説明

フルオロイオノマー組成物の精製

本発明は、フルオロイオノマー液体組成物のイオン性不純物からの精製方法に関する。この方法は、− 液体媒体中に少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物であってイオン性不純物を含むものを準備する工程と、− 前記液体組成物を、イオン交換基(ここで、前記イオン交換基の少なくとも一部に、HまたはOHイオンが結合している)を有する少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質と接触させる工程と、− 前記液体組成物を前記固体粒子状物質から分離する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロイオノマーの液体組成物をイオン性不純物から精製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(ペル)フルオロイオン交換ポリマーの液体組成物は、イオン交換膜の製造および場合により修理における用途、導電性および非導電性粒子を含む膜コーティングのための用途、および多くの他の用途において知られている。このような組成物は、溶液と呼ばれることもあるが、この組成物は一般に、ポリマー粒子の分散液(言い換えると、コロイド状懸濁液)であると理解されている。
【0003】
液体組成物は、典型的には、適切な水性または水性アルコール媒体に(ペル)フルオロイオン交換ポリマーを溶解/懸濁させることによって調製される。このような液体分散液を得るために有用な方法はとりわけ、(特許文献1)(DUPONT DE NEMOURS)1984年2月21日、(特許文献2)(DU PONT)1972年8月23日、(特許文献3)(AUSIMONT S.P.A.)2000年5月31日、および(特許文献4)(DUPONT DE NEMOURS)2000年11月21日に教示されている。
【0004】
一般に、(ペル)フルオロイオン交換ポリマーを分散させるための上述した方法は、過酷な条件、特に高温を必要とし、したがって(ペル)フルオロイオン交換ポリマーの攻撃的な酸性基からの腐食に耐えることができる高度に特殊化した装置を必要とする。
このような条件では、イオン、特に金属イオンによる分散液の汚染は一般に不可避である。さらなるイオン性不純物が、特に重合工程(例えば、開始剤由来の残留物)および/または加水分解工程などの(ペル)フルオロイオン交換ポリマーの他の製造工程に由来して生じ得る。
【0005】
(ペル)フルオロイオン交換ポリマーの液体組成物に含まれる低濃度のイオン性不純物(特に、カチオン)でさえも、イオン交換ポリマーから得られる膜、特に燃料電池用途で使用される膜の性能に恐らくは悪影響を与えると今日考えられている。事実、燃料電池組立体のいずれかの部分にイオンが存在すると、移動性プロトンを含む酸性基の「中和」がもたらされ得、これは、そして次に、イオン的に非伝導性の対応物に変換され得る。さらに、ある種の金属イオン(例えば、Fe、Cr、Cu、Ti・・・)は、燃料電池の条件のような酸化性条件において、過酸化物ラジカルを形成するための触媒として作用し、それが膜の劣化を促進させることが認められている。
【0006】
極めて簡単に言えば、出発(ペル)フルオロイオン交換ポリマー分散液における非常に低濃度のイオンが、最終膜の耐久性、性能および品質の向上と関連していると考えられ:したがって、イオン、特にカチオンからの精製は、(ペル)フルオロイオン交換ポリマーの液体組成物の製造における良好な実施の基準となっている。
【0007】
この目的に対して、(特許文献5)(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)(2006年1月19日)および(特許文献6)(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO)(2006年1月19日)には、イオン性フルオロポリマー分散液からのイオンを除去するためのカチオン交換樹脂(例えば、ポリスルホネートまたはポリスルホン酸、ポリカルボキシレートまたはポリカルボン酸)の使用が教示されている。
【0008】
従来のイオン交換樹脂は、特に、(ペル)フルオロイオン交換ポリマーの液体組成物によってもたらされる強酸性条件に曝された場合に有機化学物質を放出し得、したがって、有機化合物によるさらなる汚染の危険が避けられない。また、従来の樹脂を用いるイオン交換条件は、これらの樹脂がしばしば熱安定性不良を有するため、室温に限定される。
【0009】
(特許文献7)(ASAHI KASEI CHEMICAL CORP.)(2006年9月7日)には、強酸性カチオン交換樹脂およびカチオン交換膜を用いる透析処理のいずれかによって、ペルフルオロカーボンスルホン酸樹脂、ポリアゾール系化合物およびアルカリ金属水酸化物(hydroxyde)を含有する溶液から過剰のアルカリ金属を除去する可能性について開示されている。このような透析処理は、ペルフルオロスルホン酸樹脂に固く結合したアルカリ金属イオンを除去するために充分でないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4433082号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第1286859号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1004615号明細書
【特許文献4】米国特許第6150426号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006014886号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006014887号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第20060199062号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の目的は、フルオロイオノマーをイオン性不純物から精製する方法であって、
− 液体媒体中に少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物であってイオン性不純物を含むものを準備する工程と、
− 前記液体組成物を、イオン交換基(ここで、前記イオン交換基の少なくとも一部に、HまたはOHイオンが結合している)を有する少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質と接触させる工程と、
− 前記液体組成物を前記固体粒子状物質から分離する工程と
を含む方法である。
【0012】
本出願人は、驚くべきことに、本発明の方法によって、フルオロイオノマー(I−1)の液体組成物を効率的に精製すると同時に、固体粒子状物質から汚染物質が放出される危険を回避することが有利にも可能であることを見いだした。
【0013】
「イオン性不純物」という表現は、本明細書において、フルオロイオノマー(I−1)のカチオン交換基に結合しているか、またはフルオロイオノマー(I−1)に結合しておらず、むしろ液体媒体中に可溶化または分散されているかのいずれかである、液体組成物中に存在しているHおよびOHとは異なるイオンを指すために用いる。
【0014】
イオン性不純物は、アニオン性であってもカチオン性であってもよい。カチオン性不純物の中では、金属カチオンを挙げることができる。
【0015】
本明細書で用いる「精製」という用語は、除去が完全であるかどうかにかかわらず、前記イオン性不純物を少なくとも部分的に除去する操作を指す。すなわち、本発明の「精製」は、イオン性不純物の少なくとも一部が本液体組成物から除去される方法を包含する。
【0016】
それでもなお、カチオン性不純物の除去のための本発明の方法を使用することが好ましい。すなわち、本発明の方法は好ましくは、カチオン性不純物から精製する方法である。
【0017】
この好ましい実施形態によれば、本発明の方法は有利には、本液体組成物を精製して、精製液体組成物中20ppm未満、好ましくは15ppm未満、より好ましくは10ppm未満の残留総金属含有量を得ることを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−1)」および「少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−2)」という表現は、1種または2種以上のフルオロイオノマー(I−1)または(I−2)を意味することが意図される。フルオロイオノマー(I−1)の混合物および/またはフルオロイオノマー(I−2)の混合物を、本発明の目的に有利に用いることができる。
【0019】
本文の残りの部分において、「フルオロイオノマー(I−1)」および「フルオロイオノマー(I−2)」という表現は、本発明の目的のために、複数形および単数形における両方を含み得る、すなわち、本発明の組成物は、1種もしくは2種以上のフルオロイオノマー(I−1)または1種もしくは2種以上のフルオロイオノマー(I−2)を含み得ることを理解されたい。
【0020】
フルオロイオノマー(I−1)およびフルオロイオノマー(I−2)は、フルオロイオノマー(I)である。すなわち、フルオロイオノマー(I)について本明細書で以下に記述する全ての特徴は、フルオロイオノマー(I−1)およびフルオロイオノマー(I−2)の両方に、しかし独立して、適用される。
【0021】
本発明の目的のために、「フルオロイオノマー(I)」という用語は、
− 少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー由来の繰返し単位(以下、「フッ素化モノマー」という);および
− 実質的な量の、少なくとも1個のイオン交換基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー由来の繰返し単位(以下、「官能性モノマー」という)
を含む任意のポリマーを意味することが意図される。
【0022】
「少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー[フッ素化モノマー]」という表現は、そのフルオロイオノマーが1種または2種以上のフッ素化モノマー由来の繰返し単位を含み得ることを意味すると理解される。
【0023】
本文の残りの部分において、「フッ素化モノマー」という表現は、本発明の目的のために、複数形および単数形の両方を含むことを理解されたい。
【0024】
フッ素化モノマーは、1個または複数の他のハロゲン原子(Cl、Br、I)をさらに含み得る。フッ素化モノマーが水素原子を含まないとき、それは「ペル(ハロ)フルオロモノマー」と表される。フッ素化モノマーが少なくとも1個の水素原子を含むとき、それは「水素含有フッ素化モノマー」と表される。
【0025】
フッ素化モノマーの非限定的な例は、とりわけ、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびこれらの混合物である。
【0026】
場合によって、フルオロイオノマーは、上述したとおりのフッ素化モノマーである1種の第1のモノマーおよび少なくとも1種の他のモノマーに由来する繰返し単位[以下、「コモノマー(CM)」という]を含んでいてよい。
【0027】
以下、コモノマー(CM)という用語は、1種のコモノマーおよび2種以上のコモノマーの両方を包含することが意図されるべきである。
【0028】
コモノマー(CM)は、とりわけ、水素化されたもの(すなわち、フッ素原子を含まない)[以下、「コモノマー(HCM)」という]であっても、フッ素化されたもの(すなわち、少なくとも1個のフッ素原子を含む)[以下、「コモノマー(FCM)」という]であってもよい。
【0029】
好適な水素化コモノマー(HCM)の非限定的な例は、とりわけ、エチレン、プロピレン、ビニルモノマー(例えば、酢酸ビニルなど)、アクリルモノマー(メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、およびヒドロキシエチルアクリレートなど)、ならびにスチレンモノマー(スチレンおよびp−メチルスチレンなど)である。
【0030】
好適なフッ素化コモノマー(FCM)の非限定的な例は、とりわけ、
− C〜Cフルオロ−および/またはペルフルオロオレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロピレン、およびヘキサフルオロイソブチレン;
− C〜C水素化モノフルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニル;
− 1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、およびトリフルオロエチレン;
− 式:CH=CH−Rf0(式中、Rf0はC〜Cペルフルオロアルキルである)に従うペルフルオロアルキルエチレン;
− クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−C〜Cフルオロオレフィン(クロロトリフルオロエチレンなど);
− 式:CF=CFORf1(式中、Rf1はC〜Cフルオロ−またはペルフルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−Cである)に従うフルオロアルキルビニルエーテル;
− 式:CF=CFOX(式中、Xは、1個または複数個のエーテル基を有する、C〜C12オキシアルキル、またはC〜C12(ペル)フルオロオキシアルキル(ペルフルオロ−2−プロポキシ−プロピルなど)である)に従うフルオロ−オキシアルキルビニルエーテル;
− 式:CF=CFOCFORf2(式中、Rf2は、C〜Cフルオロ−またはペルフルオロアルキル、例えば、CF、−C、−C、または1個もしくは複数個のエーテル基を有するC〜C(ペル)フルオロオキシアルキル(−C−O−CFなど)である)に従うフルオロアルキル−メトキシ−ビニルエーテル;
− 式:
【化1】

[式中、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6のそれぞれは、互いに同じかまたは異なり、独立して、フッ素原子、1個または複数個の酸素原子を場合によって含むC〜Cフルオロ−またはペル(ハロ)フルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−C、−OCF、−OCFCFOCFである]
のフルオロジオキソールである。
【0031】
上述により定義したとおり、本発明の方法に有用なフルオロイオノマー(I)は、実質的な量の、少なくとも1種の官能性モノマー由来の繰返し単位を含む。
【0032】
本明細書において上述した定義における「実質的な量」という表現は、ポリマーの特性を変性するために有効な官能性モノマー由来の繰返し単位の量を意味することを意図している。一般に、実質的な量は、繰返し単位の総モルに基づいて、少なくとも1モル%である。
【0033】
本明細書において用いる「イオン交換基」という表現は、有機化学で意図される一般的な意味で使用され、エチレン性不飽和モノマーの炭素骨格に結合した原子または原子の組合せを包含し、このイオン交換基は、前記エチレン性不飽和モノマーに、イオン交換と呼ばれる処理においてイオンを捕捉および放出する(すなわち、交換する)能力を賦与する。一般に、アニオン交換基は正に帯電した分子部分であるが、カチオン交換基は、負に帯電した分子部分である。
【0034】
イオン交換基の非限定的な例は、とりわけ、以下の式に従うものである:
− −SOX[式中、Xは、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択され;好ましくは、X=−Oである];
− −COY[式中、Yは、ハロゲン(Cl、F、Br、I);−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである);−ORHy(式中、RHyは、C〜C炭化水素基である);−ORHf(式中、RHfは、C〜Cフルオロカーボンまたはペル(ハロ)フルオロカーボン基である);−N(RHy(式中、RHyは、それぞれの存在において、同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基である)、またはこれらの混合の中から選択され;好ましくは、Y=−Oである];
− −POZ[式中、Zは、ハロゲン(Cl、F、Br,I);−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである);−ORHy(式中、RHfは、C〜C炭化水素基である)、および−ORHf(式中、RHfは、C〜Cフルオロカーボンまたはペル(ハロ)フルオロカーボン基である)、またはこれらの混合の中から選択され;好ましくは、Z=−Oである];
−N(RHyY’(式中、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである);
−N(RHy3−m(ROHY’(式中、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;ROHは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくは少なくとも1個のヒドロキシル基を含むC〜C炭化水素基であり;mは、1から3の整数であり;Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである);
−CO−NRHy−E−N(RHyY’(式中、Eは、二価の炭化水素部分であり、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;Y’−は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである);
−SO−NRHy−E−N(RHyY’(式中、Eは、二価の炭化水素部分であり、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;Y’−は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである)。
【0035】
本発明の方法が、カチオン性不純物から精製する方法である場合、イオン交換基はカチオン交換基である。本発明の方法が、アニオン性不純物から精製する方法である場合、イオン交換基はアニオン交換基である。
【0036】
官能性モノマーが、その官能基に場合によって含まれるフッ素原子に加えて、その官能基に含まれない少なくとも1個のフッ素原子を含む場合、それは、フッ素化官能性モノマーと表される。官能性モノマーが、その官能基に場合によって含まれるもの以外のフッ素原子を含まない場合、それは、水素化官能性モノマーと表される。
【0037】
フッ素化モノマーおよびフッ素化官能性モノマーは、同じモノマーであっても、異なるモノマーであってもよく、すなわち、フルオロイオノマー(I)は、フッ素化官能性モノマーのホモポリマーであっても、1種もしくは2種以上のフッ素化モノマーと、フッ素化または水素化された1種または2種以上の官能性モノマーとのコポリマーであってもよい。
【0038】
好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、以下の中から選択される少なくとも1種のフッ素化官能性モノマー由来の繰返し単位を含む:
(M1)式(M1)のスルホン化ペルフルオロオレフィン:
【化2】

[式中、nは0から6の整数であり、X’は、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択され、好ましくはX’=−Oである];好ましいスルホン化ペルフルオロオレフィンは、式(M1−A)および式(M1−B):
【化3】

(式中、X’は、上述により定義したものと同じ意味を有する)
に従う;
(M2)式(M2)のスルホン化ペルフルオロビニルエーテル:
【化4】

[式中、mは1から10の整数であり、X’は、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択され、好ましくはX’=−Oである];好ましくは、式(M2−A)、式(M2−B)および式(M2−C):
【化5】

(式中、X’は、上述により定義したものと同じ意味を有する)
のスルホン化ペルフルオロビニルエーテル;最も好ましくは、スルホン化ペルフルオロビニルエーテルは、式(M2−D):
【化6】

のペルフルオロ−5−スルホニルフルオリド−3−オキサ−1−ペンテン(「SFVE」としても知られる)であり、これは、その−SOF型または、好ましくは、上に詳述したとおりの任意の−SOX’型、より好ましくはその−SOH型であってよい;
(M3)式(M3)のスルホン化ペルフルオロアルコキシビニルエーテル:
【化7】

(式中、wは0から2の整数であり、RFおよびRFは、互いに同じかまたは異なっており、かつそれぞれの存在において、独立して、−F、−Cl、または、1個または複数のエーテル酸素で場合によって置換されていてもよいC10ペルフルオロアルキル基であり、yは0から6の整数であり、X’は、H、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択され;好ましくはX’=−Oである];
好ましいスルホン化ペルフルオロアルコキシビニルエーテルは、上記の式(M3)に従い、式中、wは1であり、RFは−CFであり、yは1であり、RFは−Fであり、X’はFである[式(M3−A)(「PSEPVE」とも呼ばれる)(ペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル)]:
【化8】

このスルホン化ペルフルオロアルコキシビニルエーテルは、−SOF型または、好ましくは、上に詳述されたとおりの任意の−SOX’型、より好ましくはその−SOH型で存在し得る;
(M4)式(M4)のペルフルオロアルコキシビニルエーテルカルボキシレート:
【化9】

(式中、w、y、RFおよびRFは、上述により定義したものと同じ意味を有し、RH§は、C1〜10アルキルまたはフルオロアルキル基である);好ましいペルフルオロアルコキシビニルエーテルカルボキシレートは、上記の式(M4)に従い、式中、wは0であり、yは2であり、RH§はメチルであり、RF2は−Fである[式(M4−A)]:
【化10】

(M5)式(M5)のスルホン化芳香族(ペル)フルオロオレフィン:
【化11】

[式中、ArはC3〜15芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、X’は、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択され、好ましくはX’=−Oである];
および
(M6)これらの混合物。
【0039】
フルオロイオノマー(I)が、上に詳述したとおりの種類(M1)、(M2)、(M3)または(M5)のモノマー由来の繰返し単位を含む場合、そこに含まれるスルホン酸基は、式:H(RHy)N−E−N(RHy(式中、Eは、二価の炭化水素部分であり、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素またはC〜C炭化水素基である)のジアミンとの反応によりさらに官能基化することができ、その結果、式:−SO−N(RHy)−E−N(RHyのスルホンアミド部分を生成し得、これは、対応する−SO−N(RHy)−E−N(RHyY’基(Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである)を生成させるために、適切なアルキル化剤を用いて容易に四級化することができる。
【0040】
フルオロイオノマー(I)が、上に詳述したとおりの種類(M4)のモノマー由来の繰返し単位を含む場合、そこに含まれるカルボン酸基は、式:H(RHy)N−E−N(RHy(式中、Eは、二価の炭化水素部分であり、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素またはC〜C炭化水素基である)のジアミンとの反応によりさらに官能基化することができ、その結果、式:−CO−N(RHy)−E−N(RHyのアミド部分を生成し得、これは、対応する−CO−N(RHy)−E−N(RHyY’基(Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである)を生成するために、適切なアルキル化剤を用いて容易に四級化することができる。
【0041】
場合によって、フルオロイオノマー(I)は、フッ素化モノマーおよび官能性モノマー由来の繰返し単位に加えて、以下の式の中から選択される少なくとも1種のビス−オレフィン由来の繰返し単位をさらに含んでいてよい:
(OF−1)
【化12】

(式中、jは、2から10、好ましくは4から8の整数であり、R1、R2、R3、R4は、互いに同じかまたは異なっており、H、FまたはC1〜5アルキル、もしくは(ペル)フルオロアルキル基である);
(OF−2)
【化13】

〔式中、それぞれのAは、互いにおよびそれぞれの存在において同じかまたは異なっており、F、Cl、およびHから独立して選択され;それぞれのBは、互いにおよびそれぞれの存在において同じかまたは異なっており、F、Cl、HおよびOR(式中、Rは、部分的、実質的または完全にフッ素化または塩素化することができる分岐状または直鎖のアルキル基である)から独立して選択され;Eは、エーテル結合が挿入されていてもよく、場合によってフッ素化されていてもよい2から10個の炭素原子を有する二価の基であり;好ましくは、Eは、−(CF−基(mは、3から5の整数である)である〕;好ましい(OF−2)タイプのビス−オレフィンは、FC=CF−O−(CF−O−CF=CFである;
(OF−3)
【化14】

(式中、E、Aお、よびBは、上に詳述したものと同じ意味を有し;R5、R6、R7は、互いに同じかまたは異なっており、H、F、またはC1〜5アルキルもしくは(ペル)フルオロアルキル基である)。
【0042】
フルオロイオノマー(I)が上述により定義したとおりのビス−オレフィン由来の繰返し単位を含む場合、それは有利には、前記繰返し単位を、フルオロイオノマーの全繰返し単位に対して0.01〜5モル%の範囲の量で含む。
【0043】
好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、上述により特定したとおりのビス−オレフィン由来の繰返し単位を含まない。
【0044】
フルオロイオノマー(I)は、好ましくは、ペル(ハロ)フルオロイオノマーである。
【0045】
本発明の目的のために、「ペル(ハロ)フルオロイオノマー」という用語は、水素原子を実質的に含まないフルオロイオノマーを意味することを意図する。
【0046】
「水素原子を実質的に含まない」という用語は、ペル(ハロ)フルオロイオノマーが、
− 少なくとも1個のフッ素原子を含み、水素原子を含まない1種または2種以上のエチレン性不飽和モノマー由来の繰返し単位(以下、「ペル(ハロ)フルオロモノマー」という);および
− 少なくとも1個のフッ素原子および少なくとも1個のイオン交換基を含み、水素原子(イオン交換基に場合によって含まれる水素原子を除く)を含まない1種または2種以上のエチレン性不飽和モノマー(以下、「官能性ペル(ハロ)フルオロモノマー」という)由来の繰返し単位
から本質的になることを意味することが理解される。
【0047】
ペル(ハロ)フルオロモノマーおよび官能性ペル(ハロ)フルオロモノマーは、同じモノマーであっても異なるモノマーであってもよい。すなわち、ペル(ハロ)フルオロモノマーは、官能性ペル(ハロ)フルオロモノマーのホモポリマーであってよく、あるいは、1種もしくは2種以上のペル(ハロ)フルオロモノマーと、1種もしくは2種以上の官能性ペル(ハロ)フルオロモノマーとのコポリマーであってよい。
【0048】
フルオロイオノマー(I)の組成物と関連して用いる「から本質的になる」という表現は、フルオロイオノマー(I)が、当技術分野で知られているとおりの、重合反応に用いた開始剤および場合により連鎖移動剤に由来し得る鎖末端基の付加のみを有する、指示したモノマー単位からなることを意味すると解釈されるべきである。
【0049】
好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、
− C〜Cペルフルオロオレフィン、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP);
− クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−C〜Cペル(ハロ)フルオロオレフィン(クロロトリフルオロエチレン(CTFE)および/またはブロモトリフルオロエチレンなど);
− 式:CF=CFORf1(式中、Rf1は、C〜Cペルフルオロアルキル、例えば、−CF、−C、−Cである)に従うペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
− 式:CF=CFOX[式中、Xは、1個または複数のエーテル基を有するC〜C12ペルフルオロオキシアルキル(ペルフルオロ−2−プロポキシ−プロピルなど)である]に従うペルフルオロ−オキシアルキルビニルエーテル
の中から選択される、少なくとも1種の官能性ペル(ハロ)フルオロモノマーおよび少なくとも1種のペル(ハロ)フルオロモノマー由来の繰返し単位を含む(好ましくはこの繰返し単位から本質的になる)ペル(ハロ)フルオロイオノマーの中から選択する。
【0050】
より好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、上述により定義したとおりの少なくとも1種の官能性ペル(ハロ)フルオロモノマー由来の繰返し単位を含む(好ましくはこの繰返し単位から本質的になる)テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーの中から選択する。
【0051】
より好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、上述により定義したとおりの少なくとも1種の官能性ペル(ハロ)フルオロモノマーM1〜M6由来の繰返し単位を含む(好ましくはこの繰返し単位から本質的になる)テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーの中から選択する。
【0052】
好ましい官能性ペル(ハロ)フルオロモノマーは、とりわけ、上に詳述したとおりの式(M2)のスルホン化ペルフルオロビニルエーテル、および、上に詳述したとおりの式(M3)のスルホン化ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、ならびにこれらの混合物である。
【0053】
さらにより好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、PSEPVE(上記の式M3−A)および/またはSFVE(上記の式M2−D)由来の繰返し単位を含む(好ましくはこの繰返し単位から本質的になる)TFEコポリマーの中から選択され、これらの−SOF型または−SOX”型[式中、X”は、ハロゲン(Cl、Br、I)、−O(ここで、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択される]であり;好ましくはそれらの−SOH型である。
【0054】
さらにより好ましくは、フルオロイオノマー(I)は、
− 5〜30モル%の、PSEPVEおよび/またはSFVE由来の繰返し単位であって、−SOF型または−SOX”型[式中、X”は、ハロゲン(Cl、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択される]のもの;および
− 95〜70モル%の、TFE由来の繰返し単位
を含む(好ましくはこれらの繰り返し単位から本質的になる)TFEコポリマーの中から選択される。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によれば、フルオロイオノマー(I)は、その官能性モノマーがSFVEであり、−SOF型または−SOX”型[式中、X”は、ハロゲン(Cl、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合の中から選択される]の形態にある、上述したとおりのTFEコポリマーの中から選択される。
【0056】
フルオロイオノマー(I−1)中の負または正に帯電した部分に結合したイオンの選択は重要ではない。負に帯電したイオン交換基に結合した典型的なカチオンは、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンモニウム(NH)または水素(H)である。正に帯電したイオン交換基に結合した典型的なアニオンは、例えば、塩素(Cl)またはOHイオンである。
【0057】
本発明の方法で用いるフルオロイオノマー(I−1)は、好ましくは、カチオン交換基を含む。好ましくは、フルオロイオノマー(1−1)は、そのカチオン交換基に結合した一価の金属カチオン、より好ましくはナトリウム(Na)イオン、またはカリウム(K)イオン、さらにより好ましくはナトリウム(Na)イオンを有する。これらのイオンは一般に、その部位に低い親和性を有する。このような交換部位を、適切な条件(例えば、反応性環境条件)に曝すと、カチオンを、プロトンで置き換えることができ、その結果、不安定なHイオンを有するフルオロイオノマーを得ることができることは広く理解されている。
【0058】
他方、本発明の目的にとって、固体粒子状物質のフルオロイオノマー(I−2)が、そのイオン交換基の少なくとも一部に結合したHまたはOHを備えていることは、不可欠である。
【0059】
フルオロイオノマー(I−2)が、そのイオン交換基のすべてに結合した、Hとは異なるカチオンまたはOHとは異なるアニオンを有する場合、前記イオンは、フルオロイオノマー(I−1)の液体組成物中にイオン交換過程の作用によって導入され得、結果として、精製されることが意図されるその液体分散液を汚染し得る。
【0060】
固体粒子状物質のフルオロイオノマー(I−2)の、プロトン化型(すなわち、イオン交換基の少なくとも一部に結合したHカチオンを有する形態)またはヒドロキシル化型(すなわち、イオン交換基の少なくとも一部に結合したOHアニオンを有する形態)への変換は、当技術分野で周知の手段によって、例えば、それぞれ、任意の十分に強い酸または強い塩基による処理によって達成することができる。
【0061】
カチオン交換基に結合した一価の金属カチオンを有するフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物は、カチオン交換基に結合したHイオンを含む液体組成物よりも容易に取り扱い、あるいは製造することができる。カチオン交換基に結合したHイオンを含む液体組成物は、液体媒体中における適切な溶解/分散を達成するためにより高温の処理を必要とするだけでなく、それらは、採用した温度での処理に用いる装置に対して非常に酸性でかつ攻撃的でもある。
【0062】
カチオン交換基に結合したナトリウム(Na)カチオンを有するフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物は、レオロジー挙動を最適化する観点から好ましい。これは、それらが、典型的には、室温で低い液体粘度と、同じ条件でのニュートン挙動(すなわち、せん断速度に応じて一定またはほぼ一定の粘度)とを有するからである。
【0063】
カチオン交換基も含むフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質を用いて本発明の方法により精製すると、カチオン交換基に結合したHと異なるカチオン、特にアルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムイオンを有するフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物は、それらのプロトン化型に有利に交換され、そのカチオン交換基に結合したHカチオンを有するフルオロイオノマー(I−1)を含む精製液体組成物として再生される。
【0064】
この意味で、本発明の精製方法は、有利に、フルオロイオノマー(I−1)の同時プロトン化を提供し得る。
【0065】
フルオロイオノマー(I−1)の「液体組成物」という表現は、液体媒体中のフルオロイオノマー(I−1)の真の溶液または液体媒体中のフルオロイオノマー(I−1)の分散液の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0066】
本発明の液体組成物は、液体媒体を含む。典型的には、本液体組成物は、水を含む液体媒体を含む。
【0067】
一般に、本液体組成物は、液体媒体として水または水/アルコール混合物を含み、さらなる成分および/または添加剤を場合によって含んでいてもよい。それにもかかわらず、他の液体媒体をさらに用いることができる(ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール)。
【0068】
具体的に、水/アルコール混合物として用いることができる好適なアルコールは、とりわけ、メタノール、エタノール、プロピルアルコール(すなわち、イソプロパノール、ノルマルプロパノール)、エチレングリコール、ジエチレングリコールである。
【0069】
液体媒体が、本質的に水、代替として、水およびアルコール、より正確には水およびプロピルアルコールの混合物である液体組成物を使用して、良好な結果が得られた。
【0070】
典型的には、本発明の精製工程は、重量で40パーセント(重量%)未満の固体含有量を有する液体組成物について実施する。これらの条件下では、例えば、固体粒子状物質への吸着によるフルオロイオノマー(I−1)の損失が、最小化される。
【0071】
本発明の方法に利用することができる液体組成物は、有利には、上に詳述したとおり、液体媒体中にフルオロイオノマー(I−1)を分散/溶解させることによって製造することができる。
【0072】
液体媒体が、本質的に水または、代替として水およびアルコールの混合物である液体組成物の場合、前記分散/溶解は、有利には、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも180℃、より好ましくは少なくとも200℃の温度で行う。この分散/溶解は、一般に、オートクレーブ中撹拌下で行う。
【0073】
液体組成物は、一般に、フルオロイオノマー(I−1)を溶解または分散された形態で含む。本明細書において「溶解形態」という表現は、フルオロイオノマーの「真」の溶液を意味することが意図されている。
【0074】
本明細書において「分散形態」という表現は、フルオロイオノマー(I−1)のコロイド状懸濁液を指し、これにより、一般に、500nm未満の平均粒径を有するフルオロイオノマーの粒子が安定に懸濁化され、かき乱されていない状態で放置される場合に沈降現象が全く起こらないことを意味することが意図されている。
【0075】
分散形態にある場合、フルオロイオノマー(I−1)は、有利には、1〜500nm、好ましくは1〜250nm、さらにより好ましくは1〜50nmの平均粒径を有する。
【0076】
本発明の方法を行うために、フルオロイオノマー(I−1)の液体組成物を、そのイオン交換基の少なくとも一部に結合したHまたはOHイオンを有するフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質と接触させる。フルオロイオノマー(I−1)および(I−2)は、異なっていてもよく、あるいはこれらは同じポリマーであってもよい。本出願人は、フルオロイオノマー(I−2)が、そのイオン交換基の少なくとも一部に結合したHまたはOHを有することを条件として、本発明の精製方法は、フルオロイオノマー(I−1)および(I−2)が同じフルオロイオノマー(I)である場合でさえも、有効に進行することを見いだした。
【0077】
精製工程の間に、HまたはOHイオンは、液体組成物中のイオン性不純物と交換されるので、フルオロイオノマー(I−2)に結合したHまたはOHイオンの割合が減少する。精製工程の最後、あるいは精製工程の効率がもはや許容されなくなったら、この固体粒子状物質を、例えば、当技術分野で知れているとおり、強酸または強塩基による処理によって再生することができる。
【0078】
一般に、高い物質スループットを維持するために、精製工程は、液体組成物の少なくとも5重量%〜最高で40重量%の範囲の固体含有量を有する液体組成物を用いて行う。
【0079】
本液体組成物中の固体含有量が10重量%〜30重量%であることが特に有利である。
【0080】
本発明の方法は、一般に、25℃から120℃の範囲の温度で行い;上限温度は、液体組成物に含まれる液体媒体に応じて選択する。液体媒体が水を含む液体組成物について、温度は一般に、25℃〜90℃、好ましくは25℃〜80℃であることが一般に理解される。
【0081】
本発明の液体組成物は、本発明の方法の操作温度において、固体粒子状物質を通過する良好な流動性を有するとが一般に理解される。これは、典型的には、本方法を実施する温度で測定して、液体組成物の液体粘度が、一般に、400センチポアズ未満、好ましくは100センチポアズ未満、より好ましくは40センチポアズ未満であることを意味する。
【0082】
当業者であれば、固体粒子状物質の大きさに応じて、精製されることとなる本組成物の最も適切な液体粘度を有利に選択するであろう。
【0083】
本明細において「固体粒子状物質」という表現は、少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質の離散粒子を意味するために用いる。前記固体粒子状物質は、液体組成物と接触させた場合に、有利に、それから容易に分離可能であるという特性を有する。
【0084】
固体粒子状物質は、そのイオン交換基の少なくとも一部に結合したHまたはOHイオンを有するフルオロイオノマー(I−2)に加えて、前記フルオロイオノマー(I−2)で少なくとも部分的に被覆されていてもよい追加の成分、とりわけ不活性な支持材のような成分を含成分を含んでいてよい。
【0085】
より一般的には、固体粒子状物質は、フルオロイオノマー(I−2)から本質的になる。この文脈において、「本質的になる」という表現は、添加剤、安定剤または他の成分が、フルオロイオノマー(I−2)の特性を変更させない最小の量、例えば、5重量%未満、好ましくは2重量%未満の量で固体粒子状物質中に含まれていてもよいことを指す。
【0086】
固体粒子状物質は、粉末の形態、すなわち、1から1000μmの平均粒径を有する、すり砕いた、粉々にした、あるいは微細に分散した固体粒子からなっていてよい。
【0087】
固体粒子状物質は、例えば、フルオロイオノマー(I−2)のストランドを押し出し、それらを一般に円筒状の形状を有するペレットに切断することにより得られるもののような、幾何学的大きさのペレットの形態であってもよい。ペレットの大きさは、典型的には、0.5mmから数ミリメートルの範囲である。
【0088】
あるいは、固体粒子状物質は、球状、かつ、少なくとも500μm、好ましくは少なくとも1000μmの直径を有するビーズの形態であってよく、ビーズの直径の上限は、特に限定されず、一般に、最大数センチメートルに上げることができる。この形態は、不活性支持材上に支持された上に定義したとおりのフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質の場合に特に好ましい。
【0089】
液体組成物からのこの粒子状物質の容易な分離が可能であることを条件として、固体粒子状物質の任意の他の形態が、本発明の目的に適切であり得る。
【0090】
典型的には、本発明の方法の固体粒子状物質は、粉末の形態、より好ましくは凝固ラテックス粉末の形態である。この粉末は、フルオロイオノマー(I−2)の重合反応から得られるラテックスの凝固から得ることができる。凝固粉末は、典型的には、1〜1000μm、好ましくは5〜800μm、より好ましくは10〜500μmの平均粒径を有する。平均粒径は、有利には、篩い分けすることにより測定することができる。
【0091】
本発明の第1の実施形態によれば、固体粒子状物質は、フルオロイオノマー(I−1)の液体組成物をカラムに通過させる充填カラムの構成で用いることができる。この方法では、カラムを通過する液体組成物の流速は、典型的には、1時間当たり0.5〜20ベッド−ボリューム、より典型的には1時間当たり2〜10ベッド−ボリュームの範囲であるが、より低い流速およびより高い流速を用いることもできる。
【0092】
本発明の第2の実施形態によれば、固体粒子状物質は、非固定樹脂床配置で用いることができる。すなわち、遊離の固体粒子状物質を、例えば、穏やかに撹拌しながら、フルオロイオノマー(I−1)の液体組成物に添加し、その後、ろ過により除去することができる。撹拌する方法には、液体組成物および固体粒子状物質の混合物が入っている容器を振とうすること、撹拌機を備えた容器中で前記混合物を撹拌すること、容器を回転させること、および前記混合物を通してガス(例えば、窒素または空気)をバブリングさせることが含まれる。混合物の撹拌をもたらすさらなる方法は、固体粒子状物質を流動化させることである。流動化は、容器中の固体粒子状物質を通して液体組成物を流し、それにより液体組成物の流れが固体粒子状物質を旋回させることによって生じさせることができる。撹拌の条件は、一般に、一方では、固体粒子状物質を液体組成物と完全に接触させる(すなわち、固体粒子状物質を液体組成物中に完全に浸漬させる)ように選択し、さらに、固体粒子状物質の損傷を避けるために充分に穏やかであるように選択する。
【0093】
本発明の第3の実施形態によれば、フルオロイオノマー(I−2)の固体粒子状物質およびフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物を、膜を通して接触させる;この実施形態によれば、イオン性不純物は膜を通して自由に循環し得る一方、有利に、フルオロイオノマー(I−1)が固体粒子状物質と直接接触しないようにすることができる。
【0094】
それにもかかわらず、上に詳述したとおりの第1および第2の実施形態は、この最後の第3の実施形態より好ましい。
【0095】
液体組成物の固体粒子状物質からの分離は、標準的な方法で行うことができる。ろ過、デカンテーション、沈殿、遠心分離のいずれも特に用いることができる。より適切な分離技術の選択は、当業者によって、固体粒子状物質の具体的な大きさおよび液体組成物の粘度を考慮して行われる。
【0096】
とりわけ、ろ過は、本発明の方法に有効であることが判明している技術である。
【0097】
本発明を、以下の非限定的な実施例を参照しながら、より詳細に説明する。
【実施例】
【0098】
[液体組成物の粘度の決定]
液体粘度は、25℃の温度での定常速度掃引方式のクェット配置(すなわち、同軸に組み立てられたシリンダー)を用いる、動的機械レオメータ(Rheometric RFS III)を用いて決定した。特に断らない限り、ニュートン挙動、すなわち、一定またはほとんど一定(+/−10%)の粘度を示す液体組成物、および非ニュートン挙動(せん断速度に応じた変動粘度)を示す液体組成物の両方について、実施例で述べる値は、25℃およびせん断速度40/秒で決定した値である。
【0099】
[調製実施例1]:EW830を有するイオノマー前駆体(−SOF)粉末の製造
22リットルのオートクレーブに、11.5リットルの脱塩水、980gの式:CF=CF−O−CFCF−SOFのモノマー、およびCFClO(CFCF(CF)O)(CFO)CFCOOK(平均分子量521および比n/m=10)の水中5重量%溶液3100gを導入した。オートクレーブを、540rpmで撹拌させながら、温度60℃に加熱した。次いで、6g/リットルの過硫酸カリウム(KPS)を含有する水をベースとする溶液150mlを添加し、ガス状テトラフルオロエチレン(TFE)を添加することにより圧力を13.5バール絶対圧の設定値に維持した。1000gのTFEを添加後、CF=CF−O−CFCF−SOFのさらなるアリコート(175g)を、TFE消費200gごとに添加した。250分後、総TFE消費3900gに対応して、反応器を冷却および排気した。ここから得られたラテックスは、28.2重量%の濃度を有することがわかった。次いで、ラテックスの一部を凍結および解凍させることにより凝固させ、回収したポリマーを水で洗浄し、150℃で40時間乾燥させた。フィルムを、270℃にて5分間、プレス中で成形した。正方形試料10×10cmをこれから切断し、水中KOH溶液(10重量%)中で24時間処理し、純水ですすぎ洗いし、室温において20重量%のHNO溶液中で処理し、最後に水で洗浄した。ポリマーをこの方法で、前駆体(−SOF)型から酸(−SOH)型に変換した。真空中150℃にて乾燥した後、フィルムを希NaOHで滴定した。ポリマーの当量は、830g/当量であることがわかった。ラテックスの残存量を、窒素バブリング下で16時間維持し、重合反応からの残留モノマーを揮散させ、次いで、プラスチック製槽中で48時間凍結させた。水を融解させた後、凝固イオノマーを脱塩水で数回洗浄し、オーブン中150℃で24時間乾燥させて、イオノマー前駆体の乾燥粉末を得た。
【0100】
[調製実施例2]:実施例1のポリマーからのイオノマー分散液(−SONa型)の製造
実施例1で得られたポリマーの一部をNaOH溶液(10重量%のNaOH、1kgのポリマー当たり10リットルの溶液)中80℃で10時間処理し、水のpHが9未満であることが認められるまで、脱塩水で繰り返してすすぎ洗いした。次いで、−SONa型のポリマーを通風オーブン中150℃で24時間乾燥させた。650gの量の乾燥ポリマーを、2100gの脱塩水とともにAISI316オートクレーブに入れ、中程度の撹拌(120RPM)下240℃で3時間維持した。冷却後、得られた分散液を10000RPM(HEMRLE Z36HK)で遠心分離にかけ、未溶解のポリマー部分を除去した。水を添加して、水中20%のSONa型ポリマーを含む分散液を得た。この分散液の粘度は、上に特定した条件で5.5センチポアズであり、ニュートン挙動を有することがわかった。
【0101】
[調製実施例3]:実施例1のポリマーからの−SOH型のイオノマーの固体粒子状物質の製造
実施例1で得られたポリマーの一部を、上に記載したとおりに10%NaOHで加水分解し、水ですすぎ洗いし、硝酸の20%水溶液でさらに処理し、最後にpHが4を超えていることが認められるまで脱塩水ですすぎ洗いした。−SOH型の凝集粉末の形態の固体粒子状物質を通風オーブン中80℃で48時間乾燥させた。
【0102】
[実施例4]:実施例3の固体粒子状物質を用いる実施例2の−SONa型のイオノマー分散液の精製
安全弁を備えたAISI304フィルター組立品に1000gのSOH型のポリマー粉末を充填し、密閉し、脱塩水と接触させた。2バールゲージで過度の圧力に設定した。実施例2で得られた−SONa型のポリマー液体分散液2リットルを、蠕動ポンプ(Masterflex L/S Cole&Palmer)を用いて、フィルターを通して(上側から下側に向けて)50cm/分の流量で供給した。次いで、分散液の残留物を回収するために500ccの脱塩水を組立品に供給した。
このようにして、−SOH型に変換されたフルオロイオノマー液体分散液を、部分的に希釈した組成物として回収し;撹拌ガラス容器中60℃での蒸発を20重量%の固体を得るために行った。この分散液の粘度は、上に特定した条件で7センチポアズであり、ニュートン挙動を有することがわかった。分散液は、ほとんど無色の浅黄色を示した。
ICP測定により、Ni、FeおよびCr含有量は、それぞれ1ppm未満であることが示された。総金属含有量は、10ppm未満であることがわかった。フィルター組立品に収容された固体粒子状物質フルオロイオノマーは、20%硝酸溶液と接触させ、脱塩水ですすぎ洗いすることによって再生した。
【0103】
[調製実施例5]:実施例1のポリマーからのイオノマー分散液(−SOK型)の製造
実施例1で得られたポリマーの一部を、KOH溶液(15重量%KOH、1kgのポリマー当たり7リットルの溶液)によって80℃で10時間処理し、次いで、水のpHが9未満であることが認められるまで脱塩水で繰り返してすすぎ洗いした。次いで、−SOK型のフルオロイオノマーを通風オーブン中150℃で24時間乾燥させた。650gの量の乾燥ポリマーを、2100gの脱塩水とともにAISI316オートクレーブに入れ、中程度の撹拌(120RPM)下240℃で3時間維持した。冷却後、得られた分散液を、45℃、10000RPM(HEMRLE Z36HK)で遠心分離にかけて、未溶解のポリマー部分を除去した。水を添加し、水中に20%のSOK型フルオロイオノマーを含むフルオロイオノマー液体分散液を得た。この液体分散液は、25℃で非ニュートン挙動を有し、上に特定した条件で950センチポアズの粘度であり、45℃(40/秒で33センチポアズ)および60℃(40/秒で10センチポアズ)の両方でニュートン挙動を有することがわかった。
【0104】
[実施例6]:実施例3の固体粒子状物質を用いる実施例5の−SOK型のイオノマー分散液の精製
フィルター組立品を60℃の温度に維持し、液体分散液を80℃で予備加熱した以外は、実施例4に記載した同じ組立品および手順に従った。
精製されて−SOH型分散液に変換された液体の粘度は、上に特定した条件で8センチポアズであり、ニュートン挙動を有することがわかった。
ICP測定により、Ni、FeおよびCr含有量は、それぞれ1ppm未満であることが示された。総金属含有量は、10ppm未満であることがわかった。
【0105】
[比較実施例7]:従来のイオン交換樹脂を用いる実施例5の−SOK型のイオノマー分散液の精製
8%HCl溶液による処理によって酸性形態で得られたDOWEX(登録商標)−50樹脂をフィルターに充填し、その後水ですすぎ洗いした以外は、実施例4に記載した同じ組立品および手順に従った。フィルター組立品を、80℃の温度に維持し、液体分散液は、80℃で予備加熱した。
フィルターから回収した−SOH型に変換されたポリマー分散液は、固体含有量20%に達するまで60℃で蒸発させることにより濃縮した。
前記分散液は、イオン交換樹脂由来の有機物の汚染の証拠である、黄色−茶色がかった色を有した。この分散液に対して、さらなる分析も特徴付けも続行しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロイオノマー液体組成物をイオン性不純物から精製する方法であって、
− 液体媒体中に少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物であってイオン性不純物を含む液体組成物を準備する工程と、
− 前記液体組成物を、イオン交換基(ここで、前記イオン交換基の少なくとも一部に、HまたはOHイオンが結合している)を有する少なくとも1種のフルオロイオノマー(I−2)を含む固体粒子状物質と接触させる工程と、
− 前記液体組成物を前記固体粒子状物質から分離する工程と
を含む方法。
【請求項2】
フルオロイオノマー(I−1)およびフルオロイオノマー(I−2)が、
−少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(以下、「フッ素化モノマー」という)由来の繰返し単位;および
−実質的な量の、少なくとも1個のイオン交換基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー由来の繰返し単位
を含むフルオロイオノマー(I)の中から選択され、
前記イオン交換基が、
− −SOX[式中、Xは、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合物からなる群から選択され;好ましくは、X=−Oである];
− −COY[式中、Yは、ハロゲン(Cl、F、Br、I);−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである);−ORHy(式中、RHyは、C〜C炭化水素基である);−ORHf(式中、RHfは、C〜Cフルオロカーボンまたはペル(ハロ)フルオロカーボン基である);−N(RHy(式中、RHyは、それぞれの存在において、同じかまたは異なっており、水素またはC〜C炭化水素基である)、またはこれらの混合からなる群から選択され;好ましくは、Y=−Oである];
− −POZ[式中、Zは、ハロゲン(Cl、F、Br,I);−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである);−ORHy(式中、RHyは、C〜C炭化水素基である)、および−ORHf(式中、RHfは、C〜Cフルオロカーボンまたはペル(ハロ)フルオロカーボン基である)、またはこれらの混合物からなる群から選択され;好ましくは、Z=−Oである];
− −N(RHyY’(式中、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである);
− −N(RHy3−m(ROHY’(式中、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;ROHは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素または少なくとも1個のヒドロキシル基を含むC〜C炭化水素基であり;mは、1から3の整数であり;Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである);
− −CO−N(RHy)−E−N(RHyY’(式中、Eは、二価の炭化水素部分であり、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである);
− −SO−NRHy−E−N(RHyY’(式中、Eは、二価の炭化水素部分であり、RHyは、それぞれの存在において同じかまたは異なっており、水素もしくはC〜C炭化水素基、またはこれらの混合であり;Y’は、一価のアニオン、好ましくはY’=Cl、OHである)。
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フルオロイオノマー(I)が、
(M1)式(M1)のスルホン化ペルフルオロオレフィン:
【化1】

[式中、nは0から6の整数であり、X’は、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合からなる群から選択される];
(M2)式(M2)のスルホン化ペルフルオロビニルエーテル:
【化2】

[式中、mは1から10の整数であり、X’は、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合からなる群から選択され;好ましくは、X’は−Oである];
(M3)式(M3)のスルホン化ペルフルオロアルコキシビニルエーテル:
【化3】

(式中、wは0から2の整数であり、RFおよびRFは、互いに同じかまたは異なっており、かつそれぞれの存在において、独立して、−F、−ClまたはC10ペルフルオロアルキル基であり、場合によりエーテル酸素で置換されていてもよく、yは0から6の整数であり、X’は、H、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合からなる群から選択され;好ましくは、X’は−Oである];
(M4)式(M4)のペルフルオロアルコキシビニルエーテルカルボキシレート:
【化4】

(式中、w、y、RF、およびRFは、上述により定義したものと同じ意味を有し、RH§は、C1〜10アルキルまたはフルオロアルキル基である);
(M5)式(M5)のスルホン化芳香族(ペル)フルオロオレフィン:
【化5】

[式中、ArはC3〜15芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、X’は、ハロゲン(Cl、F、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合からなる群から選択され、好ましくはX’=−Oである];および
(M6)これらの混合物
の中から選択される少なくとも1種のフッ素化官能性モノマー由来の繰返し単位を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フルオロイオノマー(I)が、少なくとも1種の官能性ペル(ハロ)フルオロモノマー由来の繰返し単位を含むテトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フルオロイオノマー(I)が、
ペルフルオロ−2−(2−フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル[式(M3−A)]:および/または
【化6】

ペルフルオロ−5−スルホニルフルオリド−3−オキサ−1−ペンテン[式(M2−D)]
【化7】

由来の繰返し単位であって、−SOF型または−SOX”型[式中、X”は、ハロゲン(Cl、Br、I)、−O(式中、Mは、H、NH、K、Li、Naからなる群から選択されるカチオンである)、またはこれらの混合からなる群から選択される]である繰り返し単位を含むTFEコポリマーからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固体粒子状物質が、そのイオン交換基の少なくとも一部に結合したHまたはOHを有するフルオロイオノマー(I−2)に加えて、前記フルオロイオノマー(I−2)で少なくとも部分的に被覆された不活性支持材を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記固体粒子状物質が、フルオロイオノマー(I−2)から本質的になる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記固体粒子状物質が、粉末(すなわち、すり砕いた、粉々にした、またはそうでなければ微細に分散した固体粒子状物質からなる粉末)の形態である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記固体粒子状物質が、凝固ラテックス粉末の形態である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体組成物の前記固体粒子状物質からの分離を、ろ過、デカンテーション、沈殿、および遠心分離から選択される技術を用いて行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、カチオン性不純物から精製する方法であり、前記液体組成物を、前記精製液体組成物中の残存総金属含有量が10ppm未満となるまで精製する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、カチオン性不純物から精製する方法であり、そのイオン交換基に結合したNH、K、Li、Naの中から選択されるカチオンを有するフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物を、そのイオン交換基に結合したHカチオンを有するフルオロイオノマー(I−1)を含む液体組成物が得られるまで精製する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−511606(P2012−511606A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540092(P2011−540092)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066788
【国際公開番号】WO2010/066823
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】