説明

フルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤

式(1)
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1)
の化合物であって、
式中、RfはC1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は各々独立してHまたはFであるが、但しXまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは独立してHまたはFであり、
mは1〜4の整数であり、
nは1〜2の整数であり、そして
MはH、NH4、Li、NaまたはKであるが、但し、CXX’がCHFまたはCFHの場合は、nは2である、化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤の存在下における水性重合媒体中でのフッ素化オレフィンモノマーの分散重合のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水性媒体中でフルオロオレフィンモノマーを重合させるための分散方法は、結果として生ずるフルオロポリマーの粒子の水性分散体に安定性を付与するために界面活性剤を使用する。種々の界面活性剤が、反応速度、分散フルオロポリマーの粒度、分散安定性、色等に影響を及ぼすという理由から、分散重合における使用のために選択される。
【0003】
重合において使用されるフルオロ界面活性剤は、通常、アニオン性、非テロゲン性、水溶性であり、かつ反応条件に対して安定である。米国特許第6,774,164号明細書に開示されているフルオロ界面活性剤は、4個〜18個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基を含む。界面活性剤の疎水性部分におけるフルオロカーボンの「尾」の存在が、顕著に低い表面エネルギーをもたらすことも知られている。そうしたフッ素化界面活性剤は、炭化水素系界面活性剤よりもはるかに大きい界面活性を有する。フルオロケミカル鎖を有する界面活性剤および表面処理剤については、より長いペルフルオロアルキル鎖ほど、所与の濃度でのフッ素含有率が高く、典型的により優れた性能を提供する。しかしながら、より長いペルフルオロアルキル鎖から誘導されたフッ素化材料ほど高価である。
【0004】
Hondaらは、Macromolecules,2005,38,5699−5705において、8個より多くの炭素を有するペルフルオロアルキル鎖については、Rf基として示されるペルフルオロアルキル基の配向は平行な配置に維持されるが、6個未満の炭素を有する当該鎖については再配向が起こることを教示している。この再配向は、表面特性(例えば、接触角)を低下させる。したがって、同じかまたはより高い性能を提供しながらフッ素含有量を減少させることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術のペルフルオロアルキル基が、フッ素効率の上昇を示す部分的にフッ素化された末端基に置き換わった、新規の改善されたフッ素化界面活性剤を提供することが望まれる。「フッ素効率」とは、極力少量のフルオロケミカルを使用して所望の表面効果を得る能力を意味する。高いフッ素効率を有する界面活性剤は、比較の界面活性剤よりも少量のフッ素を使用して同じかまたはより高いレベルの表面効果を生ずる。本発明は、そうした改善されたフッ素化界面活性剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(1)
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1)
の化合物を包含し、式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであるが、但し、XまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、そして
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKであるが、
但し、CXX’がCHFまたはCFHである場合は、nは2である。
【0007】
本発明は、式(1A)
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1A)
の化合物の存在下において水性媒体中で少なくとも1種のフッ素化オレフィンモノマーを重合させる工程を包含する方法をさらに包含し、式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであるが、但し、XまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、そして
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKである。
【0008】
本発明は、液体の表面挙動を変更する方法をさらに包含し、この方法は、上記で規定された式(1A)の化合物をその液体に添加する工程を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において使用される商標は、書き出しに大文字を用いて示される。
【0010】
用語「フルオロアルキルエーテルスルホネート」は、本明細書で使用される場合、フッ素化スルホン酸、もしくはフルオロアルキルエーテルスルホン酸塩、またはそれらの混合物をいう。
【0011】
本発明は、4個以下の連続する炭素を有する、より短いフルオロアルキル鎖を含んだフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤を提供する。さらに、前記フルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、表面挙動を変更する、典型的には表面張力を低下させるのに有用であり、様々な用途(例えば、塗料、洗浄剤、油田、および濡れ、レベリング、粘着防止、起泡などが関与する多くの他の用途)において使用され得る。フルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、非常に低い表面張力(例えば、24mN/m未満)をもたらす。
【0012】
本発明は、4個以下の連続する炭素を有するペルフルオロアルキル鎖を含んだフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤の存在下における水性重合媒体中でのフッ素化オレフィンモノマーの分散重合のための方法をさらに包含する。
【0013】
本発明は、式(1)
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1)
の化合物を包含し、式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであるが、但し、XまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、そして
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKであるが、
但し、CXX’がCHFまたはCFHである場合は、nは2である。
【0014】
式(1)の好ましい化合物は、式中RfがC25またはC37のものである。式中mが2であり、nが2であり、そしてMがHまたはNaである場合の式(1)のそれらの化合物もまた好ましい。
【0015】
式中XおよびX’が各々Fであり、YがHであり、そしてnが2である場合の式(1)の1つの特定の実施形態は、以下の式:
f−O−(CF2m−(CH22SO3
のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤であり、式中、Rf、mおよびMは、式(1)について上記で規定された通りである。この実施形態の例としては、
CF3−O−(CF22−(CH22SO3M、
25−O−(CF22−(CH22SO3M、
37−O−(CF22−(CH22SO3M、
49−O−(CF22−(CH22SO3M、および
37−O−CF(CF3)CF2−(CH22SO3
が挙げられる。
【0016】
本発明の化合物は、例えば、以下の反応スキームに従って調製される。このスキームは、式中XおよびX’が各々Fであり、mが2であり、各YがHであり、nが2であり、そしてMがHである場合の式(1)の実施例について提供されるものであるが、類似の反応が式(1)の他の具体的な実施例を作製するために使用されると理解される。
【0017】
【化1】

【0018】
第1の反応において、ペルフルオロアルキルエーテルヨージドRfOCF2CF2Iが、ルイス酸触媒の存在下における、炭素炭素二重結合を含む過フッ素化化合物とHF溶媒中のIClとの反応により作製される。CF3−O−CF=CF2、C25−O−CF=CF2、C37−O−CF=CF2、C49−O−CF=CF2、C37−O−C(CF3)CF2、またはC37−O−CF(CF3)CF2−O−CF=CF2などの炭素炭素二重結合を含む過フッ素化化合物が例示されるが、これらに限定されない。ペルフルオロアルキルエーテルヨージドの調製方法のさらなる詳細については、参照により本明細書に援用される米国特許第5,481,028号明細書に記載されている。
【0019】
結果として生ずるペルフルオロアルキルエーテルヨージドは、米国特許第3,979,469号明細書に記載されている手順によりエチレンで処理されて、フルオロエチルエチレンヨージドRf−O−(CF22(CH22I(II)を与える。次いで、このフルオロエチルヨージドは、水中のトリオクチルメチルアンモニウムクロリドを用いてのチオシアン酸カリウム(potassium thiocynate)との反応により、フルオロエチルエチレンチオシアネートRf−O−CF2CF2(CH22SCN(III)を与える。次いで、塩素ガスが、フルオロエチルエチレンチオシアネート(III)と酢酸との混合物中に供給される。得られる生成物は、RfOCF2CF2(CH2nSO2Cl(IV)であり、次いでこれが、メタノールで処理されて、RfOCF2CF2(CH22SO3H(V)を与える。
【0020】
あるいは、MがNH4、Li、NaまたはKである場合のフルオロアルキルエーテルスルホン酸塩は、エタノールと水との混合物中で、フルオロエチルエチレンヨージドRf−O−(CF22(CH22I(II)を、対応する亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム)と反応させることにより調製される。
【0021】
式中X’がHであり、そしてmおよびnが各々1である場合の本発明の式(1)の化合物の別の特定の実施形態は、以下の式:
f−O−CXH−CY2−SO3
のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤であり、式中、Rf、X、YおよびMは、式(1)について上記で規定された通りである。これらの化合物は、以下の反応式:
f−O−CF=CF2+MHSO3→Rf−O−CHF−CF2SO3M (VI)
に示される通り、式Rf−O−CX=CX2のフルオロビニルエーテルを、約4〜約12のpHに調節された亜硫酸塩水溶液と反応させることにより作製され得る。
【0022】
本実施形態のヒドロフルオロアルカンスルホン酸塩を作製する際に、適切な容器、好ましくはステンレス鋼または他の耐食性金属の容器が、亜硫酸塩水溶液で満たされる。この溶液は、容器外で調製されるか、または水および乾燥原料を投入することによりインサイチューで作製され得る。乾燥原料の取り扱いを避けることが望ましい場合は、亜硫酸塩溶液は、苛性アルカリ水、好ましくは水酸化ナトリウムまたはカリウム水に、二酸化硫黄(SO2)を添加することにより調製され得る。亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウムまたはカリウム)が亜硫酸塩源である場合は、硫酸がpHの調節に好都合な酸である。
【0023】
亜硫酸塩水の投入後、容器は約0℃〜約−40℃まで冷却され、少なくとも1回、好ましくは2〜3回、排気され次いで窒素または他の不活性ガスで満たされて、酸素が除去される。この容器は排気され、次いでフルオロビニルエーテルで満たされ、閉じられ、加熱が開始される。温度が約125℃まで上げられ、約2〜12時間にわたり、容器の内容物を攪拌しながらその温度で維持される。反応時間の終わりに、この容器は室温まで冷却され、排気され、内容物が排出される。この内容物は、水分の除去により濃縮され得る。水分の除去後、固形分(粗生成物)は、室温にて数時間にわたって試薬グレードのアセトン中で攪拌することによりさらに精製され得る。生成物であるヒドロフルオロアルカンスルホン酸塩はアセトンに溶解し、無機塩(例えば、残存する亜硫酸塩)は溶解しない。溶解していない不純物は、濾過により除去され得る。次いで、アセトン溶液が真空に供されて、アセトンが除去される。結果として生ずる固体が、精製されたヒドロフルオロアルカンスルホン酸塩である。この塩は、酸との反応により(例えば、強酸性架橋ポリスチレンとの接触により)酸に転化され得る。対応するヒドロフルオロアルカンスルホン酸塩およびヒドロフルオロアルカンスルホン酸は、式:Rf−O−CXH−CX2−SO3Mのヒドロフルオロアルカンスルホネートとして表され得る。前記ヒドロフルオロアルカンスルホネートのそのような調製方法のさらなる詳細については、参照により本明細書に援用される米国特許出願第2006/0276670号明細書に記載されている。
【0024】
式(1)の化合物は、非常に低い濃度で表面張力を低下させるフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤である。媒体(典型的には液体)におけるそうした表面張力の値は、約0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の媒体中界面活性剤濃度で、約25mN/m未満、好ましくは約20mN/m未満である。界面活性剤は、界面における選択的吸着により低濃度で表面張力を低下させることにおけるその効率により特徴づけられ、それは界面活性剤の両親媒性の性質により決定される。用語「両親媒性」は、2種類の異なる媒体に対する親和性(attraction)を意味する。界面活性剤は、水溶性の親水性部分と水不溶性の疎水性部分とを含んでいる。
【0025】
上記の式(1)の化合物は、フルオロアルキルエーテル基を含んだ1つの疎水性部分を含んでいる。その結果、この化合物は、非常に低い濃度で表面張力を低下させることができる。Rf基からなる疎水性部分を有することで、本発明の式(1)により表される化合物は、疎水性および疎油性(oleophobic)の両方の性質を示す。式(1)の化合物はまた、スルホン酸またはその酸の塩を含んだ親水性部分も含んでいる。この親水性部分は、水媒体に対する有効な溶解性を付与し、したがって、本発明の式(1)により表される化合物は、界面活性剤特性を示す。
【0026】
本発明の化合物は、腐食性媒体、特に非常に酸性の強い溶液における、それらの特別優れた化学安定性により特徴づけられる。この化合物は、フィルム中の帯電防止剤として使用され得る。この化合物はまた、起泡性が非常に低い薬剤でもある。そうしたフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、追加の特性を付与する。この化合物は、浸食的な(強酸性の、酸化性または還元性の)媒体を基剤とした調合物に(例えば、クロムめっき浴において)有用である。例えば、そうした本発明のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、スタンドバイ制御弁式鉛蓄電池の性能を改善するための特殊添加剤として使用され得る。Torcheuxにより「Effect of a special additive on the performance of standby valve−regulated lead acid batteries」,Journal of Power Sources,第78巻,第1−2号,第147−155頁(1999年)に記載されるように、ポリフルオロアルキルスルホン酸は、スタンドバイVRLA蓄電池の性能を改善するための電解質添加剤として使用される。本発明のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、硫酸中で高電位であっても高い安定性を有し、電極における電気化学活性を効果的に低下させて腐食および乾燥を制限し得、したがって、蓄電池の性能を著しく改善し得る。
【0027】
上記の式(1)の化合物は、それが添加された媒体に改善された表面効果を付与する。改善された表面効果としては、不粘着性、向上した隠蔽力(レベリング)、展着性、湿潤性、浸透性、抑泡性、および分散性が挙げられる。本発明の化合物による改善された表面効果は、多くの工業的用途(水性塗料(例えば、インク、ペイント、ワニスなど)を包含する)に好適である。例えば、式(1)のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、処理されることになる部品表面の濡れをもたらし、かつクロムめっき浴表面での泡の層の形成を促進して、危険なクロム酸ヒュームの発生を妨げる。金属処理においては、式(1)のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤は、洗浄、転写、およびピッキング(picking)に使用され得る。
【0028】
本発明は、式(1A):
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1A)
の化合物の存在下において水性媒体中で少なくとも1種のフッ素化オレフィンモノマーを重合させてフルオロポリマーの水性分散体を形成する工程を包含する方法をさらに包含し、式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであるが、但し、XまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、そして
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKである。
【0029】
分散重合方法における本発明のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤を含む界面活性剤を使用することの利点の1つは、減少させたフッ素含有量を用いながらも、同程度に安定した分散および重合速度の増大を実現することである。さらに、界面活性剤のフッ素含有量の減少は、「フッ素効率」を高める。用語「フッ素効率」とは、本明細書で使用される場合、極力少量のフルオロ界面活性剤を使用し、低レベルのフッ素を使用して、ポリマーの所望の分散を得る能力を意味する。
【0030】
本発明によれば、式(1)のフルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩は、好ましくは、重合剤として効果的に機能するように適切に水性媒体中に分散される。「分散される」とは、本願で使用される場合、フルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤が水性媒体に可溶性である場合においては溶解されることをいい、フルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤が完全には可溶性でなく非常に小さい粒子(例えば、約1nm〜約1μmの粒度分布)となって水性媒体中に存在する場合においては分散されることをいう。同様に、「分散(させる)」とは、本願で使用される場合、フルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤が上記で定義されたように分散されるように、それを溶解させるかまたは分散させることをいう。好ましくは、フルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤は、フルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤を含有する重合媒体が透明かまたはほぼ透明に見えるほど十分に分散される。
【0031】
好ましくは、本発明に従う好ましい方法において使用される重合剤の総量は、水性媒体中の水の重量に基づき約5〜約10,000μg/gであり、より好ましくは、水性媒体中の水の重量に基づき約5〜約3000μg/gである。より一層好ましくは、使用される重合剤の総量は、水性媒体中の水の重量に基づき約0.01重量%〜約10重量%であり、なお一層好ましくは、約0.05重量%〜約3重量%であり、より好ましくは、水性媒体中の水の重量に基づき約0.05%〜約3%である。
【0032】
重合剤の少なくとも一部は、好ましくは、重合の開始に先立って重合に添加される。その後に添加される場合は、重合剤についての様々な添加様式(重合の間中の連続的な添加、または重合の間の所定の時間における複数の用量または間隔での添加を包含する)が使用され得る。本発明の1つの実施形態によれば、実質的に全ての重合剤が、重合の開始に先立って、好ましくは開始剤の添加に先だって、水性媒体に添加される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の実施の際に使用される重合剤は、好ましくは、ペルフルオロポリエーテル油(すなわち、中性、非イオン性、好ましくはフッ素または水素の末端基を有するペルフルオロポリエーテル)を実質的に含まない。ペルフルオロポリエーテル油を実質的に含まないとは、水性重合媒体が、水に基づき多くとも約10μg/gしかそうした油を含有しないことを意味する。したがって、好ましく生成されたフルオロポリマー分散体は、高純度を有しており、好ましくは、ペルフルオロポリエーテル油を実質的に含まない。さらに、好ましい方法において、重合媒体は、重合の開始(キックオフ)時にはフルオロポリマーシードを実質的に含んでいない。本発明のこの好ましい形態において、フルオロポリマーシード(すなわち、分散形態にある個別に重合したフルオロポリマー小粒子)は、重合の開始に先立って添加されない。
【0034】
本発明において使用される式(1)の重合剤は、典型的なペルフルオロアルカンカルボン酸界面活性剤を用い、高い分散固形分濃度で作製された、フルオロポリマーと実質的に同等のフルオロポリマーを生成し、低レベルの非分散ポリマー(凝塊と呼ばれる)をもたらし得ることが見出された。
【0035】
本重合方法は、加圧反応器において、バッチ法、半バッチ法または連続法として実施され得る。バッチ法においては、原料の全てが運転の開始時に重合反応器に加えられ、反応が完了するまで放置された後、容器から排出される。半バッチ法においては、1種以上の原料(例えば、モノマー、開始剤、界面活性剤など)が、反応器の最初のプレチャージに引き続き、反応の過程で容器に加えられる。半バッチ法の完了時に、内容物が容器から排出される。連続法においては、反応器は所定の組成物でプレチャージされ、次いで、モノマー、界面活性剤、開始剤および水が連続的に反応器中に供給される一方で、等容積の反応品が連続的に反応器から取り出され、結果として、制御された容積の反応物が反応器内にある。この始動手順後は、供給材料が計量されながら反応器中に供給され続け、生成物品が取り出される限り、連続法はいつまでも続き得る。運転停止が望まれる時に、反応器への供給が停止され、反応器からの排出が行われ得る。
【0036】
本発明の1つの好ましい実施形態において、重合方法は、加圧反応器においてバッチ法として実施される。本発明の方法を実施するのに適した竪型または横型反応器は、水性媒体用のスターラーを備えている。この反応器は、望ましい反応速度に十分な気相モノマー(例えば、テトラフルオロエチレン(TFE))の接触、およびコモノマー(使用される場合)の均一な組み込みを提供する。反応器は、好ましくは、制御された温度の熱交換媒体の循環により反応温度が好都合に制御されるように、反応器を取り囲む冷却ジャケットを備えている。
【0037】
典型的な方法において、反応器は、先ず、重合媒体である脱イオン脱気水で満たされ、この媒体中に、式(1)のペルフルオロアルキルエーテル酸または塩の界面活性剤が分散される。フルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤の分散は、上記で検討された通りである。重合剤の少なくとも一部が、好ましくは、重合の開始に先立って重合に添加される。その後に添加される場合は、重合剤についての様々な添加様式(重合の間中の連続的な添加、または重合の間の所定の時間における複数の用量または間隔での添加を包含する)が使用され得る。
【0038】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホモポリマーおよび変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)については、安定剤としてのパラフィン蝋が、多くの場合に添加される。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホモポリマーおよび変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に適した手順は、まず最初にテトラフルオロエチレン(TFE)で反応器を加圧することを包含する。コモノマー(例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)またはペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE))が使用される場合は、次いでそれが添加される。次いで、フリーラジカル開始剤溶液(例えば、過硫酸アンモニウム溶液)が添加される。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホモポリマーおよび変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)については、コハク酸源である別の開始剤(例えば、ジスクシニルペルオキシド)が、凝塊を減少させるために開始剤溶液中に含まれ得る。あるいは、レドックス開始剤系(例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸)が使用される。温度が上昇し、重合が開始したら、圧力を維持するために追加のテトラフルオロエチレン(TFE)が添加される。重合の開始はキックオフと呼ばれ、気体モノマー供給圧力の実質的な(例えば、約10psi(約70kPa)の)低下が認められる時点として定義される。コモノマーおよび/または連鎖移動剤もまた、重合が進行する間に添加され得る。重合によっては、追加のモノマー、開始剤および/または重合剤が、重合の間に添加され得る。
【0039】
所望量のポリマーまたは固形分が達成されたバッチ完了(典型的には数時間)後に供給が停止され、反応器は排気され、窒素でパージされ、容器内の粗分散体が、冷却容器に移される。
【0040】
重合完了時の分散体の固形分は、分散体の意図される用途によって変化させ得る。例えば、本発明の方法は、少量の固形分(例えば、10重量%未満)を含む「シード」分散体を生成するために使用され得、これは、その後のより高い固形分レベルへの重合方法に「シード」として使用される。他の方法において、本発明の方法によって生成されるフルオロポリマー分散体の固形分は、好ましくは少なくとも約10重量%である。より好ましくは、このフルオロポリマー固形分は、少なくとも約20重量%である。本方法により生成されるフルオロポリマー固形分についての好ましい範囲は約14重量%〜約65重量%であり、より一層好ましくは、約20重量%〜約55重量%であり、最も好ましくは、約35重量%〜約55重量%である。
【0041】
本発明の好ましい方法において、重合工程は、生成されるフルオロポリマーの総重量に基づき約10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より一層好ましくは1重量%未満、最も好ましくは約0.5重量%未満の非分散フルオロポリマー(凝塊)を生成する。
【0042】
重合したままの分散体は、特定の使用のために、アニオン性、カチオン性、または非イオン性界面活性剤で安定化され得る。しかしながら、典型的に、重合したままの分散体は、典型的には非イオン性界面活性剤で、公知の方法により安定化された濃縮分散体を生成する分散体濃縮作業に移される。濃縮分散体の固形分は、典型的に、約35〜約70重量%である。特定のグレードのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散体が、微粉の生成のために作製される。この使用のために、分散体が凝固され、水性媒体が除去され、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が乾燥されて、微粉が生成される。
【0043】
溶融加工性コポリマーの分散重合は、かなりの量のコモノマーが最初にバッチに加えられ、かつ/または重合の間に導入されること以外は同様である。連鎖移動剤は、分子量を低下させて溶融流量を増大するために、典型的に、かなりの量で使用される。同じ分散体濃縮作業が、安定化された濃縮分散体を生成するために使用され得る。あるいは、成形用樹脂として使用される溶融加工性フルオロポリマーについては、分散体は凝固され、水性媒体は除去される。フルオロポリマーは乾燥され、次いで、その後の溶融加工作業における使用に好都合な形態(例えば、フレーク、チップまたはペレット)へと加工される。
【0044】
本発明の方法はまた、加圧反応器において、半バッチ法または連続法として実施され得る。これらの方法は、フルオロカーボンエラストマーの製造に特に適している。本発明の半バッチ乳化重合法においては、所望の組成の気体モノマー混合物(最初のモノマー投入)は、水性媒体プレチャージを含んだ反応器中に導入される。他の原料(例えば、開始剤、連鎖移動剤、緩衝剤、塩基、および界面活性剤)は、プレチャージにおいて水とともに添加され得、重合反応中にも添加され得る。所望の最終ポリマー組成に適合する濃度の追加のモノマーが、系圧力を維持するために必要とされる速度で重合反応中に添加される。約2〜約30時間の範囲の重合時間が、半バッチ重合法において典型的に使用される。連続法においては、反応器は蒸気空間が全くないように、水性媒体で完全に満たされる。気体モノマーと、他の原料(例えば、水溶性モノマー、連鎖移動剤、緩衝剤、塩基、重合開始剤、界面活性剤など)の溶液とは、別個の流れにおいて一定の割合で反応器に供給される。供給速度は、反応器中の平均ポリマー滞留時間が概して0.2〜約4時間の間となるように、モノマーの反応性に応じて制御される。両方の種類の方法について、重合温度は、約25℃〜約130℃の範囲内に維持され、好ましくは、半バッチ作業については約50℃〜約100℃の範囲内に、連続作業については約70℃〜約120℃の範囲内に維持される。重合圧力は、約0.5〜約10MPaの範囲内に、好ましくは約1〜約6.2MPaの範囲内に制御される。形成されるフルオロポリマーの量は、投入される追加供給の量とほぼ等しく、水性エマルション100重量部当たり約10〜約30重量部の範囲内のフルオロポリマー、好ましくは約20〜約30重量部の範囲内のフルオロポリマーである。
【0045】
本発明に従う重合は、重合条件下でラジカルを生成し得るフリーラジカル開始剤を使用する。当該技術分野において周知であるように、本発明に従う使用のための開始剤は、得られるべきフルオロポリマーの種類および所望される特性(例えば、末端基の種類、分子量など)に基づき選択される。一部のフルオロポリマー(例えば、溶融加工性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー)については、ポリマー中にアニオン性末端基を生成する水溶性の無機過酸塩が使用される。この種類の好ましい開始剤は、相対的に長い半減期を有し、好ましくは過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウム)である。過硫酸塩開始剤の半減期を短縮するために、還元剤(例えば、重亜硫酸アンモニウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウム)が、金属触媒塩(例えば、Fe)を伴ってまたは伴わずに使用され得る。好ましい過硫酸塩開始剤は、金属イオンを実質的に含まず、最も好ましくは、アンモニウム塩である。
【0046】
分散体最終用途のためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散体の製造については、少量の短鎖ジカルボン酸(例えば、コハク酸)またはコハク酸を生成する開始剤(例えば、ジコハク酸ペルオキシド(DSP))もまた、相対的に長い半減期の開始剤(例えば、過硫酸塩)に加えて、好ましくは添加される。そうした短鎖ジカルボン酸は、典型的には非分散ポリマー(凝塊)を減少させるのに有益である。微粉の製造のためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散体の製造については、レドックス開始剤系(例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸)が、多くの場合に使用される。
【0047】
開始剤は、重合反応を開始しかつ所望の反応速度で維持するのに十分な量で水性重合媒体に添加される。開始剤の少なくとも一部は、好ましくは、重合の開始時に添加される。様々な添加様式(重合の間中の連続的な添加、または重合の間の所定の時間における複数の用量または間隔での添加を包含する)が使用され得る。特に好ましい作業様式においては、開始剤が反応器にプレチャージされ、追加の開始剤が、重合が進行する間、反応器中に連続的に供給される。好ましくは、重合の進行中に使用される過硫酸アンモニウムおよび/または過硫酸カリウムの総量は、水性媒体の重量に基づき約25μg/g〜約250μg/gである。他の種類の開始剤(例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸開始剤)は、当該技術分野において公知の量で、当該技術分野において公知の手順に従って使用され得る。
【0048】
連鎖移動剤が、一部の種類のポリマー(例えば、溶融加工性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー)の重合のための本発明に従う方法において、溶融粘度を制御する目的で、分子量を減少させるために使用され得る。この目的に有用な連鎖移動剤は、フッ素化モノマーの重合における使用で周知のものである。好ましい連鎖移動剤としては、水素、1個〜20個の炭素原子、より好ましくは1個〜8個の炭素原子を有する、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭素、ハロゲン化炭化水素またはアルコールが挙げられる。そのような連鎖移動剤の代表的な例には、アルカン(例えば、エタン)、クロロホルム、1,4−ジヨードペルフルオロブタン、およびメタノールがある。
【0049】
連鎖移動剤(chain transfer agent)の量および添加様式は、個々の連鎖移動剤の活性およびポリマー生成物の所望される分子量によって決まる。様々な添加様式(重合開始前の単回添加、重合の間中の連続的な添加、または重合の間の所定の時間における複数の用量または間隔での添加を包含する)が使用され得る。重合反応器に供給される連鎖移動剤(chain train transfer agent)の量は、結果として生ずるフルオロポリマーの重量に基づき、好ましくは約0.005〜約5重量%であり、より好ましくは約0.01〜約2重量%である。
【0050】
本発明によれば、本発明は、式(1)のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤を含有する水性媒体中でオレフィンフルオロモノマーを重合させる工程を包含する方法を、本発明の実施形態のうちの1つとして提供する。式(1)のフルオロアルキルエーテルスルホネート界面活性剤が、オレフィンフルオロモノマーの水性分散重合という方法において使用される。水溶性開始剤が、概して、含まれる水の重量に基づき約2〜約500μg/gの量で使用される。そのような開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過マンガン酸塩/シュウ酸、およびジコハク酸ペルオキシドが挙げられる。重合は、水、界面活性剤、オレフィンフルオロモノマー、および必要に応じて連鎖移動剤で重合反応器を満たし、反応器の内容物を攪拌し、反応器を所望される重合温度(例えば、約25℃〜約110℃)に加熱することにより実施され得る。
【0051】
上述の本発明の方法において使用される式(1)のフルオロアルキルエーテルスルホン酸または塩の界面活性剤の量は、公知の範囲内にあり、例えば、重合において使用される水に基づき約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約3重量%、より好ましくは約0.05〜約1.0重量%の範囲内にある。本発明の重合方法において使用され得る界面活性剤濃度は、界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.m.c)より高くまたは低くし得る。
【0052】
本発明の方法は、上記のオレフィンフルオロモノマーの水性分散重合の結果として、フルオロポリマーの分散体を提供する。
【0053】
本発明により形成されるフルオロポリマー分散体は、少なくとも1種のフッ素化モノマーから作製されたフルオロポリマーの粒子からなる。すなわち、モノマーのうちの少なくとも1種はフッ素を含有し、好ましくは、二重結合している炭素に結合した少なくとも1個のフッ素またはペルフルオロアルキル基を有するオレフィンモノマーである。本発明の方法において使用されるフッ素化モノマーは、好ましくは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VF2)、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、ペルフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)、およびペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)からなる群より独立して選択される。好ましいペルフルオロアルキルエチレンモノマーは、ペルフルオロブチルエチレン(PFBE)である。好ましいフルオロビニルエーテルとしては、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)モノマー(PAVE)(例えば、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、およびペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE))が挙げられる。非フッ素化オレフィンコモノマー(例えば、エチレンおよびプロピレン)は、フッ素化モノマーと共重合され得る。
【0054】
フルオロビニルエーテルはまた、官能基をフルオロポリマーに導入するのに有用なものも包含する。これらは、CF2=CF−(O−CF2CFRfa−O−CF2CFR’fSO2Fを包含し、式中、RfおよびR’fは、F、Clまたは1個〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から独立して選択され、a=0、1または2である。この種類のポリマーは、米国特許第3,282,875号明細書(CF2=CF−O−CF2CF(CF3)−O−CF2CF2SO2F、すなわちペルフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド))、および米国特許第4,358,545号明細書および米国特許第4,940,525号明細書(CF2=CF−O−CF2CF2SO2F)に開示されている。別の例には、米国特許第4,552,631号明細書に開示される、CF2=CF−O−CF2−CF(CF3)−O−CF2CF2CO2CH3、すなわちペルフルオロ(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノネンカルボン酸)のメチルエステルがある。ニトリル、シアネート、カルバマート、およびホスファートの官能基を有する類似のフルオロビニルエーテルが、米国特許第5,637,748号明細書;米国特許第6,300,445号明細書;および米国特許第6,177,196号明細書に開示されている。
【0055】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)を包含する)の分散体を製造する際に特に有用である。PTFEおよび変性PTFEは、典型的には、少なくとも約1×108Pa・sの溶融クリープ粘度(melt creep viscosity)を有しており、溶融粘度がこのように高いため、このポリマーは溶融状態において大きくは流動せず、したがって、溶融加工性ポリマーではない。
【0056】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、重要なコモノマーを何ら含まない、単独での重合テトラフルオロエチレンのことをいう。変性PTFEは、テトラフルオロエチレン(TFE)と、結果として生ずるポリマーの融点をPTFEの融点よりも実質的に低く下げないほどに低い濃度のコモノマーとのコポリマーのことをいう。そのようなコモノマーの濃度は、好ましくは1重量%未満であり、より好ましくは0.5重量%未満である。少なくとも約0.05重量%という最小量が、顕著な効果をもたらすために好ましくは使用される。変性PTFEは、焼付け(融着)の間の皮膜形成能力を改善する少量のコモノマー変性剤(例えば、ペルフルオロオレフィン、特にヘキサフルオロプロピレン(HFP)、またはアルキル基が1個〜5個の炭素原子を含むペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、好ましくは、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)およびペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE))を含有する。クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペルフルオロブチルエチレン(PFBE)、または嵩高い側基を分子に導入する他のモノマーもまた含まれる。
【0057】
本発明は、溶融加工性フルオロポリマーの分散体を製造する際に特に有用である。溶融加工性とは、従来の加工装置(例えば、押出機および射出成形機)を用い、ポリマーが溶融状態において加工され得る(すなわち、溶融体から、意図される目的に有用であるのに十分な強度および靭性を示す造形品(例えば、フィルム、繊維、およびチューブなど)に成形加工され得る)ことを意味する。そのような溶融加工性フルオロポリマーの例としては、ホモポリマー(例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン)、またはテトラフルオロエチレン(TFE)と、通常はコポリマーの融点をテトラフルオロエチレン(TFE)ホモポリマーであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の融点よりも実質的に低く(例えば、315℃以下の融解温度まで)下げるのに十分な量でポリマー中に含まれる、少なくとも1種のフッ素化共重合性モノマー(コモノマー)とのコポリマーが挙げられる。
【0058】
溶融加工性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーは、典型的に、ASTM D−1238に準拠してその特定のコポリマーについての標準温度で測定された溶融流量(MFR)が約1〜100g/10分であるコポリマーを与えるような量のコモノマーをコポリマーに組み込んでいる。好ましくは、米国特許第4,380,618号明細書に記載されているように変更されたASTM D−1238の方法により372℃で測定されて、溶融粘度が、少なくとも約102Pa・sであり、より好ましくは、約102Pa・s〜約106Pa・sの範囲にあり、最も好ましくは、約103〜約105Pa・sの範囲にある。その他の溶融加工性フルオロポリマーは、エチレン(E)またはプロピレン(P)とテトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)とのコポリマー、特にエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)およびプロピレンクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)である。本発明の実施における使用に好ましい溶融加工性コポリマーは、少なくとも約40〜98mol%のテトラフルオロエチレン単位、および約2〜60mol%の少なくとも1種の他のモノマーを含む。テトラフルオロエチレン(TFE)との好ましいコモノマーは、3個〜8個の炭素原子を有するペルフルオロオレフィン(例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP))、および/または直鎖もしくは分岐のアルキル基が1個〜5個の炭素原子を含むペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)である。好ましいPAVEモノマーは、アルキル基が1個、2個、3個または4個の炭素原子を含むPAVEモノマーであり、コポリマーは、数種のPAVEモノマーを使用して作製され得る。
【0059】
好ましいテトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーとしては、1)テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(TFE/HFP)コポリマー;2)テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(TFE/PAVE)コポリマー;3)テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(TFE/HFP/PAVE)コポリマー(ここで、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)は、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)またはペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)である);4)溶融加工性テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(TFE/PMVE/PAVE)コポリマー(ここで、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)のアルキル基は、少なくとも2個の炭素原子を有する);および5)テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンコポリマー(TFE/HFP/VF2))が挙げられる。
【0060】
さらなる有用なポリマーは、皮膜形成ポリマーの、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびフッ化ビニリデンのコポリマーならびにポリフッ化ビニル(PVF)およびフッ化ビニルのコポリマーである。
【0061】
本発明はまた、フルオロカーボンエラストマーの分散体を製造する際にも有用である。これらのエラストマーは、典型的に、25℃より低いガラス転移温度を有し、室温にてほとんどまたは全く結晶性を示さない。本発明の方法により作製されたフルオロカーボンエラストマーコポリマーは、フッ化ビニリデン(VF2)またはテトラフルオロエチレン(TFE)であり得る主要フッ素化モノマーの共重合単位を、典型的に、フルオロカーボンエラストマーの総重量に基づき25〜70重量%含む。フルオロカーボンエラストマー中の残りの単位は、前記主要モノマーとは異なる、フッ素化モノマー、炭化水素オレフィンおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の追加の共重合モノマーで構成される。本発明の方法により調製されるフルオロカーボンエラストマーはまた、必要に応じて、1種以上の硬化部位モノマー(cure site monomer)の単位を含み得る。含まれる場合、共重合硬化部位モノマーは、典型的には、フルオロカーボンエラストマーの総重量に基づき0.05〜7重量%のレベルである。好適な硬化部位モノマーの例としては:i)臭素、ヨウ素もしくは塩素を含有する、フッ素化オレフィンまたはフッ素化ビニルエーテル;ii)ニトリル基を含有する、フッ素化オレフィンまたはフッ素化ビニルエーテル;iii)ペルフルオロ(2−フェノキシプロピルビニルエーテル);およびiv)非共役ジエンが挙げられる。
【0062】
好ましいテトラフルオロエチレン(TFE)ベースのフルオロカーボンエラストマーコポリマーとしては、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(TFE/PMVE);テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)/エチレン(TFE/PMVE/E);テトラフルオロエチレン/プロピレン(TFE/P);およびテトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデン(TFE/P/VF2)が挙げられる。好ましいフッ化ビニリデン(VF2)ベースのフルオロカーボンエラストマーコポリマーとしては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン(VF2/HFP);フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン(VF2/HFP/TFE);およびフッ化ビニリデン/ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン(VF2/PMVE/TFE)が挙げられる。これらのエラストマーコポリマーはいずれも、硬化部位モノマーの単位をさらに含み得る。
【0063】
本発明は、液体の表面挙動を変更する方法をさらに包含し、この方法は、式(1A):
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1A)
の化合物の組成物をその液体に添加する工程を包含し、式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであるが、但し、XまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、そして
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKである。
【0064】
本発明の液体表面挙動を変更する方法は、多種多様な用途において有用である。式(1A)の界面活性剤は、典型的に、単に水、水溶液、および水性エマルションとブレンドするかまたはそれらに添加することにより使用される。式(1A)の界面活性剤は、典型的に、表面張力および界面張力を低下させ、低い臨界ミセル濃度を有する。表面挙動変更の例としては、濡れ、浸透、展着、レベリング、流動、乳化、液体中分散体の安定化、撥液(repellency)、剥離、潤滑、エッチングおよび結合という性質の改善が挙げられる。
【0065】
そうした低表面張力が要求される用途の例としては、コーティング組成物ならびに水性および非水性の洗浄製品(それぞれ、ガラス、木材、金属、れんが、コンクリート、セメント、天然および合成石、タイル、合成フローリング、積層品、紙、繊維材料、リノリウム、他のプラスチック、樹脂、天然および合成ゴム、繊維、ならびに布用)ならびにペイント;ポリマー;ならびに床、家具、靴、インク、および自動車手入れ用の、蝋、仕上材料、レベリング剤、および光沢剤が挙げられる。湿潤剤用途としては、殺草剤、殺カビ剤、除草剤、ホルモン成長調節物質、駆虫剤、殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、殺線虫剤、殺微生物剤(microbiocide)、枯葉剤または肥料、治療薬、抗菌剤、フルオロケミカル代用血液、織物加工浴、および繊維スピン仕上剤(fiber spin finish)を含有する組成物用の湿潤剤が挙げられる。パーソナルケア製品における用途としては、シャンプー、コンディショナー、クリームリンス、皮膚用化粧品(例えば、治療用または保護用のクリームおよびローション、撥油性および撥水性の粉末化粧品、デオドラントならびに制汗剤)、ネイルポリッシュ、口紅、および練歯磨きが挙げられる。さらなる用途としては、ファブリックケア製品(例えば、衣類、カーペットおよび室内装飾用品用のしみ前処理剤および/またはしみ除去剤)および洗濯用洗剤が挙げられる。他の用途としては、すすぎ助剤(洗車用および自動食器洗い機用)、油井処理剤(堀穿泥水および三次油井回収を改善するための添加剤を包含する)、極圧潤滑剤、貫通時間を改善するための潤滑切削油、筆記用インク、印刷インク、写真現像液、森林火災消火用エマルション、ドライケミカル消火剤、エアゾール式消化剤、医療廃棄物の凝固または封入用のゲルを形成するための増粘剤、半導体および電子機器の製造、加工ならびに取扱いにおける、フォトレジスト、顕色剤(developers)、洗浄溶液、エッチング組成物、現像液(developers)、ポリッシャならびにレジストインクが挙げられる。式(1A)の界面活性剤は、ガラス表面および写真フィルム用の防曇剤として、ならびに磁気テープ、レコード、フロッピーディスク、ディスクドライブ、ゴムコンパウンド、PVC、ポリエステルフィルムおよび写真フィルム用の帯電防止剤として、ならびに光学素子(例えば、ガラス、プラスチック、またはセラミックス)用の表面処理剤として機能する製品に組み込まれ得る。他の用途は、乳化剤、起泡剤、剥離剤、撥液剤、流れ調整剤、皮膜蒸発抑制剤、湿潤剤、浸透剤、洗浄剤、粉砕剤、電気めっき剤、腐食防止剤、半田剤、分散助剤、微生物剤、パルプ化助剤、すすぎ助剤、艶出剤、乾燥剤、帯電防止剤、粘着防止剤、結合剤、および油田化学物質におけるものである。
【0066】
式(1A)の化合物はまた、ポリウレタン発泡体、吹付式オーブンクリーナー、台所用および浴室用の発泡クレンザーおよび消毒剤、エアゾールシェービングフォーム、ならびに織物加工浴における、泡制御剤としても有用である。式(1A)の界面活性剤は、重合用、特にフルオロモノマーの重合用の乳化剤として、ラテックス安定剤として、シリコーン、写真乳剤安定剤(photoemulsion stabilizer)、無機粒子、および顔料用の離型剤として有用である。そのようなフルオロ界面活性剤はまた、超臨界二酸化炭素エマルションにも、そして水中でのナノ粒子または顔料の分散のためにも有用である。
【0067】
液体中約0.1重量%未満、好ましくは約0.01重量%未満という低濃度の式(1A)の化合物が有効である。その結果、式(1A)の界面活性剤は、多種多様な最終使用用途において有用である。特に、式(1A)の界面活性剤は、浸食性または腐食性の媒体、特に非常に酸性の強い溶液において、特別優れた化学安定性を提供するのに有用である。したがって、式(1A)の界面活性剤は、強酸性の、酸化性または還元性の媒体を基剤とした調合物において有用であると認められる特性を付与する。この安定性は、より短いペルフルオロアルキル基を使用しながら、したがって、フッ素効率を提供しながらもたらされる。
【0068】
材料および試験方法
以下の材料および試験方法を、本明細書の実施例において使用した。
【0069】
材料
テトラフルオロエチレンは、本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手した。オレフィンは商用グレードの材料であり、本件特許出願人(Wilmington,DE)から入手したものを使用した。フッ化ビニリデンは、Solvay Solexus,Inc.(West Deptford,NJ)から入手した。他の試薬は、例えばAldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から市販されていた。開始剤の過硫酸アンモニウムは、Sigma−Aldrich Corporation(St.Louis,MO)から購入した。
【0070】
試験方法
試験方法1−表面張力測定
表面張力を、Kruess Tensiometer,K11 Version 2.501を使用して装置の取扱説明書に従って測定した。ウィルヘルミープレート法を用いた。周長が既知の垂直板を天秤に取り付け、濡れによる力を測定した。各希釈について10回の反復試験を行い、以下の機械設定を用いた:方法:プレート法SFT;時間:1.0秒;濡れ長さ:40.2mm;読み限界:10;最小標準偏差:2dyn/cm;重力加速度:9.80665m/s2
【0071】
試験方法2−コモノマー含有量
コモノマー含有物であるペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を、FTIRにより、米国特許第4,743,658号明細書の第5欄第9〜23行に開示される方法に従って以下のように測定した。PPVE含有量を赤外分光法により決定した。10.07μmでの吸光度と4.25μmでの吸光度との比を、厚さ約0.05mmのフィルムを用いて窒素雰囲気下で決定した。このフィルムは350℃で圧縮成形され、次いで直ちに氷水中で急冷されたものである。次いでこの吸光度比を用い、PPVE含有量が既知の基準フィルムを用いて確立された検量線によりPPVEの百分率を決定した。F19 NMRを、基準フィルムを検量するための一次標準として使用した。
【0072】
試験方法3−粒度
粒度、すなわち未処理分散体粒度(raw dispersion particle size:RDPS)を、Microtrac超微粒子分析器(Ultrafine Particle Analyzer:UPA)を用いて材料の粒度分布(particle size distribution:PSD)を測定するレーザーフラクション技術により決定した。UPAは、動的光散乱原理を用い、0.003ミクロン〜6.54ミクロンの粒径範囲のPSDを測定する。水でバックグラウンドを収集後、試料を分析した。測定を3回繰り返し、平均した。
【0073】
試験方法4−凝塊
乾燥凝塊量を、重合の進行中に凝固した湿潤ポリマーを物理的に回収し、その凝塊を一晩中80℃にて30mmHg(4kPa)の真空で乾燥させることにより測定した。乾燥した凝塊の重さを量って、生成された全フルオロポリマーの重量に基づき含まれる割合を決定した。
【実施例】
【0074】
実施例1
37OCF2CF2I(100g、0.24mol)および過酸化ベンゾイル(3g)を、窒素下で圧力容器に投入した。次いで、一連の真空/窒素ガスを−50℃で3回連続して実施し、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。この容器を24時間にわたり110℃で加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱気後に開けた。次いで、生成物を瓶に回収した。この生成物を蒸留して、80%の収率で80gのC37OCF2CF2CH2CH2Iを得た。沸点は、25mmHg(3333Pa)にて56〜60℃であった。
【0075】
チオシアン酸カリウム(potassium thiocynate)(21.34g、0.22mol)を、C37OCF2CF2CH2CH2I(50g、0.11mol)と50gの水中のトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(0.2222g)との混合物に添加した。反応を、一晩中90℃で加熱した。相分離後、生成物であるC37OCF2CF2CH2CH2SCNを、蒸留により無色液体(32g、78%)として得た。この化合物は、以下により特徴づけられ得る:沸点83〜85℃/2.3torr;1H NMR(CDCl3,400MHz)δ3.10〜3.07(2H,m),2.58〜2.46(2H,m);19F NMR(CDCl3,373Hz)δ−81.71(3F,t,J=7.5Hz),−84.84〜−84.97(2F,m),−87.96〜−88.03(2F,m),−118.29(2F,t,J=17.0Hz),−130.29(2F,s);MS:372(M+)。
【0076】
オートクレーブにおいて、45〜50℃で10時間かけて、塩素ガス(132g、1.86mol)および水(47g、2.6mol)を、C37OCF2CF2CH2CH2SCN(231g、0.62mol)と酢酸(130g、2.17mol)との混合物中に供給した。さらなる10gの塩素を45℃で3時間かけて加え、この温度で1時間にわたり加熱した。PRLからの生成物を、攪拌子(stir bar)付きフラスコ内で70℃にて加熱し、149mLの湯(70℃)を加えた。有機層を分離し、続いてトルエン(125g)を加えた。トルエン中の生成物を、3.5%ブライン溶液(149mL)で70℃にて2回洗浄した。2回目の洗浄後、ディーンスタークストラップ(Dean−Stark strap)を設けて水を除去した。最終生成物は、トルエン中70重量%のC37OCF2CF2CH2CH2SO2Cl(228g、90%)であった。
【0077】
37OCF2CF2CH2CH2SO2Cl(10g、0.0242mol、トルエン中66.8%)を、70℃にてメタノール(10g、0.313mol)に滴下した。反応混合物を一晩中還流させた後、メタノールおよびトルエンを蒸留除去した。最終生成物であるC37OCF2CF2CH2CH2SO3H(9.3g、97.5%)を、30%活性となるまで70℃の脱イオン水で希釈した。この化合物は以下により特徴づけられた:1H NMR(D2O,400MHz)δ2.99〜2.91(2H,m),2.49〜2.31(2H,m);19F NMR(D2O,377MHz)δ−82.74(2F,t,J=7.1Hz),−85.65〜85.81(2F,m),−8.29〜88.47(2F,m),−118.62(3F,t,J=18.9Hz),−131.23(2F,s)。この生成物を水に添加し、試験方法1に従って表面張力について試験した。結果は表1にある。
【0078】
比較例A
フルオロケミカルとして式F(CF26CH2CH2OHのペルフルオロアルキルエチルアルコールを使用した以外は、上記の手順を用いた。生成物を水に添加し、試験方法1に従って表面張力について試験した。結果は表1にある。
【0079】
【表1】

【0080】
表1のデータは、上記フルオロスルホン酸界面活性剤を特定の割合で添加した時に、各水溶液の表面張力が有意に減少したことを示している。実施例1は、比較例Aと比べ、濃度が上昇するにつれ、より優れた表面張力減少を示した。
【0081】
実施例2
37OCF2CF2I(100g、0.24mol)および過酸化ベンゾイル(3g)を、窒素下で圧力容器に投入した。次いで、一連の真空/窒素ガスを−50℃で3回連続して実施し、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。この容器を24時間にわたり110℃で加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱気後に開けた。次いで、生成物を瓶に回収した。この生成物を蒸留して、80%の収率で80gのC37OCF2CF2CH2CH2Iを得た。沸点は、25mmHg(3333Pa)にて56〜60℃であった。
【0082】
37OCF2CF2CH2CH2I(220g、0.5mol)を、エタノール(250mL)と水(250mL)との混合物に添加した。亜硫酸ナトリウム(126g、1mol)を添加し、続いて15gの銅を添加した。この反応混合物を、還流下で1週間にわたり激しく攪拌した。500mLの水を加え、75℃で濾過した。濾液を冷却し、生成物であるC37OCF2CF2CH2CH2SO3Naを、濾過により白色固体(86g、41.35%)として回収した。この化合物は、以下により特徴づけられた:1H NMR(CDCl3,400MHz)δ3.19〜3.15(2H,m),2.69〜2.56(2H,m);19F NMR(CDCl3,373Hz)δ−81.58(3F,t,J=7.0Hz),−84.78〜84.92(2F,m),−88.15(2F,t,J=13.3Hz),−117.80(2F,t,J=18Hz),−130.19(2F,s)。この生成物を水に添加し、試験方法1に従って表面張力について試験した。結果は表2にある。
【0083】
【表2】

【0084】
表2のデータは、上記の実施例2のフルオロアルキルエーテルスルホン酸塩界面活性剤を特定の割合で添加した時に、各水溶液の表面張力が減少したことを示している。
【0085】
比較例B
比較例Bにおいては、式CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COOHを有するペルフルオロオクタン酸を使用し、これを、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、すなわちペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)とのコポリマーの重合においてアンモニウム塩形態(式:F(CF2)7−COONH4のペルフルオロオクタン酸アンモニウム)で使用した。使用した界面活性剤溶液は、脱イオン水中19重量%のペルフルオロオクタン酸アンモニウムであった。
【0086】
使用した開始剤溶液は、1000gの脱イオン水中1.0gの過硫酸アンモニウムであった。脱気水を重合で使用した。脱気水の調製は、脱イオン水を大きなステンレス鋼容器にポンプで注入し、水に窒素ガスを約30分間、激しく通気して全ての酸素を除去することにより行った。反応器は、3枚羽根リボン攪拌器およびバッフルインサートを備えたInconel(登録商標)でできた1L竪型オートクレーブであった。この実施例においては連鎖移動剤を使用しなかった。約−13PSIG(11.7kPa)の真空を、反応器に適用した。これを用いて、4.8gの界面活性剤溶液と500mLの脱気水との溶液を、プレチャージとして引き込んだ。次いで、窒素ガスで50PSIG(450kPa)まで加圧し、続いて1PSIG(108kPa)まで排気することによる反応器のパージ(攪拌器=100RPM)を3回行って、酸素含有量を減少させた。さらに、気体テトラフルオロエチレン(TFE)で25PSIG(274kPa)まで加圧して、続いて1PSIG(108kPa)まで排気することによる反応器のパージ(攪拌器=100rpm)を3回行い、オートクレーブの含有物が酸素を含まないことを一層確実にした。攪拌器の速度を600RPMまで上昇させ、反応器を65℃まで加熱し、次いで、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)(12.8g)を液体として反応器にポンプで注入した。この温度のときに、反応器圧力を、テトラフルオロエチレン(TFE)(約38g)を添加することにより公称250PSIG(1.83MPa)まで上昇させた。開始剤溶液を、20mL/分の速度で1分間反応器に送り込み、0.02gの過硫酸アンモニウムのプレチャージを供給した。次いで、TFE計量タンク中の質量損失として測定される、90gのTFEが消費された時点として定義されるバッチの終了まで、0.25mL/分の速度で開始剤溶液をポンプで注入した。
【0087】
キックオフ(10PSIG(70kPa)の圧力低下が認められた時点と定義される)で重合が開始したと見なされ、これはまた、重合の残りの間に0.12g/分の速度でPPVEを供給する開始点でもあった。重合全体を通して必要に応じてTFEを供給することにより、反応器圧力を250PSIG(1.83MPa)にて一定に維持した。90gのTFEが消費された後、攪拌器を200RPMまで減速させ、反応器への全ての供給を遮断し、内容物を30分かけて30℃に冷却した。次いで、攪拌器を100RPMまで減速させ、反応器を大気圧まで排気させた。このようにして生成されたフルオロポリマー分散体は、約15〜16重量%の固形分を含んでいた。この分散体から、凍結、解凍および濾過により、ポリマーを単離した。このポリマーを脱イオン水で洗浄し、数回濾過した後、真空オーブンにおいて、80℃にて30mmHg(4kPa)の真空で一晩中乾燥させた。粒度および非分散凝塊を、試験方法3および4に従って測定した。結果を表5に報告する。
【0088】
実施例3
比較例Bの一般的手順に従い、実施例3において使用される界面活性剤溶液を、500mLの脱イオン水に溶解させた0.88gのC37OCF2CF2CH2CH2SO3Naから作製した。追加の水のプレチャージはなかった。結果を表5に報告する。
【0089】
実施例4
1Lステンレス反応器を、蒸留水(450mL)、C37OCF2CF2CH2CH2SO3Na(4.0g)、リン酸水素二ナトリウム(0.4g)および過硫酸アンモニウム(0.4g)で満たし、続いてテトラフルオロエチレン(TFE)(46g)およびペルフルオロ−(メチルビニルエーテル)(PMVE)(39g)を導入した。この反応器を、攪拌下で8時間にわたり70℃で加熱した。反応器から取り出したポリマーエマルションを、飽和MgSO4水溶液で凝固させた。ポリマー沈殿物を濾過により回収し、温水(70℃)で数回洗浄した。真空オーブン(100mmHg、13300Pa)において100℃にて24時間にわたり乾燥させた後に、54gの白色ポリマーを得た。この生成物は以下により特徴づけられた:Tg:−4℃;組成19F NMR(mol%):PMVE/TFE(30.3/69.7)。
【0090】
実施例5
1Lステンレス反応器を、蒸留水(450mL)、C37OCF2CF2CH2CH2SO3Na(3.0g)、リン酸水素二ナトリウム(0.4g)および過硫酸アンモニウム(0.4g)で満たし、続いてテトラフルオロエチレン(TFE)(40g)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)(140g)を導入した。この反応器を、攪拌下で8時間にわたり70℃で加熱した。反応器から取り出したポリマーエマルションを、飽和MgSO4水溶液で凝固させた。ポリマー沈殿物を濾過により回収し、温水(70℃)で数回洗浄した。真空オーブン(100mmHg、13300Pa)において100℃にて24時間にわたり乾燥させた後に、24gの白色ポリマーを得た。この生成物は以下により特徴づけられた:Tm:−260.72℃;組成19F NMR(mol%):HFP/TFE(14.4/85.6)。
【0091】
実施例6
29.6gのC37OCF2CF2CH2CH2SO3Naと、18.5gのリン酸水素二ナトリウム七水和物と、24,900gの脱イオン脱酸素水との溶液を、40L反応器に投入した。この溶液を80℃まで加熱した。微量酸素の除去後、この反応器を、3.9重量%のフッ化ビニリデン(VF2)と、85.7重量%のヘキサフルオロプロペン(HFP)と、10.0重量%のテトラフルオロエチレン(TFE)との2112gの混合物で加圧した。加圧終了時の反応器圧力は、2.0MPaであった。この反応器を1%過硫酸アンモニウムと5%リン酸水素二ナトリウム七水和物との50.0mLの開始剤溶液で満たして重合を開始した。反応器圧力が低下するに従って、35.2重量%のフッ化ビニリデンと、36.8重量%のヘキサフルオロプロペンと、28.0重量%のテトラフルオロエチレンとの混合物を反応器に供給して、2.0MPaの圧力を維持した。45gのこのモノマー混合物を供給した後、37.29mol%の1,4−ジヨードペルフルオロブタンと、46.38mol%の1,6−ジヨードペルフルオロヘキサンと、11.98mol%の1,8−ジヨードペルフルオロオクタンと、3.76mol%の1,10−ジヨードペルフルオロデカンとの26.0gの混合物を反応器に投入した。追加の開始剤溶液を添加して、重合速度を維持した。3700gのモノマー混合物を添加した後、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB)を、モノマー1000g当たり5.0gのITFBという供給割合で反応器に導入した。合計150mLの開始剤溶液、20.4gのITFBおよび14.5時間に相当する、合計8333gの追加の主要モノマーを供給した後、モノマーおよび開始剤の供給を停止した。反応器を冷却し、反応器内の圧力を大気圧まで減少させた。結果として生じたフルオロエラストマーラテックスは、24.5重量%の固形物の固形分、4.0のpH、およびBI−9000 Particle Sizing(Brookhaven Instruments Corporation)により測定された262nmの平均粒径を有していた。このラテックスを硫酸アルミニウム溶液で凝固させ、脱イオン水で洗浄し、乾燥させた。このフルオロエラストマーは、0.48dl/gの内部粘度、82のムーニー粘度(ML(1+10))を有し、34.6重量%のVF2、37.3重量%のHFP、28.0重量%のTFE、および0.22重量%のIを含んでいた。
【0092】
実施例7
25OCF2CF2I(116g、0.32mol)および過酸化ベンゾイル(4g)を、窒素下で投入した。次いで、一連の真空/N2ガスを−50℃で3回連続して実施した後、エチレン(24g、0.86mol)を導入した。この容器を24時間にわたり110℃で加熱した。オートクレーブを0℃まで冷却し、脱気後に開けた。次いで、生成物を瓶に回収した。6回の運転分を合わせ、生成物を蒸留して、64%の収率で470gのC25OCF2CF2CH2CH2Iを得た。この生成物の沸点は、135〜137℃であった。
【0093】
25OCF2CF2CH2CH2I(195g、0.5mol)を、エタノール(250mL)と水(250mL)との混合物に添加した。亜硫酸ナトリウム(126g、1mol)を添加し、続いて15gの銅を添加した。この反応混合物を、還流下で1週間にわたり激しく攪拌した。500mLの水を加え、75℃で濾過した。濾液を冷却し、生成物であるC25OCF2CF2CH2CH2SO3Naを、濾過により白色固体(112g、61.2%)として回収した。この化合物は、以下により特徴づけられた:1H NMR(CDCl3,400MHz)δ3.20〜3.16(2H,m),2.70〜2.57(2H,m);19F NMR(CDCl3,373Hz)δ−86.95(3F,s),−87.97〜88.07(2F,m),−88.71〜88.82(2F,m),−117.72(2F,t,J=18Hz)。この生成物を水に添加し、試験方法1に従って表面張力について試験した。結果は表3にある。
【0094】
【表3】

【0095】
表3のデータは、上記の実施例7のフルオロアルキルエーテルスルホン酸塩界面活性剤を特定の割合で添加した時に、各水溶液の表面張力が減少したことを示している。
【0096】
実施例8
比較例Bの一般的手順に従い、実施例8において使用される界面活性剤溶液を、500mLの脱イオン水に溶解させた0.77gのC25OCF2CF2CH2CH2SO3Naから作製した。追加の水のプレチャージはなかった。結果を表5に報告する。
【0097】
実施例9
1Lステンレス反応器を、蒸留水(450mL)、C25OCF2CF2CH2CH2SO3Na(4.0g)、リン酸水素二ナトリウム(0.4g)および過硫酸アンモニウム(0.4g)で満たし、続いてテトラフルオロエチレン(TFE)(46g)およびペルフルオロ−(メチルビニルエーテル)(PMVE)(39g)を導入した。この反応器を、攪拌下で8時間にわたり70℃で加熱した。反応器から取り出したポリマーエマルションを、飽和MgSO4水溶液で凝固させた。ポリマー沈殿物を濾過により回収し、温水(70℃)で数回洗浄した。真空オーブン(100mmHg、13300Pa)において100℃にて24時間にわたり乾燥させた後に、56gの白色ポリマーを得た。この生成物は以下により特徴づけられた:Tg:−7.3℃;組成19F NMR(mol%):PMVE/TFE(25.3/74.7)。
【0098】
実施例10
1Lステンレス反応器を、蒸留水(450mL)、C25OCF2CF2CH2CH2SO3Na(3.0g)、リン酸水素二ナトリウム(0.4g)および過硫酸アンモニウム(0.4g)で満たし、続いてテトラフルオロエチレン(TFE)(40g)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)(140g)を導入した。この反応器を、攪拌下で8時間にわたり70℃で加熱した。反応器から取り出したポリマーエマルションを、飽和MgSO4水溶液で凝固させた。ポリマー沈殿物を濾過により回収し、温水(70℃)で数回洗浄した。真空オーブン(100mmHg、13300Pa)において100℃にて24時間にわたり乾燥させた後に、36gの白色ポリマーを得た。この生成物は以下により特徴づけられた:Tm:−255.10℃;組成19F NMR(mol%):HFP/TFE(11.4/88.6)。
【0099】
実施例11
25.6gのC25OCF2CF2CH2CH2SO3Naと、18.5gのリン酸水素二ナトリウム七水和物と、24,900gの脱イオン脱酸素水との溶液を、40L反応器に投入した。この溶液を80℃まで加熱した。微量酸素の除去後、この反応器を、4.1重量%のフッ化ビニリデン(VF2)、85.9重量%のヘキサフルオロプロペン(HFP)と、10.0重量%のテトラフルオロエチレン(TFE)との2092gの混合物で加圧した。加圧終了時の反応器圧力は、2.0MPaであった。この反応器を1%過硫酸アンモニウムと5%リン酸水素二ナトリウム七水和物との50.0mLの開始剤溶液で満たして重合を開始した。反応器圧力が低下するに従って、35.0重量%のフッ化ビニリデンと、37.0重量%のヘキサフルオロプロペンと、28.0重量%のテトラフルオロエチレンとの混合物を反応器に供給して、2.0MPaの圧力を維持した。45gのこのモノマー混合物を供給した後、37.29mol%の1,4−ジヨードペルフルオロブタンと、46.38mol%の1,6−ジヨードペルフルオロヘキサンと、11.98mol%の1,8−ジヨードペルフルオロオクタンと、3.76mol%の1,10−ジヨードペルフルオロデカンとの26.0gの混合物を反応器に投入した。追加の開始剤溶液を添加して、重合速度を維持した。3700gのモノマー混合物を添加した後、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB)を、モノマー1000g当たり5.0gのITFBという供給割合で反応器に導入した。合計115mLの開始剤溶液、20.4gのITFBおよび15.4時間に相当する、合計8333gの追加の主要モノマーを供給した後、モノマーおよび開始剤の供給を停止した。反応器を冷却し、反応器内の圧力を大気圧まで減少させた。結果として生じたフルオロエラストマーラテックスは、24.0重量%の固形物の固形分、3.9のpH、およびBI−9000 Particle Sizing(Brookhaven Instruments Corporation)により測定された383nmの平均粒径を有していた。このラテックスを硫酸アルミニウム溶液で凝固させ、脱イオン水で洗浄し、乾燥させた。このフルオロエラストマーは、0.44dl/gの内部粘度、67のムーニー粘度(ML(1+10))を有し、35.1重量%のVF2、36.4重量%のHFP、28.3重量%のTFEおよび0.22重量%のIを含んでいた。
【0100】
実施例12
1LのHastelloy C276反応容器を、22gの亜硫酸カリウム水和物(KHSO3・xH2O、95%、Aldrich、0.14mol)と、67.8gのメタ重亜硫酸カリウム(K225、99%、Mallinckrodf、0.31mol)と、500mLの脱イオン水との溶液で満たした。この容器を7℃まで冷却し、−7PSIG(48263Pa)まで排気し、窒素でパージした。排気/パージのサイクルを、さらに2回繰り返した。次いで、この容器に150gのペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE、0.57mol)を加え、それを125℃まで加熱した。その時の内部圧力は、125PSIGであった。反応温度を125℃にて16時間にわたって維持し、その時点で容器を25℃に冷却し、排気した。粗反応生成物は、無色の水性層(pH=7)をその上に伴う白色の結晶性沈殿物であった。この白色固体の19F NMRは、純粋な所望の生成物を示した。生成物スラリーを5℃より低くまで冷却し、次いでフリットガラス漏斗に通して吸引濾過した。湿潤ケークを減圧下(25℃、100mTorr)で72時間にわたって乾燥させて、白色粉末(160g、収率74%)として生成物を得た。式C37OCHFCF2SO3Kの生成物は以下により特徴づけられた:19F NMR(D2O)δ−79.1(t,3FF=7Hz,3F);−82.8,−84.3(サブスプリットABq,2FF=147Hz,2F);−116.8,−118.1(サブスプリットABq,2FF=258Hz,2F);−141.6(dm,2FH=53Hz,1F)。
【0101】
1H NMR(D2O)δ6.7(dm,2FH=53Hz,1H)。Mp(DSC)235℃。C5HO410SKについての分析計算値:C,15.5:H,0.3:N,0.0。実測値:C,15.4:H,<0.1:N,0.35。この生成物を水に添加し、試験方法1に従って表面張力について試験した。結果は表4にある。
【0102】
【表4】

【0103】
表4のデータは、上記の実施例12のフルオロアルキルエーテルスルホン酸塩界面活性剤を特定の割合で添加した時に、各水溶液の表面張力が減少したことを示している。
【0104】
実施例13
比較例Bの一般的手順に従い、実施例13において使用される界面活性剤溶液を、500mLの脱イオン水に溶解させた0.81gの式C37OCHFCF2SO3Kのカリウム−1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エタンスルホネートから作製した。追加の水のプレチャージはなかった。結果を表5に報告する。
【0105】
【表5】

【0106】
表5のデータは、本発明の実施例が、より少ないフッ素を含みながらも、生成された比較例Bの凝塊に匹敵する性能を提供することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1)
の化合物であって、式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであり、ここでXまたはX’のうちの少なくとも一方はFであることを条件とし、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、および
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKであり、
CXX’がCHFまたはCFHである場合は、nは2であることを条件とする
化合物。
【請求項2】
fがC25またはC37であり、そしてMがHまたはNaである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが2であり、nが2であり、XがHであり、そしてX’がFである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(1A):
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1A)
[式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであるが、但し、XまたはX’のうちの少なくとも一方はFであり、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、および
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKである]
の化合物の存在下において、水性媒体中で少なくとも1種のフッ素化オレフィンモノマーを重合させてフルオロポリマーの水性分散体を形成する工程を含む方法。
【請求項5】
前記式(1A)の化合物が、前記水性媒体中の水の重量に基づき約0.01%〜約10%の量で前記水性媒体中に存在する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
形成された前記フルオロポリマーの水性分散体が、少なくとも約10重量%のフルオロポリマー固形分を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記水性媒体が、ペルフルオロポリエーテル油を実質的に含まず、前記重合媒体は、重合開始時にフルオロポリマーのシードを実質的に含まない、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記重合が、生成されるフルオロポリマーの総重量に基づき約10重量%未満の非分散フルオロポリマーを生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
液体の表面挙動を変更する方法であって、前記液体に式(1A):
f−O−(CXX’)m−(CY2nSO3M (1A)
[式中、
fは、C1〜C4の直鎖または分岐のペルフルオロアルキル基であり、
XおよびX’は、各々独立してHまたはFであり、ここでXまたはX’のうちの少なくとも一方はFであることを条件とし、
各Yは、独立してHまたはFであり、
mは、1〜4の整数であり、
nは、1〜2の整数であり、そして
Mは、H、NH4、Li、NaまたはKである]
の化合物の組成物を添加する工程を含む方法。
【請求項10】
前記表面挙動が、濡れ、帯電防止、消泡、拡がり(spreading)、展着、レベリング、流動、乳化、分散、撥液(repelling)、剥離、潤滑、エッチング、結合、および安定化からなる群より選択され、前記液体が、コーティング組成物、電池組成物、消火剤、ラテックス、ポリマー、床仕上剤(floor finish)、インク、乳化剤、起泡剤、剥離剤、撥液剤(repellency agent)、流れ調整剤、皮膜蒸発抑制剤、湿潤剤、浸透剤、洗浄剤、粉砕剤、電気めっき剤、腐食防止剤、エッチング剤溶液、半田剤、分散助剤、微生物剤、パルプ化助剤、すすぎ助剤、艶出剤、パーソナルケア組成物、乾燥剤、帯電防止剤、床艶出剤(floor finish)、または結合剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記液体が、酸性の、酸化性または還元性の媒体である、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2012−508745(P2012−508745A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536428(P2011−536428)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/063966
【国際公開番号】WO2010/056699
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】