説明

フルオロシチジン誘導体ための方法

【課題】中間体生成物を単離及び/又は生成をする必要がなく、全体的なコスト及び生成時間を低下させたN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の製造方法を供する。
【解決手段】式(I)の化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物は、抗腫瘍活性を有する。例えば、本明細書中に参考文献として組み入れられている、Japanese J. of Cancer Research, 1990, 81, 188-195 を参照のこと。5’−デオキシ−5−フルオロシチジン由来のこのような化合物の製造方法のひとつは、本明細書中に参考文献として組み入れられている、特許公開公報第153,696/1989号に記載されている。しかしながら、処理の長さにより、当該処理は大規模化学処理には受け入れられない。
【0003】
4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を製造するためのひとつの慣習的な化学的方法は、中間体としての5’−デオキシ−5−フルオロ−N4,2’、3’−トリアシルシチジンの合成に関する。例えば、本明細書中に参考文献として組み入れられている、1995年9月26日に発行された、米国特許第5,453,497号を参照のこと。当該方法は、最終化合物を生成するために、2’−及び3’位におけるヒドロキシ基の選択的な脱アシル化を必要とする。当該方法は、別の方法(例えば、本明細書中に参考文献として組み入れられている、1995年12月19日に発行された、米国特許第5,476,932号を参照のこと)と一緒に、商業規模における抗腫瘍剤を生産するために現在使用されている。しかしながら、これらの方法は、大量の発癌性ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン)、及びカップリング触媒として塩化スズ(IV)を必要とする。
【0004】
スズの廃棄は、環境に優しくなく、しかも特別な廃棄手順を必要とし、これにより薬物製造において全体的なコストが増大する。更に、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の慣習的な商業的製造方法は、中間体生成物の単離を必要とし、これにより更に全体的な製造時間及びコストが増大する。
【0005】
本明細書中に参考文献として組み入れられている、日本特許番号第60038395号、及び第60038396号は、酢酸/HF又はトリフルオロ酢酸溶液中におけるシチジン及び5’−デオキシシチジンのフッ素添加を介するN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジンの製造方法を改善することを考察する。しかしながら、当該方法は、環境的に適した脱硫化のための大量のラネーニッケル(他の重金属)を必要とし、低収率の5’−デオキシシチジンをもたらす。
【0006】
本明細書中に参考文献として組み入れられている、Chem. Pharm. Bull. (Tokyo) 352 (1964) は、β−アセチルフラノシドのための少量の塩基性カップリングパートナーを使用することによるより有効なカップリング方法を供するために、カップリング工程前の5−フルオロシチジンのアシル化の方法を考察する。残念ながらカップリング及びアシル化工程の順番の変更は、より多量のα−アノマー構造を与え、これは反応条件下においてβ−アノマーよりも乏しい安定性を示す。
【0007】
いくつかの慣習的な方法における重金属の使用に加えて、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を生成するための慣習的な商業的方法において、他の不利益が存在する。例えば、いくつかの慣習的な方法は、多くの反応における溶媒として比較的多量の塩化メチレンを使用する。ハロゲン化溶媒、例えば、塩化メチレンは、特別な廃棄処理を必要とし、従って、全体的な製造コストの増加に起因する。更に、ハロゲン化溶媒は、大抵の非ハロゲン化溶媒よりも非常に高い健康上のリスクを労働者に与える。
【0008】
慣習的な方法の他の不利益は、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の全体的な収率が約62%しかないことである。全体的な収率における有意な改善は、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を製造するための全体的なコストを非常に低下するだろう。
【0009】
このように、重金属型触媒の使用を必要としない、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の製造方法の必要性が存在する。また、有意に少量のハロゲン化溶媒、例えば、塩化メチレンを使用する、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の製造方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明のある観点は、式:
【化1】

であって、式中、R2が、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシである、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を供する。
【0011】
ある特定の態様において、上記方法は、
(a)第一シリル化化合物を生成するために十分な条件下における酸触媒の存在中、式:
【化2】

の5−フルオロシトシンを第一シリル化剤と混合する工程;
(b)カップリング生成物を生成するために十分な条件下において、第一シリル化化合物を、式:
【化3】

のβ−2,3−二保護−5−デオキシフラノシドと混合する工程;
(c)第二シリル化生成物を生成するために、上記カップリング生成物を、第二シリル化剤と混合する工程;
(d)アシル化生成物を生成するために、上記第二シリル化生成物を、式
【化4】

のアシル化剤でアシル化する工程;及び、(e)式Iであって、式中、
Xがアシル活性化基であり;
Yが脱離基であり;
2が、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシであり;そして、
3がヒドロキシ保護基である、
4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を生成するために十分な条件下において、共有結合したシリル部分、及びヒドロキシ保護基のR3を選択的に除去する工程、
を含んで成る。
【0012】
式IIの5−フルオロシトシンは、1つ以上のシリル化のための反応部位を有する。従って、上記の最初のシリル化化合物は、位置選択的に異なるシリル化化合物の混合物を含んでよい。同様に、第二シリル化生成物もまた、1つ以上の可能な反応部位を含んで成り、従って位置選択的に異なるシリル化生成物の混合物を含んで成ってよい。
【0013】
好ましくは、本発明の方法は、上記工程(b)においてカップリング生成物を生成するために、重金属型触媒、例えば、塩化スズ(IV)を使用することを回避する。
【0014】
本発明の他の態様において、ハロゲン化溶媒、例えば、塩化メチレンの代わりにアセトニトリルが上述の多くの工程における反応溶媒として使用され、これにより環境に優しい方法をもたらす。好ましくは、本発明の方法に使用される反応溶媒は、ハロゲン化溶媒、例えば、塩化メチレンを含まない。
【0015】
本発明の方法の他の利点は、慣習的な方法に対するN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の全体的な収率の有意な増加である。全体的な収率のこの増加は、更には全体的な製造コストの低下につながる。
【0016】
本発明の更に他の態様において、上記反応の中間物は、単離及び/又は精製されない。しかしながら、所望する場合には、1又は複数の中間体の単離及び/又は精製工程を行うことができることを理解すべきである。しかしながら、中間体生成物を単離及び/又は精製するための必要性はなく、全体的なコスト及び製造時間は更に有意に低下される。
【0017】
本発明の他の観点は、式:
【化5】

であって、式中、R1がヒドロキシ保護基であり;Zがトリ(ヒドロカルビル)シリル基であり;R2がアルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシである、化合物を供する。
【0018】
他に言及しない限り、本明細書及び請求項において使用される以下の語は、以下に与えられる意味を有する:
【0019】
「アシル」は、式−C(=O)−R2の部分を意味し、式中R2は、本明細書中で定義されるとおりのヒドロカルビルである。
【0020】
「アシル活性化基」は、対応するエステル官能基よりも優位に反応性であるアシル基のエステル化を起こす部分を意味する。代表的なアシル活性化基は、無水物(即ち、R−C(=O)−O−)の部分)、ハロゲン化物、チオエステル等を含む。アシル活性化基を含むカルボニル化合物は、無水物、又はアシルハロゲン化剤の使用を含む当業者に既知の方法を使用して、対応するカルボン酸又はエステルから容易に調製することができる。代表的なアシルハロゲン化剤、及び同じものを使用するための一般的な手順は、例えば、本明細書中に参考文献として組み入れられている、Comprehensive Organic Synthesis, vol. 6, Trost, Fleming and Winerfeldt eds. , Pergamon Press, 1991, pp. 301-319, 及び The Chemistry of Acyl Halides, Patai, ed. , Interscience Publishers, 1972, pp. 35-64 に開示されている。
【0021】
「アルキル」は、1〜22個の、好ましくは1〜10個の、そして最も好ましくは1〜8個の炭素原子の直鎖状の飽和した一価の炭化水素部分、又は3〜22個の、好ましくは3〜12個の炭素原子の分岐鎖の不飽和の一価の炭化水素部分を意味する。アルキル基は、任意的に、1又は複数のハロゲン化物で置換されていてよい。代表的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル等を含む。
【0022】
「アルキレン」は、1〜22個の、好ましくは1〜10個の、そして最も好ましくは1〜8個の炭素原子の直鎖状の飽和した二価の炭化水素部分、又は3〜22個の、好ましくは3〜12個の炭素原子の分岐鎖の不飽和の二価の炭化水素部分を意味する。アルキレン基は、任意的に、1又は複数のハロゲン化物で置換されていてよい。代表的なアルキレン基は、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を含む。
【0023】
「アルコキシ」は、式−ORaの部分を意味し、式中、Raは、本明細書に定義したとおりのアルキルである。
【0024】
「アリール」は、一価の単環、二環、又は三環式芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、任意的に1又は複数の、好ましくは1つ、2つ、又は3つの置換基で置換されていてよい。好ましいアリール置換基は、アルキル、任意的に保護されたヒドロキシ(アルコキシ及びアシルとして知られる基を含む)、ハロ、ニトロ、及びシアノを含む。代表的なアリール基は、任意的に置換されたフェニル、任意的に置換されたナフチル、及び任意的に置換されたアントラシルを含む。好ましいアリール基は、任意的に置換されたフェニルである。
【0025】
「アラルキル」は、式Rb−Rc−の部分を意味し、本明細書において定義されるとおり、式中Rbはアリールであり、そしてRcはアルキレンである。
【0026】
「シクロアルキル」は、非芳香族、好ましくは3〜22個の、より好ましくは3〜12個の炭素原子の、好ましくは飽和した、一価の環式炭化水素部分を意味する。シクロアルキルは、任意的に、1又は複数の、好ましくは1つ、2つ、又は3つの置換基で置換されていてよい。好ましいシクロアルキル置換基は、アリール基の好ましい置換基に関して本明細書中に記載されるものである。代表的なシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含み、それぞれ任意的に置換されていてよい。
【0027】
「シクロアルキルアルキル」は、式Rd−Re−の部分を意味し、本明細書において定義されるとおり、式中Rdはシクロアルキルであり、そしてReはアルキレンである。
【0028】
「ハロ」及び「ハロゲン化物」の語は、互換的に本明細書中に使用され。そしてフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。好ましいハロゲン化物は、フルオロ及びクロロであり、フルオロが特に好ましいハロゲン化物である。
【0029】
「ヒドロカルビル」は、炭化水素部分を意味し、そして本明細書に具体的に定義されたアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキルを含む。
【0030】
「脱離基」は、合成有機化学において慣習的に可憐する意味を有し、即ち、求核試薬により置換されることができる原子又は基である。特定の反応に適当な脱離基は、当業者に周知であり、そしてハロ(例えば、クロロ、ブロモ、及びヨード)、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば、2,4−ジニトロフェノキシ)等を含む。
【0031】
「保護基」は、官能基に付着、例えば、共有結合する場合、当該官能基の反応性を減少させ又は防止する原子群を意味する。与えられた反応のための特定の官能基のための適当な保護基は当業者に周知である。例えば、本明細書に参考文献として組み入れられている、Protective Groupsin Organic Synthesis, 3rd edition, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, John Wiley & Sons, New York, 1999, 及び Compendium of Synthetic Organic Methods, Harrison and Harrison et al. , Vols. 1-8, John Wiley and Sons, 1971-1996を参照のこと。代表的なアミノ保護基は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチル及び置換されたトリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)等を含む。代表的なヒドロキシ保護基は、ヒドロキシ基が、アシル化、又はアルキル化されるものを含む。代表的なヒドロキシ保護基は、ベンジル、及びトリチルエーテル、並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル、アリルエーテル、及び当業者に既知の他のものを含む。
【0032】
「トリ(ヒドロカルビル)シリル」は、式−SiRf3の部分を意味し、式中各Rfは、独立にヒドロカルビルである。好ましくは、各Rfは、独立にアルキル又はアリールから選択され、あるいは2つの各Rf基は、一緒に、二価のシクロアルキレン部分(例えば、へキシレン、及びブチレン、シラシクロヘプタン又はシラシクロペンタン誘導体として慣習的に称される)を形成する。
【0033】
化学反応に関する場合の「処理する」、「接触させる」、「混合する」、及び「反応させる」の語は、本明細書において互換的に使用され、そして意図される及び/又は所望される生成物を生成するために、適当な条件下で2つ又はそれ以上の試薬を添加又は混合することを意味する。意図される及び/又は所望される生成物を生成する反応は、最初に添加された2つの試薬の組み合わせから直接的に生じる必要はないことを認識するべきである。即ち、最終的に意図される及び/又は所望される生成物に導く、混合物中に生成される1又は複数の中間体が存在してもよい。
【0034】
本明細書において使用されるとおり、「上述に定義されるもの」、及び「本明細書に定義されるもの」の語は、可変的な広い定義、又は好ましい、より好ましい、そして最も好ましい定義の参照により組み入れることを意味する。
【0035】
本発明のある観点は、式:
【化6】

であって、式中、Rが、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシである、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を製造する方法を供する。式Iの化合物は、多様な疾患、例えば、一定の種類の癌の治療において医薬的に有用である。このように、式IのN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を製造するための有効な且つ高収率の方法において商業的に極めて注目される。
【0036】
本発明は、例えば、1又は複数の、好ましくは全ての中間体生成物の単離及び/又は精製を除外することにより、慣習的な方法と比較して収率を有意に増加し、及び/又は全体的な時間及び/又はコストを低下させる、式IのN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の製造方法を供する。更に、本発明の方法は、しばしば有害な重金属の使用を避け、そしてハロゲン化反応溶媒、例えば、塩化メチレンを有意に減少又は除外する。従って、本発明の方法は、慣習的な商業的方法と比較して、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の全体的な製造コストを低下させ、そしてより環境に優しい。
【0037】
式IのN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を製造するための本発明のある観点は、トリ(ヒドロカルビル)シリル基(即ち、シリル基)、Z、及びヒドロキシ保護基、Rを、式:
【化7】

の化合物、又はこれらの混合物(「シリル−アシルフルオロシチジン」として本明細書に集団的及び/又は個別的に称される)から選択的に除去することを含んで成り、ここでR2は、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシである。好ましくはR2は、アルコキシであり、ペントキシが特に好ましいR2部分である。
【0038】
好ましくは、Zは、トリ(アルキル)シリル基である。特に好ましいトリ(アルキル)シリル基は、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)等を含み、TMSが特に好ましいZ部分である。
【0039】
好ましいR1基は、アシルである。特に好ましいR1基は、アセチル(即ち、式−C(=O)−CH3の部分)である。
【0040】
好ましくは、シリル基の除去は、炭酸水素ナトリウム、及び水を添加することにより達成される。式A−I〜A−IVのシリル−アシルフルオロシチジン、又はこれらの混合物(式Aとして本明細書に集団的及び/又は個別的に称される)は、カップリング触媒を使用して適当なフルオロシトシン部分とフラノシドをカップリングすること、それから生じたカップリングされた生成物をシリル化し、そしてアシル化することにより、一般的に生成される。下記を参照のこと。炭酸水素ナトリウムと水の添加の急冷及び洗浄工程は、典型的には、少なくとも部分的に、実質的に全ての触媒、及びその残渣、並びに反応混合物中に存在しうる他の不純物を除去する。利用される反応条件に依存して、シリル基、及びヒドロキシ保護基は、同じ反応条件下において、即ち一つの容器において、又は段階的な手段により除去されることができる。
【0041】
一般的に、R1がアセチル部分である場合、シリル基の大部分は炭酸水素ナトリウムの添加により除去される。しかしながら、存在するとしても比較的少量のみのヒドロキシ保護基が炭酸水素ナトリウムにより除去される。典型的には、ヒドロキシ保護基を有効に除去するために、炭酸水素ナトリウムよりも相対的に強い塩基が使用される。ヒドロキシ保護基を除去するための適当な塩基は、約pH12〜約pH20の共益酸のpKaを有する塩基、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、及び希土類金属のオキシド及びヒドロキシドを含む。典型的には、ヒドロキシド塩基、例えば、ナトリウムヒドロキシドは、アシルヒドロキシ保護基、例えば、アセチル基を除去するために使用される。
【0042】
多様な溶媒が加水分解工程において適当であるが、トルエン及びメタノールを含んで成る反応溶媒混合物が特に有用である。特に、相間移動試薬として作用すると信じられる、メタノールの存在下におけるトルエンと水性塩基性溶液(例えば、水酸化ナトリウム)の二相系が、本発明の方法において特に有用である。二相反応混合物の利点のひとつは、きれいで有効な加水分解を供することである。更に、塩(例えば、ナトリウム塩)として存在する実質的に全ての加水分解基質が水層中に分離し、一方大半の他の有機不純物はトルエン層に残存するようである。当該手段における2つの溶媒相の分離において、大半でない場合、初期の変換(即ち、反応)から存在する大部分の不純物は、トルエン層に残存し、そして所望の生成物から分離される。これにより、当該工程において使用される溶媒の選択は水層から有機層を単純に分離することにより所望の生成物の簡単な精製を許容する。
【0043】
典型的には、加水分解のための反応混合物を約0℃に冷却し、そして水酸化ナトリウムの水溶液を添加する。当該反応混合物を約30分間、又は加水分解が実質的に完了するまで撹拌する。それから当該水層を更に水で抽出する。それから当該水層を併せ、そして約3〜約7のpH、好ましくは約4〜約6のpH、そしてより好ましくは約5〜約5.5のpHに酸性化する。それから式Iの化合物を、水層から塩化メチレンで抽出する。
【0044】
式Iの化合物は、当業者に既知のいずれかの精製方法、例えば、クロマトグラフィー、結晶化、及び昇華等を使用して精製することができる。大規模製造のために、結晶化が式Iの化合物の精製の好ましい方法である。このような精製方法は、典型的には、再結晶溶媒として酢酸エチルとn−ヘプタン混合物を使用することにより達成される。好ましくは、酢酸エチルとn−ヘプタンの割合は、約50:50〜60:40であり、約55:45が好ましい割合である。結晶化工程の間、当該混合物中の含水量は、好ましくは約0.3%以下に保たれる。比較的高い含水量(例えば、約0.3%、又はそれ以上)は、低い単離収率及び/又は有色(例えば、黄色)の生成物をもたらす。従って、結晶化工程における当該含水量は、約0.5%以下、好ましくは約0.3%以下であることが好ましい。
【0045】
シリル−アシルフルオロシチジンは、当業者に既知の多様な合成法により調製することができる。本発明のある態様において、シリル−アシルフルオロシチジンはシリル−アシルフルオロシチジンを生成するために十分な条件下において、式:
【化8】

の化合物、又はこれらの混合物(式Bの化合物として、以下の本明細書において一般的に称されるもののそれぞれ又は組み合わせ)をシリル化剤と反応させ、続いて式:
【化9】

のアシル化剤と反応させることにより生成することができ、ここでR1、R2、及びZは、本明細書に定義されたものであり、そしてXは、アシル活性化基である。好ましくは式Bの化合物は、式B−II、B−III 、又はこれらの混合物を含んで成る。シリル化とアシル化の順番は、シリル化剤とアシル化剤の反応性に依存して逆にしてもよいが;しかしながら、アシル化剤を添加する前にシリル化剤を添加することが好ましい。
【0046】
好ましくは、Xは無水物(即ち、式R−C(=O)−O−であって、式中Rがヒドロカルビルである)、又はハロゲン化物である。特に好ましいアシル活性化基は、ハロゲン化物であり、塩化物が特に好ましいアシル活性化基である。
【0047】
アシル化反応の工程は、典型的には、反応混合物を約0℃〜約10℃の範囲における室温に冷却する工程を含んで成る。具体的な態様において、n−ペンチルクロロホルマートがアシル化剤として、そしてアセトニトリルが反応溶媒として使用される。好ましくは弱塩基、例えば、ピリジンが促進剤及び/又は酸捕捉剤として、当該反応混合物に添加される。
【0048】
当業者に既知な入手可能な適当なシリル化剤が多く存在するが、式Bの化合物からシリル−アシルフルオロシチジンを生成するための好ましいシリル化剤は、ヘキサメチルジシラザンである。典型的には、シリル−アシルフルオロシチジンに添加されるシリル化剤の量は、5−フルオロシトシン化合物に使用される量に関して約0.35モル当量〜約0.45モル当量である。
【0049】
多様な溶媒が式Bの化合物からのシリル−アシルフルオロシチジンの調製に適当であるが、アセトニトリルが特に有用な溶媒である。反応溶媒としてアセトニトリルを使用することにより、本発明の方法は、ハロゲン化反応溶媒、例えば、塩化メチレンの使用を避けることができる。
【0050】
いずれかの理論に結びつけることなく、シリル化剤の式Bの化合物の添加は、式Bの化合物を生成するために使用される方法由来の混合物中に存在しうる試薬及び/又は副生物(例えば、カップリング触媒及び/又は酢酸)を「失活」させ、又は非活性化させる。以下を参照のこと。
【0051】
式Bの化合物は、多様な合成方法により調製することができる。本発明のある特定な観点において、式Bの化合物は、第一シリル化化合物を生成するために十分な条件下において酸触媒の存在中、式:
【化10】

の5−フルオロシトシンを第一シリル化剤でシリル化することにより調製される。適当な第一シリル化剤は当業者に周知である。ある具体的な態様において、当該第一シリル化剤はヘキサメチルジシラザンである。
【0052】
慣習的な方法において、5−フルオロシトシンの量に対して約0.75モル当量の第一シリル化剤が使用される。しかしながら、このような量の使用はカップリング生成物の所望のアノマー(即ち、β−アノマー)の全体的に乏しい収率をもたらす。以下を参照のこと。従って、本発明の方法における5−フルオロシトシンのシリル化において使用される第一シリル化剤の量は、5−フルオロシトシンの約0.60モル当量〜約0.70モル当量である。特に好ましい第一シリル化剤の量は5−フルオロシトシンの約0.65モル当量である。比較的多量(例えば、約0.75モル当量又はそれ以上)の第一シリル化剤がシリル化に使用される場合に、所望されない異性体が増加することの発見に追加して、比較的少量(例えば、約0.6モル当量又はそれ以下)の第一シリル化剤の使用は、続く5−フルオロシトシンとのカップリング反応において不完全及び/又は遅いカップリング反応をもたらす。以下を参照のこと。
【0053】
式Iの化合物の時折のシリル化は、非ハロゲン化反応溶媒中に試薬を溶解させることを含んで成り、好ましくはアセトニトリルを含んで成る。それから当該反応混合物を還流温度で第一シリル化剤及び酸触媒の存在下において加熱する。適当なシリル化触媒は当業者に既知である。しかしながら好ましいシリル化触媒は、トリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)であり、これは5−フルオロシトシンの量に対して約0.01〜約0.3モル%の範囲、より好ましくは約0.1モル%の量において使用される。
【0054】
本発明のある態様において、第一シリル化化合物は精製されず、次の工程に直接使用される。いくつかの例において、当該第一シリル化化合物は、続く反応に干渉しうる試薬及び/又は反応副生物を失活及び/又は除去するために、ワークアッププロセスにかけられる。典型的には、蒸発又は真空蒸留を介して、第一シリル化工程中に形成されうる実質的に全てのアンモニア化合物が除去される。いずれかの理論に結びつけることなく、第一シリル化反応のアンモニア化合物副生物の除去は、次のカップリング反応中のアンモニウムトリフレートの形成を回避すると考えられる。また、当該第一シリル化反応は、式:
【化11】

であって、式中各Rが独立にヒドロカルビルである、シリル化化合物の混合物の形成をもたらすと考えられる。
【0055】
本発明のある特定の態様において、当該シリル化化合物は、いずれかのワークアップ、単離、及び/又は精製をすることなく、式:
【化12】

の2,3−二保護−5−デオキシフラノシド(好ましくは、β−アノマー)とカップリングする。β−アノマーが好ましいが、式III の2,3−二保護−5−デオキシフラノシドは、α−アノマー、β−アノマー、又はこれらの混合物であってよい。上記式III の2,3−二保護−5−デオキシフラノシドにおいて、Yは脱離基であり;そしてR3はヒドロキシ保護基、好ましくはアセチル基(即ち、式−C(=O)−CH3の部分)である。好ましくは当該カップリング工程は、約2%以下のα−アノマーカップリング生成物の形成をもたらす。
【0056】
上記カップリング工程は、典型的に、カップリング触媒、及び、式III の2,3−二保護−5−デオキシフラノシドを第一シリル化反応生成物に添加することを含んで成る。適当なカップリング触媒は、ルイス酸、例えば、トリメチルシリルトリフレート(TMSOTf)、塩化スズ、塩化第二鉄、塩化セシウム、ヨウ化トリメチルシリル(TMSI)、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、(TMSO)2SO2、TMSOSO2Cl、塩化ジメチルスズ(IV)、四塩化チタン、及びトリフルオロメタンスルホン酸を含む。所望のカップリング生成物の高い収率及び純度のために、好ましいカップリング触媒はトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0057】
一般的に、使用されるカップリング触媒の量は、5−フルオロシトシンの約0.35モル当量〜約0.65モル当量の範囲であり、約0.60モル当量が好ましい。上記カップリング反応において、第一シリル化生成物の粗混合物は、約45℃〜約55℃、好ましくは約50℃の範囲の温度に冷却し、そして式III の2,3−二保護−5−デオキシフラノシドが追加的なアセトニトリルと一緒に反応混合物に添加される。
【0058】
反応温度を制御するために、カップリング触媒(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸)を冷却しながら反応混合物に添加する。典型的には、カップリング触媒の添加後、反応混合物の温度を約50℃に上昇し、そして約14〜24時間保つ。それから当該反応混合物を約20℃に冷却し、そして次の工程を行う。好ましくは粗反応混合物は、単離又は精製することなく次の工程で用いた。
【0059】
慣習的な方法と異なり、本発明の方法は、カップリング反応において、溶媒として塩化メチレン、及び塩化スズ(IV)触媒の使用を除く。スズ(IV)触媒の使用を避けることにより、本発明の方法はしばしば困難であり及び/又は時間を消費するスズ触媒のろ過工程を除外する。慣習的な方法と比較して、使用されるシリル化剤、例えば、ヘキサメチルジシラザンの全体的な量は、本発明の方法においてより多いが、カップリング工程において使用されるヘキサメチルジシラザンの量は、慣習的な方法と比較して本発明の方法においてより少量であり、例えば、使用される5−フルオロシトシンの量に対して0.75モル当量対0.65モル当量のヘキサメチルジシラザンである。
【0060】
慣習的な方法と比較して本発明の方法には多くの利点、例えば、高収率、生成物の単離の容易性が存在する。しかしながら更に、本発明の方法は所望されないα−アノマーカップリング生成物の量を有意に低下する。更に、慣習的な方法と比較して本発明の方法は、使用される環境的に問題の化学物質の数、反応に必要な時間の長さを減少し、そしてより高収率の式Iの化合物をもたらす。例えば、本発明の方法は、塩化スズ(IV)触媒の使用を除外し、触媒ろ過工程を除外し、使用される塩化メチレンの量を減少し、中間体の単離の必要性を減少又は除外し、そして式Iの化合物の68〜85%の全体的な収率をもたらし、これは慣習的な商業的方法における62%の全体的な収率よりも有意に高い。
【0061】
本発明の他の更なる対象、利点、及び新規な特性は、制限することなく例示的に示される以下の実施例の検討において当業者に明確となるだろう。
【実施例】
【0062】
当該実施例は、5−フルオロシトシンからのN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジンの製造方法を説明する。
【0063】
窒素入口、自動撹拌器、ボトムバルブ、還流冷却器、及びサーモカプラーを備えた4Lの反応容器に、200gの5−フルオロシトシン、162gのヘキサメチルジシラザン、400gのアセトニトリル、及び138μLのトリフルオロメタンスルホン酸を添加する。当該反応混合物を還流温度で2時間加熱し、それから約20℃に冷却する。生じる反応混合物に431gのβ−アセチルフラノシド、400gのアセトニトリル、及び140gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加し、その間55℃以下の温度に保つ。当該反応混合物を50℃±5℃に約14時間加熱し、それから20℃に冷却する。約100gのヘキサメチルジシラザンを添加し、そして123gのピリジンを添加後に混合物を5℃に冷却し、そして10℃以下の温度に保ちながら303gのn−ペンチルクロロホルマートを添加する前に再びバッチを5℃に冷却する。生じる反応混合物を30分間撹拌し、それから約20℃に2時間置く。それから当該反応混合物を0〜5℃に冷却し、そして約260gの炭酸水素ナトリウムを添加し、続いて10℃以下の温度に保ちながら600gの水を30〜60分間に渡り添加する。生じる混合物を30〜60分間撹拌し、そして安定させる。
【0064】
所望の中間体を含む有機層を分離し、十分量の水で洗浄し、実質的に全てのトリフレート塩を除去し、そして濃縮する。生じる残渣を約1400mLのトルエンで希釈し、そして約1000mLの1%塩酸を添加する前に約5℃に冷却する。当該混合物を撹拌し、それから安定させ、そして水層を除去する。当該撹拌及び水層の分離工程を1000mLの飽和水性炭酸水素ナトリウムで1度、そして1000mLの水で2度繰り返す。それから約200mL〜600mLのメタノールを有機層に添加し、そして5℃以下の温度に保ちながら約310gの水酸化ナトリウム水溶液(15%)を添加する前に当該混合物を0℃以下に冷却する。生じる混合物を30分間撹拌し、それから安定させる。当該水層を分離し、そして当該有機層を約300mLの水で抽出する。当該水層を併せ、そして約5℃に冷却する。
【0065】
上記水層のpHを約4〜5.9、典型的には約5.25のpHに調節する。それから当該水層を1又は複数のポーションの塩化メチレンで抽出する。当該有機層を併せ、水で洗浄し、ろ過し、そして約35℃以下の温度に維持しながら真空下で濃縮する。
【0066】
上記残渣を約3200mLの酢酸エチルで希釈し、そして真空下で再度濃縮する。〜1600mLの酢酸エチルを除去する場合には、カールフィッシャー分析を行う。水レベルが>0.3%である場合、更に1600mLの酢酸エチルを添加し、そして水レベルが<0.3%に達するまで当該工程を繰り返す。水レベルが<0.3%である場合、1150mLのn−ヘプタンを添加し、約1600mLの容量に濃縮する。当該溶媒組成物を分析し、そして必要であれば、酢酸エチル:n−ヘプタンの割合が55:45容量:容量となるようにn−ヘプタンを添加する。当該生成物を冷却し、そして混合物の温度を約10℃で少なくとも1時間維持することにより結晶化させる。生じる固形物をろ過し、約400mLの冷(0〜5℃)酢酸エチル、及び400mLのn−ヘプタンで洗浄し、そして真空下で乾燥させる。収率:68〜85%。
【0067】
本発明の先の考察は例示及び説明の目的のために行われてきた。先の記述は本発明を本明細書に開示される形態に制限することを意図しない。本発明の記載は1又は複数の態様の記載、並びに一定の種類及び修飾を含むが、他の種類及び修飾も本発明の範囲内であり、例えば、本開示を理解した後に当業者の技術及び知識の範囲内となろう。別の、互換的な、及び/又は等価な構造、機能、範囲、又は工程が本明細書中に記載されているか否かにかかわらず、そしていかなる特許性を有する主題が公に供されることがなくとも、許される範囲内で、請求項に記載される別の、互換的な、及び/又は等価な構造、機能、範囲、又は工程を含む別の態様を含む権利を得ることが意図される。本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的のために本明細書中に参考文献として組み入れられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の、N4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の製造方法であって、当該方法が:
(a)第一シリル化化合物を生成するために十分な条件下において、酸触媒の存在中、式:
【化2】

の5−フルオロシトシンを第一シリル化剤と混合する工程;
(b)カップリング生成物を生成するために十分な条件下において、上記シリル化化合物を、式:
【化3】

のβ−2,3−二保護−5−デオキシフラノシドと混合する工程;
(c)第二シリル化生成物を生成するために、上記カップリング生成物を、第二シリル化剤と混合する工程;
(d)アシル化生成物を生成するために、上記第二シリル化生成物を、式
【化4】

のアシル化剤でアシル化する工程;及び、
(e)式Iであって、式中、
Xがアシル活性化基であり;
Yが脱離基であり;
2が、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシであり;そして、
3がヒドロキシ保護基である、
4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を生成するために十分な条件下において、共有結合したシリル部分、及びヒドロキシ保護基のR3を選択的に除去する工程、
を含んで成る方法。
【請求項2】
前記第一シリル化剤がヘキサメチルジシラザンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(a)において使用される第一シリル化剤の量が、5−フルオロシトシンの量に対して約0.60モル当量〜約0.70モル当量の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(a)において使用される第一シリル化剤の量が、5−フルオロシトシンの量に対して約0.65モル当量である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カップリング工程(b)が、約2%又はそれ以下のα−アノマーカップリング生成物の形成をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸触媒が、トリフルオロメタンスルホン酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング工程(b)において使用される酸触媒の量が、5−フルオロシトシンの量に対して約0.35モル当量〜約0.65モル当量の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
カップリング生成物を生成する前記工程(b)の反応温度範囲が、約45℃〜約55℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カップリング生成物を生成する前記工程(b)の反応温度が、約50℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(c)の第二シリル化剤が、ヘキサメチルジシラザンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(c)において使用される第二シリル化剤の量が、5−フルオロシトシンの量に対して約0.35モル当量〜約0.45モル当量の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記式中、R3がアセチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ヒドロキシ保護基の選択的な除去の前記工程(e)が、式IのN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を生成するために十分な条件下において、第二シリル化生成物と塩基を混合することを含んで成る、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記塩基が、アルコキシド又はヒドロキシドである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式III の2,3−二保護−5−デオキシフラノシドがβ−アノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
式:
【化5】

の化合物であって、式中、
1がヒドロキシ保護基であり;
Zがトリ(ヒドロカルビル)シリル基であり;そして、
2が、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシである、化合物。
【請求項17】
前記式中、R1がアセチルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記式中、Zがトリメチルシリルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記式中、R2が、アルコキシである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記式中、R2が、ペントキシである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式:
【化6】

のN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を製造するための方法であって、式Iであり、式中R2が請求項16に定義されたとおりのN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を生成するために、トリアルキルシリル基のZ、及びヒドロキシ保護基のR1を選択的に除去するために十分な条件下において、請求項16の少なくとも1つの化合物と塩基を混合することを含んで成る、方法。
【請求項22】
式:
【化7】

のN4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物の製造方法であって:
(a)式:
【化8】

の5−フルオロシチジン化合物又はこれらの混合物を含んで成る反応混合物と、シリル化剤、及び式:
【化9】

のアシル化剤を、式:
【化10】

のシリル化及びアシル化化合物、又はこれらの混合物を生成するために十分な条件下において、継続的に混合する工程;及び、
(b)式Iであって、
式中、
1がヒドロキシ保護基であり;
2が、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、又はアルコキシであり;
Xがアシル活性化基であり;そして、
Zがトリ(ヒドロカルビル)シリル基である、
4−アシル−5’−デオキシ−5−フルオロシチジン化合物を生成するために十分な条件下において、上記シリル化及びアシル化化合物からシリル基及びヒドロキシ保護基を選択的に除去する工程、
を含んで成る、方法。
【請求項23】
前記シリル化剤が、ヘキサメチルジシラザンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記工程(a)において使用されるシリル化剤の量が、5−フルオロシトシン化合物の量に対して約0.35モル当量〜約0.45モル当量の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記式中、R2がペントキシである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、反応溶媒としてアセトニトリルを含んで成る、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
シリル基及びヒドロキシ保護基を除去する前記工程が、溶媒としてトルエンを含んで成る、請求項22に記載の方法。

【公開番号】特開2012−97095(P2012−97095A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−268253(P2011−268253)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2006−545995(P2006−545995)の分割
【原出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】