説明

フルオロオレフィン重合用低温開始剤

【課題】フィブリル化しないフルオロポリマー。
【解決手段】構造式I:Rf CXX′(CYY′)e CF2 −(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf′[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但しe=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、Rf =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そしてRf′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]を有するジアシルペルオキシド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロオレフィンの比較的低温での重合を可能にする式
n(2n+1)(CH2a CF2 (C=O)−
OO(C=O)CF2 (CH2bm(2m+1)
[式中、n及びmはそれぞれ独立に1−4であり、そしてa及びbはそれぞれ独立に1または2である]
の新規な種類の低温開始剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロオレフィン用重合開始剤として、種々の構造のジアシルペルオキシド、例えばダイキン工業の1987年5月付米国特許第4663407号による[RO(CH2 CF2 CF2 O)n CH2 CF2 (C=O)O−]2 、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクツアリング(Minnesota Mining and Manufacturing)の1975年5月6日付米国特許第3882193号による[−O(C=O)CFRf (C36 O)h (C24 O)m (CF2 O)n (Cg2gO)a CFRf (C=O)O−]x 、デュポン社(E.I.du Pont)の1970年9月15日付米国特許第3528954号による[X(CF2n (C=O)O−]、ダイキン工業の1993年7月9日付ヨーロッパ特許第0606492A1号によるXCm2m(C=O)OO(C=O)Cn2nF、及びオ−シモント(Ausimont,SpA)の1996年11月29日付米国特許第5569728号によるCl2 FC(C=O)OO(C=O)CCl2 Fが特許請求されている。特別な用途に対する最良のジアシルペルオキシドは、しばしばその半減期で決定できる。ここに「半減期」とは、系内において開始剤の半分が熱的にラジカルに分解するのに要する時間を意味する。開始剤の効果は、モノマーと均一に混合するに十分長い間持続するが、重合を不経済的に遅くするほど長くないことが必要である。15分ないし数時間程度の半減期が望ましい。
【0003】
重合温度は最終のポリマ−の構造、例えば分子量及び分岐度の基本的な観点に影響する。即ち、第1に好適な重合温度を選択し、第2に適当な半減期の開始剤が選択される。本明細書で用いるようなHFPOとは、ヘキサフルオロプロピレンオキシドである。例えば重合温度を30℃に設定するならば、半減期0.98時間を有するダイマ−ペルオキシド(DP)は半減期8.8時間のヘプタフルオロブチリルペルオキシド(4P)よりも速く且つ良好に選択される(表1)。しかしながら、同一の重合を0℃で行うことが必要ならば、DPの半減期は64−92時間まで長くなり(表1)、不経済的な遅い反応となろう。
【0004】
より速い、より低温という潜在的な利点は、生産性の向上、ポリマ−線状性の増大、連鎖移動の低下、ポリマ−分子量の増大、生成物量の低下に際してのモノマ−のオリゴマ−化の低下、ポリマ−中の酸フルオリド末端基生成の減少、および液化ヘキサフルオロプロピレン(HFP)またはCO2 のような凝縮媒体中での反応器圧の低下、を含む。従来法のより速い(即ちより低温の)ジアシルペルオキシド1H3Pは10℃で16時間の半減期を有する[参照、表1、J.オルグ・ケム(Org.Chem.)47、2009(1982)および日本国特許第61152653A2号、ケミカル・アブストラクツ(Chem.Abstracts)106、120380]。−3.9℃で10時間の半減期が報告されているトリクロロアセチルペルオキシド(参照米国特許第5688838号)は1H3P(「HCF2 CF2 −」)より更に速いが、2つの欠点を有する。第1に−CCl3 基は連鎖移動する傾向があり、第2に開始のCl3 C* 基は潜在的に不安定な末端基としてポリマ−鎖に結合したままである。10℃において、本発明の、ここに開示されるビス(2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタノイル)ペルオキシド(以下「4H5P」)およびビス(2、2、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ウンデカフルオロオクタノイル)ペルオキシド(以下「4H8P])は、それぞれ1H3Pより13倍および9倍速い。ラジカル発生の速度定数を維持する場合、これは本発明のペルオキシドに対して重合温度10−20℃という利点を提供する。トリクロロアセチルペルオキシドと違って、4H5Pおよび4H8Pは、ポリマ−または反応混合物のいずれへも望ましくない塩素を導入しないであろう。即ち本明細書で開示される4H5P、4H8P、および関連するペルオキシドは、低温フルオロオレフィン重合用開始剤として特に魅力的にみえる。
【0005】
本発明と共通の所有権者の米国特許第5763552号は、弗素化モノマ−の重合に有用な式Rf −(CH2 )−z−Rf′COOHの、部分的に弗素化された界面活性剤を開示する。これらの界面活性剤は、本明細書に開示される多くの ジアシルペルオキシドに対する、数段で消費される、合成前駆体である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、構造式I
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有するジアシルペルオキシドを開示する。
【0007】
更に本発明は、式II
RCXX′(CYY′)e CF2 (C=O)L
II
[式中、e=0または1、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、
LはClまたはFであり、そして
RはRf またはRf′であり、且つRf =Cn(2n+1)、但しn=1−4、及びRf′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
の少なくとも1つの酸ハライドをペルオキシドと接触させて、構造式
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有するジアシルペルオキシドを生成させることを含んでなる、新規な種類のジアシルペルオキシドの製造法を開示する。
【0008】
更に本発明は、構造式I
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有するジアシルペルオキシドを使用する際に、
(i)構造式Iを有する少なくとも1つのジアシルペルオキシドをモノマーと接触させ、
(ii)但し随時フルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、ハイブリッド重合条件が形成される水と混合したフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素、並びに液体または超臨界二酸化炭素、からなる群から選択される反応媒体を存在させ、そして
(iii)フルオロオレフィンの重合が起こる適当な重合温度及び圧力下にモノマ−を重合させる、
ことを含んでなるジアシルペルオキシドの使用法を開示する。
【0009】
更に本発明は、
(i)構造式I
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有する少なくとも1つのジアシルペルオキシドをモノマーと接触させ、
(ii)但し随時フルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、ハイブリッド重合条件が形成される水と混合したフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素、並びに液体または超臨界二酸化炭素、からなる群から選択される反応媒体を存在させ、そして
(iii)フルオロオレフィンの重合が起こる適当な重合温度及び圧力下にモノマ−を重合させる、
工程を含んでなる、フルオロオレフィンの重合法を開示する。
【0010】
更に本発明は、
(i)構造式I
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有する少なくとも1つのジアシルペルオキシドをモノマーと接触させ、
(ii)但し随時フルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、ハイブリッド重合条件が形成される水と混合したフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素、並びに液体または超臨界二酸化炭素、からなる群から選択される反応媒体を存在させ、そして
(iii)フルオロオレフィンの重合が起こる適当な重合温度及び圧力下にモノマ−を重合させる、
工程を含んでなる、フルオロオレフィン重合法の生成物を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、CO2 を重合溶媒として使用することを含む非水系およびハイブリッド重合条件に対して有効な低温重合用開始剤である新規な種類のジアシルペルオキシドの合成法に関する。ここに「ハイブリッド重合条件」とは、水性及び非水性の混合溶媒を意味する。本発明では、構造式
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有するジアシルペルオキシドが開示される。
【0012】
これらのペルオキシドは、式
RCXX′(CYY′)e CF2 (C=O)L
II
[式中、e=0または1、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、LはClまたはFであり、そして
Rは上述したようにRf またはRf′である]
の1つまたはそれ以上の酸ハライドから合成される。例えば異なる2つの酸ハライドRf CXX′(CYY′)e CF2 (C=O)Lを用いれば、2つの対称のペルオキシドばかりでなく、非対称のペルオキシドも生成する。次いで酸クロリドまたは酸フルオリドを、これに限定されるものではないが、塩基の存在下のH22 、Na22 、及びK22 のようなペルオキシドと反応させて、所望のペルオキシド化合物を製造する。有用な塩基の例は、これに限定されるものではないが、NaOH、KOH、Na2 CO3 、及びK2 CO3 である。これは後の実施例で示される。ペルオキシドの反応溶媒への溶解度を高めたい場合には、2つまたはそれ以上の混合物が使用できる。そのような場合の生成物は非対称ペルオキシドを含む。
【0013】
本発明の開始剤の製造は、本明細書に参考文献として引用される米国特許第5831131号に記述されているように、高強度撹拌法を含む種々の方法で行うことができる。下記の実施例1B、2B及び2Cのペルオキシドの製造には高強度超音波混合を使用した。超音波混合の1つの利点は、合成法の簡略化と速度である。更に例えばZ.シェングエ(Chengxue)ら、J.オルグ・ケム (Org.Chem.)、47、2009(1982)に開示されるような撹拌を含む、また米国特許第5021516号に開示されるようなほとんど無水のスラリ−を作る他の合成法も使用できる。一般に酸ハライドからジアシルペルオキシドを作るために通常使用される合成法のいずれもが本発明で使用できる。これらの方法を記述する一般的な参考文献は、S.R.サンドラ−(Sandler)及びW.カロ(Karo)、ポリマ−・シンセシ−ズ(Polymer Syntheses)、第1巻、14章(1974)、アカデミック・プレス(Academic Press,New York)である。
【0014】
後に表2で定義される番号2、3、4、及び5が4P7よりも非常に速く分解することを考えると、ペルオキシドカルボニルから離れた2つまたは3つの炭素のC−H結合がペルオキシドの分解を非常に早めていると結論される。
【0015】
本発明の重合に対しては、ビニルモノマ−が一般に有用である。好ましくはこれらのモノマ−は、単独重合する、共重合する、またはフルオロオレフィンと共重合することが知られているエチレン及びプロピレンのような炭化水素モノマ−と共重合するフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及びヒドロフルオロカ−ボンビニルオレフィンまたはビニルエーテルである。モノマ−、テトラフルオロエチレン(TFE)、パ−フルオロ(プロピレンビニルエ−テル)(PPVE)、パ−フルオロ(メチルビニルエ−テル)(PMVE)、パ−フルオロ(エチルビニルエ−テル)(PEVE)、4、5−ジフルオロ−2、2−ビス(トリフルオロメチル)−1、3−ジオキソ−ル(PDD)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 SO2 F (PSEPVE)及びCF2 =CFOCF2 CF2 SO2 F、ビニリデンフルオリド(VF2 )、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 CF2 CN(8−CNVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、(CF32 C=CH2 、及び酢酸ビニル(VAc)は最も好適に使用される。
【0016】
用いたモノマーからは、種々のポリマ−生成物が生成しうる。これらは同業者のよく知るところである。参照、例えばカ−ク(Kiek)−オスマ−(Othmer)、科学技術辞典、第4版、第11巻、621−729ページ(1994)、ウィリ−・インタ−サイエンス(Wiley Interscience,New York)、H.マ−ク(Mark)ら、ポリマ−科学・技術辞典、第2版、第7巻、256−269ページ(1987)、及び第16巻、577−640ページ(1989)、ウィリ−・インタ−サイエンス、並びにJ.シア−ズ (Sciers)編、現代フルオロポリマ−、1997、ジョン・ウィリ−・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)。
【0017】
本発明の方法は、種々の反応媒体中で行える。これらの媒体は、フルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、ハイブリッド重合条件を形成する水と混合したフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、並びに液体及び超臨界二酸化炭素を含む。
【0018】
本発明のジアシルペルオキシドは、より低温でのフルオロオレフィンの重合を可能にする。本発明の反応に対する開始温度は、約−20ないし30℃、好ましくは−10ないし20℃、最も好ましくは0ないし10℃の範囲であってよい。
【0019】
本発明の重合法は、生産性の向上、ポリマ−線状性の増大、連鎖移動の低下、ポリマ−分子量の増大、生成物量の低下に際してのモノマ−のオリゴマ−化の低下、酸フルオリド末端基生成の減少、および液化HFPまたはCO2 のような凝縮媒体中での反応器圧の低下を含めて多くの潜在的な利点を提供する。
ペルオキシドの滴定
実施例で用いるペルオキシドの滴定は以下の通りである。緩く栓をした三角フラスコにおいて、氷酢酸25mlに数グラムのドライアイスを添加して系から酸素を追い出した。脱酸素した水70ml中KI30gの溶液5mlを添加し、次いで分析すべきペルオキシド溶液5.0mlを添加した。混合物を30分間撹拌して、ペルオキシドをヨウ化物と反応させた。脱酸素水100mlを添加し、深いヨウ素の色を、0.1Nチオ硫酸ナトリウムで明黄色まで滴定した。次いで 「チオデン(Thyodene)」[フィッシャ−・サイエンチフィック(Fischer Scientific)社から購入]ヨウ素滴定指示薬0.5gを添加して、反応混合物を青色にした。これを更なる0.1Nチオ硫酸ナトリウムで無色の終点までもっていき、滴定を終了した。ペルオキシドのモル濃度はチオ硫酸ナトリウムの全ml数を0.01倍することによって計算した。
【0020】
実施例
断らない限り、すべての化学品及び試薬は、アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical、Milwaukee,WI)社から購入したまま使用した。
実施例1
4H8P3の製造と使用
本実施例の出発物質、2、2、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ウンデカフルオロオクタン酸は、本明細書に参考文献として引用される米国特許第5763552号に記述される方法で製造した。
A、CF3 CF2 CF2 CF2 CH2 CH2 CF2 (C=O)Cl,2、2、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ウンデカフルオロオクタノイルクロリド、(C49 −CH2 CH2 −CF2 −COCl)(4H8Cl)の製造
2、2、5、5、6、6、7、7、8、8、8−ウンデカフルオロオクタン酸(50g、0,146モル)を塩化メチレン(250ml)に溶解した。ピリジン(4.62g,0.0584モル)及びオキザリルクロリド(22.3g、0.175モル)を連続して添加し、僅かな発熱を観察した。反応混合物を夜通し (約16時間)還流させ、冷却後塩化メチレン溶媒を真空下に除去した。次いでエーテルを残渣に添加し、溶液を濾過して不溶な固体の塩を除去した。エーテル溶媒の除去後、残渣を蒸留して、標題の化合物を透明な無色の液体として得た。沸点41−42℃/10mmHg、収量29.5g(56%)、反復実験での収率70%。1 H NMR(500MHz、CDCl3 ):δ2.39(m、2H)、2.47(m、2H);19F NMR(282.75MHz、CDCl3 ):−81.6(m、2F)、−103.2(t、J=15.8Hz、2F)、−115.2(t、J=14.8Hz、2F)、−124.7(m、2F)、−126.5(m、2F);IR(に−ト):1800cm-1。C8411ClOの分析:計算値:C26.65、H1.12、Cl9.83;実験値:C26.61、H1.07、Cl9.66;[M−COCl]に対する質量:計算値:297.0137、実験値:297.0172。
B、4H8P3の製造
ウエット・アイスで冷却した150mlのビーカーに、蒸留水5mlに溶解した85%水酸化カリウム1.5g(23ミリモル)、フレオンE1(CF3 CF2 CF2 OCFHCF3 )78ml、及び30%過酸化水素2.35ml(23ミリモル)を仕込んだ。公称100ワットのチタン製超音波ホーンを反応混合物中まで下ろし、次いで4H8Cl6.5g(18ミリモル)をすべて一度に添加した。更に30秒間超音波処理した後、反応混合物を−15℃に予冷却した分液ロ−トへ移した。依然僅かに濁っている下層の有機層を迅速に分離し、その容量は74mlであった。〜0℃で約10分間放置した後、ヨウ素滴定を行った。4H8P3の濃度は0.076Mであり、出発の酸クロリド4H8Clに基づいて62%の収率であった。
C、TFE重合の開始、非水フルオロカ−ボン溶媒
予冷却した400mlのオ−トクレ−ブに、フレオン113(CF2 ClCCl2 F)100ml及び上で製造した0.076Mの4H8P3溶液5mlを仕込んだ。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50gを入れ、室温まで暖めた。−44℃、82psiでの初期の負荷後暖めている間、圧力は一定に低下して−15℃で56psiになり、暖め〜10時間の終わりには23℃で24psiとなった。濾過、洗浄、及び乾燥後、白色のポリ(テトラフルオロエチレン)43gを得た。
D、TFE/PPVE共重合の開始、非水フルオロカ−ボン溶媒
予冷却した400mlのオ−トクレ−ブに、フレオン113(CF2 ClCCl2 F)100ml及び上で製造した0.076Mの4H8P3溶液5mlを仕込んだ。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50g及びパ−フルオロ(プロピルビニルエ−テル)5gを入れ、室温まで暖めた。−35℃、125psiでの初期の負荷後、圧力は7℃で106psiまで低下し、暖め〜10時間の終わりには24℃で22psiとなった。濾過、洗浄、及び乾燥後、白色のテトラフルオロエチレン/パ−フルオロ(プロピルビニルエ−テル)共重合体48.6gを得た。
E、TFE重合の開始、混合水性/フルオロカ−ボン溶媒
予冷却した400mlのオ−トクレ−ブに、氷冷水100ml及びCF3 CF2 CF2 OCFHCF3 中0.095Mの4H8P3溶液5mlを仕込んだ。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50gを入れ、室温まで暖めた。−0.3℃、230psiでの初期の負荷後暖めている間、圧力は一定に低下して19℃で178psiになり、暖め〜10時間の終わりに30℃で32psiとなった。濾過、洗浄、及び乾燥後、白色のポリ(テトラフルオロエチレン)43gを得た。
実施例2
4H5P2の製造と使用
化学方程式
CF3 −CH=CH2 +I−CF2 −COOEt
→CF3 CHICH2 −CF2 −COOEt
CF3 CHICH2 −CF2 −COOEt
→CF3 CH2 CH2 −CF2 −COOEt
CF3 CH2 CH2 −CF2 −COOEt
→CF3 CH2 CH2 −CF2 −COOH
CF3 CH2 CH2 −CF2 −COOH
→CF3 CH2 CH2 −CF2 −COCl
CF3 CH2 CH2 −CF2 −COCl→
CF3 CH2 CH2 CF2 (CO)OO(CO)CF2 CH2 CH2 CF3
A、4−ヨ−ド−2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタン酸エチル(CF3 −CHICH2 −CF2 −COOC25 )の製造
400mlのステンレス製オ−トクレ−ブに、3、3、3−トリフルオロ−1−プロペン(CF3 −CH=CH2 、42g、0.42モル)及びヨ−ドフルオロ酢酸エチル(I−CF2 −COOC25 、100g、0.40モル)を仕込んだ。オ−トクレ−ブを密閉し、撹拌下に8時間、200℃に加熱した。冷却後生成物混合物を蒸留して、標題の生成物を透明な淡桃色の液体として得た。収量96g(69.4%)、沸点47−50℃/1mmHg。1 H NMR(500MHz、CDCl3 ):δ4.42(m、1H)、4.35(q、J=7Hz、2H)、3.03(m、1H)、2.96(m、1H)、1.40(t、J=7Hz、3H);19F NMR(282.75MHz、CDCl3 ):−70.5(m、3F)、−105.8(qm、2F)。
B、2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタン酸エチル(CF3 −CH2 CH2 −CF2 −COOC25 )の製造
上記実験からの4−ヨ−ド−2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタン酸エチル(86.5g、0.26モル)を、よく撹拌している水素化トリブチル錫(75.5、0.26モル)に滴下した。反応中外部から冷却して、反応温度を30℃以下に調節した。添加の完了後、混合物を50℃で2時間撹拌した。生成物を蒸留で分離し、42.0g(収率76.4%)を透明無色の液体として得た。沸点38−39℃/10mmHg。1 H NMR(500MHz、CDCl3 ):δ4.35(q、J=7Hz、2H)、2.35(m、4H)、1.38(t、J=7Hz、3H);19F NMR(282.75MHz、CDCl3 ):−67.3(m、3F)、−107.5(m、2F)。
C、2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタン酸(CF3 −CH2 CH2 −CF2 −COOH)の製造
2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタン酸エチル(140g、0.636モル)を、窒素雰囲気下に濃塩酸(350ml)と混合し、激しく撹拌しながら100−110℃に加熱した。反応の進行をガスクロマトグラフィ−で監視し、反応を72時間後に停止した。冷却後、底の有機層を分離し、蒸留して、所望の酸生成物(104.7g、収率86%)を透明無色の液体として得た。沸点68−69℃/10mmHg。1 H NMR(500MHz、CDCl3 ):δ10.60(m、1H、−COOH)、2.20(m、4H);19F NMR(282.75MHz、CDCl3 ):−67.4(t、J=9Hz、3F)、−108.2(m、2F)。
D、CF3 CH2 CH2CF2(C=O)Cl,2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタノイルクロリド、(CF3−CH2CH2−CF2−COCl)(4H5CL)の製造
2、2、5、5、5−ペンタフルオロペンタン酸(96g、0.5モル)を、塩化メチレン(400ml)に溶解した。反応温度を≦25℃に保ちながら、ピリジン(15.8g、0.2モル)及びオキザリルクロリド(76.2g、0.6モル)を上の溶液に連続してゆっくりと添加した。添加の完了後、反応混合物を室温で48時間撹拌した。塩化メチレン溶媒を留去し、揮発性生成物が残渣から分離されてドライアイス−アセトン冷トラップに捕集されるように真空を適用した。再蒸留により、所望の化合物を透明無色の液体として得た。沸点95−97℃、収量65g(62%)。1 H NMR(500MHz、CDCl3 ):δ2.40(m、4H);19F NMR(282.75MHz、CDCl3 ):−64.9(t、J=9.4Hz、3F)、−100.6(m、2F)。
E、CF3 CF2 CF2 OCFHCF3 中4H5P2の製造
ウエット・アイスで冷却した150mlのビーカーに、蒸留水5mlに溶解した炭酸カリウム3.17g(23ミリモル)、フレオンE1(CF3 CF2 CF2 OCFHCF3 )78ml、及び30%過酸化水素2.35ml(23ミリモル)を仕込んだ。公称100ワットのチタン製超音波ホーンを、今や−2℃に冷却した反応混合物中まで下ろし、次いで4H5Cl4.20g(20ミリモル)をすべて一度に添加した。更に60秒間超音波処理した後、反応混合物は10℃になった。これを−15℃に予冷却した分液ロ−トへ移した。依然僅かに濁っている下層の有機層を迅速に分離し、その容量は74mlであった。ヨウ素滴定によると4H5P2の濃度は0.102Mであり、出発の酸クロリド4H5Clに基づいて75%の収率であった。
F、CF3 CFHCFHCF2 CF3 中4H5P2の製造
ウエット・アイスで冷却した150mlのビーカーに、蒸留水5mlに溶解した炭酸カリウム3.17g(23ミリモル)、CF3 CFHCFHCF2 CF3 78ml、及び30%過酸化水素2.35ml(23ミリモル)を仕込んだ。公称100ワットのチタン製超音波ホーンを、今や−5℃に冷却した反応混合物中まで下ろし、次いで4H5Cl4.20g(20ミリモル)をすべて一度に添加した。更に45秒間超音波処理した後、反応混合物を−15℃に予冷却した分液ロ−トへ移した。外観が乳白色の下層の有機層を分離し、その容量は74mlであった。ヨウ素滴定によると4H5P2の濃度は0.107Mであり、出発の酸クロリド4H5Clに基づいて79%の収率であった。
G、透明なペルオキシド溶液に対するトリフルオロ酢酸の使用
上のCで製造した溶液は外観がミルク状であり、長期間、低温での貯蔵にわたっての沈殿を回避すべきならばすぐに使用しなければならなかった。トリフルオロ酢酸の添加は、濁りをほとんど透明にした。容量の20%のトリフルオロ酢酸で希釈した0.107Mの4H5P溶液は下の重合実験G及びHの設定に必要とされる15−30分間、−78℃で透明のままであった。
【0021】
トリフルオロ酢酸の添加は、ペルオキシドの熱分解速度を速めるようにみえる。トリフルオロ酢酸の更なる15mlを、上のCで製造した0.107M4H5P溶液64mlに添加すると、ミルク状の溶液はほとんど透明になった。この混合物を一定温度の0℃の維持し、この間試料を周期的に取り出してヨウ素滴定に供し、表1に示す結果を得た。
【0022】
【表1】

【0023】
各ペルオキシドの滴定を、1次動力学的点として処理すると、半減期は始めてから約1.5時間でずれ、これが長期にわたる。ペルオキシド溶液をトリフルオロ酢酸で希釈した後、依然重合は開始される(参照下記のJ及びK)。
H、TFE重合の開始、二酸化炭素反応媒体
−37℃に予冷したオ−トクレ−ブに、CF3 CFHCFHCF2 CF3 溶媒中0.107Mの4H5P25mlを付加した。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50g及び二酸化炭素150gを充填し、室温まで暖めた。このオ−トクレ−ブを夜通し振盪したが、これは31℃で1131psiの最高圧を経た。開放し、ポリ(テトラフルオロエチレン)を白色の粉末として得た。これは、真空炉中150℃で週末乾燥した後41.8gであった。
I、TFE重合/Eの開始、二酸化炭素反応媒体
−42℃に予冷したオ−トクレ−ブに、CF3 CFHCFHCF2 CF3 溶媒中0.107Mの4H5P25mlを付加した。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50g、エチレン14g、及び二酸化炭素150gを充填し、室温まで暖めた。このオ−トクレ−ブを夜通し振盪したが、これは31℃で1010psiの最高圧を経た。開放し、白色のポリマ−を得た。これは、真空炉中150℃で週末乾燥した後39.5gであった。
J、TFE重合の開始、二酸化炭素反応媒体、開始剤溶液へのCF3 COOHの添加
−44℃に予冷したオ−トクレ−ブに、濁りと沈殿を排除するためにCF3 COOH1.25mlを添加したCF3 CFHCFHCF2 CF3 溶媒中0.105Mの4H5P25mlを付加した。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50g及び二酸化炭素150gを充填し、室温まで暖めた。
このオ−トクレ−ブを夜通し振盪したが、これは28℃で1084psiの最高圧を経た。開放し、ポリ(テトラフルオロエチレン)を白色の粉末として得た。
これは、真空炉中150℃で週末乾燥した後38.7gであった。
K、TFE重合/Eの開始、二酸化炭素反応媒体、開始剤溶液へのCF3 COOHの添加
−56℃に予冷したオ−トクレ−ブに、濁りと沈殿を排除するためにCF3 COOH1.25mlを添加したCF3 CFHCFHCF2 CF3 溶媒中0.105Mの4H5P25mlを付加した。オ−トクレ−ブを脱気し、テトラフルオロエチレン(TFE)50g及び二酸化炭素150gを充填し、室温まで暖めた。
このオ−トクレ−ブを夜通し振盪したが、これは29℃で1095psiの最高圧を経た。開放し、ポリ(テトラフルオロエチレン)を白色の粉末として得た。
これは、真空炉中150℃で週末乾燥した後15.3gであった。
実施例3
異なる温度での開始剤の熱分解
n及びmの両方が1の時、構造Iは4H5P2で表すことができる。n及びmの両方が4の時、構造Iは4H5P3で表すことができる。これら両方のペルオキドは通常のフルオロカーボンの重合に使用される開始剤と比べて非常に短い半減期を示す。
【0024】
開始剤の半減期は一般にペルオキシドを一定温度の浴に入れ、ペルオキシド濃度をヨウ素滴定により時間の関数として追跡することにより決定される。開始剤4H5Pは0℃で4.4時間の半減期、また開始剤4H8Pは0℃で7.1時間の半減期を有する。これらは通常のフルオロカーボンの重合に使用される開始剤の半減期と比べて非常に短い。通常使用される開始剤の例は、25℃で半減期4.3時間のヘプタフルオロブチリルペルオキシド(4P)、及び30℃で半減期0.98時間のHFPOダイマ−ペルオキシド(DP、表2の構造6)である。
これらの結果を下の表2に要約する。
【0025】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有するジアシルペルオキシド。
【請求項2】
n及びmが独立に1または4である、請求項1のジアシルペルオキシド。
【請求項3】
式II
RCXX′(CYY′)e CF2 (C=O)L
II
[式中、e=0または1、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、LはClまたはFであり、そして
RはRf またはRf′であり、且つRf =Cn(2n+1)、但しn=1−4、及びRf′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
の少なくとも1つの酸ハライドをペルオキシドと接触させて、構造式
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有するジアシルペルオキシドを生成させることを含んでなる、新規な種類のジアシルペルオキシドの製造法。
【請求項4】
ペルオキシドが、塩基の存在下に添加されるH22 、Na22 、及びK22 からなる群から選択される、請求項3の方法。
【請求項5】
塩基がNaOH、KOH、Na2 CO3 、及びK2 CO3 からなる群から選択される、請求項4の方法。
【請求項6】
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有する構造式Iのジアシルペルオキシドを使用する際に、
(i)構造式Iを有する少なくとも1つのジアシルペルオキシドをモノマーと接触させ、
(ii)但し随時フルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、ハイブリッド重合条件が形成される水と混合したフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素、並びに液体または超臨界二酸化炭素、からなる群から選択される反応媒体を存在させ、そして
(iii)フルオロオレフィンの重合が起こる適当な重合温度及び圧力下にモノマ−を重合させる、
ことを含んでなるジアシルペルオキシドの使用法。
【請求項7】
独立にn=1または4及びm=1または4、e=1、e′=1、及びX、X′、Y、Y′、W、W′、Z及びZ′がすべてHである、請求項6の方法。
【請求項8】
温度が約−20℃ないし約30℃である、請求項6の方法。
【請求項9】
温度が約−10℃ないし約20℃である、請求項6の方法。
【請求項10】
独立にn=1または4及びm=1または4、e=1、e′=1、及びX、X′、Y、Y′、W、W′、Z及びZ′がすべてHであり、そして温度が約−10℃ないし約20℃である、請求項6の方法。
【請求項11】
(i)構造式I
f CXX′(CYY′)e CF2
(C=O)OO(C=O)CF2 CWW′(CZZ′)e′Rf

[式中、e及びe′は独立に0または1であり、但し
e=0の時X、X′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′のいずれかはHまたはFであり、またe′=0の時W、W′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′のいずれかはHまたはFであり、
e=1の時X、X′、Y、Y′の少なくとも1つはHであり且つ他のX、X′、Y、Y′のいずれかはHまたはFであり、またe′=1の時W、W′、Z、Z′の少なくとも1つはHであり且つ他のW、W′、Z、Z′のいずれかはHまたはFであり、
f =Cn(2n+1)、但しn=1−4、そして
f′=Cm(2m+1)、但しm=1−4]
を有する少なくとも1つのジアシルペルオキシドをモノマーと接触させ、
(ii)但し随時フルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素流体、ハイブリッド重合条件が形成される水と混合したフルオロカ−ボン、クロロフルオロカ−ボン、及び炭化水素、並びに液体または超臨界二酸化炭素、からなる群から選択される反応媒体を存在させ、そして
(iii)フルオロオレフィンの重合が起こる適当な重合温度及び圧力下にモノマ−を重合させる、
工程を含んでなる、フルオロオレフィンの重合法。
【請求項12】
請求項11の方法の生成物。

【公開番号】特開2011−42684(P2011−42684A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255102(P2010−255102)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2001−519670(P2001−519670)の分割
【原出願日】平成12年8月24日(2000.8.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】