp、RおよびRは、上記に定義した通りであり、Rは、Rの意味の1つを有する、
で表されるモノマーである。好ましくは、Rは、P−Sp−である。さらに好ましくは、RおよびRは、Hである。RがP−Spである場合には、2つの基Pまたは2つの基Spは、それぞれ同一であるかまたは異なることができる。
【0044】
1〜8の1つがアリールまたはヘテロアリールである場合には、これは、好ましくは、25個までのC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族または複素芳香族基であり、ここで、環は、縮合していることができ、ここで、複素芳香族基は、好ましくはN、OおよびSから選択された少なくとも1個の複素環原子を含む。これは、随意に、F、Cl、Br、I、CNおよび、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換または多置換されており、ここで、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、随意に、各々の場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が、互いに直接結合しないように置換されている、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルの1つまたは2つ以上で置換されている。
【0045】
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニル、フッ素化フェニル、ピリジン、ピリミジン、ビフェニル、ナフタレン、チオフェン、フッ素化チオフェン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、チアゾールおよびオキサゾールであり、これらのすべては、非置換であるか、上記に定義したLにより単置換または多置換されている。
【0046】
〜Rの1つが、アルキルまたはアルコキシ基である、即ち、ここで末端CH基が−O−により置換されている場合には、これは、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、2〜8個の炭素原子を有し、従って好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0047】
オキサアルキル、即ちここで、1つのCH基が−O−により置換されているものは、好ましくは、例えば、直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0048】
フルオロアルキルまたはフッ素化されたアルキルまたはアルコキシは、好ましくは直鎖状(O)C2i+1であり、ここで、iは、1〜20、特に1〜15の整数であり、極めて好ましくは、(O)CF、(O)C、(O)C、(O)C、(O)C11、(O)C13、(O)C15または(O)C17、最も好ましくは(O)C13である。
ハロゲンは、好ましくは、F、BrまたはClである。
ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選択される。
【0049】
重合性または反応性基Pは、好ましくは、
【化11】

から選択され、Wは、H、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、上記に定義した1つまたは2つ以上の基Rにより随意に置換されている1,4−フェニレンであり、kおよびkは、互いに独立して0または1である。
【0050】
特に好ましい基Pは、
【化12】

である。
極めて好ましいのは、アクリレートおよびオキセタン基である。オキセタンは、重合(架橋)により比較的低い収縮を生じ、これにより、フィルム内の比較的低い応力発生が得られ、秩序化の一層高い保持および一層少ない欠陥がもたらされる。オキセタン架橋はまた、カチオン開始剤を必要とし、これは、フリーラジカル開始剤とは異なり、酸素に対して不活性である。
【0051】
スペーサー基Spに関して、当業者にこの目的で知られているすべての基を用いることができる。スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X−であるように、式Sp’−Xで表され、ここで、
Sp’は、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより単置換または多置換されていることができる、20個までのC原子を有するアルキレンであり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、各々の場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が、互いに直接結合しないように置換されていることが可能であり、
【0052】
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CX=CX−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
、R00、XおよびXは、上記に示した意味の1つを有する。
【0053】
Xは、好ましくは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CX=CX−、−C≡C−または単結合であり、特に−O−、−S−、−C≡C−、−CX=CX−または単結合、極めて好ましくは、共役系を形成することができる基、例えば−C≡C−または−CX=CX−または単結合である。
【0054】
代表的な基Sp’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、pは、2〜12の整数であり、qは、1〜3の整数であり、RおよびR00は、上記に示した意味を有する。
【0055】
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0056】
さらに好ましいのは、1つまたは2つの基P−Sp−を有する化合物であり、ここで、Spは、単結合である。
2つの基P−Spを有する化合物の場合において、2つの重合性基Pおよび2つのスペーサー基Spの各々は、同一であるかまたは異なることができる。
【0057】
重合または共重合により本発明の化合物または混合物から得られたSCLCPは、重合性基Pにより形成された主鎖を有する。
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、既知の方法により、またはこれと同様にして合成することができる。いくつかの好ましい方法を、以下の反応スキーム中に記載する(ここで、Rは、Rの意味の1つを有し、Arは、上記に示した意味を有する)。
【0058】
mが2であり、Arが置換アリーレンである、式I1で表される材料は、アリーレン基における置換基に関して、例えば式Ia、IbおよびIcで表される化合物のように、3種の異なる位置規則性を伴って存在することができる;頭頭(head-to-head);尾尾(tail-to-tail)および頭尾(head-to-tail)。これらのポリマーに対する2つの一般的な方法、即ち2種の異なるモノマーの共重合および予め形成したモノマーの重合を、考慮する。
【0059】
共重合
この方法を、以下のスキーム1中に示し、これは、頭頭ポリマー(5)および尾尾ポリマー(6)の合成のために最も好都合である。アリールジボロン酸エステルまたはアリールジボロン酸と、アリールジブロミドとの間のスズキ(Suzuki)反応は、共役コポリマーに対する十分に確立された経路である。重要なモノマーである2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)を、商業的に入手し得る2,7−ジブロモフルオレンおよびビス(ピナコラト)ジボロンから、パラジウム触媒ホウ素化(boronation)反応を用いて、良好な収率で合成する(T. Ishiyama et al., Tetrahedron, 2001, 57, 9813頁参照)。これを、アリールジブロミド、例えば5,5’−ジブロモ−3,3’−ジアルキル−2,2’−ビチオフェン(9)または5,5’−ジブロモ−4,4”−ジアルキル−2,2’−ビチオフェン(10)(Bin Liu et al., Macromolecules, 2000, 33, 8945頁参照)と、塩基およびパラジウム触媒の存在下で反応させて、ポリマー5または6を得る。
【0060】
スキーム1
【化13】

代替の経路は、スティレ(Stille)カップリングであり、これは、二有機スズ中間体とアリールジブロミドとの遷移金属触媒反応を伴う(B. T. Tsuie et al., J. Mater. Chem. 1999, 9, 2189頁参照)。
【0061】
予め形成したモノマーの重合
この方法を、以下のスキーム2および3中に示す。出発モノマーの合成は、クロスカップリング化学を用いる種々の方法により達成することができる。それぞれ尾尾および頭頭ポリマーを得る、モノマー11および12について、スズキ方法のカップリングを用いる。従って、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)を、2当量の2−ブロモ−3−アルキルチオフェンまたは2−ブロモ−4−アルキルチオフェンと反応させて、モノマーを得る。両方のモノマーは中心対称である(centro-symmetric)ため、ポリマーの位置規則性の制御は、重要ではない。
【0062】
スキーム3中に示すように、重合は、塩化鉄(III)を用いた酸化的カップリングにより、直接生じることができるか、または、モノマーを、さらに、ジブロモ誘導体に誘導体化し、遷移金属触媒クロスカップリング反応により重合することができる(T. Yamamoto, J. Organometallic Chemistry, 2002, 653, 195頁参照)。
【0063】
スキーム2
【化14】

スキーム3
【化15】

【0064】
位置規則的な頭尾ポリマー(7)の形成を、以下のスキーム4および5中に示す。モノマーを、2つの連続的なクロスカップリング工程において合成する。2−ブロモ−7−ヨードフルオレンは、2−ブロモフルオレンから、ヨードベンゼン(二酢酸塩)およびヨウ素でのヨウ素化により、容易に合成される。3−アルキルチオフェン−2−ボロン酸塩のボロン酸エステルとのスズキカップリングは、一層反応性が高いヨード置換基において生じる(G. Bidan et al., Chem. Mater., 1998, 10: 1052頁参照)。4−アルキルチオフェン−2−ボロン酸ナトリウムとの第2のスズキカップリングにより、重要なモノマー13が得られる(スキーム4)(T. Kirschbaum et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2000, 1211頁参照)。
【0065】
モノマー13は、アルキル鎖に対してオルトの位置において、選択的に一臭素化される。次に、重合が、McCulloughおよび共同研究者により記載された方法と同様の方法により生じる。LDAによる処理により、臭素化されていないチオフェン環がリチウム化され、次に、臭化亜鉛または臭化マグネシウムでのメタセシスにより、それぞれ有機亜鉛または有機マグネシウム試薬が、「インサイチュ」で生成する。これの遷移金属触媒、例えばNi(dppp)Clでの処理により、ポリマー7が得られる(スキーム5)。
【0066】
スキーム4
【化16】

スキーム5
【化17】

【0067】
反応性末端基を含むモノマーの合成
反応性末端基を含むモノマーの合成は、スキーム6中に概説されており、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)とヨードチオフェンとのスズキクロスカップリング反応を用いる。ヨードチオフェンは、商業的に入手し得る2−ヒドロキシメチルチオフェンから、3工程で合成される。
スキーム6
【化18】

【0068】
本発明の他の観点は、本発明の化合物および材料の酸化形態および還元形態の両方に関する。電子の損失または獲得の結果、高い導電性を有する高度に脱局在化されたイオン性形態が形成する。このことは、一般的なドーパントへの暴露の際に生じ得る。好適なドーパントおよびドーピング方法は、例えば、EP 0 528 662、US 5,198,153またはWO 96/21659から、当業者に知られている。
【0069】
ドーピングプロセスは、代表的は、半導体材料を酸化剤または還元剤でレドックス反応において処理して、対応する対イオンが適用したドーパントから由来する、材料中の脱局在したイオン性中心部を形成することを含む。好適なドーピング方法は、例えば、大気圧または減圧下においてドーピング蒸気に暴露し、ドーパントを含む溶液中で電気化学的にドーピングし、ドーパントを、熱的に拡散されるべき半導体材料と接触させ、ドーパントを半導体材料中にイオン注入することを含む。
【0070】
電子がキャリアとして用いられる際には、好適なドーパントは、例えば、ハロゲン(例えば、I、Cl、Br、ICl、ICl、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、SbCl、BBrおよびSO)、プロトン酸、有機酸またはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOHおよびClSOH)、遷移金属化合物(例えば、FeCl、FeOCl、Fe(ClO、Fe(4−CHSO、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoF、MoCl、WF、WCl、UFおよびLnCl(ここで、Lnは、ランタノイドである))、陰イオン(例えば、Cl、Br、I、I、HSO、SO2−、NO、ClO、BF、PF、AsF、SbF、FeCl、Fe(CN)3−および種々のスルホン酸の陰イオン、例えばアリール−SO)である。
【0071】
正孔がキャリアとして用いられる際には、ドーパントの例は、カチオン(例えば、H、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、SrおよびBa)、O、XeOF、(NO)(SbF)、(NO)(SbCl)、(NO)(BF)、AgClO、HIrCl、La(NO・6HO、FSOOOSOF、Eu、アセチルコリン、R(Rは、アルキル基である)、R(Rは、アルキル基である)、RAs(Rは、アルキル基である)およびR(Rは、アルキル基である)である。
【0072】
本発明の化合物および材料の導電性形態を、用途、例えば有機発光ダイオード用途における電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレイおよびタッチスクリーン用のフィルム、帯電防止フィルム、印刷された導電性基板、電子的用途におけるパターンまたは区域、例えば印刷回路板およびコンデンサであるが、これらには限定されない用途における有機「金属」として用いることができる。
【0073】
本発明の好ましい態様は、メソゲン性または液晶性であり、極めて好ましくは1つまたは2つ以上の重合性基を含む、式Iおよびこの好ましい従属式で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーに関する。このタイプの極めて好ましい材料は、式Iおよびこの好ましい従属式で表されるモノマーおよびオリゴマーであり、ここで、nは、1〜15の整数であり、Rおよび/またはRは、P−Sp−を示す。
【0074】
これらの材料は、これらが、既知の手法によりこれらの液晶相において均一な高度に秩序化された配向に整列することができ、従って特に高い電荷キャリア移動度をもたらす一層高い程度の秩序を示すため、特に、半導体または電荷輸送材料として有用である。高度に秩序化された液晶状態を、基Pを介してのインサイチュ重合または架橋により固定して、高い電荷キャリア移動度並びに高い熱的、機械的および化学的安定性を有するポリマーフィルムを得ることができる。
【0075】
例えば、デバイスが、重合性液晶材料から、インサイチュでの重合により製造されている場合には、液晶材料は、式Iおよびこの好ましい従属式で表される1種または2種以上のモノマーまたはオリゴマーを含み、ここで、RおよびRの一方または両方は、P−Sp−を示す。液晶ポリマーを先ず、例えば溶液中での重合により製造し、単離されたポリマーを用いてデバイスを製造する場合には、ポリマーは、好ましくは、式Iおよびこの好ましい従属式で表される1種または2種以上のモノマーまたはオリゴマーを含む液晶材料から製造されており、ここで、RおよびRの一方は、P−Sp−を示す。
【0076】
また、本発明の重合性モノマー、オリゴマーおよびポリマーを、従来技術から知られている他の重合性メソゲン性または液晶モノマーと共重合させて、液晶相挙動を誘発するかまたは増強することが可能である。
【0077】
従って、本発明の他の観点は、少なくとも1つの重合性基を含み、および随意に、1種または2種以上の他の重合性化合物を含む、本明細書中に記載した本発明の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む重合性液晶材料に関し、ここで、本発明の少なくとも1種の重合性モノマー、オリゴマーおよびポリマーおよび/または他の重合性化合物は、メソゲン性または液晶性である。
【0078】
特に好ましいのは、ネマティックおよび/またはスメクティック相を有する液晶材料である。FET用途のために、スメクティック材料が特に好ましい。OLED用途のために、ネマティックまたはスメクティック材料が、特に好ましい。
本発明の他の観点は、液晶相において巨視的に均一な方向に配向し、重合または架橋して、配向した状態を固定する、上記に定義した重合性液晶材料から得られる、電荷輸送特性を有する異方性ポリマーフィルムに関する。
【0079】
好ましくは、重合は、好ましくは本発明の半導体材料を含む電子的または光学的デバイスの製作中の、材料の被覆された層のインサイチュ重合として実施される。液晶材料の場合において、これらは、好ましくは、重合前に、これらの液晶状態において、ホメオトロピックな方向に配向し、ここで、共役π電子系は、電荷輸送の向きに直交する。これにより、分子間距離が最小になり、従って次に、分子間で電荷を移動させるのに必要なエネルギーが最小になることが確実になる。次に、分子は、重合または架橋されて、液晶状態の均一な方向が固定される。配向および硬化は、材料の液晶相または中間相において実施される。この手法は、当該技術分野において知られており、一般的に、例えば、D.J. Broer, et al., Angew. Makromol. Chem. 183, (1990), 45-66に記載されている。
【0080】
液晶材料の配向は、例えば、材料が被覆される基板の処理、被覆の最中または被覆後の材料の剪断、被覆された材料への磁場もしくは電場の適用、または界面活性化合物の液晶材料への添加により達成することができる。配向手法の概要は、例えば、I. Sageにより、"Thermotropic Liquid Crystals"、G. W. Gray編、John Wiley & Sons, 1987, 75-77頁中に、およびT. UchidaおよびH. Sekiにより、"Liquid Crystals - Applications and Uses Vol. 3"、B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1-63頁中に示されている。配向材料および手法の概要は、J. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, Supplement 1 (1981), 1-77頁により示されている。
【0081】
重合は、熱または化学線への暴露により起こる。化学線は、光、例えばUV光、IR光もしくは可視光線での照射、X線もしくはガンマ線での照射または高エネルギー粒子、例えばイオンもしくは電子での照射を意味する。好ましくは、重合は、非吸収性波長におけるUV照射により実施される。化学線のための線源として、例えば単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプ出力を用いる際には、硬化時間を減少させることができる。化学線のための他の可能な線源は、レーザー、例えばUVレーザー、IRレーザーまたは可視レーザーである。
【0082】
重合は、好ましくは、化学線の波長において吸収を示す開始剤の存在下で実施する。例えば、UV光により重合する際には、UV照射下で分解して重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を用いることができる。アクリレートまたはメタクリレート基を有する重合性材料を硬化させる際には、好ましくはラジカル光開始剤を用い、ビニル、エポキシドおよびオキセタン基を有する重合性材料を硬化させる際には、好ましくはカチオン光開始剤を用いる。また、加熱された際に分解して、重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する重合開始剤を用いることも可能である。ラジカル重合のための光開始剤として、例えば、商業的に入手できるイルガキュア(Irgacure)651、イルガキュア184、ダロキュア(Darocure)1173またはダロキュア4205(すべてCiba Geigy AGから)を用いることができ、一方カチオン光重合の場合には、商業的に入手できるUVI6974(Union Carbide)を用いることができる。
【0083】
重合性材料は、さらに、1種または2種以上の他の好適な成分、例えば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、同時反応モノマー(co-reactiong)、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動改善剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料を含むことができる。
【0084】
1つまたは2つ以上の基P−Sp−を含むモノマー、オリゴマーおよびポリマーはまた、重合性メソゲン性化合物と共重合して、液晶相挙動を誘発するかまたは増強することができる。コモノマーとして適する重合性メソゲン性化合物は、従来技術において知られており、例えばWO 93/22397;EP 0,261,712;DE 195,04,224;WO 95/22586およびWO 97/00600に開示されている。
【0085】
本発明の他の観点は、重合または重合類似反応により、上記に定義した重合性液晶材料から得られた側鎖型液晶ポリマー(SCLCP)に関する。特に好ましいのは、RおよびRの一方もしくは両方が重合性もしくは反応性基である、式I1およびこの好ましい従属式で表される1種もしくは2種以上のモノマー、または、1種もしくは2種以上の前記のモノマーを含む重合性混合物から得られるSCLCPである。
【0086】
本発明の他の観点は、RおよびRの一方もしくは両方が重合性基である、式I1およびこの好ましい従属式で表される1種もしくは2種以上のモノマー、または上記に定義した重合性液晶混合物から、1種もしくは2種以上の追加のメソゲン性または非メソゲン性コモノマーとの共重合または重合類似反応により得られるSCLCPに関する。
【0087】
半導電性部品が、脂肪族スペーサー基により柔軟な主鎖から分離されたペンダント基として位置されている、側鎖型液晶ポリマーまたはコポリマー(SCLCP)は、高度に秩序化された薄片状形態を得る可能性を提供する。この構造は、極めて密な(代表的には<4Å)π−π積み重ねが生じ得る、密に密集した共役芳香族メソゲンからなる。この積み重ねは、分子間電荷輸送を一層容易に発生させ、高い電荷キャリア移動度をもたらす。SCLCPは、これらを、加工前に容易に合成することができ、次に、例えば有機溶媒中で溶液から加工することができるため、特定の用途に有利である。SCLCPを溶液中で用いる場合には、これらは、適切な表面上に塗布された際および、これらの中間相温度において自発的に配向することができ、大面積の、高度に秩序化された領域をもたらすことができる。
【0088】
SCLCPは、本発明の重合性化合物または混合物から、前記した方法により、または、例えば、ラジカル性、陰イオン性またはカチオン性連鎖重合、重付加または重縮合を含む、当業者に知られている慣用の重合手法により製造することができる。重合は、例えば、被覆および前配向を必要とせずに、溶液中での重合として、またはインサイチュでの重合として実施することができる。
【0089】
また、SCLCPを、好適な反応性基を有する本発明の化合物またはこれらの混合物を、重合類似反応において予め合成されたアイソトロピックまたは異方性ポリマー主鎖にグラフトすることにより形成することが可能である。例えば、末端水酸基を有する化合物を、側方カルボン酸またはエステル基を有するポリマー主鎖に付着させることができ、末端イソシアネート基を有する化合物を、遊離の水酸基を有する主鎖に加えることができ、末端ビニルまたはビニルオキシ基を有する化合物を、例えば、Si−H基を有するポリシロキサン主鎖に加えることができる。
【0090】
また、SCLCPを、慣用のメソゲン性または非メソゲン性コモノマーと共に、本発明の化合物から共重合または重合類似反応により形成することが可能である。好適なコモノマーは、当業者に知られている。原則的に、所望のポリマー形成反応を受けることができる反応性または重合性基、例えば上記に定義した重合性または反応性基Pを担持する、当該技術分野において知られているすべての慣用のコモノマーを用いることが可能である。代表的なメソゲン性コモノマーは、例えば、WO 93/22397、EP 0 261 712、DE 195 04 224、WO 95/22586、WO 97/00600およびGB 2 351 734に述べられているものである。代表的な非メソゲン性コモノマーは、例えば、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルモノもしくはジアクリレートまたはアルキルモノもしくはジメタクリレート、例えばメチルアクリレートまたはメチルメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0091】
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、光学的、電子的および半導体材料として、特に、例えば、集積回路の部品、IDタグまたはTFT用途としての電界効果トランジスタ(FET)における電荷輸送材料として有用である。あるいはまた、これらを、エレクトロルミネセントディスプレイ用途における有機発光ダイオード(OLED)において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして、光起電またはセンサー材料として、電子写真式記録のため、および他の半導体用途のために用いることができる。
【0092】
特に、本発明のオリゴマーおよびポリマーは、これらの化合物の溶液を用いた製造方法を可能にする、有利な可溶特性を示す。従って、層および被膜を含むフィルムを、低費用の生産手法、例えばスピンコートにより生じさせることができる。好適な溶媒または溶媒混合物は、アルカンおよび/または芳香族化合物、特にこれらのフッ素化誘導体を含む。
【0093】
本発明の材料は、光学的、電子的および半導体材料として、特に電界効果トランジスタ(FET)における電荷輸送材料として、光起電またはセンサー材料として、電子写真式記録用に、および他の半導体用途用に有用である。有機半導電性材料を、ゲート誘電体とドレインおよびソース電極との間にフィルムとして配置した、このようなFETは、一般的に、例えばUS 5,892,244、WO 00/79617、US 5,998,804並びに背景技術の章において引用されている、および以下に列挙する参考文献から知られている。利点、例えば本発明の化合物の可溶特性を用いた低費用生産および従って大面積の加工性のために、これらのFETの好ましい用途は、例えば集積回路、TFTディスプレイおよびセキュリティー用途である。
【0094】
セキュリティー用途において、電界効果トランジスタおよび半導電性材料を有する他のデバイス、例えばトランジスタまたはダイオードを、有価証券、例えば貨幣、クレジットカードまたはIDカード、国のIDドキュメント、免許証または金銭的価値を有するすべての製品、例えば切手、チケット、株券、小切手などを証明し、偽造を防止するためのIDタグまたはセキュリティーマーキングに用いることができる。
【0095】
あるいはまた、本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーを、有機発光デバイスまたはダイオード(OLED)、例えばディスプレイ用途において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして用いることができる。一般的なOLEDは、多層構造を用いて実現される。発光層は、一般的に、1つまたは2つ以上の電子移動および/または正孔移動層の間にはさまれる。電圧を印加することにより、電荷キャリアとしての電子および正孔は、発光層の方向に移動し、ここで、これらの組み替えにより、励起および従って発光層中に含まれるルモフォア(lumophor)単位のルミネセンスが得られる。
【0096】
本発明の化合物、材料およびフィルムを、これらの電気的および/または光学的特性に対応して、1つまたは2つ以上の電荷輸送層および/または発光層において用いることができる。さらに、発光層内でのこれらの使用は、本発明の化合物、材料およびフィルムが、これら自体エレクトロルミネセント特性を示すか、またはエレクトロルミネセント基もしくは化合物を含む場合に、特に有利である。OLEDにおいて用いるための好適なモノマー、オリゴマーおよびポリマー化合物または材料の選択、特徴づけおよび加工は、一般的に、当業者により知られている。例えばMeerholz, Synthetic Materials, 111-112, 2000, 31-34, Alcala, J. Appl. Phys., 88, 2000, 7124-7128およびここに引用されている文献参照。
【0097】
他の使用において、本発明の化合物、材料またはフィルム、特にフォトルミネセント特性を示すものは、例えばEP 0 889 350 A1に、またはC. Weder et al., Science, 279, 1998, 835-837により記載されているディスプレイデバイスの光源の材料として用いることができる。
【0098】
他の使用において、本発明の化合物、材料またはフィルムを、例えばUS 2003/0021913に記載されているように、単独で、または他の材料と共に、LCDもしくはOLEDデバイスにおける配向層において、または配向層として用いることができる。本発明の電荷輸送化合物の使用により、配向層の導電性を増大させることができる。LCDにおいて用いられる際には、この増大した導電性により、切換可能なLCDセルにおける負の残留dc効果を減少させ、画像付着(image sticking)を抑制し、または、例えば強誘電性LCDにおいて、強誘電性LCの自発分極電荷の切換により生じる残留電荷を減少させることができる。
【0099】
配向層上に設けられた発光材料を含むOLEDデバイスにおいて用いる際には、この増大した導電性により、発光材料のエレクトロルミネセンスを増強することができる。メソゲン特性または液晶特性を有する本発明の化合物または材料は、上記のように、配向した異方性フィルムを形成することができ、これは、配向層として、前述の異方性フィルム上に設けられた液晶媒体における配向を誘発または増大するのに、特に有用である。本発明の材料はまた、US 2003/0021913に記載されているように、光配向層において、または光配向層として用いるための光異性化可能な化合物および/または発色団と組み合わせることができる。
【0100】
本発明を、以下の例によりさらに説明する。
例1
がn−ヘキシルである、式Iaで表されるポリ(3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−alt−フルオレン)を、スキーム1に従って製造した。
2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)
2,7−ジブロモフルオレン(5.74g、17.73mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11.26g、44.33mmol)、酢酸カリウム(5.22g、53.20mmol)およびジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)(0.78g、0.61mmol)を、3つ首フラスコ中に充填した。無水1,4−ジオキサン(150mL)を加え、反応混合物を、100℃で24時間攪拌した。反応混合物を、水(100mL)で急冷し、クロロホルム(2×200mL)中に抽出した。合わせた抽出物を、水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)による精製により、生成物が、白色固体として得られた(5.67g、13.56mmol、76%)。NMRにより、予測されたシグナルが示された。M=418。
【0101】
3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェンを、P. Baeuerle, F. Pfau, H. Schlupp, F. Wuerthner, K. U. Gaudl, M. B. Caro, P. Fischer, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1993, 489の方法に従って製造した。
5,5’−ジブロモ−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン(9)(R=C13)を、B. Liu, W. L. Yu, Y. H. Lai, W. Huang, Macromolecules, 2000, 33, 8945の方法に従って製造した。
【0102】
4,4’−ジドデシル−2,2’−ビチオフェン
ヘキサン中の2.5MのBuLi(18mL、45.00mmol)および無水TMEDA(6.8mL、45.06mmol)を、3−ドデシルチオフェン(10.00g、39.61mmol)を無水THF(40mL)に溶解した溶液に、RTにおいて窒素雰囲気下で滴加した。反応混合物を、還流において1時間攪拌し、次に−78℃に冷却した。塩化銅(II)(6.39g、47.53mmol)を、1つの部分で加え、反応混合物を18時間攪拌しながら放置してRTに加温した。次に、反応混合物を、還流において6時間攪拌した。反応混合物を、希塩酸で酸性化し、ジエチルエーテル(2×200mL)中に抽出した。合わせた抽出物を、水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル40−60)、続いて−78℃でのジエチルエーテルからの再結晶により、黄色固体が得られた(3.78g、7.52mmol、38%):
【0103】
【表1】

【0104】
5,5’−ジブロモ−4,4’−ジドデシル−2,2’−ビチオフェン(10)(R=C1225
NBS(0.53g、2.98mmol)を、クロロホルム(5mL)および氷酢酸(5mL)中の4,4’−ジドデシル−2,2’−ビチオフェン(0.75g、1.49mmol)に、窒素雰囲気下で、分割して加えた。反応混合物を、一晩攪拌し、その後水の上に注入し、DCM(2×250mL)中に抽出した。合わせた抽出物を、水(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル40−60)により、生成物が、黄色固体として得られた(0.99g、1.49mmol、100%):
【0105】
【表2】

【0106】
ポリ(3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−alt−フルオレン)(5)(R=C13
3つ首フラスコに、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)(1.28g、3.07mmol)、5,5’−ジブロモ−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン(1.51g、3.07mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(34mg、0.03mmol)、アリコート(Aliquat)336(0.50g)およびトルエン(30mL)を、窒素雰囲気下で充填した。炭酸ナトリウムの2Mの水溶液(5mL)を加え、反応混合物を、還流において22時間攪拌した。反応混合物を、メタノール(500mL)中に沈殿させた。ポリマーを採集し、水、続いてメタノールで洗浄した。乾燥後、ポリマーを、高温クロロホルムに溶解し、メタノール(500mL)から再沈殿させた。ポリマーを採集し、還流メタノール(ソックスレー抽出により)で18時間、続いて還流イソヘキサン(ソックスレー抽出により)で6時間洗浄した。次に、ポリマーを、熱クロロホルム(hot-chloroform)に再溶解し、メタノール(400mL)から再沈殿させた。ポリマーを採集し、真空下で乾燥して、ポリマーを、黄緑色固体として得た(1.39g、2.79mmol、91%):
【0107】
【表3】

【0108】
例2
がn−ドデシルである、式Ibで表されるポリ(4,4’−ジドデシル−2,2’−ビチオフェン−alt−フルオレン)を、スキーム1に従って製造した。
ポリ(4,4’−ジドデシル−2,2’−ビチオフェン−alt−フルオレン)(6)(R=C1225
3つ首フラスコに、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)(0.60g、1.44mmol)、5,5’−ジブロモ−4,4’−ジドデシル−2,2’−ビチオフェン(0.95g、1.44mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(34mg、0.03mmol)、アリコート336(0.25g)およびトルエン(20mL)を、窒素雰囲気下で充填した。炭酸ナトリウムの2Mの水溶液(2.5mL)を加え、反応混合物を、還流において48時間攪拌した。反応混合物を、メタノール(400mL)中に沈殿させた。ポリマーを採集し、水、続いてメタノールで洗浄した。乾燥後、ポリマーを、メタノール(ソックスレー抽出により)で16時間、続いてイソヘキサン(ソックスレー抽出により)で6時間洗浄した。次に、ポリマーを、熱クロロホルムに再溶解し、メタノール(400mL)から再沈殿させた。ポリマーを採集し、真空下で乾燥して、ポリマーを、緑色固体として得た(0.75g、1.12mmol、78%):
【0109】
【表4】

【0110】
例3
がn−ヘキシルである、式Ifで表されるポリ(9−((ビスヘキシル−メチレン)フルオレン−alt−フルオレン))を、スキーム1に従って製造した。
ポリ(9−((ビスヘキシル−メチレン)フルオレン−alt−フルオレン))
3つ首フラスコに、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(8)(0.622g、1.49mmol)、2,7−ジブロモ−9−(ビス−ヘキシル−メチレン)フルオレン(0.75g、1.49mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(17mg、0.015mmol)、アリコート336(0.25g)およびトルエン(20mL)を、窒素雰囲気下で充填した。炭酸ナトリウムの2Mの水溶液(2.5mL)を加え、反応混合物を、還流において22時間攪拌した。ブロモベンゼン(0.12g、0.75mmol)を加え、溶液を、1時間還流において攪拌し、次に、ベンゼンボロン酸を加え、溶液を、さらに1時間還流において攪拌した。反応混合物を冷却し、メタノール(400mL)中に沈殿させた。ポリマーを採集し、水、続いてメタノールで洗浄した。乾燥後、ポリマーを、メタノール(ソックスレー抽出により)で24時間、続いてイソヘキサン(ソックスレー抽出により)で24時間洗浄して、ポリマーを、乏しい溶解性を有する緑色固体として得た(0.73g)。融点>300℃。
【0111】
例4
モノマー(4)を、以下のようにして、スキーム6に従って製造した。
【化19】

【0112】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、6−[5−ヨード−(2−チエニル)]メトキシヘキサン酸ビニルアリル(0.84g、2.0mmol)を乾燥(dry)DME(70ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素雰囲気下で加えた。20分後、5,5’−ジ(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキソボロラン−2−イル)−2,2’−ビチオフェン(0.20g、0.48mmol)を加え、続いてフッ化セシウム(0.46g、3.0mmol)を加えた。反応混合物を、還流において一晩窒素雰囲気下で加熱した。冷却後、水(50ml)を加え、続いて酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。抽出物を、水(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させた。石油エーテル/酢酸エチル(9:1〜5:1)で溶離させた、シリカ上でのカラムクロマトグラフィーによる精製により、黄色固体が得られ、これを酢酸エチルから2回再結晶させて、2を、淡黄色結晶として得た(0.16g、44%)。
【0113】
【表5】

【0114】
以下の相転移および液晶相挙動を、光学顕微鏡およびDSCにより決定した:K−30−S−146−I、ここで、Sは、決定されていない高秩序のスメクティック相である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの9−H,H−フルオレン基および少なくとも1つのアリーレンまたはヘテロアリーレン基を含む、モノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項2】
式I
【化1】

式中、
〜Rは、互いに独立して、H、ハロゲン、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、Iおよび/またはCNにより単置換もしくは多置換されていることができ、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることが可能である、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル、随意に置換されたアリールもしくはヘテロアリール、または、P−Sp−であり、
Pは、重合性または反応性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
およびR00は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
Arは、随意に1つまたは2つ以上の基Rで置換されているアリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、
kおよびmは、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、k+m>1である、
から選択される、1つまたは2つ以上の同一であるかまたは異なる繰り返し単位を有する、請求項1に記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項3】
式I1
【化2】

式中、R1〜6、Ar、kおよびmは、互いに独立して、式Iにおいて示された意味の1つを有し、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、Sn(R、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、I、CNおよび/またはOHにより単置換もしくは多置換されていることができ、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またばS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることが可能である、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル、随意に置換されたアリールもしくはヘテロアリール、または、P−Spであり、
PおよびSpは、互いに独立して、式Iに示した意味の1つを有し、
nは、1〜10000の整数であり、
およびここで、繰り返し単位は、同一であるかまたは異なることができる、
から選択されている、請求項2に記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項4】
kが0または1であり、mが1または2である、請求項3に記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項5】
nが1〜15の整数であり、RおよびRの一方または両方がP−Sp−を示す、請求項3または4に記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項6】
重合度が、10〜5000である、請求項1〜5のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項7】
〜Rが、Hである、請求項2〜6のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項8】
〜Rが、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されているC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオエーテル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキル、mが1〜20であり、iが1、2または3である(CHCHO)2i+1および随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されている、請求項2〜6のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項9】
Arが、フェニル、フッ素化フェニル、ピリジン、ピリミジン、ビフェニル、ナフタレン、チオフェン、フッ素化チオフェン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン、9−アルキリデンフルオレン、9−H,H−フルオレン、チアゾールおよびオキサゾールから選択されており、これらのすべてが、非置換であるか、請求項2において定義したRまたはLで単置換または多置換されており、ここで、Lは、F、Cl、Brまたは、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基であり、ここで、1個または2個以上のH原子は、随意に、FまたはClにより置換されている、請求項2〜8のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項10】
Arが、随意に3または4位においてRにより置換されているチオフェン−2,5−ジイルである、請求項9に記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項11】
以下の式
【化3】

【化4】

【化5】

式中、n、RおよびRは、請求項2に示した意味を有する、
から選択される、請求項2〜10のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項12】
以下の式
【化6】

式中、P、Sp、RおよびRは、請求項2において定義した通りであり、Rは、請求項3におけるRの意味の1つを有する、
から選択されている、請求項2〜11のいずれかに記載のモノマー。
【請求項13】
RがP−Spである、請求項12に記載のモノマー。
【請求項14】
、RおよびRが、H、ハロゲン、Sn(R、CHCl、COH、CH=CH、SiR00および随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択される、請求項3〜13のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項15】
Pが、
【化7】

から選択され、Wが、H、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWが、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWが、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheが、随意に請求項3において定義した1つまたは2つ以上の基Rにより置換されている1,4−フェニレンであり、kおよびkが、互いに独立して0または1である、請求項2〜14のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む重合性液晶材料であって、少なくとも1種の重合性基を含み、随意に1種または2種以上の他の重合性化合物を含み、ここで、請求項1〜15に記載の少なくとも1種の重合性モノマー、オリゴマーおよびポリマーおよび/または他の重合性化合物が、メソゲン性または液晶性である、前記重合性液晶材料。
【請求項17】
電荷輸送特性を有し、その液晶相において、巨視的に均一な方向に配向し、重合または架橋されて、配向した状態が固定される、請求項16に記載の重合性液晶材料から得られる、異方性ポリマーフィルム。
【請求項18】
側鎖型液晶ポリマーであって、請求項1〜16のいずれかに記載の1種もしくは2種以上のモノマーもしくはオリゴマーまたは重合性材料の重合により、あるいは請求項1〜16のいずれかに記載の1種もしくは2種以上のモノマーもしくはオリゴマーまたは重合性材料を、ポリマー主鎖に、重合類似反応において、随意に1種または2種以上の追加のメソゲン性または非メソゲン性コモノマーでグラフトすることにより得られる、前記側鎖型液晶ポリマー。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、重合性材料またはフィルムの半導体または電荷輸送材料としての使用であって、光学、電気光学もしくは電子デバイス、例えば集積回路の、フラットパネルディスプレイ用途のための薄膜トランジスタ(TFT)の、もしくは電波方式認識(RFID)タグの部品としての電界効果トランジスタ(FET)、またはエレクトロルミネセントディスプレイまたは液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト中の電荷輸送層およびエレクトロルミネセント層の両方を含む有機発光ダイオード(OLED)用途用の半導電性部品における前記使用。
【請求項20】
エレクトロルミネセント材料としての、光起電またはセンサーデバイスにおける、電池における電極材料としての、光導電体としての、電子写真用途、例えば電子写真式記録のための、およびLCDまたはOLEDデバイスにおける配向層としての、請求項1〜18のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、重合性材料またはフィルムの使用。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれかに記載の材料、部品またはデバイスを含む、光学、電気光学もしくは電子デバイス、FET、集積回路(IC)、TFT、OLEDまたは配向層。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれかに記載の材料、部品もしくはデバイスまたは請求項21に記載のFET、IC、TFTもしくはOLEDを含む、フラットパネルディスプレイ用のTFTまたはTFTアレー、電波方式認識(RFID)タグ、エレクトロルミネセントディスプレイまたはバックライト。
【請求項23】
請求項21または22に記載のFETまたはRFIDタグを含む、セキュリティーマーキングまたはセキュリティーデバイス。
【請求項24】
酸化的にまたは還元的にドーピングされて、導電性イオン性種を形成する、請求項1〜18のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、材料またはフィルム。
【請求項25】
請求項24に記載のモノマー、オリゴマーもしくはポリマー、材料またはフィルムを含む、電荷注入層、平坦化層、帯電防止フィルムまたは電子的用途もしくはフラットパネルディスプレイ用の導電性基板またはパターン。

【公開番号】特開2011−225575(P2011−225575A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117172(P2011−117172)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【分割の表示】特願2004−61666(P2004−61666)の分割
【原出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】