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フルオレン誘導体及びその製造方法
説明

フルオレン誘導体及びその製造方法

【課題】出力特性及び高エネルギー密度を達成した電極や電気化学素子を得ることのできるマンガン化合物とカーボンの複合体、及びその製造方法に関する。
【解決手段】フルオレン環構造を有するフルオレン誘導体であり、下記[化1]において式中のmとRの組み合わせが、(1)m=4,R=H(2)m=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R=C2n+1、ここでn=1〜4)CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21の(1)(2)のうちのいずれか1つであることを特徴とするフルオレン誘導体。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフルオレン誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオレン環構造を有する誘導体は、一般に他のヘテロ原子を含む導電性高分子に比べて耐熱性や発光特性に優れる場合が多い。現在、種々のフルオレン誘導体が開発され、高分子有機EL材料、色素増感太陽電池材料、有機半導体レーザ、有機トランジスタのp型有機分子などとして用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、2, 7-アリール-9-置換フルオレン又は9-置換フルオレンオリゴマーもしくはポリマーとオリゴ−フルオレン誘導体とを含む混合物として合成している。特許文献1では、この混合物を耐熱性及び耐溶剤性の高いフィルムや高分子発光ダイオードの発光層として用いるフィルムとして用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3865406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、オリゴ−フルオレン誘導体を混合物のなかの1種類の物質として利用している。そのため、特許文献1の混合物は、フルオレン誘導体の単一物質に比べて、以下の問題点がある。
(1)融点や溶解度の分布が広くなり蒸着や高純度化などの加工が困難になると共に、加工の精度も低くなる。
(2)π電子のエネルギー準位などの分布が広くなり、特性の分布がぼやける。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を解決する新規なフルオレン誘導体の単一物質及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明のフルオレン誘導体は、フルオレン環構造を有するフルオレン誘導体であり、下記[化1]において式中のmとRの組み合わせが、
(1)m=4,R=H
(2)m=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R=C2n+1
、ここでn=1〜4) CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
の(1)(2)のうちのいずれか1つであることを特徴とする。
【化1】

【0008】
前記フルオレン誘導体において式中のmとRの組み合わせが、m=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R,=C2n+1、ここでn=1〜2)、 CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1)であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のフルオレン誘導体の製造方法として、下記式[式1]で表される反応工程を含むものも本発明の一態様とする。
[式1]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R=C2n+1
、ここでn=1〜4) CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【0010】
前記フルオレン誘導体の製造方法として、下記式[式2]で表される反応工程を含むものも本発明の一態様とする。
[式2]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R=C2n+1
、ここでn=1〜4) CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【0011】
前記フルオレン誘導体の製造方法として、下記式[式3]で表される反応工程を含むものも本発明の一態様とする。
[式3]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R=C2n+1
、ここでn=1〜4) CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【0012】
前記フルオレン誘導体の製造方法として、下記式[式4]で表される反応工程を含むものも本発明の一態様とする。
[式4]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R=C2n+1
、ここでn=1〜4) CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【0013】
前記フルオレン誘導体の製造方法として、下記[式5]で表される反応工程を含むものも本発明の一態様とする。
[式5]

式中、nは1〜3を表す。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフルオレン誘導体は単一分子であるために、蒸着や、高純度化などの加工時における容易性が高くなると共に、加工精度が高くなる。また、フルオレン誘導体としての特性の分布がシャープになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の反応式9における生成工程の手順を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施例の反応式11〜13における生成工程の手順を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施する形態について、説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0017】
本実施の形態にかかるフルオレン誘導体は、以下の式(1)で表されるものである。
【化1】

この式(1)において、m=3〜5である。このとき、式1におけるmとRの組み合わせは、
(1)m=4,R=H
(2)m=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R=C2n+1
、ここでn=1〜4) CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
の(1)(2)のうちのいずれか1つとする。
【0018】
式(1)においてmとRが(1)(2)のいずれかで表されるフルオレン誘導体は、単一物質であるため、融点や溶解度の分布が狭い。このため、蒸着や、高純度化などの加工時における容易性が高くなると共に、加工精度が高くなる。さらに、単一物質であるため、π電子のエネルギー準位の分布がシャープになるなど、オリゴ-フルオレン誘導体としての特性の分布がシャープになる。このため、例えば本実施例のオリゴ-フルオレン誘導体を有機ELに使用した場合に、発光波長分布がシャープになる。特に、式(1)においてmとRがm=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、 CF3、COOR(式中、R,=C2n+1
、ここでn=1〜2)、 CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1)で表されるフルオレン誘導体を電子部材として利用した場合には、誘導体の炭素数が少ないため誘電体としての容量密度が高くなる。
【0019】
[用途]
本実施形態のフルオレン誘導体は、高分子有機EL材料、色素増感太陽電池材料、有機半導体レーザ、有機トランジスタのp型有機分子、固体電解キャパシタの固体電解質、アクチュエータ材料、各種センサー材料(ガスセンサ素子、バイオセンサなど)、帯電防止用塗料として用いることができる。特に、本実施形態のフルオレン誘導体とカーボンナノチューブとの電極は、優れた電気特性を発揮する。
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0021】
(オリゴ-フルオレン誘導体 9mR (R =H)の作成方法)
[生成工程]
実施例1は、2- ( 2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル ) −4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a(R = H)とジブロモ体8a-c(n = 1-3)で生成されるオリゴ-フルオレン誘導体94H(m = 4, R =H)の生成手順を示すものである。以下では、オリゴ-フルオレン誘導体94H(m = 4, R =H)の生成工程を示す。
【0022】
オリゴ-フルオレン誘導体94H(m = 4, R =H) は、2- ( 2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル ) −4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a (R = H) とジブロモ体 8a-c (n = 1−3) とを反応させることにより生成する。以下では、(a)2- ( 2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル ) −4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a (R = H) 、(b)ジブロモ体 8a-c (n = 1−3) 、(c)オリゴ-フルオレン誘導体94H(m = 4, R =H) のそれぞれの生成工程について詳述する。
【0023】
(a)2- ( 2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル ) −4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a (R = H) の生成工程
本実施例の2- ( 2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル ) −4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a (R = H) は、下記[式6]〜[式8]に示すような反応式を含む生成工程を経て生成される。
[式6]

[式7]

[式8]

【0024】
[式6]について
[式6]で表される反応式は、アルゴン雰囲気下、1, 1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド-ジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)CH2Cl2)(0.073g, 0.09mmol)と酢酸カリウム(KOAc)(1.060g, 10.8mmol)を溶解させたジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に、フェニルブロミド1a(R=H, 0.549g,
3.5mmol)とビス(ピナコラト)ジボロン2(1.161g, 4.5mmol)を加え、80℃で1.5時間撹拌し、目的化合物(2-フェニル-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3a(R=H)を85%の収率で得る。
【0025】
2-フェニル-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3a(R=H)は、無色液体であり、これを赤外吸収分析(infrared
absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:2979, 1604, 1451, 1439, 1359, 1325, 1275, 1145, 1026cm-1;である。
【0026】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.80(d, J=7.9Hz, 2H), 7.3-7.5(m, 3H), 1.35(s, 12H).である。
【0027】
さらに、2-フェニル-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3a(R=H)の元素分析は、C12H17BO2としての計算値であるC, 70.63;H, 8.40%.実測値:C, 70.75;H, 8.25%となる。
【0028】
[式7]について
[式7]で表される反応式は、アルゴン雰囲気下、トルエン(25mL)と2M炭酸カリウム(K2CO3)水溶液(20mmol, 10mL)との混合溶液に1, 3, 2-ジオキサボロン3a(R=H, 0.484g, 2mmol)と2, 7-ジブロモ-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン4(2.112g, 6.0mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)(0.092g, 0.08mmol)を加え、環流条件下22時間強撹拌し、目的化合物(2-ブロモ-7-フェニル-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5a(R=H))を69%の収率で得る。
【0029】
2-ブロモ-7-フェニル-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5a(R=H)は、淡黄色固体であり、2-ブロモ-7-フェニル-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5a(R=H)を重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.70(d, 1H, J=8.0Hz), 7.64-7.61(m, 3H), 7.56-7.53(m, 3H),
7.45-7.44(m, 3H), 7.42-7.34(m, 1H), 1.49(s, 6H)である。
【0030】
また、2-ブロモ-7-フェニル-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5a(R=H)の元素分析は、C21H17Brとしての計算値であるC, 72.22;H, 2.73%.実測値:C, 72.05;H, 2.68%となる。
【0031】
[式8]について
[式8]で表される反応式は、アルゴン雰囲気下、PdCl2(dppf)CH2Cl2(0.073g, 0.09mmol)とKOAc(1.060g, 10.8mmol)を溶解させたDMSO溶液にフルオレン5a(R=H, 0.582g, 1.8mmol)とビス(ピナコラト)ジボロン2(0.686g,
2.7mmol)を加え、80℃で1時間撹拌し、目的化合物2-(2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a(R=H)を82%の収率で得る。
【0032】
以上のように生成した2-(2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a(R=H)は、淡黄色固体であり、これを赤外吸収分析(infrared absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:3060, 3030, 2973, 2925, 2867, 2361,
1610, 1484, 1465, 1414, 1353, 1315, 1256, 1143, 1097, 964, 873, 850, 830, 760, 688cm-1である。
【0033】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRによる定量分析では、δ(ppm):7.92(s,
1H), 7.85(dd, 1H, J=7.5Hz, 0.5Hz), 7.82(d, 1H, J=7.5Hz), 7.77(dd,
1H, J=7.5Hz, 1.0Hz), 7.69-7.66(m, 3H), 7.60(dd, 1H, J=8.0Hz, 2.0Hz),
7.49-7.46(m, 2H), 7.39-7.36(m, 1H), 1.57(s, 6H), 1.40(s, 12H)である。13CNMR(CDCl3)による測定では、154.91, 152.70, 141.84, 141.56, 140.92, 138.19, 133.97, 128.76, 127.22,
126.20, 121.46, 120.72, 119.42, 83.74, 46.94, 27.14, 24.90である。
【0034】
さらに、2-(2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a(R=H)は、元素分析は、C27H28BFO2としての計算値であるC81.82, H7.38%.実測値:C, 81.77, H, 7.40%.である。
【0035】
(b)ジブロモ体8b(n=2)の生成工程
【0036】
本実施例のジブロモ体8b(n=2)の生成工程について示す。ジブロモ体8b(n=2)は、下記[式9]に示すような反応式を含む生成工程を経て生成される。
[式9]

【0037】
[式9]について
[式9]で表される反応式は、ジブロモ体8b(n=2)の生成工程における反応式である。ジブロモ体8b(n=2)の生成工程は、図1に示すように、滴下工程、攪拌工程、洗浄工程、濃縮工程からなる。
【0038】
滴下工程では、0℃まで冷却したジ-フルオレン化合物(n=2, 0.348g, 0.9mmol)とヨウ素(4mg)とを溶解させたクロロホルム(CHCl3(15mL))溶液に臭素(Br2)(0.32g, 2.0mmol)を溶解させたCHCl3溶液(10mL)を滴下し、反応溶液を得た。
【0039】
攪拌工程では、滴下工程を経た反応溶液を、遮光下で反応溶液温度を室温にし24時間撹拌した後に、40℃に加温し24時間撹拌する。
【0040】
洗浄工程では、攪拌工程を経た反応溶液を、CHCl3(50mL)で希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄する。
【0041】
濃縮工程では、洗浄工程を経たCHCl3溶液を無水MgSO4で乾燥させた後に、減圧下で濃縮することで目的化合物ジブロモ体8b(n=2)を定量的に得た。
【0042】
以上のように生成したジブロモ体8b(n=2)は、淡黄色固体であり、これを赤外吸収分析(infrared absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:3067, 3026, 2956, 2918, 2860, 1613,
1598, 1567, 1448, 1402, 1262, 1060, 1000, 885, 815, 804, 740cm-1である。
【0043】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.77(d,
2H, J=7.0Hz), 7.66-7.58(m, 8H), 7.49(dd, 2H, J=8.0Hz, 2.0Hz), 1.56(s,
12H);である。13CNMR(CDCl3)は、δ(ppm):155.92,
153.95, 141.06, 137.84, 137.42, 130.19, 126.51, 126.18, 121.44, 121.09, 120.40,
47.24, 27.11.である。
【0044】
ジブロモ体8b(n=2)と同様に、モノ-フルオレン化合物7a(n=1, 0.348g, 0.9mmol)とヨウ素(4mg)とを溶解させたクロロホルム(CHCl3(15mL))溶液に臭素(Br2)(0.32g, 2.0mmol)を溶解させたCHCl3溶液を滴下して反応させ目的化合物としてジブロモ体8a(n=1)を96%の収率で得た。
【0045】
ジブロモ体8a(n=1)は、淡黄色固体であり、これを赤外吸収分析(infrared absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:3082, 2962, 2921, 2864, 1448, 1399,
1259, 1060, 1003, 866, 825, 794, 439cm-1である。
【0046】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.55-7.53(m,
4H), 7.46(dd, 2H, J=8.0Hz, 1.5Hz), 1.46(s, 6H)である。13CNMR(CDCl3)は、δ(ppm):154.24,
152.71, 142.18, 138.92, 133.87, 128.74, 127.72, 126.90, 122.61, 120.41, 119.33,
83.70, 46.80, 27.04, 24.88である。
【0047】
ジブロモ体8b(n=2)と同様に、トリ-フルオレン化合物7c(n=3, 0.348g, 0.9mmol)とヨウ素(4mg)とを溶解させたクロロホルム(CHCl3(15mL))溶液に臭素(Br2)(0.32g, 2.0mmol)を溶解させたCHCl3溶液を滴下して反応させ、目的化合物としてジブロモ体8c(n=3)を36%の収率で得た。
【0048】
ジブロモ体8c(n=3)は、淡黄色固体であり、これを赤外吸収分析(infrared absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:2955, 2921, 2856, 2360, 1610, 1452,
1425, 1402, 1267, 1059, 1002, 881, 815, 741, 454cm-1である。
【0049】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.84(d,
2H, J=8.0Hz), 7.77(d, 2H, J=8.0Hz), 7.71-7.65(m, 8H), 7.63-7.58(m,
4H), 7.49(dd, 2H, J=8.0Hz, 1.5Hz), 1.64(s, 6H), 1.56(s, 12H)である。13CNMR(CDCl3)は、δ(ppm):155.97,
154.65, 153.97, 141.28, 140.68, 138.17, 137.92, 137.33, 130.19, 126.52, 126.41,
126.19, 121.42, 121.00, 120.42, 120.39, 47.26, 47.15, 28.93, 27.13.である。
【0050】
(c)オリゴ-フルオレン誘導体94H(m=4, R=H)の生成工程
【0051】
本実施例のオリゴ-フルオレン誘導体94H(m=4, R=H)は、2-(2-フェニル-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6a(R=H)とジブロモ体8b(n=2)との反応により、下記[式10]に示すような反応式を含む生成工程を経て生成される。
[式10]

【0052】
[式10]で表される反応式は、アルゴン雰囲気下、トルエン(5mL)と2MK2CO3水溶液(6mmol, 3mL)との混合溶液に2-(2-フェニル−9, 9−ジメチル−9H−フルオレン−7−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロン6a(R=H)、ジブロモ体8b(n=2, 0.109g, 0.2mmol), メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(115mg)とPd(PPh3)4(0.012g, 0.01mmol)を加え、環流条件下46時間強撹拌し、目的化合物(オリゴ-フルオレン誘導体94H(m=4,
R=H))を得る。
【0053】
[効果]
以上のような手順で生成した本実施例のオリゴ-フルオレン誘導体は、単一物質であるため次のような効果がある。
(1)単一分子であるために、融点や溶解度の分布が狭い。このため、蒸着や、高純度化などの加工時における容易性が高くなると共に、加工精度が高くなる。
(2)π電子のエネルギー準位の分布がシャープになるなど、オリゴ-フルオレン誘導体としての特性の分布がシャープになる。このため、例えば本実施例のオリゴ-フルオレン誘導体を有機ELに使用した場合に、発光波長分布がシャープになるなどの効果がある。
【実施例2】
【0054】
(オリゴ-フルオレン誘導体9mR(R=F)の作成方法)
[生成工程]
実施例2は、2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)とジブロモ体8a-c(n=1-3)で生成されるオリゴ-フルオレン誘導体9mR(m=3〜5, R=F)の生成手順を示すものである。以下では、一例として、オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)の生成工程を示す。
【0055】
オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)は、2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)とジブロモ体8a(n=1)とを反応させることにより生成する。以下では、(a)2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)、(c)オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)それぞれの生成工程について詳述する。なお、ジブロモ体8a(n=1)の生成工程については、実施例1で記載してあるので省略する。
【0056】
(a)2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)の生成工程
【0057】
本実施例の2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)は、下記[式11]〜[式13]に示すような反応式を含む生成工程を経て生成される。
[式11]

[式12]

[式13]

【0058】
[式11]について
[式11]で表される反応式は、2-(4-フルオロフェニル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3b(R=F)の生成工程における反応式である。2-(4-フルオロフェニル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3b(R=F)の生成工程は、図2に示すように、攪拌工程、有機層抽出工程、濃縮工程、精製工程からなる。
【0059】
攪拌工程は、アルゴン雰囲気下、1, 1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド-ジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)CH2Cl2)(0.073g, 0.09mmol)と酢酸カリウム(KOAc)(1.060g, 10.8mmol)を溶解させたジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に、4-フルオロフェニルブロミド1b(R=F, 0.613g,
3.5mmol)とビス(ピナコラト)ジボロン2(1.161g, 4.5mmol)を加え、80℃で1.5時間撹拌し、反応溶液を得る。
【0060】
有機層抽出工程では、攪拌工程を経た反応溶液に氷水を添加し、酢酸エチル(EtOAc)(80mLx2)で有機層を抽出し、抽出液を得る。
【0061】
濃縮工程では、有機層抽出工程を経た抽出液を無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、減圧下で濃縮し、残留物を得る。
【0062】
精製工程では、濃縮工程を経た残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン/EtOAc=9:1)により精製し、目的化合物(2-(4-フルオロフェニル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3b(R=F))を93%の収率で得る。
【0063】
以上のように生成した(2-(4-フルオロフェニル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3b(R=F))は、無色液体であり、これを赤外吸収分析(infrared absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:2979, 2932, 1604, 1590, 1399, 1362,
1319, 1271, 1222, 1145, 1089, 962, 860, 838, 730, 652cm-1である。
【0064】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.8~7.7(m, 2H), 7.1-7.0(m, 2H), 1.34(s, 12H)である。13CNMR(CDCl3)は、δ(ppm):136.99,
136.92, 114.88, 114.72, 83.86, 24.82.である。
【0065】
さらに、(2-(4-フルオロフェニル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3b(R=F))は、C12H16BFO2としての計算値であるC, 64.90;H, 7.26%.実測値:C, 65.04;H, 7.40%となる。
【0066】
[式12]について
[式12]で表される反応式は、2-ブロモ-7-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5b(R=F)の生成工程における反応式である。2-ブロモ-7-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5b(R=F)の生成工程は、図2に示すように、攪拌工程、有機層抽出工程、濃縮工程、精製工程からなる。
【0067】
攪拌工程は、アルゴン雰囲気下、トルエン(25mL)と2M炭酸カリウム(K2CO3)水溶液(20mmol, 10mL)との混合溶液に2-(4-フルオロフェニル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン3b(R=F, 0.444g, 2mmol), 2, 7-ジブロモ-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン4(2.112g, 6.0mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)(0.092g, 0.08mmol)を加え、環流条件下22時間強撹拌し、反応溶液を得る。
【0068】
有機層抽出工程では、攪拌工程を経た反応溶液から有機層をトルエン(60mL×2)で有機層を抽出し、抽出液を得る。
【0069】
濃縮工程では、有機層抽出工程を経た抽出液を無水MgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮し、残留物を得る。
【0070】
精製工程では、濃縮工程を経た残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサンのみからヘキサン/CH2Cl2=9:1に展開溶媒を変更)により精製し、目的化合物(2-ブロモ-7-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5b(R=F))を74%の収率で得る。
【0071】
以上のように生成した2-ブロモ-7-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5b(R=F)は、無色液体であり、これを赤外吸収分析(infrared absorption spectrometry)により測定した結果は、nmax:3044, 2961, 2923, 2860, 1601, 1513,
1453, 1402, 1257, 1221, 1158, 820cm-1である。
【0072】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.72(d,
1H, J=7.5Hz), 7.60-7.56(m, 4H), 7.51(dd, 2H, J=8.0Hz, 1.5Hz), 7.46(dd,
1H, J=8.0Hz, 1.5Hz), 7.24-7.12(m, 2H), 1.51(s, 6H)である。13CNMR(CDCl3)は、δ(ppm):156.12,
154.21, 140.10, 138.03, 137.62, 130.47, 129.02, 128.96, 126.53, 126.44, 121.71,
121.54, 121.39, 120.67, 116.01, 115.84, 47.46, 27.32である。
【0073】
さらに、2-ブロモ-7-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5b(R=F)の元素分析は、C12H16BrFとしての計算値であるC, 68.68;H, 4.39%.実測値:C, 68.78;H, 4.34%となる。
【0074】
[式13]について
[式13]で表される反応式は、2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)の生成工程における反応式である。2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)の生成工程は、図2に示すように、攪拌工程、有機層抽出工程、濃縮工程、精製工程からなる。
【0075】
攪拌工程は、アルゴン雰囲気下、PdCl2(dppf)CH2Cl2(0.073g, 0.09mmol)とKOAc(1.060g, 10.8mmol)を溶解させたDMSO溶液に2-ブロモ-7-(4-フルオロフフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン5b(R=F, 0.661g, 1.8mmol)とビス(ピナコラト)ジボロン2(0.686g,
2.7mmol)を加え、80℃で1時間撹拌し、反応溶液を得る。
【0076】
有機層抽出工程では、攪拌工程を経た反応溶液に氷水を添加し、EtOAc(100mLx2)で有機層を抽出し、抽出液を得る。
【0077】
濃縮工程では、有機層抽出工程を経た抽出液を無水MgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮し、残留物を得る。
【0078】
精製工程では、濃縮工程を経た残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン/EtOAc=9:1)により精製し、目的化合物(2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F))を84%の収率で得る。
【0079】
以上のように生成した2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)は、無色固体であり、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.89(s,
1H, ), 7.83(dd, 1H, J=7.5Hz, 1.0Hz), 7.79(d, 1H, J=8.0Hz), 7.75-7.74(m,
1H), 7.62-7.59(m, 3H), 7.52(dd, 1H, J=8.0Hz, 1.5Hz), 7.2-7.1(m, 2H), 1.54(s,
6H), 1.38(s, 12H).である。さらに、2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)の元素分析は、C27H28BFO2としての計算値であるC, 78.27;H, 6.81%.実測値:C, 78.34;H, 6.77%となる。
【0080】
(c)2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F)とジブロモ体8a(n=1)とを反応によるオリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)の生成工程
【0081】
本実施例のオリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)は、下記[式14]に示すような反応式を含む生成工程を経て生成される。オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)の生成工程は、図1に示すように、滴下工程、攪拌工程、洗浄工程、濃縮工程からなる。
[式14]

【0082】
攪拌工程は、アルゴン雰囲気下、トルエン(5mL)と2MK2CO3水溶液(6mmol, 3mL)との混合溶液に2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6b(R=F, 0.166g, 0.4mmol), ジブロモ体8a(n=1, 0.070g, 0.2mmol), メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(115mg)とPd(PPh3)4(0.012g, 0.01mmol)を加え、環流条件下46時間強撹拌し、反応溶液を得る。
【0083】
有機層抽出工程では、攪拌工程を経た反応溶液から、CHCl3(80mL)で有機層を抽出し、抽出液を得る。
【0084】
濃縮工程では、有機層抽出工程を経た抽出液を1M硝酸水溶液(30mL×3)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0085】
精製工程では、濃縮工程を経た残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン/CH2Cl2=4:1)により精製し、目的化合物(オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3,
R=F))を79%の収率で得る。
【0086】
以上のように生成したオリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)は、淡黄色固体である。これを赤外分光法(infrared spectroscopy)により測定した結果は、nmax:ν:3020, 2956,
2921, 2859, 1602, 1514, 1458, 1223, 1159, 814, 744cm-1である。
【0087】
また、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した1H-NMRは、δ(ppm):7.87-7.81(m,
6H), 7.75-7.74(m, 4H), 7.69(dd, 2H, J=7.5Hz, 1.5Hz), 7.66-7.63(m, 6H), 7.57-7.55(m,
2H), 7.19-7.16(m, 4H), 1.67(s, 6H), 1.64(s, 12H)である。
【0088】
さらに、オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)の元素分析は、C57H44F2としての計算値であるC, 89.26;H, 5.78%.実測値:C, 89.16;H, 5.63%.となる。
【0089】
[効果]
以上のような手順で生成した本実施例のオリゴ-フルオレン誘導体は、実施例1のオリゴ-フルオレン誘導体と同様に単一物質であるため実施例1のオリゴ-フルオレン誘導体と同様の特性をもつ。
【0090】
[他の実施例]
なお、前記実施例1,2では、オリゴ-フルオレン誘導体93F(m=3, R=F)及びオリゴ-フルオレン誘導体94H(m=4, R=H)の生成手順について説明したが、これらの実施例は一例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、以下の(1)〜(2)のオリゴ-フルオレン誘導体94F(m=4, R=F)及びオリゴ-フルオレン誘導体95F(m=5, R=F)も本発明に包含される。
【0091】
(1)オリゴ-フルオレン誘導体94F(m=4, R=F)
オリゴ-フルオレン誘導体94F(m=4, R=F)は、実施例1,2と同様の方法で作成することができる。すなわち、2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6bとジブロモ体8b(n=2)とを反応させることにより目的化合物(オリゴ-フルオレン誘導体94F(m=4, R=F))として38%の収率で得る。
【0092】
生成したオリゴ-フルオレン誘導体94F(m=4, R=F)は、淡黄色固体である。これを赤外分光法(infrared spectroscopy)により測定した結果は、nmax:3021, 2958, 2922, 1600, 1514, 1458, 1407, 1232, 1162, 813cm-1である。
【0093】
また、オリゴ-フルオレン誘導体94F(m=4, R=F)の元素分析は、C57H44F2としての計算値であるC, 90.15;H, 5.88%.実測値:C, 90.44;H, 6.17%.となる。
【0094】
(2)オリゴ-フルオレン誘導体95F(m=5, R=F)
オリゴ-フルオレン誘導体95F(m=5, R=F)は、実施例1,2と同様の方法で作成することができる。すなわち、2-(2-(4-フルオロフェニル)-9, 9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル)-4, 4, 5, 5-テトラメチル-1, 3, 2-ジオキサボロン6bとジブロモ体8c(n=3)とを反応させることにより目的化合物(オリゴ-フルオレン誘導体95F(m=5, R=F))として53%の収率で得る。
【0095】
以上のように生成したオリゴ-フルオレン誘導体95F(m=5, R=F)は、淡黄色固体である。これを赤外分光法(infrared spectroscopy)により測定した結果は、nmax:3020, 2956, 2922, 2859, 1602, 1513, 1457, 1224, 1160, 813, 744cm-1.である。
【0096】
また、オリゴ-フルオレン誘導体95F(m=5, R=F)の元素分析は、C87H68F2としての計算値であるC, 90.75;H, 5.95%.実測値:C, 91.01;H, 6.24%.となる。
【実施例3】
【0097】
(オリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極の特性比較)
実施例3では、オリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極を作製し、このオリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極のサイクリックボルタモグラム評価を行った。
【0098】
(化合物:92F〜95F
まず、50mLのイソプロピルアルコールに20mgのオリゴフルオレン誘導体(92F〜95F)粉末と10mgのカーボンナノチューブ粉末(比表面積:200m/g)を加え、機械的攪拌により分散液を得た。その分散液をろ過し、オリゴフルオレン誘導体がカーボンナノチューブに担持されたオリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体のシートを得た。シートを約2cmにカットし、同サイズのアルミニウム集電体に圧着することにより、オリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極を得た。
(化合物:C8PF)
また、通常の分子量の異なるポリマーを含むC8PF(ポリ(9, 9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2, 7-ジイル))を用い、同様にして、ポリフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極を得た。
【0099】
このオリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極を用い、対極に活性炭シート、参照極に銀−銀イオン電極を用いて、三極式セルにてサイクリックボルタモグラムを測定した。
【0100】
測定には、電解液には1Mテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを溶解したアセトニトリルを用いた。電位範囲は−3.5Vから+1.6Vまで、電位走査速度は50mVs−1とした。表1は、オリゴフルオレン誘導体(92F〜95F)ごとの複合体電極と、C8PFを用いた複合体電極の電気特性(レドックス電位、容量、クーロン効率)を示した表である。
【表1】

【0101】
表1からは、オリゴフルオレン誘導体93F〜95Fを用いたオリゴフルオレン誘導体の電極は、容量のNドープが20mAh/g以上であり高い容量特性を示すことが判る。また、クローン効率は、オリゴフルオレン誘導体92Fとオリゴフルオレン誘導体93Fとでは、33%と大きく異なっている。このように、本実施例のオリゴフルオレン誘導体/カーボンナノチューブ複合体電極は、ポリフルオレンを使用した電極と同等の電気特性を示していることが判る。
【0102】
また、同等の電気特性を奏することだけでなく、様々な分子量の混合物であるポリフルオレンと比較して、オリゴ−フルオレン誘導体を用いた電極は、分子の繰り返しを制御することができる。すなわち、分子のバンドギャップをコントロールすることが可能である。このため、(1)高分子有機EL材料として用いた場合の発光色の制御(2)色素増感太陽電池として用いた場合の吸収波長の制御(3)有機半導体レーザや有機トランジスタでの作動電位の制御などの面で有利な効果を奏することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオレン環構造を有するフルオレン誘導体であり、
下記[化1]において式中のmとRの組み合わせが、
(1)m=4,R=H
(2)m=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R=C2n+1、ここでn=1〜4)、CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
の(1)(2)のうちのいずれか1つであることを特徴とするフルオレン誘導体。
【化1】

【請求項2】
前記フルオレン誘導体において式中のmとRの組み合わせが、m=3〜5,R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R,=C2n+1、ここでn=1〜2)、CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1)であることを特徴とする請求項1に記載のフルオレン誘導体。
【請求項3】
請求項1または請求項2の前記フルオレン誘導体は、下記[式1]で表される反応工程を含むことを特徴とするフルオレン誘導体の製造方法。
[式1]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R=C2n+1、ここでn=1〜4)、CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【請求項4】
請求項1または請求項2の前記フルオレン誘導体は、下記[式2]で表される反応工程を含むことを特徴とする請求項3に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
[式2]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R=C2n+1、ここでn=1〜4)、CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【請求項5】
請求項1または請求項2の前記フルオレン誘導体は、下記[式3]で表される反応工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
[式3]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R=C2n+1、ここでn=1〜4)、CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【請求項6】
請求項1または請求項2の前記フルオレン誘導体は、下記[式4]で表される反応工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
[式4]

式中、R=ハロゲン(F, Cl, Br, I)、CF3、COOR(式中、R=C2n+1、ここでn=1〜4)、CON(R)2(式中、R=C2m+1、ここでm=1〜2)またはSO2C10H21
【請求項7】
請求項1または請求項2の前記フルオレン誘導体は、下記[式5]で表される反応工程を含むことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
[式5]

式中、nは1〜3を表す。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−107845(P2013−107845A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253359(P2011−253359)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「ナノテクノロジープログラム/カーボンナノチューブキャパシタ開発プロジェクト」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000228578)日本ケミコン株式会社 (514)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】