説明

フルオロキノロン類を含有する医薬

本発明は、フルオロキノロン類がそれらの溶液から沈殿するのを防止するための四級アンモニウム化合物の使用、および、非経腸投与に特に適し、フルオロキノロンおよび四級アンモニウム化合物を溶解形で含有する、安定な適合する医薬に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロキノロン類がそれらの溶液から沈殿するのを防止するための四級アンモニウム化合物の使用、および、非経腸的使用に特に適し、溶解形でフルオロキノロンおよび四級アンモニウム化合物を含有する、安定な耐容される医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌的に活性なフルオロキノロン類の可溶化の分野で、詳細な研究が実施された。かくして、DE−OS−3831514は、金属イオン、特にカルシウムイオンの使用による、キノロン類を含む溶液を記載している。金属イオン、特にマグネシウムイオンの使用によるキノロン類の改善された溶解性は、また、JP02−264724および M. Nakano, M. Yamamoto, T. Arita in Chem. Pharm. Bull., Interactions of Aluminium, Magnesium and Calcium ions with Nalidixic acid, 26 (5) 1505-1510 (1978) に記載されている。EP−A507851は、キノロン類の金属イオンおよび酸との錯体を記載している;キノロン類の溶解性は、これらの錯体で改善されると述べられている。金属イオンおよび共溶媒の添加による、改善されたフルオロキノロンの溶解性は、US5811130に記述されている。これらの錯体の耐容性は、子ウシにおいて示されている。キノロン類の金属イオンとの、特にマグネシウムイオンとの錯体は、また、WO99/29322に記載されており、その意図は、より良好なキノロン類の溶解性を達成することである。そこで記載されている錯体は、良好に耐容され、保存時に安定であると記載されており、子ウシおよびラットにおける耐容性が研究された。
【0003】
医薬目的の溶液は、沈殿を含んではならない。これは、非経腸投与用の溶液で特に重要であり、粒子形成と呼ばれる少量程度の沈殿でさえ、許容され得ない。これは、医薬目的で使用される製品の貯蔵有効期間(shelf life)全体にわたり適用される。従って、粒子形成または溶液からの医薬物質の沈殿を回避する主題に関する多数の刊行物が存在する。例えば、WO98/18492は、セファロスポリンを含む溶液における粒子の形成が、リン脂質の使用により回避されることを記載している。
【0004】
EP−A287926は、溶液(注射用)を製造するときに粒子形成を回避するための、特にフルオロキノロン類の合成用の、詳細な精製方法を記載している。
同様に、WO01/10408は、溶液が粒子を含まないままであることを確実にするには、注射用フルオロキノロン溶液を製造するために、特に低い金属イオン混入度の材料を使用しなければならないことを記載している。
同様に頻繁に選択される粒子形成問題の回避方法は、例えば、溶液の凍結乾燥である。
【0005】
界面活性物質は非経腸投与で良好に耐容されないことが、一般的に知られている。これは、とりわけ、界面活性物質の細胞壁構成成分との親和性に起因すると考えられ得る。従って、特に著しい細胞壁への親和性を有する界面活性物質は、とりわけ、殺菌剤または保存剤としても用いられる。これは、また、例えば塩化ベンザルコニウムなどの四級アンモニウム化合物の群からの保存料にも適用される。
【0006】
また、一般的に、四級アンモニウム化合物の群は、皮膚および粘膜の刺激物質であることも知られている。かくして、K.H. Wallhaeuser (in Praxis der Sterilisation, Desinfektion-Konservierung, Thieme Verlag, 1995, 5th edition, pp. 586-598) は、ウサギの健康な皮膚に対する塩化ベンザルコニウムの皮膚刺激作用を記載し;マウスにおける様々なタイプの皮膚炎の発症も記載されている (J. Amer. Vet. Med. Ass., 1972, 161 (6), 652-655. Dermatitis and death in mice accidentally exposed to quaternary ammonium disinfectants)。J. Gen. Microbiol., 1967, 48 (3), 391-400 ("Effects of organic cations on the gram-negative cell wall and their bactericidal activity with EDTA and surface active agents") では、四級アンモニウム化合物の作用メカニズムが示され、細胞膜との相互作用および結果的な他の物質の透過性の増加が明確に記載された。
【0007】
例えばマグネシウムイオンまたはカルシウムイオンなどの金属イオンの添加によるフルオロキノロン類の溶解性の改善は、原則として文献に記載されているが、いくつかのフルオロキノロン類の溶液の保存は、依然として粒子形成の形態での既知の沈殿を伴う。これは、また、沈殿または結晶化を回避するための一般的な常套の物質が使用されるときにも起こる。かくして、例えば、US5811130に記載の共溶媒またはEP−A507851に記載の酸含有製剤を用いることは、プラドフロキサシン(pradofloxacin)溶液における粒子形成を防止しない。
【0008】
さらに、フルオロキノロン類の製剤は、様々な動物種により等しく良好に耐容されるわけではないので、子ウシで決定された耐容性は、例えばブタまたはイヌまたは実際にネコにおける耐容性を想定できるというという結論を導かせない。これは、また、逆の場合でも真である:イヌに耐容される注射用溶液は、ネコまたは子ウシにより必ずしも耐容されない。
【0009】
家畜部門(例えばウシ)と対照的に、注射用溶液の局所的耐容性の評価は、客観的な局所的所見に加えて、愛玩動物(例えばイヌまたはネコ)においてより重大である。従って、動物の所有者の軽い局所的不耐性(例えば膨張、疼痛)の許容度は、家畜部門よりも愛玩動物部門で顕著に低い。加えて、愛玩動物部門で見られる育種変異種(breed variants)は、特に頻繁に、家畜と比較してより敏感に皮下注射に反応する。これに関して、ネコは、高度に敏感な動物種として言及されなければならない。従って、注射用のフルオロキノロン溶液の殆どが、とりわけ耐容性の欠如の結果として、イヌまたはネコに利用可能ではないことは、驚くべきことではない。
【0010】
最良の可能な耐容性を創生するために、溶液のpHを可能な限り中性(約7.4)に維持することが推奨されるが、しかしながら、それは、フルオロキノロン類の溶解性とは対照的である。なぜなら、後者は、概して、中性pHで著しく可溶性が低いからである。これは、キノロン類に好ましく使用される水性の系に特に当てはまり、ここで、キノロン類の中性付近のpH値での乏しい溶解性の結果として、共溶媒などの添加物を使用しなければならない。フルオロキノロン類のベタイン形態の粒子形成は、中性pH範囲でしばしば観察でき、このことは、溶液は耐容されるが、保存時に安定ではないことが多く、粒子形成が起こる理由である。実際には、この現象は、例えば凍結乾燥品の使用により回避されることが多い。しかしながら、凍結乾燥品は、実際の取扱いが面倒であり、概して、再構成された溶液は、再構成後に短い貯蔵有効期間(例えば4週間)を有するか、または、粒子形成の可能性の結果として、直接廃棄されなければならない。従って、そのような製品は、直接投与できる即時使用型注射用溶液に対して、著しく不利である。
【0011】
従って、注射用溶液としての即時使用型溶液が有利である。さらに、投与後に、WO99/29322にも記載されている通り、適量のフルオロキノロンが血清に入ることが必要である。これもまた、注射用のフルオロキノロン製剤の場合当然のことではなく、また、問題の動物種次第であり得る。
【0012】
医薬的に許容し得る添加物を使用して、確実にフルオロキノロン類を溶液中に維持する可能性が見出された。かくして、十分な濃度のフルオロキノロンを含有し、非経腸投与後に様々な動物種により良好に局所的に耐容され、医薬の保存条件下で安定であり、粒子形成がなく、そして、血清動態に関して有利なプロフィールを有する、フルオロキノロン類を含む即時使用型製剤を提供できる。
【発明の開示】
【0013】
本発明は:
フルオロキノロン類がそれらの溶液から沈殿することを防止するための、四級アンモニウム化合物の使用
に関する。
【0014】
本発明はさらに:
(a)必要に応じて医薬的に有用な塩の形態のフルオロキノロン、および、
(b)四級アンモニウム化合物
を溶解形で含む医薬
に関する。
【0015】
フルオロキノロン類は、とりわけ、以下の文献:US4670444(Bayer AG)、US4472405(Riker Labs)、US4730000(Abbott)、US4861779(Pfizer)、US4382892(Daiichi)、US4704459(Toyama)で開示されている通りの化合物であり、以下のものが特定の例として挙げられる:ベノフロキサシン(benofloxacin)、ビンフロキサシン(binfloxacin)、シノキサシン、シプロフロキサシン、ダノフロキサシン(danofloxacin)、ジフロキサシン(difloxacin)、エノキサシン、エンロフロキサシン(enrofloxacin)、フレロキサシン、イバフロキサシン(ibafloxacin)、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、マルボフロキサシン(marbofloxacin)、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルビフロキサシン(orbifloxacin)、ペフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、サラフロキサシン(sarafloxacin)、スパルフロキサシン。
【0016】
好ましいフルオロキノロン類の群は、式(I)または(II):
【化1】

[式中、
Xは、水素、ハロゲン、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、NHを表し、
Yは、構造
【化2】

{式中、
は、ヒドロキシル−またはメトキシ−置換されていることもある直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、シクロプロピル、1個ないし3個のC原子を有するアシルを表し、
は、水素、メチル、フェニル、チエニルまたはピリジルを表し、
は、水素またはC1−4−アルキルを表し、
は、水素またはC1−4−アルキルを表し、
は、水素またはC1−4−アルキルを表す}
のラジカルを表し、そして、
は、1個ないし3個の炭素原子を有するアルキルラジカル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、メトキシ、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニルまたはメチルアミノを表し、
は、水素、または、メトキシ−もしくは2−メトキシエトキシ−置換されていることもある1個ないし6個の炭素原子を有するアルキル、および、シクロヘキシル、ベンジル、2−オキソプロピル、フェナシル、エトキシカルボニルメチル、ピバロイルオキシメチルを表し、
は、水素、メチルまたはエチルを表し、そして、
Aは、窒素、=CH−、=C(ハロゲン)−、=C(OCH)−、=C(CH)−または=C(CN)を表し、
Bは、酸素、メチル−またはフェニル−置換されていることもある=NHまたは=CHを表し、
Zは、=CH−または=N−を表す]
のもの、並びに、それらの医薬的に有用な塩および水和物である。
【0017】
好ましい式(I)の化合物は、式中、
Aが、=CH−または=C−CNを表し、
が、ハロゲン−置換されていることもあるC−C−アルキルまたはシクロプロピルを表し、
が、水素またはC1−4−アルキルを表し、
Yが、構造
【化3】

{式中、
は、ヒドロキシル−置換されていることもある直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、1個ないし4個のC原子を有するオキソアルキルを表し、
は、水素、メチルまたはフェニルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素またはメチルを表す}
のラジカルを表すもの、並びに、それらの医薬的に有用な水和物および塩である。
【0018】
特に好ましい式(I)の化合物は、式中、
Aが、=CH−または=C−CNを表し、
が、シクロプロピルを表し、
が、水素、メチルまたはエチルを表し、
Yが、構造
【化4】

{式中、
は、メチル、ヒドロキシル−置換されていることもあるエチルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素を表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、水素を表す}
のラジカルを表すもの、並びに、それらの医薬的に有用な塩および水和物である。
【0019】
言及し得る式(II)のフルオロキノロンの好ましい例は、マルボフロキサシン:
【化5】

である。
【0020】
言及し得る特に好ましいフルオロキノロン類は、WO97/31001に記載の化合物、特に、式
【化6】

の8−シアノ−1−シクロプロピル−7−((1S,6S)−2,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(プラドフロキサシン)である。
【0021】
エンロフロキサシンも特に好ましく用いられる:
1−シクロプロピル−7−(4−エチル−1−ピペラジニル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
【化7】

ヒトの医薬で通常用いられる活性物質である、シプロフロキサシンの使用も実施可能である。
【0022】
フルオロキノロン類は、それらのラセミ体の形態またはエナンチオマー形で存在できる。純粋なエナンチオマーのみならず、それらの混合物も本発明に従い用いることができる。
【0023】
適する塩は、医薬的に有用な酸付加塩および塩基の塩である。
医薬的に有用な塩は、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、エンボン酸(embonic acid)、グルタミン酸またはアスパラギン酸の塩を意味すると解される。さらに、本発明による化合物は、酸性または塩基性イオン交換剤に結合できる。言及し得る医薬的に有用な塩基の塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウムまたはカルシウム塩;亜鉛塩、銀塩およびグアニジウム塩である。
【0024】
水和物は、フルオロキノロン類自体の水和物のみならず、それらの塩の水和物も意味すると解される。言及し得る例は、安定な三水和物を形成するプラドフロキサシンである(WO2005/097789参照)。
【0025】
固体であるフルオロキノロン類は、ある種の環境下で、様々な結晶変態を形成し得る。本発明の医薬に有利なのは、適する溶解特性を有する変態である。
【0026】
本発明による医薬では、フルオロキノロンは、体重約80kgまでの動物で、典型的には0.1ないし15%、好ましくは0.5ないし15%、特に好ましくは1ないし15%の量で用いられる。約80kgより多い体重の動物の場合、フルオロキノロンは、典型的には、1ないし30%、好ましくは3ないし25%、そして、特に好ましくは4ないし20%の量で用いる。断りのない限り、ここおよびこれ以降で、百分率はパーセント(w/v)を意味すると理解される。これは、グラム表記の問題の物質の重量/最終溶液100mlを意味する。
【0027】
本発明による医薬は、さらに、例えば、鎮痛剤、特にNSAID(非ステロイド性抗炎症性物質)などの適する活性物質を含有し得る。そのようなNSAIDの例は、メロキシカム、フルニキシン、ケトプロフェン、カルプロフェン、メタミゾールまたは(アセチル)サリチル酸であり得る。
【0028】
本発明の目的上、四級アンモニウム化合物は、通常、非極性置換基を有し、例えば、クロリド、ブロミド、ヨージドまたはフロリドなどの様々な対イオンを有してもよい有機アンモニウム化合物である。それらは、好ましくは、一般式(III):
[RN] (III)
[式中、
ないしRは、同一であるかまたは異なり、C1−18−アルキルを表し、これは、1個または1個より多い酸素により中断されていることもあり、ヒドロキシルまたはアリールラジカル(1個またはそれ以上のハロゲン原子またはC1−8−アルキルラジカルにより置換されていることもある)により置換されていることもあるか、または、
ないしRは、3個のラジカルの環化の結果として、例えば、ピリジンまたはチアゾリンなどの5員または6員の複素環ラジカルを形成していてもよく、これは、C1−4−アルキルまたはC1−4−アルケニルにより一置換または多置換されていてもよく、これらに結合したアリールラジカル(これは、ハロゲン、特に塩素、アミノまたはジメチルアミノにより置換されていてもよい)を有することもあり、そして、
Xは、サルフェート、ハライド、特にクロリド、ブロミドまたはヨージド、または類似の対イオンを表す]
の化合物である。
【0029】
ラジカルRないしRの少なくとも1個は、好ましくは、8個ないし18個、特に好ましくは12個ないし16個のC原子の鎖長を有する。
アリールは、好ましくは、ハロゲン、特に塩素、およびC1−8−アルキルから選択される1個または2個のラジカルにより置換されていることもあるフェニルラジカルを表す。
【0030】
例は、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド類、特に塩化ベンザルコニウム[(C8−18)−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド]または平均分子量約380のn−(C12−C18)−アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム(ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)、ジクロロベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド、塩化ベンゾキソニウム(ベンジルドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド)、臭化セトリモニウム(N−ヘキサデシル−N,N−トリメチルアンモニウムブロミド)、ジ−(C−C18)−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、例えば、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドまたはジ−n−デシルジメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム(1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド)およびヨウ化チアゾリン(3−ヘプチル−2−(3−ヘプチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−イリデンメチル)−4−メチルチアゾリニウムヨージド)である。これらの中で特に好ましいのは、塩化ベンゼトニウムおよび塩化ベンザルコニウムである。
【0031】
四級アンモニウム化合物は、通常、0.001ないし10%、好ましくは0.005ないし6%、そして、特に好ましくは0.005ないし3%の濃度で用いる。百分率は、%(w/v)を意味する。
【0032】
四級アンモニウム化合物に加えて、本発明による医薬は、粒子形成を回避できるさらなる物質;例えばポロキサマー類、レシチン類、ポリビニルピロリドン類、共溶媒、抗酸化剤または錯体化剤を追加的に含有し得る。この場合もやはり、これらは、通常、0.001ないし20%、好ましくは0.01ないし10%、そして、特に好ましくは0.05ないし3%の濃度で用いる。百分率は、%(w/v)を意味する。
【0033】
液体製剤は、投与時の局所的耐容性を改善する物質を含有し得る。言及し得る例は:フリーラジカル捕捉剤、または、抗酸化剤、例えば、ビタミンE、水溶性ビタミンEエステルまたはビタミンC、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、システアミン、システイン、グルタチオン、チオグリコール、チオ乳酸、ナトリウムジスルフィド、または、他のアセチルシステインである。錯体化剤、例えばシクロデキストリン(例えばヒドロキシプロピルシクロデキストリン)、ナトリウム−EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、ポリビニルピロリドン、デクスパンテノール、脂肪酸の塩、例えば、カプリル酸ナトリウム、多価金属陽イオン(例えばMe2+またはMe3+)、特にアルカリ土類金属の塩、ここで、特にその塩形態のマグネシウム、アミノ酸、ここで、特にアルギニンまたはリジン、ポロキサマー類、ポロキサミン(poloxamine)類、共溶媒、例えば、n−ブタノール、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはジメチルアセトアミド、デキストラン類、クレアチン、クレアチニン、酸、例えばグルコノラクトン酸(gluconolactonic acid)、乳酸、エンボン酸、クエン酸、酒石酸、ムチン酸またはヒアルロン酸、ホスファチジルコリン含有量70−100%のダイズまたはニワトリタンパク質由来のレシチン類。上述の物質の中で、多価金属陽イオンの塩、ここで好ましくはアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩を用いるのが好ましい。
【0034】
耐容性を改善する物質は、通常、0.05ないし10%、好ましくは0.1ないし8%、特に好ましくは0.5ないし5%の濃度で用いる。百分率は、%(w/v)を意味する。
【0035】
液体製剤が含有し得る溶媒は、水または水混和性物質である。言及し得る例は、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類、耐容されるアルコール類、例えばエタノール、ベンジルアルコールまたはn−ブタノール、乳酸エチル、酢酸エチル、トリアセチン、N−メチルピロリドン、炭酸プロピレン、グリコフロール(glycofurol)、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、イソプロピリデングリセロールまたはグリセリンホルマールである。これらの溶媒の組合せも実施可能である。水をベースとする製剤(これは、当然さらなる溶媒および共溶媒も含有し得る)が好ましい。
【0036】
水または水混和性物質に加えて、液体製剤は、乳液の形態で溶媒として油も含有し得る。これらの中で、言及し得る物質は、綿実油、ゴマ油、大豆油、鎖長C12−C18の中鎖トリグリセリド類、プロピレングリコールオクタノエート/デカノエートまたはパラフィンなどの植物、動物および合成油である。
【0037】
溶媒は、通常、98.5%まで、好ましくは97%まで、特に好ましくは96.5%までの濃度で存在する。概して、溶媒濃度は50%より高く、好ましくは60%より高く、特に好ましくは70%より高い。百分率は、%(w/v)を意味する。
【0038】
本発明による製剤は、また、好ましくは製剤が水を含有する場合に、共溶媒も含有し得る;共溶媒は、ある種の製剤構成成分の溶解性を改善できる。共溶媒は、通常、1ないし10%、好ましくは3ないし8%の量で用いる(百分率は、各場合でw/v)。言及し得る共溶媒の例は、医薬的に耐容されるアルコール類、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、酢酸エチル、トリアセチン、N−メチルピロリドン、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、グリコフロール、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、イソプロピリデングリセロール、グリセリンホルマール、グリセリンおよびポリエチレングリコール類である。共溶媒として適する物質は、特に、医薬的に許容し得るアルコール類、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、または、n−ブタノールである。上述の溶媒の混合物も共溶媒として用い得る。
【0039】
液体製剤は、保存料を含有し得る。概して、上述の四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムまたは塩化セチルピリジニウムは、保存料の活性を有する。以下のものは、使用し得るさらなる保存料の例として言及し得る:脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、エタノール、n−ブタノール、フェノール、クレゾール類、クロロブタノール、パラ−ヒドロキシ安息香酸エステル(特にメチルおよびプロピルエステル)、カルボン酸、例えばソルビン酸、安息香酸、乳酸またはプロピオン酸の塩または遊離酸。
【0040】
製剤のタイプおよび投与形態に応じて、本発明による医薬は、さらなる常套の医薬的に許容し得る添加剤および補助剤を含有し得る。言及し得る例は以下のものである:
・抗酸化剤、例えば、亜硫酸塩(亜硫酸Na、メタ重亜硫酸Na)、有機硫化物(シスチン、システイン、システアミン、メチオニン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオ乳酸)、フェノール類(トコフェロール、および、ビタミンEおよびビタミン−E−TPGS(d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート))、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸オクチルおよびドデシル)、有機酸(アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸)およびそれらの塩およびエステル、
・湿潤剤、例えば、脂肪酸の塩、脂肪アルキル硫酸塩、脂肪アルキルスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸塩、脂肪アルキルポリエチレングリコールエーテル類、アルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル類、アルキルポリグリコシド類、脂肪酸N−メチルグルカミド類、ポリソルベート類、ソルビタン脂肪酸エステル類およびポロキサマー類。
・等張化剤(iso-osmotics)、例えば、塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセロール。
・医薬的に許容し得る着色剤、例えば、酸化鉄、カロテノイドなど。
【0041】
液体製剤のpHは、2−11、好ましくは3−8、特に好ましくは4−7.6である。
本発明による医薬は、フルオロキノロンを溶媒に分散させることにより製造でき、耐容性を改善するための物質、および、必要に応じて、粒子形成を回避するための物質を同様に添加する。共溶媒および保存料などのさらなる構成成分は、溶媒に予め添加しても、後で混合してもよい。
あるいは、共溶媒、保存料、耐容性または粒子形成に影響を与える物質を、最初に溶媒に溶解してもよく、その後に、混合物にフルオロキノロンを補って完成させる。
【0042】
一般に、本発明による医薬製剤は、ヒトおよび動物における使用に適する。それらは、好ましくは、家畜、育種動物、動物園の動物、試験動物、実験動物および愛玩動物における動物の飼育および動物の管理に用いる。
【0043】
家畜および育種動物には、哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、シカ、トナカイ、毛皮を有する動物、例えば、ミンク、チンチラ、アライグマ、および、鳥類、例えば、ウズラ、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、ハトおよび家庭内および動物園で飼育するための鳥類の種が含まれる。
【0044】
試験および実験動物には、マウス、ラット、モルモット、ゴールデンハムスター、ウサギ、サル、イヌおよびネコが含まれる。
愛玩動物には、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモット、マウス、ウマ、爬虫類、適する鳥類の種、イヌおよびネコが含まれる。
魚類、ここで、全齢の淡水および海水に住む有用な魚類、養殖魚、水族館の魚類および観賞魚にも言及し得る。
本発明による製剤は、好ましくは、ウマ、ウサギ、ネコおよびイヌなどの愛玩動物で用いる。それらは、ネコおよびイヌでの使用に特に適する。
好ましい家畜の例は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、シチメンチョウおよびニワトリである。特に好ましい家畜は、ウシおよびブタである。
【0045】
投与は、予防的、メタ予防的(metaphylactically)、または、治療的に実施できる。
本発明による液体製剤は、好ましくは、溶液または乳液として投与され、均一な溶液が特に好ましい。
【0046】
本明細書に記載の製剤は、様々な経路で標的生物(ヒトまたは動物)に投与でき、例えば、それらは、非経腸的に、特に、注射(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、乳房内(intramammarially)、腹腔内)を利用して、皮膚に、経口で、直腸に、膣に、または、鼻腔に投与でき、非経腸投与−特に注射を利用する−が好ましい。
【0047】
上述の物質を伴う使用は、良好な活性物質の溶解性、および、特に沈殿に関して良好な製剤の安定性を有する医薬をもたらす。さらに、本発明による医薬は、また、上述の様々な動物種における、特に非経腸投与時の、良好な耐容性および適する血清動態により際だっている。
【実施例】
【0048】
実施例
以下の実施例の製剤は、記述される成分を注射用水に混合または溶解することにより製造する。溶液のpHは、酸または塩基の添加により調節できる。注射用の溶液は、濾過滅菌し、適する容器に移す。プラドフロキサシンを無水物(anhydrate)または三水和物として用いることができる;数値は、各場合で無水物について算出する。
(重量パーセントの百分率は、最終製剤の総体積に基づく、[w/v])。
【0049】
実施例1
1%エンロフロキサシン
3.0%塩化マグネシウム六水和物
0.02%塩化ベンザルコニウム
適量の水酸化カリウム
注射用水100%まで
エンロフロキサシン0.5g、塩化マグネシウム六水和物1.5gおよび塩化ベンザルコニウム0.01gを注射用水に最終体積50mlで溶解し、必要に応じて、pHを水酸化カリウムで6.0にする。
【0050】
実施例2
3.0%プラドフロキサシン(三水和物)
3.0%塩化マグネシウム六水和物
0.02%塩化ベンザルコニウム
適量の水酸化ナトリウム
注射用水100%まで
プラドフロキサシン1.5g(純粋なプラドフロキサシンとして計算、三水和物として用いる)、塩化マグネシウム六水和物1.5gおよび塩化ベンザルコニウム0.01gを、注射用水に最終体積50mlで溶解し、必要に応じて、pHを水酸化ナトリウムで6.0にする。
【0051】
実施例3
1.5%プラドフロキサシン
3%塩化マグネシウム六水和物
0.01%塩化ベンゼトニウム
注射用水100%まで
プラドフロキサシン0.75g、塩化マグネシウム六水和物1.5gおよび塩化ベンゼトニウム0.005gを、注射用水に最終体積50mlで溶解し、必要に応じて、pHを水酸化カリウムで6.0にする。
【0052】
実施例4
1.5%プラドフロキサシン(三水和物)
3%塩化マグネシウム六水和物
0.02%塩化ベンザルコニウム
注射用水100%まで
プラドフロキサシン0.75g(純粋なプラドフロキサシンとして計算、三水和物として用いる)、塩化マグネシウム六水和物1.5gおよび塩化ベンザルコニウム0.01gを、注射用水に最終体積50mlで溶解し、必要に応じて、pHを水酸化ナトリウムで6.0にする。
【0053】
実施例5
5%プラドフロキサシン(三水和物)
0.02%塩化ベンザルコニウム
3%塩化マグネシウム六水和物
注射用水100%まで
注射用水80gを、塩化ベンザルコニウム0.02gおよび塩化マグネシウム六水和物3gと混合する。プラドフロキサシン5g(純粋なプラドフロキサシンとして計算;三水和物として用いる)を、この混合物に溶解する。混合物を残りの注射用水で最終重量100mlに調節し、そして、必要に応じて、前もって水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0にする。
【0054】
実施例6
1.5%プラドフロキサシン(三水和物)
0.015%塩化ベンザルコニウム
3%塩化マグネシウム六水和物
注射用水100%まで
注射用水80gを塩化ベンザルコニウム0.015gおよび塩化マグネシウム六水和物3gと混合する。プラドフロキサシン1.5g(純粋なプラドフロキサシンとして計算;三水和物として用いる)を、この混合物に溶解する。混合物を残りの注射用水で最終重量100mlに調節し、必要に応じて、前もって水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0にする。
【0055】
実施例7
1.5%プラドフロキサシン(三水和物)
0.01%塩化ベンザルコニウム
3%塩化マグネシウム六水和物
注射用水100%まで
注射用水80gを塩化ベンザルコニウム0.01gおよび塩化マグネシウム六水和物3gと混合する。プラドフロキサシン1.5g(純粋なプラドフロキサシンとして計算;三水和物として用いる)を、この混合物に溶解する。混合物を残りの注射用水で最終重量100mlに調節し、必要に応じて、前もって水酸化ナトリウムを使用してpHを6.0にする。
【0056】
インビボの耐容性
臨床試験において、本明細書に記載の製剤は、他の製剤と比較して改善された局所的耐容性を立証された。活性物質に起因する注射部位の組織刺激および膨張の程度は、用いる製剤次第である。選択された実施例を、下表に列挙する。
【0057】
用いる試験システムは、複合試験で、開始時および36日間にわたる局所的耐容性および0−72時間の結晶動態からなる。各製剤を各場合でイヌおよびネコの2種の6匹の動物で、単回皮下注射の後に試験する。血清サンプル(n=11/動物)をそれらの物質濃度についてHPLCを利用して試験し、結果を使用して薬物動態パラメーターを算出する。局所的耐容性を、膨張、疼痛、発赤および皮膚刺激/変化のパラメーターに関して目視および触診により評価する。
【0058】
表1.選択された様々な製剤の局所的耐容性に関する臨床試験の結果
【表1】

(n):動物の数
【0059】
血清の薬物動態プロフィール
この製剤は、耐容性の差のみならず、血清の薬物動態(PK)プロフィールにも影響を与える。異なる製剤は、それらの血清濃度の時間曲線に関して顕著に異なる。急速な吸収、高いピーク濃度および長い排出期間を伴う曲線は、キノロン類に好ましい。下表は、本発明による製剤のPKプロフィールを示す。使用した試験システムは、「局所的耐容性」の部で説明した。
【0060】
表2.血清の薬物動態:結果
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロキノロン類がそれらの溶液から沈殿するのを防止するための、四級アンモニウム化合物の使用。
【請求項2】
一般式(III):
[RN] (III)
[式中、
ないしRは、同一であるかまたは異なり、C1−18−アルキルを表し、これは、1個または1個より多い酸素により中断されていることもあり、ヒドロキシルまたはアリールラジカル(1個またはそれ以上のハロゲン原子またはC1−8−アルキルラジカルにより置換されていることもある)により置換されていることもあるか、または、
ないしRは、3個のラジカルの環化の結果として、例えば、ピリジンまたはチアゾリンなどの5員または6員の複素環ラジカルを形成していてもよく、これは、C1−4−アルキルまたはC1−4−アルケニルにより一置換または多置換されていてもよく、これらに結合したアリールラジカル(これは、ハロゲン、特に塩素、アミノまたはジメチルアミノにより置換されていてもよい)を有することもあり、そして、
Xは、サルフェート、ハライド、特にクロリド、ブロミドまたはヨージド、または類似の対イオンを表す]
の四級アンモニウム化合物の、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド類、特に塩化ベンザルコニウム[(C8−18)−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド]または平均分子量約380のn−(C12−C18)−アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム(ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)、ジクロロベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド、塩化ベンゾキソニウム(ベンジルドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド)、臭化セトリモニウム(N−ヘキサデシル−N,N−トリメチルアンモニウムブロミド)、ジ−(C−C18)−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、例えば、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドまたはジ−n−デシルジメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム(1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド)およびヨウ化チアゾリン(3−ヘプチル−2−(3−ヘプチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−イリデンメチル)−4−メチルチアゾリニウムヨージド)からなる群から選択される四級アンモニウム化合物の、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、プラドフロキサシンおよびマルボフロキサシンから選択されるフルオロキノロンの溶液の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
プラドフロキサシンがその溶液から沈殿するのを防止するための、四級アンモニウム化合物の使用。
【請求項6】
エンロフロキサシンがその溶液から沈殿するのを防止するための、四級アンモニウム化合物の使用。
【請求項7】
溶解形で:
(a)フルオロキノロン、および、
(b)四級アンモニウム化合物
を含有する医薬。
【請求項8】
式(I)または(II)
【化1】

[式中、
Xは、水素、ハロゲン、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、NHを表し、
Yは、構造
【化2】

{式中、
は、ヒドロキシル−またはメトキシ−置換されていることもある直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、シクロプロピル、1個ないし3個のC原子を有するアシルを表し、
は、水素、メチル、フェニル、チエニルまたはピリジルを表し、
は、水素またはC1−4−アルキルを表し、
は、水素またはC1−4−アルキルを表し、
は、水素またはC1−4−アルキルを表す}
のラジカルを表し、そして、
は、1個ないし3個の炭素原子を有するアルキルラジカル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、メトキシ、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニルまたはメチルアミノを表し、
は、水素、または、メトキシ−もしくは2−メトキシエトキシ−置換されていることもある1個ないし6個の炭素原子を有するアルキル、および、シクロヘキシル、ベンジル、2−オキソプロピル、フェナシル、エトキシカルボニルメチル、ピバロイルオキシメチルを表し、
は、水素、メチルまたはエチルを表し、そして、
Aは、窒素、=CH−、=C(ハロゲン)−、=C(OCH)−、=C(CH)−または=C(CN)を表し、
Bは、酸素、メチル−またはフェニル−置換されていることもある=NHまたは=CHを表し、
Zは、=CH−または=N−を表す]
のフルオロキノロンを、必要に応じて医薬的に有用な塩または水和物の形態で含有する、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
二価または三価の金属陽イオンを含有する、請求項7または請求項8に記載の医薬。
【請求項10】
Mg2+を含有する、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の医薬。
【請求項11】
四級アンモニウム化合物として、一般式(III):
[RN] (III)
[式中、
ないしRは、同一であるかまたは異なり、C1−18−アルキルを表し、これは、1個または1個より多い酸素により中断されていることもあり、ヒドロキシルまたはアリールラジカル(1個またはそれ以上のハロゲン原子またはC1−8−アルキルラジカルにより置換されていることもある)により置換されていることもあるか、または、
ないしRは、3個のラジカルの環化の結果として、例えば、ピリジンまたはチアゾリンなどの5員または6員の複素環ラジカルを形成していてもよく、これは、C1−4−アルキルまたはC1−4−アルケニルにより一置換または多置換されていてもよく、これらに結合したアリールラジカル(これは、ハロゲン、特に塩素、アミノまたはジメチルアミノにより置換されていてもよい)を有することもあり、そして、
Xは、サルフェート、ハライド、特にクロリド、ブロミドまたはヨージド、または類似の対イオンを表す]
の化合物を含有する、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の医薬。
【請求項12】
四級アンモニウム化合物として、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド類、特に塩化ベンザルコニウム[(C8−18)−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド]または平均分子量約380のn−(C12−C18)−アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム(ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)、ジクロロベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド、塩化ベンゾキソニウム(ベンジルドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド)、臭化セトリモニウム(N−ヘキサデシル−N,N−トリメチルアンモニウムブロミド)、ジ−(C−C18)−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、例えば、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドまたはジ−n−デシルジメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム(1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド)およびヨウ化チアゾリン(3−ヘプチル−2−(3−ヘプチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−イリデンメチル)−4−メチルチアゾリニウムヨージド)から選択される化合物を含有する、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の医薬。
【請求項13】
フルオロキノロンとして、シプロフロキサシン、エンロフロキサシン、プラドフロキサシンまたはマルボフロキサシンを含有する、請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の医薬。
【請求項14】
エンロフロキサシンを含有する、請求項7ないし請求項13のいずれかに記載の医薬。
【請求項15】
プラドフロキサシンを含有する、請求項7ないし請求項13のいずれかに記載の医薬。
【請求項16】
鎮痛剤、特にNSAIDを追加的に含有する、請求項7ないし請求項15のいずれかに記載の医薬。

【公表番号】特表2009−529015(P2009−529015A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557622(P2008−557622)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001569
【国際公開番号】WO2008/025380
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】