説明

フルオロアルカン誘導体、ゲル化剤及びゲル状組成物

【課題】多様な非水溶媒を少量の添加でゲル化又は固化できる新規なフルオロアルカン誘導体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、下記一般式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体を提供する。
R−SO2−Ar−O−R1 (1)
(式中、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示し、R1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、Rはパーフルオロアルキル基を有する飽和又は不飽和の炭素数2〜22の1価の炭化水素基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロアルカン誘導体、ゲル化剤及びゲル状組成物、並びに電気化学デバイス用の電極、色素増感太陽電池用電解液及び二酸化炭素吸収性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種産業分野(例えば、塗料、化粧品、医薬医療、石油流出処理、電子・光学分野、環境分野など)において、液体状物質を固化、すなわちゼリー状に固めたり、又は、増粘したりする目的でゲル化剤が用いられている。
これらのゲル化剤としては、水をゲル化(固化)させるもの、並びに、非水溶媒及びそれらを主として含む溶液等をゲル化(固化)させるものがある。また、ゲル化剤の構造は高分子量型と低分子量型とに大別することができる。高分子量型のゲル化剤は、主に非水溶媒のゲル化に用いられ、親油性を有する高分子ポリマーの絡み合った分子中に油類を取り込み膨油しつつ、固体状を保つことを特徴とする。一方、低分子量型のゲル化剤の多くは、分子内に水素結合性官能基(例えば、アミノ基、アミド基及びウレア基など)を含むものであり、水素結合によって水や非水溶媒をゲル化することを特徴とする(例えば、特許文献1参照)。低分子量型のゲル化剤は、水のゲル化剤としては一般的であるが、非水溶媒のゲル化剤としての開発は比較的遅れていた。
【0003】
さらに、水素結合性基を有しない低分子量型のゲル化剤は、例えば、特許文献2及び非特許文献1に開示されているものの、その例は極めて少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−231942号公報
【特許文献2】国際公開第2009/78268号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Fluorine. Chem.111,47−58(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非水溶媒をゲル化するための従来のゲル化剤は、一般に、大量に、例えば溶液に対して10%程度用いる必要があり、しかも、比較的低い温度、例えば30〜40℃程度でゾルに転移し、液状に戻る傾向があった。溶媒(水又は非水溶媒)をゲル化させるために多くのゲル化剤を使用することは、経済的に不利であるばかりでなく、ゲル化される溶媒中への異物の混入量が多くなることを意味しており、ゲル化された溶媒を利用する場合、不純物としてのゲル化剤の影響も無視し得ないこともある。また、ゲル化温度の上限が低いと、少しの温度上昇により、形状が保てなくなり、流動化して液洩れ等の原因となる場合がある。そこで、より少量で且つ比較的高温までゲル状態が保たれるゲル化剤の開発が望まれている。
【0007】
また、水素結合性が弱いことで、非水溶媒中及び強固な水素結合が存在できない系をゲル化できるゲル化剤が広く求められている。
【0008】
しかしながら、従来のゲル化剤はゲル化可能な溶媒の種類が少なく、しかもゲルの安定性に難があり、非水溶媒のゲル化には、比較的大量のゲル化剤を必要とするなど、種々の問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、多様な非水溶媒を少量の添加でゲル化又は固化できる新規なフルオロアルカン誘導体、その化合物よりなるゲル化剤及びそのゲル化剤を含むゲル状組成物、並びに、新規なフルオロアルカン誘導体を含む電極、色素増感太陽電池用電解液及び二酸化炭素吸収性組成物を提供することを目的とする。
【0010】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]下記一般式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体。
R−SO2−Ar−O−R1 (1)
(式中、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示し、R1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、Rはパーフルオロアルキル基を有する飽和又は不飽和の炭素数2〜22の1価の炭化水素基を示す。)
[2]前記Rが下記一般式(2)で表される基である、[1]に記載のフルオロアルカン誘導体。
m2m+1p2p− (2)
(式中、mは2〜16の自然数を示し、pは0〜6の整数を示す。)
[3]前記Arが、1つ以上の芳香族炭化水素環を有する縮合環、又は、複数の芳香環を単結合により結合した基であって、前記芳香環のうち1つ以上が芳香族炭化水素環である基である、[1]又は[2]に記載のフルオロアルカン誘導体。
[4]前記Arがビフェニレン基である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のフルオロアルカン誘導体。
[5][1]〜[4]のいずれか一つに記載のフルオロアルカン誘導体からなるゲル化剤。
[6][5]に記載のゲル化剤と、有機溶媒とを含有するゲル状組成物。
[7][1]〜[4]のいずれか一つに記載のフルオロアルカン誘導体を含む電気化学デバイス用の電極。
[8][1]〜[4]のいずれか一つに記載のフルオロアルカン誘導体を含む色素増感太陽電池用電解液。
[9][1]〜[4]のいずれか一つに記載のフルオロアルカン誘導体とイオン液体とを含む二酸化炭素吸収性組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、多様な非水溶媒を少量の添加でゲル化又は固化できる新規なフルオロアルカン誘導体、その化合物よりなるゲル化剤及びそのゲル化剤を含むゲル状組成物、並びに、新規なフルオロアルカン誘導体を含む電極、色素増感太陽電池用電解液及び二酸化炭素吸収性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態のフルオロアルカン誘導体は、パーフルオロアルキル基を有するアルキルスルホニル基と炭化水素オキシ基とを有するものであり、上記一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」と表記する。)であり、好ましくは、式(1)中のRが上記一般式(2)で表される基である化合物(以下「化合物(2)」)と表記する。)である。
【0013】
一般式(1)において、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示す。その2価の芳香族基は、いわゆる「芳香族性」を示す環式の2価の基である。この2価の芳香族基は、炭素環式の基であっても複素環式の基であってもよい。これらの2価の芳香族基は、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。2価の芳香族基の置換基は、後述のパーフルオロアルキル(オリゴメチレン)チオ基の導入及び炭化水素オキシ基の導入を容易に可能にする観点から選ばれると好ましい。
【0014】
炭素環式の基は、その核原子数が10〜30であり、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。その具体例としては、例えばビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。また、炭素環式の基は、核原子数が10〜30の範囲内において、上述の2価の基を2つ以上(互いに同一であっても異なっていてもよい)有するものであってもよい。
複素環式の基は、その核原子数が8〜30であり、例えば、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基、ピリミジレン基に代表される核を、核原子数8〜30の範囲内において2つ以上(互いに同一であっても異なっていてもよい)有する2価の基が挙げられる。
さらに、Arは、核原子数8〜30の範囲内において上記炭素環式の基及び複素環式の基の両方を有する基であってもよい。
Arは、核原子数が8以上であることで高いゲル化能を示し、R及びR1の構造や炭素数選択の自由度が高くなる。また、Arの核原子数が30以下である化合物(1)の原料は入手が容易であり、また、合成も容易である。
これらの中でも、ゲル化能と合成容易性との観点から、2価の芳香族基として、置換又は無置換の1つ以上の芳香族炭化水素環(より好ましくはベンゼン環)を有する縮合環、又は、複数の芳香環を単結合により結合した基であって、上記芳香環のうち1つ以上が芳香族炭化水素環(より好ましくはベンゼン環)である基が好ましい。2価の芳香族基は、更に好ましくは置換又は無置換のビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基及びフェニレンピリジレン基(−Ph−Py−;Phはベンゼン環、Pyはピリジン環を示す。)であり、ビフェニレン基が最も好ましい。また、上記置換基としては、メチル基、エチル基に代表されるアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。なお、本明細書において「芳香環」は、炭素環式であっても複素環式であってもよい。
【0015】
1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基であってもよく、更に芳香族炭化水素基を有していてもよい。この炭化水素基が1価の脂肪族炭化水素基である場合、分岐していてもよく分岐していなくてもよい。また、1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基を有する場合、その芳香族炭化水素基が更に置換基を有していてもよく有していなくてもよい。ただし、その1価の炭化水素基は、化合物(1)が非水溶媒に溶解して、その非水溶媒をゲル化させるために、ベンジル基に代表されるアリールアルキル基等の、化合物(1)を非水溶媒に溶解可能にする炭化水素基であることが好ましい。その1価の炭化水素基の炭素数が21以上であると、原料の入手が困難となる。R1で示される1価の炭化水素基は、ゲル化能、合成容易性、及びハンドリングの観点から、炭素数1〜14のアルキル基であると好ましい。
【0016】
Rはパーフルオロアルキル基を有する飽和又は不飽和の炭素数2〜22の1価の炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基であってもよく、更に芳香族炭化水素基を有していてもよい。この炭化水素基が1価の脂肪族炭化水素基である場合、分岐していてもよく分岐していなくてもよい。また、1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基を有する場合、その芳香族炭化水素基が更に置換基を有していてもよく有していなくてもよい。1価の炭化水素基は、パーフルオロアルキル基を分子の主鎖上に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。さらには、1価の炭化水素基は、パーフルオロアルキル基を1つ有していても2つ以上有していてもよい。また、パーフルオロアルキル基は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。パーフルオロアルキル基の炭素数は2〜12であると好ましく、2〜6であるとより好ましい。また、パーフルオロアルキル基は直鎖状であると好ましい。パーフルオロアルキル基が長いほどゲル化能が高く、また、パーフルオロアルキル基が短いほど原料入手や合成が容易となる。
【0017】
化合物(2)において、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示す。その2価の芳香族基は、いわゆる「芳香族性」を示す環式の2価の基である。この2価の芳香族基は、炭素環式の基であっても複素環式の基であってもよい。これらの2価の芳香族基は、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。2価の芳香族基の置換基は、後述のパーフルオロアルキル(オリゴメチレン)チオ基の導入及び炭化水素オキシ基の導入を容易に可能にする観点から選ばれると好ましい。
【0018】
炭素環式の基は、その核原子数が10〜30であり、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。その具体例としては、例えばビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。また、炭素環式の基は、核原子数が10〜30の範囲内において、上述の2価の基を2つ以上(互いに同一であっても異なっていてもよい)有するものであってもよい。
複素環式の基は、その核原子数が8〜30であり、例えば、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基、ピリミジレン基に代表される核を、核原子数8〜30の範囲内において2つ以上(互いに同一であっても異なっていてもよい)有する2価の基が挙げられる。
さらに、Arは、核原子数8〜30の範囲内において上記炭素環式の基及び複素環式の基の両方を有する基であってもよい。
Arは、核原子数が8以上であることで高いゲル化能を示し、Rの構造やmの値の範囲について選択幅の自由度が高くなる。また、Arの核原子数が30以下である化合物(2)の原料は入手が容易であり、また、合成も容易である。
これらの中でも、ゲル化能と合成容易性の観点から2価の芳香族基として、置換又は無置換の1つ以上の芳香族炭化水素環(より好ましくはベンゼン環)を有する縮合環、又は、複数の芳香環を単結合により結合した基であって、上記芳香環のうち1つ以上が芳香族炭化水素環(より好ましくはベンゼン環)である基が好ましい。2価の芳香族基は、更に好ましくは置換又は無置換のビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基及びフェニレンピリジレン基(−Ph−Py−;Phはベンゼン環、Pyはピリジン環を示す。)であり、ビフェニレン基が最も好ましい。また、上記置換基としては、メチル基、エチル基に代表されるアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0019】
1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基であってもよく、更に芳香族炭化水素基を有していてもよい。この炭化水素基が1価の脂肪族炭化水素基である場合、分岐していてもよく分岐していなくてもよい。また、1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基を有する場合、その芳香族炭化水素基が更に置換基を有していてもよく有していなくてもよい。ただし、その1価の炭化水素基は、化合物(2)が非水溶媒に溶解して、その非水溶媒をゲル化させるために、ベンジル基に代表されるアリールアルキル基等の、化合物(2)を非水溶媒に溶解可能にする炭化水素基であることが好ましい。その1価の炭化水素基の炭素数が21以上であると、原料の入手が困難となる。R1で示される1価の炭化水素基は、ゲル化能、合成容易性、及びハンドリングの観点から、炭素数1〜14のアルキル基であると好ましい。
【0020】
mは2〜16の自然数を示し、2〜12の自然数であると好ましく、2〜6の自然数であると更に好ましい。mの範囲を上記範囲に調整することで、化合物(2)はより高いゲル化能、ハンドリング性、合成容易性及び原料入手容易性を達成することができる。化合物(2)のゲル化能の観点から、pは0〜6の整数を示し、2〜4の自然数であると好ましい。
【0021】
さらに、多様な非水溶媒に対して優れたゲル化能を有する観点、並びに、ゲル状組成物として安定的に存在し得る観点から、mの値とR1における炭素数との合計が、7〜20であると好ましく、8〜16であるとより好ましく、10〜14であると更に好ましい。
【0022】
化合物(1)及び化合物(2)の合成方法は特に限定されず、任意の方法で化合物(1)及び化合物(2)を合成することができる。例えば、最初に芳香族基の骨格を準備した後に、その両端にアルキル鎖などを反応させて合成することもでき、最初に両端の鎖を準備し、最後に所定の芳香族を合成することもできる。
【0023】
より具体的には、例えば、下記合成法により、化合物(1)及び(2)を得ることができる。まず、下記一般式(1a)で表されるチオール化合物を、乾燥THFなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、下記一般式(1b)で表される化合物でスルフィド化して、下記一般式(1c)で表される化合物を得る。ここで、式(1a)、(1b)及び(1c)中、Ar、m及びpは式(1)及び(2)におけるものと同義であり、X1は、例えばヨウ素原子などのハロゲン原子を示す。
HS−Ar−OH (1a)
m2m+1p2p1 (1b)
m2m+1p2p−S−Ar−OH (1c)
【0024】
次いで、上記一般式(1c)で表される化合物を3−ペンタノンなどの溶媒中、K2CO3などのアルカリ金属化合物の存在下、下記一般式(1d)で表される化合物でエーテル化して、下記一般式(1e)で表される化合物を得る。ここで、式(1d)及び(1e)中、Ar、R1、m及びpは式(1)及び(2)におけるものと同義であり、X2は、例えば臭素原子などのハロゲン原子を示す。
12 (1d)
m2m+1p2p−S−Ar−O−R1 (1e)
【0025】
そして、上記一般式(1e)で表される化合物を、酢酸などの触媒の存在下で、過酸化水素などの酸化剤により酸化することで、化合物(1)及び化合物(2)が得られる。
【0026】
かかる合成法としては、例えば国際公開第2009/78268に記載の合成法を参照することができる。
【0027】
また、Arがビフェニレン基やターフェニレン基、フェニレンピリジレン基などの複数の芳香環を単結合により結合した基である場合は、例えば下記合成法により、化合物(1)及び化合物(2)を得ることができる。まず、下記一般式(1f)で表されるチオール化合物を、乾燥THFなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、上記一般式(1b)で表される化合物でスルフィド化して、下記一般式(1g)で表される化合物を得る。ここで、式(1f)及び(1g)中、m及びpは式(2)におけるものと同義であり、X3は、例えば臭素原子などのハロゲン原子を示し、Ar2は、上記一般式(1)におけるArを構成する2価の芳香族炭化水素基の一部を示す。
HS−Ar2−X3 (1f)
m2m+1p2p−S−Ar2−X3 (1g)
【0028】
次いで、上記一般式(1g)で表される化合物を、酢酸などの触媒の存在下で、過酸化水素などの酸化剤により酸化することで、下記化合物(1h)が得られる。ここで、式(1h)中、Ar2、X3、m及びpは、式(1g)におけるものと同義である。
m2m+1p2p−SO2−Ar2−X3 (1h)
【0029】
そして、上記一般式(1h)で表される化合物と下記一般式(1i)で表される化合物とから、K2CO3などの塩基水溶液中、パラジウム触媒の存在下で、鈴木・宮浦カップリングにより、化合物(1)又は化合物(2)を得る。ここで、式(1i)中、R1は、上記一般式(1)におけるものと同義であり、Ar3は、上記一般式(1)におけるArを構成する2価の芳香族炭化水素基の一部であって、Ar2とは別の一部を示し、Ar2とAr3が単結合により結合したものがArとなる。
1−O−Ar3−B(OH)2 (1i)
【0030】
本実施形態の化合物(1)及び化合物(2)は、非水溶媒をゲル化するゲル化剤として用いることができる。特に、かかる化合物は、多様な非水溶媒を少量の添加によりゲル化又は固化できる点で有利である。また、本実施形態のゲル状組成物は、1種又は2種以上の化合物(1)又は化合物(2)と非水溶媒とを含有する。
【0031】
本実施形態のゲル状組成物に含まれる非水溶媒は特に限定されないが、室温で液体である非水溶媒を用いるのが一般的である。
そのような非水溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びγ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ε―カプロラクトンなどの酸エステル類、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン及びアセトンなどのケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン及びヘキサフルオロベンゼンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及びフルオロアルキルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレンジアミン及びピリジンなどのアミド類、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリルなどのニトリル類、N−メチルピロリドン(NMP)などのラクタム類、スルフォランなどのスルホン類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、シリコンオイル及び石油などの工業オイル類、食用油などが挙げられる。
【0032】
また、非水溶媒としてイオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる常温溶融塩である。イオン液体は、難燃性であり、爆発性が低く、蒸気圧がほとんどないことなどが特徴である。また、イオン液体は、熱やイオンの伝導性が高いこと、イオン種の選択によって物性制御デザインが可能であること、及び選択的で高いガス吸収能を有することなどから、様々な用途への展開が期待されている。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、例えば、PF6アニオン、PF3(C253アニオン、PF3(CF33アニオン、BF4アニオン、BF2(CF32アニオン、BF3(CF3)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、ジシアノアミンアニオン、ハロゲン化物アニオンなどを用いることができる。
【0033】
これらの非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0034】
本実施形態のゲル状組成物は、その全量に対して化合物(1)又は化合物(2)を0.05〜10.0質量%含有すると好ましく、0.1〜5.0質量%含有するとより好ましく、0.3〜3.0質量%含有すると更に好ましい。この含有量が上記下限値以上であることにより、化合物(1)又は化合物(2)がゲル化剤としてより十分に機能する傾向にあり、上記上限値以下であることにより、経済性及びハンドリング性が更に向上する傾向にあると共に、ゲル化剤が不純物となるのを一層抑制し、非水溶媒が有する性能の低下を更に防止することができる。
本実施形態のゲル状組成物は、その全量に対して非水溶媒を80〜99.95質量%含有すると好ましく、90〜99.9質量%含有するとより好ましく、90〜99.7質量%含有すると更に好ましい。この含有量が上記下限値以上であることにより、非水溶媒が有する性能の低下を更に防止することができる傾向にあり、上記上限値以下であることにより、化合物(1)又は化合物(2)がゲル化剤としてより十分に機能する傾向にある。
本実施形態のゲル状組成物は、化合物(1)又は化合物(2)と非水溶媒に加えて、化合物(1)又は化合物(2)のゲル化剤としての機能を阻害しない範囲において他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、例えば、化合物(1)又は化合物(2)以外のゲル化剤、凝固剤、増粘剤、安定剤、酸化防止剤、乳化剤、潤滑剤及び安全性向上添加剤などが挙げられる。
【0035】
本実施形態のゲル状組成物の調製法は特に限定しないが、例えば、非水溶媒、ゲル化剤(すなわち化合物(1)又は化合物(2))及びその他の添加剤などを加熱しながら混合して均一な混合液にした後に当該混合液を降温することで調製できる。各成分の混合順は特に問わないが、予め非水溶媒と添加剤とからなる溶液を調製した後に、ゲル化剤を混合すると、より容易に均一な混合液になるため、好ましい。
【0036】
本実施形態の電極は、1種又は2種以上の化合物(1)又は化合物(2)を含有する電気化学デバイス用の電極である。化合物(1)又は化合物(2)を電極に含有させる方法は、例えば、電極活物質合剤を調製するときに同時に導入してもよく、作製した電極上に後から塗布・塗工してもよい。電極上に化合物(1)又は化合物(2)を塗布・塗工する方法は特に限定されず、例えば化合物(1)又は化合物(2)を溶媒(好ましくは非水溶媒)に溶解又は分散させた溶液あるいはスラリーを準備し、その溶液又はスラリーを電極上にバーコート法により塗布・塗工してもよく、キャスト法により塗布・塗工してもよい。あるいは、上記溶液又はスラリーをスプレー法又は刷毛塗りによって塗布してもよい。
化合物(1)又は化合物(2)を電気化学デバイス用の電極に含有させることで、電極及びその電極を備えた電気化学デバイスの安全性、信頼性、耐久性が向上する。
本実施形態の電極における化合物(1)又は化合物(2)の含有量は、電極としての機能を阻害しない範囲であれば特に限定されない。その含有量は、接着性保持及び安全性向上の観点から、好ましくは、電極活物質100質量部に対して0.1〜20.0質量部であり、より好ましくは1.0〜10.0質量部である。
【0037】
本実施形態の電気化学デバイスとしては、例えば、リチウムイオン二次電池に代表される二次電池及び蓄電池、リチウムイオンキャパシタ及び電気二重層コンデンサに代表されるキャパシタ及びコンデンサ、燃料電池及び太陽電池に代表される発電部材が挙げられる。これらの中でも、本実施形態の電極は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタにおいて好適に用いられる。本実施形態の電気化学デバイスは、上記電極を用いる他は、従来知られている構造であってもよい。
【0038】
本実施形態の色素増感太陽電池用電解液は、1種又は2種以上の化合物(1)又は化合物(2)を含み、好ましくは、更に、非水溶媒と電解質とを含むものである。色素増感太陽電池用電解液に用いられる非水溶媒としては、特に限定されず、様々なものを使用することができるが、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリルなどニトリル基を有する溶媒が好ましく、より好ましくはアセトニトリルである。また、色素増感太陽電池用電解液の非水溶媒として、イオン液体も用いることができる。イオン液体としては、種々のものを選択できるが、イミダゾリウム基を含有したカチオンを有するイオン液体が着目されており(例えば「イオン性液体の機能創成と応用」、株式会社エヌ・ティー・エス、2004年発行)、好ましい。また、電解質としては特に限定されず、従来の色素増感太陽電池の電解液に含まれる電解液であってもよい。
本実施形態の色素増感太陽電池用電解液における化合物(1)又は化合物(2)の含有量は、色素増感太陽電池としての機能を阻害しない範囲であれば特に限定されない。その含有量は、ゲル化能と電解液としての性能の観点から、好ましくは、0.1〜7.0質量%であり、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。
【0039】
本実施形態の二酸化炭素吸収性組成物は、1種又は2種以上の化合物(1)又は化合物(2)とイオン液体とを含む組成物である。イオン液体を用いた二酸化炭素分離回収技術は環境技術として注目されている(例えば「CO2の分離・回収と貯留・隔離技術」、株式会社エヌ・ティー・エス、2009年発行)。二酸化炭素吸収性組成物は、常温付近でCO2を選択的に物理吸収でき、簡易な操作でCO2の分離・回収が行えることが特徴である。イオン液体としては様々なものを用いることができ、特に限定されないが、カチオンとしてイミダゾリウム部位やアンモニウム部位を有するイオンが好ましい。また、アニオンとしては、フッ素を含有するものが好ましく、より好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)イオンである。二酸化炭素を吸収する性質を有するイオン液体を化合物(1)又は化合物(2)のゲル化剤でゲル化させて、その二酸化炭素吸収性組成物を調製することができる。
本実施形態の二酸化炭素吸収性組成物における化合物(1)又は化合物(2)の含有量は、二酸化炭素吸収材としての機能を阻害しない範囲であれば特に限定されない。その含有量は、ゲル化能、二酸化炭素吸収能及びハンドリング性の観点から、好ましくは、0.1〜10.0質量%であり、より好ましくは1.0〜5.0質量%である。
【0040】
本実施形態のフルオロアルカン誘導体は、比較的、多様な非水溶媒に対して、例えば10%以下の少量の添加のみで、ゲル化又は固化することができる。しかも、これを用いたゲル状組成物は、比較的高い温度でもソルに転移し難くゲルとして長期間、安定的に存在することが可能である。さらには、通常水素結合性を有しない又は弱いので、非水溶媒中、及び、水素結合が安定に存在できない系であっても、ゲル化剤の機能を確保するものである。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、ゲル状組成物の特性は下記のようにして測定、評価した。
【0043】
(i)ゲル化能の評価
容器内でゲル化剤と非水溶媒(その一種としてイオン液体を用いる場合もある。)とを加熱しながら混合して均一な混合液とした後に、25℃まで降温してサンプル液を得た。なお、加熱はゲル化剤が溶解するまで行い、最終的な温度は70℃〜100℃の範囲であった。その容器を25℃の環境下で30分静置後、サンプル液が収容された状態で容器を上下逆にして、その際の流動性を確認することでゲル化能を評価した。流動性を失っているものをゲル化したものとして「ゲル状組成物」であると評価し、非水溶媒とゲル化剤との混合比を変化させ、ゲル状組成物にするために必要なゲル化剤の最低濃度(ゲル状組成物の総量を基準とするゲル化剤の濃度)を、ゲル化濃度として求めた。ゲル化剤の量が少ないほどゲル化能が高いといえる。結果を表1〜3及び5に示す。なお、表1〜3及び5の「%」は質量%を意味する。
【0044】
(ii)ゲルの安定性評価
「(i)ゲル化能の評価」で調製した、非水溶媒を含有するサンプル液(ゲル化剤の濃度は、ゲル状組成物にするために必要なゲル化剤の最低濃度)を25℃で3日間静置し、ゲルの様子を目視で判断し、下記のように評価した。なお、流動性の確認はサンプル液を収容した容器を上下逆にして、その際の流動性を確認することによって行った。結果を表4に示す。
A:静置後もゲルとして安定に存在した。
B:静置後はゲルから少量の非水溶媒が染み出した。
C:静置後は流動性を再発現したか、あるいは、ゲル化剤と非水溶媒とが相分離した。
【0045】
(iii)リチウムイオン二次電池のリチウム析出試験
リチウム析出試験は、後述の電極を備えた単層ラミネート型電池であるリチウムイオン電池を作製して行った。9.0mAの定電流で4.2Vまで充電した電池を9.0mAで3.0Vまで放電し、さらに45mAの定電流で1.5時間充電を行った。この充電池を、露点が−60℃以下、水分濃度が10ppm以下の雰囲気下で解体した。解体した電池の負極表面を倍率2000倍の光学顕微鏡で観察し、リチウム析出の挙動を下記の基準で評価した。
A:リチウムの析出が認められない。
B:リチウムの析出は認められるが析出物の表面は平滑である。
C:リチウムの析出が認められ、析出物の表面には鋭い樹状突起(デンドライト)が認められる。
なお、デンドライトの析出は電池短絡の要因となり、電池の安全性が低下する原因となる。
【0046】
(iv)二酸化炭素吸収能試験
二酸化炭素吸収能試験は、磁気浮遊式天秤(日本ベル社製、商品名「MSB−AD」)を用いた重量法により、各二酸化炭素圧力において測定した。二酸化炭素吸収能は、単位重量当たりの二酸化炭素吸収能を25℃、1気圧に換算した量で評価した。
【0047】
(実施例1〜8、比較例1〜3)
下記式(3)〜(12)で表される化合物に対して、表1〜3に示す各種非水溶媒のいずれか1種を添加することによりゲル化能の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
【0048】
下記式(4)〜(12)で表される化合物に対して、表4に示す各種非水溶媒のいずれか1種を添加してゲルの安定性評価を行った。結果を表4に示す。
【0049】
(実施例9〜11)
下記式(3)、(4)及び(13)で表される化合物に対して、表5に示す各種イオン液体のいずれか1種を添加することによりゲル化能の評価を行った。結果を表5に示す。
【化1】

【0050】
【化2】

【0051】
なお、上記式(3)で表される化合物(化合物(3)という。以下同様。)は、下記のようにして合成された。
【0052】
まず、下記のスキームのようにして化合物(a)を得た。具体的には、200mLのナスフラスコ中で2−(パーフルオロヘキシル)エチルアイオダイド15.04g(3.17×10-2mol)と、p−ブロモチオフェノール5.97g(3.16×10-2mol)とのdryテトラヒドロフラン(dryTHF)100mL溶液に、トリエチルアミン4.88g(4.82×10-2mol)を加えて、84℃のオイルバスで20時間還流した。それを室温に戻した後、溶液中に固体が確認されたため、吸引濾過により固体を除去した。
【0053】
濾液を300mLの分液漏斗に移した後、シクロペンチルメチルエーテルを加え、有機層を水で2回洗浄し、有機層に無水硫酸マグネシウムを加え、乾燥した。ひだ折り濾過で無水硫酸マグネシウムを除いた。得られた濾液を減圧下で濃縮し、残渣をエタノールで再結晶した。その結果、化合物(a)12.36gが得られた(収率73%、融点39〜41℃)。化合物(a)の構造は1H−NMRにより確認した。
【化3】

【0054】
次に、下記のスキームのようにして化合物(b)を得た。具体的には、300mLのナスフラスコ中で上記化合物(a)5.01g(9.36×10-3mol)の氷酢酸50mL溶液に35%過酸化水素水2.75g(2.83×10-2mol)を加えて、70℃のオイルバスで89時間撹拌を行った。室温に戻した後、20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5mLを加えて、未反応の過酸化水素を還元した。このとき、既に溶液中に固体が析出していたが、水90mLを加えると、さらに固体が析出した。吸引濾過を行った後、固体を水で洗った。その結果、化合物(b)4.74gが得られた(収率89%、融点127〜129℃)。化合物(b)の構造は1H−NMRにより確認した。
【化4】

【0055】
そして、下記のスキームのようにして化合物(f)すなわち化合物(3)を得た。具体的には、100mLのナスフラスコの中に、4−メトキシフェニルボロン酸0.60g(3.95×10-3mol)、化合物(b)2.24g(3.95×10-3mol)、2Mの炭酸ナトリウム水溶液30mL、1,4−ジオキサン40mL(固体が溶けるまで加えた量)を加えた。これにパラジウムジアセテート0.13g(5.80×10-4mol)、トリフェニルホスフィン0.63g(2.36×10-3mol)を加えた後、ナスフラスコにジムロート管を取り付け、N2雰囲気下、95℃で2.5時間激しく撹拌した。室温まで冷却した後、水50mLを加えて室温で2.5時間撹拌した。300mLの分液漏斗に移した後、有機溶媒として酢酸エチル80mLを加え、水層を除いた。この水層を酢酸エチル50mLで2回抽出した。これらの有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液120mLで1回、飽和食塩水で2回洗った。有機層を200mLの三角フラスコに移した後、活性炭0.2gを加えて室温で30分撹拌した。さらに硫酸ナトリウムを加えて室温で1時間撹拌した。
【0056】
ヌッチェの中に深さ1cmまでセライトを敷き詰めて、それを用いて吸引濾過により固体を除去した。ろ液を200mLのナスフラスコに移した後、減圧下で濃縮し、固体(c)が得られた(固体(c)の量:2.18g)。固体(c)に石油エーテル20mL、メタノール30mLを加えたが、完全には溶けなかったため、吸引濾過し、濾液と固体(d)とした(固体(d)の量:1.24g)。上記の濾液を減圧下で濃縮して、固体(e)とした(固体(e)の量0.78g)。固体(d)及び(e)の1H−NMRスペクトルを測定した結果、固体(d)の主成分が目的物であることが分かった。固体(d)をクロロホルムに溶かした際、溶液中に黒色の微結晶が確認されため、溶液をガラス注射器で取り、シリンダフィルタ(孔径0.45μm、直径13mm)に通して微結晶を取り除いた。フィルタに通した溶液を減圧下で濃縮して、クロロホルムで再結晶を行った。収率を上げるため、再結晶後の濾液を減圧下で濃縮して、クロロホルムとエタノールで再結晶を2回行った。計3回の再結晶の結果、化合物(f)0.87gが得られた(収率37%、融点187〜189℃)。得られた化合物(f)の構造を1H−NMR(CDCl3)及び19F−NMR(CDCl3)により確認した。その結果は以下のとおりであった。
1H-NMR(CDCl3) 2.63 (2H, m), 3.36 (2H, m), 3.88 (3H, s), 7.03 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.58 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.77 (2H, d, J=8.5 Hz) 7.97 (2H, d, J=8.5 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.60 (2F, m), -123.60 (2F, m), -123.34 (2F, m), -122.35 (2F, m), -114.02 (2F, m), -81.25 (3F, m) ppm
【化5】

【0057】
また、上記式(4)で表される化合物(化合物(4)という。以下同様。)は、下記のようにして合成された。化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)、化合物(9)も化合物(4)の合成法に準じて合成した。
【0058】
まず、下記のスキームのようにして化合物(a)を得た。具体的には、窒素雰囲気下で200mLのナスフラスコ中にp−ブロモチオフェノール11.34g(60mmol)を投入し、そこにDME70mLを添加した。さらに、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアイオダイド29.86g(63mmol)とK2CO3 12.42g(90mmol)とを投入して、50℃に加温して3時間攪拌した。それを室温に戻した後、溶液中に残っている固体を吸引濾過にて除去した。固体を除去した後の濾液を減圧下で濃縮した。濃縮により高粘度の油状物が得られたので、その後、50℃で真空乾燥を行い、残存する溶媒と未反応物を留去した。その結果、化合物(a)32.82gが得られた。化合物(a)の構造は1H−NMR(CDCl3)により確認した。
【化6】

【0059】
次に、下記のスキームのようにして化合物(b)を得た。具体的には、窒素雰囲気下で200mLのナスフラスコ中に上記化合物(a)32.82gの氷酢酸100mL溶液に35%過酸化水素水26mL(300mmol)を加えて、70℃のオイルバスで2時間撹拌を行った。そこに水を加えた後、生じた白色固体を吸引濾過により濾過し、その固体に水を加えて2回洗浄し、さらにヘキサンを加えて1回洗浄した。更に、減圧下、90℃で乾燥して、化合物(b)26.34gが得られた(収率75%)。化合物(b)の構造は1H−NMR(CDCl3)により確認した。
【化7】

【0060】
次に、下記のスキームのようにして化合物(j)を得た。具体的には、窒素雰囲気下で200mLのナスフラスコ中に下記化合物(i)4.4g(20mmol)及び3−ペンタノン70mLを投入し、室温で攪拌した後、そこに更にC613Br4.13g(25mmol)とK2CO3 4.14g(30mmol)とを投入して、120℃のオイルバスで11時間還流した。それを室温に戻した後、残っている固体を吸引濾過にて除去した。固体を除去した後の濾液を減圧下で濃縮すると茶色油状物が得られたので、それを真空乾燥(80℃)して、固体状の化合物(j)6.87gが定量的に得られた。化合物(j)の構造は1H−NMR(CDCl3)により確認した。
【化8】

【0061】
そして、下記のスキームのようにして化合物(k)すなわち化合物(4)を得た。具体的には、200mLのナスフラスコの中に、化合物(j)2.0g(6.58mmol)、化合物(b)3.7g(6.58mmol)、1,4−ジオキサン60mL、パラジウムジアセテート0.295g(1.31mmol)、トリフェニルホスフィン1.18g(4.5mmol)及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム7gを水30mLに溶解したもの)を投入した。次いで、ナスフラスコにジムロート管を取り付け、窒素雰囲気下、95℃に加熱して120分保持した。その後、室温まで冷却して上層(ゲル状)と下層(液状)に分離したことを確認して、そこに水を共沸させるためにエタノールを添加した後、エバポレーターで溶媒を留去した。溶媒を留去した後のナスフラスコ内に酢酸エチルを加えて、70℃に加熱して内容物を溶解した後、加熱した状態で酢酸エチルを濾過した。次いで、得られた濾液が入った容器を室温まで冷却して再びゲル化させた。そして、得られたゲル状物を、上澄み液が透明になるまで、ヘキサンにより3回洗浄した。洗浄したゲル状物を濾過して得られた固体を、70℃で減圧乾燥して、2.38gの化合物(k)(白色固体)を得た。
【化9】

【0062】
得られた化合物(k)すなわち化合物(4)の構造を1H−NMR(CDCl3)及び19F−NMR(CDCl3)により確認した。その結果は以下のとおりであった。
1H-NMR(CDCl3) 0.92 (3H, m), 1.36 (6H, m), 1.81 (2H, m), 2.65 (2H, m), 3.35 (2H, m), 4.02 (2H, m), 7.01 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.56 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.77 (2H, d, J=8.0Hz), 7.95 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.62 (2F, m), -123.60 (2F, m), -123.35 (2F, m), -122.36 (2F, m), -114.01 (2F, m), -81.25 (3F, m) ppm
【0063】
化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)及び化合物(9)についても、同様に、構造を1H−NMR(CDCl3)及び19F−NMR(CDCl3)により確認した。その結果は以下のとおりであった。
[化合物(5)]
1H-NMR(CDCl3) 0.90 (3H, m), 1.31 (10H, m), 1.83 (2H, m), 2.67 (2H, m), 3.37 (2H, m), 4.03 (2H, m), 7.01 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.58 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.78 (2H, d, J=8.0Hz), 7.97 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.62 (2F, m), -123.60 (2F, m), -123.34 (2F, m), -122.36 (2F, m), -114.01 (2F, m), -81.25 (3F, m) ppm
[化合物(6)]
1H-NMR(CDCl3) 0.91(3H, m), 1.42 (2H, m),1.81 (2H, m), 2.65 (2H, m), 3.35 (2H, m), 4.03 (2H,m), 7.01 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.57 (2H, d, J=8.0Hz), 7.78 (2H, d, J=8.0Hz), 7.97 (2H, d, J=8.0Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.62 (2F, m), -123.60 (2F, m), -123.34 (2F, m), -122.37 (2F, m), -114.02 (2F, m), -81.25 (3F, m) ppm
【0064】
[化合物(7)]
1H-NMR(CDCl3) 0.90(3H, m), 1.82 (2H, m), 2.65 (2H, m), 3.34 (2H, m), 4.02 (2H,m), 7.00 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.56 (2H, d, J=8.0Hz), 7.76 (2H, d, J=8.0Hz), 7.96 (2H, d, J=8.0Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.62 (2F, m), -123.60 (2F, m), -123.34 (2F, m), -122.36 (2F, m), -114.02 (2F, m), -81.25 (3F, m) ppm
[化合物(8)]
1H-NMR(CDCl3) 0.92 (3H, m), 1.35 (6H, m), 1.80 (2H, m), 2.63 (2H, m), 3.35 (2H, m), 4.02 (2H, m), 7.01 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.56 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.77 (2H, d, J=8.0Hz), 7.95 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.62 (2F, m), -124.50 (2F, m), -114.21 (2F, m), -81.45 (3F, m) ppm
[化合物(9)]
1H-NMR(CDCl3) 0.89 (3H, m), 1.35 (10H, m), 1.81 (2H, m), 2.65 (2H, m), 3.35 (2H, m), 4.01 (2H, m), 7.01 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.56 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.77 (2H, d, J=8.0Hz), 7.95 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.50 (2F, m), -124.56 (2F, m), -124.24 (2F, m), -81.46 (3F, m) ppm
【0065】
また、化合物(10)、化合物(11)及び(12)は、国際公開第2009/78268号に記載の合成法に準じて合成した。化合物(10)、化合物(11)及び化合物(13)についても、その構造を1H−NMR(CDCl3)及び19F−NMR(CDCl3)により確認した。その結果は以下のとおりであった。
[化合物(10)]
1H-NMR(CDCl3) 0.91 (3H, m), 1.36 (6H, m), 1.82 (2H, m), 2.57 (2H, m), 3.29 (2H, m), 4.04 (2H, m), 7.04 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.83 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.59 (2F, m), -123.61 (2F, m), -123.32 (2F, m), -122.35 (2F, m), -114.00 (2F, m), -81.26 (3F, m) ppm
【0066】
[化合物(11)]
1H-NMR(CDCl3) 0.88 (3H, m), 1.27 (14H, m), 1.81 (2H, m), 2.57 (2H, m), 3.29 (2H, m), 4.04 (2H, m), 7.03 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.83 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.61 (2F, m), -123.63 (2F, m), -123.33 (2F, m), -122.36 (2F, m), -114.00 (2F, m), -81.24 (3F, m) ppm
[化合物(12)]
1H-NMR(CDCl3) 0.91 (3H, m), 1.35 (6H, m), 1.81 (2H, m), 2.57 (2H, m), 3.29 (2H, m), 4.04 (2H, m), 7.03 (2H, d, J=12.0 Hz), 7.83 (2H, d, J=8.0 Hz) ppm
19F-NMR(CDCl3) -126.49 (2F, m), -124.59 (2F, m), -114.24 (2F, m), -81.48 (3F, m) ppm
【0067】
化合物(13)は下記のスキームのようにして合成した。より具体的には、窒素雰囲気下、100mLのナスフラスコに1−ブロモ−4−[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルファニル]ベンゼン1.21g(0.0021mol、化合物(b))、2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン0.5g(0.0021mol)、2Mの炭酸ナトリウム水溶液40mL、1,4−ジオキサン40mLを加えた。そこに、トリフェニルホスフィン(0.34g、0.0013mol)、酢酸パラジウム(0.0754g、0.00034mol)を更に加えて、95℃で2.5時間激しく撹拌した。空気雰囲気に戻した後、室温で水50mLをそこに加えて30分撹拌して内部を冷ました。
反応終了後、フラスコ内に固体が確認されたので、酢酸エチルを加えて溶解した。内容物を分液漏斗に移し、水層を除去した後、有機層を1Mの塩酸で3回洗浄し、さらに有機層を水と食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄した。これに硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過により硫化マグネシウムを除去した。濾液をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらにエタノールで再結晶を行い、0.64g(収率:51%)の固体を得た。
【化10】

【0068】
得られた化合物(13)の構造をIR(KBr)及び1H−NMR(CDCl3)により確認した。その結果は以下のとおりであった。
IR (KBr) ν=1138.0, 1151.5, 1197.8, 1209.4, 1234.4, 1294.2, 1485.2, 1606.7 cm-1
1H-NMR (CDCl3) 2.24 (2H, m), 3.36 (2H, m), 4.01 (3H, s), 6.88 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.76 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.83 (1H, dd, J=8.5 Hz, 2.5 Hz), 8.00 (2H,d, J=8.5 Hz), 8.45 (1H, d, J=2.5 Hz) ppm
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
(実施例12)
<リチウムイオン電池用正極の作製>
正極活物質としてリチウムコバルト酸(LiCoO2)と、導電助剤としてアセチレンブラックと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、89.5:4.5:6.0の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μm、幅200nmのアルミニウム箔に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、更に150℃で10時間真空乾燥を行い、50mm×30mmの矩形状に打ち抜いて正極を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が24.8g/cm2±3%、片面での厚さが82.6μm±3%、密度が3.0g・cm3±3%、塗工幅がアルミニウム箔の幅200nmに対して150nmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
【0075】
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト炭素粉末(商品名「MCMB25−28」、大阪ガスケミカル(株)製)と、導電助剤としてアセチレンブラックと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、93.0:2.0:5.0の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ14μm、幅200nmのアルミニウム箔に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、更に150℃で10時間真空乾燥を行い、52mm×32mmに打ち抜いて負極を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が11.8g/cm2±3%、片面での厚さが84.6μm±3%、密度が1.4g・cm3±3%、塗工幅がアルミニウム箔の幅200nmに対して150nmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
【0076】
<パーフルオロカーボン誘導体の塗布>
化合物(4)をジメチルカーボネート100質量部に対して5質量部混合し、85℃で溶解させてジメチルカーボネート溶液(α)を得た。正極活物質と化合物(4)とが質量比で4:1となるように、溶液(α)を加熱状態で上記正極の上に塗布した。塗布後、電極背面から加熱を続けることによりジメチルカーボネートを留去し、化合物(4)を正極上にキャスト塗工した。
同様に、溶液(α)を用い、負極物質と化合物(4)とが質量比で2:1となるように溶液(α)を加熱状態で上記負極上に塗布し、更に加熱を続けることによりジメチルカーボネートを留去し、化合物(4)を負極上にキャスト塗工した。
【0077】
<電池組み立て>
アルミニウム層と樹脂層とを積層したラミネートフィルム(絞り加工なし、厚さ120μm、68mm×48mm)2枚を、アルミニウム層側を外側にして重ねて、三辺をシールしてラミネートセル外装を作製した。続いて、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(膜厚20μm、53mm×33mm)を用意し、上述のようにして化合物(4)を塗布した正極と負極とをセパレータを介して交互に複数重ね合わせた積層体を、ラミネートセル外装内に配置した。次いで、そのセル外装内に電解液を注入し、積層体を電解液に浸漬した。なお、電解液はエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶液に対して、LiPF6を1M溶解させたものを用いた。電解液の注入は、大気圧と100mmHgの減圧とを気泡発生がなくなるまで繰り返しながら行った。100mmHgに減圧した環境下で、ラミネートセル外装の残りの一辺をシールして、リチウムイオン二次電池を得た。
得られたリチウムイオン二次電池に対して、「(iii)リチウムイオン二次電池のリチウム析出試験」を実施した。結果を表6に示す。
【0078】
(実施例12〜14、比較例4)
各電極に化合物(4)の塗工の有無を変更した以外は実施例12と同様にして電池を組み立てて、「(iii)リチウムイオン二次電池のリチウム析出試験」を実施した。評価結果を表6に示す。
【0079】
【表6】

【0080】
(実施例15)
化合物(13)を、イオン液体であるP13 TFSI100質量部に対して5.3質量部添加し、80℃まで加熱して溶解させた後、室温まで冷却して評価サンプルを調製した。そのサンプルを用いて「(iv)二酸化炭素吸収能試験」を実施した。評価結果を表7に示す。
【0081】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のフルオロアルカン誘導体、ゲル化剤及びゲル状組成物は、各種産業分野(例えば塗料、化粧品、医薬医療、石油流出処理、電子・光学材料用途、環境分野など)において、液体状物質を固化させるために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体。
R−SO2−Ar−O−R1 (1)
(式中、Arは置換又は無置換の核原子数8〜30の2価の芳香族基を示し、R1は飽和又は不飽和の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、Rはパーフルオロアルキル基を有する飽和又は不飽和の炭素数2〜22の1価の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
前記Rが下記一般式(2)で表される基である、請求項1に記載のフルオロアルカン誘導体。
m2m+1p2p− (2)
(式中、mは2〜16の自然数を示し、pは0〜6の整数を示す。)
【請求項3】
前記Arが、1つ以上の芳香族炭化水素環を有する縮合環、又は、複数の芳香環を単結合により結合した基であって、前記芳香環のうち1つ以上が芳香族炭化水素環である基である、請求項1又は2に記載のフルオロアルカン誘導体。
【請求項4】
前記Arがビフェニレン基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロアルカン誘導体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロアルカン誘導体からなるゲル化剤。
【請求項6】
請求項5に記載のゲル化剤と、有機溶媒と、を含有するゲル状組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロアルカン誘導体を含む、電気化学デバイス用の電極。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロアルカン誘導体を含む、色素増感太陽電池用電解液。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロアルカン誘導体とイオン液体とを含む、二酸化炭素吸収性組成物。

【公開番号】特開2011−184436(P2011−184436A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27706(P2011−27706)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】