説明

フルオロカーボンコーティング組成物中に使用するための分散剤

フルオロカーボンコーティング組成物は、フルオロカーボン樹脂、分散剤、および、該分散剤と反応する架橋剤を含む。フルオロカーボンコーティング組成物中に使用する該分散剤は、非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーとの反応生成物を含む。該分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける、アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有し、かつフルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進する、ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有する。フルオロカーボンコーティング系は、下地、および、該下地上に配置されたフルオロカーボンコーティング組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2006年2月3日出願の米国特許出願第11/275,916号の優先権および全ての利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、分散剤とフルオロカーボンコーティング組成物とに関する。より具体的には、本発明は、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける分散剤に関する。
【0003】
コーティング組成物は、典型的には、色、外観、および保護性など、一定の機能的品質および美的品質を備える下地を提供するために、下地に塗布される。コーティング組成物は、典型的には、樹脂、その樹脂と反応する架橋剤、および、そのコーティング組成物から形成された硬化膜に色を付けるための顔料を含む。コーティング組成物の一種であるフルオロカーボンコーティング組成物は、典型的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフルオロカーボン樹脂を含み、優れた耐候性および耐久性が要求される用途で有用である。
【0004】
フルオロカーボン樹脂は、典型的には、流動性および顔料湿潤性に乏しい。すなわち、フルオロカーボン樹脂および顔料は、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物中で十分に分散しない。したがって、分散剤をフルオロカーボンコーティング組成物に加えて、フルオロカーボン樹脂の分散を助けるのが一般的である。
【0005】
これまでフルオロカーボンコーティング組成物に添加されてきた分散剤の1つにアクリル樹脂がある。アクリル樹脂は、典型的には、優れた顔料湿潤性を有するフルオロカーボンコーティング組成物をもたらす。既存のフルオロカーボンコーティング組成物には、重合時に操作されたアクリル樹脂を含むものがある。例えば、一部の既存の分散剤は、架橋部位を有する分散剤をもたらすための付加的な官能性を有するアクリル酸およびアクリル酸エステルから重合されている。また、一部の分散剤は、分散剤の顔料湿潤性を最適にするために、アクリルオキシアルキルオキサゾリジンと重合したものである。これまで使用されてきた具体的なアクリルオキシアルキルオキサゾリジンの1つは、3−(2−メタクリルオキシエチル)−2,2−スピロシクロヘキシルオキサゾリジン(MESO)である。しかしながらMESOは、製造コストが高いため入手が次第に困難におよび/または高費用になってきている。
【0006】
フルオロカーボンコーティング組成物から形成された硬化膜に優れた耐候性および耐薬品性を達成するためには、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物中のフルオロカーボン樹脂含有量が高いことが望ましい。多くのコーティング用途では、フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して少なくとも70質量部のフルオロカーボン樹脂を有するフルオロカーボンコーティング組成物が要求される。そのような高いフルオロカーボン樹脂含有量は、フルオロカーボンコーティング組成物の比較的高い粘度の一因となる。これはフルオロカーボン樹脂が典型的には顔料湿潤性に乏しく、フルオロカーボンコーティング組成物中で十分に分散されないことがよくあるためである。比較的高い粘度のフルオロカーボンコーティング組成物は、自動コーティングプロセスおよび均一な膜厚が要求される用途では最適ではない。したがって、一部のコーティング用途、特にコイルコーティング用途では、高いフルオロカーボン樹脂含有量を有し、かつ既存のフルオロカーボンコーティング組成物で現在可能な粘度よりも低い粘度を有することが望ましい。
【0007】
フルオロカーボンコーティング組成物の粘度を低くするために行なわれてきた試みには、分散剤をポリイミド、第1級および第2級置換アミノ基やエポキシ基などと重合および/または反応させて、改質された分散剤を形成することなどがある。しかしながら、このような改質された分散剤は、MESOで改質された分散剤ほど顔料を湿潤させない、あるいは粘度を低下させない。
【0008】
既存の分散剤が不十分であるため、既存の分散剤を改良した分散剤を提供する機会が残されている。
【0009】
本発明は、フルオロカーボンコーティング組成物中に使用するための分散剤を提供する。該分散剤は、非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーとの反応生成物を含む。該分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける、アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有する。また該分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進する、ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有する。
【0010】
また、本発明は、フルオロカーボン樹脂、分散剤、および、その分散剤と反応する架橋剤を含むフルオロカーボンコーティング組成物も提供する。また、下地、および、その下地上に配置されたフルオロカーボンコーティング組成物を含むフルオロカーボンコーティング系も提供される。
【0011】
この分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物の所望のフルオロカーボン樹脂含有量を可能にし、同時にフルオロカーボンコーティング組成物の所望の粘度および顔料湿潤性をもたらす。さらに、この分散剤は、市販の比較的安価なモノマーを含むため、この分散剤を含むフルオロカーボンコーティング組成物の製造に費用がかかり過ぎない。また、この分散剤がアミン官能性を有するため、この分散剤はフルオロカーボン樹脂の分散を助ける。さらに、この分散剤がヒドロキシル官能性を有するため、この分散剤はフルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進し、均一な膜形成に寄与する。
【0012】
本発明は、フルオロカーボンコーティング組成物、および、そのフルオロカーボンコーティング組成物中に使用するための分散剤を含む。分散剤は、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助けるために使用する。しかし、当然ながら、本発明の分散剤はフルオロカーボンコーティング組成物以外、例えば自動車用コーティング組成物中などにも使用できる。
【0013】
フルオロカーボンコーティング組成物は、フルオロカーボン樹脂、分散剤、および、その分散剤と反応する架橋剤を含む。フルオロカーボンコーティング組成物は、溶剤成分および添加剤成分をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の目的で適切なフルオロカーボン樹脂には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、例えば商標Kynar(登録商標)として販売されているもの、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー、例えば商標Kynar(登録商標)SLとして販売されているもの、商標Fluonate(登録商標)として販売されているフルオロエチレン/ビニルエステル/ビニルエーテル、商標Kynar(登録商標)500およびKynar(登録商標) SLとして市販されている登録商標を有するフッ化ビニリデン系ポリマー、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。フルオロカーボン樹脂は、典型的には、質量平均分子量が100,000〜500,000g/molである。
【0015】
フルオロカーボン樹脂は、典型的には、優れた耐薬品性および耐機械性を有する、フルオロカーボンコーティング組成物から形成される硬化膜をもたらす。またフルオロカーボン樹脂は、典型的には粉末形態で有用である。粉末形態のフルオロカーボン樹脂は、典型的には、本発明のフルオロカーボンコーティング組成物中の溶剤成分に対して不溶性であるが、溶剤成分によって膨潤し、これによりフルオロカーボンコーティング組成物の粘度が増加しうる。フルオロカーボン樹脂は、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物中に、フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して30〜99質量部、より典型的には45〜85質量部、最も典型的には55〜75質量部の量で含まれる。フルオロカーボンコーティング組成物から形成される硬化膜に最適な耐薬品性および耐機械性を達成するためには、フルオロカーボン樹脂がフルオロカーボンコーティング組成物中に、フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して約70質量部の量で含まれることが望ましい。しかしながら、フルオロカーボン樹脂が70質量部を上回る量で含まれる場合、フルオロカーボン樹脂が高コストであるため、フルオロカーボンコーティング組成物の製造コストが典型的には著しく増加する。
【0016】
フルオロカーボンコーティング組成物の架橋剤は、分散剤と反応し、モノマー間の共有結合をもたらして硬化膜の形成を助ける。架橋剤は、アミノプラスト樹脂、例えばメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、またはメラミン/尿素樹脂であってもよい。その他の適切な架橋剤には、イソシアネート、ブロックイソシアネート、有機シラン、およびグリコール尿素が含まれる。架橋剤は、一般的には、周囲温度で分散剤と実質的に反応しないが、昇温により分散剤と架橋するように選択される。架橋剤は、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物中に、フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して0.2〜10質量部の量で含まれる。
【0017】
分散剤は、非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーとの反応生成物を含む。分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける、アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有し、またフルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進する、ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有する。これについては下記により詳細に記載する。
【0018】
非官能性アクリルモノマーには、アルカクリルモノマー、アルキルアクリルモノマー、および/またはアルキルアルカクリルモノマーを含みうる。当然ながら、非官能性という用語は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ヒドロキシル、リン酸、およびスルホニルなどの官能基を含まないことを意味する。しかしながら、非官能性アクリルモノマーは不飽和を含んでもよい。すなわち、非官能性アクリルモノマーは、炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
【0019】
非官能性アクリルモノマーは、典型的には、式量が86〜200g/mol、より典型的には90〜150g/mol、最も典型的には90〜120g/molである。非官能性アリルモノマーは、一般式:
【化1】

[式中、R1およびR2は、同じまたは異なり、それぞれ−HおよびC1〜C3アルキルから選択され、R3はC1〜C6アルキルである]で表わすことができる。非官能性アクリルモノマーは、典型的には、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される。当然ながら、非官能性アクリルモノマーは、tert−ブチルメタクリレートなど、ブチルメタクリレートの異性体から選択してもよい。適切な非官能性アクリルモノマーであるメチルメタクリレートは、BASF Corporation(米国ニュージャージー州フローラムパーク)から市販されている。
【0020】
非官能性アクリルモノマーは、典型的には、分散剤中に、分散剤100質量に対して50〜99質量部の量で含まれる。理論に制限されるものではないが、非官能性アクリルモノマーは、典型的には、耐候性および靱性を備える、フルオロカーボンコーティング組成から形成された硬化膜を提供するために有用である。
【0021】
アミノ官能性ビニルモノマーは、典型的には、式量が60〜340g/mol、より典型的には80〜240g/mol、最も典型的には90〜140g/molである。アミノ官能性ビニルモノマーは、典型的には、一般構造:
【化2】

[式中、R4は、典型的には、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族直鎖、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族分岐鎖、脂肪族環、およびそれらの組み合わせの群から選択され、R5およびR6は、典型的には、それぞれ独立して、1〜20個の炭素原子を有する同じもしくは異なるアルキルアミン基、または少なくとも1個の窒素原子を有する複素環から選択される]で表わされるビニルモノマーである。より具体的には、アミノ官能性ビニルモノマーは、典型的には、一般構造:
【化3】

[式中、R7およびR8は、典型的には、それぞれ独立して、2〜20個の炭素原子を有する同じまたは異なるアルキルアミン基から選択され、R9は、典型的には、少なくとも1個の窒素原子を有する複素環から選択される]で表わされる。アミノ官能性ビニルモノマーは、炭素原子、窒素原子、または酸素原子を含む少なくとも1個の側鎖基を含んでもよい。アミノ官能性ビニルモノマーは、第1級アミノ基および/または第2級アミノ基を含んでもよいビニルモノマーである。当然ながら、一般構造:
【化4】

で表わされるように、ビニルという用語は、アクリレートという用語およびメタクリレートという用語と区別されるべきである。アミノ官能性ビニルモノマーは、典型的には、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリジノン、アミノプロピルビニルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択される。適切なアミノ官能性ビニルモノマーであるアミノプロピルビニルエーテルは、BASF Corporation(米国ニュージャージー州フローラムパーク)から市販されている。
【0022】
アミノ官能性ビニルモノマーは、典型的には、分散剤中に、分散剤100質量部に対して0.2〜20質量部の量で含まれる。アミノ官能性アクリルモノマーは、典型的には、アミン官能性を有する分散剤をもたらすのに有用である。理論に制限されるものではないが、アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性は、アミン基の窒素からの余分な電子がフルオロカーボン樹脂の高極性のフッ素に求引されるため、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助けると考えられている。さらに、アミノ官能性ビニルモノマーが一般構造:
【化5】

で表わされる実施形態では、ビニル基に隣接する酸素基が電子を求引して、アミノ官能性ビニルモノマーの反応性を向上させる。十分に分散されたフルオロカーボン樹脂は、フルオロカーボンコーティング組成物の粘度の低下および所望の顔料湿潤性に寄与するため、本発明の分散剤を含むフルオロカーボンコーティング組成物は、自動コーティングプロセスおよび均一な膜厚が要求される用途で有用である。
【0023】
ヒドロキシ官能性アクリルモノマーは、典型的には、アルカクリル構造体、アルキルアクリル構造体、またはアルキルアルカクリル構造体を有する。ヒドロキシ官能性アクリルモノマーは、典型的には、式量が100〜200g/mol、より典型的には115〜160g/mol、最も典型的には130〜150g/molである。ヒドロキシ官能性アクリルモノマーは、一般式:
【化6】

[式中、R10およびR11は、同じまたは異なり、それぞれ−HおよびC1〜C3アルキルから選択され、R12は、付加的なOH官能性またはβ−ジケトン官能性を有するアルコールの残基である]で表わすことができる。ヒドロキシ官能性アクリルモノマーは、典型的には、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される。適切なヒドロキシ官能性アクリルモノマーであるヒドロキシエチルメタクリレートは、BASF Corporation(米国ニュージャージー州フローラムパーク)から市販されている。
【0024】
ヒドロキシ官能性アクリルモノマーは、典型的には、分散剤中に、分散剤100質量部に対して0.5〜20質量部の量で含まれる。非官能性アクリルモノマー、アミノ官能性ビニルモノマー、および、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーの質量部の合計は、分散剤の100質量部を上回らない。理論に制限されるものではないが、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーのヒドロキシル官能性は、架橋剤と反応する部位を有する分散剤をもたらすことによって、フルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進すると考えられている。架橋の促進は均一な膜形成に寄与し、優れた硬度および耐久性を有する、フルオロカーボンコーティング組成物から形成された硬化膜をもたらす。
【0025】
分散剤は、典型的には、質量平均分子量が25,000〜40,000g/mol、より典型的には30,000〜35,000g/molである。分散剤は、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物中に、フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して5〜50質量部の量で含まれる。分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物の所望のフルオロカーボン樹脂含有量を可能にし、同時にフルオロカーボンコーティング組成物の所望の粘度および顔料湿潤性を提供する。理論に制限されるものではないが、分散剤のアミノ官能性ビニルモノマーに由来するアミン官能性は、アミン基の窒素からの余分な電子がフルオロカーボン樹脂の高極性のフッ素に求引されるため、フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助けると考えられている。さらに、分散剤がフルオロカーボンコーティング組成物中のフルオロカーボン樹脂の分散を助けるため、典型的には、所望のフルオロカーボン樹脂含有量であっても、粘度および顔料湿潤性が最適となる。この分散剤は、市販の比較的安価なモノマーを含むため、典型的には、この分散剤を含むフルオロカーボンコーティング組成物の製造に費用がかかり過ぎない。当然ながら、本発明の1つの目的は、分散重合で3−(2−メタクリルオキシエチル)−2,2−スピロシクロヘキシルオキサゾリジン(MESO)に依存することを減らす、またはなくすことであるが、MESOは少ない量で使用してもよい。また、別のシクロオキサゾリジンをMESOの代わりに使用して、費用を抑えることもできる。
【0026】
フルオロカーボンコーティング組成物の溶剤成分は、典型的には、有機溶剤または溶剤の混合物を含む。適切な溶剤には、グリコール、エステル、エーテル−エステル、グリコール−エステル、エーテル−アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、フタレート可塑剤、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。適切な溶剤成分の具体的な例には、Aromatic 100、Aromatic 150、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル、メチルアミルケトン、およびイソホロンがある。
【0027】
フルオロカーボンコーティング組成物の添加剤成分は、触媒を含んでもよい。触媒は、典型的には、硬化膜の形成時にフルオロカーボンコーティング組成物の硬化を促進するために使用する。そのような触媒は当該技術分野で既知であり、典型的には、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニルアシッドホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェート、モノアルキルアシッドホスフェートおよびジアルキルアシッドホスフェート、ヒドロキシリン酸エステル、およびそれらの組み合わせを含む。強酸触媒は、例えばアミンでブロックしてもよい。フルオロカーボンコーティング組成物中で有用であろうその他の触媒には、ルイス酸、亜鉛塩、およびスズ塩が含まれる。触媒は、一般的には、フルオロカーボンコーティング組成物中に、分散剤100質量部に対して0.1〜5.0質量部の量で含まれる。
【0028】
また、添加剤成分は顔料を含んでもよい。顔料は、典型的には、フルオロカーボンコーティング組成物から形成された硬化膜を着色するために、フルオロカーボンコーティング組成物中に含まれる。このような顔料は、典型的には当該技術分野で既知であり、所望の色、耐久性、耐候性、および耐薬品性に従って、当業者により選択される。適切な顔料には、無機金属酸化物、有機化合物、金属フレーク、マイカ、体質顔料もしくはフィレット顔料、および腐食防止顔料、例えばクロム酸塩、シリカ、ケイ酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
一実施形態において、添加剤成分は顔料を含まず、フルオロカーボンコーティング組成物は、典型的にはクリアコートとして有用である。クリアコートは、典型的には、カラーコートから形成される硬化膜上に塗布して、硬化膜に光沢を与える。
【0030】
また、フルオロカーボンコーティング組成物の添加剤成分は、当該技術分野で既知のいかなる添加剤を含んでもよい。適切な添加剤には、開始剤、充填剤、紫外線防止剤、安定剤、ワックス溶液、消泡剤、および抗酸化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
また、本発明は、フルオロカーボンコーティング系も提供する。このフルオロカーボンコーティング系は、下地、および、その下地上に配置されたフルオロカーボンコーティング組成物を含む。下地は、金属および複合材など、当該技術分野で既知のいかなる適切な下地であってもよい。この下地は、典型的には金属である。また、フルオロカーボンコーティング組成物は、プライマーコーティング剤で最初にコーティングされた下地、あるいはエレクトロコーティングなど、当該技術分野で既知のその他の方法で最初に処理された下地上に配置してもよい。適切なプライマーコーティング剤には、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート、およびフェノール樹脂で架橋された、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、およびエポキシ樹脂が含まれる。
【0032】
フルオロカーボンコーティング組成物は、さまざまなコーティング方法によって下地に塗布することができる。これには例えばコイルコーティング、リバースロールコーティング、スプレーコーティング、押出コーティング、ブラシコーティング、および/またはディップコーティングなどがある。しかしながら、本発明のフルオロカーボンコーティング組成物は、典型的には、コイルコーティング方法用に配合されており、この方法において有用である。フルオロカーボンコーティング組成物は分散剤を含んでいるため、またフルオロカーボンコーティング組成物が所望のフルオロカーボン樹脂含有量であっても所望の粘度を有するため、このフルオロカーボンコーティング組成物は、自動コーティングプロセスおよび均一な膜厚が要求される用途で有用である。コーティング方法の1種であるリバースロールコイルコーティング方法では、フルオロカーボンコーティング組成物は、典型的には、最高到達温度(PMT:peak metal temperature)400〜500°Fで、膜厚0.2〜1.2ミル、より典型的には0.5〜0.9ミルで塗布される。PMTでの滞留時間は、典型的には10秒〜5分の範囲である。別のタイプのコーティング方法であるスプレーコーティングでは、PMT400〜500°Fでの滞留時間は、膜厚1.2〜1.4ミルの場合、典型的には5〜20分の範囲である。別のタイプのコーティング方法である押出コーティングでは、PMT200〜500°Fでの滞留時間は、膜厚0.3〜3ミルの場合、典型的には5〜20分の範囲である。本発明のフルオロカーボンコーティング系は、典型的には、建築用パネル、屋根用パネル、電化製品の筐体、および自動車部品などの用途で有用である。
【0033】
このフルオロカーボンコーティング組成物は、典型的には硬化温度が150〜315℃、より典型的には200〜260℃である。フルオロカーボンコーティング組成物は、典型的には、炉内での焼付けによって硬化して硬化膜を形成するが、フルオロカーボンコーティング組成物は、例えば開放型の熱源に曝露するなど、当該技術分野で既知のいかなる方法で硬化させてもよい。
【実施例】
【0034】
以下の実施例は、本発明を説明する目的にすぎず、決して本発明の適用範囲を制限するものとみなすべきではない。
【0035】
第1表に記載の配合に従って分散剤を形成する。第1表における量はグラムで示している。
【表1】

【0036】
実施例1では、非官能性アクリルモノマーはメチルメタクリレートであり、アミノ官能性ビニルモノマーはアミノプロピルビニルエーテルであり、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーはヒドロキシエチルメタクリレートである。開始剤は、DuPont(米国デラウェア州ウィルミントン)から市販されているVazo(登録商標) 67である。Aromatic 100(534グラム)とメチルn−アミルケトン(MAK)(347グラム)との混合物を、攪拌器、凝縮器、温度計、不活性ガス注入口、および添加漏斗を装着した反応器に入れる。反応器を窒素で不活性化し、混合物を110℃まで加熱する。モノマー添加時には、非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーと、7グラムのAromatic 100との予備混合物を添加槽内で製造し、温度を110℃に維持しながら、3時間かけて反応器に添加する。この予備混合物のほか、4.6グラムのVazo(登録商標)67および34.5グラムのMAKもこの3時間にわたって添加し、モノマー添加を完了する。
【0037】
モノマー添加完了後、添加槽の内容物を34.5グラムのMAKでフラッシュし、その添加槽の内容物を110℃で30分間保持する。次に、6.3グラムのVazo(登録商標) 67と34.5グラムのMAKとを90分かけて徐々に添加する。添加槽を23グラムのMAKで反応器にフラッシュする。次に、分散剤を110℃で30分間保持し、冷却する。
【0038】
得られた分散剤は、固形分38%、アミン価16.6mg KOH/グラム(樹脂固体)、25℃での粘度Z(ガードナーホルト気泡)、および質量/ガロン8.50lbsを有する。
【0039】
実施例2では、50%(モル比)のMESOを除き、アミノ官能性ビニルモノマーと非官能性アクリルモノマーとヒドロキシ官能性アクリルモノマーとの反応物に置き換える。非官能性アクリルモノマーはメチルメタクリレートであり、アミノ官能性ビニルモノマーはアミノプロピルビニルエーテルであり、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーはヒドロキシエチルメタクリレートである。開始剤は、DuPont(米国デラウェア州ウィルミントン)から市販されているVazo(登録商標)67である。Aromatic 100(509グラム)とメチルn−アミルケトン(MAK)(347グラム)との混合物を、攪拌器、凝縮器、温度計、不活性ガス注入口、および添加漏斗を装着した反応器に入れる。反応器を窒素でフラッシュし、混合物を110℃まで加熱する。モノマー添加時には、非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーと、MESOと、7グラムのAromatic 100との予備混合物を添加槽内で製造し、温度を110℃に維持しながら、3時間かけて反応器に添加する。この予備混合物のほか、4.6グラムのVazo(登録商標)67および34.5グラムのMAKもこの3時間にわたって添加し、モノマー添加を完了する。
【0040】
モノマー添加完了後、添加槽の内容物を34.5グラムのMAKでフラッシュし、その添加槽の内容物を110℃で30分間保持する。次に、6.3グラムのVazo(登録商標)67と34.5グラムのMAKとを90分かけて徐々に添加し、110℃で30分間保持する。添加槽を23グラムのMAKで反応器にフラッシュする。次に、分散剤を110℃で30分間保持し、冷却する。
【0041】
得られた分散剤は、固形分38%、アミン価17.7mg KOH/グラム(樹脂固体)、25℃での粘度Z1(ガードナーホルト気泡)、質量/ガロン8.51lbsを有する。
【0042】
実施例3では、非官能性アクリルモノマーは772.3グラムのメチルメタクリレートおよび1.7グラムのブチルメタクリレートであり、アミノ官能性ビニルモノマーは1−ビニルイミダゾールであり、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーはヒドロキシプロピルアクリレートである。開始剤は、DuPont(米国デラウェア州ウィルミントン)から市販されているVazo(登録商標)67である。Aromatic 100(534グラム)とメチルn−アミルケトン(MAK)(347グラム)との混合物を、攪拌器、凝縮器、温度計、不活性ガス注入口、および添加漏斗を装着した反応器に入れる。反応器を窒素でフラッシュし、混合物を約110℃まで加熱する。モノマー添加時には、非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーと、7グラムのAromatic 100との予備混合物を添加槽内で作成し、温度を110℃に維持しながら、3時間かけて反応器に添加する。この予備混合物のほか、4.6グラムのVazo(登録商標)67および34.5グラムのMAKもこの3時間にわたって添加し、モノマー添加を完了する。
【0043】
モノマー添加完了後、添加槽の内容物を34.5グラムのMAKでフラッシュし、その添加槽の内容物を110℃で30分間保持する。次に、6.3グラムのVazo(登録商標)67と34.5グラムのMAKとを90分かけて徐々に添加し、モノマー添加後に110℃で30分間保持する。添加槽を23グラムのMAKで反応器にフラッシュする。次に、分散剤を110℃で30分間保持し、冷却し、濾過する。
【0044】
得られた分散剤は、固形分38%、アミン価16.7mg KOH/グラム(樹脂固体)、25℃での粘度Z1(ガードナーホルト気泡)、質量/ガロン8.51lbsを有する。
【0045】
比較例1では、非官能性アクリルモノマーはメチルメタクリレートであり、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーはヒドロキシエチルメタクリレートであり、開始剤はDuPont(米国デラウェア州ウィルミントン)から市販されているVazo(登録商標) 67である。イソホロン(138グラム)と、キシレン(572グラム)と、プロピレンカーボネート(552グラム)との混合物を、攪拌器、凝縮器、温度計、不活性ガス注入口、および添加漏斗を装着した反応器に入れる。反応器を窒素でフラッシュし、混合物を108℃まで加熱する。モノマー添加時には、メチルメタクリレートと、3−(2−メタクリルオキシエチル)−2,2−スピロシクロヘキシルオキサゾリジンと、ヒドロキシエチルメタクリレートと、6.9グラムのVazo 67との予備混合物を添加槽内で製造し、温度を108℃に維持しながら3時間かけて反応器に添加し、モノマー添加を完了する。
【0046】
モノマー添加完了後、反応器の内容物を108℃で30分間保持する。次に、この反応器の内容物を98℃まで冷却し、1.85グラムのVazo 67と4.85グラムのキシレンとを1回分として、30分ごとに4回添加することにより、モノマーの比較例の分散剤への変換を完了する。40分間の最終的な後加熱の後、比較例の分散剤を冷却しまとめる。
【0047】
得られた比較例の分散剤は、固形分42%、アミン価13mg KOH/グラム(樹脂固体)、25℃での粘度Z(ガードナーホルト気泡)、および質量/ガロン8.8lbsを有する。
【0048】
第2表に示す配合に従って、3種の分散剤それぞれをフルオロカーボンコーティング組成物に組み込む。第2表における量はグラムで示している。
【表2】

【0049】
実施例1では、5gの分散剤と20gの溶剤(イソホロン)との混合物中に、16.1gの酸化チタン顔料を分散させることによって、顔料分散液を形成する。分散剤を溶剤で希釈し、攪拌下で粉末二酸化チタン顔料を添加する。高速ブレードを用いて、顔料を完全に分散させる。次にこの分散剤と溶剤と顔料との混合物を媒体ミルに通して、完全分散を達成する。23.9gのフルオロカーボン樹脂(ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF))を5.4gの分散剤および20gの溶剤に分散させることによって、フルオロカーボンコーティングベースを製造する。ここでも分散剤を溶剤で希釈し、攪拌下で粉末PVDFを添加し、高速ブレードを用いてPVDFを完全に分散させる。
【0050】
残りの成分をフルオロカーボンコーティングベースに添加することによって、中間ベースを製造する。例えば、0.1gの酸触媒および0.7gのメラミン架橋剤をフルオロカーボンコーティングベースに添加する。付加的に、0.3gの消泡剤、0.2gのワックス溶液、および、0.2gの抗酸化剤をフルオロカーボンコーティングベースに添加する。
【0051】
顔料分散液とフルオロカーボンコーティングベースとをブレンドし、残りの溶剤8.2gで粘度を調節することによって、フルオロカーボンコーティング組成物を完成させる。最終的フルオロカーボンコーティング組成物に、粘度および密度等種々の試験を実施して、その組成の完全性を確実にする。
【0052】
実施例2では、17.1gの酸化チタン顔料を5gの分散剤と20gの溶剤との混合物中に分散させることによって、顔料分散液を形成する。分散剤を溶剤で希釈し、攪拌下で粉末二酸化チタン顔料を添加する。高速ブレードを用いて顔料を完全に分散させる。次にこの分散剤と溶剤と顔料との混合物を媒体ミルに通して、完全分散を達成する。25gのフルオロカーボン樹脂(ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF))を5.4gの分散剤および20gの溶剤に分散させることによって、フルオロカーボンコーティングベースを製造する。ここでも分散剤を溶剤で希釈し、攪拌下で粉末PVDFを添加し、高速ブレードを用いてPVDFを完全に分散させる。
【0053】
残りの成分をフルオロカーボンコーティングベースに添加することによって、中間ベースを製造する。例えば、0.1gの酸触媒および0.7gのメラミン架橋剤をフルオロカーボンコーティングベースに添加する。同様に、0.3gの消泡剤、0.2gのワックス溶液、および、0.2gの抗酸化剤をフルオロカーボンコーティングベースに添加する。
【0054】
顔料分散液とフルオロカーボンコーティングベースとをブレンドし、残りの溶剤7.1gで粘度を調節することによって、フルオロカーボンコーティング組成物を完成させる。最終的フルオロカーボンコーティング組成物に、粘度および密度等種々の試験を実施して、その組成の完全性を確実にする。
【0055】
比較例1では、分散剤と顔料と溶剤とから、顔料分散液を形成する。次に、フルオロカーボン樹脂、5.4gの分散剤、および、20gの溶剤から、フルオロカーボンコーティングベースを形成する。残りの成分をフルオロカーボンコーティングベースに添加する。架橋剤は、ヘキサメトキシメチルメラミンとする。
【0056】
顔料分散液とフルオロカーボンコーティングベースとをブレンドし、残りの溶剤で粘度を調節することによって、フルオロカーボンコーティング組成物を完成させる。最終的フルオロカーボンコーティング組成物に、粘度および密度等種々の試験を実施して、その組成の完全性を確実にする。
【0057】
実施例1および2、ならびに比較例1のフルオロカーボンコーティング組成物をスチール下地に塗布し、305℃で55秒間焼付けを行ない、0.75〜0.85ミル(0.019〜0.022mm)の硬化膜を得る。均一な膜形成を評価するために、硬化膜が破損するまでの往復摩擦の回数によって、硬化膜のメチルエチルケトン(MEK)に対する耐性を測定する。実施例1は、200回以上の摩擦で良好に機能し、実施例2は200回以上の摩擦で良好に機能し、比較例1は100回以上の摩擦で良好に機能する。これらの結果は、実施例1および2のフルオロカーボンコーティング組成物が、MESOに依存しているアミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を含まない比較例1のフルオロカーボンコーティング組成物よりも優れていないとしても、少なくとも同様に機能することを示している。実施例1および2のフルオロカーボンコーティング組成物は、実施例1および2の分散剤がアミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性、および、ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有するため、均一な膜形成を示す。実施例1および2の分散剤はアミン官能性を有するため、これらの分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける。十分に分散されたフルオロカーボン樹脂は、フルオロカーボンコーティング組成物の粘度低下および所望の顔料湿潤性に寄与するため、本発明の分散剤を含む実施例1および2のフルオロカーボンコーティング組成物は、自動コーティングプロセスおよび均一な膜厚が要求される用途で有用である。実施例1および2の分散剤はヒドロキシル官能性を有するため、これらの分散剤は、フルオロカーボンコーティング組成物での架橋剤による架橋を促進し、均一な膜形成に寄与する。上記のように、MESOは、入手が次第に困難にかつ高費用になってきている。したがって、実施例1および2のフルオロカーボンコーティング組成物は、良好に機能し、かつ比較例1のフルオロカーボンコーティング組成物よりも安価に製造される、代替のフルオロカーボンコーティング組成物を提供する。
【0058】
本発明は例示的に記載されており、使用されている用語は、限定的な言葉としてではなくむしろ説明的な言葉としての性質を有するものと理解すべきである。当然ながら、上記の教示を踏まえて、本発明の多くの修正形態および変形形態が可能である。本発明は、明確に記載されているような形以外でも実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロカーボンコーティング組成物中に使用するための分散剤であって、
該分散剤が、
非官能性アクリルモノマー、
アミノ官能性ビニルモノマー、および、
ヒドロキシ官能性アクリルモノマー
の反応生成物を含み、
該分散剤が、前記フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける、前記アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有し、かつ前記フルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進する、前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有する分散剤。
【請求項2】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、
一般構造:
【化1】

[式中、
4は、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族直鎖、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族分岐鎖、脂肪族環、およびそれらの組み合わせの群から選択され、かつ
5およびR6は、それぞれ独立して、1〜20個の炭素原子を有する同じもしくは異なるアルキルアミン基、または少なくとも1個の窒素原子を有する複素環から選択される]で表わされる、請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、一般構造:
【化2】

[式中、
7およびR8は、それぞれ独立して、2〜20個の炭素原子を有する同じまたは異なるアルキルアミン基から選択され、かつR9は、少なくとも1個の窒素原子を有する複素環から選択される]で表わされる、請求項1に記載の分散剤。
【請求項4】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、炭素原子、窒素原子、または酸素原子を含む少なくとも1個の側鎖基を含む、請求項3に記載の分散剤。
【請求項5】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリジノン、アミノプロピルビニルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1に記載の分散剤。
【請求項6】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、前記分散剤中に、前記分散剤100質量部に対して0.2〜20質量部の量で含まれる、請求項1に記載の分散剤。
【請求項7】
前記ヒドロキシ官能性モノマーが、アルカクリル構造体、アルキルアクリル構造体、またはアルキルアルカクリル構造体を有する、請求項1に記載の分散剤。
【請求項8】
前記ヒドロキシ官能性モノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1に記載の分散剤。
【請求項9】
前記ヒドロキシ官能性モノマーが、前記分散剤中に、前記分散剤100質量部に対して0.5〜20質量部の量で含まれる、請求項1に記載の分散剤。
【請求項10】
前記非官能性アクリルモノマーが、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1に記載の分散剤。
【請求項11】
前記非官能性アクリルモノマーが、前記分散剤中に、前記分散剤100質量部に対して50〜99質量部の量で含まれる、請求項1に記載の分散剤。
【請求項12】
質量平均分子量が25,000〜40,000g/molである、請求項1に記載の分散剤。
【請求項13】
質量平均分子量が30,000〜35,000g/molである、請求項12に記載の分散剤。
【請求項14】
フルオロカーボンコーティング組成物中に使用するための分散剤であって、
該分散剤が、
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される、非官能性アクリルモノマーと、
1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリジノン、アミノプロピルビニルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択されるアミノ官能性ビニルモノマーと、
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択されるヒドロキシ官能性アクリルモノマーと、
の反応生成物を含み、
該分散剤が、前記フルオロカーボンコーティング組成物中でのフルオロカーボン樹脂の分散を助ける、前記アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有し、かつ前記フルオロカーボンコーティング組成物中での架橋剤による架橋を促進する、前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有する分散剤。
【請求項15】
フルオロカーボン樹脂、
非官能性アクリルモノマー、アミノ官能性ビニルモノマー、および、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーの反応生成物を含む分散剤、および、
前記分散剤と反応する架橋剤
を含むフルオロカーボンコーティング組成物であって、
前記分散剤が、前記フルオロカーボン樹脂の分散を助ける、前記アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有し、また前記架橋剤による架橋を促進する、前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有する、フルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項16】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、一般構造:
【化3】

[式中、
4は、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族直鎖、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族分岐鎖、脂肪族環、およびそれらの組み合わせの群から選択され、かつR5およびR6は、それぞれ独立して、1〜20個の炭素原子を有する同じもしくは異なるアルキルアミン基、または少なくとも1個の窒素原子を有する複素環から選択される]で表わされる、請求項15に記載の分散剤。
【請求項17】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリジノン、アミノプロピルビニルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項15に記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項18】
前記ヒドロキシ官能性モノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項15に記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項19】
前記非官能性アクリルモノマーが、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項15に記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項20】
前記非官能性アクリルモノマーが、前記分散剤中に50〜99質量部の量で含まれ、前記アミノ官能性ビニルモノマーが、前記分散剤中に0.2〜20質量部の量で含まれ、かつ前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマーが、前記分散剤中に0.5〜20質量部の量で含まれ(全て前記分散剤100質量部に対して)、ただし前記非官能性アクリルモノマー、前記アミノ官能性ビニルモノマー、および前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマーの質量部の合計が100質量部を超えない、請求項15に記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項21】
前記分散剤が、前記フルオロカーボンコーティング組成物に、前記フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して5〜50質量部の量で含まれる、請求項15に記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項22】
前記フルオロカーボン樹脂が、前記フルオロカーボンコーティング組成物に、前記フルオロカーボンコーティング組成物100質量部に対して30〜99質量部の量で含まれる、請求項21に記載のフルオロカーボンコーティング組成物。
【請求項23】
下地、および、
該下地上に配置されたフルオロカーボンコーティング組成物であって、該フルオロカーボンコーティング組成物が、
フルオロカーボン樹脂、
非官能性アクリルモノマーと、アミノ官能性ビニルモノマーと、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーとの反応生成物を含む分散剤、および、
前記分散剤と反応する架橋剤を含むフルオロカーボンコーティング組成物、
を含むフルオロカーボンコーティング系であって、
前記分散剤が、前記フルオロカーボン樹脂の分散を助ける、前記アミノ官能性ビニルモノマー由来のアミン官能性を有し、かつ前記架橋剤による架橋を促進する、前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマー由来のヒドロキシル官能性を有するフルオロカーボンコーティング系。
【請求項24】
前記アミノ官能性ビニルモノマーが、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリジノン、アミノプロピルビニルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択され、前記ヒドロキシ官能性モノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択され、かつ前記非官能性アクリルモノマーが、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項23に記載のフルオロカーボンコーティング系。
【請求項25】
前記非官能性アクリルモノマーが、前記分散剤中に50〜99質量部の量で含まれ、前記アミノ官能性ビニルモノマーが、前記分散剤中に0.2〜20質量部の量で含まれ、かつ前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマーが、前記分散剤中に0.5〜20質量部の量で含まれ(全て前記分散剤100質量部に対して)、ただし前記非官能性アクリルモノマー、前記アミノ官能性ビニルモノマー、および前記ヒドロキシ官能性アクリルモノマーの質量部の合計が100質量部を超えない、請求項23に記載のフルオロカーボンコーティング系。

【公表番号】特表2011−508803(P2011−508803A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539529(P2010−539529)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/066412
【国際公開番号】WO2009/082503
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】