説明

フルオロプロペン化合物及び組成物並びにそれを用いる方法

発泡剤などの種々の用途における、他のフルオロアルケン、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ギ酸メチル、ギ酸、水、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、及びこれらの任意の2種類以上の組合せなどの1種類以上の他の成分と組み合わせた、エタンより小さいMIR値を有するフッ素化オレフィンの種々の使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2009年10月1日付けで出願された米国仮特許出願番号第61/247,816号、及び2010年9月24日付けで出願された米国出願番号第12/890,143号(これらの内容は参照により本明細書中に援用する)に対する優先権を主張する。
【0002】
[0002]米国に国内段階移行する目的のみで、以下の更なる優先権の主張を行う。また、本出願は、本明細書中に完全に示されているかのごとく参照により本明細書中に援用する、2009年1月10日付けで出願され現在係属している米国出願番号第12/351,807号の一部継続出願としての優先権の利益も請求する。また、本出願は、以下の米国特許出願:2003年10月27日付けで出願された米国出願番号第10/694,273号(現在は米国特許第7,534,366号);2003年10月27日付けで出願され現在放棄されている第10/695,212号の継続出願であり、2006年3月20日付けで出願され現在係属している第11/385,259号;2003年10月27日付けで出願された第10/694,272号(現在は米国特許第7,230,146号);2004年4月29日付けで出願された第10/837,525号(現在は米国特許第7,279,451号)の分割であり、2007年8月29日付けで出願された第10/847,192号(現在は米国特許第7,046,871号);2006年6月26日付けで出願され現在係属している第11/475,605号;及び、2007年11月25日付けで出願された米国仮出願第60/989,997号及び2006年6月26日付けで出願され現在係属している米国出願第11/474,887号及び2007年3月21日付けで出願されたPCT出願第PCT/US07/64570号の利益を請求し、2008年11月21日付けで出願され現在係属している第12/276,137号;のそれぞれの一部継続出願としての利益も請求し、かつ参照により援用する。
【0003】
[0003]本発明は、特に、冷却システムなどの熱伝達システム、発泡剤、発泡性組成物、フォーム、及び、フォームにより又はフォームから作られる物品、溶媒、エアゾール、噴射剤、並びに洗浄組成物をはじめとする数多くの用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関する。好ましい側面においては、本発明は、少なくとも4つのハロゲン置換基を有する少なくとも1種類のハロゲン置換プロペン化合物を含むそのような組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]フルオロカーボンをベースとする流体は、空調システム、ヒートポンプシステム、及び冷却システムなどのシステムにおける作動流体として、エアゾール噴射剤として、発泡剤として、熱伝達媒体として、溶媒及び洗浄剤として、そして、気体状誘電体としてなどの、多くの商業的及び工業的用途において幅広く使用されている。しかしながら、これまで使用されてきた材料の多くには環境上の問題が付随していた。1つのかかる問題は、これらの用途においてこれまで用いられてきた幾つかの組成物の使用に付随する比較的高い地球温暖化係数である。他の問題は、これまで用いられてきた材料の多くは許容できないほど高いオゾン層破壊係数を有することである。
【0005】
[0005]多くのこれまで用いられてきた化合物に付随する他の問題は、かかる化合物は揮発性の有機化合物又はVOCであるとみなされることである。特に溶媒和及び洗浄用途などの上述の用途の多くにおいては、使用前、使用中、及び/又は使用後において化合物の一部が実質的に地表面において大気中に放出される可能性があるという少なくとも潜在的な可能性がある。より上方の大気中においては、成層圏オゾンとしても知られるオゾンの存在は、UV光を吸収し、有害な紫外照射線から地球を保護するのに役立つことができる。他方において、地表面のオゾン又は対流圏オゾンは、人間の健康及び環境に関してマイナスの結果を有する可能性があるか、及び/又は有することが認められている。太陽からの紫外光が大気中に侵入すると、自動車、製造プラント、発電施設、及び他の源などの種々の源が起源の窒素酸化物(NO)と反応する。大気中のVOCの存在は、オゾンとNOとの間の全体的な平衡に対して影響を与えて、それによってより多くのオゾンが大気中に蓄積される可能性がある。成層圏オゾンの存在は環境に関してプラスの効果を有する可能性があるが、地表面においてはオゾンの存在は環境に関してマイナスであり、対流圏において霞みなどを形成すると考えられている。
【0006】
[0006]樹木及び草木のような天然又は「生体」源などの大気中のVOCの多くの要員が存在する。自動車の排気、石油の精製及び燃焼のような人工源もVOCレベルの一因となる。有機溶媒の使用は、それらが空気中に蒸発する場合にはVOC放出の一因となる可能性がある。而して、出願人は、冷媒、発泡剤、溶媒などに対する代替材料は、これらが対流圏オゾンの増加に全くか又は最小にしか寄与しない、即ちVOCでないとみなされる場合に最も好ましいことを認識するに至った。
【0007】
[0007]米国においては、環境保護庁(EPA)は非常に幅広いVOCの一般的な定義を制定した。実際には、これは、具体的に除外された化合物のリストにない限りは、「炭素の全ての揮発性化合物」は規制の目的のためにVOCとして分類されると規定している。而して、EPAは、「炭素の化合物」であるがVOCとしての規制から明確に除外される化合物の2つのリストを公開した。第1のリストは、歴史的にVOCとして規制されていない一酸化炭素及び二酸化炭素のような化合物の短いリストである。第2の化合物のリストは、化合物がオゾン層に対して認めうるほどに影響を与えないことが分かったことを示す研究のために、EPAが「無視できる程度の反応性」であり、したがって非VOCとして分類したものである。このリスト上の化合物の1つはエタンである。
【0008】
[0008]最近、大気環境を向上し、地表面のオゾンを減少させることを評価し且つそれに向かって作用する新しいアプローチが開発された。このアプローチは、分子がVOCであるかどうかの間を区別化する手段として化合物の相対的な光化学反応性を考慮する。化合物の相対的な光化学反応性を評価するための1つの方法は、通常の連続スケールで溶媒の相対的な光化学反応性を測定する最大増加反応性(MIR)スケールである。MIR値は、通常は反応した1gのVOCに対して形成されたオゾンのグラム数の単位で表すが、相対的な情報はこの点に関しては等しく有益である。
【0009】
[0009]而して、本出願人は、使用特性における所望の性能を維持しながら可能な限り低い地球温暖化係数を有するだけでなく、且つ有利にはVOCではないとみなされる代替流体を開発する重要性を認識するに至った。加えて、幾つかの状況においては、単一成分の流体、又は、沸騰及び蒸発によって実質的に分別されない共沸混合物様混合物の使用が望ましい。
【0010】
[0010]代替使用特性の例としては、熱伝達流体に関するすぐれた熱伝達特性、適切な化学的安定性、低毒性又は無毒性、不燃性、及び/又は潤滑剤相溶性、とりわけ発泡剤として使用する場合には他の所望のフォーム特徴が挙げられる。
【0011】
[0011]多くの用途においては潤滑剤相溶性が特に重要であるということを、出願人は認識するに至った。より詳しくは、冷却流体は、殆どの冷却システムにおいて用いられる圧縮機ユニットにおいて利用される潤滑剤と相溶性であることが非常に望ましい。残念なことに、HFCを含む多くの塩素非含有冷却流体は、伝統的にCFC及びHFCと共に用いられるタイプの潤滑剤(例えば鉱油、アルキルベンゼン又はポリ(α−オレフィン)など)の中に比較的不溶性及び/又は非混和性である。圧縮冷却、空調、及び/又は、ヒートポンプシステムの中で冷却流体/潤滑剤の組み合わせを望ましいレベルの効率で機能させるためには、潤滑剤は、広い範囲の操作温度にわたって冷却液中に十分に可溶でなければならない。そのような可溶性は潤滑剤の粘性を低下させ、そしてそれがシステムの全体にわたってより容易に流動することを可能にする。そのような可溶性が無い場合、潤滑剤は冷却システム、空調システム、又はヒートポンプシステムの蒸発器のコイル、並びにシステムの他の部品の中に滞留し始める傾向を有し、したがってシステムの効率を低下させる。
【0012】
[0012]使用効率に関して、冷媒の熱力学的性能又はエネルギー効率の損失は、電気エネルギーに対する増大する需要から生じる増大した化石燃料の使用によって環境への二次的な影響をもたらす可能性があることに注目することが重要である。
【0013】
[0013]更に、CFC冷媒及び発泡剤の代替物は、蒸気圧縮技術及びフォーム生成システムなどの従来のシステムに対して大きな設計変更を行なわずに有効であることが望ましいと一般に考えられる。
【0014】
[0014]例えば、熱可塑性材料及び熱硬化性材料などの通常の発泡材料を製造するための方法及び組成物は長く知られている。これらの方法及び組成物は、典型的には、化学的及び/又は物理的な発泡剤を利用して、ポリマーマトリクス中に発泡構造を形成している。このような発泡剤としては、例えば、アゾ化合物、種々の揮発性有機化合物(VOC)、及びクロロフルオロカーボン(CFC)が挙げられる。化学的発泡剤は、典型的には、ポリマーマトリクスを形成する材料との化学反応(通常、所定の温度/圧力における)を含む幾つかの形態の化学変化を受けて、これにより、窒素、二酸化炭素、又は一酸化炭素などの気体の放出を引き起こす。最も頻繁に使用される化学的発泡剤の一つは水である。物理的発泡剤は、典型的には、ポリマー中又はポリマー前駆体材料中に溶解し、次いで体積膨張して(ここでも所定の温度/圧力における)発泡構造の形成に寄与する。物理的発泡剤は、熱可塑性フォームに関して使用されることが多いが、化学的発泡剤は、熱可塑性フォームに関して物理的発泡剤の代わりに、又は物理的発泡剤に加えて使用することができる。例えば、ポリ塩化ビニルをベースとするフォームを形成することに関して化学的発泡剤を使用することが知られている。熱硬化性フォームに関しては、化学的発泡剤及び/又は物理的発泡剤を使用することが一般的である。もちろん、幾つかの化合物及びこれらを含有する組成物によって直ちに化学的及び物理的発泡剤を構成することができる可能性がある。
【0015】
[0015]過去においては、硬質及び軟質ポリウレタンフォーム及びポリイソシアヌレートフォームなどの、イソシアネートをベースとするフォームの調製においてCFCを標準的な発泡剤として使用することが一般的であった。例えば、CClF(CFC−11)などのCFC材料からなる組成物は、標準的な発泡剤となっていた。しかし、この材料の使用は、その大気中への放出が成層圏のオゾン層に損傷を与えるという理由で国際条約により禁止された。結果として、イソシアネートをベースとするフォーム及びフェノール樹脂フォームなどの、熱硬化性フォームを形成するための標準的な発泡剤として生のCFC−11を使用することはもはや概して一般的ではない。
【0016】
[0016]多くの用途について、可燃性はもう一つの重要な特性である。すなわち、特に熱伝達及び発泡剤用途を含む多くの用途においては、可燃性が低いか又は不燃性である組成物を用いることが重要であるか又は必須であると考えられる。したがって、不燃性のかかる化合物を組成物中で用いることがしばしば有益である。本明細書において用いる「不燃性」という用語は、2002年のASTM標準規格E−681(これは参照により本明細書中に援用される)に従って測定して不燃性であると判定される化合物又は組成物を指す。残念なことに、不燃性でなければ冷媒組成物又はフォーム発泡剤組成物において用いるのに望ましいかもしれない多くのHFCは、不燃性ではない。例えば、フルオロアルカンジフルオロエタン(HFC−152a)とフルオロアルケン1,1,1−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)はそれぞれ可燃性であり、したがって多くの用途において用いるのに実用的ではない。
【0017】
[0017]より高級のフルオロアルケン、すなわち少なくとも5個の炭素原子を有するフッ素置換アルケンが、冷媒として用いるように提案されている。米国特許第4,788,352号(Smutny)は、少なくともある程度の不飽和を有するフッ素化C〜C化合物の製造に関する。Smutny特許は、そのようなより高級のオレフィンが、冷媒、農薬、誘電性流体、熱伝達流体、溶媒、及び様々な化学反応における中間体としての有用性を有することが知られることを確認している(第1欄、11〜22行を参照)。
【0018】
[0018]比較的可燃性の材料の別の例は、フッ素化エーテルである1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−254pc又は時にはHFE−254cbとも呼ばれる)であり、これは約5.4%〜約24.4%の可燃限界(体積%)を有することが測定されている。この一般的なタイプのフッ素化エーテルは、参照により本明細書中に援用される米国特許第5,137,932号−Behemeらにおいて発泡剤としての使用について開示されている。
【0019】
[0019]米国特許第5,900,185号−Tapscottにおいては、フォーム発泡剤をはじめとする幾つかの材料の可燃性を減少させるために臭素含有ハロカーボン添加剤を使用することが提案されている。この特許における添加剤は、効率が高く、大気寿命が短い、すなわち、オゾン層破壊係数(ODP)が低く地球温暖化係数(GWP)が低いことを特徴とすると記載されている。
【0020】
[0020]Smutny及びTapscottに記載されたオレフィンは幾つかの欠点を有すると考えられる。例えば、これらの化合物の幾つかは、基材、特に、アクリル樹脂やABS樹脂などの汎用プラスチックを攻撃する傾向を有する可能性がある。そのうえ、Smutnyに記載されたより高級のオレフィン化合物も、Smutnyにおいて言及されている殺虫剤活性の結果として生じ得るかかる化合物の潜在的なレベルの毒性のために、幾つかの用途において望ましくない可能性がある。また、かかる化合物は、幾つかの用途において冷媒として有用なものとするには高すぎる沸点を有する可能性がある。
【0021】
[0021]ブロモフルオロメタンとブロモクロロフルオロメタンの誘導体、特にブロモトリフルオロメタン(Halon 1301)とブロモクロロジフルオロメタン(Halon 1211)は、航空機の室内やコンピューター室などの閉鎖空間における消火剤として広範囲にわたる用途を有している。しかし、様々なハロンの使用は、それらの高いオゾン層破壊性のために段階的に廃止されている。更に、ハロンは人間が存在する区域においてしばしば用いられるので、適当な代替品はまた、鎮火又は消火するのに必要な濃度において人間にとって安全でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第4,788,352号
【特許文献2】米国特許第5,137,932号
【特許文献3】米国特許第5,900,185号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
[0022]したがって出願人は、蒸気圧縮加熱/冷却システム及び方法を含む多くの用途において有用である可能性があり、その一方で上述の欠点の一つ以上を回避する、組成物、特に熱伝達組成物、消火/鎮火用組成物、発泡剤、溶媒組成物、噴射剤、洗浄組成物、及び相溶剤に対する必要性を認識するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0024】
[0023]出願人らは、特に特定のテトラフルオロプロペン化合物、好ましくは1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、シス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(シスHFO−1234ze)、及びトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)の1以上などの1種類以上のフッ素化アルケン化合物、並びに特にトランスCFCH=CClH(1233zdE)及びシスCFCH=CClH(1233zdZ)などの特定のモノクロロトリフルオロプロペン化合物を含む、熱伝達組成物、発泡剤組成物、フォーム及びフォームプレミックス、溶媒組成物、噴射剤、洗浄組成物、及び相溶剤をはじめとする組成物により、上述の必要性及び他の必要性を満たすことができることを見出した。出願人らは、驚くべきことに、これらの化合物のそれぞれはVOCではないという有利な特性を有することを見出した。ここで用いるように、化合物はエタンよりも小さいMIRを有する場合には非VOCであるとみなされる。したがって、本発明の1形態は、一定量、好ましくは相当量の、特定のテトラフルオロプロペン化合物の1以上、好ましくは1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、シス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(シスHFO−1234ze)、及びトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)、及び/又は特にトランスCFCH=CClH(1233zdE)及びシスCFCH=CClH(1233zdZ)などの特定のモノクロロトリフルオロプロペン化合物を組成物中において用いることによって、より低い質量のVOC化合物を有する組成物を配合することを含む、対流圏におけるオゾンレベルに対する悪影響が低下した、特に熱伝達組成物、発泡剤組成物、フォーム及びフォームプレミックス、溶媒組成物、噴射剤、洗浄組成物、及び相溶剤の1以上などの環境的に有利な組成物を配合する方法を包含する。出願人らは、上記の好ましい化合物のそれぞれ、特にトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)及びトランスCFCH=CClH(1233zdE)は、エタンのMIR値よりも小さく、好ましくは相当に小さいMIR値を有するので、多くの態様において、組成物中において及び/又は所定の方法にしたがってかかる化合物を用いることによって組成物の環境的な望ましさを劇的に向上させることができることを見出した。
【0025】
[0024]本発明による幾つかの化合物のMIR値を、下表1において他の化合物と比較して与える。HBA−2という名称はトランスCFCH=CClH(1233zdE)を指すために用いる。
【0026】
【表1】

【0027】
[0025]モノクロロトリフルオロプロペン化合物に関しては、好ましい態様においてはこの化合物は
トランスCFCH=CClH(1233zdE);
シスCFCH=CClH(1233zdZ);
トランスCHFCF=CClH(1233ydE);
シスCHFCF=CClH(1233ydZ);
トランスCHFCH=CClF(1233zbE);
シスCHFCH=CClF(1233zbZ);
トランスCHFCCl=CHF(1233xeE);
シスCHFCCl=CHF(1233xeZ);
CHFCCl=CF(1233xc);
トランスCHFClCF=CFH(1233yeE);
シスCHFClCF=CFH(1233yeZ);
CHClCF=CF(1233yc);
CFClCF=CH(1233xf);
及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される。
【0028】
[0026]上記に示される全てのかかる化合物は本発明の幾つかの形態において用いるように適合させることができると意図される。本発明の組成物及び方法に従う好ましい1種類又は複数の化合物は、好ましくは、以下の特性:化学的安定性;実質的にゼロのオゾン層破壊係数(ODP);通常の汚染物質、特に鉱油及び/又はシリコーン油との比較的高い混和度;低いか又はゼロの可燃性;低いか又はゼロの毒性;低いか又はゼロの地球温暖化係数(GWP);の1以上、好ましくは全てを示し、非VOCである。
【0029】
[0027]本組成物において用いるのに好ましい化合物は、これらの所望の有益な特性の幾つかを同時に有することが見出された。より具体的には、好ましい化合物は、実質的にゼロのオゾン層破壊係数、好ましくは約0.5以下、更により好ましくは約0.25以下、最も好ましくは約0.1以下のODP;約150以下、更により好ましくは約50以下のGWP;並びに、エタンのものよりも小さく、好ましくは相当に小さいMIR;を有する。この望ましく予期しなかった特性の組合せを有する好ましい化合物の2つの例は、シス−及びトランス−の両方の1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、並びにトランスCFCH=CClH(1233zdE)及びシスCFCH=CClH(1233zdZ)である。
【0030】
[0028]多くの好ましい態様においては、本発明の化合物は、約10℃〜約60℃、更により好ましくは約15℃〜約50℃、更により好ましくは約10℃〜約25℃の標準沸点を有する。また、1種類又は複数の化合物は、標準的な引火点法の1つ、例えばASTM−1310−86:"Flash point of liquids by tag Open-cup apparatus"によって測定して引火点を有さず、また、約100日以下、更により好ましくは約50日以下の大気寿命を有することが一般的に好ましい。また、1種類又は複数の好ましい化合物は、20重量%より多く、より好ましくは少なくとも約80:20で約20:80までの範囲の重量比、更により好ましくは実質的に全ての割合の鉱油及び/又はシリコーン油と混和性である。
【0031】
[0029]本発明の好ましい化合物は比較的低い毒性値を示す。ここで用いるODPは、世界気象協会のレポートである"Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002"(参照により本明細書中に援用される)において定義されている。ここで用いるGWPは、二酸化炭素のものに対して100年間の時間範囲にわたって定義されるものであり、上記のODPに関するものと同じ参照文献において定義されている。ここで用いる混和性は、当業者に公知なように、2つの液体を一緒に混合した際の相形成又は分離の目視評価にしたがって測定される。
【0032】
[0030]したがって、本発明の組成物は、一般的に、多くの異なるタイプの洗浄及び汚染物質除去用途をはじめとする多くの異なる用途に関連して用いるのに非常に望ましい特性及び特徴を有する。
【0033】
[0031]幾つかの態様においては、次式I:
XCF3−z (I)
[0032](式中、Xは、C、C、C、又はCの、不飽和の置換又は非置換基であり、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、そしてzは1〜3である)
を有するフッ素化オレフィン(以下、便宜上のために、しかしながら限定の目的ではなく、「フルオロアルケン」と呼ぶ)、特にモノクロロトリフルオロプロペン及びテトラフルオロプロペンを含む。幾つかの好ましい態様においては、本発明のフルオロアルケンは、少なくとも4つのハロゲン置換基を有し、そのうち少なくとも3つはFである。好ましくは、幾つかの態様においては、置換基はいずれもBrではない。幾つかの好ましい態様においては、式Iの化合物は、各非末端不飽和炭素が少なくとも一つのハロゲン置換基、より好ましくは 塩素及びフッ素から選択される少なくとも一つの置換基を有する化合物、好ましくは炭素数3の化合物を含み、幾つかの態様においては、少なくとも三つのフッ素を有する化合物が特に好ましい。
【0034】
[0033]幾つかの好ましい態様、特に熱伝達組成物、発泡剤組成物、溶媒組成物、及び洗浄組成物に関係する態様においては、式Iの化合物は、炭素数3のオレフィンであり、zは1又は2である。これゆえに、式Iの化合物は、幾つかの態様においては、式(IA):
CR’2−w=CR−CF3−z (IA)
(式中、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、各R’は、独立して、F又はClであり、wは1又は2、好ましくは1であり、そしてzは1、2、又は3、好ましくは3である)
の化合物を含む。
【0035】
[0034]式IAの幾つかの好ましい化合物においては、各RはF又はHであり、その例は:
CF=CF−CHF(HFO−1234yc);
CF=CH−CFH(HFO−1234zc);
トランス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(E));及び
シス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(Z));
である。
【0036】
[0035]少なくとも一つのBr置換基が存在する式(IA)の態様に関しては、化合物は水素を含まないことが好ましい。かかる態様においてはまた、Br置換基は不飽和炭素上にあることが一般的に好ましく、更により好ましくは、Br置換基は非末端不飽和炭素上にある。このクラスにおける一つの特に好ましい態様は、CFCBr=CFであり、その異性体のすべてを含む。
【0037】
[0036]幾つかの態様においては、式Iの追加のフルオロアルケン化合物は、3〜5個のフッ素置換基を有し、他の置換基が存在するか又は存在しない、プロペン類、ブテン類、ペンテン類、及びヘキセン類を含むことが非常に好ましい。幾つかの好ましい態様においては、いずれのRもBrではなく、好ましくは、不飽和基はBr置換基を含有しない。プロペン類の中では、テトラフルオロプロペン(HFO−1234)が幾つかの態様において特に好ましい。
【0038】
[0037]幾つかの態様においては、特にCFCH=CFH(HFO−1225yeZ及び/又はyeE)などの末端不飽和炭素上に水素置換基が存在するペンタフルオロプロペンなどのペンタフルオロプロペン類が好ましい。これは、特に出願人らが、かかる化合物は少なくとも化合物:CFCH=CF(HFO−1225zc)と比べて比較的低い度合いの毒性を有することを発見したためである。
【0039】
[0038]ブテン類の中では、幾つかの態様においてはフルオロクロロブテンが特に好ましい。
[0039]“HFO−1234”という用語は、本明細書においてすべてのテトラフルオロプロペンを言うように使用する。テトラフルオロプロペンの中には、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、シス−及びトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)の両方、CF=CF−CHF(HFO−1234yc)、CF=CH−CFH(HFO−1234zc)、トランス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(E))、及びシス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(Z))が含まれる。HFO−1234zeという用語は、本明細書において、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを総称して言うように使用する。“シスHFO−1234ze”及び“トランスHFO−1234ze”という用語は、本明細書において、それぞれ1,1,1,3−テトラフルオロプロペンのシス形態及びトランス形態を説明するように使用する。したがって、“HFO−1234ze”という用語は、シスHFO−1234ze、トランスHFO−1234ze、ならびにこれらのすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。HFO−1234yeという用語は、本明細書において、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(CHF=CF−CFH)を総称して言うように使用する。“シスHFO−1234ye”及び“トランスHFO−1234ye”という用語は、本明細書において、それぞれ、1,2,3,3−テトラフルオロプロペンのシス形態及びトランス形態を説明するように使用する。したがって、“HFO−1234ye”という用語は、シスHFO−1234ye、トランスHFO−1234ye、ならびにこれらのすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。
【0040】
[0040]“HFO−1225”という用語は、本明細書において、すべてのペンタフルオロプロペンを言うように使用する。かかる分子の中には、そのシス−及びトランス−形態の両方の1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yez)が含まれる。これゆえに、HFO−1225yezという用語は、本明細書において、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンを総称して言うように使用する。したがって、“HFO−1225yez”という用語は、シスHFO−1225yez、トランスHFO−1225yez、ならびにこれらのすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。
【0041】
[0041]幾つかの好ましい態様においては、組成物は、少なくとも1種類のモノクロロトリフルオロプロペン化合物及びテトラフルオロプロペンをはじめとする少なくとも1種類の追加のフッ素化オレフィンを含み、各々は、約20重量%〜約80重量%、より好ましくは約30重量%〜約70重量%、更により好ましくは約40重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0042】
[0042]また、本発明は、本発明の組成物を利用する方法及びシステムも提供する。一側面においては、本方法は、熱伝達のため、既存の熱伝達装置を改造するため、及び、既存の熱伝達システム内の既存の熱伝達流体を置換するための方法及びシステムを含む。他の側面においては、本組成物を、フォーム、フォーム発泡、フォーム及びフォームプレミックスの形成、溶媒和、洗浄、香味料及び芳香料の抽出及び/又は送達、エアゾール生成、非エアゾール噴射剤に関連して、並びに膨張剤として、並びにかかる用途における活性成分の1以上を本発明の非VOC化合物で置き換えることによって減少したVOC含量を有する組成物でかかる組成物及び/又はシステムのそれぞれを置き換えるか又はこれを使用して改造する方法において使用する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
A.組成物:
[0043]本組成物は、複数の重要な理由のために有利である特性を有していると考えられる。例えば、出願人は、少なくとも一部は実際のデータ及び/又は数学的モデル化に基づいて、本発明の好ましい組成物は、大気の化学的性質には本質的に有害な影響を与えず、幾つかの他のハロゲン化種と比較してオゾン層の破壊にはごく僅かしか寄与せず、非VOCであろうと考える。したがって、本発明の好ましい組成物は、成層圏におけるオゾン層の破壊には実質上寄与せず、また一方で対流圏におけるオゾンの生成にも寄与せず、即ち非VOCであり、好ましくはエタンよりも小さいMIRを有するという利点を有する。好ましい組成物はまた、現在使用されている多くのハイドロフルオロアルカンと比較して、地球温暖化には実質上寄与しない。
【0044】
[0044]もちろん、組成物の特定の性質(例えばコストなど)を調節する他の化合物及び/又は成分も本組成物中に含めることができ、すべてのそのような化合物及び成分の存在は、本発明の広い範囲内にある。
【0045】
[0045]幾つかの好ましい形態においては、本発明の組成物は、約1500以下の、より好ましくは約1000以下の、より好ましくは約500以下の、そして更により好ましくは約150以下の地球温暖化係数(GWP)を有する。幾つかの態様においては、本組成物のGWPは約100以下であり、そして更により好ましくは約75以下である。本明細書において用いられている“GWP”は、二酸化炭素のものに対して100年の時間範囲で測定されるものであり、それは"The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, a report of the World Meteorological Association's Global Ozone Research and Monitoring Project"において定義されているものであり、この文献は参照により本明細書中に援用される。
【0046】
[0046]幾つかの好ましい形態においては、本組成物はまた、好ましくは、0.05以下の、より好ましくは0.02以下の、そして更により好ましくは約0のオゾン層破壊係数(ODP)を有する。本明細書において用いられている“ODP”は、"The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, A report of the World Meteorological Association's Global Ozone Research and Monitoring Project"において定義されているものであり、この文献は参照により本明細書中に援用される。
【0047】
[0047]本組成物中に含まれるフッ素化オレフィン、特に及び好ましくは1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、及び/又はシス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(シスHFO−1234ze)、及び/又はトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)、及び/又は特にトランスCFCH=CClH(1233zdE)及びシスCFCH=CClH(1233zdZF)などのモノクロロトリフルオロプロペン化合物の量は、特定の用途に応じて広範囲に変化してもよく、痕跡量よりも多く100%未満のこの化合物を含む組成物は本発明の広い範囲内のものである。更に、本発明の組成物は、共沸性、共沸様、あるいは非共沸性であってよい。
【0048】
[0048]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、約5重量%〜約99重量%、更により好ましくは約5重量%〜約95重量%の量のトランスCFCH=CClH(1233zdE)を含む。
【0049】
[0049]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、約5重量%〜約99重量%、更により好ましくは約5重量%〜約95重量%の量のシスCFCH=CClH(1233zdZ)を含む。
【0050】
[0050]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、約5重量%〜約99重量%、更により好ましくは約5重量%〜約95重量%の量のトランスCHFCF=CClH(1233ydE)を含む。
【0051】
[0051]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、約5重量%〜約99重量%、更により好ましくは約5重量%〜約95重量%の量のシスCHFCF=CClH(1233ydZ)を含む。
【0052】
[0052]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、約5重量%〜約99重量%、更により好ましくは約5重量%〜約95重量%の量のトランスCHFClCF=CFH(1233yeE)を含む。
【0053】
[0053]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、約5重量%〜約99重量%、更により好ましくは約5重量%〜約95重量%の量のシスCHFClCF=CFH(1233yeZ)を含む。
【0054】
[0054]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のトランスCFCH=CClH(1233zbE)を含む。
【0055】
[0055]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のシスCFCH=CClH(1233ybZ)を含む。
【0056】
[0056]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のトランスCHFCF=CClH(1233ydE)を含む。
【0057】
[0057]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のシスCHFCF=CClH(1233ydZ)を含む。
【0058】
[0058]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のトランスCHFClCF=CFH(1233yeE)を含む。
【0059】
[0059]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のシスCHFClCF=CClH(1233yeZ)を含む。
【0060】
[0060]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量の6CHClCF=CF(1233cf)を含む。
【0061】
[0061]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のCFClCF=CH(1233yf)を含む。
【0062】
[0062]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のトランスCHFCCl=CHF(1233xeE)を含む。
【0063】
[0063]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のシスCHFCCl=CHF(1233xeZ)を含む。
【0064】
[0064]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のCHFCCl=CF(1233xc)を含む。
【0065】
[0065]潤滑剤、安定化剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、炎抑制剤、及び、組成物の特定の性質(例えばコストなど)を調節する他の化合物及び/又は成分をはじめとする多くの追加の化合物又は成分が本組成物中に含まれていてもよく、全てのそのような化合物及び成分の存在は本発明の広い範囲内のものである。幾つかの好ましい態様においては、本組成物は、上記記載の1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物に加えて、下記の1以上を含む:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11);
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12);
ジフルオロメタン(HFC−32);
ペンタフルオロエタン(HFC−125);
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);
ジフルオロエタン(HFC−152a);
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);
水;及び
CO
【0066】
[0066]上記に記載の任意の本発明の化合物、及び本組成物中に含ませることのできる任意の追加の成分の相対量は、組成物についての特定の用途に従って、本発明の包括的な広い範囲内で広範囲に変えることができ、全てのそのような相対量が本発明の範囲内であると考えられる。
【0067】
[0067]したがって、出願人らは、本発明の幾つかの組成物を数多くの用途において非常に有利に使用できることを認識した。例えば、本発明に含まれるのは、熱伝達用途、フォーム及び発泡剤用途、噴射剤用途、噴霧可能な組成物の用途、滅菌用途、エアゾール用途、相溶剤用途、香味料及び芳香料用途、溶媒用途、洗浄用途、膨張剤用途などに関する方法及び組成物である。当業者であれば、過度な実験をすることなく、本組成物を任意かつすべてのかかる用途において使用するように容易に適合させることができると考えられる。
【0068】
[0068]本組成物は、一般的に、冷媒、エアゾール、及び他の用途における、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)などのCFC、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)などのHCFC、テトラフルオロエタン(HFC−134a)などのHFC、及び、CFC−12と1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(73.8:26.2の質量比のCFC−12:HFC−152aの組合せはR−500として知られる)などのHFCとCFCの組合せに関する代替として有用である。
【0069】
B.熱伝達組成物:
[0069]本発明の組成物は、一般的には、熱伝達用途、すなわち、気化冷却剤としてなどの加熱及び/又は冷却媒体として使用するように適合させることができる。
【0070】
[0070]気化冷却用途に関しては、本発明の組成物を、直接又は間接的に、冷却すべき物体と接触させて、その後に接触させながら蒸発又は沸騰させ、本組成物による沸騰ガスが冷却すべき物体から熱を吸収するという好ましい結果を得る。かかる用途においては、液体を冷却すべき物体に噴霧又は他の方法で適用することにより、本発明の組成物を好ましくは液体形態で利用することが好ましい場合がある。他の気化冷却用途においては、本発明による液体組成物を比較的高圧の容器から比較的低圧の環境中に逃がし、そこで、好ましくは逃がしたガスを回収又は再圧縮することなく、冷却すべき物体を本発明の液体組成物を含む容器と直接又は間接的に接触させることが好ましい場合がある。このタイプの態様に関する一つの特定の用途は、飲料、食料品、販促品などの自己冷却である。本明細書中に説明する発明の前は、HFC−152a及びHFC−134aなどの従来の組成物がかかる用途のために使用された。しかし、かかる組成物は、これらの物質を大気中に放出することに起因する環境への負の影響のために、最近ではかかる用途において否定的に見られている。例えば、合衆国EPAは、かかる従来の化学物質のこの用途における使用は、これらの化学物質の高い地球温暖化特性とそれらの使用により結果として生じ得る環境への悪影響のために許容できないことを決定している。本発明の組成物は、本明細書中に説明するように、それらの低い地球温暖化係数及び低いオゾン層破壊係数のために、この点に関して明確な利点を有している。加えて、本組成物はまた、製造の間又は加速寿命試験の間に電気又は電子部品を冷却することに関しても実質的な有用性が見出されると期待される。加速寿命試験においては、部品の使用をシミュレートするために部品を連続して素早く繰り返して加熱及び冷却する。したがって、かかる使用は、半導体及びコンピューター基板製造産業において特に有利である。この点に関する本組成物の別の利点は、そのような用途に関して使用した場合に接触電気特性を示すことが期待されることである。別の気化冷却用途は、導管を通る流体の流れを一次的に停止させる方法を含む。好ましくは、かかる方法は、それを通して水が流れる水管などの導管を本発明による液体組成物と接触させて、その中に含まれる液体を凍らせるように導管と接触させながら本発明の液体組成物を蒸発させ、それにより導管を通る流体の流れを一次的に停止させることを含む。かかる方法は、本組成物が適用される場所の下流の場所にて、かかる導管又はかかる導管に接続したシステムについて送水又は他の作業を実施できるようにすることに関して明確な利点を有する。
【0071】
[0071]本発明にしたがって使用されるハイドロフルオロオレフィンの相対量は、好ましくは、必要な熱伝達能力、特に冷却能力を有し、好ましくは同時に不燃性である熱伝達流体を生成するように選択される。本明細書中で使用される不燃性という用語は、ASTM−E−681により測定して空気中ですべての割合において不燃性である流体を言う。
【0072】
[0072]本発明の組成物は、特定の機能を高めるか又はそれを組成物に与える目的で、あるいは、幾つかの場合には組成物のコストを下げるために、他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明による冷媒組成物、特に蒸気圧縮システムにおいて用いられる組成物は、潤滑剤を、一般に組成物の約30〜約50重量%の量で含む。更に、本組成物は、共冷媒、又は相溶剤(例えばプロパン)を、潤滑剤の相溶性及び/又は溶解性を促進する目的で含んでいてもよい。プロパン、ブタン類及びペンタン類を含むそのような相溶剤は、好ましくは組成物の約0.5〜約5重量%の量で存在する。米国特許第6,516,837号(その開示事項は参照によって援用する)によって開示されているように、界面活性剤と可溶化剤の組合せを本組成物に添加して油溶性を促進させることもできる。ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷却機において用いられるポリオールエステル(POE)及びポリアルキレングリコール(PAG)、PAG油、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(AB)及びポリ(α−オレフィン)(PAO)などの一般に用いられる冷却潤滑剤を、本発明の冷媒組成物と共に用いてもよい。商業的に入手可能な鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手可能なアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手可能なエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。幾つかの場合においては、炭化水素ベースの油は、ヨードカーボンを含む冷媒との充分な溶解性を有し、ヨードカーボンと炭化水素油の組合せは、他のタイプの潤滑剤よりも安定である可能性がある。したがって、かかる組合せは有利である可能性がある。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、現在、自動車用空調などの特定の応用において使用されていることから、幾つかの態様において非常に好ましい。もちろん、異なるタイプの潤滑剤の異なる混合物を使用してもよい。
【0073】
[0073]幾つかの好ましい態様においては、熱伝達組成物は、約10重量%〜約95重量%の上記記載の1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペンと、約5重量%〜約90重量%の助剤、特に幾つかの態様においては、共冷媒(HFC−152、HFC−125、及び/又はCFIなど)を含む。共冷媒という用語の使用は、モノクロロトリフルオロプロペン化合物の相対的な性能に関して限定する意味で本明細書中において使用することを意図するものではなく、むしろ、所望の用途に関する組成物の所望の熱伝達特性に寄与する冷媒組成物の他の成分を一般的に示すために使用する。かかる幾つかの態様においては、共冷媒は、1種類以上のHFC及び/又はトリフルオロヨードメタンなどの1種類以上のフルオロヨードC〜C化合物、及びこれら同士や他の成分との組合せを含み、好ましくは実質的にこれらからなる。
【0074】
[0074]共冷媒がHFC、好ましくは、HFC−125を含む好ましい態様においては、組成物は、熱伝達組成物全体の約50重量%〜約95重量%、より好ましくは組成物の約60重量%〜約90重量%、更により好ましくは約70重量%〜約90重量%の量のHFCを含む。かかる態様においては、本発明の1種類又は複数のモノクロロトリフルオロプロペン化合物は、好ましくは、熱伝達組成物全体の約5重量%〜約50重量%、より好ましくは組成物の約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは約10重量%〜約30重量%を構成する。
【0075】
[0075]共冷媒がフルオロヨードカーボン、好ましくはCFIを含む好ましい態様においては、組成物は、熱伝達組成物全体の約15重量%〜約50重量%、より好ましくは組成物の約20重量%〜約40重量%、更により好ましくは約25重量%〜約35重量%の量のフルオロヨードカーボンを含む。かかる態様においては、本発明の1種類又は複数のモノクロロトリフルオロプロペン化合物は、好ましくは、熱伝達組成物全体の約50重量%〜約90重量%、より好ましくは組成物の約60重量%〜約80重量%、更により好ましくは約65重量%〜約75重量%の量を構成する。
【0076】
[0076]これゆえに、本方法、システム、及び組成物は、一般に多種多様な熱伝達システム、及び、特に空調(定置用及び自動車用空調システムの両方を含む)、冷却、ヒートポンプシステムなどのような冷却システムに関して使用するように適合させることができる。幾つかの好ましい態様においては、本発明の組成物を、例えばHFC−134aなどのHFC冷媒、又は例えばHCFC−22などのHCFC冷媒を用いて使用するように当初設計された冷却システムにおいて使用する。本発明の好ましい組成物は、慣用的なHFC冷媒と同程度に低いかそれより低いGWP、及びかかる冷媒と同程度に高いかそれより高い能力、並びに、かかる冷媒と実質的に同等であるか実質的に匹敵し、好ましくは同程度に高いか又はそれより高い能力をはじめとする、HFC−134a及び他のHFC冷媒の所望の特徴の多くを示す傾向がある。特に、出願人らは、本組成物の幾つかの好ましい態様は、好ましくは1000未満、より好ましくは約500未満、及び更により好ましくは約150未満の比較的低い地球温暖化係数(“GWP”)を示す傾向があることを認識した。加えて、参照により本明細書中に援用される同時係属する特許出願に記載される共沸混合物様組成物を含む幾つかの本組成物の比較的一定の沸騰性により、多くの用途において冷媒として使用するために、R−404A、又はHFC−32、HFC−125、及びHFC−134aの組合せ(およそ23:25:52の重量比のHFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合せはR−407Cと呼ばれる)などの幾つかの慣用的なHFCよりも更により望ましいものとなっている。本発明の熱伝達組成物は、HFC−134、HFC−152a、HFC−22、R−12、及びR−500の代替として特に好ましい。
【0077】
[0077]幾つかの他の好ましい態様においては、本組成物は、CFC冷媒と共に使用するように当初設計された冷却システムにおいて使用する。好ましい本発明の冷却組成物は、鉱油、ポリアルキルベンゼン、ポリアルキレングリコール油などのようなCFC冷媒と共に慣用的に使用されている潤滑剤を含有する冷却システムにおいて使用してもよく、又は、HFC冷媒と共に伝統的に使用されている他の潤滑剤と共に使用してもよい。本明細書中で使用される“冷却システム”という用語は、冷媒を使用して冷却を与える任意のシステム又は装置、あるいはそのようなシステム又は装置の任意の部品又は部分を総称して言う。かかる冷却システムとしては、例えば、空調機、電気冷蔵庫、冷凍機(遠心圧縮機を用いる冷凍機を含む)、輸送冷却システム、商業用冷蔵システムなどが挙げられる。
【0078】
[0078]多くの既存の冷却システムは、現在、既存の冷媒と関連して用いるのに適しているが、本発明の組成物は、システムに改造を施すか又は施さずに、多くのそのようなシステムにおいて用いるように適合させうると考えられる。多くの用途において、本発明の組成物は、現在幾つかの冷媒をベースとするより小型のシステムにおける代替物として、例えば、小さい冷却容量が要求され、それにより比較的小さな圧縮機に置き換える必要性を指示されるようなシステムにおける代替物としての有利性を与えることができる。更に、例えば効率上の理由から、本発明の低容量の冷媒組成物を用いて高い容量の冷媒を置き換えるのが望ましいような態様においては、本組成物のそのような態様は有利なものになる可能性がある。従って、幾つかの態様においては、本発明の組成物、特に、本組成物をかなりの割合で含む組成物、そして幾つかの態様においては本質的にそれらからなる組成物を、HFC−134a;CFC−12;HCFC−22;HFC−152a;ペンタフルオロエタン(HFC−125)、トリフルオロエタン(HFC−143a)及びテトラフルオロエタン(HFC−134a)の組合せ(重量比が約44:52:4のHFC−125:HFC−143a:HFC−134aの組合せは、R−404Aと呼ばれている);HFC−32、HFC−125及びHFC−134aの組合せ(重量比が約23:25:52のHFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合せは、R−407Cと呼ばれている);フッ化メチレン(HFC−32)及びペンタフルオロエタン(HFC−125)の組合せ(重量比が約50:50のHFC−32:HFC−125の組合せは、R−410Aと呼ばれている);CFC−12及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(73.8:26.2のCFC−12:HFC−152aの組合せは、R−500と呼ばれている);及びHFC−125及びHFC−143aの組合せ(重量比が約50:50のHFC−125:HFC−143aの組合せは、R−507Aと呼ばれている);などの既存の冷媒の代替物として使用することが好ましい。幾つかの態様においては、本組成物を、重量比が約20:40:40のHFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合せ(R−407Aと呼ばれる)又は重量比が約15:15:70のもの(R−407Dと呼ばれる)から形成される冷媒の代替物に関連して使用することもまた有益である可能性がある。本明細書の他の場所で説明するように、本組成物は、エアゾール、発泡剤などの他の用途における上述した組成物の代替物としても好適であると考えられる。
【0079】
[0079]幾つかの用途においては、本発明の冷媒は、より大きい容積型圧縮機の有益な利用を潜在的に可能にし、このことによって、結果的に、HFC−134aのような他の冷媒よりも、より良いエネルギー効率が得られる。従って、本発明の冷媒組成物は、自動車の空調システム及び装置、商業用冷蔵システム及び装置、冷凍機、住宅用冷蔵庫及び冷凍庫、一般的な空調システム、ヒートポンプなどを含む、冷媒を置き換える用途に関して、エネルギーベースで競争上の優位性を獲得する可能性を与える。
【0080】
[0080]多くの既存の冷却システムは、現在、既存の冷媒と関連して用いるのに適しているが、本発明の組成物は、システムに改造を施すか又は施さずに、多くのそのようなシステムにおいて用いるように適合させうると考えられる。多くの用途において、本発明の組成物は、現在比較的高い能力を有する冷媒をベースとするシステムにおける代替物としての有利性を与えることができる。更に、例えばコストの理由から、本発明のより低い容量の冷媒組成物を用いてより高い容量の冷媒を置き換えることが望ましいような態様においては、本発明の組成物のそのような態様は有利性を与える可能性がある。従って、幾つかの態様においては、本発明の組成物、特にかなりの割合のHFO−1233を含み、幾つかの態様においてはこれから実質的になる組成物を、HFC−143aなどの既存の冷媒の代替物として使用することが好ましい。幾つかの用途においては、本発明の冷媒はより大型の容積型圧縮機を有益に使用することができる可能性があり、それによってHFC−134aなどの他の冷媒よりも良好なエネルギー効率が得られる。従って、本発明の冷媒組成物は、冷媒を置き換える用途に関して、エネルギーベースで競争上の優位性を獲得する可能性がある。
【0081】
[0081]本組成物はまた、商業用の空調システムに関して通常的に用いられる冷凍機においても(もともとのシステムにおける場合と、CFC−11、CFC−12、HCFC−22、HFC−134a、HFC−152a、R−500、及びR−507Aなどの冷媒の代替物として用いられる場合のいずれにおいても)利点を有すると考えられる。そのような幾つかの態様においては、本組成物中に、約0.5〜約30%、幾つかの場合にはより好ましくは0.5重量%〜約15重量%、更により好ましくは重量基準で約0.5〜約10%の補助炎抑制剤を含ませることが好ましい。
【0082】
C.発泡剤、フォーム、及び発泡性組成物:
[0082]発泡剤もまた、1種類以上の本組成物を含むかあるいはそれを構成することができる。上述したように、本発明の組成物には本発明の化合物を広く変化する量で含ませることができる。しかしながら、本発明による発泡剤として用いるための好ましい組成物については、1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物が、組成物の少なくとも約5重量%、更により好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在するのが一般的に好ましい。幾つかの好ましい態様においては、発泡剤は少なくとも約50重量%の本組成物を含み、幾つかの態様においては、発泡剤は本質的に本組成物からなる。幾つかの好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物は、1種類又は複数のモノクロロトリフルオロプロペン化合物に加えて、1種類以上の共発泡剤、充填剤、蒸気圧調節剤、炎抑制剤、安定化剤、及び同様の助剤を含む。本発明による共発泡剤には、物理的発泡剤、化学的発泡剤(好ましくは幾つかの態様においては水を含む)、又は、物理的発泡剤と化学的発泡剤の特性の組合せを有する発泡剤を含ませることができる。式Iの化合物ならびに共発泡剤を含む、本組成物中に含まれる発泡剤は、発泡剤として特徴づけるために必要なものに加えて、諸特性を示すことができることは理解されるだろう。例えば、本発明の発泡剤組成物は、添加される発泡剤組成物又は発泡性組成物に対して幾つかの有益な特性も付与する上述の式Iの化合物をはじめとする成分を含んでもよいと考えられている。例えば、式Iの化合物、又は共発泡剤をポリマー変性剤又は粘度低下調節剤としても作用させることは本発明の範囲内である。
【0083】
[0083]例として、1種類以上の以下の成分を、幾つかの好ましい本発明の発泡剤中に広い範囲の量で含ませることができる:炭化水素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ギ酸メチル、ギ酸、水、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、及びこれらの任意の2種類以上の組合せ。エーテルの中では、幾つかの態様においては、1〜6個の炭素原子を有するエーテルを使用することが好ましい。アルコールの中では、幾つかの態様においては、1〜4個の炭素原子を有するアルコールを使用することが好ましい。アルデヒドの中では、幾つかの態様においては、1〜4個の炭素原子を有するアルデヒドを使用することが好ましい。
【0084】
[0084]本発明にしたがって用いるように適合させることができる幾つかの共試薬を以下に記載する。
1.エーテル:
[0085]幾つかの好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物は、少なくとも1種類のエーテル、好ましくは当該組成物中において共発泡剤として機能するものを含む。
【0085】
[0086]本発明のこの側面にしたがって使用される1種類又は複数のエーテルは、フッ素化エーテル(FE)、より好ましくは1種類以上のハイドロフッ素化エーテル(HFE)、更により好ましくは下式(III):
---O---C (III)
(式中、
a=1〜6、より好ましくは2〜5、更により好ましくは3〜5;
b=1〜12、より好ましくは1〜6、更により好ましくは3〜6;
c=1〜12、より好ましくは1〜6、更により好ましくは2〜6;
d=1〜2;
e=0〜5、より好ましくは1〜3;
f=0〜5、より好ましくは0〜2であり;
そして式中、前記Cのひとつは前記Cのひとつと結合してシクロフルオロエーテルを形成してもよい)
にしたがった1種類以上のC〜Cのハイドロフッ素化エーテルを含む。
【0086】
[0087]本発明の幾つかの好ましい態様は、本明細書中に記載されるような少なくとも1種類のフルオロアルケン、好ましくは幾つかの態様においてはHFCO−1233xdなどのクロロフルオロアルケン、及び2〜8個、好ましくは2〜7個、更により好ましくは2〜6個の炭素原子、そして幾つかの態様においては最も好ましくは3個の炭素原子を含有する少なくとも1種類のフルオロ−エーテル、より好ましくは少なくとも1種類のハイドロ−フルオロエーテルを含む組成物に関する。本発明のハイドロ−フルオロエーテル化合物は、少なくともひとつの水素を含有する場合には、本明細書中において、便宜の目的のため、ハイドロフルオロ−エーテル又は“HFE”と呼ぶことがある。
【0087】
[0088]本出願人らは、一般に、本開示による、特に上述の式(III)によるフルオロエーテルは、概して有効であり、本明細書中に含まれる教示にしたがってフルオロアルケン化合物と組み合わせて有用性を示すと考えている。しかし、本出願人らは、フルオロエーテルの中から、幾つかの態様においては、特に発泡剤組成物、並びにフォーム及び発泡方法に関する諸態様においては、少なくとも二フッ素化され、より好ましくは少なくとも三フッ素化され、更により好ましくは少なくとも四フッ素化されたハイドロフルオロエーテルを利用することが好ましいことを見出した。幾つかの態様において特に好ましいのは、3〜5個の炭素原子、より好ましくは3〜4個の炭素原子、更により好ましくは3個の炭素原子を有する四フッ素化されたフルオロエーテルである。
【0088】
[0089]幾つかの好ましい態様においては、本発明のエーテル化合物は、その任意かつすべての異性体の形態を含む、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(本明細書中において、HFE−245pc又はHFE−245cb2と呼ぶことがある)を含む。
【0089】
[0090]本組成物中に含有される式IIIの化合物、特に1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテルの量は、特定の応用によって広く変動させることができ、痕跡量より多く100%未満の当該化合物を含有する組成物は、本発明の広い範囲の範囲内にある。好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物は、好ましい群の化合物をはじめとする式IIIの化合物を、約1重量%〜約99重量%、より好ましくは約5重量%〜約95重量%、更により好ましくは40重量%〜約90重量%の量で含む。
【0090】
[0091]1種類以上の以下の化合物は、本発明の幾つかの好ましい態様にしたがって使用するのに好ましい:
CHFOCHF(HFE−143E);
CHFOCHF(HFE−152E);
CHFOCH(HFE−161E);
シクロ−CFCHOCFO(HFE−c234fEαβ);
シクロCFCFCHO(HFE−c234fEβγ);
CHFOCFCHF(HFE−236caE);
CFCFOCHF(HFE−236cbEβγ);
CFOCHFCHF(HFE−236eaEαβ);
CHFOCHFCF(HFE−236eaEβγ);
CHFOCFCHF(HFE−245caEαβ);
CHFOCFCHF(HFE−245caEβγ);
CFOCFCH(HFE−245cbEβγ);
CHFCHFOCHF(HFE−245eaE);
CFOCHFCHF(HFE−245ebEαβ);
CFCHFOCHF(HFE−245ebEβγ);
CFOCHCFH(HFE−245faEαβ);
CHFOCHCF(HFE−245faEβγ);
CHFCFOCHF(HFE−254caE);
CHFOCFCH(HFE−254cbEαβ);
CHFCFOCH(HFE−254caEβγ);
CHFOCHFCHF(HFE−254eaEαβ);
CFOCHFCH(HFE−254ebEαβ);
CFCHFOCH(HFE−254ebEβγ);
CHFOCHCHF(HFE−254faE);
CFOCHCHF(HFE−254fbEαβ);
CFCHOCHF(HFE−254fbEβγ);
CHOCFCHF(HFE−263caEβγ);
CFCHOCH(HFE−263fbEβγ);
CHOCHCHF(HFE−272fbEβγ);
CHFOCHFCFCF(HFE−338mceEγδ);
CHFOCFCHFCF(HFE−338mceEγδ);
CFCFOCHCF(HFE−338mfEβγ);
(CFCHOCHF(HFE−338mmzEβγ);
CFCFCFOCH(HFE−347sEγδ);
CHFOCHCFCF(HFE−347mfcEγδ);
CFOCHCFCHF(HFE−347mfcEαβ);
CHOCFCHFCF(HFE−356mecEγδ);
CHOCH(CF(HFE−356mmzEβγ);
CFCFOCHCH(HFE−365mcEβγ);
CFCFCHOCH(HFE−365mcEγδ);
CFCFCFOCHFCF(HFE−42−11meEγδ);
CFCFCFCFOCH
CFCFCFCFOCH
CFCFCFCFOCHCH
CFCFCFCFOCHCH;及び
CFCFCFOCH
【0091】
[0092]本発明者らは、上述のHFEの任意の2種類以上を本発明の好ましい側面にしたがって組み合わせて使用してもよいと考えていることは理解すべきである。例えば、3Mにより商品名HFE-7100として販売されている材料は、約20%〜約80%のメチルノナフルオロイソブチルエーテルと約20%〜約80%のメチルノナフルオロブチルエーテルの混合物であると理解されているが、これを本発明の幾つかの好ましい態様にしたがって使用して利益を得ることができると考えられる。更なる例として、3Mにより商品名HFE-7200として販売されている材料は、約20%〜約80%のエチルノナフルオロイソブチルエーテルと約20%〜約80%のエチルノナフルオロブチルエーテルの混合物であると理解されているが、これを本発明の幾つかの好ましい態様にしたがって使用して利益を得ることができると考えられる。
【0092】
[0093]また、上で挙げたHFEの任意の1種類以上を、同様に、本明細書中に具体的に挙げていない他のHFE、及び/又は、示されているフルオロエーテルと共に共沸混合物を形成することが知られている他の化合物をはじめとする他の化合物と組合せて使用してもよいことも考えられる。例えば、以下の化合物は各々、トランス−ジクロロエチレンと共沸混合物を形成することが知られており、本発明の目的のためにそのような共沸混合物を使用することは本発明の広い範囲内であると考えられる。
【0093】
CFCFCFCFOCH
CFCFCFCFOCH
CFCFCFCFOCHCH
CFCFCFCFOCHCH;及び
CFCFCFOCH
【0094】
2.ハイドロフルオロカーボン:
[0094]幾つか態様においては、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、共発泡剤として1種類以上のHFC、より好ましくは1種類以上のC〜CHFCを含む。例えば、本発泡剤組成物は、ジフルオロメタン(HFC−32)、フルオロエタン(HFC−161)、ジフルオロエタン(HFC−152)、トリフルオロエタン(HFC−143)、テトラフルオロエタン(HFC−134)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ペンタフルオロプロパン(HFC−245)、ヘキサフルオロプロパン(HFC−236)、ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、ペンタフルオロブタン(HFC−365)、ヘキサフルオロブタン(HFC−356)、及び全てのこのようなHFCの全ての異性体の1種類以上を含んでいてよい。
【0095】
[0095]幾つかの態様においては、1種類以上の以下のHFC異性体が、本発明の組成物において共発泡剤として用いるのに好ましい:
フルオロエタン(HFC−161);
1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125);
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);
1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a);
1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a);
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);
1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea);
1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb);
1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);及び
1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10−mee)。
【0096】
3.炭化水素:
[0096]幾つかの態様においては、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、1種類以上の炭化水素、より好ましくはC〜Cの炭化水素を含むことが好ましい。本発泡剤組成物は、幾つかの好ましい態様においては、例えば、プロパン;イソ−及びn−ブタン(かかるブタン類は各々、熱可塑性フォームのための発泡剤として使用するのに好ましい);イソ−、n−、ネオ−及び/又はシクロ−ペンタン(かかるペンタン類は各々、熱硬化性フォームのための発泡剤として使用するのに好ましい);イソ−及びn−ヘキサン;及びヘプタン;を含んでもよい。
【0097】
[0097]特に発泡剤組成物をはじめとする本組成物の幾つかの好ましい態様は、1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン、特にHFCO−1233zdと、イソ−ペンタン、n−ペンタン、シクロペンタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の炭化水素とを含み、約50重量%〜約85重量%のシクロペンタン、更により好ましくは約65重量%〜約75重量%のシクロペンタンを含む組合せが好ましい。
【0098】
4.アルコール:
[0098]幾つかの態様においては、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、1種類以上のアルコール、好ましくは1種類以上のC〜Cのアルコールを含むことが好ましい。例えば、本発明の本発泡剤組成物、エアゾール、洗浄及び溶媒組成物は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及びオクタノールの1種類以上を含んでもよい。オクタノールの中では、イソオクタノール(すなわち、2−エチル−1−ヘキサノール)が発泡剤配合物及び溶媒組成物において使用するのに好ましい。
【0099】
[0099]特に発泡剤組成物をはじめとする本組成物の幾つかの好ましい態様は、1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン、特にHFCO−1233zdと、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類のアルコールとを含む。
【0100】
5.アルデヒド:
[00100]幾つかの態様においては、特に本発明の発泡剤組成物、エアゾール、洗浄及び溶媒組成物をはじめとする本発明の組成物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、及びイソブタナールをはじめとする、1種類以上のアルデヒド、特にC〜Cのアルデヒドを含むことが好ましい。
【0101】
6.ケトン:
[00101]幾つかの態様においては、特に本発明の発泡剤組成物、エアゾール、洗浄及び溶媒組成物をはじめとする本発明の組成物は、1種類以上のケトン、好ましくはC〜Cのケトンを含むことが好ましい。例えば、本発泡剤、エアゾール、洗浄及び溶媒組成物は、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンの1種類以上を含んでもよい。
【0102】
7.クロロカーボン:
[00102]幾つかの態様においては、特に本発明の発泡剤、エアゾール、洗浄及び溶媒組成物をはじめとする本発明の組成物は、1種類以上のクロロカーボン、より好ましくはC〜Cのクロロカーボンを含むことが好ましい。本組成物は、幾つかの好ましい態様においては、例えば:1−クロロプロパン;2−クロロプロパン;トリクロロエチレン;パークロロエチレン;メテンクロライド;トランス−1,2ジクロロエチレン、及びこれらの組合せを含んでもよく、幾つかの態様、特に発泡剤の態様においては、トランス−1,2ジクロロエチレンが特に好ましい。
【0103】
8.他の化合物:
[00103]幾つかの態様においては、特に本発明の発泡剤、エアゾール、洗浄及び溶媒組成物をはじめとする本発明の組成物は、水、CO、ギ酸メチル、ギ酸、ジメトキシメタン(DME)、及びこれらの組合せを含む1種類以上の追加の化合物を含むことが好ましい。上述の中で、DMEは、発泡剤組成物において、また、本発明によるエアゾール組成物中の噴射剤として、特にHFCO−1233zdと組み合わせて使用するのに特に好ましい。上述の中では、水及びCOは、発泡剤において、また、本発明による噴射剤として、特にHFCO−1233zdと組み合わせて使用するのに特に好ましい。
【0104】
[00104]幾つかの態様において共発泡剤として使用するように意図されている上記で言及した任意の追加的な化合物の相対量、並びに本組成物中に含まれていてよい任意の追加的な成分の相対量は、組成物の特有の用途に従う本発明の一般的な広い範囲内において大きく変化させることができ、そして、このような相対量はいずれも、本明細書の範囲内にあると考えられる。しかし、本出願人は、少なくとも幾つかの本発明による化合物の1つの特別な利点は、このような化合物の比較的低い燃焼性及び比較的低い毒性であることを指摘する。従って、幾つかの態様においては、本発明の組成物は、少なくとも1種類の共試薬、及び全体的に不燃性である組成物を製造するのに十分な量の1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物を含むことが好ましい。ここで用いる「共試薬」という用語は、所期の目的のための組成物の性能の少なくとも幾つかの形態に寄与する目的で組成物中に含ませる任意の1種類以上の化合物を指すように意図される。したがって、このような態様において、1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物と比較した共試薬の相対量は、少なくとも部分的に、共試薬の燃焼性などの組成物の望ましい特性に依存するであろう。
【0105】
[00105]本発明の組成物は、広い範囲に亘る量の本発明の化合物を含んでよい。しかし、本発明にしたがって発泡剤として使用するのに好ましい組成物に関しては、1種類又は複数のモノクロロトリフルオロプロペン化合物が、組成物の少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%、そして更に好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在することが一般的に好ましい。幾つかの好ましい態様において、発泡剤は、少なくとも約50重量%の1種類又は複数の本発泡剤化合物を含み、そして、幾つかの態様においては、発泡剤は、本発明による化合物から実質的に成る。この点に関して、1種類以上の共発泡剤の使用は、本発明の新規で基本的な特徴と合致することに留意されたい。例えば、水は、共発泡剤としてか又は他の共発泡剤(例えば、ペンタン、特にシクロペンタン等)と組み合わせて、多数の態様において用いることが意図される。
【0106】
[00106]本発明の発泡剤組成物は、好ましくは該組成物の少なくとも約15重量%の量で、1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物を含んでいてよいと意図される。多くの好ましい態様においては、水を含む共発泡剤を、組成物中、最も好ましくは、熱硬化性フォームの使用に関連する組成物中に含ませる。
【0107】
[00107]幾つかの態様においては、本発明の発泡剤組成物は、HFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約95重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少なくとも約99重量%のHFCO−1233zdを含むことが好ましい。幾つかの好ましい態様においては、本発明の発泡剤組成物は、少なくとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくはシス−HFCO−1233zd及びトランス−HFCO−1233zdの任意の1以上を含むことが好ましい。
【0108】
[00108]本発明の発泡剤組成物は、幾つかの態様においては、シスHFCO−1233zdとトランスHFCO−1233zdの組合せを含む。幾つかの態様においては、シス:トランスの重量比は、約30:70〜約5:95、更により好ましくは約20:80〜約5:95であり、幾つかの態様においては、10:90の比が特に好ましい。
【0109】
[00109]幾つかの好ましい態様においては、発泡剤組成物は、約30重量%〜約95重量%、より好ましくは約30重量%〜約96重量%、より好ましくは約30重量%〜約97重量%、更により好ましくは約30重量%〜約98重量%、更により好ましくは約30重量%〜約99重量%の1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物、及び、約5重量%〜約90重量%、より好ましくは約5重量%〜約65重量%の1種類以上のフルオロエーテルを含む共発泡剤を含む。幾つかのこのような態様においては、共発泡剤は、HO、HC、HE、HFC、HFE、炭化水素、アルコール(好ましくは、C、C及び/又はCアルコール)、ケトン、CO、及びこれらの任意の2以上の組み合わせからなる群から選択される化合物を含み、そして好ましくは実質的にこれらより成る。
【0110】
[00110]他の態様においては、本発明は発泡性組成物を提供する。本発明の発泡性組成物は、一般的には、フォームを形成することが可能な1種類以上の成分を含む。幾つかの態様においては、当該1種類以上の成分は、フォーム及び/又は発泡性組成物を形成することが可能な熱硬化性組成物を含む。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、及びフェノール樹脂フォーム組成物が挙げられる。フォームタイプ、特にポリウレタンフォーム組成物に関しては、本発明は、硬質フォーム(独立気泡、連続気泡の両方、及びこれらの任意の組合せ)、軟質フォーム、及び、インテグラルスキンフォームをはじめとする半軟質フォームを提供する。また、本発明は、噴霧可能な単一成分フォームを含む単一成分フォームも提供する。
【0111】
[00111]反応及び発泡方法は、気泡の大きさを制御及び調節し、形成中のフォーム構造を安定させるのに役立つ触媒や界面活性剤物質などの種々の添加剤を使用することにより、向上させることができる。更に、本発明の発泡剤組成物に関してこれまでに説明した1種類以上の任意の追加の成分は、本発明の発泡性組成物中に組み込むことができると企図している。そのような熱硬化性フォームの態様においては、1種類以上の本組成物は、発泡性組成物中において発泡剤として、又は発泡剤の一部として含められ、又は、好ましくは適切な条件下で反応及び/又は発泡してフォーム又は気泡構造物を形成することができる1以上の成分を含む、2以上の部分からなる発泡性組成物の一部分として含められる。
【0112】
[00112]幾つかの別の態様においては、当該1種類以上の成分は、熱可塑性物質、特に、熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含む。熱可塑性フォーム成分の例としては、例えば、式Ar−CHCH(ここで、Arは、ポリスチレン(PS),(PS)のようなベンゼン系の芳香族炭化水素基である)のモノビニル芳香族化合物のようなポリオレフィンが挙げられる。本発明による好適なポリオレフィン樹脂の他の例としては、ポリエチレン(PE)のようなエチレンホモポリマー及びエチレンコポリマーなどの種々のエチレン樹脂、ポリプロピレン(PP)、並びにポリエチレンテレフタレート(PET)、並びにそれらから形成されるフォーム、好ましくは低密度フォームが挙げられる。幾つかの態様においては、熱可塑性発泡性組成物は、押出し成形可能な組成物である。
【0113】
[00113]また、本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含有するポリマーフォーム配合物から調製されたフォーム、好ましくは、独立気泡フォームにも関する。更に他の態様においては、本発明は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)フォーム、好ましくは低密度フォームなどの、熱可塑性又はポリオレフィンフォームを含む発泡性組成物を提供する。
【0114】
D.トリフルオロクロロプロペンを含有する組成物:
[00114]本出願人らは、本質的な成分として、全ての割合のこれらの全ての組合せを含むトランスCFCH=CClH(1233zdE)、シスCFCH=CClH(1233zdZ)、トランスCHFCF=CClH(1233ydE)、シスCHFCF=CClH(1233ydZ)、トランスCHFCH=CClF(1233zbE)、シスCHFCH=CClF(1233zbZ)、トランスCHFCCl=CHF(1233xeE)、シスCHFCCl=CHF(1233xeZ)、CHFCCl=CF(1233xc)、トランスCHFClCF=CFH(1233yeE)、シスCHFClCF=CFH(1233yeZ)、CHClCF=CF(1233yc)を含む1種類以上のトリフルオロモノクロロプロペン化合物と、少なくとも1種類の追加の化合物とを含む幾つかの組成物を開発した。そのような組成物において、1種類以上のトリフルオロモノクロロプロペンの量は広く変動することができ、これは、すべての場合において、組成物中のすべての他の成分を計上した後の組成物の残りを構成する。幾つかの好ましい態様においては、組成物中の上記に記載のトリフルオロモノクロロプロペンの各々の量、及び任意の全ての割合のこれらの2以上の任意の組合せの量は、以下の範囲にしたがうことができる:約1重量%〜約99重量%;約80重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約25重量%;約1重量%〜約30重量%;及び約1重量%〜約50重量%。このタイプの好ましい組成物を下表において記載するが、表に示す追加の化合物に関して、すべてのパーセントは重量パーセントであり、“約”の語が前置されると理解される。加えて、表2は、トランスCFCH=CClH(1233zdE)、シスCFCH=CClH(1233zdZ)、トランスCHFCF=CClH(1233ydE)、シスCHFCF=CClH(1233ydZ)、トランスCHFCH=CClF(1233zbE)、シスCHFCH=CClF(1233zbZ)、トランスCHFCCl=CHF(1233xeE)、シスCHFCCl=CHF(1233xeZ)、CHFCCl=CF(1233xc)、トランスCHFClCF=CFH(1233yeE)、シスCHFClCF=CFH(1233yeZ)、CHClCF=CF(1233yc)のそれぞれ、及びこれらの二つの化合物のすべての組合せ及び割合に適用されると理解される。
【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
[00115]共試薬がHOを含む好ましい態様においては、組成物は、全組成物の約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは全組成物の約10重量%〜約20重量%の量でHOを含む。
【0120】
[00116]共試薬がCOを含む好ましい態様においては、組成物は、全組成物の約5重量%〜約60重量%、より好ましくは約20重量%〜約50重量%、更により好ましくは組成物の約40重量%〜約50重量%の量でCOを含む。
【0121】
[00117]共試薬がアルコール(好ましくはC、C、及び/又はCアルコール)を含む好ましい態様においては、組成物は、全組成物の約5重量%〜約40重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは全組成物の約15重量%〜約25重量%の量でアルコールを含む。
【0122】
[00118]HFC共試薬を含む組成物については、HFC共発泡剤(好ましくは、C、C、C、及び/又はCのHFC)、更により好ましくはジフルオロメタン(HFC−152a)(HFC−152aは、押出熱可塑性材料用の発泡剤としての組成物の使用に関して特に好ましい)及び/又はペンタフルオロプロパン(HFC−245)は、好ましくは、組成物の約5重量%〜約80重量%、より好ましくは約10重量%〜約75重量%、更により好ましくは組成物の約25重量%〜約75重量%の量で組成物中に存在する。更に、かかる態様においては、HFCは、好ましくはC〜CのHFCであり、更により好ましくはCのHFCであり、幾つかの態様においては、HFC−245faなどの五フッ素化されたCのHFCが非常に好ましい。
【0123】
[00119]HFE共試薬を含む組成物については、HFE共試薬(好ましくは、C、C、C及び/又はCのHFE)、更により好ましくはHFE−254(特にHFE−254pcなど)は、好ましくは、全組成物の約5重量%〜約80重量%、より好ましくは約10重量%〜約75重量%、更により好ましくは組成物の約25重量%〜約75重量%の量で組成物中に存在する。更に、かかる態様において、HFEは、好ましくはC〜CのHFE、更により好ましくはCのHFCであり、幾つかの態様においては、四フッ素化されたCのHFEが非常に好ましい。
【0124】
[00120]HC共試薬を含む組成物については、HC共試薬(好ましくはC、C、及び/又はCのHC)は、好ましくは、全組成物の約5重量%〜約80重量%、更により好ましくは組成物の約20重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0125】
E.方法及びシステム:
1.フォーム形成方法:
[00121]フォームを形成するための現在知られた利用できる方法及びシステムは全て、本発明と関連して使用するように容易に適合させることができると考えられる。例えば、本発明の方法は、一般的に、本発明による発泡剤を発泡性組成物又はフォーム形成組成物中に導入し、次に、好ましくは本発明による発泡剤の体積膨張を引き起こすことを含む工程又は一連の複数の工程により組成物を発泡させることを必要とする。一般的に、発泡剤の導入のため及び発泡のために現在使用されているシステム及び装置は、本発明にしたがって使用するように容易に適合させることができると考えられる。実際、本発明の1つの利点は、既存の発泡方法及びシステムと概して適合性の改善された発泡剤が提供されることであると考えられる。
【0126】
[00122]従って、本発明が、熱硬化性フォーム、熱可塑性フォーム、及び現場施工型フォームを含む全てのタイプのフォームを発泡させるための方法及びシステムを含むことは、当業者によって認められるであろう。従って、本発明の1つの側面は、本発泡剤を、ポリウレタン発泡装置のような従来の発泡装置と関連して、従来の処理条件で用いることである。故に、本方法は、マスターバッチタイプの操作、ブレンドタイプの操作、第3の流れの発泡剤の添加、そして、発泡ヘッドにおける発泡剤の添加を含む。
【0127】
[00123]熱可塑性フォームに関して、好ましい方法は、一般に、本発明による発泡剤を、熱可塑性物質、好ましくはポリオレフィンのような熱可塑性ポリマー中に導入し、次いで、熱可塑性物質を、発泡を起こすのに有効な条件にかけることを含む。例えば、熱可塑性物質中に発泡剤を挿入する工程は、熱可塑性物質を含むスクリュー押出し機中に発泡剤を導入することを包含してよく、そして、発泡を起こす工程は、熱可塑性物質への圧力を下げて、これにより発泡剤の膨張を引き起し、その結果物質を発泡させることを包含してよい。
【0128】
[00124]本明細書に包含される開示事項を特に考慮すれば、本発明の発泡剤を形成し、及び/又は発泡性組成物に加える順序及び方法は、一般的に本発明の実施可能性に影響を与えないことは、当業者によって認められるであろう。例えば、押出し可能なフォームの場合、発泡剤の種々の成分及び更には本組成物の成分は、押出装置へ導入する前には混合しないことが可能であり、又は更には該成分は、押出装置内の同じ場所には添加しないことも可能である。更に、発泡剤は直接添加することができ、或いはプレミックスの一部として添加してそれを次に発泡性組成物の他の部分に添加することが可能である。
【0129】
[00125]従って、幾つかの態様においては、成分が押出機内で混合され及び/又はこのようにしてより効率的に操作されるようになるという見込みの下で、発泡剤の他の1種類以上の成分を添加する場所の上流である押出機内の第1の位置において発泡剤の1種類以上の成分を導入することが望ましい可能性がある。しかしながら、幾つかの態様においては、発泡剤の2種類以上の成分を前もって配合し、一緒に発泡性組成物中に直接導入するか、或いはプレミックスの一部として導入してそれを次に発泡性組成物の他の部分に更に添加する。
【0130】
[00126]幾つかの好ましい態様においては、分散剤、気泡安定化剤、界面活性剤、及び他の添加剤も、本発明の発泡剤組成物中に導入することができる。界面活性剤は、任意であるが、好ましくは、気泡安定化剤として働かせるために添加する。幾つかの代表的な材料は、DC-193、B-8404、及びL-5340の名称で販売されており、これらは一般的には、各々が参照により本明細書中に援用される米国特許第2,834,748号、2,917,480号、及び2,846,458号に開示されたものなどのポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。発泡剤混合物のための他の任意の添加剤としては、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニルなどのような炎抑制剤を挙げることができる。
【0131】
[00127]ここに参照によって援用される「ポリウレタンの化学及び技術(Polyurethanes Chemistry and Technology)」第I巻及び第II巻, Saunders and Frisch, 1962年, John Wiley and Sons,ニューヨーク市,ニューヨーク州に記載されている方法のような、当該技術において周知のいずれの方法も使用することでき、又は、本発明のフォームの態様に従った使用に適合させることができる。
【0132】
2.噴射剤及びエアゾール組成物:
[00128]別の面においては、本発明は、本発明の組成物を含むか又は本質的にこの組成物からなる噴射剤組成物を提供する。幾つかの好ましい態様において、そのような噴射剤組成物は、好ましくは、単独か又は他の公知の噴射剤と組み合わせた噴霧しうる組成物である。
【0133】
[00129]一つの側面においては、本組成物は、本発明の組成物を膨張させることにより発生するもののような本組成物により生ずる力をかかる物体に適用することにより、固体及び/又は液体の物体及び/又は気体の物体をはじめとする物体を噴射させるために使用することができる。例えば、かかる力は、好ましくは、本発明の組成物の相を液体から気体へと変化させることによるか、及び/又は、本発明の組成物が加圧容器から排出されるときの実質的な圧力低下の結果として放出される力により、少なくとも部分的に与えられる。このようにして、本発明の組成物を使用して、爆発的な力又は持続する力を噴射すべき物体に適用することができる。したがって、本発明は、本発明の組成物を含み、液体の物体又は固体の物体或いは気体の物体のいずれかの物体を所望の量の力で噴射又は移動させるように構成されているシステム、容器、及び装置を含む。かかる使用の例としては、導管、チャネル、又はノズル中のドレイン、パイプ、又は閉塞物を噴射力により取り去るために使用することができる容器(加圧された缶及び同様の器具)が挙げられる。別の用途としては、弾丸、ペレット、手榴弾、ネット、キャニスタ、豆袋、電極、又は他の個々の縛られているか又は縛られていない発射物などの固体の物体を環境、特に周囲空気を通して噴射するために本組成物を使用することが挙げられる。他の態様においては、本組成物を使用して、ジャイロスコープ、遠心機、玩具、又は回転する他の物体に対して吐出動などの運動を付与したり、あるいは、花火、紙吹雪、ペレット、弾薬、及び他の固体物体などの固体の物体に対して噴射力を付与することができる。他の用途においては、本発明の組成物により与えられる力を使用して、ロケット又は他の発射物をはじめとする動いている物体を推進又は操縦することができる。
【0134】
[00130]本発明の噴射剤組成物は、好ましくは、噴射されるべき材料と、本発明による組成物を含む(あるいは本質的にその組成物からなる、又はその組成物からなる)噴射剤とを含む。不活性成分、溶媒、及び他の物質も、噴霧可能な混合物中に存在していてもよい。好ましくは、この噴霧可能な組成物はエアゾールである。噴射されるべき適当な材料としては、限定するものではないが、消臭剤、香料、ヘアスプレー、洗浄溶媒、及び潤滑剤などの化粧物質、及び抗喘息薬などの医薬物質があげられる。本明細書で用いる医薬物質という用語は、その最も広い範囲においては、治療処置、診断法、痛みの緩和、及び同様の処置に関して有効であるか又は少なくとも有効であると考えられており、それ自体が例えば医薬及び生物活性物質を含む任意の全ての物質を包含するように用いられる。幾つかの好ましい態様においては、医薬物質は吸入するように適合される。医薬又は他の治療薬は、好ましくは治療量で組成物中に存在し、組成物の残りの実質的部分は上記に記載の本発明の1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペン化合物を含む。
【0135】
[00131]工業用途、民生用、又は医療用途のためのエアゾール製品は、通常は、1種類以上の活性成分、不活性成分、又は溶媒と共に1種類以上の噴射剤を含む。噴射剤は、製品をエアゾール化した形態で排出する力を与える。幾つかのエアゾール製品は、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、更には空気のような圧縮気体を用いて噴射されるが、大部分の市販のエアゾールは液化ガス噴射剤を用いる。最も一般的に用いられる液化ガス噴射剤は、ブタン、イソブタン、及びプロパンなどの炭化水素である。ジメチルエーテルとHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)も、単独か又は炭化水素噴射剤と混合して用いられる。残念なことに、これらの液化ガス噴射剤の全てが高可燃性であるので、それらをエアゾール配合物中に導入することによって、可燃性のエアゾール製品がしばしば得られるだろう。
【0136】
[00132]出願人は、それを用いてエアゾール製品を配合するための不燃性の液化ガス噴射剤に対する継続的な必要性を認識するに至った。本発明は、本発明の組成物、特にそして好ましくは上記に記載のHFCO−1233を含む組成物であって、例えばスプレー式クリーナー、潤滑剤などを含む幾つかの工業用エアゾール製品、及び例えば薬品を肺や粘膜に供給するためのものを含む医薬用エアゾールにおいて用いるための組成物を提供する。この例としては、喘息や他の慢性閉塞性肺疾患の治療のためや、接近可能な粘膜又は鼻腔内に薬物を供給するための計量式吸入器(MDI)が挙げられる。従って、本発明は、(人間や動物などの)生物の病気、疾病、及び類似の健康に関連する問題を治療するための方法を含み、この方法は、治療が必要な生物に薬物又はその他の治療成分を含む本発明の組成物を適用することを含む。幾つかの好ましい態様においては、本組成物を適用する工程は、本発明の組成物を含有するMDIを用意し(例えば、その組成物をMDIの中に導入する)、そして次に、本組成物をMDIから放出することを含む。
【0137】
[00133]本発明の組成物、特に本発明の任意の1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペンを含むかあるいは本質的にこれらからなる組成物は、地球温暖化に実質的に寄与しない不燃性の液化ガス噴射剤及びエアゾールを提供することができる。本組成物は、接点洗浄剤、ダスター、潤滑剤スプレーなどのような様々な工業用エアゾール又は他の噴霧可能な組成物、並びに、パーソナルケア製品、家庭用品、及び自動車用品などの民生用エアゾールを配合するために用いることができる。多くの用途における本発明の医薬用エアゾール及び/又は噴射剤及び/又は噴霧可能な組成物は、本発明の化合物に加えて、ベータ作用薬、コルチコステロイド、又は他の薬物、及び任意に、界面活性剤、溶媒、他の噴射剤、香味料、及び他の賦形剤など他の成分を含む。本発明の組成物は、これらの用途においてこれまで用いられた多くの組成物とは異なり、良好な環境特性を有し、地球温暖化に寄与する可能性がないと考えられる。従って、本組成物は、幾つかの好ましい態様において、非常に低い地球温暖化係数を有する本質的に不燃性の液化ガス噴射剤を提供する。
【0138】
3.香味料及び芳香料:
[00134]本発明の組成物は、香味配合物及び芳香配合物の一部として、そして特にこれらのためのキャリヤーとして用いられるときにも利点を提供する。この目的のための本組成物の適性は、所定量のジャスモンのような植物材料を厚肉のガラス管の中に入れ、一定量の1種類以上の本発明の化合物をガラス管に加える試験手順によって例証される。次いで、管を冷凍し、密閉する。管を解凍すると、混合物は一つの液相を有しており、これによって1種類以上のモノクロロトリフルオロプロペンが香味配合物及び芳香料のためのキャリヤーとして好都合に用いられることが確保される。また、植物からのものを含めて、生物活性化合物(バイオマスなど)及び芳香料の抽出剤としての可能性も確保される。幾つかの態様においては、超臨界状態の本流体を用いて抽出用途において本組成物を使用することが好ましい場合がある。超臨界又は近超臨界状態の本組成物を使用することを含むこの用途及び他の用途を以下に説明する。
【0139】
4.膨張剤:
[00135]本発明の組成物の一つの潜在的な利点は、好ましい組成物が殆どの周囲条件において気体状態であることである。この特徴により、流される空間の重量を有意に増加させることなく、本発明の組成物を空間に充填することが可能となる。そのうえ、本発明の組成物は、比較的容易な輸送及び貯蔵のために圧縮又は液化することができる。これゆえに、例えば、本発明の組成物は、好ましくは、しかし必須ではないが、組成物が排出される別の環境中に当該組成物を少なくともある時間の間、加圧気体として放出するように適合されたノズルをその中に有する加圧缶などの密閉容器中に液体形態で含ませてもよい。例えば、かかる用途としては、輸送乗物(自動車、トラック、及び航空機を含む)に関して使用することができるようなタイヤに接続するように適合された缶中に本組成物を含ませることを挙げることができる。この態様にしたがう他の例としては、少なくとも一定の時間、圧力下で気体状の材料を含むように適合されたエアバッグ又は他の空気袋(他の保護用空気袋を含む)を膨らませるために、同様の配置で本組成物を使用することが挙げられる。缶などの固定容器を使用する代わりに、本発明のこの側面にしたがって、液体又は気体のいずれかの形態で本組成物を含み、且つそれを通して特定の用途のために必要な加圧環境中にそれを導入することができる、ホース又は他のシステムを通して本組成物を適用してもよい。
【0140】
F.方法及びシステム:
[00136]本発明の組成物は、冷却システム、空調システム及びヒートポンプシステムにおいて用いられる冷媒などの、熱を伝達するための方法及びシステムにおける熱伝達流体などとして、多くの方法及びシステムに関して有用である。本組成物はまた、好ましくはそのようなシステム及び方法におけるエアゾール噴射剤を含むか又はそれからなるエアゾールを生成させるシステム及び方法において用いるのにも有利である。フォームを形成する方法、並びに消火及び鎮火する方法も、本発明の幾つかの側面に含まれる。本発明はまた、幾つかの側面においては、そのような方法及びシステムにおいて本組成物を溶媒組成物として用いる物品から残留物を除去する方法も提供する。
【0141】
1.熱伝達方法及びシステム:
[00137]
好ましい熱伝達方法は、一般的には、本発明の組成物を提供し、そして顕熱伝達、相変化熱伝達、又はこれらの組合せのいずれかにより組成物に対して又は組成物から熱を伝達させることを含む。例えば、幾つかの好ましい態様においては、本方法は、本発明の冷媒を含む冷却システム、及び、本発明の組成物を凝縮及び/又は蒸発させることにより加熱又は冷却を生成させる方法を提供する。幾つかの好ましい態様においては、他の流体を直接又は間接的に、あるいは物体を直接又は間接的に冷却することを含む冷却方法は、本発明の組成物を含む冷媒組成物を凝縮させ、その後に、前記冷媒組成物を冷却すべき物品の近傍で蒸発させることを含む。本明細書中で使用される“物体”という用語は、無生物だけでなく、一般的な動物の組織、及び特にヒトの組織を含む生体組織も言うように意図している。例えば、本発明の幾つかの側面は、鎮痛法、予備麻酔、又は、治療すべき人体の温度を低下させることを伴う治療の一部などの、1種類以上の治療目的のために、本組成物をヒトの組織に対して適用することを伴う。幾つかの態様においては、人体への適用は、好ましくは、一方向放出弁及び/又はノズルを有する加圧容器中に、加圧下で液体形態の本組成物を与え、そして組成物を人体に噴霧するか又は他の形態で適用することにより液体を加圧容器から放出させることを含む。液体が、噴霧される表面から蒸発するにつれて表面が冷却される。
【0142】
[00138]流体又は物体を加熱するための幾つかの好ましい方法は、本発明の組成物を含む冷媒組成物を加熱すべき流体又は物体の近傍で凝縮させ、その後に前記冷媒組成物を蒸発させることを含む。本明細書中の開示に照らせば、当業者は、過度な実験をすることなく、本発明にしたがって容易に物品を加熱及び冷却することができるであろう。
【0143】
[00139]出願人らは、本発明のシステム及び方法において、重要な冷却システムの性能パラメータの多くがR−134aに関するパラメータと比較的近いことを見出した。多くの既存の冷却システムは、R−134aのために、又はR−134aと同様の特性をもつ他の冷媒のために設計されていることから、システムに対する比較的最小限の変更を伴いR−134a又は同様の冷媒の代替として使用することができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊性の冷媒の実質的な利点を当業者は認識するであろう。幾つかの態様においては、本発明は、システムの実質的な変更をすることなく、既存のシステムにおける熱伝達流体(冷媒など)を本発明の組成物により置換することを含む改造方法を提供することを企図している。幾つかの好ましい態様においては、置換工程は、熱伝達流体として本発明の組成物を適合させるためにシステムの実質的な再設計を必要とせず、また装置の主要な部品を置換する必要が無いという意味において、ドロップイン置換である。幾つかの好ましい態様においては、本方法は、システムの能力が置換前のシステム能力の少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約85%、更により好ましくは少なくとも約90%であるドロップイン置換を含む。幾つかの好ましい態様においては、本方法は、システムの吸引圧力及び/又は放出圧力、更により好ましくはその両方が、置換前の吸引圧力及び/又は放出圧力の少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%であるドロップイン置換を含む。幾つかの好ましい態様においては、本方法は、システムの質量流量が置換前の質量流量の少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも90%であるドロップイン置換を含む。
【0144】
[00140]幾つかの態様においては、本発明は、好ましくは、冷却すべき物体又は流体の近傍で本冷媒組成物を蒸発させて本組成物を含む蒸気を生成することにより、流体又は物体から熱を吸収することによって冷却することを提供する。好ましくは、本方法には、通常は圧縮機又は同様の装置により冷媒蒸気を圧縮して、比較的高圧の本組成物の蒸気を生成する更なる工程が含まれる。一般的には、蒸気を圧縮する工程により、蒸気に対して熱が加えられ、比較的高圧の蒸気の温度上昇が引き起こされる。好ましくは、かかる態様においては、本方法には、この比較的高温で高圧の蒸気から、蒸発工程及び圧縮工程により加えられた熱の少なくとも一部を取り出すことが含まれる。熱取り出し工程には、好ましくは、蒸気が比較的高圧条件にある間に、高温で高圧の蒸気を凝縮して、本発明の組成物を含む比較的高圧の液体を生成させることが含まれる。この比較的高圧の液体は、好ましくは、次いで見かけ上等エンタルピーの減圧にかけて、比較的低温で低圧の液体を製造する。かかる態様においては、この低下した温度の冷媒液体を、次いで、冷却すべき物体又は流体から伝達される熱により蒸発させる。
【0145】
[00141]本発明の別の方法の態様においては、本発明の組成物は、加熱すべき液体又は物体の近傍で組成物を含む冷媒を凝縮することを含む、加熱を生成させる方法において使用することができる。かかる方法は、これまでに説明したように、上述の冷却サイクルに対して逆のサイクルであることが多い。
【0146】
2.フォーム発泡方法:
[00142]本発明の一つの態様は、フォーム、好ましくはポリウレタン及びポリイソシアヌレートのフォームを形成する方法に関する。その方法は、一般に、当該技術において周知なように、本発明の発泡剤組成物を用意し、その発泡剤組成物を(直接又は間接に)発泡性組成物に添加し、そしてフォーム又は気泡構造が形成されるのに有効な条件下で発泡性組成物を反応させることを含む。例えば「ポリウレタンの化学と技術(Polyurethanes Chemistry and Technology)」Volumes I and II, Saunders and Frisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NY,(参照により本明細書中に援用される)に記載されているような、当該技術において周知の任意の方法を、本発明のフォームの態様にしたがって用いるか又は用いるように適合させることができる。一般に、そのような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオール又は複数のポリオールの混合物、発泡剤又は1種類以上の本組成物を含む発泡剤の混合物、及び触媒、界面活性剤、並びに任意に難燃剤、着色剤、又は他の添加剤などの他の材料を配合することによってポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造することを含む。
【0147】
[00143]ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームのための成分を予備ブレンドした配合物で与えるのが、多くの用途において好都合である。最も典型的には、フォーム配合物は、二つの成分に予めブレンドする。イソシアネート及び任意の幾つかの界面活性剤及び発泡剤が第一の成分を構成し、これは通常「A」成分と呼ばれる。ポリオール又はポリオールの混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、及び他のイソシアネート反応性成分は第二の成分を構成し、これは通常「B」成分と呼ばれる。従って、A及びB側の成分を、小さな調製物のために手混合によるか、及び好ましくはブロック、スラブ、積層体、現場注入パネル、及びその他の物品、噴霧適用フォーム、フロスなどを形成するための機械混合技術によって混合することにより、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームが容易に製造される。任意に、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、及び更に他のポリオールなどの他の成分を、混合ヘッド又は反応位置に第三の流れとして添加することができる。しかし、最も好ましくは、これらは全て上記の一つのB成分中に導入する。
【0148】
[00144]また、本発明の組成物を用いて熱可塑性フォームを製造することもできる。例えば、通常のポリスチレン及びポリエチレン配合物を通常の方法で組成物と混合して硬質フォームを製造することができる。
【0149】
3.洗浄方法:
[00145]本発明はまた、物品に本発明の組成物を適用することによって、製品、部材、部品、基材、又は任意の他の物品又はその一部から汚染物質を除去する方法を提供する。便宜上の目的から、“物品”という用語は、本明細書においては、全てのかかる製品、部材、部品、基材などを指すように用いられ、また更には、任意の表面又はその一部を指すように意図される。更に、“汚染物質”という用語は、物質が物品の上に意図的に置かれている場合であっても、物品の上に存在する任意の望ましくない材料又は物質を指すように意図されている。例えば、半導体デバイスの製造においては、基板の上にフォトレジスト材料を堆積させてエッチング工程のためのマスクを形成し、次いでフォトレジスト材料を基板から除去するのが通常的である。ここで用いられる“汚染物質”という用語は、そのようなフォトレジスト材料をカバーし且つ包含するように意図される。
【0150】
[00146]幾つかの好ましい方法においては、洗浄工程は、改造及び/又は再生のための系を製造する工程に関連して、容器又は入れ物から潤滑剤のような材料をフラッシングする工程を含む。かかる方法は、幾つかの態様においては、冷却又は空調システムのような既存の熱伝達システムにおいて、古い冷媒を新しい冷媒に更新又は置換し、そして本発明の組成物を方法の一部として用いてシステムをフラッシングして、特にかかるシステム内に存在するこれまで用いられていた潤滑剤の少なくとも一部、好ましくは実質的に全部を除去することに関する。
【0151】
[00147]本発明の好ましい方法は、本組成物を物品に適用することを含む。多くの様々な洗浄方法において本発明の組成物を良好に用いることができると意図されるが、本組成物を超臨界洗浄法に関して用いるのが特に有利であると考えられる。超臨界洗浄は米国特許第6,589,355号に開示されていて、これは本発明の譲受人に譲渡されたが、この特許は本明細書中に参考文献として援用される。超臨界洗浄用途のためには、幾つかの態様においては、HFCO−1233に加えて、HFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)の任意の1以上)、CO、及び超臨界洗浄用途に関して用いることが公知の他の追加の成分などの1以上の追加の成分を本洗浄組成物中に含めるのが好ましい。また、幾つかの態様においては、特定の蒸気脱脂法や溶剤洗浄法に関連して本洗浄組成物を用いることが可能で且つ望ましい可能性もある。
【0152】
4.可燃性低減方法:
[00148]幾つかの他の好ましい態様によれば、本発明は、流体に本発明の化合物又は組成物を添加することを含む、流体の可燃性を低減するための方法を提供する。任意の広範囲の可燃性流体に関する可燃性を、本発明に従って低減させることができる。例えば、エチレンオキシド、可燃性ハイドロフルオロカーボン、及び炭化水素、例えばHFC−152a、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロメタン(HFC−32)、プロパン、ヘキサン、オクタンなどのような流体に関する可燃性を、本発明に従って低減させることができる。本発明の目的に関して、可燃性流体とは、例えばASTM−E−681などのような任意の標準的なで通常の試験方法によって測定して空気中で可燃性範囲を示す任意の流体であってよい。
【0153】
[00149]本発明に従って流体の可燃性を低減するために、任意の好適な量の本化合物又は組成物を添加することができる。当業者に認識されるように、添加する量は、少なくとも一部は、対象流体の可燃性の程度、及びその可燃性を低減することが所望されている程度に依存するだろう。幾つかの好ましい態様においては、可燃性流体に添加される化合物又は組成物の量は、得られる流体を実質的に不燃性にするのに有効な量である。
【0154】
5.炎抑制方法:
[00150]本発明は更に、炎を本発明の化合物又は組成物を含む流体と接触させることを含む炎抑制方法を提供する。炎を本組成物と接触させるための任意の好適な方法を用いることができる。例えば、本発明の組成物を炎の上に噴霧したり、注ぐなどすることができ、あるいは炎の少なくとも一部を組成物中に浸漬させることができる。ここでの教示を考慮して、当業者であれば、種々の通常の炎抑制装置及び方法を本発明において用いるように容易に適用させることができるだろう。
【0155】
6.滅菌方法:
[00151]特に医療分野で用いるための多くの物品、装置、及び材料は、患者や病院職員の健康と安全などの健康上と安全上の理由のために、使用する前に滅菌しなければならない。本発明は、滅菌すべき物品、装置又は材料を、1種類以上の滅菌剤と組み合わせた、ここで記載する1種類以上のHFCO−1233化合物を含む本発明の化合物又は組成物と接触させることを含む滅菌方法を提供する。当該技術において多くの滅菌剤が知られていて、本発明に関して用いるように適合させることができると考えられるが、幾つかの好ましい態様においては、滅菌剤は、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、及びこれらの組み合わせを含む。幾つかの態様においては、エチレンオキシドが好ましい滅菌剤である。本明細書に含まれる教示に鑑みて、当業者であれば、本滅菌組成物及び方法に関して用いられるべき滅菌剤と1種類又は複数の本化合物との相対的な割合を容易に決定することができるだろう。そしてそのような割合の全ての範囲が本発明の広い範囲に含まれる。当業者には知られているように、エチレンオキシドなどの幾つかの滅菌剤は比較的可燃性の成分であるが、本発明による1種類又は複数の化合物は、組成物中に存在する他の成分と共に、滅菌組成物の可燃性を許容可能なレベルまで低減させるのに有効な量で本組成物中に含まれる。
【0156】
[00152]本発明の滅菌方法は高温又は低温の滅菌のいずれでもよいが、本発明方法は、約250°F〜約270°Fの温度において、好ましくは実質的に密閉された室内で本発明の化合物又は組成物を使用することを含む。このプロセスは通常、約2時間未満で完了させることができる。しかし、プラスチック物品や電気部品などの幾つかの物品はそのような高温に耐えることができず、低温の滅菌を必要とする。低温滅菌方法においては、滅菌されるべき物品は、ほぼ室温乃至約200°Fの温度、より好ましくはほぼ室温乃至約100°Fの温度において、本発明の組成物を含む流体に曝露する。
【0157】
[00153]本発明の低温滅菌は、好ましくは、実質的に密閉され、好ましくは気密の室内で行なう少なくとも二工程のプロセスである。第一工程(滅菌工程)においては、洗浄して気体透過性の袋の中に被包した物品を室内に配置する。次いで、真空に引き、及び場合によっては空気を水蒸気で置換することによって、室から空気を排出する。幾つかの態様においては、室中に水蒸気を注入して、好ましくは約30%〜約70%の範囲の相対湿度を達成することが好ましい。そのような湿度は、所望の相対湿度が達成された後に室中に導入される滅菌剤の滅菌効果を最大にすることができる。滅菌剤が被包を透過して物品の隙間に到達するのに十分な一定の時間の後、滅菌剤と水蒸気を室から排出する。
【0158】
[00154]プロセスの好ましい第二工程(通気工程)においては、物品を通気して滅菌剤残留物を除去する。そのような残留物を除去することは、毒性の滅菌剤の場合に特に重要であるが、実質的に非毒性の本発明の化合物を用いる場合には、この工程は任意である。典型的な通気プロセスには、空気洗浄、連続通気、及びこれら二つの組み合わせが含まれる。空気洗浄はバッチプロセスであり、通常は室を比較的短い時間(例えば12分間)排気し、次いで室中に空気を大気圧以上で導入することを含む。このサイクルは、滅菌剤の所望の除去が達成されるまで任意の回数繰り返す。連続通気は、典型的には、室の一方の側の入口を通して空気を導入し、次いで、出口にわずかな真空を適用することによって、室の他方の側の出口を通して空気を抜き出すことを含む。しばしば、これら二つの方法を組み合わせる。例えば、一般的なやり方は、空気洗浄を行い、次いで通気サイクルを行うことを含む。
【0159】
7.超臨界方法:
[00155]一般に、本明細書で説明する使用及び方法の多くは、本組成物を超臨界又は近超臨界状態で使用して実行することが可能であると企図している。例えば、特に、アルカロイド(一般的に植物源に由来する)、例えば、カフェイン、コデイン、及びパパベリンのような物質、一般に触媒として有用であるメタロセンなどの有機金属材料、ならびに、ジャスモンなどの芳香料及び香味料に関連する使用のために、本明細書中に述べる溶媒及び溶媒抽出用途で本組成物を利用することができる。
【0160】
[00156]本組成物は、好ましくは、それらの超臨界又は近超臨界状態で、固体担体上に触媒、特に有機金属触媒を堆積させることを含む方法と関連して使用することができる。1つの好ましい態様においては、これらの方法は、好ましくは、超臨界又は近超臨界状態でかかる触媒粒子を本組成物から沈殿させることによって微粉砕触媒粒子を生成させる工程を含む。幾つかの好ましい態様においては、本方法にしたがって製造される触媒は優れた活性を示すことが予想される。
【0161】
[00157]また、本明細書中に説明する幾つかのMDI方法及びデバイスは、微粉砕形態の薬剤を利用してもよいことが企図されており、かかる状況においては、本発明は、好ましくは、好ましくは超臨界又は近超臨界状態の本組成物中にかかる粒子を溶解することによって、アルブテロールなどの微粉砕薬剤粒子を本流体中に導入する工程を含む方法を提供することが企図されている。本流体が超臨界又は近超臨界状態であるときに材料の溶解性が比較的低い場合には、アルコールなどの添加溶剤を使用することが好ましい場合がある。
【0162】
[00158]また、超臨界又は近超臨界状態の本組成物は、回路基板並びに他の電子材料及び物品を清浄化するために使用することができる。
[00159]幾つかの材料は、特に超臨界又は近超臨界状態にある場合には、本組成物中で非常に限定された溶解度を有する可能性がある。かかる状況に関しては、二酸化炭素などの別の超臨界又は近超臨界溶媒中の溶液からかかる低溶解性溶質を沈殿させるための反溶媒として本組成物を使用することができる。例えば、熱可塑性フォームの押出プロセスにおいては超臨界二酸化炭素がしばしば用いられ、そして本組成物はその中に含まれる幾つかの材料を沈殿させるために使用することができる。
【0163】
[00160]また、幾つかの態様においては、超臨界又は近超臨界状態の本組成物を発泡剤として利用することも望ましい可能性があると意図される。
[00161]また、本方法及びシステムは、本発明による発泡剤を含有する一成分フォーム、好ましくはポリウレタンフォームを形成することも含む。幾つかの好ましい態様においては、好ましくは、容器内の圧力において液体であるフォーム形成剤中に溶解させることにより、発泡剤の一部をフォーム形成剤中に含ませ、発泡剤の第二の部分を別の気相として存在させる。かかる系においては、含有され/溶解される発泡剤は、大部分がフォームを膨張させるように機能し、別の気相はフォーム形成剤に対して推進力を付与するように機能する。かかる一成分系は、典型的かつ好ましくは、エアゾールタイプの缶などの容器中に収容され、これゆえに本発明の発泡剤は、好ましくは、フォームの膨張、及び/又はフォーム/発泡性材料をパッケージから移送するためのエネルギー、及び好ましくはその両方を提供する。幾つかの態様においては、かかるシステム及び方法は、完全に配合された系(好ましくは、イソシアネート/ポリオール系)をパッケージに充填し、本発明による気体発泡剤をパッケージ、好ましくはエアゾールタイプの缶の中に導入することを含む。
【0164】
[00162]参照により本明細書中に援用する"Polyurethanes Chemistry and Technology," Volumes I and II, Saunders and Frisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NYにおいて説明されているものなどの当該技術において周知の任意の方法を、本発明のフォーム形成の態様にしたがって使用するか又は使用するように適合させることができる。
【0165】
[00163]また、幾つかの態様においては、本組成物を超臨界又は近超臨界状態で発泡剤として利用することが望ましい可能性があることも意図される。
G.フォーム:
[00164]本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマーフォーム配合物から製造されるあらゆるフォーム(独立気泡フォーム、連続気泡フォーム、硬質フォーム、軟質フォーム、スキン層付きフォーム等を含むが、これらに限定されない)に関する。本出願人らは、フォーム、特に本発明によるポリウレタンフォームのような熱硬化性フォームの一つの利点は、好ましくは熱硬化性フォームの態様と関連して、特にそして好ましくは低温条件下で例えばK−ファクター又はラムダにより測定することのできる、非常にすぐれた熱特性を達成できる能力であることを見出した。本フォーム、特に本発明の熱硬化性フォームは、広範囲の用途において用いることができると意図されているが、幾つかの好ましい態様において、本発明は、冷蔵庫用フォーム、冷凍庫用フォーム、冷蔵庫/冷凍庫用フォーム、パネル用フォーム、及び他の低温又は極低温製造用途を含む本発明による電気器具用フォームを含む。
【0166】
[00165]幾つかの好ましい態様においては、本発明によるフォームは、全て本発明の好ましい発泡剤の多くに関連する低いオゾン層破壊係数及び低い地球温暖化係数に加えて、断熱効率(特に熱硬化性フォームに関して)、寸法安定性、圧縮強さ、断熱特性の経時変化を含む1つ以上の非常にすぐれた特徴、性質、及び/又は特性を提供する。幾つかの非常に好ましい態様においては、本発明は、同じ発泡剤(又は通常用いられる発泡剤であるHFC−245fa)を同じ量で用いるが、本発明による式Iの化合物を用いずに製造されるフォームに比べて改善された熱伝導性を示すフォーム物品に形成されるフォームを含む熱硬化性フォームを提供する。幾つかの非常に好ましい態様においては、本発明の熱硬化性フォーム、好ましくはポリウレタンフォームは、40°Fにおいて約0.14以下、より好ましくは0.135以下、そして更により好ましくは0.13以下のK−ファクター(BTU・in/hr・ft・°F)を示す。更に、幾つかの態様においては、本発明の熱硬化性フォーム、好ましくはポリウレタンフォームは、75°Fにおいて約0.16以下、より好ましくは0.15以下、そして更により好ましくは0.145以下のK−ファクター(BTU・in/hr・ft・°F)を示す。
【0167】
[00166]他の好ましい態様においては、本フォームは、本発明の範囲外の発泡剤を用いて製造されるフォームと比べて改善された機械特性を示す。例えば、本発明の幾つかの好ましい態様は、実質的に同一の条件の下でシクロペンタンより成る発泡剤を使用することにより製造されるフォームよりも優れており、好ましくは少なくとも相対的に約10%、更により好ましくは少なくとも相対的に約15%大きな圧縮強さを有するフォーム及びフォーム物品を提供する。更に、本発明にしたがって製造されるフォームは、発泡剤がHFC−245faより成ることを除いて実質的に同様の条件の下でフォームを製造することにより生成する圧縮強さに商業ベースで匹敵する圧縮強さを有することが好ましい。幾つかの好ましい態様においては、本発明のフォームは、少なくとも約12.5%の降伏(平行方向及び垂直方向)、更により好ましくは前記のそれぞれの方向において少なくとも少なくとも約13%の降伏の圧縮強さを示す。
【実施例】
【0168】
[00167]以下の実施例は本発明を例証する目的で提示されるが、本発明の範囲を限定するものではない。
[00168]実施例1:
[00169]成績係数(COP)は、一般に認められている冷媒性能の尺度であり、冷媒の蒸発又は凝縮を含む特定の加熱又は冷却サイクルにおける冷媒の相対的な熱力学的効率を表わすのに特に有用である。冷却工学においては、この用語は、蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられたエネルギーに対する有用な冷却の比率を表わす。冷媒の能力は冷媒が与える冷却又は加熱の量を表わし、それは、所定の体積流量の冷媒に対して所定量の熱を供給する圧縮機の能力の幾つかの尺度を与える。言い換えると、特定の圧縮機を仮定すると、より高い能力を有する冷媒はより大きな冷却力又は加熱力を与える。特定の操作条件における冷媒のCOPを評価するための一つの手段は、標準冷却サイクル分析法を用いる冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、R.C. Downing, FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK, 3章, Prentice-Hall, 1988を参照されたい)。
【0169】
[00170]約50°Fの圧縮機入口温度を用いる見かけ上等エントロピーの圧縮の下で、凝縮器の温度が約150°Fであり、蒸発器の温度が約−35°Fである冷却/空調サイクルシステムを与えた。下表3に示す化合物から実質的になる組成物に関して、一定範囲の凝縮器及び蒸発器温度にわたってCOPを測定し、それぞれがCOP、能力、及び排出温度の運転可能な値を有することが分かった。
【0170】
【表6】

【0171】
[00171]この実施例は、本組成物と共に用いるために好ましい幾つかの化合物はそれぞれ運転可能なエネルギー効率を有し、本冷媒組成物を用いる圧縮機は運転可能な排出温度を生成することを示す。
【0172】
[00172]実施例2:
[00173]表3に示す化合物のそれぞれを含む冷媒組成物と種々の冷却潤滑剤との混和性を試験した。試験した潤滑剤は、鉱油(C)、アルキルベンゼン(Zerol 150)、エステル油(Mobil EAL 22cc及びSolest 120)、ポリアルキレングリコール(PAG)油(134a系のためのGoodwrench冷却油)、及びポリ(α−オレフィン)油(CP-6005-100)であった。それぞれの冷媒/オイルの組み合わせについて、3つの組成物、すなわち、5、20及び50重量パーセントの潤滑剤と、各々の残りが試験する本発明の化合物である組成物を試験した。
【0173】
[00174]潤滑剤組成物を肉厚のガラス管内に配置した。管を排気し、本発明による冷媒化合物を添加し、次いで管を密閉した。次いで、管を空気浴雰囲気室内に配置した。室の温度は約−50℃から70℃に変化させた。およそ10℃の間隔で、一つ以上の液相の存在について、管の内容物の目視観察を行った。混合物は許容できるレベルの混和性を有していることが分かった。
【0174】
[00175]実施例3−ポリオールフォーム:
[00176]本実施例は、本発明の1つの好ましい態様による発泡剤の使用、すなわち上表3に示すそれぞれの化合物の使用、及び本発明によるポリオールフォームの製造のためにそれを使用することを示す。ポリオールフォーム配合物の成分は下表4にしたがって製造した。
【0175】
【表7】

【0176】
フォームは、発泡剤を添加せずに、まずその成分を混合することによって製造した。二つのフィッシャー・ポーター管に、それぞれ、約52.6グラムの(発泡剤を含まない)ポリオール混合物を充填し、密閉し、冷蔵庫の中に配置して冷却してわずかな真空を形成した。ガスビュレットを用いて、約17.4グラムの表3のHFCO−1233化合物の各々を各々の管に添加し、次いで温水中の超音波浴中に管を配置して、30分間放置した。約87.9グラムのイソシアネート混合物を金属容器中に配置し、冷蔵庫内に配置して約50°Fまで冷却した。次いで、ポリオール管を開放し、金属混合容器中に秤量投入した(約100グラムのポリオールブレンドを用いた)。次いで、冷却した金属容器からのイソシアネートをすぐにポリオールの中に注ぎ入れ、二重プロペラを有するエアミキサーを用いて3000RPMで10秒間混合した。このブレンドは、撹拌するとすぐに泡立ち始め、次いでこれを8×8×4インチの箱の中に注ぎ入れ、発泡させた。次いで、フォームを室温において二日間硬化させた。次いで、フォームを、物理特性を測定するのに好適な試料に切断し、許容できる密度及びK−ファクターを有することが分かった。
【0177】
[00177]実施例4−ポリスチレンフォーム:
[00178]本実施例は、本発明の二つの好ましい態様による発泡剤の使用、すなわち本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれをポリスチレンフォームを製造するための発泡剤として使用することを示す。試験装置及び試験手順は、特定の発泡剤及びポリマーがフォームを製造することができるか否か、及びそのフォームの性質を決定することを助けるものとして定めた。粉砕したポリマー(Dowポリスチレン685D)及び本質的に本明細書に記載のそれぞれのHFCO−1233化合物からなる発泡剤を容器内で配合した。容器の容積は200cmで、それは二つのパイプフランジ、及び直径2インチで長さ4インチのスケジュール40ステンレス鋼パイプの部分から構成されていた。容器をオーブン内に配置し、温度を約190°F〜約285°F、好ましくはポリスチレンについては265°Fに設定し、そこで温度平衡に達するまで保持した。
【0178】
次いで、容器内の圧力を開放すると、発泡したポリマーが直ちに生成した。発泡剤は、それがポリマー中に溶解するとポリマーを可塑化する。この方法を用いてこのように製造された二つのフォームの得られた密度を測定したところ、許容しうることが分かった。
【0179】
[00179]実施例5A−ポリスチレンフォーム:
[00180]この実施例は、二軸タイプの押出機内で形成されるポリスチレンフォームのための発泡剤としての本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ単独の性能を示す。この実施例において使用する装置は、以下の特徴を有するLeistritz二軸押出機であった。
【0180】
30mm共回転スクリュー;
L:D比=40:1。
押出機は10のセクションに分割され、各々が4:1のL:Dを示していた。ポリスチレン樹脂を第一セクション中に導入し、発泡剤は第六セクション中に導入し、押出物は第十セクションから排出した。押出機は、主として溶融/混合押出機として運転した。次段の冷却押出機はタンデムに接続し、その設計特徴は、次の通りであった。
【0181】
Leistritz二軸押出機;
40mm共回転スクリュー;
L:D比=40:1;
ダイ:5.0mm環状。
【0182】
ポリスチレン樹脂、すなわち、Nova 1600と示されるNova Chemicalの一般的な押出等級のポリスチレンを、上記に示す条件下で押出機に供給した。この樹脂は、375°F〜525°Fの推奨溶融温度を有していた。ダイにおける押出機の圧力は約1320ポンド/平方インチ(psi)であり、ダイにおける温度は約115℃であった。本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれから本質的になる発泡剤を、上記に示す位置で押出機に添加し、成核剤として全発泡剤を基準として約0.5重量%のタルクを含ませた。10重量%、12重量%、及び14重量%の濃度の本発明による発泡剤を用いてフォームを製造した。製造されたフォームの密度は約0.1グラム/cm〜0.07グラム/cmの範囲であり、約49〜約68ミクロンの気泡径を有していた。およそ30mm径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、非常に細かい気泡径であり、目に見えるか又は明らかなブローホール又は空隙は無かった。
【0183】
[00181]実施例5B−ポリスチレンフォーム:
[00182]発泡剤が、約50重量%の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及び50重量%のHFC−245fa、並びに実施例5に示す濃度の成核剤を含むことを除いては、実施例5Cの手順を繰り返した。およそ10%及び12%の発泡剤濃度において発泡ポリスチレンを製造した。製造されたフォームの密度は約0.09グラム/cmであり、約200ミクロンの気泡径を有していた。およそ30mm径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、細かい気泡構造であり、目に見えるか又は明らかな空隙は無かった。
【0184】
[00183]実施例5C−ポリスチレンフォーム:
[00184]発泡剤が、約80%の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及び20重量%のHFC−245fa、並びに実施例5に示す濃度の成核剤を含むことを除いては、実施例5のこの手順を繰り返した。およそ10%及び12%の発泡剤濃度において発泡ポリスチレンを製造した。製造されたフォームの密度は約0.08グラム/cmであり、約120ミクロンの気泡径を有していた。およそ30mm径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、細かい気泡構造であり、目に見えるか又は明らかな空隙は無かった。
【0185】
[00185]実施例5D−ポリスチレンフォーム:
[00186]成核剤を除外したことを除いては、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを単独で用いて実施例5の手順を繰り返した。フォームの密度は0.1グラム/cmの範囲であり、気泡径は約400であった。およそ30mm径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、細かい気泡構造であり、目に見えるか又は明らかな空隙は無かった。
【0186】
[00187]実施例6−ポリウレタンフォーム:
[00188]この実施例は、炭化水素共発泡剤と組み合わせて用いた本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれの性能、特に許容しうる圧縮強度特性を有するポリウレタンフォームを製造するための本明細書に記載のHFCO−1233化合物それぞれ単独及びシクロペンタン共発泡剤を含む組成物の有用性を示す。
【0187】
[00189]商業的に入手可能な冷却機器タイプのポリウレタンフォーム配合物(フォーム形成剤)を与えた。ポリオールブレンドは、商業的なポリオール(単数又は複数)、触媒(単数又は複数)、及び界面活性剤(単数又は複数)から構成されていた。この配合物は、気体発泡剤に関して使用するのに適している。標準的な商業的ポリウレタン加工装置をフォーム形成プロセスのために使用した。全発泡剤のおよそ60モル%の濃度の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及びおよそ40モル%の濃度のシクロペンタンを含む気体発泡剤配合物を形成した。この実施例は、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれをシクロペンタン共発泡剤と組み合わせた配合物の圧縮強さ及びK−ファクター性能などの許容しうる物理特性の性能を示す。
【0188】
[00190]実施例7−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00191]この実施例は、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを上記に記載のHFC共発泡剤のそれぞれと組み合わせて含む発泡剤の、ポリウレタンフォームの製造に関連する性能を示す。発泡剤を除いて、実施例5及び6において使用したのと同じフォーム配合物、装置、及び手順を使用した。全発泡剤のおよそ80重量%の濃度の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及び全発泡剤のおよそ20重量%の濃度の上記記載のHFC共発泡剤のそれぞれを含む発泡剤を製造した。次いで、この発泡剤を用いてフォームを形成し、フォームのK−ファクターを測定したところ、許容できることが分かった。
【0189】
[00192]実施例8−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00193]実施例5及び6と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。発泡剤は、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントで、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれによる化合物から構成されていた。許容しうるフォームが形成された。
【0190】
[00194]実施例9−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00195]実施例5及び6と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。一連の発泡剤は、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれと、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びt−ブタノールとの50:50のモル比の組み合わせからなり、それぞれの組合せは、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントで、発泡剤組成物中に存在していた。それぞれの場合において、許容しうるフォームが形成された。
【0191】
[00196]実施例10−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00197]実施例5及び6と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。一連の発泡剤は、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及び以下の追加の化合物:イソペンタン、n−ペンタン、及びシクロペンタンのそれぞれの組合せからなっていた。25:75、50:50、及び75:25のHFCO−1233:追加の化合物のモル比でそれぞれの追加の化合物と組み合わせて3種類の発泡剤を形成した。それぞれの発泡剤組成物は、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントで存在していた。それぞれの場合において許容しうるフォームが形成された。
【0192】
[00198]実施例11−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00199]実施例5及び6と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。一連の発泡剤は、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及び以下の追加の化合物:水及びCOのそれぞれの組み合わせからなっていた。25:75、50:50、及び75:25のHFCO−1233:追加の化合物のモル比でそれぞれの追加の化合物と組み合わせて3種類の発泡剤を形成した。それぞれの発泡剤組成物は、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントで存在していた。それぞれの場合において許容しうるフォームが形成された。
【0193】
[00200]実施例12−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00201]実施例5及び6と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。一連の発泡剤は、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及び50:50のモル比でそれぞれのHFCO−1233と組み合わせた、HFO−1234ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)及びHFO−1234ye−シス(Z)(24℃の沸点を有する)のそれぞれの組合せからなっており、それぞれの組合せは、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントで発泡剤組成物中に存在していた。それぞれの場合において許容しうるフォームが形成された。
【0194】
[00202]実施例13−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00203]実施例5及び6と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。一連の発泡剤は、75:25のHFCO−1233:トランス−1,2−ジクロロエチレンのモル比の、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ、及びトランス−1,2−ジクロロエチレンの組合せからなっており、発泡剤組成物は、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントであった。許容しうるフォームが形成された。
【0195】
[00204]実施例14−ポリウレタンフォームK−ファクター:
[00205]実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームは手作業の混合で製造した。発泡剤は、75:25のモル比の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ及びギ酸メチルの組合せからなっており、この組合せは、実施例5及び6における発泡剤とほぼ同等の発泡性組成物のモルパーセントで発泡剤組成物中に存在していた。それぞれの場合において許容しうるフォームが形成された。
【0196】
[00206]実施例15−ケイ素溶媒:
[00207]本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれからなるそれぞれの組成物を用いて一連の組成物を製造した。それぞれの組成物をガラス容器に移した。ケイ素潤滑剤、特に、高粘度(12,500cP)シリコーン油を組成物に約10重量%の濃度まで添加した。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、HFCO−1233化合物のそれぞれがシリコーンベースの潤滑油を溶解することが示された。
【0197】
[00208]実施例16−HFCO−1233/トランス−1,2−ジクロロエチレン:
[00209]25:75及び50:50のHFCO−1233:トランス−1,2−ジクロロエチレンの重量比の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ及びトランス−1,2−ジクロロエチレンからなるそれぞれの組成物を用いて一連の組成物を製造した。次に、それぞれの組合せをガラス容器に加えた。ケイ素潤滑剤、特に、高粘度(12,500cP)シリコーン油をそれぞれの溶媒に約10重量%の濃度まで添加した。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、この組合せがシリコーン油を溶解することが示された。
【0198】
[00209]実施例17−洗浄剤:
[00211]金属試験片を、ロジンベースのはんだフラックスで被覆し、乾燥させた。試験片を秤量し、次いで本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれからなる一連の組成物中に浸漬した。試験片を取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回の実験で、平均で25重量%のフラックスが除去された。
【0199】
[00212]実施例18−洗浄剤としてのHFCO−1233/メタノール:
[00213]金属試験片を、ロジンベースのはんだフラックスで被覆し、乾燥させた。試験片を秤量し、次いで、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約5重量%、及び約10重量%などの約1重量%〜約10重量%(更により好ましくは約1重量%〜約5重量%)の範囲の幾つかの異なる濃度の、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ及びメタノールからなる一連の組成物中に浸漬した。試験片を取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回の実験で、フラックスが除去された。
【0200】
[00214]実施例19−抽出剤:
[00215]薬剤、特に抗マラリア薬である植物由来のアルテミシニンをクソニンジンの植物から抽出した。アルテミシニンの試料をバイアル中に秤量投入した。本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれからなる一連の組成物を、アルテミシニンが溶解するまでバイアルに添加した。結果は、薬剤、特にアルテミシニンなどの植物由来の薬剤は本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれの中に可溶であることを示し、これによりかかる化合物を使用してバイオマスから薬剤を抽出できることが示された。
【0201】
[00216]実施例20−溶媒−鉱油:
[00217]炭化水素潤滑剤、具体的には鉱油を、それぞれ、およそ98:2の重量比、およそ96:4の重量比の本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれ及びメタノール、並びにおよそ92:2:6の重量比のHFCO−1233/メタノール/ペンタンからなる一連の組成物を含むバイアルに添加した。すべての場合において、10重量%より高い鉱油濃度において均一な単一相の溶液が形成された。
【0202】
[00218]実施例21−エアゾール:
[00219]本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれからなる一連の組成物をエアゾール缶に添加し、エアゾール弁を適切な位置にかしめることにより缶を密閉し、HFC−134a噴射剤を、約14重量%の134a及び約76重量%のHFCO−1233の濃度まで添加することにより、噴霧可能なエアゾールを製造した。作動液を綿棒で金属試験片に適用し、試験片を秤量した。HFCO−1233を含有するエアゾールのそれぞれを金属基材上に10秒間噴霧した。試験片を乾燥させ、再秤量した。およそ60重量%の作動液が除去された。
【0203】
[00220]実施例22−溶媒−PAG:
[00221]合成潤滑剤、具体的にはポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤、より具体的には本質的に2以上のオキシプロピレン基からなり約37℃で約10〜約200センチストークスの粘度を有するPAG(出光興産によりND-8の商品名で販売されている)を、本明細書に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれからなる一連の組成物を含有するバイアルに添加した。10重量%より高いPAG濃度において均一な単一相の溶液が形成された。合成潤滑剤ND-8の特性を下表5に示す。
【0204】
【表8】

【0205】
[00222]実施例23−HFCO−1233及び共溶媒:
[00223]上述の実施例22に説明するPAG潤滑剤を、それぞれ、(a)およそ98:2のHFCO:メタノールの重量比のメタノール、(b)およそ96:4のHFCO:ペンタンの重量比のペンタン、及び(c)およそ92:2:6のHFCO:メタノール:ペンタンの重量比のメタノール/ペンタンと組み合わせた上記に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを含有するバイアルに添加した。すべての場合において、10重量%より高いPAG油の濃度において均一な単一相の溶液が形成された。
【0206】
[00224]実施例24:
[00225]この実施例は、冷媒組成物が上記に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを含み、冷媒組成物の大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%がかかるHFCO−1233化合物のそれぞれである本発明の一態様の性能を示す。より詳しくは、この実施例は、かかる組成物を冷却システムである高温ヒートポンプ・有機ランキンサイクルシステムにおいて作動流体として使用する例である。第一のシステムの例は、約35°Fの蒸発温度及び約150°Fの凝縮温度を有するものである。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度、及び約80°F〜約120°FのCTを有するシステムを、本明細書中において“冷凍機”又は“冷凍機AC”システムと呼ぶ。比較の目的のためにR−123を用いたかかるシステムの各々の運転は、許容できることが分かった。
【0207】
[00226]実施例25:
[00227]この実施例は、冷媒組成物が上記に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを含み、組成物の大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%が上記に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを含む本発明の一態様の性能を示す。より詳しくは、かかる組成物を、4種類の冷却システムにおいてHFC−134aの代替として使用した。第一のシステムは、約20°Fの蒸発器温度(ET)、及び約130°Fの凝縮器温度(CT)を有するものであった。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約0°F〜約35°FのET、及び約80°F〜約130°FのCTを有するシステムを、本明細書中において“中温”システムと呼ぶ。第二のシステムは、約−10°FのET、及び約110°FのCTを有するものであった。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約−20°F〜約20°Fの蒸発器温度、及び約80°F〜約130°FのCTを有するシステムを、本明細書中において“冷却機/冷凍機”システムと呼ぶ。第三のシステムは、約35°FのET、及び約150°FのCTを有するものであった。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約30°F〜約60°Fの蒸発器温度、及び約90°F〜約200°FのCTを有するシステムを、本明細書中において“自動車用AC”システムと呼ぶ。第四のシステムは、約40°FのET、及び約60°FのCTを有するものであった。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度、及び約80°F〜約120°FのCTを有するシステムを、本明細書中において“冷凍機”又は“冷凍機AC”システムと呼ぶ。組成物のそれぞれを用いたかかるシステムのそれぞれの運転は、R−134aと比較して許容できることが分かった。
【0208】
[00228]上記の実施例に基づくと、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−134aのような多くの従来用いられている冷媒に関するパラメータに比較的近接している。多くの現存する冷却システムはR−134aなどのこれらの冷媒、又は他の冷媒用に設計されていることから、当業者は、システムに対する改造を比較的最小にして、R−134a又は同様の冷媒に対する代替として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊性の冷媒の実質的な利点を認識するだろう。幾つかの態様においては、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、システムの実質的な修正なしに、本発明の組成物、好ましくは少なくとも約90重量%の上記に記載のHFCO−1233化合物のそれぞれを含むか及び/又はこれから本質的になる組成物に置き換えることを含む、改造方法を提供することが意図される。幾つかの好ましい態様においては、置換工程は、本発明の冷媒を適応させるために、システムを実質的に再設計する必要がなく、装置の主要な部材を置換する必要がないと意味で、ドロップイン置換である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エタンよりも小さいMIR値を有する少なくとも1種類のフッ素化オレフィン;及び
(b)ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ギ酸メチル、ギ酸、水、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、ジメトキシメタン(DME)、前記第1のフルオロアルケンと異なる第2のフルオロアルケン、及びこれらの任意の2種以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の追加の成分;
を含む組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の追加の成分が、約15重量%〜約85重量%の、イソペンタン、n−ペンタン、シクロペンタン、ブタン、及びイソブタン、並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フッ素化オレフィンが、組成物の約20重量%〜約90重量%の量で組成物中に存在する少なくとも1種類のモノクロロトリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種類の追加の成分が、2−エチル−1−ヘキサノール、トランス−1,2−ジクロロエチレン、ジメトキシメタン、ギ酸メチル、水、及びCOからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フッ素化オレフィンが、トランス−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(トランスHFCO−1233zd)及びシス−1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−プロペン(シスHFCO−1233zd)の組み合わせを約30:70〜約5:95のシス:トランス重量比で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、発泡剤、エアゾール、溶媒、又は熱伝達剤として与えられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(a)エタンよりも小さいMIR値を有する少なくとも1種類のフッ素化オレフィン、及びこれらの2以上の組合せ;及び
(b)潤滑剤、安定化剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、炎抑制剤、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、水、CO、及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の追加の成分;
を含む組成物。
【請求項8】
物質を、エタンよりも小さいMIR値を有する少なくとも1種類のフッ素化オレフィンと接触させることによって物質を溶媒抽出することを含む溶媒抽出方法。
【請求項9】
物質が少なくとも1種類の植物源から誘導される少なくとも1種類のアルカロイドを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エタンよりも小さいMIR値を有する少なくとも1種類のフッ素化オレフィンから触媒の粒子を沈殿させることを含む、固体担体上に触媒を堆積させる方法。

【公表番号】特表2013−506731(P2013−506731A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532229(P2012−532229)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/050485
【国際公開番号】WO2011/041286
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】