説明

フルオロカーボンコーティング組成物に使用するための超分散剤

フルオロカーボンコーティング組成物中で使用される超分散剤が開示される。このフルオロカーボンコーティング組成物は一般的にフルオロカーボン樹脂、バインダー樹脂、架橋剤、及び超分散剤を含む。超分散剤はポリグリシジルオリゴマー及び少なくとも1つのアミノ化合物の反応生成物を含む。ポリグリシジルオリゴマーは、少なくとも1つの内部エーテル結合及び内部エステル結合を有する炭素数1から25までの炭素鎖と複数のエポキシ基とを含む。少なくとも1つのアミノ化合物は環状、複素環状、アルキル、又はヘテロアルキル構造を有し、該構造は、少なくとも1つのエポキシ基と反応し且つ該基を開環させるために、少なくとも1つの第1級又は第2級アミン基で置換されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年2月3日に出願された米国特許出願第11/275,916号の一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
発明の属する分野
本発明は一般的に超分散剤に関する。更に詳細には、本発明の超分散剤はフルオロカーボンコーティング組成物に有用である。
【0003】
関連技術の説明
フルオロカーボン樹脂、例えば、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)は、優れた耐候性を有する製剤用コーティングに有用である。フルオロカーボン樹脂は不良なレオロジー及び顔料湿潤性を有するため、バインダー樹脂、又は超分散剤を、フルオロカーボンコーティング組成物に添加することが一般的である。最適な耐候性及び耐薬品性を達成するために、コーティング組成物において高いフルオロカーボン樹脂含有率が所望されている。多くのコーティング用途は、70質量%以上のフルオロカーボン樹脂を有し、残りはバインダー樹脂であるコーティング組成物を要求している。フルオロカーボン樹脂、特にPVDF、及びバインダー樹脂を含有するコーティング組成物は、比較的高い粘度を有する傾向がある。幾つかのコーティング用途、特にコイルコーティング用途の場合、バインダー樹脂に関してフルオロカーボン樹脂の含有率は高いが、関連技術の組成物で現在可能であるよりも低い粘度であることが望ましい。
【0004】
フルオロカーボンコーティング組成物で従来利用されてきた典型的なバインダー樹脂はヒドロキシル及びアミン官能性を有する。それは、係る官能性により機械的抵抗及び耐薬品性が向上されるためである。しかしながら、かかるバインダー樹脂及び超分散剤の源は従来制限されてきた。第1の超分散剤は3−(2−メタクリロキシエチル)−2,2−スピロシクロヘキシルオキサゾリジン(MESO)であり、このMESOモノマーは製造の高いコストのために得ることが次第に困難及び/又はより高価になる。
【0005】
MESOモノマーを得ることが困難であるため、幾つかの関連技術の方法によって生成の間にバインダー樹脂が処理される。例えば、バインダー樹脂は、追加の官能性がないアクリル酸及びアクリル酸エステル、追加の官能性を有するアクリル酸及びアクリル酸エステル、並びにアクリルオキシアルキルオキサゾリジンから重合されてきた。官能性アクリル酸/エステルは架橋剤で架橋するための部位を与える。アクリルオキシアルキルオキサゾリジンは、フルオロカーボン樹脂及びアクリル樹脂の分散液の粘度を低下させる。より低い粘度のアクリル樹脂への他の試みは、アクリル樹脂と、ポリアミド類、アミノ基、エポキシ基、及び類似物との重合及び/又は反応を含んできた。しかしながら、これらの改変されたアクリル樹脂はMESOで改変されたアクリル樹脂と同様に働いていない。
【0006】
本発明の譲受人によって共同所有されている、同時係属出願は、バインダー樹脂がMESOで改変されたアクリル樹脂と同様に働くか、そうでなければ、該アクリル樹脂よりも良好に働くような、市販の成分からバインダー樹脂を配合する新規な方法を記載している。同時係属出願において、第1の成分はエポキシ基を有するアクリル樹脂であり、これが第一級又は第二級アミンを有するアミノ化合物と反応してエポキシ基を開環させた。係るバインダー樹脂が良く働いたとしても、混入物が商業利用の間にエポキシ基と反応して(又は該基との反応を妨げて)限定された部位しかアミン基が反応できないようにすることが発見された。従って、バインダー樹脂は限定された官能性を有したので、バインダー樹脂は有効にフルオロカーボン樹脂を分散させなかった。
【0007】
その結果、コーティング組成物中に組み込まれた時に粘度を適切に下げ且つ所望の顔料湿潤性を与える超分散剤を提供することが有利である。更に、商業的に入手可能であり且つ超分散剤を含むコーティング組成物の製造が法外なコスト高ではないような比較的廉価なモノマー及び出発成分から超分散剤を形成する方法を提供することが有利である。
【0008】
本発明の概要及び利点
本発明はフルオロカーボンコーティング組成物中で使用される超分散剤を提供する。超分散剤はポリグリシジルオリゴマー及び少なくとも1つのアミノ化合物の反応生成物を含む。ポリグリシジルオリゴマーは、少なくとも1つの内部エーテル結合及びエステル結合を有する炭素数1から25までの炭素鎖と複数のエポキシ基とを含む。超分散剤は環状、複素環状、アルキル、又はヘテロアルキル構造を有する少なくとも1つのアミノ化合物を有し、該構造は、少なくとも1つのエポキシ基と反応し且つ該基を開環させるために、少なくとも1つの第1級又は第2級アミン基で置換されている。得られた超分散剤は、フルオロカーボン樹脂の分散を補助するアミノ化合物からのアミン官能性を有し且つ少なくとも1つのエポキシ基の開環によるヒドロキシル官能性を有し、該フルオロカーボンコーティング組成物中で架橋剤による架橋を向上させる。
【0009】
本発明に従って形成されたフルオロカーボンコーティング組成物は、フルオロカーボン樹脂、バインダー樹脂、架橋剤、及び超分散剤を含む。超分散剤は、フルオロカーボン樹脂の分散を補助するアミノ化合物からのアミン官能性及び架橋剤による架橋を向上させる少なくとも1つのエポキシ基の開環によるヒドロキシル官能性を有する。換言すると、本発明が、アクリルオキシアルキルオキサゾリジンを利用するバインダー樹脂又は超分散剤、特に多量でMESOを利用するそれらのものを交換するように、アミノ化合物からのアミン官能性はコーティング組成物の粘度を低下させる。
【0010】
本発明は、関連技術のバインダー樹脂、超分散剤及びフルオロカーボンコーティング組成物を特徴づける欠点を克服する。特に、本発明は複数のエポキシ基の開環から得られる複数のヒドロキシル基を有する超分散剤を提供する。超分散剤が、共同所有の同時係属米国特許出願第11/275,916号に開示されている単一のヒドロキシル基のみを有する場合、コーティング組成物を形成する間に存在する不純物がヒドロキシル基と反応し、それによって超分散剤の有効性が低下する。従って、複数のヒドロキシル基が、フルオロカーボン樹脂を有効に分散させる間にも不純物の相殺をすることが可能である。本発明はまた、製造コストが超分散剤のコーティング組成物中への組み込みにより削減されるように、商業的に入手可能で且つ比較的廉価なモノマーからの超分散剤を製造する。更に、コーティング組成物の粘度は、本発明に従って形成された超分散剤の組み込みの結果として十分に低下される。
【0011】
発明の詳細な説明
フルオロカーボンコーティング組成物中で使用される超分散剤が開示される。フルオロカーボンコーティング組成物は一般的にフルオロカーボン樹脂、バインダー樹脂(又は分散剤樹脂)、架橋剤、超分散剤、溶媒、及び添加剤を含む。他のバインダー樹脂、特に非−アミノ樹脂を、フルオロカーボンコーティング組成物中で使用してよいことは当業者には分かるはずである。
【0012】
バインダー樹脂は有利にはアクリルバインダー樹脂である。アクリルバインダー樹脂は複数のアクリル樹脂又はアクリルモノマーの反応生成物を含む。アクリルバインダー樹脂は一般的にコーティング組成物の全質量を基準として約10から約60パーセントまでの量で存在する。バインダー樹脂を形成するためのアクリル樹脂の好適な例は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルメタクリレートを含むが、これらに限定されない。
【0013】
本発明に使用される好適なフルオロカーボン樹脂は、ポリビニリジンフルオライド(PVDF)、例えば、商標Kynarの下で販売されたもの;ポリビニルフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン;ビニリデンフルオライド及びテトラフルオロエチレンのコポリマー、例えば、商標Kynar SLの下で販売されたもの;商標Fluonateの下で販売されたフルオロエチレン/ビニルエステル/ビニルエーテル;商標Kynar 500及びKynar SLの下で販売された商標つきのビニリデンフルオライドベースのポリマー;及びフルオロカーボン樹脂の混合物を含む。フルオロカーボン樹脂は高分子量を有し、典型的には約100,000〜約500,000の範囲の分子量(質量平均)を有する。フルオロカーボン樹脂は有利には粉末形態で利用される。この粉末は一般的に本発明のコーティング組成物で使用される溶媒に不溶であるが、この溶媒によって膨潤し、それによりコーティング組成物の粘度が向上する。
【0014】
フルオロカーボン樹脂はコーティング組成物の全質量を基準として約20〜約50パーセント、典型的には約25〜約45パーセント、有利には約25〜約35パーセントの量で存在する。最適な耐薬品性及び機械的抵抗を達成するために、バインダー及びフルオロカーボン樹脂が全樹脂含有率の約70パーセントの量で存在することが望ましい。バインダー及びフルオロカーボン樹脂の量が70パーセントを超える場合、耐薬品性及び機械的抵抗の向上はごくわずかしか達成されないが、フルオロカーボン樹脂のコストが高いためにコストは大幅に上昇する。
【0015】
架橋剤はアミノプラスト樹脂、例えば、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン尿素樹脂であってよい。他の好適な架橋剤は、イソシアネート、ブロックイソシアネート、オルガノシラン、及びグリコール尿素を含む。架橋剤は一般的に、周囲温度では超分散剤と実質的に非反応性であるが、昇温硬化温度、例えば、コーティング組成物が施される基材の硬化温度では超分散剤と架橋するように選択される。架橋剤は典型的にはコーティング組成物の全質量を基準として約0.2〜約10パーセントの量で使用される。
【0016】
超分散剤は一般的にポリグリシジルオリゴマー及び少なくとも1つのアミノ化合物の反応生成物を含む。ポリグリシジルオリゴマーは、少なくとも1つの内部エーテル結合及び内部エステル結合を有する炭素数1から25までの炭素鎖と複数のエポキシ基とを含む。有利には、炭素鎖は1〜20個、更に有利には1〜15個の炭素原子を有する。エステル結合が存在するならば、2個の酸素原子に結合された炭素原子が炭素鎖中の炭素原子の数に含まれないことを当業者によって理解されるべきである。炭素鎖は線状、分枝鎖状、及びそれらの組み合わせから選択される。換言すれば、炭素鎖は線状部分、分枝鎖状部分、又はその両方を含んでよい。あるいは、炭素鎖は脂肪族、脂環式、芳香族、及びそれらの組み合わせから選択してよい。別の言い方をすれば、炭素鎖は脂肪族部分、脂環式部分、又は芳香族部分及び異なる部分の組み合わせを有してよい。
【0017】
炭素鎖はまた1種又は複数種のエーテル結合又はエステル結合を含んでよい。例えば、炭素鎖は単一のエーテル結合もしくは単一のエステル結合を有するか又は炭素鎖は複数のエーテル結合もしくは複数のエステル結合を有してよい。あるいは、炭素鎖はエーテル結合とエステル結合の組み合わせを有してよい。理論により拘束されることを意図しないが、エーテル及び/又はエステル結合がそこに存在する結果、かかる結合がフルオロカーボン樹脂の分散を助けていると考えられる。
【0018】
ポリグリシジルオリゴマーは約150〜約1000、有利には約250〜約750、更に有利には約350〜約750の質量平均分子量を有する。ポリグリシジルオリゴマーは、当業者によって理解されるような種々の開始剤分子、例えば、これらに限定されないが、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチルプロパン(TMP)、又はそれらの組み合わせから形成されてよい。従って、これらはエポキシ化されてポリグリシジルオリゴマーを形成できる。
【0019】
ポリグリシジルオリゴマーは有利には以下の一般式:
【化1】

(式中、Rは炭素鎖である)
の少なくとも1つから選択される。
【0020】
ポリグリシジルオリゴマーは上記の一般式のうち1つ以上を含んでよく且つ混合物として存在してよい。ポリグリシジルオリゴマーのある例示的な例はNagase&Co.LtdからDENACOL(登録商標)314として入手可能であり且つ以下に示された式:
【化2】

を有する。
【0021】
ポリグリシジルオリゴマーの別の例示的な例はNagase&Co.LtdからDENACOL(登録商標)321として入手可能であり且つ以下に示された式:
【化3】

を有する。
【0022】
DENACOL(登録商標)314及び321の両方が3つのエポキシ基及び3つの内部エーテル結合を有する。4つのエポキシ基及び4つの内部エーテル結合を有するポリグリシジルオリゴマーの別の例示的な例は、Nagase&Co.LtdからDENACOL(登録商標)411として商業的に入手可能であり且つ以下に示された式:
【化4】

を有する。
【0023】
ポリグリシジルオリゴマーの更に別の例示的な例はDow ChemicalからCYRACURE(登録商標)UVR−6107として商業的に入手可能であり且つ以下に示された式:
【化5】

を有する。
【0024】
ポリグリシジルオリゴマーの更に別の例示的な例はDow ChemicalからCYRACURE(登録商標)UVR−6128として商業的に入手可能であり且つ以下に示された式:
【化6】

を有する。
【0025】
CYRACURE(登録商標)UVR−6107及びUVR−6128の両方が2つのエポキシ基及び2つの環状基を有する。しかしながら、CYRACURE(登録商標)UVR−6107がたった1つの内部エステル結合を有するのに対して、CYRACURE(登録商標)UVR−6128は2つの内部エステル結合を有する。
【0026】
ポリグリシジルオリゴマーは、それぞれ超分散剤の全質量を基準として、約30〜約90パーセント、有利には約50〜約80パーセント、更に有利には約50〜約75パーセントの量で存在する。これらの質量パーセントは特別に記載のない限り溶媒を除くと理解されるべきである。質量パーセントが溶媒を含む場合、ポリグリシジルオリゴマーは超分散剤の全質量を基準として約10〜約60パーセントの量で存在する。
【0027】
超分散剤はまた第1級又は第2級アミン基で置換された少なくとも1つのアミノ化合物を含む。アミノ化合物は複素環状、環状、アルキル、又はヘテロアルキル構造を有してよい。アミノ化合物がポリグリシジルオリゴマーと反応すると、第1級又は第2級アミン基が少なくとも1つのエポキシ基を開環させてアミン官能性及びヒドロキシル官能性を有する超分散剤が得られる。
【0028】
複素環化合物は炭素の場所に少なくとも1つの窒素を有してよく、更に炭素の場所に少なくとも1つの酸素を含んでよい。アミノ化合物が複素環構造を有する場合、アミノ化合物は一般的に環構造を有する。好適な複素環アミノ化合物は、これらに限定されないが、少なくとも1つのエチレン尿素、ピロリジン、2−ピロリドン、ピペリジン、全てのオキサゾリジン及びモルホリンから選択してよい。アミノ化合物が環構造を有する場合、アミノ化合物は少なくとも1つの第1級又は第2級アミンと共に環状炭化水素を有する。ある好適な環状アミノ化合物はジシクロヘキシルアミンを含む。アミノ化合物がアルキル構造を有する場合、このアルキル構造は少なくとも1つの第1級又は第2級アミンと共に分枝鎖状又は線状の炭化水素鎖を含む。好適なアルキルアミノ化合物はt−ブチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及びエタノールアミンを含む。ヘテロアルキル構造は炭化水素鎖を含み且つ炭化水素鎖の一部として少なくとも1つの第1級又は第2級アミン及び/又は酸素を有してよい。好適なヘテロアルキルアミノ化合物はN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルアミン、及びジエタノールアミンを含む。
【0029】
アミノ化合物は複数のエポキシ基と反応するのに十分な量で使用される。換言すると、アミノ化合物はポリグリシジルオリゴマーの複数のエポキシ基を基準として化学量論的当量で存在する。一般的に、アミノ化合物は、それぞれ超分散剤の全質量を基準として、約15〜約50パーセント、有利には約20〜約45パーセント、更に有利には約25〜約40パーセントの量で存在する。溶媒を含む場合、アミノ化合物は超分散剤の全質量を基準として約5〜約40パーセントの量で存在する。アミノ化合物及びポリグリシジルオリゴマーの反応生成物はコーティング組成物の粘度を低下させる。更に、反応生成物は超分散剤をフルオロカーボン樹脂により適したものにし、それによってコーティング組成物の粘度が安定化する。
【0030】
超分散剤はフルオロカーボンコーティング組成物の全質量を基準として約1〜約40パーセントの量で存在する。有利には、超分散剤は、共にフルオロカーボンコーティング組成物の全質量を基準として、約1〜約20パーセント、最も有利には約1〜約5パーセントの量で存在する。超分散剤がバインダー樹脂の分散を補助することは当業者には分かるはずである。しかしながら、超分散剤は配合以外を変えることによりバインダー樹脂を用いずに利用され得る。超分散剤が形成されると、超分散剤は、それぞれ超分散剤の全質量を基準として、約200〜約10,000、有利には約350〜約6,500、更に有利には約500〜約1,000の式量を有する。
【0031】
本発明のコーティング組成物は有機溶媒又は溶媒の混合物をベースとする。好適な溶媒は、組み合わせて又は主要な溶媒として個々に、グリコール、エステル、エーテル−エステル、グリコール−エステル、エーテル−アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びフタレート可塑剤を含むが、これらに限定されない。固体レベルは一般的にコーティング組成物の全質量を基準として約30〜約90パーセントである。コーティング組成物の全質量を基準として約45〜約75パーセントの固体レベルが最も典型的である。好適な溶媒の例は、aromatic 100、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル、メチルアミルケトン、及びイソホロンを含む。
【0032】
コーティング組成物は、例えば、カラーコートを覆うクリアーコートとして使用される場合、透明であってよい。それはまたコーティング組成物の全質量を基準として約30パーセント以下の顔料及び充填剤を含んでよい。このコーティングシステムにおいて使用され得る顔料の種類は、コーティング産業で使用される全ての顔料を包含し、色、物理的要求、耐久性、及び耐薬品性によって変わる。好適な顔料は、無機金属酸化物、有機化合物、金属フレーク、及びマイカ顔料、増量剤又は充填剤顔料、及びさび止め顔料、例えば、クロマート、シリカ、シリケート、ホスフェート、及びモリブデートを含む。下にあるカラーコート及び上に重なるクリアーコートの両方は本発明に従って配合してよい。コーティング組成物は剥き出しのままの金属表面に塗布されるが、有利には、最初に下塗りでコートされたか又は電着を含む他の公知の方法で処理された金属に塗布される。好適な下塗りは、メラミン、ブロック化イソシアネート及びフェノールで架橋された、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂を含む。
【0033】
本発明に従うコーティング組成物は種々の方法によって基材に塗布してよい。しかしながら、コーティング組成物は特にコイルコーティング工程のために配合されており、該工程において有用である。ロールコイルコーティングとは逆に、コーティング組成物は典型的には約400〜500°Fのピーク金属温度(PMT)で塗布される。PMTでの停止時間は約10秒〜約5分の範囲である。コーティング組成物が吹きつけによって塗布される場合、硬化温度は同様であるが、より大きな金属質量のために、実質的により長い硬化時間、例えば、約20分が必要である。
【0034】
次の例は、本明細書に示されているように、超分散剤及びコーティング組成物の形成を説明し且つ超分散剤及びコーティング組成物のある特性を説明するが、これらの例は説明のためであり、かつ本発明を限定するものではない。
【0035】
実施例
【0036】
超分散剤は以下の表に列挙された組成物に従って形成された。表1中の量は特に記載がない限りはグラムである。
【表1】

【0037】
実施例1において、ポリグリシジルオリゴマーはDENACOL(登録商標)314であり、アミノ化合物はピペリジンである。Aromatic100(200.0グラム)及びポリグリシジルオリゴマーの混合物を、撹拌機、コンデンサ、温度計、不活性ガス入口、及び添加漏斗を備えた3リットルの樹脂反応フラスコに装入する。反応器を窒素でフラッシングして装入物を70℃に加熱する。次に、Aromatic100(58.4グラム)及びアミノ化合物の混合物を製造し、追加漏斗に配置し且つ30分間かけて反応器に添加し、次に温度を60分間70℃で維持する。添加が完了した後、反応器の内容物を15.0グラムのAromatic100でフラッシングし、内容物の温度を85℃に上昇させ且つ30分間保持する。次に樹脂を冷却する。
【0038】
得られた樹脂は、54〜55%の固体含有率、固体上で19%のアミン含有率、25℃でA3〜A2の粘度(ガードナー・ホルトバブル(Gardner-Holdt bubble))、及び7.95LB/GALのガロン比重量を有する。
【0039】
超分散剤は次いでフルオロカーボンコーティング組成物中に組み込まれる。成分は他に指示がない限り、コーティング組成物の全量を基準としてパーセントで列記されている。
【表2】

【0040】
実施例1において、顔料分散液は、5gの超分散剤、5gのバインダー樹脂及び20gの溶媒(イソホロン)の混合物中に分散された15.8gの酸化チタン顔料を分散させることによって形成される。バインダー樹脂は90%のメチルメタクリレート、5%のエチルメタクリレート、及び5%のヒドロキシエチルメタクリレートである。バインダー樹脂を溶媒及び超分散剤で還元し、粉末状二酸化チタン顔料を撹拌下で添加する。顔料を、高速ブレードを用いて完全に分散させる。樹脂、溶媒及び顔料混合物を次いで媒体ミルに通過させて完全な分散を達成する。フルオロカーボンベースを、4.2gのバインダー樹脂、1gの超分散剤及び20gの溶媒中で、22.1gのフルオロカーボン樹脂(ポリビニリデンジフルオリド(PVDF))を分散させることによって製造する。再度、バインダー樹脂及び超分散剤を溶媒で還元し、粉末状PVDFを撹拌下で添加し、このPVDFを、高速ブレードを用いて完全に分散させる。
【0041】
中間体ベースは、残存する成分をフルオロカーボンベース中に添加することによって製造する。例えば、0.1gの酸触媒及び0.5gのメラミン(架橋剤)をフルオロカーボンベースに添加する。同様に、0.3gの脱泡剤及び0.2gのワックス溶液をフルオロカーボンベースに添加した。
【0042】
コーティング組成物は、顔料分散剤及びフルオロカーボンベースをブレンドし且つ11.8gの溶媒を残して粘度を調整することによって完成する。種々の試験、例えば、粘度及び密度は、その組成上の整合性を保証するために最終配合において実施される。コーティング組成物は、基材に皮膜を施し且つ392〜500°F(200〜260℃)で20〜60秒間焼き付けすることによって硬化する。
【0043】
実施例1のコーティング組成物を鋼製パネルに施し且つ465°Fで55秒間焼き付けると0.75〜0.85ミル(0.019〜0.022mm)の皮膜が得られる。次に、この皮膜のメチルエチルケトン(MEK)耐性を皮膜破損に対するダブル摩擦の数として測定した。実施例1は200+摩擦について良好に働き、比較例1は100+摩擦について良好に働いた。これらの結果は、実施例1が少なくともMESOに依存するコーティング組成物と同様に働くか、そうでなければ該組成物よりも良好に働くことを示す。上述のように、MESOは得ることがますます困難且つ高価になる。従って、本発明の目的は、同様に働き且つ製造コストがより廉価な代替のコーティング組成物を提供することであった。
【0044】
明らかに、本発明の多くの修正及び変更は、上記の教示に鑑みて可能である。本発明は、添付した特許請求の範囲内に特別に記載されたものと別の方法で実施してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロカーボンコーティング組成物中で使用される超分散剤であって、以下の反応生成物:
少なくとも1つの内部エーテル結合及び内部エステル結合を有する炭素数1から25までの炭素鎖と複数のエポキシ基とを含むポリグリシジルオリゴマー;及び
前記エポキシ基の1つと反応し且つ該基を開環させるために、少なくとも1つの第1級又は第2級アミン基で置換された、環状、複素環状、アルキル、又はヘテロアルキル構造を有する少なくとも1つのアミノ化合物;
を含み、
その際、前記超分散剤は、前記フルオロカーボンコーティング組成物においてフルオロカーボン樹脂の分散を補助する前記アミノ化合物からのアミン官能性を有し且つ該フルオロカーボンコーティング組成物において架橋剤との架橋を向上させる少なくとも1つの前記エポキシ基の開環からのヒドロキシル官能性を有する、フルオロカーボンコーティング組成物中で使用される超分散剤。
【請求項2】
前記ポリグリシジルオリゴマーが約150から約1000までの質量平均分子量を有する、請求項1記載の超分散剤。
【請求項3】
前記炭素鎖が線状、分枝鎖状、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の超分散剤。
【請求項4】
前記炭素鎖が脂肪族、脂環式、芳香族、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の超分散剤。
【請求項5】
前記ポリグリシジルオリゴマーが以下の一般式及びそれらの混合物:
【化1】

(式中、Rは前記炭素鎖である)
から選択される、請求項1記載の超分散剤。
【請求項6】
前記アミノ化合物が、エチレン尿素、ピロリジン、2−ピロリドン、ピペリジン、モルホリン、t−ブチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の超分散剤。
【請求項7】
アミノ化合物が複素環構造を有する、請求項1記載の超分散剤。
【請求項8】
前記アミノ化合物がエチレン尿素、ピロリジン、2−ピロリドン、ピペリジン、モルホリン、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の超分散剤。
【請求項9】
前記アミノ化合物が、前記第1級又は第2級アミン基が前記ポリグリシジルオリゴマーの前記複数のエポキシ基を基準として化学量論的当量で存在する量で使用される、請求項1記載の超分散剤。
【請求項10】
前記ポリグリシジルオリゴマーが前記超分散剤の全質量を基準として約30から約90パーセントまでの量で存在する、請求項1記載の超分散剤。
【請求項11】
前記アミノ化合物が前記超分散剤の全質量を基準として約15から約50パーセントまでの量で存在する、請求項10記載の超分散剤。
【請求項12】
フルオロカーボンコーティング組成物であって:
フルオロカーボン樹脂;
バインダー樹脂;
架橋剤;及び
超分散剤
を含み、該超分散剤は1)少なくとも1つの内部エーテル結合及び内部エステル結合を有する炭素数1から25までの炭素鎖と複数のエポキシ基とを含むポリグリシジルオリゴマー及び2)前記エポキシ基の1つと反応し且つ該基を開環させるために、第1級又は第2級アミン基で置換された、環状、複素環状、アルキル、又はヘテロアルキル構造を有する少なくとも1つのアミノ化合物を含み;
その際、前記超分散剤は、前記フルオロカーボン樹脂の分散を補助する前記アミノ化合物からのアミン官能性を有し且つ前記架橋剤との架橋を向上させる少なくとも1つの前記エポキシ基の開環からのヒドロキシル官能性を有する、フルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項13】
前記ポリグリシジルオリゴマーが前記超分散剤の全質量を基準として約30から約90パーセントまでの量で存在する、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項14】
前記アミノ化合物が前記超分散剤の全質量を基準として約15から約50パーセントまでの量で存在する、請求項13記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項15】
前記ポリグリシジルオリゴマーが約150から約1000までの質量平均分子量を有する、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項16】
前記炭素鎖が線状、分枝鎖状、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項17】
前記炭素鎖が脂肪族、脂環式、芳香族、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項18】
前記ポリグリシジルオリゴマーが以下の一般式及びそれらの混合物:
【化2】

(式中、Rは前記炭素鎖である)
から選択される、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項19】
前記アミノ化合物が、エチレン尿素、ピロリジン、2−ピロリドン、ピペリジン、モルホリン、t−ブチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルアミン、ジエタノールアミン及びそれらの組み合わせから選択される、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項20】
前記フルオロカーボン樹脂中に分散された顔料を更に含む、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項21】
約30から約70パーセントまでの固体含有率を有する、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項22】
前記フルオロカーボン樹脂が前記フルオロカーボンコーティング組成物の全質量を基準として約30から約99パーセントまでの量で存在する、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項23】
前記超分散剤が前記フルオロカーボンコーティング組成物の全質量を基準として約1から約40パーセントまでの量で存在する、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項24】
前記架橋剤が前記フルオロカーボンコーティング組成物の全質量を基準として約0.2から約10パーセントまでの量で存在する、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項25】
前記フルオロカーボン樹脂がフルオロカーボン粉末である、請求項12記載のフルオロカーボンコーティング組成物。

【公表番号】特表2010−521551(P2010−521551A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553568(P2009−553568)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/083587
【国際公開番号】WO2008/112026
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】