説明

フルオレン構造を有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物

【課題】 半導体装置製造の中で薄膜レジストを用いる多層系リソグラフィー工程において使用される塗布型下層膜を提供するものであって、該下層膜の直下に存在する基板の加工に有用である。
【解決手段】 フルオレン構造を有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物。ノボラック樹脂(A)、フルオレン構造を有する化合物(B)、及び溶媒(C)を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物。ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)は、いずれか一方がエポキシ基を有し、他方が水酸基を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板加工時に有効なリソグラフィー用塗布型下層膜形成組成物、並びに該塗布型下層膜形成組成物を用いるフォトレジストパターン形成法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の被加工基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウェハー等の被加工基板をエッチング処理する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザ(248nm)からArFエキシマレーザ(193nm)へと短波長化される傾向にある。これに伴い活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題であった。そこでフォトレジストと被加工基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−ReflectiveCoating、BARC)を設ける方法が広く検討されるようになってきた。
【0003】
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機反射防止膜と、吸光性物質と高分子化合物とからなる有機反射防止膜が知られている。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とするのに対し、後者は特別の設備を必要としない点で有利とされ数多くの検討が行われている。例えば、架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜やアクリル樹脂型反射防止膜が挙げられる。(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)
有機反射防止膜材料として望まれる物性としては、光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、反射防止膜上に塗布される層とのインターミキシングが起こらないこと(反射防止膜上に塗布される材料に用いられている溶剤に不溶であること)、塗布時または加熱乾燥時に反射防止膜材料から上塗りレジスト中への低分子拡散物がないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等がある。(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照。)
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、フォトレジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成される塗布型下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用の塗布型下層膜として従来の高エッチレート性塗布型下層膜とは異なり、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜、フォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜が要求されるようになってきている。(例えば、非特許文献4、非特許文献5参照。)また、このような塗布型下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0004】
一方、微細なレジストパターンを得るために、塗布型下層膜ドライエッチング時にレジストパターンと塗布型下層膜をフォトレジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用の塗布型下層膜として従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つ塗布型下層膜が要求されるようになってきている。また、このような塗布型下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【特許文献1】米国特許第5919599号明細書
【特許文献2】米国特許第5693691号明細書
【非特許文献1】トム・リンチ(Tom Lynch)他3名、「プロパティアンドパーフォーマンスオブニアーUVリフレクティビティコントロールレーヤー(Propertiesand Performance of Near UV Reflectivity Control Layers)」、(米国)、インアドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXI(inAdvances in Resist Technology and Processing XI)、オムカラム・ナラマス(Omkaram Nalamasu)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedingsof SPIE)、1994年、第2195巻(Vol.2195)、225−229ページ
【非特許文献2】ジー・テイラー(G. Taylor)他13名、「メタクリレートレジストアンドアンチリフレクティブコーティングフォー193nmリソグラフィー(MethacrylateResist and Antireflective Coatings for 193nm Lithography)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(inMicrolithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(WillConley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、174−185ページ
【非特許文献3】ジム・ディー・メーダー(Jim D. Meador)他6名、「リセントプログレスイン193nmアンチリフレクティブコーティングス(RecentProgress in 193nm Antireflective Coatings)」、(米国)、インマイクロリソグラフィー1999:アドバンスインレジストテクノロジーアンドプロセシングXVI(inMicrolithography 1999:Advances in Resist Technology and Processing XVI)、ウイル・コンレイ(WillConley)編、プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE)、1999年、第3678巻(Vol.3678)、800−809ページ
【非特許文献4】小久保忠嘉、「2層レジストシステム:プロセスインテグレーションの課題解決に向けて」、(日本)、MNC2002技術セミナー、レジストプロセスの最前線、2002年、29−42ページ
【非特許文献5】河合義夫、「高解像ポジ型化学増幅二層レジスト」、(日本)、MNC2002技術セミナー、レジストプロセスの最前線、2002年、43−48ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いるための塗布型下層膜形成組成物を提供することである。また本発明は、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、優れたフォトレジストパターンが得られ、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜、フォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜を提供することにある。また本発明は、248nm、193nm、157nm等の波長の照射光を微細加工に使用する際に基板からの反射光を効果的に吸収する性能を付与することもできる。さらに、本発明は該下層膜形成組成物を用いたフォトレジストパターンの形成法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は第1観点として、フルオレン構造を有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第2観点として、ノボラック樹脂(A)、フルオレン構造を有する化合物(B)、及び溶媒(C)を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第3観点として、ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)は、いずれか一方がエポキシ基を有し、他方が水酸基を有するものである第2観点に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第4観点として、ノボラック樹脂(A)が、フェノールノボラック樹脂、ナフタレンノボラック樹脂、フェノールナフタレンノボラック樹脂、それらの誘導体、又はそれらの混合物である第2観点又は第3観点に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第5観点として、ノボラック樹脂(A)が、式(1)、式(2)、式(3)、又はそれらの混合物、
式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
式(2):
【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
(ただし、Rは水素原子、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、グリシジル基、グリシジルエーテル基、又はその誘導体であり、Rは炭素数1〜6までのアルキル基、ハロゲン基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、複素環基、又はその誘導体を示し、n1はORの置換数であり1〜4の整数を示し、n2はRの置換数であり0〜3の整数を示し、n1+n2は1〜4の整数でありn1+n2が4以外の整数の場合の残部は水素原子である。そして、n3はORの置換数であり1〜6の整数を示し、n4はRの置換数であり0〜5の整数を示し、n3+n4は1〜6の整数でありn3+n4が6以外の整数の場合の残部は水素原子である。nは繰り返し単位の数を示し、1〜10000である。)である第2観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第6観点として、フルオレン構造を有する化合物(B)が式(4):
【0012】
【化4】

【0013】
(ただし、R及びRは、それぞれ水素原子、水酸基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、グリシジル基、グリシドキシ基、グリシジルエーテル基、又はその誘導体であり、R及びRの一方が水素原子の場合は他方は上記のその他の置換基を示す。R及びRはそれぞれ、炭素数1〜6までのアルキル基、ハロゲン基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、複素環基、又はその誘導体を示し、n5及びn6はそれぞれ0〜4の整数であり、4以外の整数の場合の残部は水素原子である。)である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第7観点として、窒素系又はリン系の架橋触媒を更に含む第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第8観点として、光酸発生剤を更に含む、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物、
第9観点として、第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物を半導体装置の製造に使用される基板上に塗布し、150〜250℃で0.5〜2分間焼成することによって形成されるリソグラフィー用下層膜を含む半導体装置の製造方法、
第10観点として、半導体基板に第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、露光と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第11観点として、半導体基板に第1観点乃至第8観点のいずれか一つに記載の下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、露光と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、及び
第12観点として、前記露光がArFエキシマレーザー(波長193nm)によって行われる、第10観点又は第11観点に記載の半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、フルオレン構造を有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物、該組成物を用いて形成される塗布型下層膜、及び該下層膜を含む半導体装置の製造方法に関するものである。
【0015】
本発明の下層膜形成組成物により、下層膜の上層部とインターミキシングを起こすことなく、良好なフォトレジストのパターン形状を形成することができる。
【0016】
本発明の下層膜形成組成物には基板からの反射を効率的に抑制する性能を付与することも可能であり、反射防止膜としての効果を併せ持つこともできる。
【0017】
本発明の塗布型下層膜形成組成物により、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比、フォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つ、優れた塗布型下層膜を提供することができる。
【0018】
レジストパターンの微細化に伴いレジストパターンが現像後に倒れることを防止するためにフォトレジストの薄膜化が行われている。そのような薄膜レジストでは、レジストパターンをエッチングプロセスでその下層膜に転写し、その下層膜をマスクとして基板加工を行うプロセスや、レジストパターンをエッチングプロセスでその下層膜に転写し、さらに下層膜に転写されたパターンを異なるガス組成を用いてその下層膜に転写するという行程を繰り返し、最終的に基板加工を行うプロセスがある。本願発明の下層膜及びその形成組成物はこのプロセスに有効であり、本願発明の下層膜を用いて基板を加工する時は、加工基板(例えば、基板上の熱酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、ポリシリコン膜等)に対して十分にエッチング耐性を有するものである。
一方、微細なレジストパターンを得るために、下層膜ドライエッチング時にレジストパターンと下層膜をフォトレジスト現像時のパターン幅をより細くするプロセスも使用され始めている。本願発明の下層膜及びその形成組成物はこのプロセスに有効であり、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択性を有するものである。
【0019】
そして、本発明の下層膜は、平坦化膜、レジスト下層膜、フォトレジスト層の汚染防止膜、ドライエッチ選択性を有する膜として用いることができる。これにより、半導体製造のリソグラフィープロセスにおけるフォトレジストパターン形成を、容易に、精度良く行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本願発明はフルオレン構造を有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物である。
【0021】
より具体的には、ノボラック樹脂(A)、フルオレン構造を有する化合物(B)、及び溶媒(C)を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物である。
そして、本発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物は、任意成分として、架橋触媒、及び界面活性剤等を含有するものである。
本願発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物は、溶剤を取り除いた固形分として0.1〜70重量%、好ましくは0.5〜50重量%、更に好ましくは1〜40重量%の割合で含有するものである。固形分中でノボラック樹脂(A)は、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、またフルオレン構造を有する化合物(B)は、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の割合で含有するものである。
【0022】
本願発明に用いられるノボラック樹脂(A)は、ノボラック樹脂及びその誘導体を含む式(1)〜式(3)の樹脂、及びその組み合わせが好ましい。
【0023】
このノボラック樹脂(A)は、フェノールノボラック樹脂、ナフタレンノボラック樹脂、フェノールナフタレンノボラック樹脂、及びそれらの誘導体である。これらノボラック樹脂(A)の重量平均分子量は100〜1000000、又は100〜100000、又は300〜50000である。
【0024】
式(1)〜式(3)においてRは水素原子、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、グリシジル基、グリシジルエーテル基、又はその誘導体であり、Rは炭素数1〜6までのアルキル基、ハロゲン基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、複素環基、又はその誘導体を示し、n1はORの置換数であり1〜4の整数を示し、n2はRの置換数であり0〜3の整数を示し、n1+n2は1〜4の整数でありn1+n2が4以外の整数の場合の残部は水素原子である。そして、n3はORの置換数であり1〜6の整数を示し、n4はRの置換数であり0〜5の整数を示し、n3+n4は1〜6の整数でありn3+n4が6以外の整数の場合の残部は水素原子である。nは繰り返し単位の数を示し、1〜10000、又は2〜1000、又は2〜100である。
【0025】
が水素原子であるノボラック樹脂と、Rが上記置換基を有する場合のノボッラク樹脂誘導体のいずれも用いることができる。
【0026】
において、ヒドロキシアリール基としては例えばヒドロキシフェニル基、ヒドロキシトリル基、ヒドロキシキシリル基、ジヒドロキシビフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシアントリル基、ヒドロキシベンゼンカルボニル基、ヒドロキシナフタレンカルボニル基、ヒドロキシアントラセンカルボニル基等が上げられる。ヒドロキシアラルキル基としては例えばヒドロキシベンジル基、ヒドロキシフェネチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルエチル基、ヒドロキシアントリルメチル基、ヒドロキシアントリルエチル基等が上げられる。ヒドロキシシクロヘキシル基としては例えばヒドロキシシクロヘキシル基、ヒドロキシシクロブタン基等が上げられる。グリシジル基としては、グリシジル基のみならずその誘導体として、2−メチルグリシジル基等の置換グリシジル基を用いることもできる。グリシジルエーテル基としては、例えばグリシジルフェニルエーテル基、グリシジルナフチルエーテル基、グリシジルベンジルエーテル基、グリシジルシクロヘキシルエーテル基、グリシジルアントリルエーテル基等が上げられ、その誘導体としてグリシジルフェニルカルボニルエーテル基、グリシジルナフチルカルボニルエーテル基、グリシジルアントリルカルボニルエーテル基、グリシジルシクロヘキシルカルボニルエーテル基等が上げられる。これらのRの有機基はまた、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、スルホン基等で置換された誘導体として用いることもできる。
【0027】
において、炭素数1〜6のアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等が上げられ、これらのアルキル基は他の置換基で置換することもできる。ハロゲン基としては例えば塩素原子、臭素原子等が上げられる。炭素数6〜12のシクロアルキル基としては例えばシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ビシクロヘキシル基が上げられ、更にこれらのシクロアルキル基は他の置換基で置換することもできる。複素環基としては例えばイミダゾール基、ピラゾール基、ピリダジン基、ピリミジン基、キノリン基、ベンゾオキサゾール基、チオフェン基、ジチオール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾチアゾール基、及びその誘導体が上げられる。また、Rはニトロ基、アミノ基、スルホン酸基等が上げられ、これらを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
【0028】
式(1)〜式(3)のノボラック樹脂の具体例として以下に記載する。
【0029】
【化5】

【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

【0033】
【化9】

【0034】
【化10】

【0035】
【化11】

【0036】
【化12】

【0037】
【化13】

【0038】
【化14】

【0039】
【化15】

【0040】
【化16】

【0041】
本願発明に用いられるフルオレン構造を有する化合物(B)は、式(4)で示される化合物である。
式(4)において、R及びRは、それぞれ水素原子、水酸基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、グリシジル基、グリシドキシ基、グリシジルエーテル基、又はその誘導体であり、R及びRの一方が水素原子の場合は他方は上記のその他の置換基を示す。R及びRはそれぞれ、炭素数1〜6までのアルキル基、ハロゲン基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、複素環基、又はその誘導体を示し、n5及びn6はそれぞれ0〜4の整数であり、4以外の整数の場合の残部は水素原子である。
ヒドロキシアリール基としては例えばヒドロキシフェニル基、ヒドロキシトリル基、ヒドロキシキシリル基、ジヒドロキシビフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシアントリル基が上げられ、その誘導体としてヒドロキシベンゼンカルボニル基、ヒドロキシナフタレンカルボニル基、ヒドロキシアントラセンカルボニル基等が上げられる。ヒドロキシアラルキル基としては例えばヒドロキシベンジル基、ヒドロキシフェネチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルエチル基、ヒドロキシアントリルメチル基、ヒドロキシアントリルエチル基等が上げられる。ヒドロキシシクロヘキシル基としては例えばヒドロキシシクロヘキシル基、ヒドロキシシクロブタン基等が上げられ、その誘導体としてヒドロキシシクロヘキサンカルボニル基等が上げられる。グリシジル基及びグリシドキシ基としては、グリシジル基及びグリシドキシ基のみならずその誘導体として、2−メチルグリシジル基、2−メチルグリシドキシ基等の置換グリシジル基を用いることもできる。グリシジルエーテル基としては例えばグリシジルフェニルエーテル基、グリシジルナフチルエーテル基、グリシジルベンジルエーテル基、グリシジルシクロヘキシルエーテル基、グリシジルアントリルエーテル基、グリシジルシクロヘキシルエーテル基等が上げられ、その誘導体としてグリシジルフェニルカルボキシエーテル基、グリシジルナフチルカルボキシエーテル基、グリシジルアントリルエーテル基、グリシジルシクロヘキシルカルボニルエーテル基等が上げられる。また、これらのRの有機基はハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、スルホン基等で置換された誘導体として用いることもできる。
【0042】
及びRにおいて、炭素数1〜6のアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等が上げられ、これらのアルキル基は他の置換基で置換することもできる。ハロゲン基としては例えば塩素原子、臭素原子等が上げられる。炭素数6〜12のシクロアルキル基としては例えばシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ビシクロヘキシル基が上げられ、更にこれらのシクロアルキル基は他の置換基で置換することもできる。複素環基としては例えばイミダゾール基、ピラゾール基、ピリダジン基、ピリミジン基、キノリン基、ベンゾオキサゾール基、チオフェン基、ジチオール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾチアゾール基、及びその誘導体が上げられる。また、R及びRはニトロ基、アミノ基、スルホン酸基等が上げられ、これらを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
【0043】
本願発明に用いられる式(4)の具体例として以下に上げる。
【0044】
【化17】

【0045】
【化18】

【0046】
【化19】

【0047】
【化20】

【0048】
本願発明では、ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)は、水酸基とエポキシ基の反応により架橋が進行する。従って、ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)は、いずれか一方がエポキシ基を有し、他方が水酸基を有するものである。
【0049】
水酸基とエポキシ基の反応は1:1のモル比で架橋反応が進行する。ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)は、水酸基とエポキシ基が1:1のモル比で両者を配合することが好ましいが、他方の官能基が過剰に残っている事は特に問題にならない。
【0050】
ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)の配合割合は、その重量比で、(A)/(B)=0.1〜10:1、又は0.5〜5:1、又は0.5〜2:1である。
【0051】
ノボラック樹脂(A)は、例えばクレゾールと蓚酸水を仕込み、80℃くらいの油浴で加熱攪拌しながら徐々にホルマリン水溶液を滴下し、9時間ほど加熱攪拌を行い反応させ、その後炭酸ナトリウム水溶液で中和し、水洗してノボラック樹脂を得ることができる。この方法に限らず公知のノボラック樹脂を製造する方法を用いることができる。ノボラック樹脂(A)を架橋における水酸基源として用いる場合は、このノボラック樹脂に存在する水酸基を架橋に使用することができるが、高分子上の反応を重ねて新たに水酸基を導入することもできる。例えば、水酸基で置換された芳香族化合物や脂環式化合物のアルコールやカルボン酸を、上記ノボラック樹脂と反応させて新たな水酸基を側鎖に導入する事ができる。この水酸基はフェノール性水酸基であることが好ましい。ノボラック樹脂(A)を架橋におけるエポキシ源として使用する場合は、例えばノボラック樹脂に導入されている水酸基とエピクロルヒドリンを反応させて得られるクロルヒドリンを、アルカリで閉環させて側鎖にグリシジル基を導入することができる。
【0052】
また、フルオレン化合物(B)を架橋における水酸基源として用いる場合は、水酸基を有する芳香族化合物や脂環式化合物のフルオレン化合物を使用することができるが、反応を重ねて新たに水酸基を導入することができる。例えば、水酸基で置換された芳香族化合物や脂環式化合物のアルコールやカルボン酸を、上記フルオレン化合物と反応させて新たな水酸基をフルオレン化合物に導入する事ができる。この水酸基はフェノール性水酸基であることが好ましい。フルオレン化合物(B)を架橋におけるエポキシ源として使用する場合は、例えばフルオレン化合物に導入されている水酸基とエピクロルヒドリンを反応させて得られるクロルヒドリンを、アルカリで閉環させて側鎖にグリシジル基を導入することができる。
【0053】
ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)の架橋は、架橋触媒を用いることによって効果的に進行する。添加する架橋触媒はノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)の合計量と、架橋触媒の割合が、(A+B):架橋触媒=5〜100:1、又は10〜50:1、又は20〜40:1の重量比で用いることができる。
【0054】
架橋触媒としては、アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩を用いることができる。
アンモニウム塩としては、式(107):
【0055】
【化21】

【0056】
(但し、mは2〜11、nは2〜3の整数を、R1 はアルキル基又はアリール基を、Y-は陰イオンを示す。)で示される構造を有する第4級アンモニウム塩、式(108):
【0057】
【化22】

【0058】
(但し、R2、R3、R4及びR5はアルキル基又はアリール基を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを示し、且つR2、R3、R4、及びR5はそれぞれC−N結合により窒素原子と結合されているものである)で示される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(109):
【0059】
【化23】

【0060】
(但し、R6及びR7はアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを示す)の構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(110):
【0061】
【化24】

【0062】
(但し、R8はアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを示す)の構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(111):
【0063】
【化25】

【0064】
(但し、R9及びR10はアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを示す)の構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(112):
【0065】
【化26】

【0066】
(但し、mは2〜11、nは2〜3の整数を、Hは水素原子を、Yは陰イオンを示す)の構造を有する第3級アンモニウム塩が上げられる。
また、ホスホニウム塩としては、式(113):
【0067】
【化27】

【0068】
(但し、R11、R12、R13、及びR14はアルキル基又はアリール基を、Pはリン原子を、Yは陰イオンを示し、且つR11、R21、R13、及びR14はそれぞれC−P結合によりリン原子と結合されているものである)で示される第4級ホスフォニウム塩が上げられる。
【0069】
上記の式(107)の化合物は、アミンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、mは2〜11、nは2〜3の整数を示す。この第4級アンモニウム塩のR1は炭素数1〜18、好ましくは2〜10のアルキル基又はアリール基を示し、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖アルキル基や、ベンジル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ジシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。
【0070】
上記の式(108)の化合物は、R で示される第4級アンモニウム塩である。この第4級アンモニウム塩のR、R、R及びRは炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基である。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。この第4級アンモニウム塩は、市販品で入手する事が可能であり、例えば塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム等が例示される。
【0071】
上記の式(109)の化合物は、1−置換イミダゾールから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R及びRは炭素数1〜18であり、R及びRの炭素数の総和が7以上で有ることが好ましい。例えばR6はメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基を、Rはベンジル基、オクチル基、オクタデシル基を例示する事が出来る。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。この化合物は、市販品で入手する事も出来るが、例えば1−メチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール等のイミダゾール系化合物と、臭化ベンジル、臭化メチル等のハロゲン化アルキルやハロゲン化アリールを反応させて製造する事ができる。
【0072】
上記の式(110)の化合物は、ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、Rは炭素数1〜18、好ましくは炭素数4〜18のアルキル基又はアリール基であり、例えばブチル基、オクチル基、ベンジル基、ラウリル基を例示する事が出来る。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。この化合物は、市販品として入手する事も出来るが、例えばピリジンと、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化メチル、臭化オクチル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールを反応させて製造する事が出来る。この化合物は例えば、塩化N−ラウリルピリジニウム、臭化N−ベンジルピリジニウム等を例示する事が出来る。
【0073】
上記の式(111)の化合物は、ピコリン等に代表される置換ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、Rは炭素数1〜18、好ましくは4〜18のアルキル基又はアリール基であり、例えばメチル基、オクチル基、ラウリル基、ベンジル基等を例示する事が出来る。R10は炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基であり、例えばピコリンから誘導される第4級アンモニウムである場合はR10はメチル基である。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。この化合物は市販品として入手する事も出来るが、例えばピコリン等の置換ピリジンと、臭化メチル、臭化オクチル、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールを反応させて製造する事が出来る。この化合物は例えば、N−ベンジルピコリニウムクロライド、N−ベンジルピコリニウムブロマイド、N−ラウリルピコリニウムクロライド等を例示することが出来る。
【0074】
上記の式(112)の化合物は、アミンから誘導される第3級アンモニウム塩であり、mは2〜11、nは2〜3の整数を示す。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。アミンとカルボン酸やフェノール等の弱酸との反応によって製造する事が出来る。カルボン酸としてはギ酸や酢酸が挙げられ、ギ酸を使用した場合は、陰イオン(Y)は(HCOO)であり、酢酸を使用した場合は、陰イオン(Y)は(CHCOO)である。またフェノールを使用した場合は、陰イオン(Y)は(C)である。
【0075】
上記の式(113)の化合物は、R11121314 の構造を有する第4級ホスフォニウム塩である。R11、R12、R13、及びR14は炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基であるが、好ましくはR11〜R14の4つの置換基の内で3つがフェニル基又は置換されたフェニル基であり、例えばフェニル基やトリル基を例示する事が出来、また残りの1つは炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基である。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲンイオンや、カルボキシラート(−COO)、スルホナト(−SO)、アルコラート(−O)等の酸基を挙げることが出来る。この化合物は市販品として入手する事が可能であり、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスフォニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスフォニウム等のハロゲン化テトラアルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスフォニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスフォニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスフォニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスフォニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスフォニウム、或いはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスフォニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が挙げられる。特に、ハロゲン化トリフェニルメチルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスフォニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスフォニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスフォニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアリールホスフォニウム、ハロゲン化トリトリルモノフェニルホスフォニウム等のハロゲン化トリトリルモノアリールホスフォニウムや、ハロゲン化トリトリルモノメチルホスフォニウム等のハロゲン化トリトリルモノアルキルホスフォニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が好ましい。
【0076】
また、ホスフィン類としては、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、イソプロピルホスフィン、イソブチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第一ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、ジイソアミルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第二ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等の第三ホスフィンが上げられる。
本発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物は、リソグラフィー工程で上層に被覆されるフォトレジストとの酸性度を一致させる為に、光酸発生剤を添加する事が出来る。好ましい光酸発生剤としては、例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等が挙げられる。上記光酸発生剤は全固形分に対して、0.2〜10重量%、好ましくは0.4〜5重量%である。
【0077】
本発明のリソグラフィー用塗布型下層膜材料には、上記以外に必要に応じて更なる吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0078】
更なる吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.Disperse Yellow 1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.D isperse Orange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.Disperse Red 1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.Disperse Violet 43;C.I.Disperse Blue 96;C.I.Fluorescent Brightening Agent 112,135及び163;C.I.Solvent Orange2及び45;C.I.Solvent Red 1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.Pigment Green 10;C.I.Pigment Brown 2等を好適に用いることができる。上記吸光剤は通常、リソグラフィー用下層膜材料の全固形分に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下の割合で配合される。
【0079】
レオロジー調整剤は、主に下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部への下層膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、リソグラフィー用下層膜材料の全固形分に対して通常30重量%未満の割合で配合される。
【0080】
接着補助剤は、主に基板あるいはフォトレジストと下層膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてフォトレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、リソグラフィー用下層膜材料の全固形分に対して通常5重量%未満、好ましくは2重量%未満の割合で配合される。
【0081】
本発明のリソグラフィー用下層膜材料には、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガフアツクF171、F173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンSー382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明のリソグラフィー用下層膜材料の全固形分に対して通常0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0082】
本発明で、上記の高分子化合物及び架橋剤成分、架橋触媒等を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
【0083】
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等がレベリング性の向上に対して好ましい。
【0084】
本発明におけるリソグラフィー用下層膜の上部に塗布されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、骨格にSi原子を有するフォトレジスト等があり、例えば、ロームアンドハーツ社製、商品名APEX−Eが挙げられる。
【0085】
本発明のリソグラフィー用下層膜材料を使用して形成した下層膜を有するフォトレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジーn−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0086】
次に本発明のフォトレジストパターン形成法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により下層膜形成組成物を塗布後、ベークして硬化させ下層膜を作成する。ここで、下層膜の膜厚としては0.01〜3.0μmが好ましい。また塗布後ベーキングする条件としては80〜250℃で1〜120分間である。その後下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料を下層膜上に成膜した後、フォトレジストを塗布し、所定のマスクを通して露光し、現像、リンス、乾燥することにより良好なフォトレジストパターンを得ることができる。必要に応じて露光後加熱(PEB:PostExposure Bake)を行うこともできる。そして、フォトレジストが前記工程により現像除去された部分の下層膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【0087】
即ち、半導体基板に本願発明の下層膜形成組成物により該下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、露光と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0088】
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、フォトレジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成される塗布型下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用の下層膜として従来の高エッチレート性下層膜とは異なり、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用下層膜、フォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用下層膜が要求されるようになってきている。また、このような下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0089】
一方、微細なレジストパターンを得るために、塗布型下層膜のドライエッチング時にレジストパターンと下層膜をフォトレジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用の塗布型下層膜として従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つ下層膜が要求されるようになってきている。また、このような下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0090】
本発明では基板上に本願発明の塗布型下層膜を成膜した後、下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料を下層膜上に成膜した後、フォトレジストを塗布することができる。これによりフォトレジストのパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にフォトレジストを薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。
【0091】
即ち、半導体基板に本願発明の下層膜形成組成物により該下層膜を形成する工程、その上にケイ素成分等を含有する塗膜材料によるハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、露光と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0092】
本発明のリソグラフィー用下層膜は、これらの要求を満たす適度なドライエッチング速度を得ることができる特性を有している。
【0093】
本発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物は、反射防止膜としての効果を考慮した場合、光吸収部位が骨格に取りこまれているため、加熱乾燥時にフォトレジスト中への拡散物がなく、また、光吸収部位は十分に大きな吸光性能を有しているため反射光防止効果が高い。
【0094】
本発明のリソグラフィー用下層膜形成組成物では、熱安定性が高く、焼成時の分解物による上層膜への汚染が防げ、また、焼成工程の温度マージンに余裕を持たせることができるものである。
【0095】
さらに、本発明のリソグラフィー用下層膜材料は、プロセス条件によっては、光の反射を防止する機能と、更には基板とフォトレジストとの相互作用の防止或いはフォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する膜としての使用が可能である。
【実施例】
【0096】
実施例1
フェノールノボラック(式5の樹脂、群栄化学(株)製、商品名レジトップPSM4326、ポリスチレン換算による重量平均分子量15000)1g、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(式95の化合物、大阪ガスケミカル(株)製、商品名BPF−G)1g、トリフェニルホスフィン0.06gの混合物に、シクロヘキサノン39.14gを加えて溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過してリソグラフィー用下層膜溶液を調製した。
【0097】
(光学パラメータの測定)
実施例1で調製した塗布型下層膜溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、下層膜(膜厚0.03μm)を形成した。そして、この下層膜を分光エリプソメーターを用い、波長248nm及び波長193nmでの屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定した。結果を表1に示す。
【0098】
(フォトレジスト溶剤への溶出試験)
実施例1で調製した塗布型下層膜溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、下層膜(膜厚0.10μm)を形成した。この下層膜をレジストに使用する溶剤、例えば乳酸エチル、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、その溶剤に不溶であることを確認した。
【0099】
(フォトレジストとのインターミキシングの試験)
実施例1で調製した塗布型下層膜溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、下層膜(膜厚0.10μm)を形成した。このリソグラフィー用下層膜の上層に、市販のフォトレジスト溶液(シプレー社製・商品名UV113等)をスピナーを用いて塗布した。ホットプレート上で120℃1分間加熱し、フォトレジストを露光後、露光後加熱を115℃1分間行った。フォトレジストを現像させた後、下層膜の膜厚を測定し、実施例1で調製した下層膜溶液から得た下層膜とフォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないことを確認した。
【0100】
(ドライエッチング速度の測定)
実施例1で調製した塗布型下層膜溶液をスピナーにより、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃1分間加熱し、下層膜(膜厚0.10μm)を形成した。そして日本サイエンティフィック製RIEシステムES401、サムコ製RIE−10NR、ラムリサーチ製TCP9400を用いてドライエッチング速度を測定した。
【0101】
また、同様にフォトレジスト溶液(シプレー社製・商品名UV113)をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗膜を作成した。そして日本サイエンティフィック製RIEシステムES401を用いてドライエッチング速度を測定し、実施例1の塗布型下層膜のドライエッチング速度との比較を行った。結果を表1に示す。
【0102】
また、半導体基板のドライエッチング速度をサムコ製RIE−10NRやラムリサーチ製TCP9400を用いて測定し、実施例1の塗布型下層膜のドライエッチング速度との比較を行った。結果を表1に示す。
【0103】
表2において、レジストに対する本願発明の下層膜のドライエッチング速度比(下層膜/レジスト)の測定(1)は、CFガスをエッチングガスとして用いた。
【0104】
本願発明の下層膜に対する基板上のSiO膜のドライエッチング速度比(SiO/下層膜)の測定(2)は、Cガスをエッチングガスとして用いた。
【0105】
本願発明の下層膜に対する基板上の窒化珪素膜のドライエッチング速度比(窒化珪素/塗布型下層膜)の測定(3)は、CHFガスをエッチングガスとして用いた。
【0106】
本願発明の下層膜に対する基板上のポリシリコン膜とのドライエッチング速度比(ポリシリコン/下層膜)の測定(4)は、Clガスをエッチングガスとして用いた。
〔表1〕 屈折率nと光学吸光係数k
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屈折率n 光学吸光係数k 屈折率n 光学吸光係数k
(波長248nm) (波長248nm) (波長193nm) (波長193nm)
実施例1 1.98 0.16 1.46 0.81
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〔表2〕 ドライエッチング速度比
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測定 (1) (2) (3) (4)
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実施例1 0.9 6.2 5.1 3.7
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これにより本発明のリソグラフィー用下層膜材料は、従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、フォトレジストに近い又はフォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比、半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つので基板を加工する際に優れたドライエッチング耐性を有し、さらに反射防止膜としての効果も併せ持つことが出来る、優れた塗布型下層膜を提供することができるということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、フォトレジスト層とのインターミキシングが起こらず、優れたフォトレジストパターンが得られ、フォトレジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜、フォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用塗布型下層膜を提供することにある。また、本発明の下層膜材料は、248nm、193nm、157nm等の波長の照射光を微細加工に使用する際に基板からの反射光を効果的に吸収する効果を付与することができる。
本願発明の下層膜形成組成物は、下層膜形成組成物を塗布方式、例えばスピナー等を用いて基板上に塗布し、加熱することにより容易に下層膜を形成することができる。
これらの性質を利用して配線幅の小さな微細加工を必要とする半導体装置の製造のための多層膜を必要とするプロセスに適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオレン構造を有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項2】
ノボラック樹脂(A)、フルオレン構造を有する化合物(B)、及び溶媒(C)を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項3】
ノボラック樹脂(A)とフルオレン構造を有する化合物(B)は、いずれか一方がエポキシ基を有し、他方が水酸基を有するものである請求項2に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項4】
ノボラック樹脂(A)が、フェノールノボラック樹脂、ナフタレンノボラック樹脂、フェノールナフタレンノボラック樹脂、それらの誘導体、又はそれらの混合物である請求項2又は請求項3に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項5】
ノボラック樹脂(A)が、式(1)、式(2)、式(3)、又はそれらの混合物、
式(1):
【化1】


式(2):
【化2】


【化3】


(ただし、Rは水素原子、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、グリシジル基、グリシジルエーテル基、又はその誘導体であり、Rは炭素数1〜6までのアルキル基、ハロゲン基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、複素環基、又はその誘導体を示し、n1はORの置換数であり1〜4の整数を示し、n2はRの置換数であり0〜3の整数を示し、n1+n2は1〜4の整数でありn1+n2が4以外の整数の場合の残部は水素原子である。そして、n3はORの置換数であり1〜6の整数を示し、n4はRの置換数であり0〜5の整数を示し、n3+n4は1〜6の整数でありn3+n4が6以外の整数の場合の残部は水素原子である。nは繰り返し単位の数を示し、1〜10000である。)である請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項6】
フルオレン構造を有する化合物(B)が式(4):
【化4】


(ただし、R及びRは、それぞれ水素原子、水酸基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、グリシジル基、グリシドキシ基、グリシジルエーテル基、又はその誘導体であり、R及びRの一方が水素原子の場合は他方は上記のその他の置換基を示す。R及びRはそれぞれ、炭素数1〜6までのアルキル基、ハロゲン基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜12のシクロアルキル基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、複素環基、又はその誘導体を示し、n5及びn6はそれぞれ0〜4の整数であり、4以外の整数の場合の残部は水素原子である。)である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項7】
窒素系又はリン系の架橋触媒を更に含む請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項8】
光酸発生剤を更に含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のリソグラフィー用下層膜形成組成物を半導体装置の製造に使用される基板上に塗布し、150〜250℃で0.5〜2分間焼成することによって形成されるリソグラフィー用下層膜を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板に請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、露光と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板に請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、露光と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記露光がArFエキシマレーザー(波長193nm)によって行われる、請求項10又は請求項11に記載の半導体装置の製造方法。

【公開番号】特開2007−17867(P2007−17867A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201685(P2005−201685)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】